<投稿論文 実践報告>社会・経済情報理解の方略に着目した日本語授業の報告
全文
(2) 実践報告. はじめに. 1.. 1990 年代まで、「ビジネス日本語」の主な受講者はビジネスパーソンで、その学習目的 は「既に身につけているビジネス遂行力を日本語で発揮すること」であった。2000 年代に なると受講者層は日本での就職を希望する留学生に拡がり、2007 年には「アジア人財資金 構想」1事業が開始されるなど、就職支援の「ビジネス日本語」が注目されるようになった。 本稿で報告する授業は、これらの動きを受けて、日本での就職を視野に入れた受講者を 主な対象に、日本企業に関する社会・経済情報の理解に向け、受講者自身が、それぞれの 方略を見つけ、身につけることを支援する上級レベルの日本語科目として 2010 年度に開 講した。本稿では、2014 年度まで 5 回開講した当科目授業の概要を示し、受講者の自己評 価および最終発表への受講者間評価の引用と授業アンケートの結果から、ビジネスコミュ ニケーション入門編としての有効性を報告する。. 2. 授業の概要 受講検討資料となる当該科目のシラバスでは、授業の目的を「商品や企業、業界の情報 収集や分析を通して、経済ニュース理解の『基礎力』を身につける」とし、履修・到達目 標、授業方法・成績評価の基準、授業内容を以下のように設定している。これらの項目に 各年度の受講者数と所属学部・学年次の内訳を加えた授業の概要は、以下のとおりである。 2-1. 履修・到達目標. 履修・到達目標は、日本企業への就職を目指す「就職活動」にも、新入社員として業務 に参画する際にも基本となる次の 3 点2とした。 ①商品や企業、業界について、ウェブサイトや新聞、雑誌などから情報を特定し、収 集することができる ②グループディスカッションで意見を述べたり、他者の意見の調整をしたりすること ができる 1. 経済産業省と文部科学省が、日本とアジア等の架け橋となる高度外国人材の育成や 高度人材の国際的な知的ネットワークの形成による国際競争力の強化を目的に 2007 年 (平成 19 年)から 2013 年(平成 25 年)3 月まで実施したプログラム。参考ウェブサ イト: http://www.meti.go.jp/policy/asia_jinzai_shikin/. 2. ビジネスパーソンを対象とした日本語授業の蓄積から設定した目標であるが、経済 産業省(2011)『教育機関のための外国留学生ビジネス日本語教育ガイド』p11「2-3 カリ キュラム事例」事例1の目標に挙げられた 6 項目のうち 3 項目、①専門的文書や記事 等を読み、背景も含めて理解することができる②収集した情報の内容を端的にわかり やすく、要点をおさえてまとめて書くことができる③相手の話を聞いた上で、求めら れている役割を踏まえ、適切な受け答えややりとりができる、にも概ね相当する。 93.
(3) 実践報告. ③ディスカッションの結果を、簡単な分析を含めて、報告することができる 2-2.. 授業方法・成績評価の基準. 各回の授業は、①事前課題を準備し、それにもとづく②グループディスカッションと、 その結果の報告、③プレゼンテーションで展開する。 ①事前課題:情報収集や分析、資料作成の最初の課題は、身の回りの商品や頻繁に利用 するサービスの提供者を調べて表を作成することで、次の段階が、キーワード検索結果の 抜き書きを分量制限なしに集めメモを作ること、そして A4 で 1 ページにまとめた資料の 作成へと徐々に情報の受け手への配慮の度合いを深め、最終発表の補助資料作成につなげ ている。②グループディスカッション:情報交換は、2-5 名で行う 5-20 分の活動から、7-8 名のグループで行う 30 分の最終発表準備のディスカッションに、③プレゼンテーション: 情報共有は、それぞれのグループの代表者が他グループに 3-5 分で報告することを繰り返 し行い、質疑応答を含む 10 分の最終発表(プレゼンテーション)に発展させる。最終発表 は、各自が興味を持った企業や業界の動向に関する報告をテーマに、A4 で 1 ページにまと めた資料を配付、ホワイトボードの使用は認めるが、プレゼンテーションソフトを利用し たスライドの使用は認めていない。 成績評価は、事前課題への取り組み 40%、グループディスカッションへの貢献 30%、プ レゼンテーション 30%で、総合的に判断している。 2-3.. 各回の授業内容. 当該科目は、週 1 回開講、各回 90 分、合計 15 回の授業で構成される。各回の授業内容 は、基本を次のように策定し、受講者の興味関心領域や受講者数に応じて、配付資料や授 業日程を調整して実施した。 ・第 1 回: 自己紹介・商品知識を交換する ・第 2 回: 身近な商品やサービスを提供する企業を確認する ・第 3 回: 情報を交換する(グループディスカッション)① ・第 4 回: 情報を共有する(プレゼンテーション)① ・第 5 回: 企業情報を収集する ・第 6 回: 情報を交換する(グループディスカッション)② ・第 7 回: 情報を共有する(プレゼンテーション)② ・第 8 回: 業界について知る ・第 9 回: 関心がある業界について情報を収集する ・第 10 回: 情報を交換する(グループディスカッション)③ ・第 11 回: 情報を分析する ・第 12 回: 特定の企業/業界について、説明のための資料を作成する ・第 13 回: 情報を共有する(プレゼンテーション)③-1 94.
(4) 実践報告. ・第 14 回: 情報を共有する(プレゼンテーション)③-2 ・第 15 回:まとめ 配付資料には、直近の日本企業の動向を取り扱った記事を取り上げ、①情報の出典を確 認してから読むこと、②日本企業名を業界等のグループや資本・業務提携関係の中で知る こと、③業績や関連年月日等の数字を正確に捉えること等を留意点として伝えている。 また、ウェブサイトから企業情報を収集する課題では、ウェブサイト検索の方法として、 ①キーワードの選定、②当該企業外のサイトの参照、③サイトの信頼度の目安として発信 者アドレスから得られる情報の確認などを、実際の検索結果報告を受けながら、授業の場 で受講者全員と共有する機会を設けている。 以下に 2014 年度の配付資料を 2 例あげる。 ・日本経済新聞 2014 年 4 月 27 日朝刊 11 面「シリーズ検証 ブンを追え. 流通革命 50 年の興亡 4. セ. 影に商社」 (第 4 回授業で配付、第 5 回・第 6 回のディスカッションの材料. とする) 資料選択の理由は、第 3 回までの授業で多くの受講者が「コンビニ」を頻繁に利用す るサービスとしてあげていたことから、①身近な企業名が含まれていること、②業態が 理解しやすいこと、③大手コンビニチェーンが設立された 1970 年代から現在までの資 本関係や業務提携の変遷を示す図表があること、④売上高のグラフの提示や「粗利益」 等の会計用語が類推しやすい文脈で含まれ、会計用語になじみのない受講者にもわかり やすい紹介記事になること等である。 ・『日経業界地図 2014 年版』(2013 日本経済新聞社)pp138-139「コンビニエンススト ア」(第 7 回授業で配付、第 8 回・第 9 回のディスカッションと関心がある業界につい ての情報収集課題の資料とし、最終発表の資料作成の参考とする) 流通・小売業界の「コンビニエンスストア」を資料とした理由は、第 6 回までに取り 上げた話題の中で、①受講者全員が共通して得た企業情報が含まれること、②海外出店 先に受講者の出身地域が含まれ、それぞれの地域でどのように受け入れられているかな ど、話題の発展が見込まれること、③ファストフード店との競合や、PB(プライベート・ ブランド)開発などの成長戦略が受講者にとって比較的身近な経済活動としてとらえる ことができ、受講者それぞれの視点から意見の表明が可能であること等である。 2-4.. 受講者. 受講者数は、2012 年度は 13 名であったが、他の 4 年度は 20 名前後で、所属別では経営 学部が 44%、学年次別では 1 年次が 40%を占めている。理工学部および工学部に所属す る受講者は 19%程度ではあるが、専門を活かした視点から意見を述べ、ディスカッション を活性化させる役割を果たしている。また、2014 年度には、2 名の大学院生が参加、うち 1 名は日本企業への就職を希望、他の 1 名は既に日本企業から内定を得ており、就職活動 95.
(5) 実践報告. について、またとない情報提供者となって、授業の運営に大きく貢献した。各年度の受講 者数と所属別内訳を表 1、学年次別内訳を表 2 に示す。 表1. 受講者数(名)・所属別内訳 所属. 教育人間. 経済学部 経営学部. 科学部. 年度. 表2. 理工学部3. 大学院. 計. 2010. 7. 7. 4. 3. 21. 2011. 2. 15. 1. 4. 22. 2012. 2. 6. 1. 4. 13. 2013. 6. 9. 2. 4. 21. 2014. 4. 5. 5. 3. 2. 19. 計. 21. 42. 13. 18. 2. 96. %. 22. 44. 14. 19. 2. 受講者数(名)・学年次別内訳 年次. 個別・短 大学院. 計. 1. 2. 3. 4. 2010. 6. 6. 5. 3. 1. 21. 2011. 10. 6. 3. 1. 2. 22. 2012. 7. 3. 1. 1. 1. 13. 2013. 8. 7. 2. 2. 2. 21. 2014. 8. 1. 2. 0. 6. 2. 19. 計. 39. 23. 13. 7. 12. 2. 96. %. 41. 24. 14. 7. 13. 2. 年度. 期. 3. 授業の報告 2-1 にあげた履修目標の達成度合いを、各回配付している「課題達成確認シート」、最終 発表と発表資料について聞き手となる受講者が記入する「最終課題発表コメントシート」、 授業最終期に実施される「授業アンケート」の 3 つの資料にもとづいて報告する。. 3. 理工学部は工学部の改組・拡充により 2011 年度に設置された。当項には、工学部に 所属する受講者(2010 年度以前の工学部入学生)数を含んでいる。 96.
(6) 実践報告. 3-1.. 課題達成度確認シート. 「課題達成度確認シート」は、2-1 にあげた履修目標の達成に向けた各回の授業の課題 を記載し、各自の課題達成度評価とその根拠および所感の記入欄を設けたシートである。 このシートを授業の初めに配付し、当日の目標を確認する。授業の終了前に記入を求めて 回収し、次の授業の初めに、教員のコメントを付記して返却している。 以下に、2014 年度の「課題達成度確認シート」から、目標達成に向けた学習過程が簡潔 に記述された 5 名の受講者の達成度自己評価、評価の根拠・所感の記述を引用する。 受講者の記述は、記載された文のまま転記し、補足を「〈. 〉」内に追記する。. (1) 履修目標「①商品や企業、業界について、ウェブサイトや新聞、雑誌などから情報 を特定し、収集することができる」の達成に向けた第 5 回の課題: ・新聞記事から情報が収集できる ・新聞記事から収集した情報から、興味のある点を見つけることができる ⇒受講者 A の自己評価と記述 ・70%:難しい単語と内容が含められて理解するのがけっこうきつかった。たとえそ の文章の意味がわかったとしても、その企業の事情や歴史的なことを分からないと 理解できない部分が多かった。でもこの記事に乗っかっている会社についてもっと しらべたくなった。 ⇒受講者 B の自己評価と記述 ・85%:企業の名前とか背景知識などがないとやっぱりこんな記事は大変だと思いま した。これからもっとがんばります! (2) 履修目標「②グループディスカッションで意見を述べたり、他者の意見の調整を したりすることができる」の達成に向けた第 6 回の課題: ・興味がある企業の概要が検索できる ・興味がある企業の概要が説明できる ⇒受講者 C の自己評価と記述 ・100%:今学期はこのようなことを何回もやっているので、検索や説明などはだんだ んやりやすくなってきました。 ⇒受講者 D の自己評価と記述 ・90%:ちょうど最近コンビニについてのテレビ番組を見たんで、いろいろシェアし たかったけど、時間が足りなくておしかったと思います。 (3) 履修目標「③ディスカッションの結果を、簡単な分析を含めて、報告することが できる」の達成に向けた第 9 回の課題: ・特定の企業について、競合他社と比較して紹介できる ・事前準備がグループで協力してできる. 97.
(7) 実践報告. ・聞き手に配慮した話し方ができる ⇒受講者 D の自己評価と記述 ・95%: 〈グループの中で〉唯一の経済専門で発表者にされたけど、やはり話し言葉と 発表する時の違いが分かってきて、語彙を増やさないといられないと思った。 ⇒受講者 E の自己評価と記述 ・80%: 〈グループディスカッションで話すことの材料が十分にまとまらず〉非常に少 ない情報量を絞り出して発表することは意外に簡単ではなかった。しかし、やはり 数字を使うことで、概要を理解してもらえた気がする。 (4) 履修目標「③ディスカッションの結果を、簡単な分析を含めて、報告することがで きる」の達成に向けた第 12 回の課題: ・企業情報が独自の視点で分析できる ・情報が A4. 1 枚にまとめて記述できる. ・聞き手に配慮した話し方ができる ⇒受講者 C の自己評価と記述 ・90%:先週の情報をもう少し〈増やして〉A4〈1〉枚にまとめましたが、聞き手に配 慮した話しをするために、もっと〈流れを検討し〉スムーズにした方がいいかなと 思いました。 ⇒受講者 E の自己評価と記述 ・80%:A4 用紙一枚に発表したい内容をまとめることはできたが、他人が分かりやす いような形をとっていなかったので訂正したい。 3-2.. 最終課題発表コメントシート. 「最終課題発表コメントシート」は、最終発表の聞き手となる受講者(発表者を除く全 受講者)が、発表の評価や疑問点をメモしながらプレゼンテーションを聞き、質問の準備 をするための用紙である。最終発表は、各自が興味を持った企業や業界の動向に関する報 告をテーマにした 5 分程度のプレゼンテーションとしている。A4 で 1 ページにまとめた 資料を配付、ホワイトボードの使用は認めるが、プレゼンテーションソフトを利用したス ライドの使用は認めていない。 以下に、前項「3-1.. 課題達成度確認シート」で引用した受講者 5 名のうち 3 名の受講. 者、受講者 B、受講者 C、受講者 E の最終発表について、聞き手となった他の受講者が記 述したコメントを「最終課題発表コメントシート」から抜粋して紹介する。 2014 年度の最終発表は、5 分のプレゼンテーションに質疑応答 5 分を加えた合計 10 分 を持ち時間として、第 13 日目から最終日となる第 15 日目に実施した。 (1) 受講者 B の最終発表・発表資料 第 5 回の授業では、経済記事の読み方に苦慮していることを記述した受講者 B は、 98.
(8) 実践報告. 均一価格の生活雑貨 X 社を題材に選び、準備していたところ、発表の前日に同社が下 請法違反で勧告されたという記事が発表された。そこで、急遽配付資料の内容を差し 替えて発表した。聞き手からは、「レジュメは少し分かりにくかった」「もうちょっと 準備できたらなと思いました」との指摘もあったが、一方で「いいところ:今日探し てきた最新新聞を持ってきた点」、「最新の情報も含めた面白い話しだった」と評価さ れた。急な変更で資料のレイアウトが不統一になり見やすさが損なわれ、発表時の話 し方に余裕がなくなったものの、即時性を優先した判断は高く評価されていた。 (2) 受講者 C の最終発表・発表資料 第 12 回の授業のグループディスカッションで、最終発表の構成に修正点を見つけ た受講者 C は、多分野で業務を展開する大手電機メーカーY 社を題材に発表した。聞 き手の評価は、 「ゆっくり話して聞く人を配慮した発表だったと思います。資料がきれ いにまとめていてよかったです。質問にもちゃんと答えていてすごいと思いました」 「『えー』 『まあ』も入れて口調が自然で良かったと思います」 「Y 社はけっこう多くの 事業に携わるので、よくまとまったなと感じました」等であった。情報量の多い資料 であったが、聞き手に対象企業の認知度が高く、知りたいことが盛り込まれていたこ と、ブランドのロゴが紹介されていたことが事業別の説明を聞く際の助けになったこ となどが好評につながっていた。 (3) 受講者 E の最終発表・発表資料 同じく第 12 回の授業で、他の受講者の反応を見て最終発表資料の修正点を見つけ た受講者 E は、出版社 Z 社について発表した。聞き手のコメントには、「資料が必要 なところだけちゃんと書いてありまして見やすかったです」「プリントのまとめがよ かった」「レジュメがきちんとまとめて項目にしぼってすばらしいと思いました」「資 料は分かりやすい. 情報をせいりしてある」とあり、修正の効果が評価に反映されて. いた。また、聞き手の興味関心を踏まえた発表で、 「質問が出やすい発表 (質問が多 かった) 質問について丁寧に説明した」 「質問の対応がすごくよかったです」と口頭 のやりとりの評価も高かった。 3-3.. 授業アンケート. 授業アンケートの評価のうち、総合評価 3 項目の回答の平均値(設問回答の 4 段階を数 値として捉えて累計したものを回答数で割った値)は、表 3 のとおりである。2011 年の回 答率は 80%弱だが、他は 90%以上の回答率であったことから、授業の目標が受講者によく 理解され、それぞれ知識や能力が身についたと評価していることが分かる。 2014 年度の自由記述は 16 件あり、この授業の「良かった点」については「けいざい/会 社に. かんしんをもつことになった」など経済や日本企業について知識が得られたとする. 記述が 8 件、 「グループワークが良かったです」などディスカッションが役に立ったという 99.
(9) 実践報告. 記述が 6 件、 「言葉の遣い方、場面にふさわしい話し方が分かりました」と日本語の表現技 術に関する記述が 1 件あった。「改善すべき点」については、「ビジネス日本語の語いや決 まりもんくについて勉強できたら良かった」との指摘が 1 件あった。 (表中の「設問」は筆 者が設問文を要約して記載した。アンケートの設問文については脚注を参照されたい。). 表3. 授業アンケート評価、総合評価 4 のうち平均値 設問 授業内容理解4. 知識や能力5. 総合的満足6. 年度. 4.. 回答数 /受講者数. 2010. 3.55. 3.50. 3.50. 20 /21. 2011. 3.63. 3.50. 3.50. 16/ 22. 2012. 3.92. 3.92. 3.75. 13 /13. 2013. 3.89. 3.84. 3.84. 19 /21. 2014. 3.74. 3.68. 3.79. 19 /19. 今後に向けて 前項 3.で報告した 5 回の開講結果から、目標の達成に有効な授業の提供ができたと考. えるが、2010 年開講以来の 5 年間には、社会・経済情報の入手方法が刻々変化し、自己評 価の方法についての研究も進んでいる。 開講初年度の 2010 年当時は就職活動をする学生に新聞は必携とする風潮もあり、紙媒 体の日本経済新聞を情報収集源の中心に考えていた。同年度には、第 2 回の授業の課題達 成確認シートに「初めて日本の企業情報についての新聞記事を読んだ。これからもっと一 生懸命勉強したいと思う」と書いた受講者が、最終発表では 3 つの新聞記事を情報源とし て資料にまとめるなど、新聞記事からの情報収集力を向上させていく様子も見られたが、 年を追って、受講者自身が紙媒体の記事を持ち込む頻度が減少してきた。2013 年度以降は、 受講者のほぼ全員がスマートフォン乃至はタブレット端末を携帯して授業に出席するよう になったこともあり、情報源はウェブサイトに重きを移すことにした。 また、自己評価については、受講者が開講時に目標達成に必要な能力記述を参照し、そ の時点での自己評価をしたうえで具体的な課題の達成に挑戦することが可能になるように、 4. 「授業内容についてどの程度理解出来ましたか。」2010-12 年、 「授業の内容は理解できたと思いますか。」2013-14 年. 5. 「この授業で考え方・知識・技術などが向上したと思いますか。」2010-12 年、「授業 の到達目標で示されていた知識や能力は身についたと思いますか。」2013-14 年. 6. 「総合的にこの授業に満足しましたか。」2010-14 年 100.
(10) 実践報告. JF 日本語教育スタンダード7や CEFR8の参照枠と関連づけた到達目標一覧の作成に取り組 みたい。近藤他(2012)の教科書の目次に提示された Can-do statements や BJT ビジネス日 本語能力テスト9の測定対象能力にもとづいた芦原・小野塚(2014)の研究成果等を参考に 検討を進めることを計画している。 今後は、上記にあげた課題に対応し、アカデミック・ジャパニーズとして開講される上 級日本語科目とも連携を図って、より効果的な授業の実施につなげていきたい。. 参考文献 *脚注付記もあわせウェブサイトについては、2014 年 11 月 25 日アクセス 経 済 産 業 省 (2011) 「 教 育 機 関 の た め の 外 国 人 留 学 生 ビ ジ ネ ス 日 本 語 教 育 ガ イ ド 」 http://www.meti.go.jp/policy/asia_jinzai_shikin/studybusinessjapaneseguide.pdf 奥田純子(2011)「留学生にとってのアカデミック・ジャパニーズとビジネス日本語教育の 課題-キャリア開発のためのビジネス日本語教育と教師の役割」日本語教育学会 AJG(於:米子コンベンションセンター)発表資料 http://academicjapanese.jp/dl/activity/activity2011_02.pdf 近藤彩、品田潤子、金孝卿、内海美也子(2012) 『課題達成のプロセスで学ぶビジネスコミ ュニケーション』アプリコット出版 葦原恭子、小野塚若菜(2014)「高度外国人材の日本語能力を評価するシステムとしてのビ ジネス日本語 Can-do statements の開発―BJT ビジネス日本語能力テストの測定対象 能力に基づいて―」『日本語教育』157 号、1-15、:日本語教育学会. 7. 国際交流基金が公開する日本語の教え方、学び方、学習成果の評価のし方を考える ためのツール。参考ウェブサイト:https://jfstandard.jp/summary/ja/render.do. 8. Common European Framework of Reference for Languages: Learning, teaching, assessment の略。参考ウェブサイト:http://www.dokkyo.net/~daf-kurs/library/CEFR_juhan.pdf. 9. 公益財団法人日本漢字能力検定協会が実施するビジネスコミュニケーション能力を 測るテスト。参考ウェブサイト:http://www.kanken.or.jp/bjt/about/ 101.
(11)
関連したドキュメント
The number of international students at Kanazawa University is increasing every year, and the necessity of improving the international students' Japanese writing skills,
J-STAGE は、日本の学協会が発行する論文集やジャー ナルなどの国内外への情報発信のサポートを目的とした 事業で、平成
事 業 名 夜間・休日診療情報の多言語化 事業内容 夜間・休日診療の案内リーフレットを多言語化し周知を図る。.
日本遠洋施網漁業協同組合、日本かつお・まぐろ漁業協同組合、 (公 財)日本海事広報協会、 (公社)日本海難防止協会、
Study Required Outside Class 第1回..
R1and W: Predicting, Scanning, Skimming, Understanding essay structure, Understanding and identifying headings, Identifying the main idea of each paragraph R2: Summarizing,
R1and W: Predicting, Scanning, Skimming, Understanding essay structure, Understanding and identifying headings, Identifying the main idea of each paragraph R2: Summarizing,
In OC (Oral Communication), the main emphasis is training students with listening and speaking skills of the English language. The course content includes pronunciation, rhythm,