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博(生)甲第279号

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Academic year: 2021

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博(生)甲第279号 氏 名 呉 鵬

主査 連 清吉 副査 佐久間正 副査 谷村賢治

論文審査の結果の要旨

呉鵬氏は、2009 年 4 月に長崎大学大学院生産科学研究科博士後期課程に進学し、現在に至ってい る。同氏は、生産科学研究科に進学以降、環境科学を専攻して所定の単位を修得するとともに、日 本近代の中国学に関する研究に従事し、その成果を 2011 年 12 月に主論文「京都中国学派の『論語』

研究」として完成させ、参考論文として、学位論文の印刷公表論文4編(うち審査付き論文3編)、

その他の論文2編(うち審査付き論文1編)を付して、博士(学術)の学位の申請をした。長崎大 学大学院生産科学研究科教授会は、2011 年 12 月 21 日の定例教授会において論文内容等を検討し、

本論文を受理して差し支えないものと認め、上記の審査委員を選定した。委員は主査を中心に論文 内容について慎重に審議し、公開論文発表会を実施するとともに、最終試験を行い、論文審査およ び最終試験の結果を 2012 年 2 月 15 日の生産科学研究科教授会に報告した。

本研究は、狩野直喜をはじめ、武内義雄、吉川幸次郎、貝塚茂樹、宮崎市定4人、いわゆる京都 中国学研究者の『論語』に関する論攷を解析し、それぞれの特質を究め、それの関連性を見出した うえで、京都中国学派における『論語』研究の系譜を構築して、日本の『論語』研究史においての 位置を究明した。

京都中国学の人々の『論語』に関する論攷は、おおよそ伝統学術の成果を批判的継承しながら、

その独創性を展開された秀作だと言えるであろう。狩野直喜は、江戸古学派と清朝考証学の学説を 継承しながらも、古学派の護教主義から脱却し、諸説を旁捜博引して、その明確な論断は清朝の学 者より優れた創見があった。武内義雄は、古学派と清儒の原典批判の成果を継承したうえで、『論語』

の源流と系統を明らかにした。当時の学界において、その結論は、全く新しいものであって、大き な独創性を有するものである。吉川幸次郎は、『論語』の文学性を力説し、その『論語』の文章の「リ ズム」などの論説は、従来や同時代の他の学者の著述には稀に見ず優れたものである。貝塚茂樹は、

「新釈古」の基礎とする出土文物の考証及び甲骨文、金文などの古文字の解読によって『論語』の 文献に残された古史再建の問題を解決した。宮崎市定は、『論語』の研究史から中国経学史及び孔子 地位の変遷史を捉える歴史学者の独特の古典研究方法も、従来や同時代の論考に見られない独創的

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な見解である。

以上のように本論文は、京都東洋学の百年の研究業績を踏まえ、江戸(1603-1866)儒 学の中心である『論語』を取り上げ、狩野直喜ら京都中国学研究者はいかに近世の学問成果を批判 的継承しながら、清朝考証学や西欧の近代的実証主義の方法論を参考して、中国の伝統的学問論、

いわゆる経典化とされた絶対的存在である『論語』を文献批判の作業を行い、『論語』の成立経緯 を明らかにする。さらに『論語』の思想内容、文学芸術と経典とされる所以を究明する。こうした 一連の論考することによって、京都中国学における『論語』研究の系譜および日本近代中国学の真 髄を発明するのである。なかんずく京都中国学の人々の『論語』研究に関する方法論的「新釈古」

や「新研究」などの論攷は前人未発の析理であり、その最も精力を傾注して学識を見せる真骨頂で ある。その成果は日本における『論語』研究史に多大の寄与をするものと評価できる。

学位審査委員会は、日本近代中国学の分野において極めて有益な成果を得るとともに、古典文献 学の研究の進歩発展に貢献するところが大であり、博士(学術)の学位に値するものとして合格と 判定した。

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