日臨皮 257 182 日本臨床皮膚科医会雑誌 Vol.37, No.5, 2020 ( R2.00.00 号 ) 日臨皮 帯状疱疹患者におけるアメナメビルの安全性と有効性の検討 はじめに アメナメビル(アメナリーフ®錠 200 mg,以下, AMNV)は非核酸類似体の新規作用機序を有す る抗ヘルペスウイルス薬であり,2017年7月に「帯 状疱疹」の効能で承認された.AMNVはヘルペ スウイルスDNAの複製に必須の酵素であるヘリ カーゼ・プライマーゼ複合体の活性を阻害するこ とにより,二本鎖DNAの開裂およびRNAプライ マーの合成を抑制し,抗ウイルス作用を示す. AMNVは帯状疱疹を対象とした第III相臨床試験 で,新皮疹形成停止率について,バラシクロビル (以下,VACV)との非劣性が確認され,安全性 も確認された1). VACVおよびファムシクロビル(以下,FCV) はAMNVと作用機序が異なる腎排泄型の薬剤で あ り, 腎 機 能 低 下 患 者 で は 注 意 を 要 す る. AMNVは主に糞中に排泄されるため,腎機能に よる薬物動態への影響が少なく,年齢,腎機能等, 患者背景に応じた薬剤の選択が可能となった. 一方で, AMNVは世界に先駆けて本邦のみで 今福 信一1) Imafuku Shinichi 是松 健太2) Korematsu Kenta 森 直子2) Mori Naoko 可児 毅2) Kani Tusyoshi 松井 慶太2) Matsui Keita 1)福岡大学医学部 皮膚科学教室 2)マルホ株式会社 安全管理部 別刷請求先:今福 信一 福岡大学医学部 皮膚科学教室 〒814-0180 福岡市城南区七隈7-45-1 要 旨 アメナメビル(アメナリーフ®錠 200 mg,以下,AMNV)は世界に先駆けて,本邦で発 売されたヘリカーゼ・プライマーゼ複合体の活性を阻害する抗ヘルペスウイルス薬である が,日常診療下における情報はまだ十分ではない.そこで,AMNVの日常診療下におけ る安全性および有効性について特定使用成績調査を実施しており,本報告ではAMNV投 与1ヵ月後までの中間集計結果をもとに検討した. 安全性解析対象症例1,345例中11例(0.82%)に副作用を認め,主な副作用は,「上腹部痛」「下 痢」「発熱」が各2例であった.承認時に医薬品リスク管理計画で重要な潜在的リスクと して設定されている血小板減少に関連する事象として血小板減少症を1例,歯肉出血を1 例,心血管系事象に関連する事象として動悸を1例認めたが,いずれも非重篤であった. 有効性解析対象症例1,338例において,皮膚症状(紅斑・丘疹,水疱・膿疱)の消失まで の日数の50%点は,いずれも8日目であった.完全痂皮化までの日数の50%点は12日目, 疼痛消失までの日数の50%点は22日目であった. 本調査に組み入れられた症例の患者背景,治療実態等を疫学的な観点およびAMNVの特 徴を踏まえ考察したので報告する.本中間集計では,全調査症例数3,000例のうち,1,446 例のみを対象としており,最終集計時に詳細な集計解析を実施する予定である.
Key words: アメナメビル(Amenamevir),帯状疱疹(Herpes Zoster),特定使用成績 調査(Special drug use-result survey),中間集計(Interim report)
帯状疱疹患者におけるアメナメビル(アメナリーフ
®錠 200 mg)
の安全性と有効性の検討-特定使用成績調査の中間成績-
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2)原 著
日臨皮 257 182 日本臨床皮膚科医会雑誌 Vol.37, No.5, 2020 ( R2.00.00 号 ) 日臨皮 今福 信一ほか 大で6ヵ月間として疼痛のみを追跡することとし た.症例データについてはAMNV投与開始1ヵ 月後,6ヵ月後の2回に分けて収集することとし た.調査予定症例数は3,000例とし,本中間集計 では,2019年1月2日までに入手した1ヵ月間の データを集計対象とした. 3.調査項目 患者背景(性別,生年月,皮膚病変の有無・重 症度,皮膚病変の部位,疼痛の有無・重症度,併 存疾患等),AMNVの使用状況,他剤からの切り 替えの有無,および併用治療を調査した.安全性 については,有害事象,臨床検査値を調査した. 有効性については,皮膚症状を1週間毎に観察す ることとし,紅斑・丘疹および水疱・膿疱が消失 するまでの日数,完全痂皮化するまでの日数,お よび疼痛が消失するまでの日数を調査した.なお, 疼 痛 お よ び 疼 痛 に よ る 睡 眠 障 害 は,NRS: Numerical rating scaleで確認することとし,それ ぞれ0 [痛みなし] から10 [想像できる最大の痛み] ,0 [眠りは妨げられなかった] から10 [完全に妨 げられた(全く眠れなかった)] の11段階とした. 4.解析方法 本中間集計では記述統計を主として,計数デー タでは症例数および構成率を示し,要約統計量を 算出した.副作用は発現割合を算出した.皮膚症 状が消失するまでの日数,完全痂皮化するまでの 日 数, 疼 痛 が 消 失 す る ま で の 日 数 は Kaplan-Meier 推定法により解析した.全ての集計解析は SAS 9.4(SAS Institute Japan株式会社)で実施 した. 結 果 1.症例構成(図1) 2019年1月2日までに2,184例が登録され,1 ヵ月までの調査票回収症例は1,446例であった. そのうち,登録違反が判明した3例,使用開始後 の観察がなかった98例の計101例を除外した1,345 例を安全性解析対象症例とした. また,400 mg ×1回/日以外の投与方法で投与した症例7例を 販売されており,AMNV並びに同作用機序の医 薬品に関する海外を含む使用実態における情報は なく,その安全性および有効性に関するデータは まだ十分ではない.そこで,AMNVの承認時に 策定された医薬品リスク管理計画に基づき,使用 実態下における安全性および有効性を検討するた め,2018年3月よりAMNVを使用した患者を対 象とした特定使用成績調査(以下,本調査)を実 施中である.今回,2019年1月2日までに入手し たAMNV投与開始1ヵ月後までのデータの中間 集計結果をもとに, 患者背景,治療実態等を疫学 的な観点およびAMNVの特徴を踏まえ考察した ので報告する. 対象と方法 本調査は,医薬品の製造販売後の調査及び試験 の実施の基準に関する省令(平成16年12月20日厚 生労働省令第171号,平成25年3月11日厚生労働 省令第26号)に則り実施した. 1.対象患者 2019年1月2日までに契約を締結した625の医 療機関を受診し,帯状疱疹に対してAMNVを投 与した患者のうち,本調査に参加することに同意 した者を対象とした.過去にAMNVの使用経験 のある患者は対象外とした. 2.調査方法 本調査は使用実態に基づきプロスペクティブに 情報を収集する観察研究であり,EDC(Electric Data Capture)を利用した中央登録方式で実施し た.担当医師は,本調査への参加について患者の 同意を取得した後,AMNV投与開始日を1日目 として7日目までにEDCにて患者を登録した.な お,同意取得方法(文書または口頭)は規定せず, 各施設の手順に従った. 投与方法は承認された用法・用量に従うことと し,1 回400 mg を1 日1 回食後に経口投与した. 観察期間はAMNVの投与終了・中止の有無に 関わらずAMNV投与開始から1ヵ月間とし,帯 状疱疹に伴う疼痛が残存した患者に対しては,最
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日臨皮 257 182 日本臨床皮膚科医会雑誌 Vol.37, No.5, 2020 ( R2.00.00 号 ) 日臨皮 帯状疱疹患者におけるアメナメビルの安全性と有効性の検討 除外した1,338例を有効性解析対象とした.患者 背景,治療状況および安全性に関しては安全性解 析対象集団の集計結果を示した. 2.患者背景および帯状疱疹罹患状況(表1) 性別は女性が820例(61.0%)と全体の約6 割 であった.平均年齢は62.4歳であり,65歳以上75 歳未満が374例(27.8%),75歳以上85歳未満が281 例(20.9%),85歳 以 上 が96例(7.1%) と65歳 以 上 が 全 体 の 5 割 以 上 で あ り,15歳 未 満 は 6 例 (0.4%)であった. 併存疾患を有する症例は554例(41.2%)であり, 肝疾患を有する症例が17例(1.3%),腎疾患を有 する症例が11例(0.8%)であった.透析が実施 されている症例はなかった. 皮膚病変の発現部位は胸背部が399例(29.7%) と最も多く,次いで背腹部が279例(20.7%)であ り,顔面が203例(15.1%)であった. 投与開始時の帯状疱疹の重症度は,皮膚病変の 神経支配領域に占める割合が30%以下を軽症, 30%から70%を中等症,70%以上を重症として判 定した.軽症が685例(50.9%),中等症が566例(42.1 %),重症が81例(6.0%)であった.汎発疹を有 する症例は68例(5.1%)であった. 初診時に疼痛が認められた1,241例のうち,軽 微,軽度がそれぞれ202例(15.0%),592例(44.0%) と合わせて約6割であった.また,疼痛による睡 眠障害も623例(46.3%)に認められた. 図1 症例構成 表1 患者背景および帯状疱疹罹患状況 登録症例 2184例 調査票回収症例 調査票未回収症例 1446例 738例 安全性解析対象症例 安全性解析除外症例 1345例 101例 3例 3例 98例 有効性解析対象症例 有効性解析除外症例 1338例 7例 7例 使用開始後の観察がない症例 400mg×1回/日以外の投与方法で投与した症例 図1 症例構成 調査票入手後に以下の登録違反が判明した症例 本剤投与開始日を含め、7日以内に登録されて いない 症例数 構成率(%) 1345 (100.0) 性別 男性 525 (39.0) 女性 820 (61.0) 年齢 15歳未満 6 (0.4) 15歳以上25歳未満 45 (3.3) 25歳以上35歳未満 78 (5.8) 35歳以上45歳未満 121 (9.0) 45歳以上55歳未満 148 (11.0) 55歳以上65歳未満 196 (14.6) 65歳以上75歳未満 374 (27.8) 75歳以上85歳未満 281 (20.9) 85歳以上 96 (7.1) 平均±標準偏差 中央値 67.0 併存疾患 無 723 (53.8) 有 554 (41.2) 肝疾患 17 (1.3) 腎疾患 11 (0.8) その他 551 (41.0) 透析の有無 無 1342 (99.8) 有 0 (0.0) 不明 3 (0.2) 無 13 (1.0) 有 1332 (99.0) 皮膚病変 紅斑・丘疹 1178 (87.6) (重複集計) 水疱・膿疱 1037 (77.1) びらん・潰瘍 104 (7.7) 痂皮 53 (3.9) 部位 頭部 101 (7.5) (重複集計) 顔面 203 (15.1) 頸部 88 (6.5) 上肢 143 (10.6) 胸背部 399 (29.7) 背腹部 279 (20.7) 腰臀部 197 (14.6) 下肢 186 (13.8) 重症度 軽症 685 (50.9) 中等度 566 (42.1) 重症 81 (6.0) 汎発疹 無 1264 (94.0) 有 68 (5.1) 無 104 (7.7) 有 1241 (92.3) 疼痛の重症度 軽微 202 (15.0) 軽度 592 (44.0) 中等度 356 (26.5) 高度 87 (6.5) 不明 4 (0.3) 1~3 586 (43.6) 4~6 353 (26.2) 7~10 192 (14.3) 不明・未確認 110 (8.2) 0 496 (36.9) 1~3 354 (26.3) 4~6 154 (11.4) 7~10 115 (8.6) 不明・未確認 122 (9.1) 表1 患者背景および帯状疱疹罹患状況 (生年月:一律15日生まれと して算出) 疼痛による睡眠障害(NRS) 特性 カテゴリー AMNV投与開始時の疼痛 (帯状疱疹関連痛)の有無 AMNV投与開始時の皮膚病 変の有無 疼痛レベル(NRS) 62.4±18.0
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日臨皮 257 182 日本臨床皮膚科医会雑誌 Vol.37, No.5, 2020 ( R2.00.00 号 ) 日臨皮 今福 信一ほか 4.安全性 1)副作用の発現状況 副作用の発現状況を表4に示した.1,345例中 11例(0.82%)に19件の副作用が認められた.主 な副作用は,「上腹部痛」「下痢」「発熱」が各2 例であり,その他の副作用は各1例であった. AMNVの注意すべき副作用として,承認時の 医薬品リスク管理計画(RMP:Risk Management Plan)には重要な潜在的リスクとして血小板減少, 心血管系事象,腎障害が設定されている.血小板 減少に関連する事象として血小板減少症が1例 (0.07%),歯肉出血が1例(0.07%),心血管系事 象に関連する事象として動悸が1例(0.07%)認 められ,腎障害に関連する事象は認められなかっ た. 血小板減少が認められた症例は,86歳の男性で, 投与3日目に帯状疱疹の悪化に伴いAMNVの投 与を中止し,ACV注射剤による治療開始のため 入院した.血小板数の投与前値は不明だが,投与 3.治療状況 1)AMNVの使用状況(表2) AMNV投与開始時の1日投与量は 400 mg/日 が1,340例(99.6%), 200 mg/日が5例(0.4%)で あ っ た.AMNVの 投 与 日 数 は 7 日 が1,254例 (93.2%),6日以下が47例(3.5%),8日以上が44 例(3.3%)であった.皮膚病変発現からAMNV 投与開始までの期間は,平均2.9日間であり,0 ~2日が662例(49.2%),3~5日が511例(38.0 %),6日以上が159例(11.8%)であった. 2)他剤の使用状況(表3) 他剤からAMNVに切り替えられた症例は11例 (0.8%)であり,その内訳はバラシクロビルから の切り替えが9例(0.7%),アシクロビル,ファ ムシクロビルからの切り替えが各1例(0.1%) であった.帯状疱疹に伴う疼痛に対しては,アセ トアミノフェンが407例(30.3%),NSAIDsが385 例(28.6%),プレガバリンが210例(15.6%),お よびメコバラミンが201例(14.9%)に使用され ており,その他ノイロトロピン,トラマドール含 有製剤,抗うつ薬等が使用されていた. 観察期間中に使用された他の抗ヘルペスウイル ス薬は内服が5例(0.4%),外用が162例(12.0%), 注射が2例(0.1%)であった. 表2 AMNVの使用状況 表3 他剤の使用状況 症例数 構成率(%) 1345 (100.0) 200mg/日 5 (0.4) 400mg/日 1340 (99.6) AMNV投与日数 1日 0 (0.0) 2日 4 (0.3) 3日 12 (0.9) 4日 5 (0.4) 5日 16 (1.2) 6日 10 (0.7) 7日 1254 (93.2) 8日 43 (3.2) 9日以上 1 (0.1) 0~2日 662 (49.2) 3~5日 511 (38.0) 6日以上 159 (11.8) 平均±標準偏差 2.9±2.5 表2 AMNVの使用状況 特性 カテゴリー 皮膚病変の発現から AMNV投与開始までの 期間 本剤投与開始時の1日 投与量 症例数 構成率(%) 1345 (100.0) 他剤からの切り替え アシクロビルからAMNVへの 切り替え 1 (0.1) バラシクロビルからAMNVへ の切り替え 9 (0.7) ファムシクロビルからAMNV への切り替え 1 (0.1) 併用薬 無 201 (14.9) 有 1144 (85.1) 併用薬の投与理由(重 複集計) 帯状疱疹およびその随 伴症状(疼痛を除く) 618 (45.9) 帯状疱疹に伴う疼痛 902 (67.1) 併存疾患の治療 383 (28.5) 有害事象の処置 23 (1.7) その他 209 (15.5) アセトアミノフェン 407 (30.3) NSAIDs 385 (28.6) トラマドール 45 (3.3) プレガバリン 210 (15.6) ノイロトロピン 75 (5.6) 抗うつ薬 18 (1.3) メコバラミン 201 (14.9) その他 98 (7.3) 内服 5 (0.4) 外用 162 (12.0) 注射 2 (0.1) 併用療法 神経ブロック 7 (0.5) 赤外線療法 72 (5.4) その他 8 (0.6) 表3 他剤の使用状況 特性 カテゴリー 併用された抗ヘルペス ウィルス薬の内訳 帯状疱疹に伴う疼痛の 治療薬の内訳(重複集 計)
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日臨皮 257 182 日本臨床皮膚科医会雑誌 Vol.37, No.5, 2020 ( R2.00.00 号 ) 日臨皮 帯状疱疹患者におけるアメナメビルの安全性と有効性の検討 3日目の血小板数が 11万 /µl と基準値より低値 であった.出血等の症状は認められず,AMNV 中止後4日目には 16万 /µlと基準値内となった. 担当医師はAMNVだけでなく,原疾患である帯 状疱疹も原因として報告している.歯肉出血が認 められた症例は84歳の男性で,投与3日目に歯肉 出血が認められた.臨床検査値が得られておらず, 血小板数が減少していたかは不明であり,担当医 師は,虚血性心疾患の予防を目的として併用して いたワルファリンも原因と報告している. 動悸が認められた症例は72歳の女性で,投与1 日目に動悸の他,多汗症(発汗),発熱,下痢, 異常感(気分不良)が認められた.投与3日目に 本剤中止となり,回復した. 重篤な副作用は低ナトリウム血症の1例1件の みであった.本症例は,上述の血小板減少症症例 と同一症例であり,血液検査により低ナトリウム 血症が判明したが,持続輸液にて2日後に回復し た. AMNV投与開始日から副作用発現までの期間 を表5に示した.全11例の副作用症例のうち,9 例は投与3日目までに副作用が発現していた. 5.有効性 1)皮膚症状の推移 有効性解析対象症例1,338例から,AMNV投与 開始時に紅斑・丘疹が認められなかった症例を除 いた1,174例を対象とし,紅斑・丘疹が消失する までの日数を図2に,水疱・膿疱が認められなか った症例を除いた1,030例を対象とし,水疱・膿 表4 副作用の発現状況 表5 副作用の発現状況 症例数 1345 副作用発現例数 11 副作用発現割合 0.82% 例数 発現割合(%) 血液およびリンパ系障害 1 (0.07) 血小板減少症 1 (0.07) 代謝および栄養障害 1 (0.07) 低ナトリウム血症 1 (0.07) 神経系障害 2 (0.15) 味覚異常 1 (0.07) 頭痛 1 (0.07) 心臓障害 1 (0.07) 動悸 1 (0.07) 胃腸障害 7 (0.52) 上腹部痛 2 (0.15) 便秘 1 (0.07) 下痢 2 (0.15) 胃炎 1 (0.07) 歯肉出血 1 (0.07) 肝胆道系障害 1 (0.07) 肝機能異常 1 (0.07) 皮膚および皮下組織障害 2 (0.15) 薬疹 1 (0.07) 多汗症 1 (0.07) 3 (0.22) 異常感 1 (0.07) 倦怠感 1 (0.07) 発熱 2 (0.15) MedDRA/J Ver.21.1の用語を用いて集計
表4 副作用の発現状況
副作用名 一般・全身障害および投与 部位の状態 発現症例数 発現割合(%) 11 (0.82) 1日 1 (0.07) 2日 4 (0.30) 3日 4 (0.30) 4日 0 (0.00) 5日 2 (0.15) 6日 0 (0.00) 7日 0 (0.00) 8日以上 0 (0.0)表5 AMNV投与開始から副作用発現までの期間
特性 カテゴリー AMNV投与開始か ら副作用発現まで の期間(日)四校
日臨皮 257 182 日本臨床皮膚科医会雑誌 Vol.37, No.5, 2020 ( R2.00.00 号 ) 日臨皮 今福 信一ほか に示した.疼痛消失までの日数の50%点は22日目 であった.観察期間(1ヵ月間)の終了時点の疼 痛残存率は34.6%であった. 考 察 AMNVは世界初のヘリカーゼ・プライマーゼ 複合体の活性を阻害する新規作用機序の帯状疱疹 治療薬であり,本邦のみで販売されている.本調 査 結 果 は, 海 外 を 含 め, 初 め て 公 表 さ れ る AMNVの使用実態下の安全性,有効性のデータ である. 疱が消失するまでの日数を図3に示した.紅斑・ 丘疹および水疱・膿疱が消失するまでの日数の 50%点は,いずれも8日目であった. AMNV投与開始時に皮膚症状が認められなか った症例を除いた1,325例を対象とし,AMNV投 与開始から完全痂皮化するまでの日数を図4に示 した.完全痂皮化までの日数の50%点は,12日目 であった. 2)疼痛の推移 AMNV投与開始時に疼痛が認められなかった 103例 とNRSの 値 が 不 明 だ っ た110例 を 除 い た 1,125例を対象とし,疼痛消失までの日数を図5 図3 水疱・膿疱が消失するまでの日数(Kaplan-Meier plot) 図3 水疱・膿疱が消失するまでの日数(Kaplan-Meier plot) 0% 20% 40% 60% 80% 100% 水 疱 ・ 膿 疱 有 の 症 例 の 割 合 観察日数 評価症例数 50%点 1030 8 2.5% 0 3 6 9 12 15 18 21 24 27 30 図2 紅斑・丘疹が消失するまでの日数(Kaplan-Meier plot) 図2 紅斑・丘疹が消失するまでの日数(Kaplan-Meier plot) 0% 20% 40% 60% 80% 100% 0 3 6 9 12 15 18 21 24 27 30 紅 斑 ・ 丘 疹 有 の 症 例 の 割 合 観察日数 評価症例数 50%点 1174 8 4.0% 図4 完全痂皮化するまでの日数(Kaplan-Meier plot) 図4 完全痂皮化するまでの日数(Kaplan-Meier plot) 0% 20% 40% 60% 80% 100% 0 3 6 9 12 15 18 21 24 27 30 完 全 痂 皮 化 に 至 っ て い な い 症 例 の 割 合 観察日数 評価症例数 50%点 1325 12 7.1% 図5 疼痛が消失するまでの日数(Kaplan-Meier plot) 図5 疼痛が消失するまでの日数(Kaplan-Meier plot) 0% 20% 40% 60% 80% 100% 0 3 6 9 12 15 18 21 24 27 30 疼 痛 有 の 症 例 の 割 合 観察日数 評価症例数 50%点 1125 22 34.6%
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日臨皮 257 182 日本臨床皮膚科医会雑誌 Vol.37, No.5, 2020 ( R2.00.00 号 ) 日臨皮 帯状疱疹患者におけるアメナメビルの安全性と有効性の検討 ていること,高齢者では若年者に比べ重症化しや すいことから,本調査においては,患者の年齢に 伴い重症度も高くなったと考えられる. 2.帯状疱疹の治療状況について AMNV投与開始時の1日投与量は,大多数は 400 mgであったが,200 mgの症例も5例あった. これらは,高齢,高齢で体が小さい,皮疹面積が 極小範囲との理由で,医師判断により減量されて いた. AMNVの投与日数は原則7日間であり,1,254 例(93.2%)と大多数は7日間投与であった.7 日間以外の投与に関しては,4日ないし5日間処 方した後,皮膚症状に応じて,投与終了,もしく は2日または3日間追加で処方する等,患者の症 状に応じた処方実態もあると考えられる. 併用薬のうち,外用抗ヘルペスウイルス薬が 12.0%に使用されていた.帯状疱疹を内服抗ヘル ペスウイルス薬で治療する際に,外用抗ヘルペス ウイルス薬を併用することの有用性は示されてい ないが,一定数が併用されている実態も明らかに なった. 帯状疱疹による急性期の痛みや帯状疱疹後神経 痛を訴える患者は生活の質(QOL)が著しく低 下する傾向がある7).また,急性期の痛みの強さ は帯状疱疹後神経痛移行への危険因子であり8), 積極的に痛みを抑えることが推奨される .本調 査においても多くの患者に鎮痛薬が使用され,ア セトアミノフェンが30.3%,NSAIDsが28.6%とほ ぼ同数使用されていた.COX-1阻害作用を有す るNSAIDsは腎障害の懸念があり,若年者に比べ 腎機能が低下している高齢者に対してはCOX-2 選択的阻害剤,アセトアミノフェンを使用するこ とが推奨される4).AMNVは重要な潜在的リスク として腎障害を設定しており,NSAIDs併用時の データについては,今後の情報集積を待ちたい. また,プレガバリンの使用も15.6%とアセトア ミノフェン,NSAIDsに次いで多かった.神経障 害性疼痛様の強い痛みにはプレガバリンの投与が 推奨されており8),疼痛の状況に応じて早めに投 与を開始し,帯状疱疹後神経痛への移行を抑制す 1.患者背景について 本調査においては,AMNVは多くの高齢者を 含む多様な背景を持つ患者に使用されており,平 均年齢は62.4歳,中央値は67.0歳であり,65歳以 上の患者が55.8%であった.宮崎県で実施された 大規模帯状疱疹疫学調査(宮崎スタディ)の結果, 帯状疱疹患者は50歳以上で発症数,発症率とも高 く な り,60歳 以 上 が50.6%を 占 め て い た2). AMNVの第III相臨床試験では,承認用量である 400 mg投与群で平均年齢は53.0歳,中央値は55歳 であり,65歳以上の被験者が28.4%であった1). 第III相臨床試験では,20歳以上80歳未満の患者を 対象としており,また種々の除外基準により,高 齢者が除外され,より若い年齢層の被験者が登録 されたと考えられる.本調査の結果は,より診療 実態に近い年齢層を反映していると考えられる. 一方, ファムシクロビルの帯状疱疹関連痛に関 する製造販売後調査(以下,FAMILIAR study) では60歳以上が54.0%であり3),前述の宮崎スタ ディでは60歳以上が50.6%であったことから,本 調 査 に お い て は, 高 齢 者 に よ り 高 い 割 合 で AMNVが投与されていた.これは地域差や日本 社会における高齢化の影響もあると考えられるが, AMNVの薬物動態的な特徴によるものも考えら れる.高齢者は,若年者に比べ,腎機能が低下し ており,腎排泄型の薬剤であるバラシクロビル, ファムシクロビルの投与時には用量調整を考慮す る必要がある4).一方,AMNVは主に糞中に排泄 されるため,腎機能による薬物動態への影響が少 なく,用量調整を考慮する必要がないことから, 多くの高齢者に使用された可能性も考えられた. また,昨今,透析を必要とする腎機能障害患者に AMNVを使用する場合においても,減量や投与 タイミングの考慮は不要であり,安全性の懸念は 小さいことが報告されている5). 投与開始時の帯状疱疹の重症度は,本調査では 軽症が50.9%,中等症が42.1%,重症が6.0%であ った.一方,FAMILIAR studyでは軽症が58.8%, 中等症が36.6%,重症が4.3%であり3),AMNVの 対象患者では中等症以上の患者が多かった.上述 のとおり,AMNVはより高齢の患者に投与され
四校
日臨皮 257 182 日本臨床皮膚科医会雑誌 Vol.37, No.5, 2020 ( R2.00.00 号 ) 日臨皮 今福 信一ほか 謝 辞 本調査にご協力いただき,貴重なデータをご提 供いただきました調査担当医師の先生方に厚く御 礼申し上げます. [利益相反] 本調査に際しての経費は,マルホ株式会社が負担した.今福信 一は,本調査の実施に際し,医学専門家としてアドバイザー料 を受けている.是松健太,森直子,可児毅,松井慶太は,マル ホ株式会社の社員である. 文 献
1 )Kawashima M et al: Amenamevir, a novel helicase-primase inhibitor, for treatment of herpes zoster: A randomized, double-blind, valaciclovir-controlled phase 3 study. J Dermatol 2017; 44: 1219–1227.
2)外山 望: 地域皮膚科医コミュニティの連携 が生んだ大規模帯状疱疹疫学調査報告. 日臨 皮会誌 2012; 29: 799-804.
3)Imafuku S et al: One-year follow-up of zoster-associated pain in 764 immunocompetent patients with acute herpes zoster treated with famciclovir (FAMILIAR study). J Eur Acad Dermatol Venereol 2014; 28:1716-22. 4)川村龍吉, 渡辺大輔, 山口重樹: II部 帯状疱疹
の治療; 渡辺大輔編, 帯状疱疹・水痘 -予防時 代の診療戦略, 第1版, 株式会社メディカルト リビューン, 東京, 2016. 89-127.
5)Tsuruoka. S et al:Pharmacokinetics and Dialyzability of a Single Oral Dose of Amenamevir, an Anti-Herpes Drug, in Hemodialysis Patients. Adv. Ther. 2020; 37(7):3234-3245.
6)Satyaprakash AK et al: Viremia in Acute Herpes Zoster. J Infect Dis 2009; 200: 26-32. 7)Johnson RW et al.: The impact of herpes
zoster and post-herpetic neuralgia on quality-of-life. BMC Med 2010; 8: 37. 8)山口重樹: 帯状疱疹関連痛の薬物療法の理解 と管理. 皮膚診療 2017; 39: 348-355. ることが,昨今の治療方針として,認知されてき たためだと考えられる. 3.安全性について 本 調 査 に お け る 副 作 用 発 現 割 合 は0.82% (11/1,345例)であり,調査方法等が異なるため 比較は出来ないが,第III相臨床試験時の副作用 発現割合10.0%(25/249例)と比べて高いもので はなかった. 重要な潜在的リスクに関連する副作用として, 血小板減少症が1例,歯肉出血が1例,動悸が1 例報告されたが,いずれも非重篤であり,原疾患 である帯状疱疹,併用薬等,AMNV以外の要因 も考えられた. 副作用は投与開始から3日目までに発現してい るものが多く,投与開始早期に副作用が発現する ことに注意する必要がある. 本中間集計の結果からは,安全性について新た な懸念は認められなかったが,今後も引き続き, 副作用に留意し,注意深く監視する必要がある. 4.有効性について 中間集計では,皮膚症状の消失までの日数,完 全痂皮化までの日数および疼痛消失までの日数を 示した.現時点では,1,338例を対象とした中間 集計であるため,最終集計をもって有効性を考察 することとしたい. 今回の中間集計結果からは,安全性および有効 性について特に懸念は認められなかった.しかし, 全調査症例数3,000例のうち,1,446例のみを対象 としており,患者背景別の安全性,有効性に関し ては未検討であるため,最終集計でさらに検討す る予定である. また,本中間集計では,AMNV投与開始1ヵ 月後までのデータを対象としたため,帯状疱疹後 神経痛についての情報は現時点では十分でない. この点についても,最終集計において,疼痛残存 症例を対象とした6ヵ月間の疼痛追跡データを用 いて検討する予定である.
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日臨皮 257 182 日本臨床皮膚科医会雑誌 Vol.37, No.5, 2020 ( R2.00.00 号 ) 日臨皮 帯状疱疹患者におけるアメナメビルの安全性と有効性の検討
Investigation of the safety and efficacy of Amenamevir (Amenalief® tablet 200 mg) in
patients with herpes zoster (interim report from a Special drug use-result survey,)
Shinichi Imafuku1),Kenta Korematsu2),Naoko Mori2),Tusyoshi Kani2),Keita Matsui2)
1 ) Department of Dermatology, Fukuoka University Faculty of Medicine, Fukuoka 2 ) PV & PMS Dept., Maruho Co., Ltd.
Amenamevir (Amenalief® tablet 200 mg, hereinafter AMNV) is a novel anti-herpetic agent that has helicase–
primase inhibitor activity and is labeled for herpes zoster. AMNV is currently available only in Japan and a mandatory observational survey is ongoing in order to collect real-world information on the safety and efficacy. This report is an interim cross-sectional analysis of the data at the time of AMNV administration and one month after.
There are a total of 1,345 patients in the safety analysis set, and adverse drug reactions have been reported only in 11 patients (0.82%). Abdominal pain upper, diarrhea and pyrexia” were reported in 2 cases. Regarding safety issues related to the important potential risks identified in the Japanese Risk Management Plan, two cases, one of thrombocytopenia and one of gingival bleeding were reported as events associated with “platelets decreased” and one case of palpitation was reported as an event associated with “cardiovascular event”. None of these were serious.
There are a total of 1,338 patients in the efficacy analysis set. A 50% reduction in the number of patients with skin lesions (erythema/papules and blisters/pustules) was reached at day 8, a 50% reduction in the number of patients who did not achieved full crusting was reached at day 12 and a 50% reduction in the number of patients with pain was reached at day 22.
In this report, we discuss patient backgrounds and treatment regimens from an epidemiological perspective and in consideration of the characteristics of AMNV.
This study plans to enroll 3,000 patients in total. This interim report evaluates based on data from the earlier 1,446 patients. The full analysis will evaluate a stratified analysis of safety with background information for patients, as well as detailed effectiveness data related to things like lesions and pain.