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アセチル化セルロースナノファイバーペーパーの作製 環境資源学専攻

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Academic year: 2021

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北海道大学 大学院農学院 修士論文発表会,2020年27

アセチル化セルロースナノファイバーペーパーの作製

環境資源学専攻 森林資源科学講座 森林化学 平良 尚梧

1. はじめに

セルロースナノファイバー (CNF) は木材繊維を解繊することで得られる軽量, 高強度の材料 で, 樹脂の補強材料として注目されている。しかし, CNF は親水性であるため, 疎水性樹脂との 混和性が問題となっている。当研究室では, 混和性を改善する方法として, アセチル化

CNF

(Ac-CNF)

の開発に取り組んでいる。この

Ac-CNF

には, 天然セルロースと同様な繊維形態を持

つことが要求される。以前の方法では, セルロース原料を不均一系アセチル化後, 解繊するこ

とで

Ac-CNF

を調製したが, 解繊性と熱安定性に問題を残した。そこで, 本研究では, 解繊効率

の改善と熱安定性の向上を図る新規

Ac-CNF

調製方法の開発を目的とした。その検討過程で,

Ac-CNF

から透明な紙を作製することに成功したのでその評価も併せて行った。

2. 方法

不均一系アセチル化:粉末セルロース (KC フロック W-50GK; 日本製紙) を水中で一晩攪拌し, ろ過した。さらに, 酢酸を加え, 攪拌-ろ過工程を

3

回繰り返した。この酢酸含有セルロース をトルエン-酢酸混合溶媒に浸漬し, 無水酢酸, 触媒の硫酸を加え

25℃の恒温で3

時間攪拌し た。得られたセルロースアセテート (CA) をホモジナイザー処理 (解繊処理) に供した。

脱硫酸エステル処理 (脱硫処理):解繊処理後の

Ac-CNF

水分散液に

0.5 M

硫酸を滴下し

pH2.5

とした後, 90℃で

6

時間加熱撹拌した。反応懸濁液を炭酸水素ナトリウム水溶液で

pH6

まで中 和し, 蒸留水に対して室温で

3

日間の透析を行った。

Ac-CNF

ペーパーの作製:透析処理後の水分散液を遠心分離 (2500 × g, 20 min) し, 上澄みを

回収した。その後, 1.0 wt%まで濃縮し, この透明な懸濁液をテフロン製の鋳型に流入した。こ の鋳型を五酸化二リンを含むデシケーターに真空下で

3

日間放置した。形成されたシートを鋳 型から取り出し, 可視紫外分光法及び引張試験に供した。

3. 結果と考察

工業生産の観点から, 当研究室では硫酸を酸触媒としてアセチル化を行っている。しかし, 硫 酸により生成する硫酸エステル基が

Ac-CNF

の熱安定性を損なっていた。希酸を用いた脱硫処 理で熱安定性が向上することが既に見出されているが, この方法では解繊性が低下する。そこ で, 私は, 硫酸エステル基が存在する状態で解繊処理を施し, その後脱硫処理を行うことを考 えた。ここで, 解繊性は硫酸エステル基の静電反発により向上すると発想した。この結果, 期 待通り平均径

10 nm

程度の微細繊維を高収率で調製することが可能となった。熱重量分析から,

この

Ac-CNF

5%熱分解温度は284℃であり,

市販の

CA

と同等の高い熱安定性を示した。

より微細な繊維の収集を目的に, Ac-CNF 水分散液を遠心分離した。得られた上澄み液は透明

であったが, 絡み合いの無い微細繊維が多数存在することが確認された。微細繊維水分散液を

緩やかに乾燥させたところ, 透明なシートが得られた。このシートは溶解した分子がフィルム

として再生したわけではなく, 微細繊維が堆積した結果生じた物質であるために「紙」に分類

できる。この「透明な紙」は可視光領域において

80%以上の高い透過率を示した。また,

引張

試験においては, 市販の

CA

フィルムよりも高いヤング率, 引張強度が示された。

参照

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