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論文審査の結果の要旨

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Academic year: 2021

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論文審査の結果の要旨

氏名:岩 井 裕 昭

博士の専攻分野の名称:博士(歯学)

論文題名:歯科矯正用アンカースクリューの安定性における歯根接触の影響 −Self-Drilling法とSelf-Tapping法の比較−

審査委員:(主 査) 教授 本 田 和 也

(副 査) 教授 清 水 典 佳 教授 磯 川 桂太郎 教授 白 川 哲 夫

歯科矯正治療では,移動歯の固定源となる歯も移動してしまうため,固定源のコントロールが治療 結果に大きく影響する。従来はヘッドギアなどの顎外固定装置により固定源の強化をはかっていたが,

この方法では治療結果が患者の装置使用に大きく依存する。

近年,広く利用されている歯科矯正用アンカースクリュー(以下スクリュー)は,固定源の移動が ないため,上顎前突症例では前歯部を十分舌側移動することができ,効率的な治療を可能とした。し かし,スクリューは通常歯根間の狭い間隙に植立されるため,スクリュー脱落の原因となる歯根接触 を起こすことがある。また,スクリューの歯根接触による歯根損傷が歯根の外部吸収を引き起こした 報告もあり,スクリューの歯根接触は可及的に避けられなければならない。

スクリューの植立方法にはSelf-Drilling法とSelf-Tapping法があるが,歯根接触によるスクリュー の脱落に関して両方法の比較は十分に行われていない。また,スクリューを傾斜して植立することで,

水平的な埋入深さは浅くなるため歯根接触を起こしにくくなる可能性が示唆されているが,両方法に おけるスクリューの植立角度と歯根接触の関係性は明らかにはされていない。

そこで,本研究では,上顎頬側歯槽部に植立したスクリューにおいて,植立角度と歯根接触の発生 頻度(以下,歯根接触率)の関係に加え,歯根接触とスクリューの脱落率(以下,脱落率)の関係に ついて,Self-Drilling法とSelf-Tapping法を比較,検討し以下の結果,および結論を得た。

1.スクリューの成功率は,Self-Drilling法が約91.5%Self-Tapping法が約94.4%,皮質骨厚は,

Self-Drilling法が1.02 ± 0.39 mm,Self-Tapping法が1.05 ± 0.25 mm,また,歯根間距離は,

Self-Drilling法が2.66 ± 0.62 mm,Self-Tapping法が2.82 ± 0.70 mmであった。これらはすべ て両群間に有意差を認めなかった。

2.水平植立角度は,Self-Drilling 法が骨面に対してより垂直に植立する傾向がみられ,両方法間に 有意差を認め,Self-Tapping法のコントラアングルハンドピースとSelf-Drilling法の手用ドライバー 使用時の視点の違いによるものと考えられた。

3.スクリュー−歯根間最短距離は,Self-Drilling法が Self-Tapping法に比較して有意に小さい結果 となった (P < 0.05)。これは,Self-Drilling法では垂直植立角度が大きく,スクリュー先端が歯頸部 に近くなりやすいため,歯根に近接する傾向にあったと考えられた。

4.歯根接触の発生頻度はSelf-Drilling法で約19.7%,Self-Tapping法で約21.1%であり,有意差は なかった。すなわち,Self-Drilling法における短いスクリュー−歯根間距離は,スクリューの歯根接触 の発生頻度に影響を及ぼさなかった。

5.狭小群と広大群との比較では,スクリュー−歯根間最短距離は広大群と比較して狭小群で有意に小 さくなる傾向がみられた。一方で,歯根接触率と脱落率では狭小群と広大群間に有意差はみられず,

歯根間距離は歯根接触率と脱落率に影響を及ぼさなかった。

6.歯根接触したスクリューと接触していないスクリューの脱落率の比較では,Self-Drilling 法にお いて歯根接触したスクリューの脱落率が有意に大きい傾向がみられた (P < 0.05)。Self-Drilling 法で は歯根接触による影響を受けやすく,咬合刺激でスクリュー周囲のマイクロクラックが広がり安定性 が低下した可能性が考えられた。

以上より,本研究においてSelf-Drilling法とSelf-Tapping法に成功率に差はみられなかったが,歯

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根接触したSelf-Drilling法によるスクリューは有意に高い脱落率を示した。また,Self-Drilling法の 短いスクリュー−歯根間距離は歯根接触の発生頻度に影響していないことが示唆された。

したがって,本研究結果は,歯科矯正学ならびに関連する歯科臨床分野の進展に寄与するところが 大であると考えられ,本論文の著者は,博士 (歯学) の学位が授与されるに値するものと認められた。

以 上

平成27年3月11日

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