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札幌医科大学小児科教室 〔主任 南浦教授)

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(1)

木L幌医誌  8  (1>,70〜72 (1955)

急性腎炎に併発せるSch6nlein−Henoch氏紫斑病の1例   河西秀子 鈴木重喜

札幌医科大学小児科教室 〔主任 南浦教授)

A Case of Sch6nlein−Henoch s Purpura Aceompanied

      by Acu七e Nepri七is

       By

       HIDEKo KAsAl and SHIGEKI SuZuKl

  Department of Pediatrics, Sapporo University of Medieine          (Chief: ?Tof. K・ MiNAnnvnA)

      緒   言

Sch6nlein−Henoch氏紫斑病の発生にアレルギーが関係 することは古くOsler(1914)により暗示されていたが,

これにAnaphylactoid−Purpuraという名称を与えたの はGlanzmanni)(1920>である。

 その後,本症のアレルギ{性を裏付ける多くの実験的,

臨床的研究が報告され現在では一般にその妥当性が認めら れている。

 本症の経過中,出血性腎炎を併発することがあり,これ に関しては山田2♪,松山3),鯉淵4),北川5),長沢等6)の報 告がある。

 しかしながら最近私ともは,急性腎炎にて入院中の女児 において,一旦腎炎が治癒への経過申再び増悪しこれに続 いて定型的なSch6nlein−Henoch氏症候群を晃した一例 を経験したので報告する。

         症 患者:4年4箇月の女児

 家族歴:同胞に出血性素因並びにアレルギー性疾患を 思わせるものはない。

 既往歴:2才の温いわゆる自家中毒症に罹患せる他,特 記すべきことはない。ツ反応陰性。

 現病歴:昭和25庫12月中旬頃風邪に罹患,その後顔 色がやや蒼白となり,眼瞼浮腫を認め且つ尿量も漸次滅少 せるに気付き,同月20日浮腫と乏尿を主訴として当院小 児科に入院した。

 現症及び検査成績:体格栄養中等度,体温38.5℃,脈 臆110,顔面蒼白で眼瞼は浮腫状を締し,咽頭扁桃腺は著 しく発赤している。胸,腹部には異常は認められない。ま た当時皮膚粘膜に何等出血斑は認められなかった。

 尿は弱アルカリ性で,比重1,020,蛋白は強陽性で,尿 沈澄に多数の赤血球と腎上皮細胞を認める。血圧は145〜

75で高い。血液像では赤血球338万,血色素量78%(ザ ーリ 氏法)で貧血を認める外著変はない。

        経過並びに治療

急性腎炎の診断の下に食:餌は第1度腎臓庇護食とし,利 1  表

ス院病日

㏄白圧 量脚 蛋氏  ↑ 尿尿血

鵬}症状

1

 150

4nloo 145・一75

5

0 5 0

 60

0陶

 10

 1

9

150

70/.

. lr

300 0

21  350

 0

105  i 65

m

400 0

31

440 0

39

 500

 0

100 t一 60

52 460

0

浮腫(・+,) 浮陸(一)     発熱+)      発疹(+)

扁桃腺炎(+)

     扁桃腺災(÷)    紫斑㈱

扁桃腺炎←)嘔吐(+)  嘔吐㈹ 関節痛⑯      腹痛(+) 吐物コーヒー様

発疹(一)  麻       疹

紫斑(→

      罹 関節痛(+)  患

退院

70

(2)

8巻1号

河西・鈴木一急性腎炎とSch6nIein−Henoch氏紫斑病

.71

尿剤として酷剥,ビクシンを用い,一:方ペニシリン1日:量

30万単位を筋注せしめた。入院第1日尿量150回目,蛋白

(=スバッ・h氏法)4%oであったが,翌日には解熱し,扁 桃腺の発赤も消退し,第5日目には尿量も500ccに増加

し,尿蛋白も定性的に僅かに認められる程度となり,血圧 も110〜60と下降し,諸症状が緩解したが,第10日目頃 より再び扁桃腺炎を併発し,これに伴い尿量の減少,尿蛋 白の増加を来した。 しかしこの尿の異常は2〜3日で好転 したが,これに代って間漱的な腹痛とともに嘔吐が頻発 し,日数の経過とともにますます嘔吐は烈しくなり,腹痛 も頻発するようになり,体温も38℃を弛張し,全身状態 も増悪し乾燥著しくなり,多量の補液を必要とした。その 聞尿量は,1日量300〜400ccであったが,尿蛋白は軽度 の陽性を示すにすぎず,尿沈渣にも顕微鏡的に僅少の赤血 球,腎上皮細胞を証明するにすぎなかった。

 第幻日目には,遂に慰物にコーヒー残渣用物質を混入 するに至り,便をテール便となり,その頃より両側の膝関 節部の痙痛を訴え始め,翌第28日目には両側前臆部伸側 に大小種々の扁平葬蘇疹様発疹とともに,全身に粟粒大か ら碗豆大の定型的な出血斑が現れ,患児は腹痛と関節痛を 頻回に訴えるようになった。この時の血液所見は第2表の 如く,血小板数,出血時聞,凝固降臨に異常を認めず定型 的Sch6nlein−Henochの紫斑病の病状を蝕した。

第 2 表

をみず,尿量も400〜500ce尿蛋白も象第に陰性となり,

血圧も100〜60で上昇を見ずしかもfi 39日目頃より麻疹 に罹憲せるもその後,腎炎の再発,紫野の再現を見ること なく第52日刊で退院した。

\さ日

血液所見 、

殉球げ%殉

球血素﹇板

割 色タ小 串白血︻血

1 1 3 j g L 18 338 1320

    7,80017,600

7き 74 330

7,900

72

25 1 35 3io 1 3ss 1 37s

8,1001 8,200i 7,080

70 i・ 74 i 78

10i11巨3

1) 2r 1

6Zi 6: ii 59

2gl 3:, 32

紛i蕩1霧

1欝.響←)

総括及び考按

百分比 好酸球

程黒球

分葉酬

淋巴球 脚 球

出血時間

凝血時間1

亡聖戦1

1 .

2「

  

661

27 4

t

9一〇U4貞65   ρ09一 23825

  FOOり

 よって本症としての治療を実施したところ,出血斑は発 疹出現後4日貝には殆ど消失し,嘔吐,腹痛も激減し便の 潜血反応も1週聞後には陰性となったが,関節痛のみ第39

日目まで継続した。

 一方尿の所見も出血斑,発疹の出現にもかかわらず増悪

 本症例は急性腎炎に罹患し,それが一時治癒の傾向にあ ったものが再び増悪し続いて定型的なSch6nlein−Henoch 氏紫斑病を惹起した例である。従来この紫斑病の経過中に 急性出血性腎炎を合併するとの数多くの報告がある。わが 国でも長沢は32例申15例,松山は20例中3例,鯉淵は 29例中7例,北川は20例中11例,山田は29例中10例の 腎炎の合併を報告している。私ともの症例は丁度これと逆 の関係rcある興昧ある症例と思う。

 本紫斑病の発生にアレルギーがその基礎をなしているこ とを初めて唱えたのはGlanzmannであり,彼の説の根 拠は本症が血清病と臨床的に極めて類似している点にあっ た。しかしその後これに反対する学者も多かったがAlex−

ander&Eyermann7)(1929)は少量の蛋白質により実験 的に紫斑病を発生せしめて以来,今日では本症がアレルギ

ーを本態として発生することは一般に認められている。

 本紫斑病を惹起するAIIergenも多種多様であり牛乳,

卵,肉類,豆などの蛋白質の外小輪,馬鈴薯,玉葱,苺な どの野菜,果物さらにはチョコレートなどの嗜好品におい ても起るといわれさらにまた食餌以外に細菌性アレルギー の存在も考えられGlanzmannは扁桃腺炎,申耳炎など の細菌性感染を電卜している8)。

 一方,急性腎炎の発生機序に関しては,色々の論義があ るが,臨床的に多く連鎖状球菌感染のある狸紅熱,あるい は扁桃腺炎の経過後3週前後に急激に腎炎の発生すること が知られ,その発生機序に腎のアレルギー反応が注目され,

殊に馬杉教授は抗腎抗体が耳糸毬体を抗元として反応する Doerrのいわゆる逆性アレルギーに近い関係で本症が成 立することを実験的に証明している9)。

 以上のようにSch6nlein−Henoch氏紫斑病並びに急性 腎炎の発生機序にアレルギー反応が一つの役割をなしてレ・

る点から,私ともの経験した症例を考察するならば,当初

急性扁桃腺炎に続発して腎炎を惹起し,しかも多量のペニ

シリンその他の治療により一時症状が軽快したのは,本症

の腎炎の発生原因に扁桃腺炎を惹起せる細菌の感染が考え

られ,しかも再度の扁桃腺炎の罹患により腎炎の増悪に続

いて,定型的な紫瑳病の発生を見たことも恐らく抗原とし

て扁桃腺炎を起した細菌が考えられ,このアレルギー反応

の結果として,諸臓器の毛細管内皮系統の透過性の増大を

来したためと思われる。

(3)

72 河西・.鈴木; 急性腎炎とSch6nlein−Henoeh氏紫斑病 オ:L幌医.誌」1955

以上のことからアレルギー性紫斑病に急性腎炎の併発す ると同様,急性腎炎にもまたアレルk  一一性紫斑病が現れ得 るものと考え.られる。

結 語

 4年4箇月の女児において,急性腎炎の経過中定型的な S.ch6nlein−Henoch氏紫斑病を併発せる1例を報告した。

 体論文の要旨は,昭和26年第16回日本小児科学会北海 道地方会にて発表した)。

(昭和30.6.28受付)

1) Glanzmann: Jb. Kinderh. 91, 391(1920).

2)山田:見科雑誌46,405.(昭15),

3)松山:見科雑誌328,1359(昭2).

4) 魚里を瑠: 見禾∋P雑誌 383,150(曝{6).       ・ 5) オヒ.Jll: 臣需床.tJ、見不斗雑誌 8−9,.121(日召10),

6)長沢1見科雑誌236(大9),

7) Alexander & E.yermann: J. A. M. A. 92, 2092

  (1929)・

8).Wintrobe: Clinieal HematolQgy 3 rd. ed. 758

(1952).

9)武田:アレルギーと結核288(1946).

Summary

   A case report of typical Sch6nlein−Henoch s purpura in a 4 year and 4 month old girl in the presense of acute nephritis.

   The authors are of the opinion that the allergie agent in this case may be of a ba−

cterial origin which may be the direct cause of repeated angina.

       (Reeeived June 28, 1955)

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