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雑誌名 奈良教育大学教育工学センター研究報告

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(1)

奈良教育大学学術リポジトリNEAR

CATV受容に関する研究(?) −下市町CATVを事例と して−

著者 太田 静樹, 梅田 耕吉

雑誌名 奈良教育大学教育工学センター研究報告

巻 2

ページ 1‑12

発行年 1979‑03‑30

その他のタイトル A Study on Acceptance of CATV −A Case Study of Shimoichi CATV−

URL http://hdl.handle.net/10105/4666

(2)

CATV受容に関する研究(Ⅱ)

‑下市町CATVを事例として‑

太田静樹(教育学教室) ・梅田耕吉(丹生小学校)

A Study on Acceptance of CATV

‑A Case Study of Shimoichi CATV‑

Shizuki Ota ( Department of Education ) and

Kokichi Umeda (Niu Elementary School )

Abstract

This paper explains that the willness of inhabitants in Shimoichi‑cho to learn something, pervades in various fields of interest, culture, education and study. Shimoichi CATV (SIC) is not yet enough to cope with and satisfy it. So the discontent with SIC is strongly expressed as many kinds of demands.

SIC has a superior function to offer TV programs to schools as subject materials, but they are requested to become more useful for community and school resources with the reform of SIC system. Still more study to what extent SIC can solve problems of curriculums between schools is necessary.

Important problems on education in the town are pointed out and it is hoped that many demands and their correspondences will be offered mutually in more aspects hereafter and that SIC has insight and plans to manage them successfully with close cooperation of teachers.

Key words: TV program Community demand

1.はじめに(方法)

前稿(同題目I)においては内容の多くを下市町のCATV (SIC)の意義付の前提として

CATVの概観に賛した。(註1)本稿はそれに引続いて下市町のCATVの受容傾向についての

調査結果についてまとめ検討したものである。この研究の目的と方法についても前稿に述べて

いるので重複はさけるが,調査は下市町の教師や住民がCATVを受容するためには現在どの

ような学習意欲をもっているか,又下市町のCATV (SIC)に対してどのような認識,要望

をもっているかを探ろうとしたものである。本研究ではまず学習意欲をSICを受容するため

の源泉をなすものとして重視した。(琵2)

(3)

太田静樹・梅田耕吉

調査対象は下市町の全小学校,幼稚擬の全教師(61人と19人)と町内10地区内住民からの40 人とした。調査方法は郵送法によるアンケートで,回収率は小学校教師40.9%,幼稚園教師50

.6%,住民52.5%。

調査項目とその趣旨は次の如くである。

(教師に対して)

(1)学校教育上の問題点…・‥・・学校教育への問題意識

(2)研究希望分野

(3)授業研究分野

(4)研究雑誌

(5)単行本

(6)放送視聴

(7)文化講座

……‥学習意欲の分野

……・資料的学習情報源(学習意欲の具体化)

(8)研究上していること

(9)文化的行事への参加

(10)研究サークル

(11)利用教材教具

(12)利用し易さの理由

(13)放送番組利用

(1㊨ SI Cの認識

・…・…行動的学習情報源(学習意欲の具体化)

……‥授業における教材利用状況

(15)SI Cについての意見 ‥‥…・SICへの関心,程度

(16)町の教育上の問題……‥町の教育への問題意識

(住民に対して)

(1)町の話題‥……町のことへの関心

(2)学習希望のもの……‥学習意欲の分野

(3)趣味,実益=・・=‥学習意欲の具体化

(4)SI Cの認識

(5)SI Cの番組への意見

(6)SI Cについての意見

…‥SI Cの認識と意見

(7)町の解決したい問題…・・…町への問題意識

まず始めに小学校教師関係の調査結果を検討した。幼稚園関係は少人数であるため必要に応 じて述べることにする。

(以下%は小学校について)

2.結果及び考察

(1)学校で教育上,今困っていること。

これは学校教育への関心度,問題意識を問うものである。その間題を何らか解決していかな

(4)

CATV受容に関する研究(Ⅲ)

ければという意向をもてば,それは学習意欲そのものといってよい。問題意識が強ければ,そ の解決をどこに求めるか,個人的に又はグループ的に,又は公共的にといろいろな方法をとる

ことになろう。これはあとの問題となる。答としてあげられた主要なものは,

1)過疎の問題(20%)…・・…現実の問題として身に迫る問題である。子どもの人数の減少,

それに伴う学級や教師の減少など。

2)予算や施設の不足(24%)……=小規模校が多いために学校ごとの予算が少なく,施設,

設備に乏しいし運動場も狭いということになる。

1),2)の問題は恐らく下市町に限らずへき地の学校,教師にとって痛切な共通のもので あろう。

3)学校改築に関するもの(16%)

4)子ども自身のこと(16%)・‥…学九落ちこぼれ,登校拒否,習慣形成等。特に学力の問 題はへき地の子どもの低学力の問題として前々から問題にされている古くて新しいもので

ある。

過疎の問題は一市町村の解決しうる問題ではない。図の経済産業政策にかかわる問題でもあ る。奈良県でも昭和30年代から極端な過疎過密の問題が今日までも続いている。その状況の一 端が下市町にも現れているわけである。その先行き不安が町政としても苦労のあるところであ ろうし,それが教育にも反映してくる。当面教育の問題に限っていえば子どもが地域的な不利 を蒙むることなく,むしろ地域環境を生かすようにして出来るだけ教育の内容を充実し将来社 会人としてふさわしい学力をつけてやることであろう。そのため学校教育の機能を高めていか ねばならない。

以下(2)及び(3)は研究希望内容で,いわば専門的な学習意欲である。

(2)研究したい教科や領域

教師として当然もつものであり,その有無よりかは,その程度が問題であろう。

内容としては,ほとんどが各領域や各教科になっている。教科外としては,放送,特活,障 害,心理,学級指導,OHP等となっている。地域は狭くても教育上の研究分野は各方面にわ たっていて当然である。それに対して教師の人数が総体的に少ないことから一人で何重にも研 究を受けもたねばならないだろうし,又少人数からくる刺激の少なさから研究の中味が薄くな り低調にならざるをえ射)のではないかと恐れられる。その補強は個人的にも,グループ的に も何らかの方法で必要であるし,可能であろう。

(3)授業について研究したいこと。

指定した8項目のうち多いものは次の通りである。

・教育方法      44%      ・子ども自身のこと  24%

・生活指導      44%      ・教育内容      20%

・教材教具      28%

そのうち特に重視した多いものは,教育内容 20%,組織体制12%,両方合せれば,

・教育方法      48%      ・子どものこと  32%

・生活指導      48%     ・教材教具    28%

・教育内容      40%

これらについてみれば授業については,その方法や内容により高い関心があることが分る。

(5)

太目静樹・梅Hl耕吉

このことは幼稚園の場合においても同様である。問題はこれらの研究分野において充分要求 に応えられる体制になっているかである。例えばもし教材教具が不足であれば研究も充分には 進められないということになる。といってどの学校も充分ということはありえないのであり,

それをどう補っていくかである。そこに個人としてよりも,グループとして,又は全体として 研究の場と機会,組織をもつことが必要になろう。

子ども自身のことについても生活指導も含めれば他に劣らず重視されている。(1)においても 子どものことが問題にされたが,それは授業にも直接影響してくることである。(例えば学力 の問題など)

以下(4)〜(10)は研究に必要射吉報をどこから得ているか,即ち学習意欲を何で満たしているか,

その具体化の問題である。

(4)研究雑誌について

「教育技術」60%,「初等教育資料」24%,その他さまざまであるが合計19種40冊あげられ ている。1人1.6冊平均になる。

(5)単行本について(年に何冊か)

1年に5−10冊 48% が最も多い。月に1−0.5冊になる。

これらの研究参考図書が都市と比べて書店も少なく入手しにくいことは事実であろう。各学 校,研究所,大学等で毎年発行する研究資料はぼう大をものであろうが,ほしいものがほしい 時に得られない。そのために例えば町の図書館やセンターにおいて常時収集しておくようにし ておけば効果的である。これは視聴覚教材教具についつも同様である。

(6)放送講座の利用 24%

番組の種類,内容によるが,意外なほどに少ない。これは放送の定時刻に視聴しなければな らないという制約によるのかもしれない。これももしセンターなどで資料として必要に応じ,

又は要求に応じて録音,録画されれば利用は高まるのではないか。

以下(7ト(10)は外に出かけて行動的に学習意欲を満たそうとするもので,それだけ学習意欲は 強固であることが必要である。

(7)各地の文化講座に出席(28%)

(8)研究のために何かしている(40%)

教材に関する何かの研究をしている。

(9)文化的な催しに参加(研究,趣味,教養を満たすものとして)

・よく参加する  16%

・余り参加しない  48%

・したいができない 24%

参加意欲は40%の人がもっているが,それを満たしている人は僅か16%である。これは町に そのような機会が少ない。あっても行きたいものがない。忙しい,等によるものであろう。放 送がそれに利用されそうに考えられるが実際は(6)にみたように余り利用されていない。

(10)研究会サークル(52%が入っている)

教科に関するものが多い。問題は実際にどの程度参加活動しているかである。公的別井究会

は出張することになろうが,個人的な参加は日時が限定されてくる。町内,郡内のものはまだ

(6)

CATV受容に関する研究 日日

Lも他の地域であれば出かけるのに交通不便である。それを克服するものは何かである。

以下(11ト(13)は授業における教材教具の利用についてで,教師の学習意欲のあり方によってそ の状況は左右されるであろう。

(11)授業に利用している教材教具

もちろんこれは学校にその教材教具がどれくらいあるかによる。又少なくてもよく利用され るものもあれば,多くあっても余り利用されないものもあろう。故にその所有との関係を考慮

しなければならないが,ここでは個人単位の利用度をみたものである。

・小学校

テレビ…・=    ………・96%

副読本………‥…  ‥……・・64%

テープレコーダー日日・・‥…・36% 見学………32%

ラジオ………‥24%

写真………‥日日16% 映画……‥=   ・……‥8%

シンクロファックス…・…・4%

・幼稚萬

テレビ………・100%

紙芝居………・100%

副読本……‥=    …‥30%

OHP…・‥=………・=……=88%

実験………48%

ビデオ………‥32%

掛図=‥………‥28%

スライド………・16%

紙芝居………‥8%

模型……      =…・8%

標本…・・     =…・4%

スライド……・・‥  ………・90%

テープレコーダー…………60%

見学………20%

小学校ではテレビとOHPが最も多く利用されている。その重視度からみてもテレビが最高 である理由は恐らくSICによるためであろう。町の情報センターから,いつでも必要射寺に 送信して貰えることはCATVのもつ大きな強みで,これがよく生かされているといえようか。 OHPがテレビについでよく利用されているのは教師がいつでも手元で使える簡易機器であ るためであろう。 スライドや映画のような映像教材がテレビと対照的に不利用なのは何故であるか。機械の有 無,フイルムの有無,操作上の問題なのか,テレビをよくみているのでその必要を感じないの か問題がありそうである。 シンクロファックスの利用が最低であるのも,同様に機械,教材(シート)の問題なのか, 個別学習を進めるのに少人数学級では有利と思われるのであるが余り研究されていないのであ ろうか。 幼稚園ではテレビと紙芝居はどの園でも利用している。スライドの利用も多いのは小学校に 比して異なっている。 (12)教材教具の利用し易い理由 小学校    幼稚園 1)手近……・・  80%     100%

2)設備……・・  60%      30%

3)操作……‥   56%      60%

(7)

太田静樹・梅田耕吉

4)市販……・  36%       0%

5)自作……‥   36%     10%

6)安価……‥   20%      40%

7)近所…・・   20%      30%

8)その他……‥  0%       0%

利用し易い最大の理由は手近かにあるということ,即ちそれは教師がいつでも使いたい時に 自由に使えるということである。そのことは又設備が整っていることと操作がし易いというこ とと別事ではない。この3つが揃っていることが条件ともいえる。(11)でテレビ,OHP,紙芝 居の利用が最高であるのもそのためであろう。教材の自作は子どもに最適の教材を呈示するの

に今後益々必要に在ってくるが,その実情はど.うであろうか。

(13)放送番組の利用

小学校    幼稚園 1)よく利用   68%     100%

2)時々利用  16%

3)不利用   16%

テレビ利用は小学校,幼稚園とも盛んで両者ともナマ放送利用としている。といってもそれ は皆SICからの送信によるものか,そこで録画されたものもあろうけれども受け手からは,

ナマと受けとめられている。録画利用のよさもあるわけで,どのような利用においてどのよう な効果をあげているかを研究せねばならない。

以下(1軋(矧よSICについて,どのような認識をもち,又期待や問題をもっているかを問う ものである。

(1㊥ SICについて現在学校教育の分野で出来ることと将来可能と思われることとについて,

その認識の度をマトリックスによって問うたものである。

マトリックスは次のように作られている。

機       能 A B C

1 .再   送   信 テ レビが よ くみ える U H F や F M が視聴 で きる 遠 くのテ レビがみ える 2 . 自 主 利 用 校時 に合 せてみ れ る 家庭 に放送 自主番組放送

3 .放 送 交 流 校 内放送 を 遠 くの学校 と話 し合 い 学校 間で協 力授業 4 . 多目的利用 印刷 物送信 防災 利用 学習 反応利用

SICでは現在第3段階(学校間の放送交流)まで可能になっており,一部実施されている。

第4段階の多目的利用は今後の付加設備により,又要求度の強いものから実施されていくこと になろう。

現在のSICの機能として認識されていることは次の通りである。

(8)

CATV受容に関する研究(Ⅱ)

B−1……‥76%

A−2……‥72%

A−1……‥56%

C−3……‥48%

A−3……‥40%

B−3…・=‥40%

C−2……‥40%

CATVの再送信としての機能が最も多く把えられている。

CATVの双方向通信の機能も割合多く把えられている。

第3の放送交流の段階はまだ実験的に行なわれる。

れた程度であるが,関心はかなりあると思われる。

今後この機能が大いに活用されるようになれば学校の交流は進み,学校間の格差の問題もか なり解消されていくのではないかと思われる。(註3)

将来の可能性に対する期待は,

B−4…▼‥‥44%

C−4……‥36%

A−4…両‥24%

C−2‥‥…・32%

C−1…・‥‥28%

B−2……‥28%

B−3・…・…24%

多目的利用の段階で将来のもの。

これらは現在実験的に実施されているが,今後もその期待が強いものと みられる。

将来性として防災利用が最も多いのはこの町の歴史的な災害経験によるものかもしれない。

将来コンピューターを導入して学習反応装置に利用できることも期待されているとみてよい。

他地域において民営のCATVが家庭学習番組を予定している例もあるが,(註4)狭い地域にお いてコンピューターを教育上いかに利用しうるか,その効率性,可能性について検言寸の必要が あろう。

(15)SI Cについての意見

1)教材用の番組制作について(32%)

地域に適したもの,教材に役立っもの,それに適した制作体制をという要望である。

SICでは少人数の制作スタッフながらも秀れた地域社会番組を制作して好評を博して いるが,受け手からはもっと役立つものを求めている。それに応えていくにはどんな番 組制作組織を作ればよいか現場との関係から,より密接したものが望まれる。

2)センターに教育専門職を(24%)

これは1)にも関連しているが,SICにおける教育機能の重要性を考えればもっともな ことである。

3)センターを資料センターとして活用を(42%)

自主番組.がどんどん作られるようになれば,それらの番組と共にその制作に必要だった 視聴覚資料も併せて教材も豊富になるし,随時必要に応じて貸出しも可能になれば,地 域の教材資料ライブラリーの役割も果すことになる。

4)放送交流機能(16%)

CATVの双方向通信はまだ公的に認められていないけれども,CATVの最も特徴的

な機能として将来性を期待されており,実験的にも大いに進めたいものである。SIC

を媒介にして学校間の交流を図り教育の改革を推進し,又学校と家庭間を結んでその交

流をより密接にしていくことも可能である。

(9)

太田静樹・梅田耕吉

5)もっと放送時間帯を(12%)

6)SICに対する批判(12%)

これは予算上の問題と将来性に対する消極的な意見である。

全体的にみれば積極的建設的な意見がほとんどであり,SICが好意的に迎えられて いることが分るが,反面,問題も将来性にからんで多いといえる。

(16)下市町の教育上の問題点

ほとんどが町の教育行財政に対する要望という形で示され,施設,予算上の問題であるが,

それと共に町の教育改革としての理念を明確にという意見もある。

3.まとめと課題

(1)個人の学習意欲は趣味,教養,教育,研究上多岐にわたっていることは明らかであるが,

それらに対応し満足させていくにはSICはまだ不充分で,SICに対する不満が各種の要望 として強く示されている。

(2)学校にテレビ教材の提供という点ではSICは秀れた機能を発揮しているが,現場では,

より地域的な,教科に役立つものを,その組織の改革と共に求めている。さらにカリキュラム の学校間の問題についてSICはどの程度解決可能か研究されねばならない。

(3)町の教育上の重要な問題が指摘されているが,今後もっと多方面にわたって要求と対応 が双方からなされ,SICはそれにどうかかわっていくのか,その見通しと方策が望まれてい

る。

以上,地域のCATV(SIC)を受け手の学習意欲の観点から,どのように受け入れようと しているかをみてきたが,教師はその機能,将来性をやや過大評価している傾向があると思わ れる。SICの今後の発展のためには現実の問題解決の分野から,教師の協力によって徐々

にその機能を充実していく必要がある。

4.結果及び考察(住民の場合)

(1)町の話題

町のことについての関心度をみるもので,

・産業経済のこと(42.8%)…・・‥倒産,物価,不況,デノミなど

・教育のこと(19.0%)……‥学校改築,進学など

・その他(47.6%)……=日常生活的なこと(戒市,冠婚葬祭,住宅地,防火,旅行など)

話題ということは自らの関心事としてのものもあれば,流れてくる単なる噂話的なものもあ る。半数に近い人々は直接生活にかかわる産業経済の話題が多い。この町は過疎の傾向があり,

又社会全体の不景気もあって何とか町を活気あるものにしたいという念願が強い。

(2)知りたいこと,学習したいこと。

知りたいことと学習したいこととの間にはかなりの強弱の差があるが,広い意味では学習意 欲といえよう。

・町政に関すること(28.5%)……‥道路,議会,将来計画など

(10)

CATV受容に関する研究(Ⅱ)

・教育に関すること(28.5%)‥‥…・躾,心理など

・産業経済に関すること(14.2%)……‥地場産業,その他

・法律,税のこと(9.5%)

・趣味のこと(9,5%)

・その他(19.0%)

町政に関する情報の欲求が強いことは,平常定期的に配布されている広報紙では物足りない ことであろうか。必要射吉報は早く適確に得たいのは誰しも望むことで1ヵ月に1回ではとい うことになる。

教育に対する関心が強いことも表れている。この中には個人的なことも,一般的なこともあ る。個人的な生業に関するものは少なかったが,関心があることは(1)によっても察せられる。

(3)趣味、実益のために利用しているもの(学習意欲の具体化)

・テレビ(66.6%)……‥海外,園芸,動物,ニュース,美術,囲碁,将棋,ドラマ,料理,

健康番組など

・新聞(66.6%)

・△同好会・教室(38.0%)・=‥俳画・墨絵,スポーツなど

・雑誌(33.3%)

・△催し(23.8%)

・ラジオ(19.0%)・=…民謡,浪曲,ニュース,話し方など

・△公民館講座(14.2%)

趣味,実益に何を利用しているかは学習意欲を何で満足させているかということである。マ ス・コミとしてのテレビ,新聞が最も多いが,これらには趣味,実益的な内容がかなり多くな

り,しかも地域をこえて広い視野で情報を含んでいるためであろう。

これに対して外に出かけてやる行動的なもの(△印)は積極性を必要とするだけに%は低い。

しかしもっと地域に適したものを計画し機会を多くすれ吼 更にふえるかもしれない。

(4)下市町のCATV(SIC)について現在及び将来の機能の認識をみるものである。

機       能 A B C

1 . 再   送   信 テ レ ビが よ くみ え る U H F や F M が視 聴 で き る 遠 くの テ レ ビ が み え る 2 . 自 主 利 用 広 報 や 出 来 事 み た い 番 組 が み られ る 番 組 に 参 加 で き る 3 . 放 送 交 流 町 内 の 会 合 町 内 の 話 し合 い 】共 同 学 習

4.多目的利用 印刷物の送信 水位,水道の検針   [知識情報源

l

現在のSICの住民向けの設備と機能は学校向けよりも,かなり後れている実情で,今は第

1段階の再送信中心である。第2,3段階は実験的に行なわれている状況で,第4段階の多目

的利用は今後の問題である。これらについてどのように認識されているかである。

(11)

太田静樹・梅田耕吉

現在の機能について,

A−1(76.1%)

2(80.9%)

3(61.9%)

B−1(76.1%)

2(28.5%)

3(9.5%)

C−1(42.8%)

2(23.8%)

テレビがよくみえる 広報や出来事 町内の会合 UHFやFM みたい番組 町内の話し合い 遠くのテレビ 番組に参加

将来の機能について B−2(38.0%)

3(38.0%)

4(33.3%)

C−2(42.8%)

3(38.0%)

4(33.3%)

みたい番組 町内の話し合い 水位,水道の検針 番組に参加 共同学習 知識情報源

SICの現在の機能について現に受信しているが故か,よく認識されているといえよう。

最も多く認識されているのが「広報や町内の出来事がみられる」(A−2)でこれは身近な人が テレビを通じてみられることに親近感を強くもつためであろう。

ついで「今までよりテレビがよくみえる」(A−1)や「UHFやFMが視聴できる」(B−1)

が多い。これらは何れも再送信機能を喜んで受容していることになる。「遠くのテレビがみえ る」(C−1)も同様である。

「町内のいろいろな会合がみられる」(A−3)同じ町内でもいろいろな会合や催しに参加す るのは関係ある人に限られるが,テレビを通じて多くの人が共に考えることも出来るわけで,

その媒介をSICが果しつつある。これは今後の住民参加の問題とも関連して重要である。住 民参加は番組参加のみならず企画運営にも,どこまで可能であるか公営のCATVとして考え

ざるを得ない。

将来の機能についてはB列,C列のみでA列はあげられていないが,第4段階はコンピュー ター導入の段階であって誰しもまだ予想しにくいことである。第2,3段階も充分実現されて いるわけでないが,現在のSICに対する要望としてあげているのであろう。

(5)SI Cの番組についての意見

・町内のこと(38.0%)……‥町内の出来事,催し,事業などがよく分る。

・楽しい(23.8%)……‥おもしろい,親しみ,実感がある。

・要望(19.0%)……‥地域の行事や名所を,リクエストを,

・再放送・‥・…・(19.2%)・…・・放送時間帯をふやしてほしい,再放送をふやしてほしい。

・画面の改善(19.0%)……‥不鮮明,雑音

・専門アナ(9.5%)・・…専門のアナウンサーを

最も多いのは町内関係のことで親近感が強い表れである。しかも単に受動的な見方でなく,

みたものを資料として考える,それによって知識が高められる,より関心をもつようになるな ど積極的な取り組みの意見が多いのは頼もしいことといえる。

このことは番組に対する要望にも表われている。より地域性を重視したもの,リクエストの 要求,また再放送の要求などである。

現在の番組を楽しんでみているのは,23.8%であるが,それが身近な人や事によって支えら れているだけでは将来性に乏しいわけで,今後受け手の要望を取り入れた積極的な番組構成を 考えていかねばならないと思う。

ここで番組についての意見というのは,ほとんどが番組への要望になっているが,それだけ

に期待されているわけであるから,SICはこれにどう応えていくかである。番組編成委員会,

(12)

CATV受容に関する研究(Ⅲ)

同審議委員会,あるいはプロジェクト運営審議委員会などの意見も大いに参考になることであ ろう。

(6)SI Cについての意見

・放送時間について(47.6%)……‥放送時間を長く,再放送を最適の時間帯に,番組表を,

定時に放送を,番組の宣伝を,など

・番組内容について(38.0%)……‥地域の自然・行事・名所を,町会や行事の中継を,町 民の声を,など

・番組のPRを(19.0%)……‥もっと多くの人が視聴できるように

・画面について(14.2%)……‥もっと明るい画面に

・経費について(9.5%)・‥…‥工事費,維持費をもっと安く

ここではSICの番組以外のことについて意見を求めたのであるが,結局は(5)と同じくほと んどが番組に関する要望となっている。

放送時間に関することが最も多いのも,SICが好意的に受容されている証拠である。

番組の内容について地域性を強く求めているのは,住民は地域のことはよく知っている筈だ というものの感覚的,断片的に終っているのに対して,SICの地域番組は新しい見方で客観 的に映像として把え,新鮮さを与えているのであろう。この種の番組は他のテレビでは,なか なか求められないことであって,地域に密着したCATVならではのことである。

意見の1つとしてSI Cの公正中立を図るためには町当局より独立した運営をという論もあ り,これは公営ということにからんで今後の問題を指摘している。

経費に関する意見もあるが,公営としてどこまでやれるかである。民営のCATVが,いか に黒字経営にするかに最大の努力を払っているのに対し公営は一応利潤を無視して公共性を発 揮すればよいといえるのであるが,規模を広げていくようになれば,やはりそれだけ町のその

ための財政が確立されるのかどうかである。

(7)町の問題(解決してほしい)について

.町政に関すること(61.9%)……‥下水道,道路,駐車場,税金,町の計画,広報,など

.教育に関すること(28.5%)…・・‥施設の充実,運動場,広場,など

.中央公民館(14.2%)……‥設備の整った大規模のを,

ここでは1)と違ってもっと現実的に解決してほしい。さし迫った問題をあげているが,当然 のことながら町政に関することが最も多い。SICは直接にこれらの問題に関与するものでは ないが,住民の多様な問題意識や問題解決の要望がSICを通して町当局に反映しているかど うかが問題である。住民の声を町議会や各種委員会に反映さす方法は他にもいろいろあろうが,

SICを住民が積極的に利用する組織活動があってもよいわけで,又逆に町当局から情報を伝 達し,啓蒙に努め,誤解や不安を除くことも必要である。そのための公共SICであろう。そ

のような機能をより充実させることによって双方の意志流通が密になり,地方自治をより高め ることになる。

5.ま と め

住民の学習意欲の動向をSICに関連さして探ったわけであるが,町政に関すること,教育

に関することが多く,また趣味実益に関する意欲も強いことが明らかに表れており,ナマの文

(13)

太田静樹・梅田耕吉

化教養摂取の機会の少か、この地域にとってはSICを通じてそれをカバーし,より豊かな生 活をとは誰しも望むことであろう。

SICはCATVとして再送信と自主放送の機能をもち,しかも公営として公共のためとい う前提がある。そして地域の問題,住民の生活の問題が解決され,より向上していくために,

自主放送なり,住民参加を活発にし,それを通しての地域作りという大きい狙いを担っている といえる。その観点から今回の調査をみると,

(1)SICに対する住民の積極的な態度が強く表れていること。

(2)現実にSICの放送時間の延長を望んでいること。

(3)SICに対して地域の情報と地域性のある番組を求めていること,など。

SICは地域のテレビとして住民に歓迎され,浸透しつつあるといえる。しかしSICはま だ始まった許りで,これから本格的にその機能を発揮していかねばならないが,調査に表れた 住民の欲求にどう応えていくか。それと共に町自身のビジョンをどう実現していくかというこ

とも関連して注目されるところである。

次の研究課題としては現実にSICの番組が,どのように受容され,活用されているか,そ の現状を分析しなければならないことである。

(1)太田静樹・梅田耕吉,CATV受容に関する研究(I) 研究報告1,p.1,1978,奈良教育大学教育 工学センター

(2)学習意欲については次の文献を参考にした。番組研究部,社会人の学習意欲,文研月報1972−8,NH K総合文研, 同,テレビ利用学習行動の特性,1977−8,NHK総合文研

(3)この問題については千葉県館山市教育委員会放送センターの資料を参考にした。

(4)NNS甲府CATV局は1979年4月から,その予定にしている。

参照

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