「数学する」生徒の育成をめざす授業の提案
著者 安居 幸恵, 黒木 哲徳
雑誌名 福井大学教育実践研究
巻 32
ページ 139‑147
発行年 2008‑01‑31
URL http://hdl.handle.net/10098/1656
1.はじめに
第一の著者が,中学校に移動になってはじめて数学を 担当した学級は,1年2クラス,2年2クラスであった。
特に,2年生は印象深く,1時間にこなさなければなら ない内容量,3年間の系統性,中学生という発達段階に ある生徒を把握しきれずにいたが,その頃の生徒の様子 は次のようなものであった。
・既習問題や類似問題はやってみようとする
・数学は「難しい」「役に立たない」ことが多いと 思っている
・すぐに答えにたどり着く方法を知りたがる
・答えにたどり着く方法だけ教えてくれればよいと 思っている
・書くことをいやがる(計算過程や論証問題)
・じっくり考えることが苦手である
・知的好奇心が薄い
生徒は,決して不真面目なのではない。板書をしっか りノートに取り,無駄口なく授業時間を過ごしていた。
ところが,数学に対しては上記の状況であり,消極的で あった。
生徒の数学の様子に不安を感じながらも,教科内容と テストをこなしていくことに一生懸命になり,もっぱら 生徒が望む問題解法を 紹介していく人 という役割を こなしていた。そのことで,クラスの成績も何とか格好 はつくのである。しかし,上述した生徒の状況はいつも 頭の中にあり,次のような不安は常にあった。
このままの授業をしていていいのか
では,何を変えればよいのか。どのような方向付けが 必要なのか。
実際の授業後,あるいは,テスト後,生徒の様子に不 満が残ることを挙げると次のようになる。
・やったことのある問題はできているけど,ちょっ と形が違うともうわからないのはなぜだろう
・わかりやすい順序で教えたはずなのに,なぜ,で きてないのだろう
・同じようなパターンの問題は今までたくさんやっ たはずなのに,わかってない
・生徒自身はわかっているかわかってないかもわか らないようだ
・ちょっとみたことのないタイプの問題だと,手を つけないのは何でだろう
・自分で考えることをしない
とりあえず,目の前の授業に追われながらも,生徒に とっても教師にとっても何か満足できないものが残るの である。そこで,このような現状を変えるにはどうした らいいのか,もう一度「わかる」や「考える」とはどう いうことなのかを省察し,どのような授業をやればいい のかを考えてみたい。
2.先行研究からの知見
2−1「理解」をどうとらえるか
「わかる」というのはとてもよく使われる言葉である。
広辞苑によると,「わかる:①きっぱりと離れる。別々 になる。②事の筋道がはっきりする。了解される。合点
「数学する」生徒の育成をめざす授業の提案
福井大学大学院教科教育専攻数学教育専修 2年 安 居 幸 恵 福井大学教育地域科学部 黒 木 哲 徳
原 著
日々生徒に向かい授業をするとき,その授業が「わかる授業」であることを心がけてきた。
「わかった」と納得できた生徒はとてもいい顔をする。わかるとおもしろくなり,どんどん取り組 もうとする。だが実際は,そのような活発な活動が見られる生徒からは遠い状況である。その原因 は,生徒が思う「わかる」とわたしが思う「わかる」は本質的に違っているからである。生徒側の
「わかる」に近づこうとした結果,生徒は答えを導く方法を教わることを待つ「指示待ち人間」に なっていた。
数学の楽しさは,「自分で答えを見つけること」「人とは違う解法を見つけること」「より簡単に答え たどり着く方法を見つけること」など,「考える」ことにあり,その先に「わかった!」という満足 感があるのだと考える。
では,「わかる」や「考える」はどういうことなのか。数学の学習に向かう態度・意識の変容をめざし,
幾何学授業の提案を行う。
キーワード:数学教育,シェマ,わかる,道具的理解,関係的理解,「考える」活動
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がいく。理解できる。③明らかになる。判明する。④世 情に通じて頑固なことを言わない。」とある。この中で も,これから考えていく「わかる」は「理解できる」と いうことである。「理解:①物事の道理をさとりしるこ と。意味をのみこむこと。物事がわかること。了解。② 人の気持ちや立場がよくわかること」とある。どちらの 場合にしろ,「わかる」とか「理解」するというのは,
表面的なものではない。
「わかるけど,説明はできない。」「わかったつもりで いたのに,わかっていなかったみたいだ」ということは 数学に限らずあることだが,数学における「理解する」
「わかる」とはどのような状態をいうのであろうか。
中学校学習指導要領「第3節 数学」には(1),次のよう にある。
第1 目標 数量,図形などに関する基礎的な概 念や原理・法則の理解を深め,数学的な表現や処理 の仕方を習得し,事象を数理的に考察する能力を高 めるとともに,数学的活動の楽しさ,数学的な見方 や考え方のよさを知り,それらを進んで活用する態 度を育てる
また,中学校学習指導要領要領(平成10年12月)解説−
数学編−には(2),次のようにある。
3 改訂の要点
ア中学校数学科の目標の改善
①自ら学び自ら考える力を育成できるようにするこ と
数学の学習は,単に問題を解いて答えを求めるとい うことだけではない。これまで述べてきたように,
自ら調べ判断する力や,粘り強く考え続け考えたこ とを相手にわかるように説明したり表現したりする 論理的な思考力や表現力も大切にする必要がある。
中学校での数学の目標は,「理解する」ことを前提に,「深 め」,「習得し」,「高める」とともに,「活用する態度を 育てる」ことであり,「数学の学習は,単に問題を解い て答えを求めるということだけではない。」のである。
生徒にとっては,「理解する」=「問題が解ける」にな っている。問題が解けることはもちろん「理解する」こ とのひとつであるが,数学を学習する目標を達成するた めには,それで全てとはならない。
「理解する」とはどういうことなのだろうか。
R.R.スケンプ(Richerd Rowland Skemp)は(3),数学に おける「理解」という言葉には,別な意味があり,それ が今日の数学教育の困難さのもとになっていると言って いる。彼が「理解」と言っているのは「関係的理解(re- lational understanding)」のことであるが,それとは別の「道 具的理解(instrumental understanding)」と呼ばれる「理解」
があるという。
○道具的理解(instrumental understanding)
「習慣学習」あるいは「機械的暗記」に対応。
この理解を促す数学を「道具的数学」と呼ぶ。
○関係的理解(relational understanding)
「知的学習」に対応。
この理解を促す数学を関係的数学と呼ぶ。
道具的数学の利点はつぎの3つである。
・より理解しやすいのが普通である。
・報酬はより直接的で,よりはっきりしている。
・より速く,より信頼できる正解が得られることが 多い。
道具的数学では,問題ごとに解く方法や使う規則を覚え ることになる。だから,教師はその方法や規則を伝えれ ばよい。生徒は,その方法や規則を覚えれば,正解に早 くたどり着くことができる。
ここでいう報酬は,まず,正解のことである。正解す ることによって得られる報酬は,賞賛であったり自信で あったりする。
「できた」「できない」がはっきりしており,結果が わかりやすいことも,生徒や教師にとっては安心できる ことである。また,できるようになったら,喜び合うこ とができ,生徒は自分の学習に,教師は自分の教え方に 自信を持てる。教師は生徒からの信頼を得られるであろ う。できなかったとしたら,また練習するという次への 目標を持つことができる。生徒にとっても教師にとって も,今どんな状態に自分が置かれているのかがわからな い状態は不安になるのである。もし,自信をなくしてい たとしても,道具的数学によって自信を取り戻すことは,
より速く,たやすく達成できる。
一方,関係的数学の利点は次の3つである。
・新しい仕事をするのにより適している
・記憶するのがたやすい
・適応可能性がある。
関係的数学では,どんな方法を使うかということだけで なく,なぜそうなるかも知ることで,その方法をいろい ろな問題に関係づけることが可能になる。新しい問題が 出てきても,知っている方法を関連付けて正解にたどり 着こうとすることができる。一方,道具的数学では,ど んな問題に適応できてどんな問題に適応できないか,問 題自身をも記憶する必要があり,新しい問題に対して,
それぞれ別々な方法を学ばねばならない。
例えば,面積の公式を考えてみよう。道具的数学では,
ひとつの図形に対して,ひとつの公式が必要である。関 安居 幸恵・黒木 哲徳
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係的数学では,すべてを長方形の面積と関係付け考える。
台形の公式について,見てみよう。台形の面積を求める 公式がなくても,台形の面積は計算できる。その計算の 式の形や結果から,これは(上底+下底)×高さ÷2と いう式にたどり着く。三角形や四角形を考えて面積の計 算をするよりも,この式を使ったほうが手際がよい。で きれば手際がよいほうが間違いなく計算できてよい。結 果として,この式を公式として覚えておけばよい。この ように,関係的数学においては,長方形の面積の求め方 を知っていれば,それに関連付けていろいろな形の面積 を求めることができる。一方,道具的数学においては,
それぞれの形の面積を求める公式を覚えれば面積を求め られる。しかし,もし覚えていなかったら,面積を求め られないということになる。しかし,生徒たちが欲しが るのは後者である。
関係的理解においては,どのように内的に関連してい るかを知れば,1つの連結した全体の部分として記憶する ことができる。記憶しやすい。関連を学ぶことは少し時 間がかかるが,いったん獲得すれば,その結果はより長 く継続する。やり方を学びなおすことは少なく,長期的 に見れば,全体として時間は短縮される。特定の内容を 理解するのに必要なある概念が,他の多くの内容の理解 にとっても,基本的なものだとわかることもよくある。
しかし,それぞれの内容が道具的な扱いによりバラバラ な話題として教えられると,潜在的恩恵は得にくい。
例えば,中学2年生で学ぶ「連立方程式」と「一次関 数」である。この単元は,多くの教科書で,並んで配置 されている。「連立方程式」における解(x,y)=(a,
b)と「一次関数」における2直線の交点座標(x,y)
=(a,b)は,大きな関連があるにもかかわらず,生 徒にとってはそれはただ別々のものである。また,連立 方程式の解(x,y)=(1,2)と座標平面上の点(x,
y)=(1,2)は,結びついていず,当然,一次方程 式と座標平面上に表れた直線とは別のものである。よっ て,ここで指摘されている潜在的恩恵は一切感じること ができていない。
このように考えてくると,関係的理解を伴う知的学習 は,個々の規則とともにそれらの関連をも学ぶのである から,学ぶべきことが多いことがわかる。よって,達成 するのに時間がかかる。そして,関係的に理解すること は単なる暗記では達せされないず,少々の忍耐が必要で ある。
一方,道具的理解を伴う習慣学習を考えてみる。習慣 学習は行動が学習の結果によって強化される。習慣は非 常に頑固に保持されること,また,ひとつの問題にひと つの解き方を記憶していくという学習なので,適応可能 性に乏しく,記憶の許容量を超すとき,これまでに学ん だすべてが分からなくなることも起きる。中学生の場合 ではないが,第二の筆者は,大学受験を暗記で乗り切っ た学生が,大学でもその方式で数学を学習しようとして
オーバーフローしてしまい,これまで学習してきたこと すら全くわからなくなってしまったという例を聞いたこ とがある。程度の差はあれ,いつかついていけなくなる ときがくる。「勉強しても勉強しても点数が伸びない」
のは,もしかしたらこのような勉強をしているからかも しれない。このような学習の効果が意味があるのは限定 的である。この学習しか知らない生徒は,数学的な学習 内容が増えてくるにつれて,記憶すべき量はたいへんな 負担になり,勉強しても勉強してもできない状態に陥る。
ひたすら覚えて,練習して出来るようになるが,数学へ の興味は沸かず,むしろ嫌いになりながらも当面の目的 のために耐えているといった姿が想像される。第二の著 者のかなり古い調査だが(4),大学に入学した学生たちの 一人は,「うのみにした定義にもとづいて,覚えこんだ 公式を当てはめて問題を解き,答えを書くのがテストで した。(中略)一生懸命応用させよと3年間わけもわか らず努力をしてきたのです。もう,いまさらみたくもあ りません。」と自分の学習を振り返っている。このよう に,子どもは数学的に成長することに失敗し,自信と自 尊心を失っていく。また,どちらかというと数学が好き だったいう学生でも,「私がある問題を解くために,そ の例題の解答の出し方を公式のように覚えている必要が あった(中略)。たくさんの問題の解答パターンを覚え ていなければならなかった。そのためには,1つの問題に 何時間も何日もかけることはやってられない。わかりそ うもない問題は,さっさと解説をみた方が賢明というこ とになる。」という振り返りをしている。
ここまで見てきたように,数学には2つの性質の異な る理解が存在することがわかった。この2つの理解には,
それぞれ長所と短所がある。教師は,道具的・関係的理 解のそれぞれの利点にもとづき,知的学習や習慣学習を うまく選択して授業に組み込むことが望ましいと考える。
第一の著者の今までの授業をふり返ると,圧倒的に習慣 学習を行っていた。『この学習しか知らない生徒は,数 学的な学習内容が増えてくるにつれて,記憶すべき量は 増加し,勉強しても勉強してもできない状態に陥る。子 どもたちは,数学的に成長することに失敗し,自信と自 尊心を失っていく。』という状態が起きていたのではな いかと反省をしている。
ここに,一つの授業改善の手がかりがあると考えてい る。
例え,道具的理解のみで授業がスムーズに行えたとし ても,それでは十分とはいえず,知的学習を取り入れた 授業を生徒に提供していくことが必要だと考える。
2−2 「理解する」とはどういうことか
知的学習を取り入れるということは,関係的理解を生 徒に求めることになる。スケンプは,「理解は関係的理 解を意味する。」とし,「何かを理解するとは適切なシェ マ(schema)にそれを同化することである。」と述べて
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いる。シェマとは,心理学では個人が保持している知識 構造のことである。「何かを理解するとは適切なシェマ にそれを同化することである。」とは,「今までもってい なかった何かをすでに持っている知識構造の中に組み入 れることができる」ということである。シェマは有機的 なもので,永遠に完成しない。新しいものに出会いそれ を同化していくごとにシェマは拡張され,拡張されるに つれて可能性の意識も拡大されていくという。
この知的学習によって,生徒は新しい場面(問題)に 出会っても,自分の既有の知識と関連させて理解し,ど んな場面にも対処でき,自分の能力に自信を持つことが できる。つまり,自立するのである。
自分の知っていることを使って,あるいは,組み立て て,初めて見るような問題も解決ができるようになるこ とは,本当の 楽しさ や 喜び が得られるはずであ る。「できた!」という感激も大きく,成就感を得られ,
積極的に未知の問題に立ち向かう自信が得られるかもし れないと考える。
そのような生徒を育てるために,教師は,まず,生徒 自身の努力によって理解を達成できるような学習場面を 準備することが必要である。そのためには,さらに,生 徒が理解を伴って学習できるように,生徒の基礎となる シェマと生徒が初めて出会う新しい概念について,十分 に把握しておくことが大切であると考える。
生徒のシェマを知ることは難しい。従来行われてきた ようなテストでは,関係的理解がなされた結果なのか,
道具的理解がなされた結果なのかを区別するのが難いか らである。よって,内容を吟味したテストを行うととも に,授業中の態度やノートなどいろいろな面から把握す ることが求められる。
また,新しい概念を生徒のシェマに同化するためには,
子どものシェマから出発することが重要である。なぜな ら,既存のシェマに合致しない内容は,馴染むのに時間 がかかったり拒絶されたりするからである。
例えば,数直線を考えたとき,数直線上に自然数や整 数,有理数を表すところまではある程度スムーズに行わ れる。しかし,無理数をそれまでイメージしていた数直 線上で示すことは,とても抵抗がある。なぜなら,無理 数は無限小数だからである。無限小数を数直線上にどの ように表すのか,定規ではかれないものを表すことにと まどう瞬間があるはずである。このように,新しい概念 を生徒のシェマに同化するときには,不安や困難さを伴 うからこそ,生徒がすでに持っているシェマから出発す ることが大事なのである。新しい概念はシェマに同化さ れるとき,もともとのシェマは拡張されるだけでなく,
再構成されるからである。新しい概念に出会うと,シェ マは劇的な変化を要求される。この新しい概念へ到達す る経験は,生徒の自信,また,自立につながる。
知的学習における説明の機能は,習慣学習における説 明の機能とは質的に違ってくることに気をつけなければ
ならない。生徒自身による理解を援助するような説明で ある必要がある。よって,この説明には,助言(advice),
指示(instruction),支援(support),同意 し な が ら の 支持(sympathy), 精神的 な 支 援(countenance)な ど が混在し,それらの質自体も習慣学習のそれらとは異な る。
「指示待ち人間」という言葉がある。数学学習におい ては,かなり多くの「指示待ち人間」が存在する。それ は,生徒に原因があるのではなく,習慣学習を授業に多 く取り込んできた結果である。新しい場面(問題)に出 会うと,それに見合う規則や解法を提供していた。だか ら生徒は教師を頼り,「指示待ち人間」化し,生徒にと って教師は,答えを教えてくれる存在になるのである。
知的学習においては,教師は自分の理解を助けてくれる 人になるということである。
2−3 「考える」をどうとらえるか
「さあ,考えましょう」「さあ,後は自分で考えて」「し っかり考えなさい」教師が生徒によくかける言葉である。
「最近の生徒は自分で考えようとしない」というため息 交じりの言葉もよく聞こえてくる。
なぜ,生徒は考えようとしないのか。
それは,「考える」習慣がないからである。新しい課 題が出てくると同時に教師からその解き方も出てくるの である。よって,生徒は,今まで経験したことのある問 題ならばやり方を知っていて解けるので,「考える」の だが,そうではないときは「考えない」。つまり,解け る問題は「考える」のである。知っているやり方通りに なぞって問題を解いていくことを「考える」ことと捉え ているようだ。「理解」と同じように,「考える」のと らえ方にも違いがあるようである。
課題を自分で見つけることが,「新しい学力」の1つ に上げられている。しかし,実際に取り組んでみると,
自ら課題を見つけることはなかなか難しいことである。
それを痛感したのは,小学校での総合的な学習の時間で ある。第一の著者は次のような経験をした。
ある年,担当していた小学校4年生の子どもたちが総 合的な学習の時間に福祉について取り組むことになった。
子どもたちが知っていることから活動を始め広げていく 方法を取った。今年のテーマは「福祉」であることを告 げ,活動計画の話し合いを始めた。しかし,「福祉」に ついて知っていることがかなり少ないため,自分たちで 活動計画を組んでいくことはなかなか難しい。なぜかと 言うと,福祉についての体験が意識化されていなかった り,知識がなかったりするからである。そこで,ある程 度の経験と知識を得るために,施設を訪問させてもらい,
そこでの活動の中に入れてもらうことにした。一緒に活 動しながら,施設での活動,施設の設備,施設を利用す る人たちの様子,職員の仕事内容を観察してくるのであ る。そして,これから自分たちは何をするといいのか,
安居 幸恵・黒木 哲徳
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何ができるのか,何を求められているのか,どんな方法 で行うといいのかなどを「考える」のである。
教科においても,これと同じことが言えるのではない か。考えるための手立てが必要なのである。つまり,「考 える」ということが起きる場の設定が必要だということ である。「活動」といってもいいだろう。
「考える」とはどういうことなのか。
「理解する」とは,「適切なシェマに新しく出会った ものを同化すること」であったが,「考える」は,新し い概念に出会ったときから理解するまでの過程であると 捉えることができる。よって,考えることは理解するた めには必要不可欠なものであると考える。
さて,では「考える」とはどのような過程を持ってい るのだろうか。生徒の理解,つまり,既存のシェマの拡 張が求められるのは,未知なもの,不可思議なもの,新 しいものに出会ったときである。この時点から次のよう な段階を経て,理解に達するのではないだろうか。
① 状況を分析し,すでに持っているシェマと,そ うではないものを区別する
② その状況に合わせ,すでに持っている知識構造 から適当な知識を選択する
③ 探し出してきた知識を結び付けられないか探り,
選び抜く
④ その知識を組み合わせ,状況に合うように結び つけ,新たなシエマを作る
このような活動を生徒が自分自身で行うことが「考え る」ということではないかと考える。
考える過程においては,自分の考えていることを整理 整頓が必要である。今考えている方向はこのような段階 をふんできて,あちらの方向に進んでいこうとするふり 返りと展望である。自分の考えを,だれかに,単に伝達 するという行為だけでも,思考過程を明確にする助けと なる。思考過程を意識化するために,言語による適切な 記号化をおこなうからである。そのために,「考える活 動」には,「ひとりで考える」「考えを交換する」「練り 上げる」「自分の考えをふり返る」という段階を持ち,
自分の考えを整理整頓していくことができる。
まず,モニターの段階で,ひとりで考える。自分がわ かっていることを意識する活動である。
次は,ミラーの段階で,自分の考えを相対化する。考 えを交換する。ここでは,「自分の考えを提供する」「人 の考えを聞く」「自分の考えと比べたり,新しい考えを 取り入れたりする」など,人の考えに自分の考えをうつ して,自分の考えを見るという活動が考えられる。
次に,フォーカスの段階である。つまり,練り上げる 段階である。お互いのわかるとこを共有し,問題の解決 を図る活動である。
そして,リフレクトする段階である。つまり,自分の
考えをふり返る。問題解決までの一連の考えを完成させ たり,自分が気づかなかったような考えを加えたりする 活動である。
(以上の4段階の名称は,著者が便宜的につけたもの である。)
「考えを交換する」が「単なる伝達」から「お互いに 聞きあうこと」「討論」とレベルアップしていくと,た だ自分の思考過程を明確にできるだけではなく,ほかの 人の考えと自分の考えを関係づけると言う価値が生まれ てくる。自分の気づかなかったことをほかの人の意見を 聞くことで気づくことができたり,そのことによって自 分の考えが前進したり高まったり深まったり,その効果 は計り知れない。違う考えを持っていたとしても,その 違いに気づけることはとても大切なことである。さらに,
聞きあうことや討論によって,各々が持っていて,各々 が持っていない考えをお互いに共有することも可能とな る。
このような活動をスケンプは創造的討論とよぶ。今日 でいうところのクリティカル・シンキング(critical think- ing)といってもよい。
この創造的討論を可能にするには,まず,この集団は 2,3人程度がよいとスケンプはいっている。それ以上 多いと,互いの考えを把握できないまま,時間がすぎて いくことが考えられるからである。また,より少数の集 団のほうが意見がいいやすく,発言する時間も増える。
お互いの考えを示しあう方法(例えば,1冊のノートを 3人でのぞきこむことは可能である)も簡単である。
次に,2,3人の対人関係を含めて,学級集団の態度 も大事な要因となる。誰とグループを組むことになって も,スムーズなコミュニケーションが取れる学級集団で あることが望ましい。誰もが話したり,質問したり意見 交換できたりする雰囲気と,お互いに聞き合う態度が必 要である。これは生徒が安心して授業に参加できること にもつながる。また,お互いに考えは尊重すべきだが,
同調しなければならないということではない。正しいや り方で対立することもお互いの考えを高めていくときに はとても大切なことである。同じ方向から見ている考え だけでなく,違った角度から見ている考えや誤りのある 考えなどいろいろな考えが出されることによって,お互 いの考えは練り上げられ,自分の考えをよりよいものに していくことができるという意識を持たせることが大切 である。創造的討論を可能にするには,生徒はそのスキ ルを身につける必要がある。
2−3 「考える」姿勢の育成を目指した授業
これまで考えてきた「理解」「考える」を生徒のもの としていくためには,生徒が考えるスキル,創造的討論 のためのスキルを身につけていくことが必要である。こ のような授業を行うとき,教師にはどのような力が必要 となってくるのだろうか。
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まず,考えるスキルについて考えてみる。
適切な場面・課題による,考える場面のある授業を作 る必要がある。生徒の既存のシェマと今から出会う新し い学習内容を生徒がどのように結び付けていくか,いろ いろな筋道を予想するためにも,新しい学習内容におけ る専門的な知識も必要不可欠である。考える段階におい ては,教師は生徒といっしょに考えるのではなく,考え ている生徒が,既有の知識を「どこまで」「どのように」
組み立てているのか,立ち止まっているとしたら,「何 に」つまずいているのかを読み取り,この活動が行える ように支援することが求められる。臨機応変な支援のた めには,専門的な知識とともに,生徒とのコミュニケー ションがスムーズに取れること,信頼関係も必要である。
次に,創造的討論について考えてみよう。
学級集団内の生徒同士の好ましい対人関係を作り上げ ることは,大きな課題である。学習の基盤であるからで ある。しかし,これは数学の授業だけで作れるものでは ない。学校生活全体に関わるものである。少なくとも,
学級担任との連携を行いたい。教師が生徒にいかに関わ るかが生徒に見えることが大事である。生徒にお互いの 意見の話し合いを大事にしてほしいと望むのなら,教師 自身が生徒の意見を大事にしなければならない。生徒は,
教師が一人ひとりの意見にどのように反応するかをよく 見ていて,一人ひとりをいかに大事にしているかを敏感 に察知する。そういう意味で,教師は学級集団における よいリーダーシップが必要であると考える。それは,権 威的なものではなく,無意識のうちに生徒が意識する リーダーであるという意味である。
以上のことをふまえ,ひとつの授業実践を提案する。
3.授業実践計画の提案 3−1 単元名
中学校 第2学年「第4章 図形の調べ方」
3−2 単元の目標
図形の性質を調べる上で,基礎となる見方・考え方や 基本的性質を明らかにし,論証の意義と推論の進め方に ついて理解する。
そのために,
ア.対頂角の性質,平行線と角の関係について調べる。
イ.三角形の内角の和について調べ,それらをもとに多 角形の角について調べる。
ウ.合同な三角形の性質,三角形の合同条件などを明ら かにする。
エ.「証明」することの意義としくみについて理解する。
オ.平行線と角の関係や三角形の合同条件を根拠にした 証明の進め方や図形の性質の調べ方について理解す る。
3−3 単元について
今年度初の図形領域の単元である。これまでの学習は,
ほぼ帰納的な思考で進められてきたのだが,本単元では,
演繹的な思考で課題に取り組まなければならない。思考 の流れが全く違うので,何か納得できない違和感を持ち ながら学習することになりかねない。それが,「証明は 難しい」という意識につながっていく。この単元は関係 的理解が必要とされる重要な単元でもある。
そこで,本単元を「思考の流れの転換期にあたる単元」
ととらえ,特にていねいに,生徒の既有知識をふまえて,
また,既有知識から学習を始める。つまり,生徒の持つ シェマを十分に踏まえることが必要である。
平面図形に関しては次のような内容を学んできている。
○ 小学校
・観察,操作,構成,分解
・直線,角,三角形,四角形,円の概念,角の相等の理 解
・直角三角形,二等辺三角形,正三角形,長方形,正方 形,台形,平行四辺形,ひし形の作図・弁別・理解
・直線の位置関係(垂直と平行)の理解
・図形の頂点,辺,角などの理解
・三角形,四角形の角の和
・三角形,四角形,円の求積
・円周率の意味の理解
○ 中学校
・線対称,点対称の理解,図形の考察,作図
・多角形,正多角形,線分の垂直二等分線,角の二等分 線,垂線などの基本作図
・円とおうぎ形の性質
・合同
・円とおうぎ形の円周・面積・中心角などの計量 これらの図形に関する学習は,観察や実測・作図など 具体的な操作を通して学習を進めてきている。本単元に おいては,これまで学習してきた内容から論証のための 基本的性質を明らかにし,論証の必要性と推論の進め方 を理解することを目指すことになる。
論証のための基本的性質として,直線と角,平行線の性 質と平行線になる条件,三角形の内角・外角を学習する。
また,これらの基本的性質を実測によって帰納的に納 得をした後,演繹的に説明することの必要性をわかり,
そのような説明を通して,「証明」という言葉を出さな いまでも,論証に繋がる説明という経験を大事に学習を 進めたい。
多角形の内角や外角については,多角形の基本となる 三角形の内角と外角をもとに思考を進めていくことにな る。多角形の基本となる形が三角形であることをおさえ,
「基本に戻って考える」ということが数学の関係的理解 を深めることになり,それが論証に繋がる。
論証の必要性については,中学校1年で学習した角の二 等分線などの作図を取り上げる。例えば,どんな大きさ 安居 幸恵・黒木 哲徳
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の角であろうと既習の作図方法によって必ず二等分され る。角の大きさは無限に作られるので,全てを試すこと は不可能である。そこで,演繹的に説明することの必要 性,あるいは意義が見出される。また,本単元において は,論証を全て記述することが目的ではなく,「仮定→
根拠→結論」という論証の進め方を経験し,慣れること が目的となる。関係的理解にとってはこの形式は非常に 重要な要因である。
3−4 指導について
本単元を「思考の流れの転換期にあたる単元」ととら え,生徒の既有知識をふまえ,生徒のシェマに立ち返っ て,これまでの経験で知っていることから学習を始める。
それは,実測でもよいし,切ったり張ったり重ねたりで もよい。分度器でも三角定規でもコンパスでもよい。ひ とつの課題に対してたくさんの例が挙がっていれば挙が っているほど,演繹的な説明の有用性や必要性は実感さ れると考える。
また,「ひとりで考える」「意見を交換する」「練り上 げる」「自分の考えをふり返る」という「考える」活動 の時間が保証された授業を展開したい。前章2−3の
「考える」をどうとらえるか のところで述べたことを 踏まえて,次の3つの手立てを取りたい。
「一点目」:生徒にとって,既習の内容であり,かつ,
「考える」活動に適している題材・展開を十分に吟味し たい。
これまでの学習では,教科書の問題を中心に学習を進 めてきた。それは,学習方法がわからない生徒やノート を取るのがとても苦手な生徒にとって,学習の手がかり となるものを保証するためである。また,学習の見通し を持たせるためにも有効に使え,見通しを持てることで 安心感にもつながる。予習や復習という過程学習を考え たときにも教科書は利用価値がある。よって,本単元に おいても教科書の問題を利用しながら学習を進めていく。
§1①「平行線と角」では,平行線と角の導入として,
エラトステネスの地球の半径の計算を取り上げる。
§1②「多角形の角」では,小学校での既習内容である
「三角形の内角の和は180゜である」を知っている方法 で説明することから学習を始める。
§1③「三角形の合同」では,与えられた三角形を正確 に作図するための伝言ゲームから始め,三角形の決定条 件から三角形の合同条件を導く。
§2①「証明とそのしくみ」では,1年生で学習した作図 を取り上げる。
§2②「合同条件と証明の進め方」では,定規だけを使 って,平行線とそれに交わる2本の直線の作図から始め る。
「二点目」:「考えを交換する」する場として,3人グル ープでの活動をする。自分の考えた過程や結果を見せ合 うこと,出てきた結果を考えあうには,適した人数であ
ると考える。
「三点目」:考えを伝える手立てとしてのワークシート を作る。自分の考えを伝える手立てがあれば,相手にわ かってもらうことができ,意見をもらうこともできる。
逆に,相手の考えていることがわかれば,自分の考えと 比べたり質問をしたりすることができ,練り上げること につながる。
3−5 指導・評価計画
本評価指導計画は,勝山市数学分会が作成したものを 参考に作成した物である。
§1平行と合同(11時間)
①角と平行線(2時間)
学 習 状 況 の 評 価 基 準
関心 意欲 態度
対頂角は等しい等,見れば分かる事柄を 筋道を立てて説明していくことに関心を 持つ。
見方 考え方
対頂角は等しい等のことを,帰納的な推 論や類推を用いて考察できる。
表現 処理
対頂角・同位角・錯角の大きさを求める ことができる。
知識 理解
対頂角・同位角・錯角の意味を理解して いる。
学 習 内 容
・ 題 材
1時 ○古代エジプトの商人エラトステネスの 地球の大きさの計測の話を聞く。
・平面における2直線の関係「交わる」
によってできる角の大きさを観察する。
・平面における3直線の交わり方は2種 類。角の大きさを求めたり,角の名前を 覚えたりする。
2時 ・平行な2直線に直線が1本交わってい るときの同位角・錯角を観察する。
・平行奈2直線に直線が1本交わってい るときのいろいろな角の大きさを求め,
グループごとに用語を使いながら説明す る。
・古代エジプトにおける地球の半径の計 測を振り返り、地球の半径を求める。
・同位角・錯角が等しいときの2直線の 関係を観察する。
②多角形の角(5時間)
学 習 状 況 の 評 価 基 準
関心 意欲 態度
三角形の内角・外角の性質,多角形の内 角の和,多角形の外角の和について,論 理的に推論を進めることに意欲を持つ。
見方 考え方
三角形の内角・外角と多角形の外角の和 は演繹的に、多角形の内角の和は帰納的 にそれぞれ求めることができる。
三角形の角の性質を使って,いろいろな 形の角の大きさを求めることができる。
表現 処理
多角形の内角の和と外角の和を求めるこ とができる。
知識 理解
多角形の内角の和と外角の和を求めるこ とができる。
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4.おわりに
日々の授業においても以前に比べれば,「考える」時 間を増やしてきた。それは,生徒の知っていることから 始める授業であったり,新しい問題を提示しても,既有 の知識で解く時間を持つようになってからである。また,
テスト前のテスト対策の時間には,生徒が問題の解説を する時間を設けている。解説している生徒はいろいろ飛
§2証明(7時間)
① 証明とそのしくみ(3時間)
学 習 状 況 の 評 価 基 準
関心 意欲 態度
帰納的な方法では全ての場合を調べるこ とはできないことを知り,演繹的な推論 の方法に関心を持つ。
見方 考え方
仮定からすでに正しいと認められたこと がらを根拠にして,結論を導く証明の筋 道をまとめることができる。
表現 処理
対頂角は等しいことや三角形の合同条件 を用いた簡単な場合について,証明の筋 道を説明することができる。
知識 理解
仮定・結論,証明の筋道について理解し ている。
学 習 内 容
・ 題 材
1時 ○1年生で作図してきたものは本当に正 しいのか説明していこう。
・角の二等分線の作図からほんとに角が 二等分されているかどうかを説明する。
・グループごとに説明のしかたを整頓す る。
・三角形の合同条件を使った説明のしか たを整頓する。
2時 ・前時の説明を「証明」と呼ぶこと,仮 定→根拠→結論という流れになっている ことを知る。
・仮定と結論を見つける練習をする。
・いろいろな証明を読んで,仮定・根拠
・結論を見つける。
3時 ・いろいろな証明の,仮定・根拠・結論 を言うことができる。
②合同条件と証明の進め方(2時間)
学 習 状 況 の 評 価 基 準
関心 意欲 態度
合同条件を用いて証明していくことに意 欲を持つ。
見方 考え方
簡単な場合について合同条件を使って証 明する手順を明らかにすることができる。
表現 処理
簡単な場合について,合同条件を用いて 証明することができる。
知識 理解
証明の根拠として使われていることがら をあげることができる。
学 習 内 容
・ 題 材
1時 ・証明の結論を把握し,結論を導くため の根拠や合同条件を見つける。
・グループごとに意見交換する。
・見つけた結論や根拠を証明の流れにそ って組み立てる。
2時 ・合同条件を使って証明する。
いろいろな三角形の見方をする
③まとめ・単元テスト(2時間)
学 習 内 容
・ 題 材
1時 ○「三角形の内角の和は180°」を説明す る。
・三角形の内角が180°であることを実 測,紙の切り張り,平行線の利用により 説明する。
・グループで考えを出し合う。
・平行線を利用することの良さに気づき,
説明を整頓する。
・外角の性質を見つける。その性質を説 明する。
2時 ○三角形の角の大きさを利用しよう。
・三角形内角・外角の性質を使っていろ いろな形の角を求める。
・八角形の内角の和を求める。
・グループごとに求め方を整頓し求める 式を一般化する。
・多角形全般について一般化する。
3時 ・八角形の外角の和を求める。
・グループごとに求め方を整頓し求める 式を一般化する。
・多角形全般について一般化する。
4時 ○ペンタグラムの秘密を見つけよう。
・一般の星型五角形の頂角の和を求める。
・グループごとに求め方を整頓する。
・自分の考えをまとめる。
5時 ・星型多角形の頂角の和を各班ごとに六,
七,八,九,十,十一,十二,十三,十 四角形に分担して考える。
・一覧表にし,一般化する。
③三角形の合同(2時間)
学 習 状 況 の 評 価 基 準
関心 意欲 態度
2つの三角形が合同であることを,図名 を重ね合わせなくとも,三角形の合同条 件を用いると便利なことに関心を持つ。
見方 考え方
2つの三角形が合同であるかどうかを,
合同条件を用いて考察することができる。
表現 処理
簡単な場合について,三角形の合同条件 を用いて合同な三角形の組み分けができ る。
知識 理解
三角形の合同条件が言える。
合同な図形の性質や三角形の合同条件の 意味を理解している。
学 習 内 容
・ 題 材
1時 ○ 三角形の形を正確に伝えよう
・三角形を作図し三角形の決定条件を思 い出す。
・合同であるということを説明する。
・2つの三角形が合同になるための条件 を作る。
・グループごとに整頓する。
2時 ・合同条件を整頓する。
・合同条件をもとに、いろいろな図から 合同な三角形を見つける。
・合同条件を使って,グループごとに説 明する。
④まとめ・単元テスト(2時間)
安居 幸恵・黒木 哲徳
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び出す質問に四苦八苦しながら答えているが,勉強にな ったと口をそろえて言う。質問する側の生徒は,遠慮な く質問できるという。そんな中,指示待ち人間化する生 徒は少なくなってきているように感じる。ほんの少し工 夫するだけでも,生徒は変わる。生徒の可能性は教師で 大きく変わるということを実感している。
「考える」活動は,ここにあげた単元や数学の授業だ けで充実したものになっていくということは望めない。
なぜなら,「考える」活動を支える要素は,数学的な専 門知識,生徒のシェマの分析,生徒と教師の関係作り,
生徒と生徒の関係作り,学級の雰囲気作り,教師間の連 携など多岐に渡るからである。「考える」活動を授業に 取り入れ,かつ,それが生徒にとって有効なものとなり,
自ら「数学する」生徒を育成するためには,課題が大き い。生徒と過ごす時間を大切にし,授業をする土台を作 ることが大切だと考えている。
ここにあげた単元の実践はまだ先である。この単元の 実践に向けて,日々の授業での実践を積み上げ,より効 果的な「考える」活動を取り入れた授業を展開できるよ うにこころがけ,さらなる知見が得られることを期待し ている。
<引用文献>
1.文部省/編『中学校学習指導要領 改訂版』2004 2.文部省/編『中学校学習指導要領(平成10年12月)
解説−数学編−』大阪書籍 1999
3.R.Rスケンプ/著 平林一榮/訳 『新しい学習理 論にもとづく算数教育−小学校の数学−』東洋館出 版社1992
4.黒木哲徳:『教育学部における「数学」教授の考察 と試行―基礎数学(図形)を例として―』 福井大 学教育実践研究 第14号 pp.71−86 1989
<参考文献>
・ R.Rスケンプ/著 藤永 保・銀林 浩/訳 『数 学学習の心理学』新曜社 1996
・ R.Rスケンプ/著 平林一榮/訳 『新しい学習理 論にもとづく算数教育−小学校の数学−』東洋館出 版社1992
・ 啓林館/編 「楽しさひろがる数学2」
・ 啓林館/編 「楽しさひろがる数学2」指導書第2 部詳説
・ 勝山市数学研究会/編『評価基準表』
The class bringing up students studying mathematics themselves
Yukie YASUI and Tetunori KUROGI
Key words: mathematics education, schema, understand, instrumental understanding, relational understanding, thinking activity
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