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南九州産白色粘土の研究 : 第15報 オートクレーブによる粘土の硫酸処理について

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(1)

南九州産白色粘土の研究 : 第15報 オートクレーブ

による粘土の硫酸処理について

著者

小牧 高志

雑誌名

鹿児島大学工学部研究報告

6

ページ

67-76

別言語のタイトル

STUDIES OF THE WHITE CLAY IN THE SOUTH KYUSHU

: REPORT 15. ON THE SULFURIC AND TRAETMENT OF

THE CLAY IN THE AUTOCLAVE

(2)

南九州産白色粘土の研究 : 第15報 オートクレーブ

による粘土の硫酸処理について

著者

小牧 高志

雑誌名

鹿児島大学工学部研究報告

6

ページ

67-76

別言語のタイトル

STUDIES OF THE WHITE CLAY IN THE SOUTH KYUSHU

: REPORT 15. ON THE SULFURIC AND TRAETMENT OF

THE CLAY IN THE AUTOCLAVE

(3)

56813525635 78330112210 ■りゆG①●●BG■■ 37400000003

431

牧 高 志

(受理昭和41年5月31日) STUDIESOFTHEWHITECLAYINTHESOUTHKYUSHU REPORT15・ONTHESULFURICACIDTREATMENT O F T H E C L A Y I N T H E A U T O C L A V E TakashiKOMAKI Thesulftlricacidtreatmentofmontmorilloniteclayhaslongbeenusedanditstreatment hasbeenutilizedindustriallyinmanyways、 Ontheotherhandfewreportsofthesulfuricacidtreatmentofkaoliniteclayhavebeen published,andtheapplicationoftheclayotherthancommonceramicmaterialsisquiteunknown、 Theauthorhasdiscoverdvariousinterestingcharactersoftheamorphousparticlehydrohal-loysitebyusingsulfuicacid・ Thecoloredclay,whichhasnotbeeninuse,maybeusedasindustrialmaterialsatisfac-torilybylN・H2SO4,10at、.,5hrstreatment・ Becausebythistreatmentthewhite-degreeoftheclayishighbyneally20comparedwith thatoftheuntreatedclay・ Theniftreatedbycondensedsulfurieacid,theBAS(basicaluminumsulfate)iseasilypro‐ ducedintheclayandtheclaystructuremostlycollapses,andAl203intheclayisextractedas theBASandAl2(SO4)3. ThereforetheutilizationofhydrohalloysiteasAl203materialcanwellbeconsidered. 表1粘土の化学組成(110℃乾燥物) 緒 論 粘土鉱物のなかでベントナイト系のものは硫酸処理 によりSiO2,AI203に容易に分解するが,カオリン系 粘土の硫酸処理についての報文は少なく,これがベン トナイト系粘土同様に分離できるならば工業方面の新 分野に適用され得るものと考えられる.著者はかねて 南九州産白色粘土について研究しているが,この中で 粒子が粟穀状のハイドロハロイサイトの天ケ鼻'),芳 ケ野2)および大河内粘土3)を選び,これらについて各 条件で硫酸処理をおこなった結果について化学成分, 脱鉄,白色度,X線回折,示差熱分析,赤外スペクト ル吸収,電子顕微鏡観察およびBAS生成率の変化に ついて考察した. 試 料 お よ び そ の 化 学 成 分 ハイドロハロイサイト質粘土として芳ケ野,天ケ鼻 および大河内産粘土を用いた.これらはすべて風乾し たのち磁製乳鉢で粗砕し,100mesh柿を通過したもの をピロ燐酸ソーダを解修剤として水簸し325mesh箭を 通過したものを乾燥させて試料に供した.その化学分 析 値 を 表 1 に 示 す . ハ イ ド ロ ハ ロ イ サ イ ト の 示 性 式 A1208.2H20.nH20より110℃で脱水するものと考え られるn.H20を除いたAl203.2Si02.2H20の成分比 率はそれぞれAl208:39.49%,SiO2:46.55%,H20: 61612883758 80120111329 ④■●■■巳■。●①■ 47400000002

431

吹茸目、斜│芳ケ野|天ケ録|大河内

100.19 SiO2 Al203 Fe203 FeO M n O TiO2 CaO MgO Na20 K20 1g,loss Total

南 九 州 産 白 色 粘 土 の 研 究

第15報オートクレーブによる粘土の硫酸処理について

62958588962 32710212212 ■OBF句q■旬。■■ 47500000002

431

100,88 100.38

(4)

条 件 鹿 児 島 大 学 工 学 部 研 究 報 告 68 第 6 号 脱 鉄 率 お よ び 白 色 度 の 変 化 表2 里 Iま53%程度の率を示している.このことから鉄分は圧 力よりも硫酸濃度による影響が非常に強いことが判 る.一方白色‘度の硫酸処理の効果は圧力,濃度に比 例しない.原土が褐色味をおびている芳ケ野や天ケ鼻 粘土では1N・H2SO4,5気圧5時間処理物では約10位 白色度が高くなcているが,もともと白味の強い大河 内粘土では僅かに4程度高くなっているにすぎない. また処理硫酸濃度,圧力の関棚係は直線的ではなく総体 として2N・H2SO4,15気圧5時間の場合が最高白色度 を示している。また,この場合白色度が75をこえた場 合非常に白く見えることから担休やフィラーとしては 充分使用できるものと考えられる. BAS生成 試料を硫酸で処理した場合ある条件で塩基性硫酸ア ルミニウム3A1203.4s03.9H20が生成することが判 明した.この塩基性硫酸アルミニウム(以後BASの 略名で示す)は冷水は勿論熱水にも不溶の性質を示し ている物質4)である.それ故,硫酸にて水熱処理した ものを充分水洗して硫酸根を分離したのち,岩石中の 硫酸根定量法5)により硫酸根を求め,これをBASに換 算して生成率とした.なお用いた試料,すなわち芳ケ 野,天ケ鼻,大河内粘土におけるBAS生成量は殆ん ど同量であるので,芳ケ野粘土についての生成率を図 ’に示した.まず硫酸濃度’規定で処理した場合5気 圧3時間のものにはBASが認められなかったが,5気 圧3時間処理物では0.9%ではあるが僅かに生成が認 められた.さらに同濃度の10気圧3時間処理物では 0.8%のBASが認められ,5時間処理物では1.0%生 成している.また'5気圧3時間処理では0.8%と'0気 圧処理と全く変化がなかったが,5時間処理物では 調製された試料各109を径35mm,高さ100mmの 管瓶にとり1N,2Nおよび5NH2SO4をsOccづつ試料 に混じたものを内径297.9mm,有効長1500mmのオ ートクレーブ中で5,10および15気圧中で3時間およ び5時間保持したものについて白色度,脱鉄,生成駈 基性硫酸分析,,.T、A,X線回折,赤外線吸収スペク トルおよび電子顕微鏡観察についてそれぞれ考察し た. 脱 鉄 率 お よ び 白 色 度 我国の窯業原料の多くは鉱量に乏しく,しかも酸化 鉄,硫化鉄,黒雲母,チタン鉄鉱などの着色不純物を 含有している場合が多い.そのため利用される原料は 非常に僅かのもので,多くは未利用のまま放置されて いる状態である.硫酸処理によりこれら着色不純物が 除かれると利用度も高くなることより溶解される鉄の 量をスルフォサリチル酸を発色剤とする吸光度測定に より測定した.また残置は水洗したのち110℃に乾燥 して日立製光電比色計によりMgOを100として白色 度を求めた.これらの結果は表2に示した.まず脱鉄 率の傾向をみると1NoH2So4,2N・H2SO4での処理で は15気圧5時間処理物でも最高24%程度のものであま り脱鉄されていないが,sNoH2SO4では5気圧3時間 処理物でも30∼35%の溶出率を示している.さらに高 圧の条件下では脱鉄率も上昇し15気圧5時間処理物で 白 色 度 試 大 河 内 天 ケ 鼻 芳 ケ 野

料一

土 験 原 ノ ノ ノ ノ ソ ノ ノ ノ ソ 1 5 脱 鉄 率 白 色 度 悦 鉄 率 77.4 78.9 82.1 80.2 83.9 86.7 78.5 79.2 84.1 83.2 84.9 84.5 73.1 白 色 度 脱 鉄 率 68.2 77.3 78.7 79.1 82.3 84.3 79.0 80.2 74.8 75‘1 75.3 78.4 61‘7 13.96%を示すが表1の化学組成は芳ケ野,天ケ鼻, 大河内粘土とも大体それらの比に近い値を示している こにからハイドロハロイサイトを主成分としているこ とが判る. 10.3 16.7 18.5 16.0 19.0 20.5 35.0 38.0 44.0 44.0 45.8 46.7 0 ″句J毎J句コミJ句、ごJ 9.1 14.3 17.8 14.1 19.2 24.0 32.8 34.2 42.1 44.3 52.8 53.1 0 69.5 69.9 77.8 68.8 72.1 79.9 73.2 75.9 77.2 75.8 76.7 78.8 59.7 1N・H2SO45atm5hrS lO 〃 〃 〃 1 5 z / 2 N ・ H 2 S O 4 5 〃 〃 1 0 〃 〃 1 5 , ソ 5 N ・ H 2 S O 4 5 3 〃 5 5 〃 1 0 3 10.3 15.2 19.0 15.0 21.2 23.0 30.1 30.3 38.1 44.2 48.4 52.7 0

(5)

米 69 芳 ケ 野 | 天 ケ 鼻 | 大 河 内 20 10 小牧:南九州産白色粘土の研究(第15報) 。 ともに高くなれば,それにしたがってBASの増加も 大きくなるが,どちらかといえば圧力よりも濃度によ る影響が概して大きいように思われる. アルミナ溶出効果 各種の条件で処理した試料を熱水でSO4"のなくな るまで洗出したものと残置中に残るBAS中のSO4"よ り先述の方法で求めたものの粘土構造結合としての Al203がどの程度分解しているかをAl208/SiO2比 により求めた結果を表3に示した.表3中の数値は原 土におけるAI203:SiO2=1:1として求めたものであ 15 50

○○⑨匪鋸鯵

○○や幻錨識

5hrs

3

h

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s

5

N

1

5

1

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3hrs

H

2

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1

3hrs p 45 0 5 0 4 3 3

生成率%

ノ 1 5 25 表3処理条件によるAl203/SiO2比変化零 るが,この数値は結局残存ハイドロハロイサイトの率 であるから,この数値を1より差引いたものが分解さ れたAl203である.図1および表3よりして1NoH2SO4 処理物では5気圧程度では殆んどアルミナの溶出は認 められないが,圧力が高くなれば次第に粘土が浸蝕さ れた結果,結合が切れてアルミナの溶出が認められる ようになる.しかし溶出量は15%程度であり,この中 BASは1%程度であるので,抽出されるAl2G3は14 %しかない.ZNoH2So4処理の場合は1N。H2So4よ りも溶出量は多くはなるが,最も苛酷な条件でも29% 程度のものであり,この中BASは16%生成されること から溶液中に溶けたA12O3は13%程度であり,これは 1N・H2SO4の条件と全く変りがない.5NoH2SO4では, これに反して5気圧処理で40∼30%のAl203が溶解し ているが,この中のBASは6%程度であるので,平均 40%程度のAl203がAl2(SO4)3として抽出されること になる.さらに加圧した場合,溶出量も85%程度となる 拳註原土のAl208/SiO2を1,00とする “Q 試 一 ∼ 処 理 条 件 一 0 10 圧力(Kg′t,n重) 図 1 B A S 生 成 率 1.2%と僅かではあるが増加している.次に2規定硫 酸によるBASの生成率はs気圧3時間では1規定硫 酸同様全く認められなかったが,5時間処理物では1.8 %認められた.また10気圧では3時間の場合2.5%生 成し,3時間では2.8%の生成率を示しているが,15 気圧の場合は1規定硫酸処理と異なり急激な生成率を 示し,3時間では10.8%,5時間では16.0%となって いる.5規定硫酸処理物になるとBASはさらに大きな 生成率を示している.5気圧3時間では4.5%,5時 間では6.0%,10気圧3時間では14.2%,5時間では 16.0%,そして15気圧の場合は3時間で33.5%,5時 間では46.0%のBASが生成していることが判かる. この傾向からは,1規定硫酸では圧力および反応時間 による生成率の増加は極めて少ないし,2規定硫酸で は1規定の場合に較べると5および10気圧での生成率 は1規定硫酸の場合と殆んど同程度であるが,・15気圧 になると急上昇して生成率も増加していることが判か る.一方,5規定硫酸処理物では前二者に較べてBAS の生成率は遥かに高い値を示しており,高圧になるに したがいその比は大きくなっている.また濃度,圧力 3hrs 5 3 5 3 5 3 5 3 5 3 5 3 5 3 5 3 5 886507871071506385 999998888877554421 ■■■。■q●●●●■g■?④や■■ 000000000000000000 874285532053302674 999988888877665421 ●■■●巳由●●巳●■■■■■■巳■ 000000000000000000 760064963275570336 999988888877655421 ●●●■●■●F■凸ら●●G①。■■ 000000000000000000 1NoH2SO45atm. 〃 〃 バ ノ 1 0 〃 〃 〃 1 5 〃 Z' 2N鰯H2SlO45 〃 〃 〃 1 0 〃 バノ 〃 1 5 〃 〃 5N・H2SO45 〃 ノノ 〃 1 0 〃 〃 〃 1 5 〃 ノノ

(6)

70 鹿 児 島 大 学 工 学 部 研 究 報 告 第 6 号 が,これにしたがってBASも45%程度生成されること

から,A12(SO4)3の生成はやはり40%程度で5気圧の

場合と殆んど変っていないのは興味あることである.

X 線 回 折 調製試料の110℃乾燥物のX線回折は脱水によるた

めの(00I)面が10Aから7.4Aに収縮されているが4.5

A,3.65A,2.50A,2.38Aなどの代表的なハイドロハ ロイサイトの回折ピークがみられ,その他の不純物と しての石英,長石による回折はみられなかった.また エチレングリコール処理してアロフェンの存在を求め たが,アロフェンによるピークは認められず,示差熱 分析による熱変化も全くないことから,これら試料は 水簸精製されたハイドロハロイサイトであることが判 明した.これら試料の1N・H2SO4処理物の5気圧3時 間処理物では芳ケ野,天ケ鼻,大河内粘土とも原土と 全く変化がなく,5時間処理でもX線回折によるBAS 7.4 4,53.65 r a w の生成は不明であった.また10気圧3時間あるいは5

時間処理した場合でも,原土と同様のピークしか現わ

れなかったが,15気圧処理の場合は原土のハロイサイ トのピークのほか,僅かではあるがBASの最強線の

2.98Aと次強線の4.93Aのピークが認められるように

なるが,5時間処理の場合も3時間処理と同程度のも のしか現われていない.BASの化学分析法よりの生

成率では1N・H2SO4処理場の圧力変化の影響は殆ん

ど認められないし,後述の電顕による観察でも殆んど 変化らしいものが現われないことから,この条件で生 成されるBASは極めて微少な一種のゲル状態のもの ではないかと考えられる.次に2N・H2SO4処理の場 合s気圧3時間処理物では1N・H2SO4処理の場合と 全く同じくハイドロハロイサイトの回折ピークのみ現 われてくるが,5時間処理物では僅かではあるが26, 30。(CuKα)付近の「h広い弱いピークの存在がかすか 2.502.38 lNH2SO 5at、 3hrs

i

人=人-−

A ▲ 2N・H2SO4 10at、 3hrs 5N・H2SOl l5atm 5hrs BAS 1

一一_」L--JI-4.93

_

i

f

2.98 3.51 , 】 }

−−−−JLjL華一 1.91 2.25

1 0 1 5 2 0 2 5 . 3 0 3 5 4 0 4 5 5 0 C u K a 2 8 図 2 硫 酸 処 理 に よ る 粘 土 の X 線 回 折

(7)

小牧:南九州産白色粘土の研究(第15報) 71 に認められるようになる.10気圧処理では3時間の場 合は,5気圧5時間処理のものと比較して差は認めら

れないが,5時間処理物ではBASの2.98A,4.93Aの

回折線が強くなると同時に原土であるハイドロハロイ サイトのピークが弱まってくることから,この条件で はいくらかハイドロハロイサイトの層内の40+2 (OH)とSiO2,Al203の結合が弱くなり6),そのため ハロイサイト構造が破壊されたものと考えられる.さ らに15気圧処理になると,この傾向は大きくなり5時

間処理物ではBASによる2.98A、4.93Aのほか1.91A

2.25Aのピークが出現してくる.しかし,この条件で も一般にハイドロハロイサイトのピークの方が強いよ うである.次に5N・H2SO4処理の場合5気圧3時間で は,X線的にはBASの存在は探知できなかったが,5

時間処理物では2.98AのBASのピークが認められる

ようになる.さらに10気圧処理の場合BASの結晶は

さらに生長して1.91Aのはっきりしたピークと,

2.25Aのかすかなピークが見られるようになる.しか しハイドロハロイサイトの構造は,まだ充分残ってい ることが回折線からも伺える.5時間処理物の場合も 殆んど同様な傾向を示している.15気圧3時間処理の 場合はハイドロハロイサイトの回折ピークは7.4Aが

はっきり残存するほかは4.5A,3.65Aのピークは全

くぼけた状態となり,2.50A,2.38Aのピークは消失

r a w

160 してしまっていることから,この条件ではハイドロハ ロイサイト椛造は殆んど破壊され,一部が極めて不揃 いの層状をなして存在しているものと考えられる.さ らに5時処理になると7.4Aの層間結晶水によるピー クも僅かに認められる状態になり,この条件ではハイ ドロハロイサイトの構造は殆んど無くなり,BASが発 達生成していることが判明する.これらの代表的な例 を図2に示したが,硫酸処理の場合5規定の濃度で15 気「ES時間の条件で原土のハイドロハロイサイトは殆 んど構造的に破壊され,粘土中のAl203はAl2(SO4)3 として抽出されるものとBASの状態で残溜するよう になる.第2図中のBASのX線回折ピークの試料は 和光純薬製JIS試薬特級の結晶硫酸アルミニウムAl2 (SO4)3.16∼18H20を油浴中150℃にて1時間処理し たもので水に不溶性の純BASであり,そのピークは Daveyらの報告4)によるものと全く一致している. 示差熱分析

X線回折図から判明したように粘土の硫酸処理の場

合5N・H2SO4,15気圧5時間処理によりハイドロハロ イサイトは殆んど分解されることが判明したが,それ を裏付けるため示差熱分析による考察をおこなった.

その結果を図3に示した.未処理の場合110℃乾燥物

でもまだいくらか含水されているものと考えられる脱

水ピークが160°Cに現われているが,構造水の脱水に 950 LノL−

5N・H2‘Sql l5atm 5hrs −

vnrVV

580 860 BAS ↑ − 倍 一 一 f _ 一 2 3 4 →TempoC(×100) 図 3 示 差 熱 分 析 曲 線

(8)

72 鹿 児 島 大 学 工 学 部 研 究 報 告 第 6 号 よる大きなピークが580℃付近にみられる.950℃の 鋭い発熱ピークは例えば7.-A1203の結晶化によるもの とか,ムライト核の形成説などによるものといわれる が,Si-Alスピネル形成によるピークであるものとい うのが妥当である7).これらの吸熱発熱ピークは全く ハイドロハロイサイトの代表的な型を示している. 5N・H2SO4による15気圧5時間処理物をみると,160℃ に吸着したとみられる水の脱水吸熱ピークが現われ, ついで320℃に巾広い吸熱ピークが認められるが,こ れはBAS中の結晶水中2分子のH20の脱水によるも のである.さらに460℃にみられる大きな吸熱ピーク は残りの結晶水の脱水によるものである.しかしなが ら,580℃にはまだ大きな吸熱ピークが残っているこ とから,ハイドロハロイサイトの粘土構造中の構造水 は相当残っていることが伺われる.860℃の吸熱ピー クは.BAS中の硫酸根によるものであり,これによっ てBASはAl208に熱変化するものと考えられる.ま た950.Cには僅かであるが発熱ピークがあらわれてい ることから,X線的には殆んど分析されたと認められ た試料中に,やはり僅かではあるがハイドロハロイサ イトが残存していることがわかる.先述の方法で構成 したBASの示差熱分析のピークは320℃の2分子の結 晶水による吸熱ピーク,460℃の残りの結晶水による 大きな吸熱ピークのほかに,520℃に小さな吸熱ピー クが認められる.これは残りの結晶水7H20が一部残

I/一‐

1653

V一一

V〆、−−

V”

り,少し高い温度で脱水するための吸熱ピークと考え 320.O られる.これからBASは3A1203.4s03.9H20→ 4 6 0 . 0 ∼ 5 2 0 C O 8 6 0 o O 3A1203o4SO3・7H20→3A1208.4SO3→3A1203と 熱分解することが判明する. 赤外線吸収スペクトル X線回折,示差熱分析などの方法でBASの生成過

程を求めたが,さらに赤外線吸収スペクトルによる吸

収を測定した.その結果,代表的なものについて図4

に示した.赤外線吸収スペクトルの試料は各条件に処

理した試料1mgに対してKBr粉末250mgを混じて 120kg/cm2にて薄円板状のものを作成し,日本分光製 IR-S型(KBr型)によって測定したものである.こ れら測定結果では3500cm−1あたりにOHの振動スペ クトルが見られるが,プリズムがKBrのため前報3)で 述べたような詳細な3つに分れたスペクトルがみられ なかったので,ここではこのスペクトルについての説 明を除くことにする.1653cm-1は吸着によるH20の ための吸収スペクトルで,すべての試料について同じ ように見られる。未処理の試料の1020cm−1はSi-Oに よる吸収であり,900cm-1の吸収はO-A1-OHの振動 によるものである.800cm-1はAl−Oによるもので, 740cm−1はSi−O−A1による吸収スペクトルである. 530cm−1は結晶水による吸収スペクトルともいわれる が8),これはSi-O-Alによるスペクトルといった方が

、、へ/Vw 蔦Y

12301075 650 3 6 3 2 1 7 1 5 1 3 1 1 9 7 5 cm−1 図 4 硫 酸 処 理 に よ る 粘 土 の 赤 外 線 吸 1 便 ス ペ ク ト ル

(9)

73 §へ簿 田 寺 * F 小 牧 : 南 九 州 産 白 色 粘 土 の 研 究 ( 第 1 5 報 ) 図 6 大 河 内 粘 土 1 N ・ H 2 S O 4 ・ s a t m 3 h r s 処 理 物

J

鱗蝋 織5,#。農f 、蝋ト品y 』蝉《瀞識擬,

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座 図 5 大 河 内 粘 土 原 土 諭 興 鍔 常 睡 普 ⑨ 、 〃 :訟瀞; 韓

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(10)

一謹壁 萩陛野 74 一謹壁 萩陛野 図8大河内粘土5N・H2SO4・15atm5hrs処理物 。 織 鶏 一癖,:,、.』 螺鎮譲 :,

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江 図7大河内粘土2N・H2SO4・10atmShrs処理物

(11)

小牧:南九州産白色粘土の研究(第15報) 75 妥当と考えられる.450cm−1はSi−Oによる吸収スペ クトルである。2N・H2So4,.15気圧5時間処理物では

未処理の場合にあらわれるピークのほか,1075cm−1に

新らしく吸収スペクトルがあらわれているが,これは SO4〃によるためのものであり,これによっても僅か ではあるがBASの生成されていることが認められる. 5NH2SO4,15気圧5時間処理物では1230cm−1に吸

収がみられるが,この吸収はBAS中のOHの変角振動

によるものであり,さらに650cm−1にも新らしくピー

クが認められるが,これもBAS中のSO4の変角振動

によるものではないかと推察される.しかしながら,

ハイドロハロイサイトに起因する各ピークは弱いなが

らも残存していることがうかがわれる.これら各種の

測定により5N・H2SO4,15気圧5時間処理物は大半は

粘土構造は失われるけれども,依然として一部残るこ

とが推定できる. 電子顕微鏡による観察

使用したハイドロハロイサイトの原土はさきの報告

にもあるように,図5にみられるような栗の殻状の形

態を示している.ここにその代表例として大河内産粘

土を掲載した.粒子径は0.3∼0.6浬程度の大きさを示

している.これらを硫酸によるそれぞれの条件で処理

したものが図6,図7および図8に示してある.まず

1NoH2SO4,5気圧3時間処理物では原土と比較して

わずかではあるが端部が侵蝕されているように観察さ

れ一方向に長く伸びている.また部分的に崩壊してい

る様子がみられる.ZNoH2SO4,10気圧5時間処理物

では,前図と比較して僅かではあるが侵蝕が強くなっ

ている様子がうかがわれる外側の無定形な部分は硫

酸による粘土中のアルミナ部分が溶解して,シリカゲ

ルが生じているものであろう。しかし図6,図7とも

に未処理のものに較べてそう大きな粘土の変化はみら

れない.図8は5NoH2SO4,15気圧5時間処理したも

のである,この場合粘土は大部分が分解していること

が観察される.そして長さ0.シ程度の棒状粒子がよ

くうかがわれるが,おそらくこの粒子は塩基性硫酸ア

ル ミ ニ ウ ム と 思 わ れ る . 結 論 ハイドロハロイサイト系の芳ケ野,天ケ鼻および大

河内粘土に1,2および5N・H2SO4を510,および15

気圧で3∼5時間作用させたものの粘土の変化および

生成物について脱鉄率,白色度,BAS生成率,X線回

折,示差熱分折,赤外吸収スペクトルおよび電子顕微

鏡観察について考察をおこなった.硫酸濃度1規定お よび2規定の場合は圧力が高くなるにしたがって,脱 鉄率は増える傾向がみられるが,全般として25%程度 位の値しか示さないが,5規定の場合は5気圧ですで

に30%以上脱鉄しており,15気圧では53%を示してい

る。一方,白色度をみると原土として最も赤褐色を示 している天ケ鼻粘土は1N。H2SO4,5気圧3時間で 59.7から69.5と約10近く高くなっていることが判る. しかし一般に白色度は硫酸濃度や処理条件の上昇とは

平行でなく,最高白色度は2NoH2SO4,15気圧5時間

の場合であった.しかし,この処理条件ではBASも

かなり生成されるので粘土本来の性質を損うことにな

り,窯業原料の精製としては考慮する必要がある.紙

ゴムなどの充填材などに使用する場合,特に白色度を

必要とする場合は良好と思われるが,1NoH2SO4,10

気圧処理でも天ケ鼻以外は充分白色度が高くなってい

ることから,この条件でも利用することができると考 えられる.また硫酸濃度が高く処理条件も苛酷になる とBASが生成される,すなわち1N・H2SO4では15気 圧処理でも1%前後しか生成されないが,2N・H2SO4 では15気圧になると16%がBASとなる.さらに5N・ H2SO4では5気圧処理で6%を生じ,15気圧では46% がBASに変化する.そして粘土としてのハロイサイ

ト構造は殆んど破壊されることが,X線回折や電子顕

微鏡観察などの結果から見られる.以上は実験した結

果であるが.今後の問題として硫酸処理後残存してい

る粉末中のBASの分離,さらにこれよりAl208製造

の方法につ察いて考らにさを必要とするとともに,

BASの分析を行ない,果して結晶水が9分子あるかど

うかについて考察し,ASTMカードの11∼15分子の

状態が正しいか否かを研究していく方針である.

終りにこの研究に努力された京都セラミックK、K、

木場敏文氏に深謝いたします. 文 献 1)小牧・島田:鹿児島大学工学部研究報告.第3号 61(1963).

2)島田・福重:鹿児島大学工学部研究報告.第5号

69(1965).

3)小牧:鹿児島大学工学部研究報告.第5号,93

(1965).

4)P.T、Davey:G、MLukaszewski,T、R・Scott

:Aust.』・Appl,Sci.,Vol、4137(1963). 5)地球化学:実験化学講座14,日本化学会編.丸善 (1958).

(12)

76 鹿 児 島 大 学 工 学 部 研 究 報 告 第 6 号

6)高橋:電子顕微鏡.Vol、4No.1.269(1955).

7)G、W・Brindley,M、Nakahira:J・AmCeram.

SOC‘,42,311(1959).

参照

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