論文の内容の要旨
氏名:竹 内 聡
専攻分野の名称:博士(医学)
論文題名:脂質異常症の日本人患者における臨床検査値に対するスタチンとフィブラートの効果の比較
-後ろ向きコホート研究-
本研究の目的は、臨床試験の実施において様々な臨床背景を有する脂質異常症の日本人患者におけ る、腎機能系を含む臨床検査値に対するスタチン単剤療法およびフィブラート単剤療法の効果を明 らかにすることである。データの抽出には日本大学医学部クリニカルデータウェアハウス(Nihon University School of Medicine Clinical Data Management System :NUSM’s CDMS)を用い、2005 年 1月から 2017年12月の間に少なくとも2か月間、スタチン単剤療法またはフィブラート単剤療 法で新たに治療された 20歳以上80歳未満の脂質異常症患者を抽出し、後向きコホート研究を実施 した。性別、年齢、およびベースラインのトリグリセリド(TG)または低密度リポ蛋白質(LDL)コレ ステロールによって無作為に 2 組にマッチさせた TG 適合ペア(415 人のフィブラート使用者及び 415 人の適合スタチン使用者)830人の患者、及び LDLコレステロール適合ペア(586人のフィブラ ート使用者及び 586人の適合スタチン使用者)1172人の患者を選定し、評価項目として、LDLコレ ステロールおよび TG、ならびに赤血球(RBC)数および血小板数に加えて、血清クレアチニン、推定 糸球体濾過率(eGFR)、尿素窒素、ヘモグロビン A1c、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ
(AST)、およびアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)に対する薬剤の効果を、一般化推定方程式
を用いて推定し比較した。解析の結果、TG適合ペアおよびLDLコレステロール適合ペアの両方に おいて、クレアチニンおよび尿素窒素レベルの増加、ならびに eGFR、ALT レベルおよび RBC 数 の減少は、スタチン使用者よりもフィブラート使用者においてより大きかった。また、血小板数の 減少は、フィブラート単剤使用者よりもスタチン単剤使用者で大きかった。これらの結果は、血小 板数の低下作用はスタチン単剤療法がフィブラート単剤療法よりも大きい一方で、腎機能に対する 保護作用はフィブラート単剤療法よりもスタチン単剤療法でより大きいことを示唆していると考え られる。