米国と日本のDSM比較
著者
木船 久雄
雑誌名
名古屋学院大学論集 社会科学篇
巻
29
号
3
ページ
399-433
発行年
1993-01-31
URL
http://doi.org/10.15012/00000783
Copyright (c) 1993 木船久雄『米国 と日本の
DSM比
較』
*木
船
久
雄
**
一 日 次― は じめにI.米
国におけ るDSMの
現状 II.米国で議論 され るDSMの
問題点 ⅡI. 日本 におけ るDSMの
現状 IV。 日本型DSM検
討の要件 おわ りには
じ
め に
安定供給 と経済性の確保 (経済成長 を妨 げない)は ,こ
れ まで 日本のエネ ルギー政策の2大
軸 であった。近年,そ
れに地球規模 の環境問題への対処 と い う3軸
目が登場 した。そのために,1990年 6月 に発表 された総合エネルギー 調査会「長期 エネルギー需給見通 し」の審議 は,解
が得 られない多元方程式 の検討であった,
といわれ る1)。 この方程式 を解 く鍵のひ とつは省エネルギーである。 しか し,化
石燃料価 格が相対的に安値安定にあるなかで,か
け声 と消費者の美徳 に期待す る従来 型の省エネルギー政策では,そ
の実効 は期待 で きない。 また,夏
場の電力需 給逼迫はここ数年恒例 の年 中行事 と化 した感 さえある。 こうした問題への有効 な対応策 としてデマ ン ド・サ イ ド・マネー ジメン ト*
本稿は「韓 日 省エネルギー・シンポジウム」(1992年 6月 25日,主
催 :韓 国資源動力 省・韓国工不ルギー経済研究所,於
ソウル)で
の発表論文に一部加筆 したものである。 ** 経済学部 助教授 (1)『朝 日新聞』1990年6月 20日(以下
DSMと
い う)が
ある。DSMは
実効性の高い省エネルギー (省電力) とロー ド・マネー ジメン ト(負荷管理)の
仕組みである。すでに米国電気事 業において,DSMは
90年代の一大潮流 となろ うとしている。そこでは,DSM
が明確 に電力供給技術のひ とつのオプションとして捉 えられている。本稿は
,①この米国の
DSMの
実態を明らかにすること
,それとの比較で②
日本でなされている
DSMの
実状
,さらには③何故米国と同様な
DSMが
日本
でなされないかといった点を探ることを目的にしている。
I。米 国 におけ る
DSMの
現状
(1)DSMと
は何 か ①DSMの
定義・ 概念 通常,DSMは
「省エネルギー とロー ドマネー ジメン ト(C&LM:Conserva
tion&Load Management)」
のためになす電力会社の計画や手段 と定義 さ れ,解
釈 され る2)。 この解釈 はかな り広義 で網羅的である。ただ し,近
年注 目 され る米国のDSMの
中心は,その投資額のウェイ トか らみても電力会社が実 施主体 となる省電カプラグラムにあるとい うのが実態である。 では,DSMで
なされ ることは具体的には何 であろ うか。その メニュー を仕 分ければ以下のごとくである (図1参
照)。 図l DMS(C&LM)の
仕 分 け 一 情 報 の 提 供 一 省 エネル ギー (1)省エネ・ コンサルティング ・エネル ギー診断,技
術援助 (2)省電力の奨励 金制度 ・ リベー ト, クー ポン,低
利融資(1)直
接制御 ―― 「[―一 サ イ クリング運転 ‐ 緊急負荷調整 (2)間接制御 ― 季時別料金 (料金制度 に よる)DSM
負 荷 管 理1)情報 の提 供
:省
電 力や 負荷 管理 に関係 した一般情報やDSMプ
ロ グラムにつ いて,ダ イ レク トメー ルや マ ス・メデ ィ ア を用 いてな され た り,専
門家達 のセ ミナーが主 催 され る。2)省
エ ネル ギー :省電 力の ため に,家
庭や工場 のエネル ギー健康 診 断 とい った コンサ ル ティングを行 うと同時 に,省
電 力投 資 を推進 させ るための金 融上 の誘 導策 (省 電 力の奨励 金)を
用 意 してい る。例 えば,効
率 の 良 い照 明器具や冷蔵庫へ の買 い換 えには リベ ー ト (還付 金)や
クー ポ ン (割引券)な
どを用 意す る。 また,工
場 の省 電 力投 資には,そ
の一部 または全 額 を電 力会社 が補助す る,とい った具合 いであ る。3)負
荷 管理:料
金制度 に よる間接 的 な負荷管理 は,従
来 もな さ れ て きた。DSMの
新 しさは,直
接制御 に あ る。そ こでは,
ピー ク時 間帯 のエ ア コン,温
水 器,プ
ー ルの給水用 ポ ンプ とい った機器 の オ ン・ オ フを遠 隔操作 で電 力会社 が直接行 う。 これ をサ イ ク リン グ運転 と呼称 して い る。 ②DSMの
新 しさDSMが
従来の ロー ドマネー ジメン トとどこが違 い,何が新 しいのか。それ は次の点である。 第一に,電 力会社 自らがDSMで
行 われ る省電力 を利益源泉 と認識 し,その コンサルティングや資金援助 を積極的に行 っていることである。DSMが
利益 に結び付 くような誘導策 を規制 当局が用意 している。第二には,従
来の料金 制度 を用いた間接的なロー ドマネー ジメン トのみならず,電
力会社が情報機 器 を用いて直接負荷 を制御 していることである。第二には,DSMが
消費者, 電力会社,社
会 (環境)と
「3方
一両得」 を目指 しているの も特徴 である。 また,DSM実
施の 目的は,直
接的には,将
来必要 となるべ く電源設備の量名古屋学院大学論集 とそれ に対す る投 資額 を減少 させ るこ とにあ る。 それが
,ひ
いては電力料金 の上昇圧 力 を緩和 させ るこ とにつ なが る とされ る。 そ して具体 的 なDSMの
メ リッ トは以下 であ る3)。1)安
い費用 で新 規 の電源設備 を代 替 で きる。2)環
境へ の 負荷 が軽減 され る。3)家
計支 出の節約 につ なが る。4)電
力会社 と消 費者 の関係 が よ り接近 化 す る。 その ため に,5)電
力会 社 が単純 な電 力生産供 給会社 か らエ ネル ギー・ サー ビス会 社 へ 脱皮 す る機会 を提供 す る (ビジネス・ チ ャンスの拡大)。6)DSMの
投 資額 は相 対 的 に小 振 りで あ るため電 力会社 の財務 上 の リ ス クが軽減す る。7)安
価 な電 力 に よ り,電
力会社 お よび大 口需要 家 の競 争 力 向上 が期 待 で きる。8)州
の公益事業委員会 との関係 改善 が な され る (これ は米国固有 の 問題)。(2)な
ぜDSMな
の かDSMが
有力なエネルギー政策手段 として注目され
,実施される理由は次の
5点 として整理されよう。それらは
,①
環境問題の高揚
,②
いわゆる市場の
失敗
,③
電力会社の事情と費用構造
,④
需要サイ ドの理由
,⑤
規制環境の変
化である。
① 環境問題の高揚 近年の環境問題への意識の高まりや法制度の改正は,二
つの理由から電力 会社 をDSMに
向け させ ている。 その第一は,環
境への外部費用 を考慮 して,供
給オプ ションを評価すべ き であるとい う規制 当局の考 え方である。 これは,環
境面か らみた「市場の失 敗」に対す る一つの補正提案 である。実際,マ
サチューセ ッツ,ニ
ュー ヨー (3)Hirst,E.(1990)p.DIV-33ク とい った州 では外部 費用 の計測 を試み
,そ
れ を供給 オプ シ ョン・ 需要 オプ ションの費用に上乗せした上でヽ新規の供給力を選択するよう義務付けている4)。 (表1参
照) 表l LCPで
採用 された環境 外部費用 (1989年価格S/t)
排 出物/州
マサチューセ ッッ ニ ュー ヨー ク s02 1500 832NOx
6500 1832 c02 22 1.10(出所 )Stillinger,ヽV.L,''Monetized Environmental Externalities as a MOdifier to ECOn01TliC I)iSpatCh,''preSented at the lⅥ lember Meeting of ADSMP,
I)ec 1990 第二 には電 力会社 の道義的責任 であ る。環境へ の負荷 を高め ないため には, 電 力 の生産 に伴 う排 出ガ ス を増大 させ ない こ とであ る。 これ には,:F果境へ の 影響 が少 ない電源構成 を採用す る とい う対応 もな され るが
,需
要 その もの を 拡 大 させ ない とい う対策 が あ る。ゆ えに,需要拡 大 を押 さえ よ うとい うDSM
は社会 か ら容認 され易 い。 第二 には,環
境対策 費用の 回収 に関す る不安 であ る。つ ま り,1990年
末 の 大 気 浄化 法の改正 は電力会社 に新 たな費用増 を もた らすが,こ
の費用 が料金 に十分 反映す るこ とが可能か否か,と い う心配 であ る5)。 70年 代 後半 か ら 80 年代 央 まで,電
力会社 は建 設済み であ る新規電源が過剰 設備 と判断 され て , その資産 を料金 の算定基礎 とな るレー トベー スに計上 で きなか った経緯があ る6)。 その ため に,電
力会社 は潜在 的 に規制 当局へ の不信感が あ る。 これに対 して,DSMへ
の投 資は規制 当局 が相対 的 に高 い リター ンを保証 し た りす るので,電
力会社 としては投 資 回収へ の不安 が少 ない。 (4)例えば, MDPU,(199o)p.85, あ るいはStillinger,Ⅵ″.し ,(1990) (5)大気浄化法の改正 に関 して,ェヂ ソン電気協会 では,この対策費用 に年間121億 ドル を要す るとしている。 同協会 ブ リー フィング用資料 (March,1990) (6)建設途上 でキャンセル した原子力は もとよ り,完成 した電源 まで も過剰設備 を理 由に , レー トベー スに組み込 まれなか った。そのため,多 くの電力会社が財務上 の悪化 を見た (Joskow,P.L"(1989))。 また,燃料価格 などの変動 リス クは消費者以上に投資家に負 担 させ る規制 となって きた。Kahn,E.(1988)p.282② 市場の失敗 市場の失敗 とは制度や慣習 とい う障害か ら
,資
源の最適配分 を行 う価格 メ カニズムが機能 していない場合 をいう。これをDSMの
必要性か ら指摘すれば 次の ようになる。 第一には,電
力価格 についてである。現在の料金は環境 な どへの外部不経 済は計上 されていない(前述)。 さらに料金設定におけ る供給原価主義の採用 は,平
均費用概念でなされ ることになるか らもともと,資
源の最適配分 を保 証 していない。 第二には,市
場 に充分 な情報が行 き渡 っていない,
とい う問題がある。 こ れには, 1)省
エネに関す る費用 と便益, 2)情
報 を評価す る方法 (追加資 本 とエネルギー費用の減少の相殺 をどのように計算す るかなど),さ
らに 3) 省エネ・プログラム をどの ようにデザインし,実
行す るか といった情報不足 が,有
効 な省エネ機会 を機能 させ ていなぃ7), とされ る。 第二には制度的な障害な どである。例 えば, 1)使
用エネルギー機器のデ ザ インや設置 を決定す る人間 (建築家,土
木家)と
それ を使 ってエネルギー 費用 を支払 う人間 (所有者,管
理者)が
異なる。2)家
の家主 と住人が違 う, といった例 は数 多 くある。 こうした点か ら,規
制者 な り第二者が省エネ活動に介入す ることが支持 さ れ る。 ③ 電力会社の事情 と費用構造DSMが
支持 される三つ 目の理由 として電力会社の事情や費用構造がある。 これには,次
の4つの側面が あ る。 第一 には長期 平均 費用逓 増 とい う側 面 であ る。近年,い
くつ か の独 占事 業 にお いて,そ
の経 済的根拠 とな る「規模 の経済性 」 に疑 間が あが ってい る。 米 国電気事 業 に関す れ ば,発
電分 野 につ いて その疑 間が 出 され て きた。現在 の需要規模 が,規
模 の経 済性 を失 った状 況下 に あ り (長期 平均 費用逓増 の局 面),それ で も平均 費用 で料 金決 定 が な され て い る とした ら,そこでの均衡 は (7)こ うした論点は例 えば,Fisher&Rothkopf,(1989)な ど過剰 な需要 を喚起 した もの とな り
,同
時に社会厚生上の損失 をもたらす。 その際,過
剰需要 を解消す る手段 としての王道は,限
界費用に基づ いた料 金制度の採用である8)。 しか し,時 々刻々 と変わる限界費用 を料金 として採用 す る方法は実際的でない,
とい うの も現実である。 第二には,投
資 リスクの側面である。つ ま り,
リー ドタイムが長期 に渡 る 大規模電源への投資が電力会社 に大 きな リスクをもたらす という問題 である。 料金改定の際になされるプルーデンス審査 で,投資済みの電源 をレー トベー スに計上す ることが認め られなか った,
とい う過去の痛い経験がある。電力 会社 は 自らの リスクで電源へ投資す ることに臆病 になっている,
とい う状態 である。この面で,DSMは
投資規模 も少 な く,リ ター ンが保証 されていると い うことか ら投資の リス クはノ」ヽさい。 第二には,DSMが
ビジネス機会 を増大 させ るとい う,DSMの
積極的な側 面である。つ まり,DSMで
なされ るエネルギー・コンサルティングな どを通 じて,電
力会社 はこれ までの ように単に電力 を生産 し配達す るとい う会社か ら,広
くエネルギー関連サー ビス産業へ と脱皮す る機会 を獲得す ることにな る。 この側面は,一
般投資家か らもそのポテンシャルが評価 されている9)。 第四には,新
規電源設備 のサ イ ト確保の困難性 とい う側面がある。 これはPA上
の問題 ともいえるが,「裏庭に設備 は要 らない(NIMBY:Notln My
Back Yard)」 とい う言葉で代表 され るように,新
たなサ イ トを手当す るのは 非常 な困難が伴 う。 ① 需要サイ ドの理由DSMが
支持 される需要サイ ドの理由としては,次
の 2点 があげられる。 第一には,多
様なるニーズヘの対応である。需要家を対象 としたアンケー ト調査では,最
も電力の質を問 うのは産業需要家,質
を気にしないのは家庭 (8)Joskow,P_L_,(1988) (9)Chema,T,V.(1990)p.16需要家
,そ
の 中間が業務 用需要家 とされ る10)。 従 来,産
業 需要 家 には需給調整契約 な どメニ ューが用意 されていたが業務 用や 家庭用へ の品揃 えは,充
分 でなか った。最近 の ピー ク形成 をみて も電力 会 社側 は不特 定 多数 の需要家群 であ る業務 用や家庭用へ の対処 を考慮せ ざる を得 ない。こ うした時,DSMは
需要側 のニー ズに応 え るメニ ュー提 示 をす る わけ で,そ
れが供給側 の ボ トル・ ネ ックの解消 に もつ なが る。 第二 には電 力消 費機器 の技術進 歩が あ る。供給側 の技術 進歩 は電力へ の転 換効率 か らみて も頭打 ちであ るのに対 して,需 要側 の機 器効率 は ここ10年で 飛躍 的 に拡大 してい る。 こ うした評価 が高 まって きたのは,難 渋の末 1987年に成立 したNAECA法
(National Appliances for Energy Conservation Act:省 エ ネの ための国家 器具 法)の
影響 も少 な くない11)。 同法 は,エ
ネ ル ギー消 費器具 の標準効率 を 全 米一律 で指定 しよ うとい うもの であ る。 この規定値 は1990年か ら効 力 を もち,3年
毎 に見直 され るこ とか ら,機
器 効率 に関 したデー タの整備や研 究が一段 と進 んだ。 この過程 で,効
率 的 な器 具 の普 及 と有効 利用 が果 たす潜在 的 な省 エ ネル ギー の大 きさが見直 され て き た といえ よ う。 「省 エネ供 給 曲線」 もその一つ の成果 であ る12)。 機 器毎 に費用効果的 な省 エ ネ量 を積 み上 げ る と,か
くも大 きな も潜在量が存在す る(図2参
照)。 に も 拘 らず,な
ぜ これが進 まないのか。 それは情報不 足や制度的 な障害が存在す るか らで あろ う,DSMは
その障害 を取 り除 く手段 だ,と
い った論調 とな る。(10 PG&Eの
調査の概要 はHayes,W.C.(1989),p.51。 家庭用需要家が 多少の停電 よ りも安 い料金 を指向 していることか ら,DSMプ
ログラムが家庭需要家 をターゲ ットにし 易 い, とい う側面が明示 されている。al)National Appliances Energy COnservatiOn Actは 省エネ法 (National Energy Conservation Policy Act:NECPA)の改正 として成立 した。1990年1月 か ら標準値 の 発効 をみ たこの法律 は
,器
具効率 の標準規制値 を全米で統一 し,省エネに帰す るもの としよ うとい う意図がある。例 えば,PubHc Law loO-357
00
省工不供給曲線 は,電
気料金 との比較 において,個別器具や技術 の省エネ費用 と省エ 不量 を明示す る。Meier,A"et al(1983)pp.19-20図
2
省エネ(電力)供給曲線 14 10 省 電 カ コ ス ト ︵ c / k w h ︶ -2 o lo 20 30 40 50 60 70 80 潜在的省電力量 (電力消費合計 に占め る割合%) 潜在的省電力量 (電力消費者合計に 占め る割合%)(出所)Joskow,P.L.&lMarron,D.B,''Ⅵ rhat Does a Negawatt Really COst P",
MI′I`―CEPR,91-016ヽVP.Dec"1991
① 規制環境の変化
規制環境 の変化 は
,DSMに
フォ ロー の風 であ る。これは先 に も述べ た よ うに
, 1)電
源投 資に高 い規制 リス クが あったこ と,新
しい規制 の方向 として2)競
争促 進策 が進め られてい るこ と, 3)LCP(Least COst Planning i費
用最小化 計画,あるいは 同義語 としてIRP:Integrated Resource Planning) の推進が あげ られ る。
1)電
源投 資の リス クは「③ 電力会社 の事 情 と費用構 造」の項 で触れ たの で,こ
こでは改め て述べ ない。2)競
争促 進 策の進展 は,最
も安価 な供 給力の選択 とい う形 に現れ る。新 規供給 力の確保 には競争入札制度が採用 され,そ
こには電力会社 以外 の事 業 主体 が登場 した り,電
源 で ない供給力(つま りDSM)も
費用効 果 的 であれば 善 とされ易 い。実際,競
争 入札 の新 たな方 向は供給力 とDSMを
同格 に扱 い,DSMを
まさに供給カ オプ シ ョンの一つ としてい る。この ため に,DSMマ
ー 現在の平均 電力単価 17 EPRI 11 3 2 LOvins 9 10 6 7 8 4 5ケ ッ トが成立 し
,DSMコ
ンサ ルテ ィング会社(ESCOと
呼 ばれ る)が台頭 を 始 め て い る。3)LCPの
採 用 は,環
境 に優 しいDSMの
推 進 その もの で あ るか ら,多
く の説明 を要 しない。DSMへ
の投 資は,規
制 当局や 環境 団体,さ らには消 費者 か らお墨付 きをえた安全確 実安全 な事 業 とい うこ とにな る (表2参
照)。 表2
従来の電源計画 とLCP(:RP)と
の相違 従 来 型 の 計 画 LCP (IRP) 焦 点 電力会社 自身が保有す る大 規模電源の選択 多様 な供給力での選択(含,DSM,他
社購入, 送配電,既設電源の延命化) 計画担当者 電 力会社 内部 (システム,財務 部 な ど) 電力会社内のみならず外部か らも参加 (消費者,規制担当局,工不ルギー専門家) 選 択 枝 電 力会 社 所有 の供 給 力 の み 電力会社の供給力,IPP,消費者の資源 選 択 基 準 料金最小 と信頼性の維持 多様 な選択基準。例 えば左の他 に必要収入, エネルギー費用,財務状況, リスク程度,燃 料や技術の多様化,環境負荷,地域経済への 影響など(出所)Hirst,G。ldinan and HOpkins,''Integrated Resource Planning fOr Electric and Gas Utilities,''pp.5.95-5.114,IπJ′g%α″グRι sO″″ι′Pιク″″グ″g Pro‐
ceeding of ACEEE 199o sunlnner Study On Energy Efficiency in Build‐ ing,Aug. 1990
(3)DSM普
及の現状 ① ネガ ワ ッ ト 料 金制 度 を用 いた間接 的 な負荷 管理 の歴 史 は古 い。 同様 に,省
電 力 を電 力 会社 の費用 負担 でなすDSMプ
ログラム も実際には70年代 か ら存在 している。 しか し,近年 のDSM普
及拡 大 の契機 になったの は1985年に 出 され たA.
ロ ビンスの論文 であろ う13)。 論文 の表題 に も使 われ た"ネガ ワ ッ ト(負のW)"
は,DSMの
同意語 として も用 い られ てい る し,文 章 中に登場 す る「小 さ く売 って大 きく儲ける (sell leSS and make mOre)」 も
DSMを
代表する標語的な使われ方をされている。
②
DSMの
普及DSMの
採用はここ数年で急拡大 して きた。米国エネルギー省の調査 によれ ば,1990年において全米電気事業者3,250社の うち,872社がDSMプ
ログラ ム を実施 し,電
力量(kWh)で
0.7%,
ピー ク電力(kW)で
4.9%の
削減が なされたとされている。これに費や された投資額は総収入の0.7%に
あたる14)。 この額は電気事業の投資額合計の5%を
占め る。1990年4月 には
ADSMP(Association of Demand Side Management
Proffesionals)と い う
DSMに
係わ る専 門家集団の協会 も出来上がった。会 員は電力会社,州や 自治体の規制 当局,DSMの
コンサルタン ト会社(ESCO), アカデ ミズム,
と幅広 い分野の出身者で構成 されている。発足後2年
で,現
在の会員数は1200人に達 している。 ③ 規制 当局の後押 し この急速 な普及の背景には,規
制 当局の後押 しがある。 1989年3月 には,NARUC(全
米公益事業委員協会)の省エネ部会は,DSM
推進の誘導策 を各州 で検討す ることを決議 している15)。NARUCの
主 たるメ ンバーは電力会社 を直接管轄す る州の公益事業委員会の委員である。 また,1991年
2月 に提 出されたブ ッシュ政権の『国家エネルギー戦略』の 中では連邦政府 として もこれ を推進す る立場が唱われている16)。 ④DSMの
潜在 力 この制度が持 つ効 果 の大 きさは,
ミクロの比較 静学 では「省 エネ供 給 曲線」 に よって,マ
クロ的 には シ ミュ レー シ ョン・ モデルに よって示 され る。 省 エ ネ供給 曲線 の試算例 は前掲 して い る(図2参
照)。 これは,個
別 省 エ ネ (14)Hirst,B(1992)p.11 (15)NARUC,(1989) (16)DOE,(1991)『国家エネルギー戦略』をベー スに した「包括エネルギー政策法案」は1992 年 10月 5日 下院で可決。その後上院が審議・可決 し,10月 25日 には大統領が署名 した。 これに よって,電
気事業の規制緩和や省エネル ギーヘの弾みが加速 され るこ とになっ た。手段 や 技術 (図上 の番号
)に
つ いて,一
定 の 回収年 数や 割 り引 き率 を前提 と して各々の省 エ ネ費用 と省 エネ可能量 を測定 す る。 それ を安 い費用 でな され る手段 か ら左 に位 置 させ,順
に積 み上 げた ものであ る。 潜在 的省電 力量や 費用 に関 して,図 のEPRIと
Lovinsでは相 当の差 異が生 じてい る。しか し,控 えめにみてEPRIの
計算 で も,現行 料金水準が平均6.4¢ /kWh程
度 であ る こ とか ら,経 済性 のあ る省電カ ポテ ンシャルは相 当の量 にの ぼ るこ とが示 され てい る。 また,マ
クロの観 点か らDSMの
効 果推 計 をな した例 ではORNL(ォ
ー ク リッジ゛国立研 究所)の
推 計が あ る(図3参
照)。ORNLに
よれ ば,DSMを
積極 的 に推進す るこ とに よ り,2010年
の電力需要(kWh)は
米 国エ ネ ル ギー 省 の基準予測(図のEIA/NESの
ライ ン)に対 して19%の
削減 が可能 としてい る (図の最下線)。 同時 に同年 での料金支 払 い額 は基準予測 よ り610億 ドル少 な くて済み,C02
図3 DSMに
よ る省電 力効果推計 (Twh) 5.000 4.000 3,000 2,000 1.000 1970 1980 1990 2000 2010 (出所)E.Hirst′
。ssぁ′′Ettιぉ ο/]ι
ι″ι σ′グ′グ″DS″ P%οgππs 1990わ 2010 0RNL,Jan.1991 排 出量 も9%削
減 され る。さ らに,DSMは
ピー ク電力の高 さ も落 とす ために, 1990年か ら2010年の間に必要 とされ た増分供給 力(kW)の 55%が
削減 可能EIA/NES
EPRIDSMに
よる削減効果 電力需要19%
電力料金 610億ドルC02 9%
としてい る17)。 同様 に,多 くの電力会社 が将来 に向けた
DSMに
よる省電力の効果 を基準予 測 に対 して10%前
後 見込 んでい る。(4)DSM推
進のインセンテ ィブ制度 電力会社が積極的にDSMを
推進す るためには,DSMが
利益の源泉 となる べ く制度構築が規制当局に求め らる。米国において,現
在 なされ,あ
るいは 検討が進め られているその主要 なインセンティブ制度は次の4つである18)。1)DSMの
実施に ともない電力会社の利益が減少 した場合,事
後的にそれを調整 しようとい う「電力収入調整法(ERAM:Electricity Revenue A● ust‐
ment Mechanism)」 。
2)DSMの
投資に対 して も適正 な報酬率 を認め ようとい う「
DSM報
酬率法(RORD:Rate Of Return on DSM)」
。3)DSMの
投資に高い報酬率 を認めた り省電力の大 きさに したが って報奨金 を与えよう とい う「
DSMボ
ーナス法 :Bonus for Achieving Demand―Side Goals」。4)
DSMの
実施によって得 られた利益 を消費者 と電力会社 で配分 しようとい う「
DSM利
益配分法 :Shared Savings from DSM Programs」 。① 電力収入調整法
(ERAM)
この方法は,予
想 しない費用や販売量の変化が利益に結び付かないように す る方策 として,事
前に予測 した収入 と実際のそれ との差に基づ いて,収
入 を調整す る。 ここでは,収
入が多す ぎれば利益 は消費者に還元 され,逆
は ま た逆 な りで,電
力会社 (株主)に
還元 され る。 もともとは,70年
代の化石燃 料高騰時期に燃料価格調整条項 として採用 されたアイデアを,DSMに
よる収 入減のケースに も適用 しようとい うものである。 ただ し,調
整は翌期 になされ ることか ら,損
失は常に先送 りとな り積極的 なDSMイ
ンセンティブにはな り得 ない (1つ E.Hirst,(1991)pp.28-29 (18)Chamberhn,J.&M.Reid,(1991)が 参考 となる。②
DSM報
酬率法 現行の料金制度が供給設備への公正 な報酬 を認め ると同 じように,DSM投
資について も公正報酬 を認め ようとい う方法である。一過性の操業費 としてDSM費
用 を扱 うことに比べれば,投
資の リター ンが保証 され る分 だけ,投資 家が保護 されたこ とになる。 しか し,
これ も投資 リス クの軽減にはつなが る が,そ
れほ ど大 きなDSM投
資 インセンティブにはな りえない。 ③DSMボ
ーナス法 これは,DSMの
実施による省電力の成功報酬 をボーナス という形で電力会 社 に与えようとい うものである。ワシン トン州ではDSM投
資の報酬率 を供給 サ イ ドのそれ よ りも2%高
く設定 し,ウ
ィスコンシン州 では125 MWの
削減 の毎に,DSM投
資に供給サ イ ドのそれ よ り1%高
い報酬率 を与 えている。NARUC(全
米公益事業委員協会)はこの方法の採用 を支持 している。前2者
に比較すれば,確
かにこの方法はインセンティブ とな りえる。 ④DSM利
益配分法 これは,DSMに
よって得 られた利益 を消費者 と電力会社 でシャア しようと い うものである。電力会社 は,省
電力か ら得 られ る利益の大 きさに応 じてい くらかのボーナスか報酬の増額 を得 ることが出来 る。例 えば,ウ
ィシヨンシ ン・パワー&ラ
イ ト社 は,DSMに
よって需要家が享受す る省電力量の10%に
あたる額 を,報
酬 として付加 された。 ⑤ そ の 他 上記4つ
以外 では, 1)効
率的な需要家には安 い電気代 を請求 しよう, 2)
需要家の支払い料金の減額に連れて報酬率 を引 き上げよう,3)DSMが
目的 を達成で きない場合 はペナルティー を支払 う,な
どが検討 されている。1),
2)と
もメイン州で, 3)は
マサチュー ッセ ッツ州 で議論 された。II。
米 国で議論 され る
DSMの
問題点
DSMは
既 に実施 されてい る制度 であ るが,この制度への批判や 問題 点が存 在 しないわけ では ない。 それ を,以
下 に整理 してお こ う。 議 論 され る主要 な論 点 は, 1)DSMの
制 度化 に関す る もの, 2)潜
在 的 な 省 エ ネ量 とされ る「省 エ ネ供 給 曲線」へ の批判, 3)具
体 的 なDSMプ
ログラ ム を作 る際の問題, 4)DSMを
実施 した際 の問題 な どに区分 され る。(1)DSM制
度化 に関する議論 ① 市場の歪み まず,DSMを
制度化 して良い ものなのか否か とい う疑間がある。その理由 は,こ
の システムは供給者 をして,需
要者の意志決定に深 く関わ らせ ること になるため,そ
れが市場 を不必要 に歪め る可能性がある,
とい うものだ。 例 えば,ジ
ョスコーは電力会社が省エネ機器 を使 う消費者に リベー トなど を支払 う理由は何 もないない とみている。 なぜ な ら,省
エネをしている需要 家は既に少ない料金の支払い とい う便益 を得 てお り,
リベー トは利益 の二重 取 りとなる。 スーパー・マーケ ッ トが食品を売 らないような「ネガフー ド」 キャンペー ンは しない し,石
油会社が「ネガガロン」 をす ることもない。規 制によって供給サ イ ドを需要サ イ ドに関わ らせ ようとい うのは,非
効率 を産 む元凶 としている。市場に歪 を作 らないために も,限
界費用価格の採用 こそ が重要である,
としている19)。 これに対 して,シケッティや ホーガンはDSMが
純粋 に経済行為に則 るもの であると判断 している。彼 らは「 ジョス コー流に言えば,肉
屋は肉を売 らな いためのキャンペー ンをしないが,肉
屋が魚 を売 って も構 わない」 としてい る20)。 彼 らは,DSM事
業 をす る会社 を電力会社 と別 にす ることで,供
給者 と 需要者のオーバー・ ラップがな くな り,さ
らにこの事業 を競争市場 とすれば いよいよ効率 は高 まる,
と考 える。 09 Josko、v,P.L.(1988)pp.5-7 10)Cicchetti,C.J.and IIogan,ヽ V.(1989)p.11② 負担の問題
DSMに
は,直接便益 を受け る人間 とその コス トを負担す る人間が異なると い う問題がある。 つ ま り,DSMは
省エネ機器 を購入するユーザーに資金補助 を与え,そのユー ザーは電力消費量の減少か ら支払い代金 も減額 され る。 この際,な
され る資 金補助 は非参加者 も含めた電気料金収入か ら支払われているため,DSMプ
ロ グラムに よる直接的 な受益者 とコス ト負担者は異なることになる21)。 さらにDSMを
進め ることで,電 力会社の販売量は減 り,必要経費分の収入 も賄 えな くなった場合 を考 えてみ よう。 この時は,料
金値上げ をして収入 を 確保す るしかない。DSMに
参加 しない人間は,直接何 も関わ らないのに料金 値上げに よる支払い料金の増加 とい う事態に直面す ることになる。それゆえ,DSMの
検定には「誰 も損 をしない原則 (No Loser Principle)」 が要請 され る。 これは,非
参加者が損 をしないための原則で もある。 ③ 電力会社 による所得再配分DSMの
省電力奨励金は,税金 を原資 として政府が行 う補助金 と同様 な性格 を持 っている。DSMで
は原資は税金 でな く電力料金か ら調達 し,そ れ を省エ ネの奨励 として補助金 を与 えている姿である。 これは,DSMを
通 じて所得の再配分 を民間の電力会社が行 っていることと 等 しい。 そ うした役 回 りを電力会社 に任せ ることは妥当であろうか, この点 は議論が残 る。(2)省
エネ供給曲線への批判DSMが
注 目され るのは,「省エネ供給曲線」によって示 され る膨大な潜在 的省電力量にある。 しか し,こ
の潜在量の推定において計測上の技術的な問 題が指摘 され,
また市場は価格 だけでは決定 されない とい う批判がある。A.ロ
ビンスは「省エネ費用 と電力の供給費用 を比較すれば,現
在供給 さ れている電力量の80%が
平均費用で,ま た90%が
限界費用で,省
エネに太刀 11) Khan,E"(1988)pp.233-236打 ちで きない」としている22)。 しか し
,こ
の推計は環境への外部不経済な ど 不確実な費用 を盛 り込んでいるため極端 な過剰推計ではないか,
とされ る。 また,環
境費用は計上 されていな くて も,費
用計算上の前提 となる資本投 資回収年数や初期投資額などの値 に関 して も問題がある。例 えば,家
庭用冷 蔵庫の資本回収年数 を30年とす るのは,消
費者意識 として妥当であろうか。 さらに,市
場はエネルギー効率 だけでは決 まらない とい う認識がある。つ ま り,消
費者の器具選択は効率 だけでな く,利
便性や快適性 などに も依存す るか ら,実
際の省エネ可能量はそれほ ど大 きくない,
とい う意見である。(3)制
度構築上の問題DSM制
度 を構築す る途上 では,具体的に次の ような問題 を解決 してゆ く必 要がある。 第一には,
リベー トや割引金利の水準 をいかにす るか,
といった問題 であ る。 第二には,規制 当局が電力会社 にDSMを
遂行 させ るためにどんなインセン ティブ制度 を採用す るのが妥当か,で
ある。 これは前述 したように,規
制 当 局,電
力会社,
コンサルタン ト会社 など多 くの関係者の中で,
日下最 も熱い 議論が繰 り広げ られている分野である。 第二 には,DSM参
加者への差別問題がある。DSMに
は特定消費者に対 し てデモグラフィックな差別的性格 を有 しているとい う指摘がある。 つ まり,低
所得者や賃貸住宅に住む消費者は,
このプ ログラムか ら得 られ る利益か ら不当に差別 されて しまうことがある。 とい うのは,低
所得者は低 金利プ ログラムを利用 しようとして も返済能力が問題視 され,利用で きない。 また,壁
や天丼に断熱材 を補強す る費用に対 して電力会社が低金利 で融資 し て くれ るとして も,借
家人は 自らの資産 でない家屋に投資 をしなぃ23)。 第四の制度構築上の問題は,DSMプ
ログラムに参加 した消費者の電気料金 支払い額 を幾 らにすべ きか,
とい う問題 である。現行制度 では,物
理的な消 │力 LOvins,A.(1985)p.19 20 Khan,E"(ibid.)p.239費量
(kWh)の
減 少 を反映 した料金 が適 用 され て い る。 しか し,先
述 の利益 の二重取 りとい う問題 とも絡 んで,「DSM採
用 以 前の 料 金 を適 用すべ きだ」 とい う考 え方が あ る24)。 っ ま り,電
力 を消 費 して得 ら れ る照 明,暖
房,とい ったエ ネル ギー・サー ビスの効 用 はDSM採
用以 前 と変 化 して い ないの であ るか ら,料
金支 払 い額 は このエ ネル ギー・ サー ビス効 用 水 準 に依 存すべ きだ,
とい うものであ る。 この論 は現実的 な計測上 の問題 が 存在 して い るの は,言
うまで もない。(4)DSM実
施上の問題 い ざDSMの
プ ログラムが出来上 り,実施 される段階では次のような問題が ある。 まず,①DSMの
投資が,実 際上 いか されているか とい う効果の計測が確か でない。例 えば,効
率の良い電球 に対 して リベー トを支払 うのはそれが購入 された段階であ り,使
用時期 とは異なるし,実
際に使用 され るか否かは別間 題 である。 この効果計測が実際上は不可能 であるとい う問題 は,DSMが
抱える問題点 の中で もかな り重大 な問題 となっている。 また,②
「フ リー ライダー」問題 も数 多 く指摘 され る25)。 例 えばエア コン のサ イク リング運転の契約の事例 で見てみ よう。サ イク リング契約の参加者 には月額 10ド ル程度の料金割引が成 され るとしよう。契約締結者は料金割引 と引 き換 えに,
ピー ク時間帯にエア コンのオン・ オフす る権利 を電力会社 に 引 き渡す ことになる。 ここに,Aと
い う夫婦共働 きの家庭があった とし,彼
らは ピー ク時間帯に はオフィスで働 いているため家庭 に在宅す るものは誰 もない。に も関わ らず, この家庭 はサ イク リング運転の契約 を結び,月額 10ド ルの割引を受け ること は可能 である。 14)Cicchetti,C.J.and IIOgan,ヽ V.(1989)p.12 25)フ リー ライダーが どれだけ参加 しているか といった実態 とその分析がPG&E社
の事 例 でなされてい る。Harlan,K.M.&Scheer,R.M(1985)電 力会社側 は,こ う した フ リー ライダーの排 除が
DSMプ
ログラム成否の鍵 を握 って い るこ とを十分教 訓 として得 て い る。 しか し,実
際上 は この排 除 は 困難 であ る。 また,③
利益配分 に関す る苦情の問題 もある。DSM会
社が成立 し,利
益 を 得 ていることを知 った消費者が,本
来その利益 は全額消費者に還元 され るべ きだ と主張 した,
とい う事例 も現実にある26)。 さらに,④DSMを
競争入札によ り採用 した場合 には,供 給力 と同様 にプ ロ ジェク トが入札の際の計画書通 りに実施 されるか といった信頼性が問われる。 III。 日本 に お け るDSMの
現1状(1)DSMの
メ ニ ュ ー ① 概要 これ まで見て きたように,米国の
DSMは
省電カプログラムに重点がおかれ ている。では,日本の状況は どうか とい うのが,これか ら述べ ることである。 結論か らいえば,
日本 では料金制度 を中心 としたロー ドマ。ネー ジメン ト(負 荷管理)が
主流であ り,
りベー トや割引券 といった金融上の動機付け (奨励 金)を
伴 った省電カプ ログラムは採用 されていない。 省エネルギーのための優遇制度は,日本の場合,省
エネルギー法 (1979年) に基づ いて政府主導でなされている。そこか ら,省
エネルギーのための投資 には法人税の一部控除や加速度償却,日本開発銀行等の低利融資がなされ る。 こうしたこ とか ら,日本の電力会社が 自ら行 っているDSMは
料金制度 を用 いた従来型の ロー ドマネー ジメン トでしかない。そのため,こ
こでレビュウ す る日本の現在のDSMは
料金制度 を中心 とした ものにならざるを得 ない。た だ し,
日本の電力会社がなぜ,省
電カプ ログラム導入に消極的であるのか と いった理由は後述す る。② 日本の
DSMメ
ニュー 日本のDSMの
メニューはおお よそ負荷管理 を中心 としたものであ り,その 中を以下のように大別 で きる。 それ らは1)料
金制度の活用, 2)蓄
熱事業 である。1)は
従来 よ り導入 されて きてお り, 2)は
最近登場 して きた。 負荷管理の中に分類 され る3)サ
イクリング運転による直接制御は,米
国 ではなされているが,
日本では導入に至 っていなぃ27)。 また,電
力会社が主 体 となる4)省
電力のための金融上の動機付け (奨励金制度)も
行 なわれて いない。(2)料
金 制度 に よ るDSM
① 需給 調整 契約 日本 におけ る負荷平準化 対策 は,料
金制 度 を通 じて間接 的 に負荷 を制御 す る手法 が主流 であ り,そ
の歴 史 も古 い。 なか で も,大
日の産業用 需要 家 を対 象 とした需給調整 契約制 度 が大 きな柱 とな って きた (図4参
照)。 かつ て「特約」と呼 ばれ た この制度 は1960年代初 頭 に導 入 され たが,そ
れ 以前 に も類似 の制 度 が存在 して い た。 当時 は高度成 長期 を迎 え,昼
夜 間の負 荷 格 差 が拡 大傾 向 を示 し始 め た ころであ る。 その対 策 として時 間帯別 に従 量 料 金 の格 差 を も うけ た 1)時 間帯別 調 整 契約 (年間調 整 契約)が
採 用 され,こ
れが需給調整 契約制 度の主体 となってい る。 1960年代 後半 以 降現在 にか け て,様
々 な需給調整契約 が導入 されて きた。 この背景 には冷房 需要 の増加 か ら夏 ピー クが先鋭化 し,そ
れ に伴 い昼 夜間格 差 は一 層拡大す る方 向 とな った こ と。 同時 に,需
要 増加 テ ンポに供 給 力が追 いつ てゆかず,夏
季 を中心 に電 力需給 は逼迫す る状況が生 じて きたこ とが あ る。 これに対処 す るため に, 2)計
画調 整 契約, 3)随
時調整 契約, 4)(業
務 用)蓄
熱調整 契約 が順 次取 り入 れ られ て きた。2)計
画調整 契約 は,(i)工場 の操 業 日を計画 的 に平 日か ら休 日に振 り替 え 2つ 日本 でのエア コンのサ イ クリング運転の実証試験 は,NEDOが
九州電力に委託 して実 施 中であ り,その効果が確認 されてい る。九州電力 (1991)図
4
負荷管理の ための料金制度 メニ ュー 料金制度 の メニ ュー (目的) ピー クカ ッ ト (契約名) 負荷移行Ω
__壁固國坐
②
_堅
丘壁団坐
Ω
_通
萱団坐
0型
塑週ユ
壁塞艶
時 間帯別調整 負荷 曲線別 調整 ② 季節別料金制度 ③_生
旦振査望也 Ω_二
定週整 Ω_定
壁団整 ⑥ 蓄熱調整 ⑦ 畜熱事業 谷埋 め ③ 季節別時間帯別料金制度 ⑩ 時間帯別電灯 ① 深夜電力料金制度 (注)ア
と三二2∠ とは需給調整契約 る,あ
るいは( )生産 ラ インの定検 定修 時期 を夏季 に設定 す る,こ
とに よ り負 荷 の調整 が計画的 に可能 な事 業所 を対象 としてい る。3)随
時調整 契約 は,需
給逼迫 時 に電力会社 か らの通告 で負荷 を調整 で き る事 業所 との契約 であ る。4)蓄
熱調 整 契約 は,蓄
熱 システム を利用 して,
ビル等 の冷房 負荷 を昼 間 か ら夜 間に シフ トす る ものであ る。 いずれの契約 も負荷 を平準化 させ るこ とか ら料金 の割 引が なされて い る。 ② 逓増型料金制度 と時間帯別料金 需給調整契約以外にも省電力や負荷の平準化 を目的 とした料金制度 メニュー が存在す る。逓増型の料金制度 もその好例 である。 使用量料金が段階的に高 くなる家庭用の3段
階逓増料金制度は,第
1次
石油危機 直後 に高福祉・省 エネル ギー の要請 を受 けて導入 され た。その後,1987 年 の電気事 業審議会 ・料 金制度部会 の報告 では
,供
給 原価 の逓 増傾 向緩和 か ら3段
階 の格 差縮小 を提 言 して い る。これ は1989年の料金改定 の際に反映 さ れ て い るが,省
電 力や 負荷 平準 といった基本 的 な視 点 は現在 で も存続 してい る。 また,1980年
には業務 用 の小 口 。大 日の需要 家 を対象 に して,夏
季 にお け る割 高季節別料 金が導入 され た。そ して,1988年
には大 口需要家 を対象 とし た季節別 時間帯別料金 が導入 されてい る。 同年 には,電
気温水器 な ど蓄熱 型 の機器 を所有 して い る家庭 を対象 に時間帯別料金制度 が導入 され た。 この契 約 は,1992年
6月か ら電気温水器 を保有 しない一般 家庭 を も対象 に して,従
来 型 の料 金制 との選択制 を採用す るに至 ってい る28)。 ③ 需 給調整 契約の効果 以上 の よ うな料金制度の採 用 に よって どれほ どの負荷 平準効 果 が存在 した のか。 この効 果 の計測 は難 しいが,次
の よ うな試算 があ る。 それは,通
産 省 内に設 置 され た料金制度研 究会 の報告 であ る29)。 それ に よれば,負 荷平準化 を狙 い とした料金制 度 の効 果 は,1990年度 で 500 万kW程
度 (10電力)に上 る もの とされ てい る。 この値 は同年 の夏季最大電 力 の3%強
に相 当す る水 準 であ る。各契約別 の効 果 は, 1)年
間調整 契約 が 約300万kW, 2)計
画調 整 契約 が約200万kW, 4)業
務 用蓄 熱 調整 契約 で 約14万kWと
され て い る (表3参
照)30)。 ア)季
節別 時 間帯別料 金制 度,イ
)業
務 用 夜 間率 調整契約制度,ウ
)時
間 帯別 電灯料 金制 度 につ いて は現段 階 では評価 は 困難 として い る。 また,深
夜 電 力料 金制度 に よる年 負荷率 の改善効 果 は約1%程
度 と試算 され て い る。 28)『電気新聞』1992年4月 22日19
料金制度研究会 (1991) ⑩ 料金制度研究会 (1991)27頁表
3
料金制度 の効果 (1990年度ベー ス) 契 約 種 契約件数 (件) 契約 電力 (万kW) 効果 (万kW) 需 給 調 節 契 約 年 間 調 整 契 約 計 画 調 整 契 約 3,911 581 3,330 2,014 1,798 216 500 300 200 季 節 別 時 間 帯 別 料 金 制 度 2,960 1,069 業 務 用 蓄 熱 調 整 契 約 1,739 153 14 業 務 用 夜 間 率 調 整 契 約 808 143 深 夜 電 力 料 金 制 度 264 1.0581%
時 間 帯 別 電 灯 料 金 制 度 8,546 (資料)通
産省,料
金制度研 究会 (1991) ④ 今後の料金制度の展望 以上のように各種料金 メニューが整備 され,効
果 をあげて きた ものの,依
然 として夏季の冷房需要は増大 し,
ピー クは先鋭化傾 向にある。 そ して,電
力需給は中長期的に もタイ トな状況で推移す る可能性が高い。加 えて,環
境 保全の観点か ら省エネが強 く要請 されているこ とか ら,
ピー クを押 し上げて いる民生部門の需要対策 を中心に,
もう一段の負荷平準化対策の多様化が望 まれ よう。 家庭用対策 としては,1992年
度に暫定的な形なが ら季節別時間帯別の料金 制度が導入された。しか し,当該制度におけ るピー ク時間帯の価格水準では, 大 きな需要抑制効果は期待 で きない。 また,時
間帯別の料金制度 を活用す る ためには,夜
間運転可能な家電製品の商品化 と普及促進が重要 となる。 一方,業
務用需要は夏季昼間需要の約半分が空調需要 といわれ る。空調需 要の性格か らして,こ
の需要 を料金格差によって抑制す るにはよほ ど大幅な 価格上昇 をなさない限 り難 しい。従 って負荷平準化 のためには,蓄
熱 システ ムによる対応が不可欠である。 産業用需要対策 としては,従
来の休 日振替契約制度に加 え,夏
休みの長期 化・分散化 を一層評価す るよう上記の研究会 は求めている。 この提言を受け肺 匿 泰 頓 国 ′ 騨 瞑 縮 運 判 罹 R 腰 ′ 側 朧 靭 椰 瞑 鱈 ′ 郎 牽 S 禦 篠 ら ヽ 理 ¨ 菜 準 。 ● く , や 0 本 ‘ 熱 ⊃ ポ ー ´゛ 嶽 D 製 ︶ 挙 区 S く 目 鋼 目 ﹁ 一 R 鯉 累 駅 ・ 経 〓 累 駆 憚 パ K 瞑 0 ﹁ 一 や S や ´ 押 ぷ 口 H 瞑 卜 叶 ︻ 8 ■ 一 彙 ぶ 翔 駆 禦 性 ぐ C 榊 拠 堅 昨 継 副 燎 椰 巨 輝 S や 鱒 κ 鴫 瞑 鰊 ︵ N 川 ︶ ﹁ 毬 莉 坐 掏 螂 製 S 嬌 ︱ 陣 緊 e 悩 軍 φ 薫 S e ■ e 一 や 絆 庁 揮 〓 一 誦 ︵ ヾ 潤 ︶ ︵ ∞ 畑 ︶ ︵ ﹁ 肥 ︶ ︵ 卜 〓 蹂 8 ︶ ミ ロ 菜 郎 n H O 〓 卜 8 0 Φ H い ∞ い N O N O ∞ 択 鰊 悧 稲 択 鱈 期 需 い 一 い 曽 〇 ∞ H ︵ 華 〇 ︻ ︶ 榮 せ 爆 郎 ∞ 卜 O ∞ ∞ 8 ∞ 口 楡 い Φ ゛ ヽ ト ヾ ∞ H 〓 O O N ∞ 0 ∞ ︻ 8 一 ゛ ︼ N ∞ ∞ ∞ ト 一 Ю ∞ Ю 計 陣 藤 C l 轟 楓 羅 役 い ● 3 m 掏 く 埋 C 欄 準 恒 椰 嘲 ′D 製 認 掏 ぐ 薫 ‘ 拿 ” 一肛 輝 ﹀ 担 ﹁ 一露 嘲 燃 軍 製 D ● 一3 m 掏 く 螺 C 欄 準 肛 俸 嘲 ´‘ L 掏 一” 扁 期 薫 つ 女 せ 嘲 べ P S 肛 樫 ゛ ぺ 製 掏 絆 証 欅 S 製 ︱ 樫 一晏 や つ 翠 m 掏 ざ 絆 肝 C 樽 嶽 S 肛 還 件 ・ 証 椰 嘲 ︶ D 鸞 掏 護 ← ´一 製 経 掏 ぐ 蒸 ”喜 喩絆 題 歯 ・戻 撮 炸 眠 口 掏 期 黛 S ● 柾 E ぶ 蟹 製 中 ゆ さ 区 掏 欄 弊 軍 E S E 最 締 ´摯 ︶ D 女 けヽ 嘲 択 鱈 ゛ 〓 ” 雲 さ り一鮮 回 撻 一工 ゛ 卜 眠 錮 掏 O 李 C u 位 製 D さ Ⅸ 掏 恒 筆 味 ﹁ C 眠 駆 味 螢 ︶ つ 〓 o一郎 離 C 鯖 習 ・ 案 ぎ Ⅸ 掏 恒 壼 味 = C 眠 肛 味 壼 ︶ ⊃ 女 り一 嘲 眠 撃 ´D 理 Ш 掏 黒 掘 C く H 卸 杓 翠 堅 ︶ К 糞 C 襦 ´ H軍 底 一違 翠 掏 コ ︶糾 詳 揮 肛 ′ D R 鯖 掏 靭 薫 ‘ ぶ つ 女 け 一郎 腔 製 ヾ ゆ 製 螢 , R 肛 嘗 ′ り 一t 〓 椰 ‘ ヽ へ C 陣 絆 暖 靭 欄 眠 終 靭 燃 一モ 製 D 蒙 m 掏 に 総 E 欅 S 揮 嶽 肛 嘲 い ¨ ” 馬 ” → に 掏 蝉 躙 係 雄 椰 C 計 仁 駆 鴎 瞥 ぐ ︵整 製 櫂 口 ゛ “ り 一︱ ヽ ͡一 ︶ つ 杓 豪 氏 ︶ 最 羅 里 世 整 ・ 測 羅 0 ﹁ け 一 ︵握 囮 世 ∞ 晟 氏 ︶ 燕 錮 S 口 知 ・ 測 願 い “ り 一却 塑 C m 掘 ・ 燃 一豪 0 ■ 測 羅 掏 揮 α 莉 い 瀾 け 一締 枷 燿 ´ 里 歯 呵 嶼 糞 朧 R 鱈 ・ 歯 軽 椰 環 咲 一轟 量 痙 歯 艘 ︱ 掏 肝 陣 絆 羅 劇 り 一t 肛 世 期 駅 ベ ー っ ´ ︶ つ い 製 つ ゛ 午 掏 で き 嘲 ・ 翻 鰹 掏 に 嶽 ′ い 習 Ⅸ 里 3 回 維 里 炸 回 掏 ヽ ■ 毯 繹 ・ 樹 継 巽 R e 輝 経 製 = ・ ゛ 図 ゛ 尋 事 C 揮 エ ロ 諄 ′ ぺ 蜘 o 顆 掏 靭 米 u m 揮 工 騨 C ヽ ■ く こ 鵡 ・ 口 ‘ ´ つ 靭 ぶ 里 ロ ト ・ 駆 雇 ゛ ■ 翻 羅 掏 揮 颯 2 3 日 在 里 歯 口 製 D 蝶 ぶ く 市 S 世 ヽ ︱ ﹁ 件 風 習 駅 掏 翻 羅 鯉 離 ‘ 晏 尋 C 約 つ 製 撻 ′ く 市 掏 雄 目 揮 嶽 C 國 購 ´ ヤ ゆ 曜 ぷ 掏 旧 植 = ・ 型 撃 掏 L 総 揮 肛 S ζ 廻 椰 杓 尋 雇 ヽ ︱ ” ´ C 製 掏 ぐ 真 も ヽ 釈 腰 累 黙 ] 一 ﹁ ¨ 無 囮 歯 ﹁ い 最 滞 ・ 駆 一 工 釈 D 掏 3 m 掏 脚 ” ゛ ■ t 総 ζ 歴 椰 ゛ 晏 囮 噸 掏 恒 嶽 択 櫂 ︶ つ 咽 掏 肛 # ヽ 凶 眠 錮 ロ ポ 雇 % 報 ◎ ◎ ○ ○ 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 口 ′ マ ○ ○ ◎ ◎ t O ′ 熙 □ 眠 機 器 コ 檬 陣 鰤 喘 ͡ lΨ ○ ○ ◎ ◎ 輸 ͡ IV 崚 孵 一 畑 壼 ◎ ○ ︵ ゛ 川 ︶ ○ ◎ 楓 一墨 圏 一墨 ミ 厭 期 円 針 肛 樫 暖 終 靭 楓 一墓 0 業 崚 製 ﹁い 準 肛 也 燃 羅 ● 葉 ﹁¨ 撻 肛 世 ﹁い 撮 鮮 堅 羅 ゛ 蕪 R 圏 欅 継 累 ポ 期 羅 穫 抑 長 駆 鞠 羅 歯 瞥 爆 駅 潮 幅 曹 硬 熙 累 尽 翻 羅 珈 霜 奪 駆 翻 経 士 埋 ミ 駅 翻 縦 歯 製 彙 ポ 翻 駆 製 市 ミ ポ 枷 県 m K 爆 黙 期 朧 国 虚 ミ 尽 響 羅 ﹁ ¨ 軽 遍 恒 肛 颯 黙 翻 羅 ョ ¨ 権 E 曹 彙 熙 翻 駆 E ■ 楓 一 墨 ミ 球 翻 羅 毅 離 褪 一墨 ゛ 真 ﹁” 撮 締 ︵ ︻ 潤 ︶ 褪 一 轟 鮨 棄 ﹁ ﹃ 華 楓 履 ぐ 蒸 聖 軽 ∞ 楓 F O 薫 響 興
電 力 会 社 で は 長 期 化 ・ 分 散 化 した夏季 の休 日に対 して は
,従
来 よ り も割 引額 を 10∼20%ア
ップ す る方 策 を打 ち 出 して い る。(3)DSMと
しての蓄熱事業 ① 蓄熱事業の概要 電カ ピー クを大 き く増加 させ ている業務用の冷房需要対策 として,電
力会 社 は1)業
務用蓄熱調整契約 とい う価格 インセンティブ, 2)蓄
熱式 ヒー ト ポンプエア コンの導入勧奨 といった コンサルティング活動がある。 これ らは いずれ も,昼
間冷房負荷の夜間移行 を図った ものである。 これによ リー定の 効果は得 られて きた ものの,蓄
熱 システムの設置に伴 うコス ト増や夜間蓄熱 運転の監視制御員の確保 などがネ ックとな り,そ
の普及はあまり進んでいな い。 冷房 負荷 の省 エネ化 及 び夜 間移行 をさらに積極 的 に進め るため に, 2つ
の 動 きが 出てい る。1つは都 市排 熱 を利用 した地域熱供 給事 業へ の参入 であ り , い ま1つは電力会社 が蓄熱層 を設置 し,遠
隔監視制御 を行 う蓄熱事 業 の開始 が それ であ る。 ② 地域熱供給 地域熱供給 は,都
市排 熱 と蓄熱式 ヒー トポンプの利用 に よ り,街
自体 の熱 需要 を省 エネ化 し電力負荷 の平準化 を目指 した もので,広
義 の需要対策 と言 え る。東京電力 では1980年代 の半 ばか ら同事業 に関与 してい るが,近
年 の都 市再 開発 の動 き とも相 まって,対
象地域 は拡 大傾 向にあ る。 ただ し同 システムの導入は,一
定規模 以上 の需要 の存在や,都
市再 開発 が 条件 に な る場合 が 多い。 それゆ え,今
後 も全 国的 に高 い伸 びが見込 まれ る業 務 部 門の熱 需要対策 としては,一
定 の制約 が あ る と考 え られ る。 ③ 蓄熱事業契約 一方,電
力会社 による蓄熱層の設置事業は,需
要家負担の軽減 を通 じて蓄 熱 システムの普及 を目指 してお り,東
京電力が1991年秋か ら開始 した。この『米国と日本の
DSM比
較』 事 業 は,同
社 と加 入 を希 望 す る需要 家 とが 『蓄 熱事 業契約 』 を締 結 し,需
要 家建 物 の一部 を借 用 して同社 の費用 で蓄 熱 層 な どの設備 を設 置す る。さ らに, 同社 関連施 設 か らの遠 隔監視 制御 システムに よ り,蓄
熱運転 を行 お うとす る もの で あ る。 設備 費や運転経 費は需要家か ら受託料 として同社 に支払 われ る。 この受託 料 の水 準 は,業
務 用蓄熱調 整 契約 の加 入 に よ り,軽
減 が見込 まれ る電気料 金 の範 囲 内に とどめ るこ とを原則 に してい る。同社 では今 後10年で100万kW
の契約 を見込 ん でい る。 地域熱供 給が面 としての熱需要対策 であ る とす れば,蓄
熱事 業 は点 として の熱需要対策 であ る。蓄熱事 業 は開始 され たばか りであ り,短
期 的 な効 果 は 期待 し難 く,現
時点 では その 問題 点や 課題 な ど不 明 な点 も多い。 しか し,個
別 需要 家 におけ る蓄熱層の 自主的 な設置や地域熱供 給 に一定 の限界が あ るた め,同
事 業 は 中長期 的 な負荷 平 準化 対 策 の1つと しての施 策 には違 いない。(4)省
電 力の奨励金 制度 前述 した よ うに,高 効率機 器 の購 入等 に際 して,リベ ー トや割 引融資 とい っ た金融上 の動機づ け (省電 力の奨励 金)は
,
日本 の電力会社 では採用 されて いない。 これ まで,省
エ ネ機 器 の普及促進 は政府 とメー カー の主導 でな され て きた。 この制度が持 つ一般 的 な問題 点 につ いては米 国の章 で述べ た。 その他 に, 日本 にお いて この制度導入に積極 的 でない理 由 として,以
下 が指摘 で きる。 それ らは, 1)潜
在 的省 エ ネ量 が小 さい と見込 まれ るこ と, 2)電
力会社 が パ イの縮小 に懸念 を してい るこ と, 3)制
度・慣 習上 の障 害 が あ るこ と, 4)
電 力投 資のマ クロ効 果が懸念 され るこ と, 5)既
存制 度 の活用論 な どであ る。 ① 潜在的な省エネ量 効率機器導入に奨励金 を出 して も,大
きな省電力効果は期待 で きない とい う判断がある。つ まり,コ ス トの割 には省エネ量が小 さい とい う意見である。 米国に比べ て 日本では,家
電製品の買い換 え期 間が短 く,
しか も製品は高い効率値 を示 している。日本において,家電機器の効率に関する判断値は1979 年 に通産省省令 として発効 されて以来
,わ
ずか数年で新製品はそれをク リア した。企業間での開発競争は激 しく,
日本の家電機器の省エネ技術 は世 界で も最高水準にある。米国で優良省エネ機器 として奨励 され る製品には,既
に 日本の市場で導入されているものが 多い。 また,照
明器具 の買い換 えも,米
国では大 きな省エネポテンシャル として 評価 されている。 その場合,
自熱球か らエネルギー効率 の良い蛍光灯の使用 を奨励す る。 一方,
日本では既に蛍光灯の利用が一般的である。 これに加 え,最
近 では 便利 さや見やす さといった観点か ら,更
に効率的なインバー ター タイプや3 波長 ランプを使 う家庭が増加 している。 この ような状況か ら,機
器交換によ る潜在的省エネ量は,米国ほ ど大 きくない,と いうのが一般的な判断である31)。 ただ し,こ
れ を詳細に検討 した調査や研究がなされているわけではない。 米国 と日本のエネルギー消費構造 を比較すれば,確
かにこうした判断 もなさ れ よう。 しか し,実
際に 日本の省電カ ポテンシャルが小 さいのか,省
エネ型 の新技術 を開発す る余地はないのか,
といった点は詳細に検討す る必要があ ろう。 ② パイ縮小 を懸念する電力会社 電力会社は,
自らの販売量ひいては販売収入 を減少 させ るようなプ ログラ ムにさして興味 を覚 えていない。 これが,省
電カプ ログラムが実施 されない 第二の,そ
してかな り大 きな理由であろう。 つ い数年前,1980年
代央の円高不況の時期に,「エネルギー間競合」が騒が れた。 それはエネルギー需要全体が低成長で,エ
ネルギー産業間でそのパ イ を取 り合 うことである。電力各社 は新 たに営業開発部 を設置 して,パ
イ獲得 競争に躍起 になっていた。 省エネ・プログラムはそれ を否定 して,180度
の方向転換 を狙 うことに等 し い。しか も,日本の電力会社 は どれ も大企業で,そ
うそ う小回 りは きかない。 01)例えば,藤原 (1992)7月 31日『米国 と日本の
DSM比
較』 そ うでな くて も,
自らのパ イを縮小 させ るような行為 は従業員のモラール維 持 とい う観点か ら困難性 を伴 う。 これは,
日本の企業が収益以上にマー ケ ッ ト・ シェアに関心があるとい う事情 も関係 しているか もしれない。 それゆえ,
日本の電力会社 は負荷の移行や谷埋め といった負荷管理 には興 味 を示す ものの,販売量の減少 をもたらすDSMプ
ログラムには消極的である。 しか し,DSMに
よる販売量の減少=収
入の減少 という懸念は米国の電力会社 がDSM導
入当初感 じていた もの と同 じである。 に も関わ らず,米 国の電力会社がDSMの
導入に踏み切 った背景 を,詳 細に 検討 して行 くことが肝要 であろ う。確かに米国では規制 当局の後押 しがあっ た。 しか し,電
力会社 自身が ビジネスチャンスの拡大や消費者 との対話それ に伴 うニー ズの組み上げ,といったDSMの
側面 を積極的に評価 していること も忘れてはな らない。 ③ 制度・ 慣習上の障害 第一に制度上の障害は,現
在の供給原価主義の料金制度の もとで,DSM向
けの支出をどう計上す るか,と い う問題が存在す る。DSMと
して投資された 資産 は電力会社が物理的に保有す る資産 ではない し,直
接 に「電力供給す る ための資産」で もない。 それゆえ,こ
れを現制度の上で,税
務上,会
計上 ど の ような整合的な扱いをす るかは重大 な問題 である。 また,第
二の制度上の障害は クー ポンや リベー トといった商習慣である。 日本において,消
費者 と直接 それ をなすことはこれ まで他の財 で も例が少な い。 それゆえ,電
力会社が リベー トや クー ポン発行 の主体 とな り,消
費者 と や りとりす る米国の制度導入には抵抗がある。 しか し,こ
の問題は単に商習慣の違 いだけであれば,大
きな障害 とは考 え られない。りベー トや クー ポンの支払先,そ
の流通経路 を日本で馴染む方式 を採用すれば良いことである。消費者に直接 リベー トを出すのが難 しければ, りベー ト支払 い先 を製品開発企業 とすれば よい。 そ うすれば,効
率機器の製 品開発 に対す る補助金 とい う意味がでて くる。 あるいは,
リベー ト先 を製品開発 メー カーではな く,販
売店にす る方法 もあるだろう。販売店はその分 を割引いて販売価格 を設定する
,
という方式で ある。いずれにせ よ,
りベー トや クーポンは①既存の高効率機器を導入促進 する機能,②
一段 と高効率の機器開発を促進する機能,
を持たせ ることが可 能であろう。そのための制度や商習慣上の障害は,さ
して大 きなもの とは考 える必要はなぃ32)。 ④ 電 力投資の マ ク ロ効果 電 力会社 の設備投 資は,年
間 で約4兆
円 ほ どあ る。 この投 資は,景
気 後退 時期 には政府 の公 共投資 と同様 な扱 いが な され,政
府 か ら投 資の前倒 しや増 額 が要求 され るこ とが度 々あ る。これ に関 わ る関連産業 も膨大 で,彼 らに とっ て電力会社 の投 資は安全確実 な収益 源 となって い る。 しか し,省 電力のためにDSM投
資が なされ る とな ると事 態は変 わって来 る。 まず,電
力会社 の投 資額 の絶対水準 が低 下す る。 それに伴 って,こ
うした関 連産 業へ の波及 も小 さ くな る。 さらに省電力投 資 と供給 力へ の投 資では,当
然 なが ら投 資が持 つ波及分 野 も異 な る。 省 エ ネル ギーや省電 力は個 別企業 としては極 め て合理 的 な判断の基 にな さ れ る経済行為 であ るが,マ
クロ経 済全体 とすれば,そ
れがマ クロ経 済 を縮小 させ る行為 となる可能性 は否め ない。 ⑤ 既存制度の活用論 さらに,電
力会社が実施主体 となる省エネルギー・プ ログラム を導入 しな くて も,す
でに政府が実施 している省エネルギー政策 を活用すればよい,
と い う考 え方 もある33)。 実際,通
産省では省エネルギー政策の一環 として高効 率機器等の導入促進のために,金
融上の各種助成措置 を講 じている。 税制 では,産
業・業務用分野 を対象に,省
エネルギーや電力負荷平準化に 資す る設備取得に対 して一部税額控除ない し特別償却 を認め る制度が存在す (32)料 金制度研究会 (1991)でも, 日本の商習慣 に適合 した リベー トの流通に関す る検討 が なされた。 (33)藤 原 (1992)『米国と日本の