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再審請求と死刑執行 オウムの死刑執行について

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Academic year: 2021

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- 19 - 特集 オウムの死刑執行について

再審請求と死刑執行

落合 剛之 昨年12月19日午前、2名の死刑確定者(以下、「死刑囚」)の刑が執 行されたことが、同日の法務大臣の記者会見で明らかとなった。この執行 について、法律の定める手続きに則って適正に行なわれたことは疑わない が、両名とも再審請求中であったこと、うち1名が犯行時に19歳の少年 であったことについては、大いに議論がされるべきであった。 刑事訴訟法第475条2項は、死刑判決確定の日から6箇月以内に執行 を命じると定めるが、「但し、上訴権回復若しくは再審の請求、非常上告又 は恩赦の出願若しくは申出がされその手続が終了するまでの期間及び共同 被告人であった者に対する判決が確定するまでの期間は、これをその期間 に算入しない。」として、再審請求の手続きが終了するまでの期間はこの6 箇月の期間に算入しないとも規定している。死刑が人の生命を剥奪する刑 罰であり、一旦執行されると回復が不可能であることから、その執行手続 に最高度の慎重を期し、死刑判決について再審、非常上告等の非常救済手 続をとる必要の有無を確認することを要求するものである。とくに再審請 求は、三審制を経てもなお起こりうる誤りを是正し、冤罪から救済するた めの最後の手続きとして不可欠であり、実際の運用でも、再審請求や恩赦 出願などを行っている間は、再審請求中の執行を回避する傾向にあった。 もっとも、本条項は裁判所や行政庁に対する指示としての性格をもつに すぎず、それに違反しても行為の効力には影響がない。死刑確定から6箇 月以内に執行される例はまずみられず、但書も、本条項所定の期間をこの 6箇月の期間に算入しないとあるのみで、その間における執行命令を禁ず

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- 20 - るものではなく、いずれも法務大臣の行為が違法とされることはない。 この点、執行に際しての臨時記者会見において、上川陽子法務大臣が「再 審請求に関しては、再審請求を行っているから執行はしないという考え方 は採っていない」と明言したことは特筆すべきである。同じく昨年7月1 3日に執行された死刑囚も再審請求中であったが、当時の金田勝年法務大 臣も「再審請求に関しては、再審請求を行っているから執行しないという 考えはとっていません。」と強調している※ しかし、確定判決の尊重、法の実現という大義のもと、再審請求による 執行の遅延や引き延ばしの弊害ばかりが強調され、執行による回復の不可 能性が軽視されるならば、まさに人命、人権を軽視するものといえよう。 そして本年7月、6日と26日の2回にわたり、オウム真理教確定死刑 囚計13名の死刑が執行された。同教団による一連の犯罪行為について、 教祖および幹部ら責任者に死刑という厳罰が下されたことそのものには、 異論をはさむ余地はないかに思われる。しかし、今回の執行については異 様な感を禁じ得ない点が多々みられた。ひとつ再審請求についてみても、 請求中か否かを問わず13名の刑は執行されている。 再審請求中および犯行時少年の死刑囚という、いずれも議論のある死刑 囚が選択された昨年末の執行については、死刑執行について例外を作らず 厳正に対処するというわが国の法務の姿勢の表れとみることができるが、 いまとなっては、このたびのオウム死刑囚の死刑執行の正当性をアピール し、批判をかわすための布石だったのではないかと思われてならない。 ※ 再審請求中の死刑囚に対する死刑執行は、1999年12月17日の執行以 来のことである。臼井日出男法務大臣は、翌年3月14日の第147回国会 法務委員会において「死刑確定者が再審請求中であったといたしましても、 当然棄却されることを予想せざるを得ないような場合におきましては、執行 を命ずることもやむを得ないと考えております。」と述べている。 (本誌編集委員)

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