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論文の内容の要旨 氏名:續

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Academic year: 2021

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論文の内容の要旨

氏名:續

博士の専攻分野の名称:博士(歯学)

論文題名:Influence of reclining position and the bolus consistency on swallowing dynamics:

kinematic analysis using 320-row area detector computed tomography

(リクライニング姿勢と食塊の稠度が嚥下動態に与える影響 : 320-ADCT を用いた運動学

的分析)

嚥下運動中は喉頭を完全に閉鎖することにより誤嚥・喉頭侵入を防ぐことができる。喉頭閉鎖を構 成する要素は喉頭前庭,喉頭蓋および声帯の3器官の運動である。これらの嚥下中の運動を正確に診 断することは摂食嚥下リハビリテーションの治療方針を立案するうえで重要である。臨床においてよ く用いられる嚥下評価法として嚥下造影検査と嚥下内視鏡検査がある。嚥下造影検査では喉頭前庭お よび喉頭蓋の動きは評価できるが,声門閉鎖の有無を診断することはできない。一方で,嚥下内視鏡 検査では嚥下中は視野全体が消失してしまうため,喉頭前庭,喉頭蓋,声帯のいずれの動きもわから ない。また,どちらの検査法においても得られる情報は2次元画像であり,3次元的な解析は行うこ とは不可能である。近年,320列面検出器型CT(以下320-ADCT)が摂食嚥下の研究に導入され,3 元的な運動学的解析が可能となった。320-ADCTを用いた先行研究において,とろみのない液体を嚥下 する時はとろみ付きの液体時に比べて,声帯のみが早期に閉鎖していることが明らかになった。つま り,食塊(以下bolus)の粘稠度に応じて,声帯のみが他の2つの喉頭閉鎖器官とは独立して調整さ れる可能性が示唆された。その後,320-ADCT装置の改良によって撮影姿勢をリクライニング45度か 60度まで調整できるようになったため,著者らはこれまで検討することができなかったリクライニ ング姿勢(60度・45度)と食塊の稠度が嚥下動態に及ぼす影響について検討を行った。

被験者は健常成人14人(男性4名,女性10名,平均年齢42±19歳)とした。被験者を320-ADCT 装置用のリクライニング椅子に着座させ,とろみ付きバリウム溶液(以下thick, 5%w / v, 1700 mPa・

s)およびとろみなしバリウム溶液(以下thin, 5%w / v, 2 mPa・s)を45度もしくは60度リクラ イニング位で各10 mL嚥下させ320-ADCTにて撮影した。検査者はCT装置の横に立ち,被験者の口腔 内に試材を含ませたのちに両方の液体を飲み込むように指示をした。CT撮影は各試行で3.3秒間にわ たって実施した。施行数は3回とし,60thick・60thin・45thinをランダムに撮影し,各被 験者に対して盲検化した。

撮影後CT画像は,ハーフ再構成法を用いて0.1秒間隔(10画像/秒)で33段階に再構成した。CT スキャナのソフトウェアを使用して,多断面再構成像(MPR)および3次元ボリュームレンダリング像

(3D)を作成した。MPR画像を用いて,鼻咽腔閉鎖,舌骨挙上,喉頭蓋反転,喉頭前庭閉鎖,声帯閉 鎖,食道入口部開大,および口腔から咽頭へ移送されるbolusの先端位置についてフレーム単位で時 間計測を行った。 嚥下事象のタイミング測定の基準時間(時間ゼロ)は,舌骨の急速な前上方運動開 始の1フレーム前として定義した。各事象の開始時間および終了時間をこの基準時間に関連して計算 し,事象の生じる順序について分析した。また食道入口部(UES)開大面積についてもMPR画像より計 測し評価を行った。

60thick・60thin の物性比較においては声帯閉鎖の開始時間,食道入口部の開大開始時間,

およびbolus移送の先端が喉頭蓋谷領域(VAL),下咽頭領域(HYP),および上部食道領域(ESO)に

到達した時間が60thickよりも60thinで有意に早まった。60thin・45thinの角度比較 においては鼻咽頭閉鎖の終了時間,喉頭蓋の復位時間,および声帯閉鎖の終了時間で60thinより 45thinで有意に遅延した。 また,声帯閉鎖の開始時間には有意な差は見られなかったが,被験

者の30%において嚥下開始よりも前に声帯閉鎖を開始している例を認めた。一方で,UESの最大断面

積および総断面積のいずれも60thick・60thin,60thin・45thinの比較で有意な差は認 められなかった。

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本研究結果により60度リクライニング位においてbolusの粘稠度に応じて,声帯のみが他の2つの 喉頭閉鎖器官とは独立して調整される可能性が示唆された。この結果は声帯の運動調整が他の嚥下諸 器官から独立した運動調節機構を有するという考えを支持している。

本研究では320-ADCTを用いてリクライニング姿勢とbolusの稠度が嚥下動態に与える影響について 検討したところ,以下の結論を得た。

1. 声帯の閉鎖開始時間は,リクライニング角度によらず食塊の咽頭への流入時間の影響を受けた。

2. 声帯の早期閉鎖は,喉頭前庭の閉鎖や喉頭蓋の反転などの喉頭閉鎖を構成する他の器官とは独 立して認められた。

3. リクライニング姿勢の傾斜角度が増加すると,鼻咽腔閉鎖,喉頭蓋反転と声帯閉鎖の終了時間 の延長が認められた。

4. 嚥下中のUESの断面積は,リクライニング角度や食塊の稠度で変化しなかった。

参照

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