小学生のコミュニケーション能力に対する Pe r f b r ma nc eAs s e s s me nt( 3 )
‑ コミュニケーシ ョン能力育成活動を通 した変化の検討 一
虞岡 雅子1 )・秋 山 美和
2)・奥村 元美
3)・古結 亜希
4)横矢 祥代
5)・中西 良文
6)Perfor‑ anceAssess‑ entofInterpersonalC0‑ ‑ unication Co‑ petence am ongGradeSchoolers(3)
‑ Develop‑ entthrough cultivating c0‑ ‑ unication skillsactlVlty‑
M asakoHIROOKA
,M
iwaAKIYAMA,
M otom iOKUMURA,AkiKoGETSU,
SachiyoYoKOYAandYoshifu‑ iNAKANISHI要
旨本研究では、大学生が実践 しているわ くわくコミュニケーションクラブと称するコミュニケーション能力育 成活動に参加 した小学生のコミュニケーション能力の変化について
、PerformanceAssessment(PA)を用い て検討を行 った。先行研究 ( 虜囲ら
,2006b)において作成 された
Rubric( 評価規準)を用い
、 11名のわ く わ くコミュニケーションクラブ参加児童について、活動中の行動
(Task場面でのパフォーマンス)をビデオ 録画 したものを活動に関わりのない大学生が評定を行 った。その結果、頼むスキルに有意な上昇がみられ、応 答性スキルにも有意傾向のある上昇がみられた。 これ らの結果について考察を行 うとともに
、PAを使 った効 果の測定の特徴 と課題について議論を行 った。
Keywords
:コミュニケーション能力
、performanceAs sessment、実践プログラムの開発、社会的スキル、社 会的クリティカルシンキング
、Rubric、Task問題 と目的
近年 、子 どもの対人 関係能力 や対社会 関係能力 の低 下な どか ら様 々な問題 が指摘 されている
(e.g. ,吉 田,
1997)。 この間題 に対 して、 初 等 教 育 段 階 か ら社 会 的 能力 を滴 養す るよ うな取 り組 みが必 要 であ ると考 え ら れ、学級単位 の ソー シャルスキル トレーニ ング
(e.g. , 図分 ・岡 田
, 1997;藤枝 ・相 川
, 2001 ) な どが実施 さ れ るよ うにな って きた。 われわれ三 重 大学 教 育学 部教 育心理学教室の教員 ・大学院生 ・大学生 ( 以下、スタッ
フと呼ぶ)が中心 メンバーである 「 わ くわ くコ ミュニケ‑
シ ョンクラブ ( 以下、 わ くコ ミと略す る
)」 と称す るボ ランテ ィアグルー プは、三 重 県津市 内の公立小 学校 区 内の子 どもを対 象 と して、 5 年 間 にわた り、 心理 学 を ベース と した コ ミュニケー シ ョン能 力 育 成 活動 を行 っ ている ( 虞 岡 ・中西 ・虞 岡 ・後藤 ・横矢 ・矢神 ・福 田,
2005a;2005b;虞 岡 ・中西 ・虞 岡 ・横 矢 ・福 田 ・秋 山 ・伊藤
, 2006a)。 そ こでは、人 間関係の形成 や発展 を促 した り、 自他 の経 験す る感 情 やその表現 に注 目さ せた り、社会 的 クリティカル シンキ ング ( 虞 岡 ・小川 ・ 元 吉
, 2000;虞 岡 ・元 吉 ・小 川 ・斎 藤
, 2001な ど) や社 会 的 スキル
(SocialSkill)を獲 得 す ることにつな
1)
三重大学教育学部非常勤講師
2)桑名市立星見ヶ丘小学校
3)津市立自塚小学校
4)
三重大学大学院教育学研究科
5)三重大学高等教育創造開発センター
6)
三重大学教育学部
e‑mail:yosifumi@edu.mie‑u.acjp虞 岡 雅子 ・秋 山 美和 ・奥村 元美 ・古結 亜希 ・横矢 祥代 ・中西 良文
がるようなプログラムを開発 して実践 してきた。
このよ うな実践 に関 して、 その効果 について検討す ることは極 めて重要である。例 えば後藤 ・佐藤 ・高 山
(1998)は、戸 ヶ崎 ・坂野
(1997)で作成 された社会 的スキル尺度 を用 い、児童 の 自己報告 によってスキル の変化 を測定 している。 これによ り、 向社会 的スキル が訓練後 に有意 に増加 していることが明 らか とな った が、児童 の 自己報告のみによる効果測定 の限界 につい て も指摘 されてい る。 また、藤枝 ・相川
(2001 ) は、
児童 の社会的スキル について、 自己評定 と教師 による 評定 を児童 自己評定尺度 ( 藤枝 ・相川
,2001 ) を用 い て行 い、実践 の効果 を検討 している。 その結果、実践 学級 の社会的スキルが低 い児童 は、社会 的スキルが上 昇 した と自己評価 す るまで には至 らなか った。一方、
教師 はこれ ら児童 の社会的スキル は上昇 した と評定 し た。 この ように、児童 と教師の評定 に食 い違 いが見 ら れ、 それぞれの評価 の信頼性 について課題が残 されて いる。 これ らの研究か ら、 コ ミュニケー シ ョン能力育 成活動 における子 どもの コ ミュニケー シ ョン能力 の変 化 を、児童の 自己評定 に頼 らず、 また、一定 の信頼性 を有す る方法 によ って測定 す る重要性が指摘 され る
。このよ うな観点か ら、わ くコ ミにおいては、子 ども に もた らす活動 の効果 を検討 す るために
Perfbrmance Assessment( 以下
、 pA)を導入 した ( 虞 岡 ・中西 ・ 虞 岡 ・横矢 ・福 田 ・秋 山 ・伊藤 ・小倉
,2006b)。 PAとは、 あ る特定 の文脈 の もとで、 さまざまな知識 や技 能な どを用 いなが ら行 われ るその人 白身 の作 品やふ る まい ( パ フォーマ ンス) を直接 に評価す る方法の こと であ る ( 鈴木
, 2004;松下
,2005)。PAは、文脈性、
分 割不可能性 とい う特徴 を有 して い るた め ( 鈴 木,
2004;松下
, 2005)、 こうい った特徴 は コ ミュニケー シ ョン能力の測定 に適合 してい ると考 え られ る ( 虞 岡 ら
,2006b)。PAにおいて は、パ フォーマ ンス課題で あ る
Taskにお け る行動 を、 評価 規 準 で あ る
Rubricを用 いて評価 す る。 この
Rubricの開発過程 で は、一 度作成 した
Rubricにつ いて、多 くのパ フォー マ ンス 事例 が集 まるごとに再検討 し、改善 し続 けてい くこと が重 要 で あ る とされ て い る ( 西 岡
, 2002)。 虞 岡 ら
(2006b)、虞 岡 ・中西 ・虞 岡 ・横矢 ・秋 山 ・伊藤 ・東
(2007)で は、 コ ミュニケー シ ョン能力測定 に関す る
Rubricと
Taskに対す る検討 ・改善が継続的に行われ、
それ に伴 い信頼性 が高 まってい くことが示唆 されてい る。 本 研 究 で も、 これ らの検 討 の 中 で 開発 され た
Rubricを用 いて、 コ ミュニ ケー シ ョン能力 の評定 を 試 み る
。さて、虞 岡 ら
(2006b)で は、 あ る一 つの コ ミュニ ケー シ ョンスキル につ いて、頻繁 に発揮 され るスキル 水準 と、頻繁 に発揮 され るわけではないが本人 が持 っ ている最 も高 いスキル水準の
2種類があると考 え られ、
Task
中 に最 も多 く見 られた行動 を評定 す る最頻 行動 評定 と
Task中に見 られた最高 の行動 を評定 す る最高 行動評定 とい う2 種類 の評定 が実施 されてい る。 その 結果、 この
2種類 の行動評定得点の水準 が異 な った様 相 を見せ ること、他の指標 との関連 の様相 が
2種類で 異 な ることが見 出 され、 これ ら
2つの指標 を弁別 して 評定 す る重要性が示唆 されてい る
。以上 を もとに、本研究で は、 わ くコ ミの活動 による 小学生 の コ ミュニケー シ ョンスキルの変化 について、
pA
を用 いた評定 によ って検討 す る。 その際、最高行 動評定 と最頻行動評定 の
2種類 の評定 を行 うことで、
それぞれ どの ような変化が見 られ るのか につ いて詳細 に検討す る。 なお、本研究 では、 スタ ッフで はない学 生 による
PAを行 い、 それ によ って得 られ るメ リッ ト
と課題点 につ いて も検討 を行 う
。方 法
わ くコ三での実践活動 わ くコ ミで は、 ソー シャルス
Table1 2006
年度春クラス ・秋クラスの活動概要
クラス 回 日 程 活 動 タ イ ト ル 主な活動内容
春 ス ク
フ 第1回
5月
20日気持ちのいいあいさつをしよう あいさつ .自己紹介
第2
回
5月
27日虫のおはなしをつくろう ( ※
PA評定課題) 共 同作成
第3
回
6月 1 0日 聞いている人に伝えよう 目配 りに気をつけた話 し方
第4
回
6月
24日うまく頼めるかな 頼み方
第5
回
7月 8日 上手な断 り方を知ろう! 断り方
第6
回
7月
21日怪盗わくわくんからの挑戦状 ( ※
pA評定課題) 問題解決課題
秩 ス ク
フ 第1回
9月
30日はじめまして、こういうものですが あいさつ .自己紹介
第2
回
10月
14日いろいろな見方 他者視 点
第3回 1 0月
28日気持ちのいい頼み方 .断り方 頼み方 .断り方
第4
回
11月
11日感情を表現する顔 表情 .感情
第5
回
11月
18日わくわくすごろく ( ※
pA評定課題) 共 同作成
キル トレーニ ング ( 小林 ・相川
, 1999;佐藤 ・相川,
2005)と構成的グループエ ンカウンター ( 国分 ・岡田,
1997)な どの要素 を取 り入れなが ら、子 どもが楽 しみ なが ら好 ま しいコ ミュニケー シ ョンについて考え、対 人的 ・社会的場面におけるい くつかの具体的なソーシャ ルスキルを学ぶ活動が実施 されている。 スタ ッフは、
教育学部学校教育講座 に在籍す る有志の学部生、 およ び、教育学研究科学校教育専修 に所属す る有志の大学 院生 であ り、 また、本学部教員が補助を行 った。本研 究の対象 は
、 2006年度 の春 クラス全
6回、 および秋
クラス全
6回の活動であった
(Tablel参照)。
コ ミュニケー シ ョンスキルについては、春 クラスの 第 1回であいさつのスキルを、第
2回で話すスキル、
第
3回で聞 くスキル、第
4回で頼むスキル、第
5回に 断 るスキルを学習 させた。 また復習 として秋 クラスの 第 1回であいさつのスキルを、第
3回で頼むスキル ・ 断 るスキルを重点的に取 り上げた。秋 クラス第
2回で は、他者視点を取得 させ るために、錯視 図形 を利用す るな どして、 ものの見方の クセや多様な見方があると いうことに気づかせ ることをね らい とした活動を行 っ た。特 に話すスキル ・聞 くスキルについては、毎回の 活動で、話 し合い場面、発表場面、聞 く場面各 々にお いて繰 り返 し意識 させた。各回までに学習 したコ ミュ ニケーションスキルを子 どもが思い出せるようにスタ ッ フは声かけを行 った り、 ときには上手な コ ミュニケー ションの見本をロールプレイで示 した りすることによっ てスキルの定着を促 した。
活動全体 を通 して、意見 を述べ る際にはその理 由を 述べ ることが相手 に理解 されやすい ことを繰 り返 し強 調 し、子 どもが意見を述べ る際には理 由を意見 と共 に 述べ るよう指導 を行 った。 そ して、 スタ ッフは子 ども 一人 ひとりの コ ミュニケー ション態度の特徴 を捉え、
受容的な関わ りをす ることによ り、わ くコ ミの場が子 どもたちの安心できる場所 にな るような温かい雰囲気 作 りに専心 した。
050
5
05050
50
LO44332211
00再 評 定 の 平 均 値
対象児
2006年度 のわ くコ ミに参加 した、小学
4年 生
〜6年生 のあわせて 目 名。児童 は毎回
3‑4名か ら なるグループで活動を行 った。
評定対象 と したコミュニケーシ ョンスキル 話す、聞 く、協力、調整、応答性、頼む、断 る ( 頼む ・断 るは 最高行動評定 のみ)の各スキル
評定者 スタ ッフではない
12名の大学生が評定 を行 っ た。 これ らの大 学生 は評定 前 に
30‑40分 をか けて
pAの説明を受 け、評定 の練習 を行 った。
評定方法 児童 1名 につ き、評定者
3名が
Rubricに 従い
5段階で評定 を行 った。 この
3名の評定者 は同 じ グルー プに所属す る
3‑4名の各児童の行動 を評定 し た。 まず各評定者 は、わ くコ ミ活動 中の
Task場面が 録画 された DVD を、撮影 された時期が分か らない形 で手渡 され、 これを見て各 スキルの最頻行動評定 と最 高行動評定 を行 った。 その後、 同一 の児童を評定 した
3名で評定得点をつ きあわせ
、 3名の得点が一致 した 場合 はその得点を
、3名の うち 1名で も不一致だ った ものについては
、3名の協議 によって同定 した得点を 分析 に用 いた。なお、断 るスキルについては、春 クラ ス全
6回中の第
6回 と秋 クラス全
6回中の第
5回の
Task場面の評定 を行 った。断 るスキル以外 のスキル については、春 クラス第 2 回 と秋 クラス第 5 回の評定 を行 った。
結 果
コ ミュニケーションスキルを学習す る前 ( 春 クラス) と学習後 ( 秋 クラス) の
2時点 におけるスキルの行動 評定得点 について、時期を独立変数、行動評定得点を 従属変数 と した対応 のあ る 1要 因分散分析 を行 った
(Figure1 )。 その結果、頼むスキルの最高行動評定 に ついては有意な主効果がみ られ
(F( 1
, 10)‑20.25,A<.o
l
)、春 クラス と秋 クラスの間で行動評定得点が上 昇 していることが見出された。 また、応答性 スキルの
4.5 4.6 4. 4.04.1 4.2 3.8 4.2
■.5
3 . 3 . 0
3.2 3.2323
話 聞 協 調 応 話 聞 協 調 応 頼 断
す く 力 整 答 す く 力 整 答 む る
最頻行動評定 最高行動評定
Figure
l 春の評定平均値と秋の評定平均値
虞岡 雅子 ・秋 山 美和 ・奥村 元美 ・古結 亜希 ・横矢 祥代 ・中西 良文
最高行動評定 について有意傾 向のある主効果
(F( 1 ,
10)‑3.75,p'.10)が見 られた。それ以外 については、
有意な主効果 は見 られなか った。
なお、有意な結果 は上述のものしか認められなかった ものの、最高行動評定 においては、断るスキル以外の
6スキルにおける得点が、春 クラスに比べて秋 クラスの方 が上昇 している様子が見 られた。一方、最頻行動評定に ついてはそのようなパターンは見 られなかった。
総合考察
本研究では、わ くわ くコ ミュニケー シ ョンクラブと いうコ ミュニケー ション能力育成活動 に参加 した児童 の コ ミュニケー シ ョン能力の変化 について
、 PAを用 いて検討 した。その結果、頼むスキルの最高行動評定 については有意な上昇がみ られ、応答性 スキルの最高 行 動 評定 につ いて有 意傾 向の あ る上 昇 が み られ た
(Figurel参照)。
頼むスキル は、春 クラスでの得点が低 いことか ら、
もともと子 どもが苦手 とす るものであったが、頼むス キル について学習 した ことによってその水準が上昇す るという結果が得 られた と考え られ る。具体 的には、
頼むスキルの評定得点 は
、 3.0か ら
3.8へ と有意 に上 昇 した。頼むスキルのルーブ リックにおいて評定得点 が
3であるとは、頼み事 を言葉で伝 え られるが、 その 理 由には言及 しない とい う水準である。評定得点が
4であるとは、頼む理 由に言及できるという水準である
。この結果か ら、わ くコ ミでの学習を通 して、子 どもの 頼むスキルの質が、頼む理 由を表明す るとい う自己表 現の方略を使 って相手 に自分の事情 を説得的に伝 え ら えれ る段階に変化 した といえよう。わ くコ ミの活動で は、頼む とい う行動以外で も、理 由をつ けて意見 を述 べ るように指導が されてきた。 そのため、頼むスキル の学習 において も、普段か らの指導 によ り、頼む 「 理 由」 を表明す ることが好 ま しい ことであるという認知 が子 どもの中で比較的短期間の うちに抵抗感 な く形成 された と推測 され る
。応答性の評定得点は
、4.2から
4.5に上昇 した。応答 性スキルの
Rubricにおいて評定得点が
4であるとは、
相手 との会話を継続 させる応答ではなく
、「いやだ」 とい う意志 は伝えるが、会話を発展 させることはしないとい う水準である。評定得点が
5であるとは、話の流れに沿 っ た受け答えができる水準である。わくコミでは、スタッフ は子 どものコミュニケーションモデルになるように、子 ど もが話すときにはしっかりと子 どもの話を受け止め、 さら に会話を促すといった丁寧な関わりを毎回心がけている。
そのため、 このようなスタッフの支援 的な関わ りが、子 どもにとってのモデルとなり、子 ども白身が会話を発展
させる受け答えをするようになった要因の 1つであるとも 考えられる。応答性 は、全てのコミュニケーション行動 においても重要な行動である。本研究で応答性の評定得 点が有意傾 向ながら上昇 したという結果から、 コミュニ ケーションスキル活動全般 に関わる側面 も向上 していた 可能性が考えられる。
ところで
、 PAの評定 によるスキルの有意な変化 は 最高行動評定 において見 られたが、最頻行動評定 にお いては見 られなか った。最高行動評定値 とは
、 PAの 評定対象 と した
Task場面で観察 された最 も評価 でき る行動の水準を示す ものである。よってその意味では、
最高行動評定 は、認知 されているスキルの表 出水準の 上限を示す ものである。 この ことか ら、最高行動評定 値が上昇 した とい うことは、子 どもが行動 として表出 できるスキルの水準の上限が上昇 した と考え られ る
。わ くコ ミのスタ ッフは、年間を通 して、子 どものコ ミュ ニケー シ ョン能力 を育成す るために、「コツ」 とい う 言葉 を頻繁 に用 いてスキルの表 出、すなわち行動化 に ついて具体 的な意識 づ けを して きた
。 Rubricは、 ス キル ごとにコツの習得度 と評定段階が対応づ けられて いる。本研究では、最高行動評定得点が上昇 した こと か ら、子 どもにコツという形で具体 的な行動 を意識づ けることによって、子 どもがよ り高 い水準のスキルを 発揮できるようになる可能性が示唆 された。
しか し、最頻行動評定 に変化が見 られなか った こと か ら、 日常の文脈では、スキルを積極的に使 おうと意 識す ることでようや くスキルが発揮できるという可能 性、高水準のスキルは 日常的に発揮できるほどには習 得 されていないという可能性が考え られ る。つま り、
周 りか らの支援を頻繁 に受 けて、子 どもが繰 り返 し意 識 し行動化す ることが、スキルの般化 には不可欠 であ るといえよう。 しか しなが ら、わ くコ ミは月
2回の活 動であ り、子 どもが高水準のスキルを求 め られる場面 は少 ない。そのため、 こうしたスキルを般化 してい く ためには、わ くコ ミの活動 日以外の 日常的な場面 にお いて も子 どもに意識 させ る工夫 が必要である。わ くコ ミでは、 「わ くわ く トライ」 とい う名称で、 わ くコ ミ の活動外の時間にスキルを意識 できるような課題 を毎 回用意 している。例えば、気持 ちのよい聞き方を活動 で学習 した ときには、 その後の生活の中で聞 くときの コツを使 って人の話を開けたかどうかをシー トにチェッ クさせて次回の活動時 に確認 しているが、 このような 働 きかけ も 1つの有効 な手段であるだろう。 また、保 護者 や周囲の大人 の声かけや友だち同士の声かけが期 待できる環境作 りや、子 どもがうまくコ ミュニケーショ
ンスキルを発揮できた ときには しっか りと認 め られる
ような環境作 りも重要であろう。 このように、 コ ミュ
ニケー シ ョンスキルについての意識づけを行 いなが ら
よ り高水 準 の行動 の表 出を促す、 とい う援助 が子 ども の 日常 の生活環境 の中で広 が ってい くことが大切 であ ると考 え られ る
。PA
の可能性
本研究で は
、 PAを用 いてわ くわ くコ ミュニケー シ ョ ンクラブを通 した子 どもの変化 について検討 を行 った。
pA
は、 評定 の対 象 を
Task場 面 に限定 し、 行 動 の水 準 を明確 に記述 した
Rubricを使 って評定 を行 うた め、
単 な る行動観 察評定 よ りも、信 頼性 が高 い と考 え られ る。本研 究 で は、 スタ ッフで はない者 が評定者 とな り
pAを行 った。 スタ ッフが評価 を行 う場 合、評定 場面 以外 の児 童 に関す る情報 な どが評定 に影響す る可能性 があ るが、 スタ ッフでない者 が行 う場合、 その よ うな 影響 を排 した評価 を得 ることがで き る。 その意味 で本 研究 での結果 は、 その よ うな影響 が抑 え られた上 での 結果であると考 え られ る。 しか しなが ら、 コ ミュニケー シ ョン能力育成活動 の経験 がな い評定者 は、短 時 間の 評定練習 を受 けてはいた ものの、十分 に子 どもの コ ミュ ニケー シ ョン行動 を見 る目を持 って評定 に臨 んで いた か疑 問の残 る ところで あ る。 この点 スタ ッフは、子 ど もと長期 間関わ ってい るた め、子 ど もの行動 をよ り深 く理 解 してい ると考 え られ る。 よ って、今後 はスタ ッ フによ る
PAも同時 に行 い、 その両者 をつ きあわせ る ことで、 それぞれの評定 の もつ特徴 につ いて明 らか に す る こと も必要 にな る と考 え られ る
。な お、 スタ ッフが
pAを行 うことには、実践 的な意 義 もあ る と考 え られ る。 す な わ ち
、 pAの
Rubricに よ って、一人一人 の子 どもの コ ミュニケー シ ョンスキ ルの水準 を数値化 で き、現 在 の表 出可能 な行動 の詳細 が明確化 され、 さ らに次 の スキル水 準 の発達 目標 が明 確 にな る。 したが って、 スタ ッフが取 り組 むべ き次 の 目標 も具体 的 にな り、 コ ミュニ ケー シ ョン能力 の 向上 への支援 が しやす くな る。実 際、虞 岡 ・中西 ・秋 山 ・ 横矢 ・伊藤 ・東 ・虞 岡
(2008)で は、 わ くコ ミの活動
に
PAが導 入 され、 スタ ッフの子 ど もを見 る目が精微 化 され て い くこ とが示 唆 され て い る。 この よ うに、
pA