放送市場の多面性と規制に関する考察--ドイツ規制制度からの示唆
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(2) 連をはじめとして産業的視点からの意見書が幾つか提 2. 4. いて概観し、その特徴について考察したい 。. 出されたし 、自由競争を基本原則とする米国のみな. ドイツは連邦国家であり、連邦基本法によって連. らず伝統的に公共放送の比重が高いという点で日本. 邦の権限が認められたもの以外の事項に関する規律. と類似している欧州においても、欧州連合の発足を機. は州の権限に属している。電気通信に関しては連邦. に市場主義を志向する動きが垣間見られるようになっ. の専属的立法権が及び放送の送信業務はこれに含ま. ている。. れるが、それ以外の放送事業は州が規制権限をもっ. 一方放送サービスの場合、単純な市場原理のみで は捉えられない側面が存在する。多チャンネル化や多. 5. ており、複数の州間協定 により基本原則を定めつつ 各州が立法を行っている。. メディア化によって今後その地位が低下する可能性は. 各州における放送規制機関は州メディア監督機関. 十分にあると考えられるものの、少なくとも我々の日. が行う。州間協定(RStV) による基本原則に基づき. 常生活に与える影響が極めて大きい現状に鑑みると、. 州法によって原則州ごとに設立されており 、放送局. 市場原理のみでは混乱を招く可能性も否定できない。. に対する免許付与の他、番組基準や広告基準等の遵. 6. 7. この点ドイツにおける放送の意見多様性確保に対. 守に関する規制監督を行っている。また複数州に関. する思想と制度は、第二次世界大戦時にナチスが放. わる問題を取り扱うためALMという連合組織が設立. 送の濫用による混乱を招いたとの歴史的反省から配. されており、全国共通の方針を規定している。またメ. 慮が行き届いており参考になる。他の欧州諸国と同. ディア分野における集中化の問題を管轄する組織と. 様公共放送の比重も高く、また商業放送においても. してKEKがある。ただしこの権限は民放にのみ及び、. 広告収入に依存する比重が大きいという点で、日本. 公共放送の監督は各州の公共放送組織内部に設置さ. の放送制度設計を考える上でも有益であると考えら. れた機関である放送評議会が行っている。. れる。本稿での問題意識から特に重要となるのは、州. ALMの組織は図1のようになっている。ALMは更. メディア委員会連盟(Landesmedienanstalten, 以下. に(a)∼(e)のような組織に分かれており各項目につい. 「ALM」という。)とメディア分野集中審査委員会. て意見調整しながら運営されている。ALMはもとも. (Kommission zur Ermittlung der Konzentration im. と州メディア委員会の連合体として出発したが、下段. Medienbereich, 以下「KEK」という。 )であるが、産. に記載されている(a)∼(c)はその名残を残す任意組織. 業あるいは市場競争という観点から重要な役割を担. であるのに対し、上段に記載されている(a)、(d)∼(f)は. うのは連邦カルテル庁であり、これらが相互に役割分. 公式組織でその決定には強制力もある8。このような. 担することで放送市場の多面性を考慮した制度とな. 二重構造が形成されたのは、ALMの決定に一部の州. っている所にドイツの特徴があると考えられる。本稿. メディア委員会が従わない事例 が過去にあったため. では、各種文献や資料とともに放送を含むメディア関. で、このような混乱を回避するため1996年州間協定. 9. 連規制機関でのヒアリング結果にも基づきながら3、 (RStV)によりKDLM(現在は統合により消滅)と 参考にすべき点と限界について考察していくこととし. KEKが設置された。一方公式組織とされる(a)、(d)∼. たい。. (f)については、第35条に詳細な規定が設けられてい. 本稿の構成は以下のとおりである。まず次節におい. る。 10. てドイツにおけるメディア分野の規制機関について説. 各機関の詳細について述べる余裕は無いが 、本節. 明し、具体的な規制方法について概観する。続く第. で指摘したいのは、放送の視聴者市場における二つの. 3節では、競争当局との関係規定および競争当局の. 側面、即ち「質」と「量」に対して配慮が行き届いた. メディア規制に関する考え方に触れ、各規制機関の. 規制を行っているという意味で、優れた制度になって. 役割分担について考察する。第4節では、競争政策. いる点である。. 上の課題は何かという観点から、公共放送の扱いと. まず視聴者市場における「量」に関して見てみよ. メディア市場の変化に対する捉え方について検討す. う。ここで「量」とは、視聴者に対する影響力を量的. る。最後にまとめを述べる。. に示す指標のことを意味する。ドイツにおいては、ド イツ公共放送連盟(以下「ARD」という。 )および第. 2.メディアに関する規制機関 本節ではドイツにおける放送分野の規制機関につ. 44. 2ドイツテレビ(以下「ZDF」という。 )という2大 公共放送がサービスを提供していたが、1984年以降. 情報通信学会誌.
(3) 放送市場の多面性と規制に関する考察 各州が新しいメディア法を制定し商業放送の導入を. 層の強化を行った。また1997年1月に発効した州間. 図って以降急速に商業放送の浸透が進み、現在では. 協定(RStV)第3次改正においてマスメディア集中. ベルテルスマン(Bertelsmann、ドイツ法人名は. 排除規定を設け、意見の多様性を担保するため商業. Mediengruppe RTL Deutschland)とプロジーベ. 放送における集中度(所有規制)を審査する機関と. ン・ザットアインス(ProSiebenSat.1)・メディアの. してKEKが設立された。現在も基本的にはこの枠組. 2大グループによりサービスが提供されている。この. みが踏襲されている。. 2大グループは専門放送を含む複数チャンネルを所有 11. しており 、広告を主な財源とした運営が行われてい 12. る 。図2は最近10年間の視聴率シェア推移を示した 13. 15. 視聴率モデルでは、全国向け 民間放送において、 ひとつの企業(放送事業者またはその株主)に帰責 16. 可能なテレビ番組の視聴率 が年間平均で30%を超え. ものだが 、2つの公共放送とあわせ4大グループで. た場合支配的な意見の力が存在すると推定され、集. 90%以上を占める、かなり寡占化の進んだ市場とな. 中排除措置の基準とされる(第26条第2項1文) 。ま. っている状況が伺える。. た視聴率の算定にあたっては、放送関連市場におけ. (a)評議会代表 会議(GVK). (d)認可・監督 委員会(ZAK). (e)青少年メディア (f) メディア分野集中 保護委員会(KJM) 審査委員会(KEK). る関係事業者の地位も考慮に入れられる。即ち、国 内視聴世帯のカバレッジで25%を超えメディア関連 市場において支配的な事業者が出現する際にも、メ ディアと関係の深い市場において支配的な地位を有 し、あるいは放送ならびにそれと密接な関わりのある. 州メディア委員会連盟(ALM). 市場での活動を総合的に判断して、所掌するメディ ア庁に対して報告、助言を行う。 (a)評議会代表 会議(GVK). (b)州メディア委員会 役員会議(DLM). また資本関係の判断について透明性を高めるため、. (c)全体会議 (GK). 出典:ALM(2009a)p. 15、 杉内(2010)p. 80より作成.. KEKは、すべてのチャンネルリスト、その放送事業 者・所有関係等を調査している。放送事業者はこう した資本関係に関する情報について公表する義務を. 図1 ALMの組織図. 17. 負っている(第23条1項2文) 。KEK(2009)第7 (%) 29.0. 章には、大規模な資本関係を有するグループとしてタ. 27.0. イム・ワーナーやディズニー等、ドイツ国内に留まら. 25.0. ず欧州およびアメリカ全体を拠点に活動するメディ. 23.0. ア・グループを含む12グループと主要チャンネルが挙. 21.0. 18. げられている 。. 19.0. 実際の審査はKEKと対象事業者との相互対話によ. 17.0. って進められ、審査の過程で基準に抵触する恐れがあ. 15.0 2000 ARD. 2001. 2002. 2003. ZDF+共同制作. 2004. 2005. 2006. 2007. RTL group. 2008. 2009 年. ProSieben group. 出典:KEK(2009) に基づき筆者作成.. 図2 視聴率シェアの推移. る場合は、事前に相手に問題点を指摘し解決策・妥 19. 協案を検討する 。このため過去にKEKが市場集中度 の観点から違反の判断を下した事例として文書の形 で参照できるものは数例程度しか存在しない。 なおドイツにおける視聴率調査は、AGF(Arbeits-. こうした民間放送の急激な集中化に対し、1991年. gemeinschaft Fernsehforschung)1社が主体となり. に「出資モデル(Beteiligungsmodell) 」と呼ばれる. 実施されており 、過去からの整合性は担保されてい. 20. 21. 排除措置が州間協定(RStV)に定められた。これは. ると考えられる 。1社独占で、かつ調査対象の放送. 全国向け放送に関し、一定の資本拠出を根拠として. 事業者が資本参加している機関が実施する集中度測. 放送事業者が所有または支配される数を制限しよう. 定ではあるが、商業放送はより高い広告料を徴収で. 14. とするものである 。更に1996年には、需要側に対す. きるよう、その算定資料となる視聴率が高く計測され. る影響力を明示的に考慮する「視聴率モデル. ることを望む傾向にあることを考えれば、集中度上昇. (Zuschaueranteilsmodell) 」を導入し、集中排除の一. を避ける目的で故意の下方バイアスをかけるインセン. Vol.29 No.1 (2011). 45.
(4) 22. ティブに乏しいとも考えられる 。 このように量的な尺度によって放送事業者の集中 を排除する目的は、少数の放送事業者によって情報. 24. がベルリン で隣接しているが、ALMの議長は各州持 ち回りで担当することとされており特定州の意見が偏 重されることのないよう配慮がなされている。. 操作される危険性を排除し、意見の多様性を確保す. また実際の事案処理に対する姿勢も、両者では相. ることである。KEKではこれを「構造的多様性」の. 当に異なっている。例えばKEKが支配的地位を認定. 確保と呼んでいる。. するに際し恣意性が混入する可能性も否定できない. 一方ALMでは、質的な観点から「内容的多様性」. が25、こうした恣意性を回避するため可能な限り視聴. に関する評価も同様に実施している。ALMの内容的. 率という数値に換算して判断する姿勢がとられている. 多様性評価に関する代表的出版物としては、ALM. 点で、ALMの内容的多様性の検討姿勢とは異なって. (2009b)が挙げられる。この報告書では、1998年以. いる 。こうした規制手法はどちらが優れているとい. 来ドイツで最も重要な全国放送8チャンネル、即ちベ. うものではなく、複数基準による多面的なチェックを. ルテルスマン・グループの3チャンネル(RTL, RTL. 怠らないことが放送サービスにおける規制では重要な. II, VOX) 、プロジーベン・ザットアインス・メディ. 意味を持つということであり、見習うべき点であろ. アグループの3チャンネル(Sat.1, ProSieben, kabel. う。. 26. eins) 、公共放送であるARD、ZDFという主要チャン. 3.競争当局によるメディア規制 ドイツの競争政策は連邦カルテル庁(Bunポートを掲載している。 deskartellamt)が所掌しており、競争制限禁止法に さらに図1の(e)青少年メディア保護委員会は、商 基づいて規制されている。即ち純粋に競争法の基準 業放送およびテレメディアにおける青少年を保護する に沿った判定が行われており、意見多様性の確保や 中心的機関として、番組批判や潜在的に法的問題の メディアの「質」に関する要素を特段考慮している訳 あるコンテンツに関する調査を行い全国共通の方針を ではない。合併審査でも、合併企業に印刷メディア 決定している。このような放送とテレメディアの有害 (新聞・出版)/電気通信/放送その他の分野の企業 情報規制は、RStVとは別の「放送とテレメディアに が含まれているか否かに関わらず、合併によって支配 おける人間の尊厳の保護と青少年保護に関する州間 的地位が創出または強化されるかという点を介入の基 協定」によって規律されている。 準としている。 内容的多様性をどのように確保するかについては、 ただし競争制限禁止法が制定された1957年以来現 規範的な方向性を示すことはできても「客観的」な規 在まで、2度ほどメディア分野に関連した大きな改正 準を示すことは困難だと考えられる。構造的多様性 が行われてきており、端的に述べれば比較的規模の小 を検討するKEKのレポートが機関名で出されている さい企業に対しても規制の網がかけられる制度になっ のに対し、番組内容に関するALM(2009b)のよう ている27。このような規模に関する特則は必ずしもメ 28 な報告書の各章が執筆者名を明記した「論文」形式 ディア分野に限定的な訳ではないが 、メディア企業 になっているのは、その表れだろう。発表された論文 の場合には社会的影響力が大きいため、一般企業よ 29 や内容的多様性に関する評価についても、種々の批 り厳格な合併規制がかけられる制度となっている 。 判や反論が残ることとなろう。しかしこのような報告 また連邦カルテル庁の決定は現在12ある決定部にお 書が定期的に刊行されること、またここで概観した内 いて行われるが、各決定部は担当分野が決められてお 容を検討する分権的機関が州間協定(RStV)によっ り、第7部がメディア分野を、第8部が電気通信分 30 て制度的に担保されていること自体が、極めて重要だ 野を担当している様子から 、重要な分野と認識され 23 と考えられる 。 ている様子が伺える。 メディア市場の「市場画定」は、概ね以下のように このようにドイツのメディア規制においては、視聴 行われている。まず印刷メディアについては、収益が 者市場における二つの側面を考慮し、量的な観点か 購読料と広告収入から構成されているため、読者市 ら連邦レベルでの集中化対策が、質的な観点から州 場・広告市場という経済学で用いられる通常の意味 レベルを基本とした内容面での多様性確保が図られ での「市場の二面性」を考慮に入れた評価を行う。 ている。規制機関の所在地はKEKがポツダム、ALM ネルについて、番組ジャンルの統計を掲載したり種々. の内容評価を行ったりする他、番組内容に関するレ. 46. 情報通信学会誌.
(5) 放送市場の多面性と規制に関する考察 このうち読者市場が更に分割可能ならば、外形的に. 需要側については、市場支配力ではなく視聴者に. 判断可能な基準(例:刊行周期、スポーツ/一般. 対する影響力を判断基準にしている点で印刷メディ. 紙/大衆紙等の別)を考慮に入れて判断する。内容. アとは異なるが、結果的に 商業放送が直面する市場. に基づく分類は行わない。また広告市場については、. を二面とも考慮している点には注目に値する。連邦カ. 出版/ラジオ/テレビは異なる市場として評価してい. ルテル庁は1999年秋にベルリンから移転して現在は. る。印刷メディアとインターネットも、非代替的メデ. 北西部のボンに置かれており、KEKと地理的にも分. ィアとして扱われている。有料放送と広告放送につい. 断されて双方の独立性に対する配慮も行き届いてい. ては収入源が異なることから区別して扱うが、アナロ. る。. 33. しかし連邦カルテル庁とKEKの関係については明. グ・デジタルの区別はしない。広告放送に関しては、 直接対価をとっている訳ではないので視聴者市場に関. 確ではない。ドイツにおいても1991年にKEKを創設. する評価は行っていない。以上は、市場画定の際に一. する際に競争法による規制を優先すべきだとの指摘も. 般的に用いられているSSNIPテスト の結果に基づい. 31. あったようである34。しかし放送メディアに固有の問. て設定されている。. 題を解決するためには競争法だけでは不十分であると. 先述の2大商業放送グループについて見ると、連 邦カルテル庁の規制は広告市場について及んでいるの. の判断が最終的に優先され、現在の分担関係が形成 された経緯がある。 通常用いる意味での「市場」という視点に立てば、. みである。しかしここで、前節で概観したKEKの役 割を合わせて考えると、実は放送市場における視聴者. 対価を伴わない視聴者の側面は連邦カルテル庁とし. 市場と広告市場に対する監視の目が行き届いている. て特段考慮に入れる必要がないという考え方は、合理. ことに気づく。この様子を図示すると以下のようにな. 的なように思われる。また現状のように、SSNIPテス. る(図3). トの結果テレビ広告市場が他と区別された独立した 市場と見なされている限り、KEKが用いる視聴率シ 【放送事業者】. 【広告市場】. ェアと広告収入シェアは原則一致するはずであるから. 【広告料】 広告料】. 35. 広. と期待されるため、両者の関係は現時点ではあまり大. 告. 商業放送. 主. きな問題とはなっていない。しかしSSNIPの結果他の. CM枠】 枠】 【CM 【CM枠】. ・ALMの判断 内容的多様性 (番組の質評価). 【視聴者市場】 【番組】. ・KEKの判断 構造的多様性 (視聴率による評価). 、独立に判断を下しても同様の結果が得られるもの. ↑ 連邦カルテル庁の判断 【CM視聴】(SSNIPテストによる評価). 広告市場と代替的であると判断された場合、より広 範囲の広告市場を対象とする連邦カルテル庁とテレ ビ市場のみの視聴シェアに基づくKEKの判断が異な. 視聴者. る場合もありうる。この事例ではKEKの判断の方が 厳しい判定となることが予想されるため、連邦カルテ ル庁もKEKの判断を尊重し、自らの判断を再検討す. 図3 競争当局とメディア規制機関の役割分担. る余地が生ずる可能性もある。 図3で放送事業者は、視聴者市場と広告市場の2. 両機関が同時に判断を下した事例は少なく放送市. つの市場に直面している。このようにプラットフォー. 場固有のものは見られないが、ここでは大手新聞社に. ムが2つの異なるエンドユーザーを仲介者として機能. よる大手商業放送の買収計画について見ておこう 。. する市場は「二面性市場(two-sided market) 」と呼. 36. 2005年8月、ドイツ最大の新聞出版グループAxel 37. ばれ、通常は両市場に課金しているため、取引量は、. Springer が、アメリカの投資グループが所有するド. 料金の総和だけでなく料金が両市場にどのように振り. イツの大手商業放送グループProSiebenSat.1 Media. 分けられるかによっても変わっている点が特徴となっ. を買収すると発表した。この時点で、テレビ広告市場. ている。放送では有料放送の場合がより典型的に適. におけるProSiebenの市場シェアは40%以上 、Axel. 合し、先述のとおり視聴者からの直接の対価に依存. Springerのタブロイド紙BILD-Zeitungの市場シェア. しないドイツ商業放送の場合は若干形態が異なるが、. は全国紙の広告市場において40%以上(読者市場で. それでも需要面(=視聴者市場)と供給面(=広告. は80%以上)という状況であった 。この買収が成立. 32. 市場)2つの市場に直面している点には相違ない 。. Vol.29 No.1 (2011). 38. 39. すればベルテルスマン・グループに次ぐドイツ第2位. 47.
(6) の規模のメディア複合企業が誕生するはずだったが、. 方式がとられていたが、1999年にバーデン=ヴュルテ. 2006年1月10日、KEKが州間協定(RStV)に基づ. ンベルク州においてメディア法が全面改正され、放送. き、Axel Springerが世論形成上支配的な地位を有す. 事業者は放送免許と伝送路の確保を別々に行うこと. るおそれがあるとして意見多様性確保の観点から買収. が可能となった 。放送事業者は独自に伝送路を確保. の認可を拒否した。さらに連邦カルテル庁が同月24. する事ができるようなった点で経営の自由度が高ま. 日、国内の新聞市場及び新聞広告市場並びにテレビ. り、市場原理がより働くようになったと言われてい. 広告市場のすべてにおいて寡占化が進展し競争が阻. る。現在ではこのような方式を採用する方向で全ての. 害されると判断し却下した。そのためAxel Springer. 州メディア委員会から合意が得られており、議会に対. は計画を撤回した。. し改正を要望している状況にある 。このようにハー. 42. 43. 決定が同時期の2006年1月に行われたことから、. ド面での制約が少ない場合、基本的には免許を付与. 決定の過程で何らかの情報・意見交換や連係の可能. する方向で審査をすすめ、運用面で問題が生じた場. 性について思い浮かんだが、実際には行政手続上時. 合に改めて対応策を検討するとの姿勢をとっている。. 40. 期がたまたま一致しただけのようである 。規定上も、. またKEKは、大局的な観点からALMと共同で2000 44. ハード(放送の伝送に関わる)部門に関しては、ハー. 年以降、約3年に1回報告書を作成している 。タイ. ドを規制する連邦ネットワーク庁(Bundesnetzagen-. トルの推移だけ見ても次第に複雑化するメディア市場. tur)と連邦カルテル庁との協力・分担関係が電気通. への対応についての関心が高まっている様子が伺え、. 41. 信法123条に明記されているが 、ソフト部門(=放. 視聴率計算においてKEKがAGF/GfKの会員ではな. 送事業者)の需要面の集中度を審査するKEKと連邦. く詳細なデータを入手できないことから欧州統合以降. カルテル庁との関係については特に明文化された規定. の人口変化を反映できない弊害 や、新技術への対応. 45. 46. はない。双方とも独立した機関として独自の判断を行. に関する問題点 、更にEUが進める競争政策との関. ったのが真相のようであるが、視聴者市場・広告市. 係 等について指摘している。. 場両面からのチェック機能が働いたという点では、興 味深い事例であるということができよう。. 47. このようにメディア規制上柔軟な対応が見られる反 面、競争政策面では伝統的規定を厳格に遵守すると いう非対称な規制状況が観察される。これは、内容. 4.競争政策上の課題 第2、3節で概観したように、ドイツでも競争当局 に関してはメディア特有の規制が存在する訳ではな く、対応する法改正も10年以上前に行われたのみで ある。他方メディア関連の規制については、商業放送 が導入されて以降の歴史が比較的新しいこともあり、 州間協定(RStV)の改正という形で実情に合わせて 頻繁に変更が行われている。この点、日本の制度とは 大きく事情が異なっている。 例えばALMでは、環境変化に対応し放送事業者に できるだけ自由度を付与する方向に変化してきてい る。具体的には、免許手続において、商業放送導入 当初の80年代は伝送路の不足から免許を付与する際 に「配分原理(=申請者間で時間配分する方式) 」を 優先していたが、ケーブルテレビや衛星放送など伝送 手段が充実してくるのに伴い、 「選考原理(=選考に よって一部の申請者にのみ許可) 」が採用される傾向 が強くなるなどの変化が生じた。また放送伝送用手段 (ハード)については、事前に州メディア委員会・州 政府と3者で協議した上で放送事業者に提示される. 48. 規制は言論の自由に厳格なドイツの基本法に則って 柔軟に、その他は通常の競争法規制に則って考える という考え方を反映しているためだと考えられるが、 その両点が衝突しているため幾つかの問題を惹起して いる48。以下では、公共放送の扱いとメディア市場の 変化への対応の困難性について検討したい。 4.1 公共放送の扱い. 先述のように欧州における公共放送の存在感は伝 統的に大きいが、欧州連合誕生以降、経済共同体と しての性格が相対的に重要視され文化領域は補完的 役割として扱われる傾向がみられるようになった。特 に競争政策の観点から公共放送の存在が問題となる 49. のは、国家補助規制との関係においてである 。国家 補助規制とは、加盟国政府による企業支援活動を、 共同市場の競争を歪める可能性があるとして原則的 に禁じることである(EU機能条約第107条第1項) 。 この規定により、ヨーロッパの公共放送に与えられる 受信料などの公的財源は総じて国家補助にあたるも のとみなされ、原則禁止とされている。ただし「一般. 情報通信学会誌.
(7) 放送市場の多面性と規制に関する考察 の経済的利益となるサービス」についての例外規定が. ここで注意が必要なのは、競争政策を担う立場の. 存在し、 「市場だけでは供給できない公益サービス」. 連邦カルテル庁が、このような公共放送の民業圧迫. については、例示した公益サービスに関する限り国家. 問題について直接の判断を行う立場にない点である。. 補助規制の適用から外すことを認めている(EU機能 50. 具体的には、公共放送が視聴者市場で視聴率シェ. 条約第106条第2項) 。更に1997年のアムステルダ. アを拡大しても、受信料に依存している公共放送は. ム締結時に、公共放送の任務範囲と財源のしくみを. 商業放送から広告収入を奪う訳ではないという点で. 決定する権限が各加盟国にあるとされたことで、各国. 広告市場におけるクラウドアウトをもたらさない。商. ごとの文化的背景に応じた公共放送の任務を比較的. 業放送の視聴率競争はあくまでテレビ広告収入の中. 柔軟に定義することが可能になった(付属議定書第. でのパイの奪い合いに終始するため、公共放送と商業. 32番) 。しかしこの議定書も「競争に影響を与えない. 放送が競合しているとは看做されないことになる。ま. 場合に限る」として、依然として公共放送への国家補. たインターネット放送等の付加サービスとの代替性に. 助規制の適用可能性を残しており、その判断は加盟. ついても、連邦カルテル庁の現行の市場画定では、広. 国ではなくあくまで欧州委員会が行うこととされてい. 告市場のみに焦点を当て商業放送はそれだけで閉じ. る。欧州委員会が2001年に発表した「公共放送への. た固有の市場と判定しているため、影響を及ぼさない. 国家補助規制の適用についての通達」では、①公共. ことになる55。. サービス任務の明確な定義、②公式の任務委託と監. メディア規制を行う機関についても問題が残る。例. 督、③財源の比例性と透明性の基準を満たしている. えば第12次州間協定(RStV)において、 「三段階審. 場合に、公共放送の公的財源は国家補助ルール適用. 査」の導入が決定された。これは、公共放送が今後. 外として認められる、とされている。以上のような指. 新しいサービスを行う場合や既存サービスの目的・性. 針に基づき、EU委員会は2003年以降、各国で提訴さ. 格を大きく変更する場合、受信料を財源とする公共. れた「民業圧迫」問題について判断を下している51。. サービスとして提供する必要があるかどうか、市場へ. このように欧州全体で市場志向の制度改革が進む. 必要以上の悪影響を与えないかという点について、事. 中、ドイツでもしばしば公共放送の活動範囲について. 前に審査しなければならないとするものである56。し. 論争が行われてきた。ドイツでは従来、放送の社会的. かし実際に公共放送のサービスを審査する主体は各. 影響力が大きいことから特殊な規律が必要で、多元. 公共放送の内部に設置されている監督機関、即ち. 性確保の必要性から商業放送の設立は困難だと考え. ARD加盟の州放送協会では放送評議会、ZDFではテ. られてきたが、それが次第に緩和され、1987年の連邦. レビ評議会とされており、内部機関が客観的で実効. 憲法裁判所による第5次放送判決においてついに、商. 性のある審査を行うことが可能かを懸念する声が改正. 業放送と公共放送が併存する二元体制によってジャ. 案発表時から聞かれている。. ーナリズム上の競争が生まれ国内番組制作の活性化. このようにドイツでは、幾つかの機関が役割分担し. や言論の多様性の拡大につながりうる、という商業放. 独立性に配慮しながら放送市場の多面性に注意を払. 送の積極的な存在意義を認める見解が示されたとい. った規制を行っている点が長所になっているものの、. う経緯がある。この意味で現状のEU委員会の方向性. 逆に放送市場を統一的に規制・監督する機関が存在. とは逆の経緯を歩んできていると言える。. しないことの弊害が公共放送の扱いでは露呈した形と. 代表的な事例として、2002年に欧州委員会に申し. なっている。この点、メディア市場のように劇的な変. 立てられた、公共放送の受信料財源によるサービス範. 化が生じる蓋然性が高い市場においては、各機関相. 52. 囲の拡大に関する訴えが挙げられる 。欧州委員会は. 互の調整が困難になる可能性がある点には留意する. ドイツ政府と約4年半にわたる協議を重ねた結果、. 必要があろう 。. 57. 2007年4月に合意に達し、その結果、商業放送導入. 日本の場合、総務省という一つの機関が公共放送. 以来最大のものだったと言われる第12次州間協定. (NHK)と商業放送(地上民放)を監督しており、視. 53. (RStV)の改正が行われることとなった 。この結果. 聴者に対する部分を「市場」と捉えた場合の影響を. 今まで規定の無かった公共放送のサービス範囲の明. 統一的に考察できる点でドイツに比べ望ましい制度に. 確化が図られ、結果的には公共放送のサービスが制. なっていると言える。しかし「市場」への影響とは本. 54. 限される方向への改正となった 。. Vol.29 No.1 (2011). 来、広告市場を抜きにしては語れないはずで、NHK. 49.
(8) 見直しにあたっては放送法等の改正案とともに産業. ゆる「バランス条項」 )には、合併が認可される場合. 的視点から公正取引委員会の見解も取り入れつつ議. がある。. 論を進めていくべきものと考えられる。. KDG(NE3)によるNE4事業者Orionの一部買収計 画に対し、ケーブルTV事業の観点からはボトルネッ. 4.2 メディア市場の変化に対する対応. 次にもう1つ、メディア市場における連邦カルテル. ク独占の懸念を表明しつつも、ドイツテレコムが首位 を占めるインターネット市場(広帯域&狭帯域双方). 庁の幾つかの判断事例について見ておきたい。特にケ. において競争改善が見込めるとの判断に立ち、本件. ーブルテレビについては幾つかの事例が蓄積されてお. 買収は認められることとなった。. り比較的長期的視点からの評価を下せるため、以下. (3)については柔軟な対応をしたと評価できるが、. で3例ほど概観してみる。. (1)(2)に関しては、競争法の原則に忠実な判断事例だ. (1). ということができよう。この点、ケーブルテレビ市場. リバティ・メディア社の地域ケーブル会社買収 58. 差し止め. を巡る連邦カルテル庁の判断を論じた杉内(2009b). 米メディア大手のリバティ・メディア(Liberty. の議論をここでは紹介しておきたい。. Media)社は、2001年6月、ドイツテレコムが所有し. ドイツは世界でも有数のケーブル大国で現在でも加. ている国内6地域のケーブルテレビ網を55億ユーロで. 入者数は多いが、1980年代の成功から比べると現在. 買収することに合意し連邦カルテル庁の承認を待って. は停滞していると言われている。杉内(2009b)はこ. いた。これに対し連邦カルテル庁は、2002年1月末、. の原因として、①NE4と呼ばれる公道と敷地の境目. 買収認可の条件としてケーブルのマルチメディア化へ. に設置された引込み線(=住宅に最も近い部分)を. の投資を大幅に拡大するよう求めた。同庁は、投資. 運営する事業者が、ケーブル事業者(NE3)がトリプ. の拡充により利用者がブロードバンドによる電話およ. ルプレイ・サービスを開始しようとした時に非協力的. びインターネットサービスを享受できれば、高速イン. だったこと、②ドイツテレコムがケーブル網の売却を. ターネットと固定電話市場でのドイツテレコムの圧倒. 必要以上に遅らせたこと、を挙げている。更に一連の. 的優位を突き崩し、競争原理による市場開放が進む. 連邦カルテル庁の判断についても、 「完全民営化後の. とした。. ドイツのケーブルの命運を左右したともいえる」施策. しかしリバティ・メディア側は、ドイツテレコムと. として言及している61。具体的には、上記(1)(2)の事例. の競争は視野になく、むしろ買収予定6地域のケー. に触れ、 「評価が難しい」としながらも以下のように. ブル接続済み1,000万世帯へのテレビ番組供給と、ケ. 述べている。. ーブル網の残り3分の2を握っているNE4事業者の 買収を狙っていたため、譲歩案を提示しないと発表し. 「 (連邦)カルテル庁が重視したのは、オープンなデ. た。このため同年2月、連邦カルテル庁は同申請を差. ジタルアクセス、公正な競争の機会という理念であ. し止めた59。. る。デファクトよりもデジュールを優先する姿勢は、. (2) KDGの他ケーブル事業者買収案撤回. 短期的な経済成長と利回りの論理に時として反する。. (1)の結果誕生したKDGが、2004年4月、他3事業 者のiesy、ish(2007年にUnity Mediaを形成) 、Kabel. だがその文化的・社会的帰結については、長期的な 視野でしか評価できないのかもしれない。 」. Baden-Wurtemberg(Kabel BW)を買収することで 個別に合意した。しかし連邦カルテル庁は、同年8. 換言すれば、連邦カルテル庁は、放送市場について. 月、KDGの市場支配的地位が更に強まると否定的な. より静態的な視点を重視した判断を下してきており、. 中間判断を示した。その後KDGは修正案を提出した. 動態的な視点に対する配慮が必ずしも十分ではなか. が連邦カルテル庁が否定的な見解を表明したため、10. った可能性があると表現できるかもしれない。もっと. 月上旬に予定されていた同庁の最終判断を待たず、. も、動態的な視点とは「将来市場の見通し」という. 9月22日に買収計画を撤回した。. 不確実性を伴う中での意思決定であるから、必ずし. (3) KDGによるOrionの一部買収認可60. も最善の手段を講じられる保証は無いという意味で、. 一方支配的地位形成のおそれがある場合でも、そ. このような議論は後付けの誹りを免れないことも事実. れを上回る競争条件の改善が見込まれる場合(いわ. である。マイクロソフト・ケースでも大きな論争を惹. 50. 情報通信学会誌.
(9) 放送市場の多面性と規制に関する考察 起した事は記憶に新しいが、通信および放送の分野 における競争政策を考える上で、熟慮すべき事例だと 考えられる。. 謝辞 本稿は、2010年6月の情報通信学会全国大会にお ける報告を基礎としている。参加者からの質疑応答 および本誌匿名の2名のレフェリーからのコメントは. 5 結びにかえて 本稿では、ドイツの放送規制制度について概観し てきた。視聴者市場においては、KEKが出資関係に も配慮しつつ「量」的な視点から視聴率に基づく集 中規制を行っており、また各州の事情に配慮しつつ州 メディア委員会およびALMが番組内容に関する規制 を行うなど、 「質」的な視点から地域性・多元性・多 様性の確保に配慮している。さらに連邦カルテル庁が 広告市場に関する集中度規制を行うことで、視聴者 市場を規制するKEKと役割分担しつつ「市場の二面 性」にも配慮されている。 このような役割分担は独立性および自由度の観点 から好ましい面もあるが、統一的に放送市場を監督 する機関がないことから生じる短所も大きい。特に、 市場の融合が頻繁に発生するメディア市場のような動 態的市場ではその弊害が大きくなるおそれもある。ド イツの場合、連邦制を採用しており州との2層構造で 意見多様性の確保に苦心してきたが、更に欧州委員 会という3層目が上部構造に加わった現在、動態的市 場における規制制度として従前のシステムが適切か否 かについて早晩見直しが迫られる可能性もある。部分 最適化を図った結果うまく機能しているように見える 制度が、動態的市場における過渡的状況下で新たな 制度設計に苦慮する状況は、ドイツにおいても例外で はない。 市場志向の改革を迫る欧州委員会とドイツのメデ ィア規制機関との関係は、日本における新メディアや 経済界と従来型の放送産業とのせめぎあいと類似し ているようにも映る。産業的側面を重視する方向に転 換するならば、メディア規制を担う総務省が競争当局 との協働関係をどう構築し両者の判断をどのように調 和していくかについても、今後の課題となろう。更に 視聴者市場においては現在ほぼ手つかずの状況になっ ているが、資本集中が進んだ場合の意見多様性確保 についても、対応を検討しておく必要があろう。今回 の放送関連の法律一本化は、統一的に放送市場全般 を捉える端緒となる可能性もありその意味で歓迎した いが、放送制度改革はまだ緒についたばかりであり、 諸外国の動向を注視しつつバランスのとれた制度設計 が望まれる。. Vol.29 No.1 (2011). 本稿を作成する上で有益であった。また本研究の一 部は、科学研究費補助金(基盤研究(C)、課題番号 20530237)からの援助を受けている。記して感謝の 意を表します。. 参考文献 稲葉馨(2005) 「ドイツにおける独立規制機関」 、岸井大太 郎・鳥居昭夫編著『公益事業の規制改革と競争政策』 第1章、法政大学出版会、pp. 23-40. 市川芳治(2010) 「公共サービス放送に対する国家補助ル ールの適用に関するコミュニケーション(欧州委員会 通達)の改正について(上) (中) (下) 」 『国際商事法 務』第38巻第2号、pp. 179-187 & 第38巻第3号、pp. 372-378 &第38巻第4号、pp. 504-510. NHK放送文化研究所編(2010) 『NHKデータブック 世界 の放送』日本放送出版協会、ドイツ、pp. 169-178. 春日教測(2010) 『ドイツおよび英国における放送分野の 規制等の実態に関する調査報告書』第2章、公正取 引委員会経済取引局調整課、pp. 5-41. 杉内有介(2007) 「問われる公共放送の任務範囲とガバナ ンス ― EUの競争政策とドイツ公共放送」 『放送研究 と調査』第57巻第10号、NHK放送文化研究所、pp. 36-47. 杉内有介(2009a) 「ドイツ公共放送、デジタル時代の任務 範囲明確化へ」『放送研究と調査』第59巻第2号、 NHK放送文化研究所. 杉内有介(2009b) 「ケーブル大国ドイツが直面するデジタ ル化の隘路」 『放送研究と調査』第59巻第12号、NHK 放送文化研究所、pp. 32-45. 杉内有介(2010) 「ドイツ州メディア監督機関 ―連邦的規 制と共同規制―」 『放送研究と調査』第60巻第11号、 NHK放送文化研究所、pp. 72-85. 鈴木秀美(2000) 「ドイツの放送制度改革」 『放送の自由』 第3部、信山社、pp. 155-300. 中村清(2009) 「集中度の計測について」メディア集中に 関する研究会第8回議事要旨(URL http://www.jotsugakkai.or.jp/operation/study/shuchu.html). 西土彰一郎(2004) 「メディアの融合と自由 −市場の機能 性と表現の自由の交錯−」 『情報通信学会誌』第21巻 第4号、pp. 53-64.. 51.
(10) 西土彰一郎(2011) 「メディア環境の変容と公共放送」 『放 送の自由の基層』第5章、信山社、pp. 140-210. 浜田純一(1990) 「プレスの自由の「制度的理解」につい て」 『メディアの法理』第1部Ⅰ、日本評論社、pp. 360. AGF(2008)Infobroschüre, Fubruar. ALM(2008)Staatsvertrag für Rundfunk und Telemedien, Dezember. ALM(2009a)Jahrbuch 2008, April. ALM(2009b)ALM Prorammbericht 2008, Dezember. Dörr, D.(1993)Konzentrationstendenzen im Bereich des Rundfunks und ihre Rechtsprobleme, ZUM, 112f. Bundeskartellamt(2009a) The Bundeskartellamt in Bonn: Organizatios Tasks and Activities, April.. た。訪問先はKEK、ALM、連邦カルテル庁の3ヶ所 である。 4 より詳細な説明は春日(2010)を参照のこと。 5 統一ドイツの放送に関する州間協定。各州の放送制 度の共通原則を定めた州間協定の総称で、 「放送とテ レメディアについての州間協定(RStV) 」 「ARD州間 協定」 「ZDF州間協定」 「ドイチュラントラジオ州間協 定」 「放送受信料州間協定」 「放送財源州間協定」 「青 少年メディア保護州間協定」からなる。 6 州間協定のうち最も基本的なものがRStVである。従 来は「放送に関する州間協定」という名称だったが、 2007年の第9次改正でオンラインコンテンツ(テレメ ディアと呼ばれる)についての規定も統合され名称が 変更された。2010年4月1日に第13次改正が発効し ている。. Bundeskartellamt(2009b)Antitrust Enforcement by the Bundeskartellamt: Areas of Focus in 2007/2008, December.. 7 16ある連邦州のうち、都市州ベルリンとブランデンブ ルク州(mabb) 、自由ハンザ都市ハンブルクとシュレ ースヴィヒ=ホルシュタイン州(MA HSH)はメディア 委員会を共同設置しており、総数は14となっている。. DLM(2010)Interstate Treaty on Broadcasting and Telemedia, in the version of the 13th Amendment to the Interstate Broadcasting Treaties.. 8 ALM議長Thomas Langheinrich氏からのヒアリング による。. Hagiu, A.(2008)Platforms, Pricing, Commitment and Variety in Two-sided Markets, VDM Verlag. KEK(2000)Fortschreitende Medienkonzentration im Zeichen der Konvergenz, VISTAS Der Medienverlag. KEK(2003)Sicherung der Meinungsvielfalt in Zeiten des Umbruchs, VISTAS Der Medienverlag. KEK(2007)Crossmediale Verflechtungen als Herausforderung für die Konzentrationskontrolle, VISTAS Der Medienverlag. KEK(2010) Auf dem Weg zu einer medienübergreifenden Vielfaltssicherung KEK(2009)Zwölfter Jahresbericht, Berichtszeitraum 1. Juli 2008 bis 30. Juni 2009. OECD( 2003) Media Mergers, DAFFE/COMP 16, OECD, Geneva. Rochet, J. C. and J. Tirole(2003) “Platform Competition in Two-Sided Markets,”Journal of European Economic Association, Vol. 4, Issue 4, pp. 990-1029.. 9 一例として、1993年、ALMの意思決定機関である DLMが総合編成Tele 5を専門チャンネルDFSに変更 する件について反対したが、バイエルン州メディア委 員会は許可を与えてしまった事例が挙げられる。当時 は明確な権限関係がなかったため、本件については一 連の法廷闘争にまで発展してしまった。鈴木(2000) pp. 283-284. 10 詳細は杉内(2010)を参照のこと。 11 ベルテルスマン・グループは、傘下にRTL Television (総合編成、娯楽中心) 、RTL II(総合、娯楽中心) 、 Super RTL(娯楽・アニメ) 、VOX (総合、娯楽中 心)等を有する。一方プロジーベン・ザットアイン ス・メディアのドイツ向けテレビチャンネルには、 Sat.1(総合、娯楽中心)、ProSieben(総合、娯楽中 心) 、Kabel 1(総合、娯楽中心)等がある。NHK放 送文化研究所編(2010) 、ALM Jahrbuch(2009) 、 KEK(2009)等を参照のこと。 12 ドイツでは商業テレビの導入時において放送の送信施 設(ハード)は国有のものとして運営されていたた め、商業放送事業者は放送番組(ソフト)の制作・ 編集に専念することになりハード・ソフトが分離され ている。. 2 例えば、2008年2月19日付の提言『通信・放送融合 時代における新たな情報通信法制のあり方』など。. 13 ZDFにはARDや外国公共放送との共同制作チャンネ ルKI.KA、PHOENIX、3sat、ARTEを含めている。 またベルテルスマン・グループにはn-tvを、プロジー ベン・ザットアインス・メディア・グループには9 Live、N24を、含めて計算した。. 3 訪問調査は2010年3月16日∼21日にかけて実施され. 14 資本または議決権の50%未満の出資に限り、全国向. 1 (旧)放送法の他、有線ラジオ放送法、有線テレビジ ョン放送法、電気通信役務利用放送法があった。. 52. 情報通信学会誌.
(11) 放送市場の多面性と規制に関する考察 け放送は2つまでの番組を放送できるとするもの。 15 州単位での免許・監督が基本であるならば、州内にお ける集中度を問題視することも理念的には可能だと考 えられる。しかし特定州の内部のみで放送を行う放送 事業者の殆どはグループ化されておらず、単体でのシ ェアもそれほど高くはないため、全国放送はあくまで 全国レベルでの視聴率から集中度を判断するとの事で あった。 16 ここでいう「視聴率」とは、いわゆる「占拠率」を意 味する。即ち、通常の意味での全世帯に占めるテレビ 視聴世帯の割合ではなく、テレビを実際に視聴してい る世帯の中で当該チャンネルを視聴している世帯の割 合を表し、全チャンネルの「視聴率」シェアを合計す ると100%になるよう計算されている。テレビを視聴 していない世帯は「支配的な意見の形成」に関して影 響を受けないため除外して計算して良いようにも思え るが、州間協定の規定はそうなっていない。占拠率を 用いることでチャンネル間でのシェアの相違がより明 確に理解できるという長所はあるが、反面テレビとい う媒体の中で閉じられた指標であるため、テレビ以外 のメディアの利用時間や影響力が増大した事実を反映 しにくいという短所を有する。KEKは、現時点では テレビが最も影響力の大きなメディアであり特に問題 だとは考えていないとの認識であった。 17 KEK(2010)には、ベルテルスマン・グループに新 たに加わったチャンネルの資本関係が記載されてい る。イメージを明確にするため一部を転載する。下図 では大元となる企業グループの中心に「Beltelsman AG」が存在し、その下に置かれたドイツ法人である 「RTL Group S.A.」から図左上の矢印が伸びてきて いる。図示されている資本関係は以前から存在してい たが、同グループが新たに「auto motor und sport Channel」という放送局を所有したため追加記載され ることとなった。近年同グループの視聴率シェア上昇 が観測されるため、KEKでも注目しているとのこと であった。. 18 先述の2大グループ以外に記載されているグループと 主要チャンネルは以下の10グループである。Constantin Medien AG, Discovery Communications, Inc., Kabel-Deutschland-Gruppe, NBC Universal, Sky Deutschland AG, SPIEGEL-Verlag, Tele-M?nchenGruppe, The Walt Disney Company, Inc., Time Warner, Inc., Viacom-Gruppe. 19 KEK担当者、Michael Petri氏からのヒアリングによ る。 20 本節の記述は、主としてAGF(2008)に基づいてい る。AGFには当初ARDとZDFのみが参加していたが、 商業放送が開始されてから間もなくの1988年半ば以 降、2大商業グループもメンバーとして加わることと なった。日本においても現在視聴率調査会社が㈱ビデ オリサーチ1社しか存在せず、民放のキー局・準キー 局・基幹局が主要株主に名を連ねている点で類似し ている状況にあると言える。調査対象世帯はドイツ国 籍またはEU加盟国の国籍を持つ世帯であり、非EU加 盟国の国籍を持つ世帯はカウントされない。また実際 の調査はGfKという調査会社が実施している。 21 調査対象世帯数はドイツ全体の世帯数の約6,000分の 1の規模であるが、精度を上げるために年々増加させ ている。5年ごとに4,700(1995∼) 、5,200(2000∼) と増え、現在は5,640(2005∼、EU加盟国140世帯を 含む)となっている。放送受信の形態についても地上 波/衛星/ケーブルという3形態が考慮されて世帯が 選定されている。 22 もっとも後述するベルテルスマン・グループのよう に、近年視聴率シェアが上昇し30%を超える恐れが生 じる場合にはこの限りではなくなる。 23 中村(2009)によれば、オランダの研究者グループを 中心に「Reflective Index」という指標が現在検討さ れているようである。具体的にはテレビ番組を分野ご とに分類し、供給の分布と視聴者側の需要の分布の 間の乖離を求めることで多様性の指標として用いるこ とを意図しているが、その根本となる番組ジャンルの 決定方法には客観的基準を設定しにくく、この点につ いて十分な検討を行わないまま安易な数値化を行うこ とに対する批判には根強いものがある。 24 ALMは従来議長の交代ととともに所在地も移動して いたが、2010年5月、ベルリンに共同事務所を開設し (Gemeinsame Geschäftsstelle der Medienanstalten) 、 所在地が固定化されることとなった。 25 より具体的には、放送関連市場における関係事業者 の地位を考慮に入れる際、 「メディアと関係の深い市 場において支配的な地位を有し、あるいは放送ならび にそれと密接な関わりのある市場での活動を総合的に 判断して、意見形成に対する影響力という点で30%の 視聴率を獲得している事業者と同等であることが明ら かになる限り」という条文に照らして判断を行う過程. Vol.29 No.1 (2011). 53.
(12) で、恣意性が入る余地が存在する。西土(2004)p. 63では、 『このようなモデルには多くの批判が投げか けられるであろう。たとえば、 「支配的な意見形成の 力」の存在の調査とはいえ、KEKという組織が各番 組の質を調査する権限を有していることにより、この モデルでは集中排除原則と番組の質・多様性に関わ る規律とが結合していることになる。 』と述べており、 『 「国家からの自由」のためにKEKの人的構成やその 選任手続などが重要となる』事を指摘している。 26 こうした姿勢は、過去の反省に基づくものである。第 3節で見るAxel Springer新聞社のProSiebenSat.1 Media買収問題の際、事案を却下するというKEKの 判断が数値以外の面で行われたとの批判が原因で、以 前の専門家委員6名の体制から、州メディア委員会 代表者6名を加えた現行の12名体制に変更が行われ た。このような事態を避けるため、現在ではKEKは より数値化を志向しているとのことであった。 27 OECD(2003)pp. 241-245. 1976年の第三次改正で は、地域における印刷メディアの著しい集中に直面 し、企業結合規制に、①合併規制を小規模出版社の 場合に適用する(売上高の20倍を基準とする) 、②合 併後の国内売上高が2,500万ユーロを超える場合にカ ルテル庁の承認を条件として課す、等の特則が設けら れた。また1999年の第6次改正(第38条第3項)で は、この条項が放送部門を含むメディア部門全体にま で拡大された。OECD (2003)は、印刷メディア部 門の合併でそれ以降約30件の差し止め事例があり、メ ディア企業Kirch/Bertelsmann/Premiereの合併を却 下した点からも、この分野の集中抑止効果は大きかっ たとしている。なおここではOECD(2003)記載の通 貨単位をそのまま利用している。 28 他の事例として、商社の場合売上高の3/4のみを考 慮すれば良いとの規定がある(第38条第2項) 。 29 1976年の第三次改正では、印刷メディア市場における 独占・集中が進行し、社会的に大きな影響力を持つ 表現手段が少数の人びとの手に握られることで市民の 意見形成を自由に行うことが困難になることが危惧さ れたという社会的背景があった。特に(1)少数の大新聞 グループへの発行部数の集中、(2)新聞の少なくとも一 般政治面を基本的に自己編集している編集局数の減 少、(3)ただ一つの日刊紙しか購読できない地域の増 加、という3つの集中化現象は、その是正のために国 家の積極的な介入を促す論拠を提供することとなっ た。そこから第三次改正の他、印刷メディアの集中化 の現状認識と対処のための基礎となる公式統計資料 の作成について定めた印刷メディア統計法の制定、経 済的に弱小な印刷メディア企業に対する助成措置の構 想などが派生した。浜田(1990)pp. 50-53を参照の こと。なお本参照部分はレフェリーより指摘を受け た。 30 Bundeskartellamt (2009a) p. 52.. 54. 31 SSNIP テストとは、ある商品に関する独占企業を想 定し、当該企業が、小さいが重要な一時的ではない程 度の値上げ(Small but Significant and Non-transitory Increase in Price)を行った場合における隣接商品 への顧客の乗り換えに着目し,もはや隣接商品への乗 り換えが生じなくなった範囲をもって関連市場を画定 する手法であり、今日では欧米ともに一般的に採用さ れている手法となっている。 32 二面性市場に関する初期の代表的な論文にRochet and Tirole(2003)がある。また最 近 ではHagiu (2008)が、プラットフォームが提供する多様性にま で言及した包括的な理論分析を行っている。 33 出資モデルから視聴率モデルへの転換は単純に視聴者 市場における事情のみを考慮した結果にすぎず、最初 から広告市場との連係が意識されていた訳ではない。 34 当時の指摘はDörr(1993)を参照のこと(鈴木 (2000)p. 284) 。 35 広告収入は広告効果、即ち視聴率×世帯数の積で表 されるリーチによって原則決定されるため、広告収入 シェアと視聴率シェアは一致することが期待される。 現実には視聴率が計測されてから実際の広告料金に反 映されるまでのラグが発生するため、必ずしも一致し ない。 36 Bundeskartellamt (2009a) pp. 30-32. 37 主な事業は、新聞(esp, BILD, Welt) 、雑誌、出版 物、ニューメディアと多岐に渡る。更に、出版社や電 子メディア、メディア流通企業への資本参加を行って いた。 38 RLTグループは40%未満、ARDおよびZDFは5%以 下の市場シェアしか有していなかった。 39 日 刊 購 読 紙 で あ る FAZ, Frankfurter Allmeine Zeitungとは異なる市場として扱われている。最大の 競争相手であったFAZの広告収入は、直前3期間で大 きく減少していた。 40 連邦カルテル庁Kai Hooghoff氏からのヒアリングによ る。 41 稲葉(2005)pp. 37-38. 42 鈴木(2000)参照。 43 ALM議長Thomas Langheinrich氏からのヒアリング によれば、共同事務所開設は、この種の活動が近年増 加しているため、とのことであった。 44 州間協定(RStV)第26条第6項の規定による。タイ トルは第一次レポートから順に「メディア集中による 意見の多様性確保」 「大変革期における意見の多様性 確保」 「クロスメディアの関係:メディア集中規制へ の挑戦」 「クロスメディアにおける意見の多様性確保 の途上で」となっている。KEK(2000、2003、2007、 2010)参照。. 情報通信学会誌.
(13) 放送市場の多面性と規制に関する考察 45 非ドイツ国民かつ非EU加盟国民ではあるが、近年人 口が増加しドイツ国内で2大外国人グループを形成し ているトルコ人・前ユーゴスラビア人に関するデータ が得られない点。 46 2009年1月現在、DVDやHDD録画による視聴を測定 する新技術については対応できているが、インターネ ット(IPTV)や携帯端末(mobile TV)を通じた視 聴については、まだ計画段階であるという点。 47 欧州共同体における立法は放送分野においても次第に 重要性を増しつつあるが、EUは意見の多様性を規制 するための機関を有しておらず、競争環境の保証や経 済的多様性に主眼を置いた政策を展開している点に言 及している。 48 レフェリーの指摘による。 49 以下は杉内(2007)pp. 38-40に詳しい。ただし条文 番号は、リスボン条約(2009年10月)後のものに変更 している。また西土(2011)第5章は、欧州法におけ る放送の位置づけをより詳細に検討している。 50 代表的なものとして交通、エネルギー、水道、郵便、 電気通信などが挙げられ、放送もこの中に含まれる。 これらサービスは従来、国営企業によって独占される のが通例であり、このような事業独占権は自由市場原 理に本来反するものではあるが、EU機能条約では例 外を認めている。 51 その後本通達は大幅に加筆修正された(2009年7月) 。 特に通達の核となる第86条2項の判断に関する記述 が詳細化され、通達の分量自体も増加している。本通 達の訳および解説は市川(2010)を参照のこと。. 「公共的価値の審査」をモデルにしたものとされる。 審査では、サービスに①民主的・社会的・文化的必 要性があるか、②市場への影響や既存のサービスと比 較して付加価値が認められるか、③予算規模、の3点 が検討される。市場への影響の算定には外部の専門家 の登用が義務づけられるほか、市場関係者の意見も考 慮しなければならない。またインターネットサービス については、2010年8月末までに既存のサービスすべ てを審査にかけなくてはならない、とされた。 57 直接の競争相手である商業放送を監督する立場の ALMは、公共放送の活動範囲を制限する最近の動き を基本的に歓迎しているものの、テストの実施主体に ついては納得しておらず、現実には難しく今まで同 様、審査結果に不服があれば連邦憲法裁判所に訴訟 を起こすなどして結果の修正を要求していくしかない との認識をしていた。 58 NHK放送文化研究所編(2010) 。 59 その後2003年1月、英米の投資会社3社からなるコ ンソーシアムに約17億ユーロで売却されることが決ま り、3月にEUの欧州委員会が承認した。この結果、 9社あったドイツテレコムのケーブル子会社の売却が すべて完了することになった。新会社はKDG(Kabel Deutschland)となった。 60 Bundeskartellamt (2009b) pp. 15-16. 61 より直接的に「ケーブルの成長を妨害しているのは (連邦)カルテル庁ではないのか」とも述べている。. 52 第12次放送州間協定に関する以下の記述は、杉内 (2009a)に基づいている。 53 主な改正点は以下の4点である。①インターネットサ ービス範囲の明確化、②デジタル専門チャンネルの再 定義、③「三段階審査」の導入、④商業サービスのガ バナンス強化。 54 この方向性はその後も継続しており、2010年4月に発 効した第13次改正でも、プロダクト・プレースメント (映画などの小道具として目立つように商品を配置す ることで商品露出を高める広告手法)について、公共 放送は商業放送に比べてより制限的な扱いを受けるこ ととなった。 55 厳密に言えば、ドイツの公共放送は広告収入にも依存 している。しかしその割合は大きくなく(2008年度で ARDの全収入に占める広告収入割合は約5.7%、ZDF は約5.8%程度) 、さらにARD第一テレビとZDFでは1 日平均20分まで、かつ平日20時以降と日曜・祝日の 広告放送は認められないという制限が設けられている ため、民間放送の広告収入を現状以上にクラウドアウ トする効果は限定的である。 56 イギリスBBCの監督機関BBCトラストが実施する. Vol.29 No.1 (2011). 春日 教測(かすが のりひろ) 1993年東京大学経済学部卒業、同年郵 政省入省。 電気通信局業務課主査、郵政研究所主 任研究官等を経て、2003年長崎大学経 済学部助教授、2005年エール大学客員 研究員、2006年神戸大学大学院経済学 研究科助教授(2007年より准教授)、 2009年4月より近畿大学経営学部准教 授。総務省情報通信政策研究所特別上席研究員、民放連研究 所客員研究員、公正取引委員会「競争評価検討会」委員。博 士(経済学) 。. 55.
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