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<論説>アメリカにおける裁判官選挙の言論制約と「司法の公平性」

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(1)ア メ リカ に お け る裁 判 官 選 挙 の言 論 制 約 と 「司法 の 公 平 性 」. ア メ リカ にお け る裁 判 官 選 挙 の 言論制約 と 「 司法 の公 平 性 」. 重. 村. 博. 美. は じ め に. ア メ リカ合 衆 国 諸 州 に お け る裁 判 官 選 任 方 法 は,様. 々な形 態 が あ る。 そ. れ らを 大 別 す る と,連 邦 裁 判 所 裁 判 官 ・一 部 の州 に お け る立 法 部 の指 名 な らび に行 政 部 の 任 命,あ. る い は一 般 にMeritSystemと. 呼称 され る市 民 や. 法 律 専 門 家(弁 護 士)な. ど に よ り構 成 され る裁判 官 指 名委 員 会 が指 名 した. 裁 判 官 候 補 者 を 行 政 部 の 長(知 事)が 任 命 す る,と い った選 挙 に基 づ か な い 方 法,そ は,さ. して 現 在,39州. で実 施 され て い る選 挙 に よ る方 法 で あ る。 後 者. ら に3種 類 に分 類 され る。 裁 判 官 候 補 者 が立 候 補 時 に所 属 す る政 党. 名 を 示 して 選 挙 に臨 む 「党 派 的 選 挙 」,ま た そ の 逆 に政 党 名 を 示 さな い 「非 党 派 選 挙」,そ してMeritSystemに. よ り任 命 後 に お こな わ れ る 「再 任 選 挙. (信 任 投 票)」 で あ るω。 2002年,連. 邦 最 高 裁 判 所 は,RepublicanPartyofMinnesotav.White. 事 件 判 決 に お い て,「 州 司 法 部 の 公 平 性 の 維 持 」 を 目 的 と して 制 定 し た (1)SheldonGoldman,JudicialSelection,inEncyclopediaofAmerican JudicialSystem,at585-587(1987).な. お,MeritSyste皿. の成立過程な. ら び に 裁 判 官 指 名 委 員 会 に お け る 問 題 点 を 指 摘 し た も の と して 拙 稿 における裁判官選任方法一 学48巻2号197頁. 裁 判 官 指 名 委 員 会 を 中 心 に して 一. 以 下(2001年)。 一89一. 「ア メ リ カ. 」近畿大学法.

(2) 近畿大学法学. 第55巻第3号. Minnesota州. の裁 判 官 候 補 者 に 対 す る言 論 制 約 規 定 を合 衆 国 憲 法 修 正1. 条 違 反 と判 示 した。 問題 とな ったMinnesotaの. 裁 判 官 行 為 規 則 の 規 範5. は,次 の よ うな規 定 で あ る。 「裁 判 官 候 補 者 は,議 論 あ る法 的 ・政 治 的 問題 につ い て 自 己の 見 解 をannounce(公. 表)し て は な らな い 」。. 裁 判 官 を 非 党 派 選 挙 に よ り選 出す るMinnesota州 補 者 を 他 の 公職(立. に お い て,裁 判 官 候. 法 部 ・執 行部)の 候 補 者 と区 別 し,裁 判 官 候 補 者 に の. み 厳 格 な選 挙 運 動 規 制 を科 す こ との 正 当性 が 問 題 と な った 本 件 で は,「 司 法 の 公 平性 」 の 定義 を め ぐ って,ひ い て は裁 判 官 選 任 方 法 を め ぐ る議 論 に まで 発 展 を した。Minnesota州. 同 様 に,非 党派 選 挙 を実 施 し,裁 判 官 候 補. 者 に対 す る言 論 制 約 を お こ な って い る州 で は,「 司法 の 公 平 性 」 あ る い は 「市 民 に対 す る ア カ ウ ンタ ビ リテ ィー 」,い ず れ を裁 判 官 選 任 の主 要 な 目的 とす るの か選 択 の 時期 が到 来 して い る と もい え る。 も し,後 者 を追 及 す る な らば,裁 判 官 と して の 資質 の有 無 の み を争 点 とす る非 党 派 的選 挙 に よ る 選 任 は,そ の 目的 を達 して い な い で あ ろ う。 本 論 文 で は,裁 判 官 候 補 者 に 対 す る 言 論 制 約 が 争 わ れ た事 例 を 題 材 に 「司 法 の 公 平 性 」の意 味 に つ い て憲 法 学 的観 点 か ら検 討 し,そ こか ら司法 の 公 平 性,ア. カ ウ ンタ ビ リテ ィ双 方 の立 場 か ら裁 判 官 選 任 方 法 の あ るべ き姿. につ い て 明 らか に した い。 1章 で は,言 論 制 約 の歴 史 的 展 開 と して,裁 判 官 公 選 制 な らび に裁 判 官 候 補 者 に対 す る言 論 制 約 が課 され た経 緯 につ いて 概 説 す る。 各 州 の定 め る 裁 判 官 候 補 者 に対 す る言 論 制 約 は,ABA(ア. メ リカ法 曹 協 会)が 制 定 した. 裁 判 官 倫 理 規 範 が そ の基 礎 に あ る。 こ こ で は,ABAの. 裁判官 倫理規範 に. お け る言 論 制 約 条 項 につ いて 示 す 。 2章 で は,連 邦 最 高 裁 判 所 に お いて 初 めて 裁 判 官 言 論 制 約 の 問 題 につ い て判 断 したRepublicanPartyofMinnesotav.White事 こ こ で はannounce条. 件 判 決 を挙 げ る。. 項 の 合 憲 性 の 検 討 を 通 じて 法 廷 意 見 が 示 した 「司 法 一90一.

(3) ア メ リカ に お け る裁 判 官 選 挙 の 言 論 制 約 と 「司 法 の 公 平 性 」. の公 平 性 」 の意 味 につ い て も検 討 を お こ な う。 3章 で は,裁 判 官 選 挙 の是 非 につ いて,裁 判 官 選 挙 を め ぐる実 情 。投 票 者 の裁 判 官 選 択 基 準 な どか ら浮 き彫 りに した い。. 1章. 裁判官選挙 における言論制約の歴史的展開. (1)裁 判 官 公 選 制 の 導 入 ア メ リカ にお け る裁 判 官 選 任 方 法 は,様. 々な 形 態 が あ る。 イ ギ リス植 民. 地 時 代 の ア メ リカ司 法 部 に対 す る数 々の圧 政 の歴 史 は,単 独 の 人物 に 裁判 官 選 任 を 委 ね る こ とを 拒 ん だ た め に,連 邦裁 判 官 で は大 統 領 の 指 名 な らび に上 院 の 任 命 に よ る方 法,州 で は弁 護 士 や市 民 な どか ら構 成 され る裁 判 官 指 名 委 員 会 が 候 補者 を 指 名 し知 事 が任 命 し,一 定 期 間終 了後 再 任 選 挙 に服 さ しめ る,い わ ゆ るMeritSystemに. よ る方 法 な ど,複 数 の人 物 が 関与 す. る方法 を導 入 した。 裁 判 官 公選 制 は,1812年 のGeorgia州 れ る。 ま た,1830年. 下 級 裁 判 所 裁 判 官 選 任 が端 緒 と さ. 代 当 時,裁 判 官 を含 む全 て の公 職 を選 挙 に よ り選 出す. る こ とを標 榜 した い わ ゆ るJacksonianDemocracyの. 影 響 は,裁 判 官 公 選. 制 拡 大 を後 押 し した。 特 に,南 部 諸 州 で は,任 命 制 と比 較 す る と人 種 差 別 な く公 平 に選 出可 能 だ と信 じ られ て い た た め に,多. く採 用 され た②。. しか し,1860年 代,裁 判 官 と して の資 質 に問 題 が あ る人 物 の存 在 が 明 ら か に な っ た。 そ の例 と して,NewYork州. のTammanyHa11の. 裁判官汚. 職 ③ が 有 名 で あ ろ う。 問 題 視 され た 裁 判 官 は,主 に公 選 制 に よ り選 出 され. (2)MatthewJ.αHara,ReflectionofJudicialElectionCandidatesFree SpeechRightsafterBuckley:ACompellingConstitionalLimitation?.,70 Chi-KentL.Rev.197,207(1994). (3)工d.,at205.. 一91一.

(4) 近畿大学法学. 第55巻第3号. た,知 名度 が あ り高額 な選 挙 資金 を支 弁 で き る と い った裁 判 官 職 を た だ単 に 名誉 職 と して捉 え た人 物 で あ り,法 的資 質 を もち あ わせ て い なか っ た。 ま た,政 党 の 発 展 ・拡 大 傾 向 が顕 著 と な る と,裁 判 官 候 補 者 の政 治 的 思 考 が露 骨 に示 さ れ た。 しか し,他 に選 択 基 準 を もた な い市 民 は,政 党 を無 視 で きず,重 要 視 し始 め そ れが 選 択 基 準 と な って い っ た㈲。 そ こ で政 党 に よ る選 挙 へ の影 響 を懸 念 した州 は,ま ず,選 挙 に お け る政 党 の影 響 を排 除 す る た め に,裁 判 官 候 補 者 が いず れ の 政 党 に属 して い るか を 明示 せ ず に お こ な う非 党 派 選 挙 を提 案 した 。 と は い う もの の,非 党 派 的 選 挙 で あれ,党 派 的 選 挙 に よ る もの で あれ 公 選 に よ る裁 判 官 の 法 的 素養 の 不 足 は,決 定 的 で あ っ た。 また 有 能 な 人 物 は,裁 判 官 選 挙 とい う試 練 に わ が 身 を さ らす 事 を 欲 せ ず,し と,決. か も高 額 の 選 挙 費 用 や 任 期 の 短 さを 考 え る. して 魅 力 あ る職 と はい え な か った の で あ る(5)。. これ ら問 題 点 を 解 決 す べ く,ABAは,1921年 souriplanを. にKalesが. 案 出 したMis-. 選 挙 と任 命 との 両 者 の メ リッ トを兼 備 え た 妥協 案 と して提 示. した 。 そ の 後 も引 き続 き検 討 を重 ね たABAは1937年,指. 名 委 員 会 で裁 判. 官 資 質 の 検 討 な らび に指 名 を お こな い,行 政 部 の長 が任 命 を す る とい う現 在 のMeritSystemの 導 入以 降,多. 原 型 を 作 り,Missouri州. に お い て1940年 の 最 初 の. くの 州 で採 用 され た。. とは い え,選 挙 の み に よ る裁 判 官 選 任 も現 在39州(そ. の 内非 党 派 的 選 挙. は20州)(6)の いず れ か の 裁 判 所 管 轄 で 依 然 と して 採 用 さ れ て い る。 裁 判 官 (4)こ. の 点 に つ き,RoscoePoundは. 「裁 判 所 を 政 治 の 中 に 押 し込 み,裁. 無 理 や り政 治 家 に 従 わ せ る こ と は,裁. 判官 を. 判 所 に 対 す る伝 統 的 な 敬 意 を 破 壊 す る も. の で あ る 」 と 述 べ る 。RoscoePound,TheCauseofPopularDissatisfactionwiththeAdministrationofJustice,40A.M.L.Rev,748(1906). (5)田. 中 英 夫 「ア メ リ カ に お け る 裁 判 官 の 選 任 方 法(2・. 3号280-81頁(1961年)。 (6)RichardBriffault,JudicialCampaignCodesAfterRepublican PartyOfMinnesotav.White.,153U.Pa.L,Rev.181(2004). 一92一. 完)」 法 学 協 会 雑 誌78巻.

(5) ア メ リカ に お け る裁 判 官 選 挙 の 言 論 制 約 と 「司 法 の 公 平 性 」. 選 挙 を支 持 す る説 は,任 命 制 に比 べ 選 挙 に よ る選 出 の ほ うが む しろ政 治 家 の影 響 を排 除 す る とい う。 市 民 が 選 挙 に よ り選 出す る裁 判 官 は,市 民 か ら の直 接 の コ ン トロ ー ル を受 け る(つ ま り次 期 選 挙 で の 落 選)た. め に,む. し. ろ市 民 の意 思 を尊 重 した判 決 を下 す と され るの で あ る(7)。 だ が,次 の 問 題 点 も指 摘 され る⑧。 ま ず,政 党 な ら び に選 挙 費 用 を提 供 す る人 物 や 団体 な ど と の密 接 な 関 係 性 が 生 じ,裁 判 の 公 平 性 ・中 立性 を 損 な う恐 れ が 生 じる こ と。 第 二 に,一 般 市 民 が 裁 判 官 と して 必 要 な 資 質 を 判 断 可 能 か と い う こ と。 しか も,市 民 生 活 に直 結 す る事 柄 が争 点 とな る立法 部 や 執 行 部 選 挙 と比 較 す る と,裁 判 官 選 挙 に対 す る市 民 の 関心 は低 い とい わ ざ るを 得 な い(9)。また,以 下 で検 討 を す る よ うに,裁 判 官 候補 者 は,選 挙 の最 大 の 争 点であ る 自身 の政 治 的 ・法 的見 解 を述 べ る こ と禁 じ られ て い る⑩Q そ の た め 市 民 は,利 益 団体 や マ ス メ デ ィア な ど が 一 方 的 に流 す 情 報 を基 に,自 己 に と って 有 利 な 判 断 を す る人 物 や候 補 者 の所 属 す る政 党 な どに依 拠 し,判 断 せ ざ るを得 な い状 況 が見 られ る。. (2)裁 判 官候 補 者 に対 す る言 論 制 約 条 項 の制 定 裁判 官候 補 者 に対 す る言 論 制 約 規 定 は,州 が各 々 の州 法 な らび に裁 判 官. (7)MichaelRichardDimino,Sr.,Counter-MajoritarianPowerandJudge's PoliticalSpeech.,58Fla.L.Rev.53,74-77(2006). (8)Id. ⑨MichellT.Friedland,DisqualificationorSuppression:DueProcessand theResponsetoJudicialCampaignSpeech,106Colum。L.Rev.563,620 (2004). ⑩ABAが. 裁 判 官 言 論 制 約 を 支 持 す る 理 由 は,裁. 判 官 の 公 平 性 と市 民 の 司 法 に. 対 す る 信 頼 を 確 保 す る こ と に あ る と い う。 公 選 制 は,市. 民 に と って 公 正 に問 題. を 解 決 す る 能 力 に つ い て 信 頼 を 損 な う と し た 。LloydB.Snyder,TheConstituonallyandConsequwncesofRestrictionsonCampaignSpeechbyCandidatesforJudicialOffice,35UCLAL.Rev.207,214(1987). 一93一.

(6) 近畿大学法学. 第55巻第3号. 倫 理 規 則 な ど の 形 式 の な か で 設 け る 。 しか し,そ た も の で な く,ABAが Ethics:以 toryな. れ は各 州 が 独 自 に規 定 し. 制 定 し た 裁 判 官 倫 理 規 範(CanonofJudicial. 下 規 範 と い う)が. 基 礎 と な るqD。 そ の 規 範 拘 束 力 は,manda-. も の か らsuggestedな. も の ま で 一 様 で は な い が,違. 戒 処 分 も 規 定 す る ⑫。 以 下 で は,ABAの 裁 判 官 に 対 す るABA規. 反 に対 す る 懲. 倫 理 規 範 につ い て概 略 す る。. 範 制 定 の 端 緒 は,現. 職 裁 判 官 のLandaisが,メ. ジ ャ ー リ ー グ の コ ミ ッ シ ョ ナ ー も兼 務 し た こ と に あ る ⑬。 同 じ法 曹 で あ る 弁 護 士 に は,1908年 い た も の の,裁. に懲 戒 規 定 を も含 め た 形 で の倫 理 規 定 が既 に存 在 して. 判 官 に 対 し て は 合 衆 国 憲 法 あ る い は 州 憲 法 の 規 定 す る 「身. 分 保 障 条 項 」 に 阻 ま れ,存. 在 し な か っ たae。. そ こ で1924年,ABAは,再 cialEthics(裁. 度 裁 判 官 の 倫 理 規 則 と してCanonofJudi-. 判 官 倫 理 規 準:以. 下 規 準 と す る)を. 当 時 の 連 邦 最 高 裁 判 所 長 官 のTaftが で,そ. の 年 のABAの. 示 し た 。 こ の 規 準 は,. 委 員 会 の 議 長 とな り策 定 され た もの. 年 次 総 会 で 採 択 さ れ た ⑮。 そ の 規 範30は,裁. 判官選挙. (IDVotingandDemocracy,H.JudicialElectionsandFreeSpeech, 119Harv.L.Rev.1133,35.n.13(2006). ⑫PennyJ.White,JudgeingJudges:SecuringJudicialIndependence byuseofJudicialPerformanceEvaluations.,29FordhamUrb。L.J. 1053(2002).裁 い て 詳 細. 判 官 言 論 違 反 に 対 す る 懲 戒 処 分(資 に 検 討. し た. も の. と. 格 剥 奪 あ る い は 忌 避)に. し てSee.,MichellT.Friedland,Disquali-. ficationorSuppression:DueProcessandtheResponsetoJudicial CampaignSpeech,106Colum.L.Rev.563,620(2004). ⑬CristpherRapp,Note.,TheWillofthePeople,theIndependence ofJudiciary,andFreeSpeechinJudicialElectionsAfter RepublicanPartyofMinnesotav.White,21J.L.&Pol.103,105 (2005). a4RandallT.Shepard,CampaignSpeech:RestraintandLibertyin JudicialEthics.,9Geo.J.LegalEhics1059,1063(1996). ⑮See,StephenGillers&RoyD.Simon,Jr.,RegulationofLawyers:StatutesandStandards641(2001).. 一94一. つ.

(7) ア メ リカ に お け る裁 判 官 選 挙 の 言 論 制 約 と 「司 法 の 公 平 性 」. 運 動 時 の 言 論 制 約 に つ い て 次 の よ う に 規 定 す る 。 「裁 判 官 候 補 者 は,職 に 付 随 す る 約 束(promise),ま あ る 問 題 に つ い て,事 (一 般 にannounce条. た,classsupportを. 前 にannounce(公. 確保 す るために議論. 表)す べ き で は な い(shouldnot)」. 項 と 呼 ぶ)⑯ 。Taftは,こ. の 規 定 を 「裁 判 官,裁. 候 補 者 の 理 想 的 な 行 為 を 示 した も の 」 で あ る と し,法 声 明 を し た ⑰。 し か し,裁 は,こ. のABAの. 務. 判官. 的拘束力を否定す る. 判 官 に 対 す る こ の種 の規 範 を 持 た な い多 くの 州. 示 し た 規 範 を 実 質 的 ル ー ル と し て 扱 い,そ. れ を 手 本 に,. 州 法 ま た は 州 最 高 裁 判 所 規 則 と い っ た 形 式 を と り導 入 を し た 。 こ のABAが. 示 し た 規 準 は,1960年. 置 さ れ た こ と か ら,1969年. に 新 た な 倫 理 規 則 の 制 定 が 求 め ら れ,ABAは. 改 訂 に 着 手 し た ⑱。California州 と し て 作 業 が 進 め ら れ,1972年 duct(裁 は,1924年. 判 官 行 為 規 則:以. 最 高 裁 判 所 長 官 で あ るTraynorを に は 全7編. 下 規 則)と. 候 補 者 は,議. 議長. 構 成 のCodeofJudicialCon-. し て 改 め ら れ た 。 こ の1972年. 規 則 と比 較 す る と 基 本 構 成 の 相 違 は 見 ら れ な い が,裁. 運 動 に 関 す る 条 項 で は,明. (公 表)し. 代 後 半 ま で半 世 紀 近 く改正 さ れ ず放. の規 則. 判官選挙. ら か な 相 違 が み られ る 。 そ れ に よ る と 「裁 判 官. 論 の あ る 法 的 ・政 治 的 問 題 に つ い て 自 身 の 見 解 をannounce. て は な らな い 」⑲ と 規 定 し,こ. れ まで に具 体 的 に示 され なか っ た. 発 言 内 容 に 踏 み 込 ん だ 言 論 規 制 を お こ な っ た 。 ま た,こ. れ を 基 礎 に した 州. ⑯Id,at1064.n.21.(See,ReportoftheForty-SeventhAnnualMeetingof theAmericanBarAssociation765,at767,Canon303). ⑰RandTShaperd,CampaignSpeech:RestraintandLibertyinJudiciaI Ethics.,9Geo.J.LegalEthics1059,1065(1996). ⑱ABAの. 今 回 の 改 定 が な さ れ た 背 景 に は,Jhonson大. 連 邦 最 高 裁 判 所 裁 判 官 に 指 名 した 際,Fortasが. 統 領 がAbeFortasを. 倫 理 的 に 不適 切 な 言 動 を した と. し て 上 院 が 非 難 し 承 認 を 拒 否 した 事 件 が 発 端 に あ る と さ れ る 。DavidW.Neubauer&StephenS.Meinhold,JudicialProcess:Law,Courts,andPoliticsin theUnitedStatesat507(3ded.2004). ⑲ModelCodeofJudicialConductcanon7(B)(1)(c)(1972)。 一95一.

(8) 近畿大学法学. 第55巻第3号. 法 な ら び に 規 範 が47州 で 策 定 さ れ た ⑳。 だ が,条 11州 で は,ABAを. 基 範 と しつ つ も,各. い る 。 そ の 後,再 nounce条. 度 お こ な わ れ た1972年. 項 の 厳 格 化 を疑 問 視 した. 州 独 自 の条 項 修 正 な ど が施 さ れ て のABAの. 行 為 規 範 改 正 で は,an-. 項 と 同 様 の 言 論 制 約 規 定 と な り う るPledges条. Promises条 1990年. 項 を 導 入 し,当 に も,ABAは. 改 訂 は,選. 時 わ ず か3州. 項 な らび に. で は あ る が 採 用 した ⑳。. 規 則 改 訂 を した 。 全 体 で5編. 構 成 とな っ た今 回 の. 挙 運 動 時 の 候 補 者 言 論 制 約 を こ れ ま で 以 上 に 強 固 す る た め,裁. 判 官 候 補 者OPの 政 治 活 動 に3点. の 制 約 を 課 して い る 。 ま ず,「 裁 判 官 職 務. に 関 わ る 行 為 に つ い て の 公 約(pledge),約. 束(promise)を. して は な らな. い 」。 そ し て,「 裁 判 所 に 提 起 さ れ る 見 込 み の あ る 事 件 ・議 論 が 示 さ れ て い る 問 題 に つ い て,候 (appear)す. 補 者 を 言 質 で 縛 る よ う な 制 約(commit)あ. るい は 公 表. る よ う な 言 説 を 禁 止 す る 」。 最 後 に 「裁 判 官 候 補 者,そ. の候 補. 者 に 反 対 す る 人 物 に つ い て の ア イ デ ン テ テ ィ ・資 質 ・現 在 の 立 場 あ る い は そ の 他 の 事 柄 に つ き,故 た だ し,問. ⑳. 意 に 間 違 っ て 伝 え て は な ら な い 」㈱ と 規 定 し た 。. 裁 判. 題 と な っ たannounce条. 官. Wisconsin州. 行. 為 規. 範. を 制. 定. 項 に つ い て は 削 除 さ れ た ⑳。. し な か. っ た 州. は,Montana・RhodeIsland・. で あ る 。RandallT.Shepard。,CampaignSpeech:Res-. traintandLibertyinJudicialEthics.,9GeorgetownJournalof LegalEhics.1059(1996). ⑳PachelPaineCaufield,InthewakeofWhite:Howstatesare RespondingtoRepublicanPartyofMinnesotav.WhiteandHow JudicialElectionsareChanging.,38AkronL.Rev.625(2005). ⑳1990年. 規 範 が 示 す 候 補 者(candidate)と. は,裁. 判 官 席 に 選 挙 さ れ あ る い は 任 命. した 立 場 を 求 め て い る 候 補 者 を 意 味 す る。 そ の た め 全 て の 裁 判 官 に 適 用 す る 積 極 的 な 影 響 が あ る と す る 見 方 が あ る 。MatthewJ,0'Hara,Supranote2.,at. 229.n.244. ㈱ModelCodeofJudicialConductCanon5(AX3)(d)(i)一(ii)(1990)。 ⑳LisaL。Milord,TheDevelopmentoftheABAJudicialCode50 (1992).. 一96一.

(9) ア メ リカ にお け る裁 判 官 選 挙 の 言 論 制 約 と 「司 法 の 公 平性 」 こ の1990年. 規 則 と そ れ 以 前 の1972年. の 規 範 拘 束 力 に あ る 。1972年 「shallnot(し. と は い う も の の,こ. した が,拘. の 規 範 は,裁. は りそ. 判 官 の 政 治 的 行 為 に 対 して. て は な ら な い)」 と し て い た が,1990年. (す べ き で は な い)」 と,字. 州 は,1990年. 規 則 と の 最 大 の 相 違 点 は,や. に は 「shouldnot. 句 を 改 め る こ と で 勧 告 的 意 味 合 い を 強 固 に した ㈱。. の 規 範 改 正 に 対 し て,各. 州 の 対 応 は 様 々 で あ っ た 。25. の 規 範 改 正 に沿 っ た 形 で 州 法 ・最 高 裁 判 所 規 則 な ど の 改 正 を 束 力 強 化 を 懸 念 し た4州. で は,規. 範 を無 視 した独 自の規 範 改 定. を した 。 さ ら に,2003年8月. に も後 述 す る2002年White事. の 違 憲 判 決 を 契 機 に,ABAは nounce条. 件 の連 邦 最 高 裁 判 所. 裁 判 官 行 為 規 則 を 改 訂 し た 。 前 回 同 様an-. 項 自 体 は 設 け ら れ な か っ た が,そ. れ と 同 義 と み な さ れ る に も拘. ら ず 判 決 で 具 体 的 に は 触 れ られ な か っ たcomittment条. 項,pledges条. そ し て 選 挙 資 金 の 調 達 禁 止 条 項 を 示 し た 規 定 は 存 置 さ れ,再 た ㈱。Canon5㈲(3)(d)(i)は,「. 規 定 が な され. 裁 判 官 職 の 候 補 者 は,裁 判 所 に 提 起 さ れ る 可. 能 性 の あ る 事 件 ・議 論 ・問 題 に つ い て,ま. た職 務 に付 随 す る義 務 を 公 正 に. 履 行 す る こ と に 矛 盾 す る 公 約(pledges),約 mitment)を. 項. 束(promise),制. して は な らな い(shallnot)」. 力 に つ い て の ア イ デ ン テ テ ィ,資. 質,現. 約(com-. 。 更 に 「候 補 者 あ る い は 反 対 勢 在 の 立 場 あ る い は他 の 事 実 を 故 意. に 誤 って 伝 え て は な ら な い 」 と 規 定 す る 。 ABA規 し,司. 範 の 基 本 理 念 は,「 裁 判 官 候 補 者 は,裁. 判官の威厳を適切に維持. 法 の 公 平 性 ・維 持 そ して 独 立 に 相 応 しい 方 法 で 行 動 す る こ と を 要 求. す る 」⑳ と し て,幾. 度 に も亘 る 改 定 に お い て も変 化 は 見 られ な い 。 しか し,. ㈱RandllT.Shapard,CampaignSpeech:RestraintandLibertyinJudicial Ethics。,9Geo.J.LegalEthics,1059,1066(1996). ㈱. 選 挙 資 金 規 定 に つ い てCanon5㈲(3)(d)(i)は,「 お い て 献 金 を 個 人 に 懇 請 して は な らず,候 金 を 受 領 し て は な ら な い 」。 一97一. 裁 判 官 候 補 者 は,裁 補 者 の 選 挙 運 動 団 体 は,個. 判 官選 挙 に 人 的 な献.

(10) 近畿大学法学. 第55巻第3号. 2003年 規 範 とそ れ 以 前 の 規 範 との 最 大 の 変 化 は,資 格 剥 奪 規定 の拘 束 力 の 強 化 に あ る。1972年 ・1990年 規 則 は,「 裁 判 官 の公 平 性 が 合 理 的 にみ て疑 義 が あ る と き」 に 資 格 剥 奪 が な され る と して い た。 これ に対 して2003年 改 訂 で は,「 裁 判 官 あ る い は裁 判 官 候 補 者 が 特 定 の 事 件 につ い て の 問 題 や 議 論 に つ い て,裁 判 官 を言 質 で縛 り,あ る い は公 的 な言 説 をす る よ うに見 ら れ た 場 合 」 に は資 格 剥 奪(す の 規 定 につ い てABAの. な わ ち,懲 戒 対 象)と. な る と規 定 す る⑳。 こ. 常 任 委 員 会 は,「 裁 判 官 の選 挙 運 動 に お け る言 論. を直 接 的 に制 限 す る 目的 で制 定 」 した もの だ と説 明 を した 。 そ の た め,announce条. 項 に よ る直 接 の禁 止 規 定 が な く と も,裁 判 官 な らび に裁 判 官 候. 補 者 の発 言 を以 前 に も増 して 制 約 す る こ とが 可 能 とな って しま った の で あ る⑳。 その なか で 再 度2005年 に行 われ た規 範 改 正 で は,裁 判 官 候 補 者evの 言 論 につ いて 「裁 判 所 組 織 ・行 政 そ して 管 理 の 点 で 選 挙 公 約 を す る こ とを 候 補 者 に認 め る」 と規 定 し,方 向 転 換 を図 っ た暁 は,ABAが. この 規 定 が な され た背 景 に. 裁 判 官 選 任 方 法 と して提 示 したMeritSystemの. 推 奨 を 明確. に示 した もの とす る見 解 もあ る㈱。 ⑳ModelCodeofJudicialConductCanonsA(3)(2003). ㈱Id. ㈱MatthewJ.Medina,TheConstitutionalityofthe2003Revisions toCanon3⑧oftheModelCodeofJudicialConduct,104Colum.L. Rev.n.59(2004). ⑳ModelCodeof.JudicialConductCanon5(2005).2005年 対 象 者 を 拡 大 し,裁 Systemに. の 改 訂 で は,. 判 官 選 挙 に よ る 全 て の 選 出 方 法(党. よ る 再 任 選 挙)に. 派 的 ・非 党 派 的 ・Merit. 服 す る裁 判 官 な ら び に裁 判 官 候 補 者 全 て が 対 象 と. さ れ た。 ⑳Id.こ. れ に よ り候 補 者 は 裁 判 官 職 に 就 任 の 際,自. を減 少 させ る と の公 約 が可 能 と な っ た。 働MaryEileenWeicher,JonaGoldschmidt,TheExpansionofthe FirstAmendmentinJudicialElections:AnotherCauseforReform, 38Loy.U.Chi.L.J.833,863(2007), 一98一. 身 に 係 属 す る事 件 の 蓄 積 分.

(11) ア メ リカ にお け る裁 判 官 選 挙 の 言 論 制 約 と 「司 法 の 公平 性 」. 次 章 で は,announce条. 項 を 中 心 に,裁 判 官 候 補 者 の 選 挙 運 動 に お け る. 言 論 制 約 事 例 を 検 討 す る。. 2章. 裁判官選挙 における言論制約の事例. 1990年 にABAが. 裁 判 官 行 為 規 則 を 定 め,そ れ に呼 応 した多 くの州 で は. 倫 理 規 定 の見 直 しを お こな った。 裁 判 官 候 補 者 に対 す る言 論 制 約 規 定 も同 様 で あ る。 しか し,依 然 と してMinnesota州. を含 む9州 で は,announce. 条 項 は存 置 さ れca,そ の合 憲 性 を争 う訴 訟 が 州 裁 判 所 に多 く提 起 され たOP。 州 は,announce条. 項 の制 定 目的 を 「州 司 法 部 の 公 平 性 の 維 持 」に求 め るが,. こ れ に対 し候 補 者 側 は,条 項 が合 衆 国 憲 法 修 正1条 に,非 党 派 選 挙 で は,announce条. に反 す る とい うen。特. 項 に よ り 「有 権 者 が 候 補 者 の政 治 的 信. 念 の 共 有 の 制 限 の 可 能 性 」を示 唆す るee。だが,announce条. 項の合憲性に. つ いて 判 断 を お こな った 連 邦 下 級 裁 判 所 な らび に 州 裁 判 所 の 判 断 は,二 分 した。 まず,州. に 規 制 を お こな うcompellinginterestが. あ る と して主 張. を 認 め て 合 憲 と判 断 ⑳ す る もの で あ り,そ して,司 法 部 の 利益 と選 挙民 に. ⑬See,AlexandraHaskellYoung,TheFirstChinkintheArmor?The ConstituionalyofStateLawsBurdeningJudicialCandidatesAfterRepublicanPartyofMinnesotav.White,77S.Cal.L.Rev.443,34.n6(2004). 鱒MichaelRichardDimino,Sr.,Counter-MajoritarianPowerandJudges' PoliticalSpeech,58Fla.L.Rev.53,106n.252.(2006). ㈲Promises条. 項 な ら び にPledges条. 項 も同 様 に 争 わ れ た。. ⑱㊦J.DavidRowe,AConstitutionalAlternativetotheABA'sGagRuleson JudicialCampaignSpeech,73Tex.L.Rev.597,603n.63(1995). ⑳. 代 表 的 な 事 例 と し て,Strettonv.DisciplinaryBoard,944F.2d137(3d.Cir. 1991).こ で,連. の 事 例 は,Pennsylvania州. 邦 控 訴 裁 判 所 は,選. のannounce条. 項 につ い て争 わ れ た 事 件. 挙 期 間 中 の 発 言 は 合 衆 国 憲 法 修 正1条. と を 指 摘 し つ っ も,announce条. 項は. 格 に 解 釈 さ れ た 規 範 で あ る と して,合 一99一. の 下 にあ る こ. 「司 法 部 の 公 平 性 」 を 維 持 す る た め に 厳 憲 と 判 断 を した 。.

(12) 近畿大学法学. 第55巻第3号. 対 す る ア カ ウ ン タ ビ リテ ィ の 両 者 を 比 較 衡 量 し た う え で,候. 補 者 側 の主 張. を 認 め 違 憲 と 判 断 す る も の ㈱ で あ る。 以 下 で は,こ な っ た2003年. れ ら 判 断 が 分 か れ た 州 判 決 に つ い て,一. つの判 断基準 と. のRepublicanPartyofMinnesotav.White事. い て 事 例 の 概 要 を 示 す と と も に,そ. 件 判決 につ. の合 憲 性 判 断 基 準 を検 討 す る。. (1)RepublicanPartyofMinnesotav.White事. 件判決. (事 件 の 概 要) Minnesota州. で は,1912年. 以 降,全. よ り選 出 し て い たew。 そ し て1972年. て の州 裁 判 所 裁 判 官 を非 党 派 選 挙 に. のABA裁. 判 官 行 為 規 則 規 範7(B》 を 範. に 制 定 さ れ た 州 裁 判 官 行 為 規 則5(A)(3)(d)(i)は,「 現 職 裁 判 官 ・立 候 補 予 定 で あ る 弁 護 士 を 含 む 全 て の 裁 判 官 候 補 者 は,議 つ い て,自. 身 の 見 解 をannounceし. 論 が あ る 法 的 ・政 治 的 問 題 に. て は な ら な い(shallnot)」. ㈲ と規 定 し,. こ れ に 抵 触 し た 者 は 懲 戒 対 象 ω と した 。 1996年,原. 告 の 一 人 で あ るGregoryWersalは,Minnesota州. 所 裁 判 官 に 立 候 補 し た ㈱。 選 挙 期 間 中 に 彼 は,犯. ㈱. 最高裁判. 罪,福. 祉 そ して 妊娠 中 絶. 代 表 的 な 事 例 と し て,Buckleyv.IllinoisJudicialInquiryBoard,997 F,2d224(7thCir.)(1993).111inois州 連 邦 地 方 裁 判 所 は 修 正14条. のannounce条. の も と で,当. 無 効 で あ る と判 断 した 。 しか し 第7巡 に 促 進 す る 一 方 で,候. 項 の 合 憲 性 に つ い て,. 該 規 定 が 「あ い ま い 不 明 確 」 で あ る た め に 回 区 控 訴 裁 判 所 は,条. 項 が 州 の利 益 を 有効. 補 者 に は こ の 規 定 の 存 在 に よ り 「選 挙 運 動 の 場 に お い て 完 全. に 沈 黙 を 余 儀 な く さ れ る こ と か ら選 挙 民 の 利 益 を 損 な う」と して 裁 判 官 候 補 者 と他 の 公 職 を 同 等 に 扱 い,違. 憲 と判 断 を した 。. ⑱9)WhiteI,536U.S.765,768(2002). ㈲Id.(quotingMinn.CodeofJudicialConductCanon5㈹(3Xd)(1)(2002)). (4DId。(citingMinn.R.Bd.onJud.Standards11(d)(2002)).現 対 す る処 分 と して は,解 り,弁. 護 士 に 対 して は,資. 職裁 判 官 に. 職 ・謎 責 ・民 事 罰 ・罰 金 な しの 執 行 猶 予 の い ず れ か で あ 格 剥 奪 ・執 行 猶 予 ・保 護 観 察 を 含 む 罰 の い ず れ か と 規 定. され て いた。 働Id. 一100一.

(13) ア メ リカ に お け る裁 判 官 選 挙 の言 論 制 約 と 「司法 の公 平 性 」. とい った 問題 を扱 った い くつ か の州 最 高 裁 判 所 判 決 を非 難 す る文 書 を配 布 したua。 しか し,彼 は この行 為 がannounce条. 項 に抵 触 す る危 惧 を も った. た め に,弁 護 士 候 補 者 の倫 理 違 反 を 調 査 し訴 追 す る権 限 を 有 す るOffice ofLawyersProfessionalResPbnsibility(以. 下:委 員 会 と略)に 対 して そ. の可 能 性 の有 無 につ い て判 断 を求 め た。 しか し,申 立 が 却 下 され た め に, 立 候 補 を断 念 せ ざ る を え なか っ た と い う⑳。 1998年,彼. は再 度,最 高 裁 判 所 裁 判 官 に立 候 補 を した。 そ の際 彼 は,委. 員 会 に対 して 「announce条 項 に基 づ い て候 補 者 の言 論 を調 査 し,あ る い は 違 反 した場 合 に お いて,訴 追 す る可 能 性 が あ るか ど うか 」 の 勧 告 的 意 見 を 再 度 求 め た。 これ に対 し,委 員 会 は 「同 州 の 規 定 す る条 項 は,そ の 合 憲 性 に重 大 な 疑 義 が あ る。 しか し,候 補 者 で あ る彼 が,選 挙 期 間 中の 発 言 内 容 の リス トを 提 示 しな か った た め に,回 答 で きな い 」㈲ と した。 これ を 受 け彼 は,条 項 が 合 衆 国 憲 法 修 正1条 に 抵 触 す る と主 張 し,条 項 を 不 適 用 とす る イ ン ジ ャ ン ク シ ョ ンを 求 め た。 同 時 に委 員 会 も,「 条 項 の 存 在 自体 が,彼 の 見 解 に つ い て の 公 表 を 抑 制 して しま う故 に,選 挙 民 に と って も彼 の 見 解 を 聞 くこ とが で き な い。 結 果 と して 選 挙 民 は,彼 を 支持 す る こ と も不 支 持 とす る こ と も不 可 能 とな る」 との 見 解 を示 した㈲。 両 当 事者 は,連 邦 地方 裁 判所 にSummaryJudgmentを. 求 め たの が本 件 で あ る。. (連 邦 地 方 裁 判 所 ・連 邦 控 訴 裁 判 所 の 見 解) ま ず,連 邦 地 方 裁 判 所 は,同 州 の 規 定 す る条 項 を 「狭 義 に 解 釈 す る と (narrowlytailored)合. 憲 に な る と確 信 す る」 と示 した9D。. ㈲Id, ⑭Id.at768-69. ㈲Id.at769. ⑯Id.at769-70. ㈲RepublicanPartyv.Kelly,63F.Supp.2d967,985(D。Minn.)(1999).. 一101一.

(14) 近畿大学法学. 第55巻第3号. そ して,第8連. 邦 控 訴 裁 判 所 は,2対1で. 持 した㈱。 ま ず,「announce条. ア ナ ウ ンス条 項 の 合 憲 性 を 支. 項 は,公 職 の候 補 者 の 資質 に つ い て の 言 論. を制 限す る た め に,修 正1条 が 保 障 す る 自 由な 言 論 の 中 心 とな る言 論 領 域 の重 荷 に な る」。 しか し,条 項 を厳 格 に適 用 した と して も 「州 は 司 法 部 の 公 平 性 につ い て 『compellinginterest』 を もち,な お か つ 条項 は そ の 目的 を 果 た す た め に精 密 に 制 定 さ れ た 規 定 」 で あ る。 ま た,「 狭 義 に 解 釈 した (narrowlytailored)announce条. 項 は,判 例 法 につ いて の 一 般 的 な 討 論. 条 項 の 規 制 適 用 外 にあ る裁 判 官 候 補 者 の 司 法 的 な イ デ オ ロギ ー,公 職 候 補 者 の 資 質 に関 連 す る多 くの 問 題 につ い て の 討 論 を す る こ とを 容 認 す る」㈲ と判 断 し,連 邦 地 裁 判 決 を 容 認 した。 しか し,Beam裁. 判 官 に よ る反 対 意 見 は 「条 項 は,選 挙 運 動 そ れ 自体 を. 効 果 的 に禁 止 した 。 そ れ ゆ え,裁 判 官 の独 立 と公平 性 に つ い て の州 の利 益 保 護 は,裁 判 官 選 任 方 法 を 改正 す る州憲 法 の修 正 とい った別 の方 法 を通 じ て 成 し遂 げ られ る」 と述 べ たaΦ 。. (連 邦 最 高 裁 判 所 の 見 解) RepublicanPartyofMinnesotaは,2001年9月 求 め,翌2002年6月6Dに,連. 邦 最 高 裁 判 所 は,5対4で. 則 が 定 め た ア ナ ウ ン ス 条 項 を 合 衆 国 憲 法 修 正1条 Scaliaが. 法 廷 意 見 を 執 筆(Rehnquist,Thomasが. にサ ー シオ レイ ラ イ を 同州 最 高 裁 判 所 規 違 反6nと. 判 断 し た。. 同 意)し,こ. れ に. ㈱RepublicanPartyv,Kelly,247R3d854(8thCir.)(2001). ㈲Id. 60)Idat.882,894,902(Beam。J,,Dissenting). (5DRepublicanPartyofMinnesotav.White,536U.S.765(2002).本 に 関 し て,寺. 尾 美 子. 件. 「裁 判 官 公 選 制 と 言 論 の 自 由RepublicanPartyofMin-. nesotav.white,122S.Ct.2528(2002)」.(2003-2)ア. メ リ カ 法345頁. (5カId.at788.. 一102一. 。.

(15) ア メ リカ に お け る 裁 判 官選 挙 の言 論 制約 と 「司法 の 公平 性 」. 0℃onnerとKennedyが. 結 果 同 意 意 見 を 示 した 。 ま たStevens(Souter,. Ginsburg,Breyerが. 同 意),Ginsburg(Stevens,Souter,Breyerが. 同 意). が 反 対 意 見 を 示 した ⑬。 Scaliaは,ま. ずannounce条. 項 を 修 正1条. 違 反 と 判 断 す る う え で,条. 項. が 州 の 主 張 す る 司 法 部 の 「公 平 性 の 維 持 」Pmが,compellingstateinterest に 奉 仕 す る よ う 狭 義 に 解 釈 さ れ た(narrowlytailored)も て 判 断 ㈲ を す る。 そ し て こ の 問 題 を 解 く た め に,司 づ け に つ い て,可 け と し て,裁 る,つ. 能 性 を も つ3点. の か否 か につ い 法 の 「公 平 性 」 の 意 味. か ら指 摘 し たoo。 ま ず,伝. 統的な意味づ. 判 官 が 全 て の 訴 願 人 に 対 して 同 様 の 方 法 で法 適 用 を 保 障 す. ま り 手 続 に 対 す る 「偏 見 の 欠 如(lackofbias)」GT,第. 二 に,特. 定 の. 法 的 見 解 を 支 持 ・不 支 持 に つ い て の 「先 入 観 の 欠 如(lackofpreconception)」pm,第. 三 に,裁. 判 官 が 先 入 観 に 反 対 し説 得 に 対 し て 開 か れ た ま ま で. あ る と言 う意 味 で の 「openmindedness」pmで てScaliaは,「. あ る 。 こ れ ら意 味 づ け に 対 し. 公 平 性 」 に つ い て 第 三 の 意 味 づ け は 望 ま しい も の で あ る が,. announce条. 項 に は い ず れ に お い て も 適 用 さ れ な い と 述 べ た(en。そ し て. announce条. 項 が,厳 格 審 査 の 要 件 で あ るcompellingstatesinterestに. も. 該 当 し な い と述 べ た 。 さ ら に,ScaliaはMinnesota州. が 裁 判 官 選 挙 を 選 択 し た こ と な ら び に,. ㈹Id.at775. 〈54D「司 法 部 の 公 平 性 」 と 「司 法 権 の 独 立 」 と の 双 方 の 用 語 の 相 違 に つ い てSca正ia は. 「司 法 権 の 独 立 は. 『司 法 の 公 平 性 』 と い う 用 語 の 同 義 語 以 上 の も の に な る か. も し れ な い 」 と述 べ る 。Idat.775.n.6. ㈹Id。at774. ⑤ゆId.at775-81. (5?)Id.at775-76. ㈱Id.at777. Cb9)工d.at778. ([60)Id.at778. 一103一.

(16) 近畿大学法学. 第55巻第3号. 投 票 者 の 利 益 問 題 につ いて 候 補 者 の 発 言 を 禁 止 したannounce条. 項 との 間. の 緊 張 関 係 につ いて も言 及 を す る㈹。 す な わ ち,こ の 緊 張状 態 は 「ABAが 裁 判 官 選 挙 よ り もメ リ ッ トシ ステ ムを 選 好 して い る こ とか ら生 じて い る」 と もい う。 これ らの こ とか ら修 正1条. は 「選 挙 にお け る議 論 か ら裁 判 官 候. 補 者 を 妨 害 し,適 切 な 選 挙 原 則 を 残 す こ と に よ って そ の 目的 を 成 し遂 げ る こ とを 許 す もの で はな い」 と判 断 を した㈱。 しか し,Stevensは. 反 対 意 見 で,次 の よ う に述 べ る㈹。 「announce条. 項. は,公 平 性 の 体 裁 と そ の 現 実 を 維 持 す る 目 的 で 制 定 され て お り,こ れ が compellingstatesinterestに. 該 当す る」 と い う。 ま た,多 数 意 見 で 修 正1. 条 が 立 法 部 の 選 挙 と同 様 に裁 判 官 選 挙 にお い て も保 障 され るか 否 か に つ い て 何 も触 れ て い な い こ とに も異 を 唱 え る。 「候 補 者 の 資 質 に関 す る討 論 は 修 正1条 の 保 障 の 中 心 で あ る。 政 府 は,選 挙 期 間 中 に 候 補 者 が 投 票 者 に 対 して 選 挙 に関 連 す る情 報 を 伝 達 す る こ とを 禁 止 して は な らな い 」㈹ と述 べ, 立 法 部 の 選 挙 と裁 判 官 選 挙 が 同 等 の 保 障 の 受 け る と示 した。 つ ま り4人 の反 対 意 見 は,openmindedな. 裁 判 官 は訴 願 の た め の適 正 手. 続 を 用 意 す る こ とは 絶 対 必 要 な もの とみ な して い る と考 え られ る㈹。 とい うの も,「法 の本 質 は,裁 判 官 に対 して 選 挙 民 の 多 数 派 が 好 ま な い 方 法 で の ル ー ル 適 用 を 要 求 す る こ と にあ る」とい う。 こ の よ うな立 場 に よ れ ば,announce条. 項 の 容 認 は,「 少 数 者 の利 益 保 護 を困 難 にす る」OOからで あ る。. ⑥)Id.at787。 (6ウId。at788. (⑬Idat.799(Stevens,J.,concurring). ㈹Id. ㈹Idat.814-17(Ginsburg,J。,concurring), (6㊦Idat.798(Stevens,J.,concurring).. 一104一.

(17) ア メ リカ にお け る裁 判 官 選 挙 の 言 論 制 約 と 「司 法 の 公平 性」. (2)合 衆 国 憲 法 修 正1条 ①. 概. と裁 判 官 候 補 者 の言 論 規 制. 論. 合 衆 国 憲 法 修 正1条. は,言 論 の 自由 を 制 限 す る法 律 の 制 定 を 禁止 す る。. と は い え,全 て の言 論 に対 して 一 様 な 憲 法 的 価 値 を 容 認 す る もの で は な い。 この こ と は,裁 判所 に お い て言 論 を制 約 す る法 律 の合 憲 性 の判 断 基 準 に み ら れ る。 つ ま り,そ の 言 論 を 制 約 す る 法 律 が,「 内 容 に 基 づ い た (content-based)」 規 制 か,あ るい は 「内容 に 中立 的 な(content-natural)」 規 制 で あ るか で あ る。 そ して一 般 に,前 者 の 「内容 に 基 づ い た(contentbased)」 規 制 は 厳 格 審 査 に 服 し,後 者 の 「内 容 に 中 立 的 な(contentnatural)」 な規 制 は 中 間審 査 とい われ る手 法 で 審 査 に服 す 。 厳 格 審 査 の 場 合 に お い て は,言 論 に規 制 を か け る側 が,compellinginterestが. あったこ. とを証 明 しな け れ ば な らな い㈲。 修 正1条. の 保 護 す る 中心 的 な言 論 は,政 治 的 言 論 で あ る⑱。 公職 の 候 補. 者 の資 質 に関 す る議 論 は,合 衆 国 憲 法 で 定 め る統 治 シ ステ ムの 操 作 に と っ て 必 要 不 可 欠 で あ る と考 え られ る か らで あ る㈹。 つ ま り,候 補 者 側 に は 重 要 な 諸 問 題 につ いて の 討 論 を お こな う場 と され,投 票 者 側 に は候 補 者 選 択 の 判 断 材 料 とな る場 とな るか らで あ る。 しか し,政 治 的 言 論 を 保 障 す る合 衆 国 憲 法 修 正1条 を 裁 判 官 候 補 者 の 言 論 規 制 に適 用 す る理 由 は どの よ うな もの で あ ろ うか。 この 点 に つ き,裁 判 官 の 法 政 策 機 能 に注 目を して 検 討 す る もの が あ る。 こ れ に よ る と,「 裁 判 官 候 補 者 は,主 権 者 の 一 人 と して 選 挙 期 間 中 に政 治 的 発言 を す る。 そ して 裁 判 官 に選 任 され た な らば,主 権 者 の一 人 と して お こな っ た政治 的 発 言 に 基づ いた形 で,判 決 をす る こ とで 法政 策 機能 を行使 し,選 挙民 を統 治 す る こ. ㈹MatthewJ。0'Hara.,Supranote3.,at.200-203. ⑱Id. ㈹Brownv。Hartlage,456U.S.265,271-72(1982).. 一105一.

(18) 近畿大学法学. 第55巻第3号. と に な る」aoと し て,裁. 判 官 も一 人 の 主 権 者 と して 修 正1条. に お け る権 利. を 行 使 し う る と す る も の で あ る。. ②. 裁判 官候 補者 に対 す る言 論 制 約 とそ の合 憲 性 審 査 基 準. で は,裁 判 官 選 挙 に お け る候 補 者 言 論 制 約 の合 憲 性 審 査 基 準 は いか な る もの で あ ろ うか。 この点 につ き,今 回 のWhite事. 件 判 決 と 同様,裁 判 官 候. 補 者 の 言 論 規 制 に 関 す る 多 くの 事 例 で は厳 格 審 査 が用 い られ て い る⑳。 し か し,厳 格 審 査 を 用 い る と して,そ の 判 断 基 準 で あ るcompellingstates interestに,州. 司 法部 の 「公平 性 」 を どの よ うに 当 て は め,評 価 す るか が. 問題 とな る。 「司 法 部 の 公 平 性 」を よ り広 義 の意 味 で捉 え る な らば,言 論 制 約 を容 認 す る こ とに な る か らで あ る。 「司法部 の公 平性 」とい う理論 的根 拠付 けを最 初 にお こな ったの は,0'Neil で あ った と され る。0'Neilは,「. 裁 判 官 は,立 法 部 や 執 行 部 の役 人 の 候 補. 者 と相 違 した 『威 厳 』 を もち,ま た 司法 部 に対 す る 『大 衆 の 信 頼 』 を 必 要 とす る こ とか ら司法 部 の優 位 性 が あ る」 と主 張 し,こ れ が 「州 司 法 部 の 公 平 性 」 の維 持 の条 件 と な る こ と を指 摘 す る㈱。 これ に対 し,White事. 件 判 決 に お い てScaliaの 法 廷 意 見 は,「 公 平 性 」. ㈹J.DavidRowe,Notes,AConstitutionalAltenativetotheABA'sGag RulesonJudicialCampaignSpeech,73Tex。L.Rev.597,607-617(1995)。 ⑳White事. 件 判 決 で 連 邦 最 高 裁 判 所 が 厳 格 審 査 を 用 い る 理 由 に つ い て,. Minnesota州 た か ら か,明. の 条 項 を 評 価 す る 目 的 か,あ. る い は単 に 当事者 が そ の適 用 に 同意 し. 確 に さ れ て い な い と す る 。VotingandDemocracy,∬.Judi-. cialElectionsandFreeSpeech,119Harv.L。Rev.1133,35.n.54(2006). ⑫ErwinChemerinsky,RestrictiononSpeechofJudicialCandidates areUnconstitutional,351nd.L.Rev.735n,43(2002).そ. の 根 拠 と して,. 1982年 に 公 職 の 候 補 者 に 対 して 投 票 者 に 公 約 を す る こ と を 制 限 した 州 法 を 違 憲 と 判 示 し たBrownv.Hartlage事 は,裁. 件 判 決 を 挙 げ て い る。 し か し,Brown判. 判 官 を 対 象 と し た 判 断 で は な い と の 反 論 も あ る 。Id. 一106一. 決.

(19) ア メ リカ に お け る裁 判 官 選 挙 の言 論 制 約 と 「司 法 の 公 平 性 」. の定 義 づ けに 関 して3つ の見 解 を示 した。 そ の なか で 本 件 で は 「事 件 に対 す る当事 者 の賛 成 あ るい は反 対 の欠 如 」 に該 当す る と暗 に示 した が,断 言 して い な い。 この点 に つ い て,「公 平 性 」の意 味 つ いて 適 正 手 続 の 観 点 か ら 捉 え る見 解 が あ る。 つ ま り,適 正 手 続 が や む にや まれ ぬ 利 益 で あ るか,ま た は適 正 手 続 が 公 平 な裁 判 官 を 要 求 す るの か で あ る⑬。 この 見 方 か らす る と,Scaliaは,裁. 判 官 候 補 者 に よ る発 言 は,最. も高 い保 護 の レベ ル に値 す. る政 治 的言 論 で あ り,言 論 に対 す る この 配 慮 は,適 正 手 続 を 要 求 す る 「公 平 性 」につ い て 比 較 的 狭 義 の 定義 と促 え られ る が,反 対 意 見 を示 したGinsburgは,裁. 判 官 選 挙 の 状 況 で も適 正 手 続 の優 位 性 を 示 し,広 義 に定 義 し. た。 そ の た め,候 補 者 言 論 に対 す る権 利 は狭 義 に解 され る こ と とな る㈲。. 3章. 裁判官候補者の言論制約をめぐる諸問題. 裁 判 官 選 挙 に お け る候 補 者 言 論 は,他 の 立 法 部 や執 行 部 職 に 対 す る選 挙 と比 較 して,一 般 的 に厳 格 な 規 制 の 下 に あ る とす る見 方 が あ る。 他 の 公職 選 挙 に比 較 して 裁 判 官 候 補 者 の 言 論 規 制 を 厳 格 に す る事 由 は,ど の よ うな もの で あ ろ うか 。 規 制 を 容 認 す る説 は,そ の 根 拠 を 「司 法 の 公平 性 」・「司法 部 と政 治 との 分 離 」⑮ に求 め る。 立 法 部 や執 行 部 の 候 補 者 は,候 補 者 個 人 の政 策 が 争 点 とな り,市 民 は そ れ を 判 断 基 準 と して投 票 行 動 を す る。 これ に対 して市 民 が 裁 判 官 に 求 め る もの は,法 や 客観 的 な事 実 に基 づ き判 断 を す る専 門 的 な. ⑱VotingandDemocracy,H.JudicialElectionsandFreeSpeech,119Harv. L.Rev.1133,41.(2006). ⑭)Id.n。56. ㈲RichardBriffault,JudicialCampaignCodesAfterRepublicallPartyof Minnesotav.White,153U.Pa.L.Rev.181(2004).. 一107一.

(20) 近 畿大 学法学. 第55巻第3号. 学 識 や 経 験 で あ り,個 々 の 政 治 的 見 解 は必 要 な い とす る⑯。 そ の た め, White判. 決 で も示 され た よ うに,州 が 「司 法 の 公 平性 」 の維 持 を強 固 に主. 張す る な らば,公 選 に よ る裁 判 官 選 出 の見 直 し も含 め た議 論 が必 需 とな ろ う。 そ こで本 章 で は,裁 判 官 選 挙 の現 状 と制 度 そ の もの の是 非 につ い て論 じる。. (1)裁 判 官 選 挙 の 現 状 ①. 裁 判 官 選 挙 の実 情. 一 連 の 裁 判 官 候 補 者 に対 す る言 論 規 制 の 可 否 に関 す る議 論 は,憲 法 解 釈 議 論 の 枠 を 越 え て,裁 判 官 選 挙 制 度 の 存 在 自体 に も疑 問 を 投 げか けた 。 そ もそ も裁 判 官 選 挙 を 採 用 した 理 由 は,任 命 制 に よ り任 命 され た 裁 判 官 が, 任 命 権 者 の 意 向 に沿 った 判 断 を す る こ とを 恐 れ た た め で あ る。 任 命 権 者 に よ る コ ン トロー ル よ りも,市 民 全 体 の コ ン トロー ル を 受 け る選 挙 の 方 が, む しろ市 民 の 意 思 を 反 映 した 判 断 が 可 能 だ と考 え た か らで あ る⑰。 しか し,立 法 部 や 執 行 部 の 選 挙 と相 違 した 裁 判 官 選 挙 な らで は の 「司 法 部 の 独 立」の 問題 が あ る。 政 治 や特 定 の個 人 か らの独 立 は,「司 法部 の 公 平 性 」 を維 持 す るた め に は必 要 不 可 欠 の 要 素 と され る。 そ の た め,本 論 文 で 検 討 した候 補者 に 対 す る選 挙期 間 中 の言 論 制 約 の み な らず,政 党加 入 の 禁 止 ⑱ や 選 挙 資 金 の調 達 を個 人 献 金 で 賄 う事 を も禁 止 ㈲ す る 規 定 が 存 在 す る。 事 実,裁 判 官 選 挙 を実 施 した9州 の最 高 裁 判 所 裁 判 官 候 補 者 の選 挙 資 金 は,1万. ドル 以 上 で あ った と い う⑳。 と は い う もの の,2006年. ㈹Id。 ㈹JonathanRemyNash,PrejudgingJudge,106Colum,L.Rev.2168, 82-83(2006). ⑱ModelCodeofJudicialConductCanon5◎(2). (79)Seeid.Canon5C(3).. 一108一. に連 邦 最.

(21) ア メ リカ に お け る裁 判 官 選 挙 の言 論 制 約 と 「司法 の公 平 性 」. 高 裁 判 所 は,Randallv.Sorrell事. 件 判 決olDにお い て,選 挙 資 金 の 個 人 ・. 団体 ・政 党 か らの 資 金 提 供 の 総 額 を定 め たVermont州. 法 を,合 衆 国 憲 法. 修 正1条 違 反 と判 断 して い る暁 ま た,利 益 団体 の 関 与 も顕 著 に見 られ る㈲。 あ る調 査 に よ る と,裁 判 官 選 挙 に お いて 候 補 者 の 資 質 を 測 る こ との で きな い 投 票 者 が,投 票 の 際 の 判 断 基 準 に利 益 団 体 か ら もた ら され た 情 報 に依 拠 す る割 合 は,全 投 票者 の実 に8割 に も達 す る との 報 告 も あ る。 政 党 か ら情報 を 得 る と した者 が2割 ほ どで あ る の に 比 べ,圧 倒 的 な 数 で あ る⑳。 とは い え,利 益 団 体 か ら情 報 を 得 る こ と に も問 題 が あ る。 単一 の事 項 に しか興 味 を示 さな い利 益 団体 は, 団 体 に有 利 な情 報 しか 伝達 しな い だ け で な く,誤 った情 報 を流 布 す る可 能 性 も否 定 で き な い。 そ して,正 確 な情 報 を 候 補 者 か ら得 よ う と して も, commit条. 項SSに 阻 まれ,そ れ が 困 難 な状 況 に あ る。 この よ うな 状 況 下 で. 利 益 団体 が訴 訟 当事 者 とな り,州 法 の 定 め るcommit条. 項 の違 憲 訴 訟 も提. (80)ErwinChemerinsky,RestrictionsontheSpeechofJudiciaI CandidatesareUnconstitutional,351nd.L.Rev.735,737(2002). Texas,IIIinois,Ohioで め に,過. 去2年. は,選. 挙 資 金 の 上 限 を 設 け る 規 定 が 存 在 しな か っ た た. 間 で 当 選 に か か る 平 均 コ ス トが45%も. 上 昇 した と も い う。Id.. (81)126S.Ct.2479(2006). 働. 連 邦 最 高 裁 判 所 は,連. 邦職 員 の選挙 活 動献 金 を禁 じた連 邦法 が争 わ れた. Buckleyv.Valeo,424U.S.25(1971)判. 決 に 依 拠 し判 断 を し た 。 連 邦 政 府 は,献. 金 が お こ な わ れ る こ と に よ り汚 職 の 可 能 性 が あ る こ と を 主 張 し た が,最 そ の 主 張 を 退 け,合. 衆 国 憲 法 修 正1条. 高裁 は. 違 反 だ と 判 断 した 。. ㈱MatthewJ。Medina,TheConstitutionalityofthe2003RevisiontoCanon 3(E)oftheModelCodeofJudicialConduct,104Colum.L.Rev.620(2004). 鱒MichellTFriedland,DisqualificationorSuppression:DueProcessand theResponsetoJudicialCampaignSpeech,104Colum.L.Rev.563,626 (2004). ㈲. 一 般 にcommit条. 項 と 呼 ば れ る こ の 条 項 は,2002年White事. 高 裁 判 所 に お い て 違 憲 判 断 が だ さ れ たAnnounce条. で あ る と の 判 断 も あ る 。FamilyTrustFoundationofKentucky,工nc.v.Ky. JudicialConductComm'n,388F.3d244,227(6thCir.2004)./. 一109一. 件 判 決 で連 邦 最. 項 と同 じ意 味 を もつ 内容.

(22) 近畿大学法学. 第55巻第3号. 起㈱ さ れ て い る。. ②. 投 票 者 の裁 判 官 選 択 基 準. で は,投 票 者 は裁 判 官 選 択 基 準 を ど こ に置 くべ きで あ ろ うか 。 一 般 に, 投 票 者 が裁 判 官 を選 択 す る判 断 基 準 と して3点 挙 げ られ る。 まず,候 補 者 の社 会 経 験 や学 歴 な ど個 人 経 歴(個 人 的 資質),そ. して 裁 判 官 に必 要 な 法 律. 的知 識 の 有 無(個 人 的 資 質),最 後 に候 補 者 個 人 の法 的 ・政 治 的 な もの の 見 方 や考 え 方(イ デ オ ロ ギ ー)で あ る⑳。 しか し,一 般 の 投 票 者 は,裁 判 官 の専 門 的 知 識 の有 無 につ いて の 判 断 基 準 を 持 た な い た め に,そ れ以 外 の 判 断 材 料,す. なわ ち議 論 あ る問 題(例 え ば,妊 娠 中 絶 な ど)に つ い て の候. 補 者 個 人 の 見 解 な どを 判 断 基 準 とせ ざ るを 得 な い。 これ らの情 報 は,一 般 的 に投 票 者 に身 近 な 利 益 団 体 や マ ス メデ ィ ア㈱ に よ って もた ら され る。 そ の 結 果,立 候 補 した9割 以 上 の 候 補者 が 当選 を す る控 訴 裁判 所 や主 要 な事 実 審 裁 判 所 の 再 任 選 挙 にお い て 顕 著 に み られ る傾 向 で は あ るが,投 票 者 を 意識 した 行動 や発言 を判 決 に至 る意 思 決 定 の段 階 で強 い られて い る との調 査 もあ る㈱。 \. ち な み にKentucky州. のCodeofJudicialConductCanon5B(1)(c)は. 官 職 の 選 挙 に 立 候 補 す る 裁 判 官 あ る い は 候 補 者 は,… 性 の あ る 事 件. 「裁 判 … 裁 判 に 提 起 さ れ る 可 能. ・議 論 あ る い は 問 題 に つ い て 候 補 者 を 言 質 で 縛. で 縛 る と思 わ れ る 声 明 を し て は な ら な い 」 と 規 定 す る 。 (80FamilyTrustFoundationofKentucky,Inc.v.Wolmizek,345F.Supp.2d 672(E。D.Ky.2004).FamilyTrustFoundationofKentucky,Inc.v.Ky。JudicialConductComm'n,388F.3d244(6thCir.2004), (80ErwinChemerinsky,RestrictionsontheSpeechofJudicialCandidates areUnconstitutionaL,351nd.L.Rev.735,737(2002). ㈱ABASpecialComm.onEvaluationofJudicialPerformance,Guidelines fortheEvaluationofJudicialPerformanceii(1985).Seealso.,PennyJ. White,JudgingJudges:SecuringJudicialIndependencebyUseofJudicial PerformanceEvaluations.,29FordhamUrb.L。J.1053,1066(2002). ㈲LarryT.Aspin&WilliamK.Hall,RetentionElectionsandJudicialBe-/. 一110一. り,あ. る い は 言 質.

(23) ア メ リカ に お け る裁 判 官選 挙 の言 論 制 約 と 「司法 の公 平 性 」. こ の よ う な状 況 か ら,候 補 者 の 裁 判 官 資 質 を客 観 的 評 価 す る た め に, ABAや. 州 が1980年 代 か ら基 準 作 りを 始 め た。 こ の よ うな 評 価 基 準 を最 初. に提 示 した の はNewJersey州. で あ る と さ れ る。NewJersey州. 最高裁判. 所 は,こ の 評 価 基 準 の 位 置 づ け を 「裁 判 官 の質 を改 善 す る 目的」 の た め の 包 括 的 な裁 判 官 評 価 計 画 で あ る と した⑲ ① 。 ま た,同 様 の 評 価 基 準 を 採 用 し たColorado州. で は,「 裁 判 官 の 質 の 改 善 」 と と もに,「 司 法 部 につ い て一. 般 大 衆 に情 報 提 供」 す る 目的 で あ る と明示 す る⑳。 そ して,ABAで. も1985年 にCriminalJusticeSectionの. 委 員会 にお い. て,評 価 基 準(ガ イ ドライ ン)の 策 定 が な され た。 しか し,こ の ガ イ ドラ イ ンは,裁 判 官行 為 規 則 と異 な り,評 価 に値 しな い裁 判 官 を懲 戒 す る 目的 で は な い。 具 体 的 に は,裁 判 官 職 に必 要 な法 律 的 な素 養 。資 質(公 平 性 や 威 厳 な ど)の 評 価 や,コ. ミュニ ケ ー シ ョ ンス キ ル や裁 判 官 職 の遂 行 を左 右. す る管 理 責 任(担 当 す る事 件 に お け る未 決 数 な ど)の 有 無 な どで あ る暁 は い え,問 題 は,こ れ ら多 方 面 に亘 る裁 判 官 評 価,特. と. に客 観 的数 値 で計 ら. れ る事 項 で は な い 資質 な どの主 観 的判 定 を誰 が 行 うか,そ の実 施 機 関 に あ る と考 え られ るe3。. (2)裁 判 官選 挙 制 度 の是 非 裁 判 官 公 選 制 は,多. くの 問題 点 が あ り非 難 もあ るが,現 実 に は ア メ リカ. 合 衆 国 の お お よ そ3分 の2の 州 で実 施 され て い る。 そ して,そ の多 くは市 \havior,77Judicature306,307(1994). ⑲①Id. ⑲DCol.Rev.Stat.§13-5.5-101(2001Cum.Supp.). 働ABASpecialComm.onEvaluationofJudicialPerformance, GuidelinesfortheEvaluationofJudicialPerformance,3-5(1985). ㈱PennyJ.White,JudgingJudges:SecuringJudicialIndependence byUseofJudicialPerformanceEvaluations.,29FordhamUrb.L. J.1053,1072-76(2002).. 一111一.

(24) 近畿大学法学. 第55巻第3号. 民 に対 す る 「ア カ ウ ン タ ビ リテ ィ」の 重 要 性 を 説 く。 現 役 のWisconsin州 最 高 裁 判 所 首 席 裁 判 官 で あ るShirleyS.Abrahamsonは,自. 身の選挙 活. 動 の経 験 を も と に公 選 制 擁 護 の 発 言 を す る。Abrahamsonに. よ る と,裁. 判 官 候 補 者 は,選 挙 活 動 を 通 じて 市 民 と対 話 す る こ とで ア カ ウ ン タ ビ リ テ ィを 行 使 し,そ の 結 果 市 民 か ら の評 価 と尊 敬 を獲 得 で き,ま た 市 民 に と って も司 法 に対 す る関 心 を もつ こ とが で き る とい う。 また,反 対 論 が 重 要 視 す る裁 判 官 が 市 民 に迎 合 した 判 決 を す る可 能性 に つ い て は,裁 判 官 の 責 務 で あ る法 に 基 づ い て 判 断 す る こ と,な らび に 裁 判 所 に お け るチ ェ ッ ク 機 構 が 正 常 に 機 能 す る こ とに よ って 回 避 可能 だ と主 張 す る。 とは い え,実 際 は 市 民 の 裁 判 官 選 挙 に 対 す る関心 は 低 い とい わ ざ る を 得 な い。 ま た 多額 の 選 挙 費 用 も要 す る。Abrahamsonは,こ. の 点 に対 して,「 司 法 権 の 独 立 」. が 市 民 を保 護 の た め に必 要 で あ る との認 識 を持 た せ る 努 力 を す る こ と,そ して 選挙 費 用 の 公 費支 出 が不 可 欠 だ との提 言 を して い る⑲ の 。 これ に 対 して 裁 判 官選 挙 に対 す る批 判 は,当 然 の よ う に 「司 法 権 の 独 立 」 の観 点 か らな され る。FederalistでHamiltonが. 述 べ たeDよ うに,司 法 部. は立 法 部 ・執 行 部 とい った政 治 機 関 か ら独 立 し,個 人(特. に少 数 者)の 権. 利 保 護 の た め に存 在 す る。 裁 判 官 公 選 制 を採 用 す る と,多 数 者 と 同 じ観 点 に立 つ た め に,法 や憲 法 に従 い少 数 者 の権 利 保 護 をす べ き裁 判 所 本 来 の 役 割 か ら逸 脱 す る もの で あ る とす る見 方 で あ る。 や は り,公 選 制 を 採 用 す るか 否 か は,White事 0℃onner裁. 件連邦最高裁判所判決で. 判 官 が 述 べ た よ う にse,「司 法 の 公 平 性 」 あ る い は 「市 民 に対. (99ShirleyS.Abrahamson,Theballotandthebench.76NYULR973 (2001).邦. 語 文 献 と して,藤. す る 」 時 の 法 令1699号52頁. 倉 皓 一郎. 「市 民 は い つ も法 の 主 人!(1)裁. 以 下 参 照(2003)。. ㈱TheFederalistNo.78,at465(AlexanderHamilton)(ClintonRossitered.,1961). (9④RepublicanPartyofMinnesotav,White,536US.765,792(2002)./ 一112一. 判官 を選 挙.

(25) ア メ リカ に お け る裁 判 官 選 挙 の 言 論 制 約 と 「司法 の 公 平 性 」. す る ア カ ウ ン タ ビ リ テ ィ」 い ず れ を 主 目 的 と す る の か,そ. の選 択 の 時 期 に. あ る と い え よ うQ. お わ り に. White事. 件 判 決 を 受 け て お こ な わ れ た2003年. は,ABAを. 行 為規 範改 訂. 範 と して 制 定 し て い た 各 州 の 裁 判 官 行 為 規 則 に も多 大 な 影 響. を 及 ぼ し た 。 そ の 結 果,announce条 中 言 及 さ れ な か っ たannounce条 条 項 ・Promises条 そ の た め,こ. 項 は 多 く の 州 で 削 除 さ れ た が,判. 決. 項 に 代 わ る 言 論 制 約 条 項 と な るPledges. 項 ・Commit条. 項 は,依. 然 と して43州. で 規 定 さ れ たen。. れ ら 条 項 に 対 す る違 憲 訴 訟 が 各 州 で 頻 発 し た こ と は い う ま で. も な い ㈱。 し か も,White事 nnerが. のABAの. 含 ま れ る)対4で. 件 は5(こ. の な か に はRehnquistや0℃o-. か ろ う じ て 違 憲 と 判 断 さ れ て お り,ま た そ の 違 憲. と され た論 拠 で 判 断 した た め に 多 くの混 乱 を生 じ させ た。 ま た,White事. 件 判 決 の 当 事 者 で あ るMinnesota州. で も,連 邦 最 高 裁 判. 所 の違 憲 判 決 を受 け て 見直 しを余 儀 な く され た。 規 範 見 直 しの た め の委 員 会 の 設 置 が な さ れ,最. 高 裁 判 所 判 決 の 内 容 を 包 含 し た 形 で 「公 平 性 」 に つ. \(0℃onnerJ。concurring).「 と は,司. 選 挙 民 に対 して ア カウ ンタ ビ リテ ィを果 た す こ. 法 部 の 公 平 性 と の 間 の 妥 協 を 不 可 避 に す る 。 州 は,裁. す る あ ま り にannounce条 す る な ら ば,裁. 判官 の 公平 性 を追 求. 項 に よ り候 補 者 言 論 を 制 限 し た が,真. に公平 性 を追 及. 判 官 の 選 出 方 法 を 選 挙 に した こ と に 問 題 が あ る 」 と 述 べ る。. (90ModelCodeofJudicialConductCanon5A(3)(d)(1).Seealso., MatthewJ.Streb,JudicialElections:ADifferentStandardforthe Rulemakers?,inLawandElectionPolitics:TheRulesoftheGame, 171.181(MatthewJ.Strebed.,2005). ㈱. 代 表 的 な 事 例 と して,Weaverv.Bonner,309F.3d1312(11thCir.2002)., FamilyTrustFoundationofKentucky,Inc.v.Wolnitzek345F. Supp.2d672(E,D.Ky.2004),staydeniedsubnom.合 表 的 な 事 例 と し てInreRabb,793N.E.2d1287(N.Y.2003).. 一113一. 憲 と 判 断 した 代.

(26) 近畿大学法学. 第55巻第3号. い て 再 定 義 を したeg。 さ らに,注. 目す べ き事 柄 は,非 党 派 選 挙 の 形 を維 持. しつ つ も,自 身 の 見 解 を 公 表 し,さ らに献 金 を も受 領 可 能 と して,立 法 部 選 挙 同 様 の 選 挙 活 動 を お こな え る よ うに行 為 規 則 を改 め た こ とで あ る㈹。 現 実 問 題 と して 裁 判 官 が 担 って い る法 政 策 機 能 の観 点 か らす る と,候 補 者 の政 治 的 発 言 は 容認 せ ざる を得 な い状 況 に は あ る。 しか し,そ れ を全 て 容認 す る こ とは,や は り「公 平 性 」の観 点 か らす る と大 き な 問題 が残 る。 市 民 に 対 す る ア カ ウ ン タ ビ リ テ ィ を 優 先 し たMinnesota州. で は,司. 法部 の. 公平 性 の維 持 は 「裁判 官 意 識 」 に あ る と説 くω が,政 治 的 発 言 を した候 補 者 が裁 判 官 に就 任 した場 合,そ. の発 言 内容 に拘 束 され る の か否 か,あ. るい. は忌 避 とい った方 法 を選 択 で き る の か,と い っ た問 題 は常 に残 る。 や は り裁 判 所 の正 当性 は裁 判 官 に対 す る市 民 の尊 敬 に依 拠 す る以 上,市. ㈲. 「lmpartialityあ. る い はImpartialは,特. ス に 賛 成 ・反 対 を す る た め の,偏. 裁 判 官 に 提 起 さ れ る 可 能 性 の あ る,ま openmindを. 定 の 当 事 者 また は 当事 者 の ク ラ. 見 ・先 入 観 が 存 在 しな い こ と で あ る 。 こ れ は, た 考 慮 を 必 要 と さ れ る 問 題 に お い て,. 維 持 す る こ と と 同 じ で あ る 」 と 定 義 す る 。Minn.Stat.Ann.,. CodeofJudicialConduct,Canon5E(asamendedSept.14,2004)。 See.,also.RepublicanPartyofMinnesotav.White(WhiteI)416 F.3d738,767(8thCir、2005). ⑪. 新 た に2005年. にRepublicanPartyofMinnesotav.White(White∬). 416F.3d738(8thCir.2005),Certdenied,126S.Ct1165(2006)。 て 訴 訟 が 提 起 さ れ,州 て 争 わ れ た 。 第8巡. とし. が 規 定 す る 裁 判 官 の 政 党 活 動 と献 金 条 項 の 合 憲 性 に っ い 回 区 控 訴 裁 判 所 は,White事. 件 判 決 の 論 拠 に 基 づ き,偏. の 欠 如 な ら び にopenmindnessがpoorlytailoardさ. 見. れ て い る と して 修 正. 1条 違 反 と 判 断 した 。 (10DRussellA,Anderson,TheStateofJudiciary-NewEvaforthe Judiciary-.T63-AUGBench&B.Minn,20,23(2006).ち nesota州 場 合 は,知. で は,裁. な み に,Min-. 判 官 を 選 挙 に よ り 選 出 す る が,も. 事 が 任 命 す る 。 実 際 は,裁. し任 期 途 中 で 空 席 が 生 じた. 判 官 職 に 初 就 任 す る 場 合,選. 挙 よ り も任. 命 に よ る 方 が 多 い と さ れ る 。 し か し,任. 命 に よ る 就 任 で あ れ 任 命 後1年. 過 した 後 に 実 施 さ れ る 裁 判 官 選 挙 に,現. 職 で あ る こ とを示 した上 で立 候 補 しな. け れ ば な ら な い 。(任 期6年)See.,Minn.Coust.ArtVI§7,8.. 一114一. 以上 経.

(27) ア メ リカ に お け る 裁 判官 選 挙 の言 論 制 約 と 「司法 の公 平 性 」. 民 は 裁 判 官 に 対 して ど の よ う な 役 割 を 求 め る の か を 再 考 す る 必 要 が あ ろ う 。 こ の 点,市 示 したMissouri州. 民 に 対 す るア カ ウ ンタ ビ リテ ィー を重 視 す る こと を 明確 に の 選 択 は,裁. 判 官 の 資 質 と市 民 に 対 す る 説 明 責 任 双 方. を 充 足 す る 制 度 と さ れ るMeritSystemが に 値 し よ う。. 一115一. 主 流 に な りつつ あ る なか で注 目.

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