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組織社会学の発展段階に関する一考察(1) -- W. R. スコットの所説を中心に --

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(1)、.,;.;,�!···�. I ,,.,t.,.,,:,;:··�\.-. : ぇ :'•;:;:� ・ 、. 竺"'.ふ:,:L_. .. J. _,. .、. ". ・タ. ···· ·-. 商経学叢 第44巻第 2 号 1997年12月. 組織社会学の発展段階に関する 一 考察 (1) W.R. スコットの所説を中心に _. 序. 美. 齋. 目. 藤. 雄. 次. 第一節 組織社会学の発展段階 第二節 生成過程における組織社会学 I. 前史段階 II. 第一段階 ill. R.K. マ ー トンとMクロジェ 第三節 若干の過渡的考察 I. 組織社会学と組織理論の境界線 II. 官僚制組織論と組織社会学の連続性 ill. M. ヴェ ーバー の官僚制論の原典 IV. 日本における概論書の刊行 (以上本稿) (以下次稿). 第四節 発展過程における組織社会学 I. 第二段階 II. 第三段階 第五節 若干の批判的検討 むすび. 序 組織社会学の展開の歴史は1940年代の末から50年代半ばにかけてのアメリカ社会学にお ける官僚制組織の機能分析の実証的展開に始まる。 第二次世界大戦後に誕生し, まだ半世 紀ほどしか経過しておらず. 社会科学の他の諸分野と比較しても日が浅い。 しかし1960年 代には組織構造の比較分析(構造比較分析)や構造コンティンジェンシ ー 理論が登場して きた。 さらに60年代の半ば以降になると, 個体群生態学的アプロ ー チや, 新制度学派社会 学的組織論などの種々の新しいパ ー スペクティヴが踵を接して登場してくる。 しかるに, この活発な動きも80年代半ば以降は一段落し, むしろ既存パ ー スペクティヴの接合を目ざ - 23 (151)一.

(2) 第44巻. 第2号. す収敏化の傾向が目につくという基調の変化を見せつつ現在に到っており, これまでの組 織社会学はかなり目まぐるしい展開の過程を経てきた。 こうして, 今や組織社会学は経営組織論と共に, 組織研究における二大潮流の一つとな り, 他の諸分野における組織研究との学際的交流も次第に活発化しつつある。 今日, その 展開や動向を無視して, 組織理論全体の動きを語れないと言われるゆえんである。 更に この組織社会学の展開は60年代半ば以降のドイツにおける経営社会学の動向にも大 きな影響を及ぼしている。 すなわち組織社会学の展開が活発化してくるに及んで, ようや くそれを契機にマック ス ・ ヴェ. ーバー. (Max Weber) の官僚制論が本格的に経営社会学. の議論の舞台に正面から登場してくるが, このロ スト. ・. ヴェ ーパー 的状況からポ スト. ・. ヴェ ー バ ー 的状況への状況転換過程は経営=支配団体説の強力な復活をもたらす ことに よって, その後の経営社会学の分析視角や理論的動向にも重大な影響を与えた1110 こうして, いまや組織理論の展開を全体的に展望するためにも, 経営社会学の現代的課 題を適切に理解するためにも, その不可欠の前提の一つとして, 組織社会学の展開過程や 理論的動向をサ ー ベイし, それを体系的に視野にいれておく必要性は, 経営学的にも決し て小 さくない。 もちろん, そのような努力は, 社会学者を中心に従来からも試みられ, 優 れたサ ー ベイ研究も既に少なからず存在する。 しかし, この種の作業は時代の展開や変化 と共に, 様々な立場から繰り返し行なわれる必要がある。 こ こに, この小論において, あ えて筆者もそれに挑戦する所以があるが, この筆者の試みに一つの大きな刺激を与えたの が, 最近, 公表 された W.R. スコットによる次のサ ー ペイ論文である。 すなわち, スコッ トは 1994年に今日の組織社会学における六つの主要パ ー スペクティヴの各々を代表する中 心論文で構成 される論文集『組織社会学』 (W.R. Scott, ed., ORGANIZATIONAL SOC/­ OLOGY. Dartmouth, 1994.)(21 を編集した。 その序論 (W.R. Scott, ibid., Introduction,. pp.. xm- XXL)として収録 されたのが,. われわれが こ こで「 スコットB」と略称する この. サ ー ベイ論文に他ならない。 それは量的には僅か9頁足らずの小論文に過ぎないが, 内容 的には次のごとく大いに注目すべき理由をもつ。 第一 に, スコットBは時期的に比較的新しく, より最近の動向が論議に反映 されて い る。 しかしそれにもまして注目 されるのは, このサ ー ベイ論文は組織社会学における代表 この点については次の文献で鋭い的確な分析がなされている。 石坂巖著 r経営社会学の系譜」, 昭和 50年, 木鐸社。 (2) 本書は, 1960年代半ばのコンティンジェンシー 理論にはじまる六つの有カパ ー スペクティ ヴの 登場と競合によって特徴づけられる組織社会学の展開の第二段階以降の理論的動向に重点をおい てスコッ トが編集した論文集で, Keith Bradley を編集長とする The International Library of Management シリ ー ズの一 冊である。. (1). - 24 (152)-.

(3) 組織社会学の発展段階に関する一考察(1) (齋藤) 的な文献として定評のある スコットの主著. (.W.R. Scott, Organizations: Rational,. Natural, and Open Systems, 2nd ed., Prentice-Hall, Inc. 1987. ……なお, 本書も 「 ス. コット A 」と略称する ことがある。)を踏まえて執筆 されており, その延長線上に位置して いるという事実である。 スコット A の内容を反映する高度に凝縮 された論議がそ こに展 開 されている。 第三に スコットは組織社会学の歴史について, かなり大胆な段階区分を年 代別に行なっている。 それを拠所にすれば, 組織社会学の発展段階について, かなり明確 な図式化が可能になるが. まず これが本稿の第一節の主題になる。 第二節と第四節では, この スコットのサ ー ベイ論文における主張の内容をできるだけ正 しく理解するための努力がな される。 第二節の焦点は, 組織社会学の展開の前史および第 一段階に関する論議であり, 第四節のそれは, 第二段階以降に関する論議である。 第三節 では, 組織社会学の前史時代及び第一段階に関する スコットの論議の批判的検討を通じ て, 若干の経過的考察がな されるが, それは第五節 でな される スコット B 全体に対する批 判的検討の予備的作業としての 一面をもつ。 なお, この小論の論議が内外における他の多 くのサ ー ベイ論文や組織社会学の主要文献の内容を踏まえながら, な されているのはいう までもないが, その主な狙いの 一つは今後の課題への言及にある。 主題の大き さと紙幅の制約から, この小論の論議は二回に分割して公表せざるを得な い。 従って, 本稿ではその前半部分が論じられ, 後半部分は次稿に委ねられる ことになる。. 第一節. 組織社会学の発展段階. スコット B において スコットは, 組織社会学の発展段階を長期間の前史段階 (1945年以 前)とそれに続く歴史の三段階, すなわち第一段階 (1945年ー1965年)と第二段階 (1965 年ー1985年)および第三段階 (1985年以降)に区分した1310 この歴史時代の三段階を端的に特徴づける用語を スコットの論議のなかに探索すると, 次の三つがある。 第一段階にあてはまる概念は「理論的総合」 (synthetic statements) で あり, 第二段階には「理論的分化 」 (theoretical differentiation) の概念が, 第三段階には 「理論的収飲」 (theoretical convergence) の概念が妥当する。 前史時代は, 組織社会学の成立にとって重要な意義をもつ先駆的研究が, 組織社会学の 成立に先だって展開 される段階であり, まだ この段階では組織社会学の構築努力の意識的. (3). スコッ ト B, op. cit., p. X皿 - 25 (153)-.

(4) 第44巻 第2号. 展開過程が表面化しておらず, これを胎動期の動きとして捉える ことができよう。 歴史時 代の第一 段階は, 組織社会学の構築努力が表面化し, 多少とも意識的に展開 される段階に 関わっていると ころから, これを 「生成期」 の動きと見なす ことができよう。 歴史時代の 第二段階は, 新しい学問領域としての組織社会学の確立の努力が一応は結実し, 組織社会 学が本格的な発展をめざす段階にかかわると ころから, これを発展期の動きとして捉える ことができよう。 歴史時代の第三段階は, 第二段階における一連の展開の経過のなかから生じて来る新し い傾向に基づく基調の変化と結びついている。 この段階の特徴は, 第二段階において展開 された既存の種々のパー スペクティヴを, 様々の方法で接合する ことによって新しい理論 的展開を目指す傾向が次第に強まって来る ことにある。 従ってそれは, 収敏期の動きとし て捉える ことが可能であろう。 この スコットの段階区分の一つの特徴は, 各段階を暦年的に明確に区分している ことに ある14)。 これを 一括すると, 次の表lの図式を導き出してくる ことができる。 表1. 組織社会学の発展段階. 前史時代=胎動期 (先駆的業績段階) •… ··1945年以前 第一段階=生成期 (理論的総合段階) … ···1945年 -1965年. 第二段階=発展期 (理論的分化段階) …… 1965年 - 1985年. 第三段階=収敏期 (理論的収倣段階) •… ··1985年以降. 本稿の以後の論議が, この表の段階区分に基づいて展開 されるのはいうまでもない。. 第二節 I.. 生成過程における組織社会学. 前史段階 (1945年以前). 前史の段階は, 組織社会学的にみて, 重要な先駆的意義を持つがゆえに, 組織社会学の 構築段階において注目 され, 理論的総合の対象として重要な位置をしめる一連の古典的研 究業績や貢献が展開 される段階であり, それが相当に長期にわたるのは スコットがあげる 古典理論家の顔ぶれを見ても明らかであろう。. (4) スコットB, ibid., pp. xm-XVII. - 26 (154)-.

(5) 組織社会学の発展段階に関する一考察(1) (齋藤) すなわち彼は この段階で注目すべき論者として, まずファ ーヨル (Henri Fayol), ミへ ル ス (Robert Michels) およびヴェ ーバー などのヨ ーロッ パ の研究者の名をあげている が, それは組織社会学の構築が多分に彼らの遺したヨ ーロッ パ的遺産に基づいてな された ことを強調するためである。 しかるに, このヨ ーロッ パ 的遺産を受け継いで, 実際に組織 社会学の構築の主体となって活躍したのは, アメリカの社会学者達であった。 これは第一 段階の組織社会学の生成過程において, 大きな貢献をした論者達としてあげられている研 究者の顔ぶれによく反映 されている。 なお, マルク ス (Karl Marx) の業績の組織論的意義が組織社会学において認識 される ようになったのは第二段階以降の ことであり, それまでは, その重要性は十分に理解 され ていなかったという理由から, スコットは彼を他の論者達とは別枠扱いにしている。 しか し, マルク スの官僚制理論にかかわる業績は『ヘ ー ゲル国法論批判』151 で展開 された「階級 国家論的官僚制理論」だけでない。『資本論』 では, まだ「官僚制化」という用語は用いら れていないが, 事実上, 産業化にともなう生産組織の官僚制化の過程が生き生きとした筆 致で克明に描写 されている161。 これに着目すれば, やはりマルク スも組織社会学の古典理 論家の一人として位置づけられるべきであろう。 この点については, 第五節で改めて言及 する ことにする。 他方, 組織社会学の構築段階においてとりあげられ, 理論的総合の対象として登場して く る こ と に な る ア メリ カ の 主 要 な 先 駆 的 業 績 とし て, ス コ ッ ト はテイラ. ー. (F. W.. Taylor) の科学的管理法と人間関係論の両者をあげている。 たしかに, これらの理論もま. た, アメリカにおける組織社会学の構築において, 組織研究の先駆的業績として, それな りに重要な存在であるが, ヨ ーロッ パ的遺産の持つ影響力には及ぶものでない。 なお, スコットは組織社会学の先駆的理論家の一人として,. バー ナ ー ド(C.. I. Barnard). もあげている171 が, こ こでは組織社会学の初期の重要文献にバ ー ナ ー ドが登場してくる場 合の一般的傾向が反映 され, 彼がメイヨ ー (Elton Mayo) と並んで人間関係論の代表的論 客として取り扱われている ことは注目を要する。 K. Marx, "Critique de le philosophie de l'etat de Hegel", (in) Oeuvres philosophiques, translated by Molitor, Paris, vol. 4, 1937. カ ー ル ・ マ ルクス「ヘ ー ゲル国法論〈第 162節~ 第3 13節〉の批判」, マ ルクス=エンゲルス全集; 1839-1844, 第 1 巻. 大月 書店, 1959年。. (5). (6). 日本では. 佐藤慶幸がいち早く この点を指摘し, グ ー ルドナ ー のストライキに関する事例研究. (A. W. Gouldner, Wildcat Strike, Kegan Paul, 1955.) や, ウォ ー ナ ー =ロ ー (W. L. Warner and J. 0. Low, The Social System of the Modern Factory, New Haven: Yale University Press, 1947.) のヤンキ ー ・ 、 プイ ー ・ シリ ー ズの研究書にもその系譜に属する研究. 活動の展開を見出している。 佐藤慶幸「官僚制理論」安田• 塩原• 富永• 吉田編 r社会集団J (基礎社会学講座第田巻) 昭和56年 120-146頁。 (7) スコッ ト B, op. cit., p. XIII. - 27 (155) ―.

(6) 第44巻. 第 2号. II. 第一段階 (1945年 -1965年). 前史に続く組織社会学の歴史の第一段階は, 組織社会学の構築努力が多少とも意識的に 行なわれた段階であり, これを「生成期」と称する ことができよう。 スコットによれば, 組織社会学の構築に直接に貢献する一連の研究業績は この時期に集中して登場し, その集 合的効果として組織社会学という新しい学術的活動の舞台が出現した。 プラ ウ (P. M. Blau), エ チオニ (A. Etz.. スコットが上げる この段階の主な貢献者は, ioni),. グ ールドナ ー. (A. W. Gouldner),. マ ー チ (J. G. March),. セルズニック (P.. Selznick), サイモン (H. A. Simon), ホワイト (W. F. Whyte) 達であり, 明らかにその. 主体はアメリカの社会学者達にある181。 彼らは先駆的な古典的業績に含まれている様々の 理論的諸要素を種々の観点から結合し, 様々な論点や問題点が相互に関連しあう複合的な 理論体系の構築に努めた。 先駆的な古典的業績を さまざまの経験実証的なアプロ ー チを通 じて, 批判的に受容していく この段階が, 理論的総合段階として特徴づけられるのはその ためである。 スコットはその代表的な貢献を次の一連の研究業績に見出している。. 1.. 第一段階における主要研究業績. 組織社会学の生成に直結する第一段階の主要業績に関する スコットの言及はいたって簡 単で, い さ さか断片的に過ぎると ころもある。 そ こで内容的に若干の補足も必要に応じて 試みながら, その部分に目を通していきたい。. (1). まず第一に スコットがあげるのは, ヴェ. ー バー. の支配社会学の脈絡に分析の拠所をお. き, 組織における成員の服従関係に基づいて, それを類型的に, 強制的組織と功利的組 織および規範的組織に区分したエ チオニの組織類型論19) である。 そ こには正当的支配 や権力の多様な類型とその成立基盤を論じたヴェ ー バ ー のアプロ ー チが反映 されている ばかりでない。 近代国家および近代企業における管理形態を過去の伝統的支配と区別す るために,. 一. 連の重要な構造的諸特性を, 合理的官僚制の理念型概念において明示した. ヴェ ー バ ー の比較歴史的な分析視角も, エ チオニによる組織類型の区分の重要な背景に なっている呪 (8) スコッ トB, op. cit., p. XIII. (9) Amitai Etzioni, A Comparative Analysis of Complex 0屯anizations. New York: Free Press of Glencoe 1961. C綿貫譲治監訳, 「組織の比餃分析」, 培風館, 昭和41年。) 暉 ヴェ ー パ ー の官僚制理論の原典については, その重要性に鑑み, 第三節 m. においてかな/ - 28 (156)-.

(7) 組織社会学の発展段階に関する一考察(1) (齋藤) (2) 多様な目標をもつ利害関係者や構成員の類型区分との関連にお いて, 組織の構造特性 の変異に注目する プラ ウ = スコットのアプロ ー チ011 にも, ヴェ ー バ ー の官僚制論におけ る支配社会学的な分析視角が強く反映してくる。 主要受益者の差異にもとづく組織の類 型的区分もその一例であろう。 すなわちそ こでは, ①組織成員一般を主要受益者とする 共益結社, ②所有者, 経営者が主要受益者である営利企業組織, ③ ク ラ イ エン ト集団が 主要受益者であるサ ーヴ ィ ス組織, ④公衆一般が主要受益者である公益結社, の四類型 が区分されて いる。 また, この二人の共著では, 官僚制組織の種々の側面に関する組織 社会学的な論議の展開を通じて, 主要文献の紹介が体系的にな されている ことでも定評 があり, スコットとの共著ながら, それは プラ ウ の中期的な代表文献の 一つである。 (3). 制度的環境の抵抗を受けやす い 革新的な公式的組織目的の追求が, 組織の存続に脅威. をもたらす場合, 組織の存続を優先する成員達によって, 本来の革新的理念が実質的に 放棄 され, 後退する傾向がある ことを いち早く認識した ミ ヘ ル スの古典的洞察を反映す る組織社会学的研究の代表例としては, セ ルズニッ ク の TVA に関する実証研究u� が有 名である。 すなわち, セ ルズニッ ク は組織の安全性の確保を優先する立場から, 当初の 革新的目標が TVA の職員達によって様々の方法でつぎつぎに手直し され, 骨抜きに さ れて いく過程を観察する ことによって,. ミ ヘ ル スの主張を実証的に裏づけた。. ちなみに グ ー ルドナ ー は 1955年の有名なサ ー ペ イ 論文03 で, まず, 規模や技術的進歩 に官僚制化の不可避的原因を求めるパ ー ソン ズ (T. Parsons) 流の構造ー機能論的アプ ロ ー チを技術的決定論の隔世遺伝と鋭く批判したが, 今度は返す刀でセ ルズニッ ク のア プロ ー チについても, 民主主義のペシ ミ ズ ム を奏でる ミ ヘ ル スの伝統を汲むとして,「 19 世紀の経かたびらをまとった陰気な学問」 と痛烈に批判した。 セ ルズニッ ク の組織社会学における主著が,. この TVA に関する実証研究であるのは. 言うまでもないが, 彼の次の二 つ の論文も, シ ス テ ム としての組織に内在する至上命令, すなわち, 統合と 自 己維持と いうニー ズに適合する適応的な社会構造としての組織の概 念化の必要性を強調しており, 組織社会学の先駆的業績として注目を要する。 *P. Selznick, "An Approach to a Theory of bureaucracy", American Sociological. /' り 詳細な紹介を行な う 。 (II) P. M. Blau and W. R. Scott, Formal 0屯anizations, Routledge, 1963. (橋本真 • 野崎治男 訳. 「組織の理論と現実 (上)」, ミ ネ ル ヴ ァ 書房 昭和41年。). ⑫ P. Selznick, TVA and Grass Roots, Berkley and Los Angels : University of California Press, 1949. (ll A. W. Gouldner, "Metaphysical Pathos and the Theory of Bureaucracy", American Political Science Review, vol. 49, No. 2, 1955. (A. W. グ ー ルドナ ー 「形而上パ ト スと官僚制. 理論」. 岡本秀昭 • 塩原勉訳. ダ イ ヤ モ ンド社. 昭和38年。) - 29 ( 1 57 )-.

(8) 第44巻. 第 2号. Review, Vol. 8, 1943. *P. Selznick, "Foundations of the Theory of Organization", American Sociolog­ ical Review, Vol. 13, No. 1, 1948. n� およびメ 第一次集団関係と非公式的構造の重要性に着 目 するバ ー ナ ー ド (1938年). (4). OS や レ ス リ スバ ー ガ ー =デ ィ ク ソン (F. J. Roethlisberger and W. J. イヨ ー (1945年) Dickson, 1939)0s の関心は グ ー ル ド ナ. ー. による官僚制組織の経験実証的な事 例 研究. (1954年) 0� にも反映している。 そ こでは非公式的構造の機能と逆機能や組織の官僚制化. を促進する対人的相互作用に関連する諸条件の解明が精力的にな されている。 ちなみに これに関する スコットのコメン トで注 目 を要するのは, 彼が こ こにヴェ ー バ ーの官僚制 論と人間関係論的 ア プロ ー チの接合の試みを見出そうとしている ことであるが, それは 非金銭的動機づけ要因と非公式的な権威シ ステム に関するホワイト (1955年, 1959年) の事例研究0� にも妥当する。 この グ ー ルド ナ ー の石膏事業所に関する実証研究の中心的成果としてあげる ことがで きるのは, 合理的官僚制が形成 される過程の検討を通じて, 模擬官僚制と懲罰官僚制, 代表官僚制の三つのパ タ. ー. ン が析出 されている ことである。 このうち, 代表官僚制は合. 理的官僚制の諸原則が労使の合意を通して, しかも専門知識にもとづいて制定 されたパ タ. ー. ン であり, これ こそがヴェ ー バ ー の合法的合理的官僚制に対応するものにほかなら. ない。 グ ー ルド ナ ー は この石膏事業所の ケ ー スにおいて, コン フ リ クト解決の平和的方 法の模索が, 利害対立者双方によって承認 される普遍主義的な規則の制定へと導き, 結 果として組織の官僚制化がもたら される過程を分析した。 グ ー ルド ナ ー は論文 「組織分析」 (A. W. Gouldner, "Organizational Analysis," in Merton, Broom, and Cottrell eds., Sociology today,. New York : Basic Books,. 1958.) において, 組織分析の系譜にかかわる二つのモ デル, すなわち, 「合理的モ デル. (14) C. I. Barnard, The Functions of Exective, Cambridge, Maas. : Harbard University Press, 1938. (山本安次郎 • 田杉競 • 飯野春樹訳. 「新訳 ・ 経営者の役割」, ダイヤモ ンド社. 1968。 ) (15) Elton Mayo, The Social Problems of an Industrial Civilization, Boston : Graduate School of Business Administaration, Harvard University, 1945. (I� F. J. Roethlisberger and W. J. Dickson, Man egement and the woker, Cambridge, Maas. : Harvard University press, 1939. 07) A. W. Gouldner, Patterns of Industrial Bureaucracy, Kegan Paul, 1954. (岡本秀昭 • 塩原 勉共訳, 産業における官僚制J. ダイヤモンド社. 昭和38年。) (I& W. F. Whyte, et al. Mon ey and Motivation : An Analysis of Incentives in Industry, New York : Harper, 1955. W. F. Whyte, Man and Organization, Homewood, IL : Richard D. Irwin, 1959.. r. - 30 ( 15 8 )-.

(9) 組織社会学の発展段階に関する一考察(1) (齋藤) (Rational Model) 」 に 「 自 成体系モ デル (Natural-System Model) 」 を対置し, 組織. 分析の基盤や方法論上の諸前提の再検討 を試み, この面で も 組織社会学に大きな影響力 を発揮した。 人間関係論的アプロ ー チの関心を反映する一つの重要研究の例 を, スコットは初期 プ. (5). ラ ウ の中心文献 「官僚制の動態」 (P. M. Blau, The Dynamics of Bureaucracy : A Study of Interpersonal Rela tons in Two Government Agencies, The University of Chicago Press, 1955.) に見出している。 それは官僚制的構造におけるイン フ ォ. ー. マル. な仲間集団の役割に注目する事例研究であり, 喘業安定所などの政府系組織に関してな されたが, そ こでは, 官僚制的構造 自 体がそれ 自 身の構造を修正する条件をたえず造り 出す事を主張する官僚制の動態理論が展開 された。 そ こで強調 されているのは. 社会的 凝集性の高いイン フ ォ. ー. マルな仲間集団の も つ機能的意義であり, 平等という民主的価. 値に基づく仲間集団の社会的凝集性に根差す社会関係の安定性が, 組織の成員をして, 官僚制的な ネ ガテ ィ プ ・ サン クシ ョ ン を 恐れる ことな < . 新しい問題や革新に挑戦する ことを可能にするという ことが強調 されている。 組織社会学の構築をめざ す第一段階の動きに関する スコットの論議における今一つの. (6). 0� および科学的管理論 注目事項は. 古典的管理論(たとえばフ ァ ー ヨ ル 1949. 英訳版) (テイラ ー 1911.)⑳ に対するサ イモン (1945)⑳ やマ ー チ=サイモン (1958)四 による批 判に も , こ こであえて言及した ことである。 つまり前者における紋切型の規範論的なア プロ ー チに対して, サ イモン 達はそれらが内容的に空虚であり, 多分に絶望的なユ ー ト ピアに過ぎないと手厳しく批判した。 しかるに スコットによれば, 意思決定および経営 行動に関する行動科学の構築において. これらの初期の論者の理論的洞察が, かなり手 を加えられながら も , 活用 されているのである四o. 2.. 組織社会学の生成過程におけるアプロ ー チの変遷と基本的認識 スコットは以上のような 一連の研究業績の蓄積による組織社会学の生成過程 を通じ. (19) Henri Fayol, (1949 trans.) General and Industrial Management, London : Pitman (first published in 1919.) ⑳ F. W. Taylor, The Principles of Scientific Management, New York : Harper. 1911. 飢I) H. A. Simon, Administrative Behavior, 2nd ed., New York : Macmillan, 1957. C松田武 彦 • 高柳暁 · 二村敏子訳. r経営行動」. ダイヤモ ンド社, 1965。 ) 四 J. G . March and H . A. Simon, Organizations. New York : John Wiley & Sons, 1958. (土屋守章訳. 「 オ ー ガ ニ ゼ ー シ ョ ン ズ」. ダイヤモ ンド社, 1977。) 四 スコッ ト B, op. cit., p. Xill. - 3 1( 15 9 )-.

(10) 第44巻. 第2号. て, まず, 次の二つの大きなアプロ ー チの変遷を見出している叱 第一は特定の社会分野だけにみられる特定種類の組織の特殊形態だけに注 目 する当初. (1). の特殊主義的ア プロ ー チから, あらゆる種類の組織に妥当する, 組織としての組織の一 般的特性を重視する抽象的な一般論的ア プロ ー チヘの移行である。 たとえば, かっては 政党や刑務所, 工場などの各種の組織体が, それぞれ他と無関係に独 自 に取り上げられ, それぞれの特殊形態がもっばら論議の対象となったが, 次第に さまざまの制度的領域の 多様な組織形態の共通な側面が注 目 され, 比較分析が行なわれるようになってきた。 第二は実践的志向性の強い技術論的な規範主義的ア プロ ー チから, 客観的認識を重視. (2). する記述科学的ア プロ ー チヘの移行である。 かっては前者の紋切り型のアプロ ー チヘの 一. 方的な傾斜が強かったが, 次第に, 存在する組織の構造的特性や機能様式の客観的認. 識を重視し, それに関する解釈や説明を有効なものにするための実証的研究を強調する ア プロ ー チにとって代わられてきた。 更に スコットは このアプロ ー チの変遷に加え, 組織社会学の成立にとっては, それに もまして重要な認識的基盤として, 次の点を重視する究 すなわち, 今日, 社会の各分野 への組織の進出は極めて著しく. いまや全体社会の レ ペルにおいても着実に組織化が進 行しつつあるという ことへの社会学者の認識と問題意識の増大である。 現代では, 組織 は集団活動を編成する基本的単位として, かっての家族や共同体にとって代わり, 教育 およ び治療から生産および戦争行為にいたるまで, 事実上, すべての課業の遂行を担う 現代社会の新しい万能機械(あるいはそれ以上に性能の優れた エ ンジン )と認識 される にいたっている。. この組織という現代社会に偏在する社会形態の一般的特性 (generic. features) と差異化的特性 (differentiating features) の両者の理解 こそが, 現代社会. の性格を理解するうえでの決定的な鍵であるという認識が社会学者によって共有 されて きたが, スコットによれば この問題意識 こそが, 組織社会学の成立を促進した基本的な 原動力をなしている。. 3.. 第一段階における特殊文献活動. スコットは組織社会学の生成に直接に関わる主要な貢献を上記の一連の研究業績に見出 した。 そ こでは単一組織に関する事例研究や複数組織間の比較分析に墓づく実証主義的ア プロ ー チによって, 古典理論の種 々 の命題を経験実証的に検証し, 概念体系に加工 • 修正 ⑳ スコッ トB. op. cit., p. XIV. (2S) スコッ ト B, ibid., p. XIV. - 32 (160 )-.

(11) 組織社会学の発展段階に関する一考察( 1 ) (齋藤) を加えるとともに, 必要に応 じ て相互間の接合をはかる理論的総合作業を通 じ て, 古典理 論を批判的に受容していく過程が展開 された。 共通の方向性をもつ これらの学問的営為が ある程度, 積み重ねられてくると, その集合的効果として, 次第に組織社会学に固有の問 題領域が鮮明になり, それに応 じ て一つの独 自 の学問としての組織社会学が確立 されるに いたるが, スコットによれば, 組織社会学の場合には, それが一応達成 されるまでには, 1945年から65年にかけてのおよそ20年間の学術的活動期間を要した ことになる究. この生成期の活動の展開を象徴的に浮き彫りにする文献活動に目をむけると, スコット は, 次の二種類の文献活動を特に重視している究 まず第一は, 組織に関する調査研究の専 門誌が, 史上初めて登場してきた ことである。 すなわち, 年 4 回の学際的な定期刊行誌で ある Administrative Science Quarterly がト ン プ ソ ン (James Thompson) によって 1956年に創刊 されたが,. これは, 組織社会学の生成過程がある程度, 進行し, 組織理論の. 分野が次第に学際化してきた ことを反映するものに他ならない。 次に スコットが注目する のは, マ ー チによって編集 されたオリジ ナ ルな評論的論説集である『組織のハ ン ド プック』 (J. G. March. Handbook of Organization, Chicago : Randy McNally, 1965.) の刊行で. ある。 スコットによれば, この文献の出版は, 組織社会学の学問的基盤がすでにしっかり 確立 されている ことと, この新しい研究分野に固有の問題領域が十分に広範囲にわたる こ とを示すものとして重要である叫 スコットが本書の出版 された1965年をもって組織社会 学の第一段階から第二段階への移行の目安とする所以である。. ill. R. K. マ ー ト ン と M. ク ロ ジ ェ. 組織社会学の前史の段階において, ヴェ ー バ ー の官僚制論についで, 重要な位置をしめ る先駆的な古典的業績として注目しなければならないのは, R. K. マ ー ト ン の提示した機 能分析のパラ ダイ ム と官僚制の逆機能の理論である。 然るに スコット B では, このマ ー ト ンの業績への言及が全くな されていない。 こ こに第一段階に関する スコットの論議が, 多 分に不完全であるとの印象を与える一因があるばかりでない。 第一段階にかんする スコッ トの論議では, 1950年代の官僚制の機能分析の延長線上にある60年代の重要業績の一つと みな されているク ロジェによるフラ ン ス官僚制に関する実証研究も全く取り上げられてい. ⑳ スコ ッ ト B, op. cit., p. XIII. rt() ibid., p. X皿 ⑳ ibid., p. XIII. - 33 (161)-.

(12) 第44 巻 第 2 号 ない。 こ こにあえて, この二人の関連業績にも最小限の言及をなす ことによって スコット による組織社会学の生成過程に関する議論を補完したい。. 1.. 組織社会学の展開におけるマ ートン の役割. 往々にして, 1940年代末か ら 50年代半ばにかけての期間が, 組織社会学にとって記念す べき時期とみな されるのは, この時期が, 組織社会学的な鮮烈な問題意識とマ ートン 流の 中範囲理論とが結びついた創造的な組織分析の展開期であったか ら である12!10 マ ー トン によって定式化 された機能分析のパラ ダ イ ム は, その後に展開 される一連の官 僚制組織への事例研究にもとずく経験実証主義的アプロ. ー. チの展開における有用な分析用. 具として活用 され, それ ら の研究を方向づけるうえに大きな役割を果たした°°。 さ ら に, マ ー トン 自 身も, そのパラ ダ イ ム を用いて官僚制的構造の逆機能に焦点を合わす官僚制の 逆機能の理論au を展開し, 50年代における官僚制の機能分析の展開に先鞭をつけ. その後 の経験実証主義的アプロ ー チの展開に大きな刺激を与えた。 まず, ヴェ ー バーの官僚制論との関連に目をむけると, 佐藤慶幸が指摘する田 ごとく, ヴェ ー バ ー は比較歴史社会学的視点か ら , 合法的支配としての合理的官僚制概念を歴史的 個体として理念型的にと ら える ことによって, 近代社会における組織の特質を, カリ スマ 的および伝統的組織との対比において提示した。 しかるに現代社会学はそれとは対照的 に, そのような理念型的な発展性を踏まえなが ら も, あくまでも現在的局面での組織分析 を行なう。 社会の近代化とともに, 管理的組織は確かに官僚制化 されるけれども, その こ と 自 体が経営にとっては 「予期しない結果」 として さまざまな組織現象をもた ら す ことに なる。 マ ー トン は この現象に人々の注意を喚起し, 組織の官僚制原理に基づく組織構造が 実際に人々にどのような組織行動を引 き起 こし, それが組織目標にもどのように影響する かを構造ー機能分析の立場か ら と り あげようとする一連のアプロ ー チの展開を刺激したの である。 マ ー トン 自 身も順機能と逆機能, 潜在的結果と顕在的結果, 没機能的結果や機能的等価 四 塩原 勉「組織研究と社会学」 「組織科学」 14 巻 l 号, 1980, 13 頁。 oo 機能分析のパ ラ ダイ ム を論じたマ ー トン論文 "Manifest and Latent Funct ions" は次の主 著に掲載された。 R. K. Merton, Social Theory and Social Structure, Free Press, (1949) ; 1968 enlarged ed., chap. ill pp. 73-138. (森 東吾 • 森 好夫• 金沢 実 ・ 中島竜太郎訳 「社 会理論と社会構造」 みすず書房, 昭和36年 ; 第 1 章, 16-77 頁。) CJD 官僚制の逆機能に関す る マ ー トンの論文 (R. K. Merton, "Bureaucratic Struct ure and Personality," Social Forces, XV田, 1940.) も上記の主著 (R. K. Merton, ibid., 1968 enlarged ed ., pp. 249---260 : 上掲訳書, 179-189 頁。) に収録されてい る 。 田 佐藤慶幸 「官僚制理論」 安田三郎 • 塩原 勉 • 富永健一 • 吉田民人編 r社会集団」 (基礎社会 学講座田巻), 東洋経済新報社, 昭和55年, 129-130頁。 - 34 (162)-.

(13) 組織社会学の発展段階に関する一考察(1) (齋藤) 項目などの諸概念を主要素とする機能分析のパラ ダ イ ム を, ヴェ ー バ ー の官僚制の理念型 的構造に適用し, そ こに潜在する逆機能によって生じる構造的緊張に注目する。 マ ー トン によれば, 一つの社会的項目は, 必ずしも相互に調和的でな いシ ステム の種々のニ ー ドに 対応して, 多元的結果をもたらす。 すなわち, 同 一 の社会的項目が, あるシ ステム ・ ニ ー ドに照らすと機能的であるが, 別のシ ステム ・ ニ ー ドに照らすと逆機能的であるというよ うに, 機能と逆機能のアン ビ バ レン スにおいて組織に作用する。 こうしてマ ー トン によれ ば社会構造はそれ 自 体が緊張や矛盾をはらみ, 社会シ ステム は不完全 な均衡な いし安定状 態でしか存在し な い。 構造的要素は, 条件次第では社会シ ステム に機能的にも逆機能的に も作用し, しかも条件の変化によって, その機能と逆機能もたえず流動的に相互転化する。 こうしてヴェ ー バ ー の官僚制の理念型構造は組織目標の達成に, 条件次第で機能的にも 逆機能的にも作用する。 例えばヴェ ー バ ー が理念型において強調した官僚制的構造の顕在 的機能は伝統的 ・ 非合理的な 私情や恣意による個別主義 (particularism) を排除し, 普遍 的基準による機能的統一性を確保する ことによって組織目標を効率的に達成する ことにあ る叫 従って官僚制組織ではとかく規則の遵守や統一的基準への同調を求 める構造的圧力 が絶えず成員に加えられるが, それが一定の限度を超えると往々にして, 手段的価値が究 極的価値にとって代わるという過程, すな わち目標の転移 (displacement of goals) が生 じる。 つまり, もともと規則を守る ことは, 組織の目標を達成するための手段であるのに, それがいつのまにか, 自 己目的化する。 法律万能主義, 形式主義, 繁文褥礼 などの現象は 目標転移の結果として生じる規則への同調過剰の産物に他な ら な い呪 こうしてマ ー トン は官僚制的な形式合理性の貫徹に基づ く 人間関係の機能化, すなわち 没人格化の限界をその逆機能的側面に焦点を合わして解明した。 しかるになおマ ー トン の 分析がヴェ ー バ ー の理念型的 な 思考枠組みを出ていな いといわれるのは, 個人と組織を媒 介する集団 レ ベルにおける官僚制組織の分析が十分に考慮 されていな いからである究. 2.. ク ロジェの権力関係的分析視角. フラ ン スの社会学者であるク ロジェは,. 一. 方ではマ ー トン 流の機能分析を継承し な が. ら, 他方では意識的に バ ー ナ ー ド=サ イ モン の行動科学的意思決定論の導入をはかり, そ の影響の下に, 権力関係的視角から不確実性の領域のコン ト ロ ールをめぐる下位集団間の. ⑬ 同上, 131頁。 ⑳ R. K. Merton, op. cit., p. 253. 上掲訳書, 183頁。 伍 佐藤慶幸, 上掲論文, 131頁。 - 3 5 (16 3 ) -.

(14) 第44巻 第 2 号 パ ラ レルな戦略的行動を実証的に分析し, フ ラ ン スの官僚制的現象に固有の特質の解明に 努めた°°。 官僚制組織を構成する各階層集団は, それぞれ職業的意思決定集団としての立 場において, 経営権力との交渉力をそなえた 自 律的集団としてのア イ デンテ ィ テ ィ. ー. を最. 大限に主張しするための戦略的行動を展開するが, この 「戦略モ デル 」 による官僚制の分 析が, 没論理的な情感的側面を強調する人間関係論をヴェ ー バ ー的な合理的官僚制モ デル に対応 させた プ ラ ウ や グ ールドナ ー のアプロ ー チとかなり異質的であるのはいうまでもな し\. ゜ 佐藤慶幸も指摘するごとく四 そ こにみられる意思決定論と官僚制論の接合の試みには. 官僚制的な権限 ヒ エ ラル ヒ. ー. による命令服従関係によって統合 された組織行動の予測可能. 性の 自 明性を否定する ことになるという含みが見られる ことは重要であろう。 その背後に は, 知識とりわけ技術的合理性の進展は, かえって権力関係を, したがって政治の問題を 浮かびあがらせるという命題がある。 こうしてク ロ ジェによれば, 官僚制組織における職 業的下位集団間には, 「各集団は 自 己がコン ト ロ. ー. ルする 自 由裁量領域の維持拡大につと. め, それによって他の集団への依存を限定しようとする。 しかし, 他のより大なる脅威を 与える集団から 自 己を守る限りで, その他集団への依存を受容し, 屈伏以外に道がないと きには逃避主義を選ぶ 」 という共通な戦略的行動がみられる叫 このように各階層集団がそれ ぞれの戦略を発展 させ, 他集団に対して有利な立場に立と うとする ことによって, フ ラン ス官僚制内部にはパ ラ レルな権力関係が発展するが, そ こ に現れてくるのが, face-to-face の関係の排除にみられる個人の孤立化傾向, 没人格的規 則の発展 階層間の孤立, 意思決定の集中化といういかにもフ ラ ン ス的な組織文化の特徴 である。 まず規則主義は規則を越えた干渉の排除によって, 個人の独立と平等を守る こと に役立つとともに, 情実の危険を伴う face-to-face の関係も排除する。 個人の 自 由と独立 を守ろうとするフ ラン ス人の文化的伝統が規則主義を発展 させるのである。 眠業的階層間 の孤立化傾向はフ ラン スが階級的社会であり, 階級間の壁が厚く, 階級間にコ ミ ュ. ニ. ケー. シ ョ ン の欠如がある ことを示している。 こうして個人の孤立化傾向にみられる第一次集団 の弱 さという伝統と階層間のデ ィ スコ ミ ュ. ニ. ケ ーシ ョ ン に加え, 意思決定の集中化がフ ラ. ン ス官僚制の特徴をなすが, それは同時にフ ラン ス政治シ ステム の特徴でもあるとみな さ 00 M. Crozier, The Bureaucratic Phenomenon, Chicago : University of Chicago Press, 1964. なお. 本書の フ ランス語版 (Le phenomene bureaucratique : Essai sur les tendances bureaucratiques des systemes d 'organisations modernes et sur leurs relations en France avec le systeme social et culturel. ) は前年の1963年に出版されてい る 。 罰 佐藤慶幸, 前掲論文, 134頁。 Cl!:O M. Crozier, op. cit., p. 156. - 36 (164)-.

(15) 組織社会学の発展段階に関する一考察(1) (齋藤) れている。 個人や各階級が他者の干渉を排除し, 孤立した状況で 自 由 • 平等 • 独立の権利を主張す れば, 統合の機能としての集権化が組織や国家 レ ベルにおいて必要となる。 こ こ に集権化 が個人や階級の孤立化傾向の裏返しであると言われる所以があるが, こ の文脈では, 集権 化は権力の強 さではなく, かえ っ てその弱 さをあらわす。 各階級は時として行動 パ タ ーン の非弾力性を戦略的につくり出す こ とによ っ て,. パラ. レルな権力関係を発展 させ, それぞ. れの特権を守り, 維持しようとする。 こ の戦略は解決すべき問題について, 相手とあくま でも平等で対等の立場に立 っ て交渉する こ とを可能にするのである。 組織におけるフ ォ マルな階層 ヒ エラル ヒ えフ ォ. ー. ー. ー. においても, こ のパラ レルな権力関係が展開してくるのは, たと. マルな階層 ヒ エラル ヒ. ー. のうえでは下位の階層に属していても, その階層的集団. がなんらかの特殊技能を独 占する こ とによ っ て, 経営権力と対等な立場で交渉する足場を 作る こ とが往々にして可能だからである叫 各階層集団は 自 己の立場や利益を守るために, それぞれの戦略のもとに他の集団と交渉 し, 他の集団が少しでも 自 己の集団よりも有利な立場に立たないように相互に牽制しあ う。 しかし他方では, 各集団は, 対抗する相手集団とも相互に共存し, 協働しなければな らないという こ とを, それなりによくわきまえている。 こ うした基本的前提によ っ て, 人々は今の関係や状況の基本的変化を期待しないし, かつ所属集団からの離脱も考えられ ない。 こ のようなフラ ン ス官僚制の組織行動にみられる非弾力的な硬直した保守的立場をクロ ジェは 「官僚主義的現象」として特徴づけたが, こ の場合, 官僚主義とは, 自 己の既得権 益の維持にのみ汲々として, 変化する環境に適応できず. 根本的欠陥がど こ にあるか分か らない状態を さす こ とになる。 佐藤が指摘する如く, クロジェの分析の特徴は, 官僚主義 的現象を個人 レ ベルでの行動の問題としてではなく, 階級間 レ ペルでの権力関係をめ ぐる 戦略から生じる現象としてとらえている こ とにある叫 こ の点において,. こ のクロジェ の. 研究は, 官僚制の逆機能現象を, 中間的な集団 レ ベルにおいて取り上げるという面が不十 分であ っ たマ ー トンのアプロ ー チを補完するという一面を持つと言えよう。 フラ ン スの組 織文化の特徴の解明と併せて, こ の面からもクロジェ がなした研究の持つ意義が注目 され るべきであろう。. 閲 M. Crozier, ibid., pp. 145-174. (40) 佐藤慶幸. 前掲論文, 137 頁。 - 37 ( 16 5 )-.

(16) 第44巻. 第三節. 第2号. 若干の過渡的考察. これまで, スコットの所説を一つの拠所としながら, 組織社会学の展開の第一段階の動 きに多少の考察を加えてきた。 スコットの所説に対する本格的な批判的検討は, 第五節で 行なう ことを予定している。 しかし, 第一段階に関する スコットの所説について一応の概 観をなした ことに鑑み, こ こでも必要に応 じ て, 若干の言及はなすべきであろう。. I. 組織社会学 と 組織理論の境界線. 第一節「 II . 2 . 」でな された組織社会学の展開の第一段階におけるアプロ ー チ の変遷に関 する論議り° は. 内容的には組織社会学の第一段階だけにあてはまるというよりは. むしろ 組織理論の一般的趨勢に関わる一面がある。 たとえば規範主義的アプロ ー チ から記述科学 的アプロ ー チ ヘの変遷は, 経営組織論における伝統的組織論から近代組織論への展開に も, 多分に妥当する。 更に同「 II . 1. (6)」 の論議四 も内容的には. むしろ経営組織論の展開 に関する論議において, 従来. 注目 されてきた問題である。 これらを スコットが この組織 社会学の展開を論ずる文脈に持ち込んできたという事実が こ こで注目 されるのは, そもそ も 「組織社会学とは何か ? 」, 「 この学問に固有の特性は何か ? 」 という組織社会学の基本 的な性格規定に関する問題を含んでいるからである。 さらに言えば. こ こに示唆 されてい るのは. スコットが組織社会学と経営組織論の間に, あるいは組織理論そのものとの間に 必ずしも厳密な境界線を引 いていないという事実である。 われわれはパ ー ナ ー ドやマ ー チ =サ イ モ ン だけでなく, テイ ラ ーやフ ァ ーヨルなどの経 営組織論の創始者と目 されている人々の名前が こ こで登場して来ても. 別段. 驚きはしな い。 しかし, それだけではな < .. 一. 方においてヴェ ー バ ー の組織社会学における明示的な. 位置づけが全くな されていないだけでなく. 他方において. 組織社会学の前史および第一 段階でそれぞれ重要な役割を発揮したマ ート ン やク ロジェ の名前が全く出て こず, 論議の 対象から外れているとなると話が違ってくる。 こ こで論 じ られているのは. 必ずしも組織 社会学の展開に固有の問題ではなく, むしろ組織理論の一般的動向が問題に されているの ではないかという疑念を禁 じ えないからである。 実際, スコットBにおける論議が. 実質 (41) スコッ ト B, op. cit., p. XIV. ⑫ スコッ ト B, ibid., p. xm. - 38 ( 1 6 6 )-.

(17) 組織社会学の発展段階に関する一考察(1) (齋藤) 的には多分に紐織理論一般に妥当す る よ うな内容に傾斜しがちであ る という認識をわれわ れは少なからず持ってい る 。 要す る に スコ ッ トBにおいては. 組織社会学と組織理論そ の ものを区別す る 境界線が必ずしも明確でない。 この よ うな組織社会学と経営組織論あ る いは組織理論 そ のものとの区別の曖昧 さは, ス コ ッ トの強みであ る とともに弱点でもあ る ことを理解す る ことは さほどに困難ではない。 スコ ッ トBにおけ る 組織社会学の展開の第二段階に関す る 論議にも反映 さ れ て い る よ う に, 組織社会学の最近の動向を展望す る 際の彼の視野の広 さは, そ の強みの一 つの現れで あろう。 しか る に反面. 前史や第一段階に関す る 論議では, むしろその弱点が露呈してい る と言わざ る を得ない。 そ の根拠の一 つは, 官僚制組織論と組織社会学の関係についての 体系的な言及が殆どな されていないという事実にあ る 。 そ も そ も官僚制組織論と組織社会 学の間には, 前者が後者の前身あ る いは源流ともいうべき, きわめて密接な関係があ る 。 従って この点に注目しなければ組織社会学の初期の段階におけ る 展開過程の解明が困難で あ る のは 自 明であろう。 しか る に スコ ッ トBでは. そ れが殆どな されていない。 そ も そ も, この よ うな結果をもたらす一 つの基本的原因は, マ ッ ク ス ・ ヴェ ー バ ー を組 織社会学の創始者として, 適切に位置づけ よ うとす る 努力が必ずしも十分にな され ていな い ことにあ る と言え よ う。 組織社会学の組織理論としての固有の特性を, ヴェ ー バ ー の業 績に関連づけて, 具体的にその内容に即して捉え る ことができれば. 自 ずから. 他の組織 理論との差異も明確になり, 経営組織論や組織理論そ のものとの境界線も定かになってく る であろう。 この場合に始めて組織社会学の展開を, そ の固有の学問的特性に照らして, 正面から論議でき る よ うになってく る 。 少なくとも組織社会学だけにかかわ る 固有の問題 が論 じ られてい る のか, あ る いは経営組織論や組織理論一般にも通 じ る 問題が論 じ ら れ て い る のかの判断がつきにくいという よ うな事態が時として生 じ る ことも回避でき る であろ ヽ�. っ。. II. 官僚制組織論 と 組織社会学の連続性. 第二節で概観した第一 段階に関す る スコ ッ トの論議をみ る と. そ れだけでは. いかにも 説明不足の感を禁 じ えない。 そ れは第一段階におけ る 組織社会学の展開の過程が, そ れに 固有の特性に照らして. 十分, 体系的に説明 さ れ て い る とは言いがたいからであ る が. 前 述の如 < . そ の一 因はヴェ ー バ ー の明示的な位置づけがな されていない ことにあ る 。 ちなみに. 通常は組織社会学は 「主にマ ッ ク ス ・ ヴェ ーバ ーの理論にもとづいて官僚制 - 39 (167 )-.

(18) 第44巻. 第 2号. を組織の水準でとらえ. 実証的研究を志向している。」“ というように. 創 始者である ヴェ ー バ ー の官僚制理論との関連で定義 される場合が多い。 また, 「概念枠組みの水準にお いて. 組織社会学が ヴェ ー バ ー の強い影響下にある ことを既存のサ ー ペイ研究が一致して 指摘している。」仙 のも決して偶然でない。 しかるに第一 段階に関する スコットの論議で は, ヴェ ー バ ー は単に ミ ヘルスやファ. ー. ヨルなどと全く同列に列挙 されているだけにすぎ. ない。 彼が組織社会学において 占める特別の地位への格別の言及は何らな されていない。 われわれの解すると ころ, 組織社会学の生成過程としての第一段階は. 官僚制の機能分 析から出発し. 構造比較分析へと展開していく過程を中心とするが, この両者はいずれも ヴェ ー バ ー の官僚制の理念型モ デルにおける命題を経験実証的 レ ベルで検証しようとする 試みに他ならない。 たしかに前者は組織内社会過程に関する微視的行為分析に中心がある のにたいして, 後者は複数組織の比較観察による 巨視的な構造分析を中心としており岱' その理論的志向において, 両者の間には大きな差異がある。 しかしどちらも, ヴェ ー バ ー 理論から出発し, 官僚制組織の理念型モ デルから実証的に記述的モ デルを導き出そうとす る限りにおいて, 広義の官僚制組織論の範疇に属している。 われわれが組織社会学の源流 あるいは前身を官僚制組織論に見出す所以である。 ちなみに. あえて こ こでもう 一歩踏み込んで. ヴェ ー バ ー 理論と組織社会学の展開との 関連にも触れておきたい。 高瀬が指摘する如く, 「官僚制の機能分析 」が ヴェ ー バ ー の官僚 制理論における絶対的効率優位命題への反証の試みであるとすれば. 構造比較分析はその 単次元命題への反証の試みであり.. この面では両者の間に重要な連続性がある141l。 要する. に組織社会学の展開の第一 段階の前半は前期 プラ ウ やセルズニック. グ ールド ナ ー 達によ る 「官僚制の機能分析 」 で特徴づけられているとすれば, 後半は後期 プラ ウ 仰 や ピ ュ ー ヒ ク ソン (D. J. Hickson ) 達のア ストン. (D. S. Pugh) ,. ⑬ (44) ⑮ ⑯ (47). ・. グル ー プ鴎 による「構造比較分. 高瀬武典「組織社会学における官僚制論の変容と課題」 「思想」 1985年, 4 月 号, 259頁。 同上, 259頁。 富永健一 「組織の構造分析と機能分析」「組織科学」 14巻 1 号, 1980, 14頁。 高瀬武典 上掲論文, 266-268頁。 後期 プ ラ ウおよび プ ラ ウ達の代表的な文献は次の通 り である。. *P. M. Blau, On the Nature of Organizations, John Wiley & Sons, 1974. *P. M. Blau, and R. Schoenherr, The Structure of Organizations, Basic Books, 1971.. ⑱ ア ス トン. ・. グル ー プの主要文献は下記の通 り である。. *D. S. Pugh and D. j. Hickson (eds.) . Organization Structure in its Context, Saxon house, 1976. *D. S. Pugh and Hinnings (eds.), Organizational Structure Extensions and Replications, Saxon house. 1976. *D. S. Pugh and R. L. Payne (eds.) , Organizational Behavior in its Context, Saxon House, 1977. *D. j. Hickson and C. J. McMillan (eds.), Organization and Nation, Gower, 1981.. - 40 (168 )-.

(19) 組織社会学の発展段階に関する一考察( 1 ) (齋藤) 析」 によって特徴づけられている。 この前者から後者への移行のプロ セ スが体系的に説明 されて, はじめて第一段階の説明が十分にな されたと言えるのである。 最後に再び組織社会学におけるヴェ ーバ ー の位置づけという問題に戻ると, そもそも ヴェ ーバ ーが官僚制理論の最大の古典理論家と位置づけられているのも, 彼が, その理解 社会学の方法や理念型的概念構成の手法を通じて, 極めて視野の大きい通歴史的視角か ら, 支配社会学の脈絡において, いわゆる 「官僚制の制御問題」 に関する基本的な問題提 起を現代社会になしているからに他ならない。 ちなみに塩原勉によると組織社会学の第一 段階の大きな特色は, 官僚制の実証研究と理論体系の接合が活発にな され, ヴェ ーバー の 官僚制理論の修正が着実に行なわれた ことにある旧。 従って, 少なくともある程度は, ヴェ ーバ ー の位置づけを明確にし, それとの関連で当時の理論的動向を捉えていかない と, この段階の特質や理論的意義を十分には把握できないのは当然の帰結であろう。 もっ とも塩原が指摘するように, 組織社会学はヴェ ーバー の影響があまりに強いので, 彼の呪 縛からいかに逃れるかという形で進められてきたといえる 一面をもつ。 いずれにしても 「社会学の実証的組織研究はヴェ ーバー 理論をもって 「検証をまつ 巨大な仮説体系」 とみる ことによって批判的に修正を積み重ねており, ヴェ ーバー 以降の官僚制研究は現代組織理 論の最童要な構成部分をなしてきた」150 のである。. m.. M. ヴ ェ ー バ ー の官僚制論の原典. ヴェ ーバーの官僚制論を抜きにしては官僚制理論の展開はできないという認識は, 今や 広く社会学者の間に定着している。 それとともにヴェ ー バ ーの文献 資料も組織社会学の重 要な原典として. 注目を浴びる こととなる。 ヴェ ー バ ー の官僚制に関する主要な原典は三 つあるが, そのうちの二つは, 彼の死後に出版 された彪大な遺稿集 『経済と社会」 (* Max Weber, Wirtschaft und Gesellschaft, 4 Auflage, hrsg. von Johannes Winckelmann, TO bingen : J. C.B. Mohr, 1956. ……以後 WuG と引用)に含まれている。. 第一原典は1911年から1913年にかけて執筆 された次の 「論文」 である。 ◎Max. Weber,. "Wesen,. Voraussetzugen. und. He汀schaft, · WuG, SS. 55 9-587.. (49) 塩原 勉, 前掲論文, 13頁。 団 塩原 勉, 前掲論文, 12頁。 - 41 (169 )-. Entfaltung. der. biirokratischen.

(20) 第44巻 第 2 号 この「論文」 の邦訳は次の二つがある。 汝世良晃志郎訳, 「官僚制的支配の本質 • その諸前提および展開」 「支配の社会学 I J, 創文 社, 昭和35年, 60-106頁。 女阿閉 • 脇訳 「官僚制」 角川文庫, 昭和33年。 次の文献では当 「論文」 が英訳 されている。 *From Max Weber : Essays in Sociology, translated by H. H. Gerth and C. Wright Mills, New York : Oxford University Press, 1948, pp. 196-244.. 第二原典は, 正当的支配に関する論議のなかで展開 された官僚制の一般的考察であり, 1918年か ら 1920年の間に執筆 された。 ◎Max Weber, "Die legale Herrschaft mit bilrokratischem Verwaltungsstab," WuG,. ss.. 160-166.. 汝世良晃志郎訳, 「支配の諸類型」 創文社, 昭和45年, 13-32頁。 衣濱島朗訳 『権力と支配J みすず書房, 昭和 29年。 この原典の英訳は次の文献でな されており, 完全なものとしてではないが. 比較的, 論 議が簡潔で明確である ことを特色とする。 *Max Weber, The Theoか of Social and Economic Organization, translated by A. M. Henderson and Talcott Parsons, New York : Oxford University Press, 1947.. 第三原典は1918年に発表 された次の長文の評論であるが, こ こでは ド イ ツ における国家 官僚制の制御問題に関して, 注目すべき政策的提言がな されている。 ◎ Max Weber, "Parlament und Regierung im neugeordneten Deutschland. ―Zur p olitischen Kritik des Beamtentums und Parteiwesens," 1918. なお, この原典はヴェ ーバー の 「政治論文集』(◎Max Weber, Gesammelte Politische Schガften, 2nd edn., 1958, SS. 294-431.) に再録 され, 下記の邦訳がある。 汝中村 ・ 山 田訳「新秩序 ドイ ツ の議会と政府」 河村書房新社 「世界の大思想J 23巻, 昭和 40年。 なお, アル プ ロ ウ によると, この原典の英訳書の刊行はかなり後の時代まで遅 れ たので, 不当にもそ れまで長く無視 されてきた。. この三つの主要原典以外にも, ヴェ ーバ ー の官僚制への言及は, あの厖大な WuG の全 体にあまねく散在しており, こ こにもヴェ ー バー の官僚制論に特有な一つの文献的難点の - 42 ( 1 7 0 )-.

(21) 組織社会学の発展段階に関する一考察(1) (齋藤) 源泉がある。 更に こ こで特に注意を要するのは, 高瀬武典が指摘する如く竺 ヴェ ー バ ー の 官僚制の概念は理念型のかた ち で現れる場合 と 歴史的個性を帯 びた現実の社会的過程の記 述 と して現れる場合 と の二通りが存在する こ と である。 「経済 と 社会」 では前者のかた ち で, 『政治論集』 では後者のかた ち で登場してくる こ と が多いので, これに十分に留意し, 両者を不用意に混同しない こ と が重要 と なる。 なお上記の二冊の英訳書 (1948 ; 1947) の刊行は, ヴェ ー バ ー の官僚制論や支配社会学 のアメリカ社会学への受容を促進した点でも, 極めて大きな意義を持つ。 従って, スコ ッ トが組織社会学の第一段階にみられる注目すべき特殊文献活動に言及した際には, これま た, 当然にそのリ ストに含まれて然るべき文献活動であった と 言 えよう。. IV. 日 本 に お け る 概論書の刊行. 組織社会学の生成過程は日本における概論書の刊行にも反映 されている。 我国でもすで に1960年代の半ばには, 組織社会学の概論書が登場してきた。 そ こでな されている論議を 見る と , スコットが, 上記の第二節 「 II . 2 . 」で指摘した, 現代社会における組織化の進行 にかかわる基本的認識は, 我国の社会学者の間でも, 多かれ少なかれ, 共有 されている こ と が注目 される。 ( 1). まず1964年に 「組織の社会学」 (青井和夫編, 有斐閣)が出版 された。 編者の言葉によ. る と , 「組織論」 と 名のつく書物が急増しつつあった当時において, 「組織の社会学」 を 論 じ る こ と は, かなりに勇気のいる仕事であるが, 「世はま さに 『組織の時代』 である 」 と いう状況に鑑み, コ ミ ュ. ニティにたいするア ‘ノシ ェ ーシ. ョ ン , 基礎集団に対する機能. 集団の分析の 一環 と してあえ て本書が刊 行 されている汽 当時の組織研究の課題の 一つ と して各水準における社会的諸単位の民主化の推進を通 じ て, 「疎外体 」と しての組織か ら, 人間性の 「実現体」 と しての組織への性格転換の実現を可能にする方法の解明があ げられているが, こ こにも, 本書の刊行の背後にある問題意識の一端を見出す こ と がで きよう。 (2) 1968年には 『組織社会学」 (佐藤慶幸 • 吉田祐 • 吉川栄一著, 学文社)が刊行 された。 当時は組織社会学の体系化の努力が日本でもいくつかの業績 と なって現れは じ めた時代 であるが, 本書もその一つである。 そ こでまず強調 されているのは, 組織に関する実証 (51) 高瀬武典 前掲論文, 260 頁。 認 青井和夫編, 「組織の社会学」 現代社会学講座 m , 有斐閣, 昭和39年, 1 - 2 頁。. - 43 ( 17 1 )-.

(22) 第44巻 第 2 号. 的研究の積み重ねとそれらを 一つの体系にまとめあげる理論的概念図式の構築の必要性 である。 更に組織の社会学的関心をよびお こす現実的基盤としては, 世界史的に進行す る産業社会の合理化の過程があげられている。 こうして組織社会学の展開の根源的理由 を 「合理化を進める行動単位である組織が同時に人間疎外の源泉ともなりうる」という 組織と個人との本質的な二律背反に見出す立場には, 社会における組織化の進行にかか わる社会学者の問題意識の増大に, 組織社会学の基本的な発展基盤を見 出そうとする ス コットの認識にも通じると ころがある曳 もちろん, 組織社会学の成立は, 当時における さまざまな組織の構造ー機能的分析の 進展とも関係があり, その直接的関心は個々の具体的組織の科学的研究と近代組織その ものの持つ構造の機能分析のうちにあったとみな されている。 こうして組織社会学は現 代組織が共通して持つ 一般的な構造と機能とに関心を向けながら組織の比較研究を行な うが, そのク ロ ス組織的アプロ ー チ は他の学問分野で発展してきたそれ ぞれの組織理論 の展開にも多くを負っており, それらをどのような観点のもとに吸収して, それを社会 学的な組織論の確立に役立たせるかが一 つの課題として指摘 され ている ことは興味深 し 9゜. 1988年にも 『組織社会学」 (小林幸一 郎, 梅澤正編, サ イエン ス社)が刊行 された。 こ. (3). こで注目 されるのは, 4 人の執筆者 (小林幸一郎, 梅澤正, 田中豊治, 碓井閉)の共通認 識として, オ ー プン. ・. シ ステムとし ての組織の動的性格を捉える必要性と組織プロ セ ス. を中心にすえた考察の重要性が強調 されている ことである。 残 された課題としては, 組 織間 ネットワ ー クの分析と組織変革の解明に加え. 国際比較の視点の充実の必要性が指 摘 されている。 また組織の公式的な目に見える部分のみならず, 組織内のイン フ ォ ル. ・. ー. マ. グル ー プにかぎらず, 広く非公式な目に見えない部分に光をあてる必要性を指摘し. て いる。 また, 組織の表層構造と深層構造が相補的に絡み合う複層的, 重層的構成を ト ー タ ルに捉える可能性あるいは必要性に言及 されている ことも興味深い。. 以上の我国における三冊の概論書のうち. 1 冊目は時期的に見て組織社会学の展開の第 一段階の末期に刊行 されており. 2 冊目は第二段階に入った直後に刊行 されている。 どち らも第一段階から第二段階への過渡期に刊行 された概論書である ことには違いがない。 そ れに対して第 3 冊目は第二段階から第三段階への過渡期に出版 されている。 このような出. ⑬ 佐藤慶幸 • 吉田 裕 • 吉川栄ー著, 「組織社会学」, 学文社, 昭和43年. 1 頁。 - 44 ( 17 2 )-.

(23) 組織社会学の発展段階に関する一考察( 1 ) (齋藤) 版時期との関連で, こ の三冊の概論書の 内容や問題意識, 研究課題の 差異を比較する こ と も, 組織社会学の展開過程の歴史的分析においてはそれなりに意味のある作業となりうる であろう。 (以下, 次稿に続く). - 45 ( 1 73)-.

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