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ライフログ:2.プライバシ保護を考慮したケータイ行動ログの利活用について

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Academic year: 2021

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(1)Life Log 2 特. 集. プライバシ保護を考慮した ケータイ行動ログの利活用に ついて 佐藤一夫((株)NTT ドコモ) 行動ログ収集デバイスとしてのケータイ.  持ち主 (利用者) がケータイに行動ログを預けることを 許諾すれば,いつ,どこに行って,どのようなことをし.  ケータイは常に身に付けて持ち歩くものである(持ち. たのかということが分かってくるのではないか? また,. 主によっては異なるかもしれないが) .よってケータイ. こういったことが分かることによって持ち主(利用者). は持ち主(利用者)の行動と共に移動し,通話・メール・. の行動を支援することができるのではないか? それは. インターネットに使われ,時にはカメラ・マイクとして. 予定通りの習慣的な行動であったり,時には突発的で一. 使われたり,IC カードとして交通 IC カード・電子マネー・. 回性な行動であったりするかもしれないが,利用者の行. クレジットカード・身分証明カードとして使われたりす. 動を知り得ることによってできるサービスがあるのでは. ることもある.また,ケータイに搭載されている近距離. ないか? そういった仮説に立って実証実験を行ってい. 通信機能(Bluetooth 等)を活用することによってバイタ. るのが経済産業省の情報大航海プロジェクトで行ってい. ルセンサや環境センサとの連携も可能になってくる.つ. る マイ・ライフ・アシスト・サービス である.実証. まり持ち主(利用者)の 24 時間の行動を最もよく知り得. 実験における事例を交えてケータイ行動ログの利活用お. るデバイスとなる可能性が高いのである (図 -1 参照).. よび考慮すべき課題について述べる (図 -2 参照).. ケータイログ GPS. PC データ. マイク. カメラ. QRコード  リーダ. RFID. Bluetooth 通信. バイタル  センサ. 環境    センサ ・ ・. ケータイ  開閉 URL    アクセス. 598. 情報処理 Vol.50 No.7 July 2009. +. 情報家電    データ. ・ ・ ・. ICチップ (Felica). 外部ログ. ケータイ連携ログ. ・. 店舗    データ ・ ・ ・. 図 -1 行 動 情 報 収 集デバイスとしての ケータイ.

(2) プライバシ保護を考慮したケータイ行動ログの利活用について 」 2「 ケータイがリアルライフのアシスト役に!(使う人にとってのロボットになる!) 「行動連鎖型マッチング」   による 「気付き」や「サプライズ」   情報を配信. マイ・ライフ・サービス (基盤サービス). 利用者. 情報配信. 多数のサービスプロバイダ (SP群) SP群) 共通API提供. 推薦情報 推薦情報. 推薦情報配信サービス. お出かけアシスト サービス提供者. 行動情報解析サービス 情報提供 携帯アシスト サービス. 生活情報預りサービス. コンテンツ/サービス 提供者. 行動情報 行動情報 解析結果提供. マイニング事業者. 個人の行動ログ. 図 -2 マイ・ライフ・アシスト・ サービスモデルイメージ. 行動ログの利用者向けサービス. のである.実証実験では GPS による位置情報を中心に.  実証実験の中では利用者(モニタ)の同意を得て GPS. 勤勉空間)と拘束されない空間(店舗,遊戯施設等)を分. の位置情報,ケータイの開閉状況,提供コンテンツのア. けて,拘束空間同士の移動傾向,非拘束空間での滞留と. クセス状況をケータイ上のソフトで取得し,サーバに定. いう点に着目して行動ログを解析した.そうすると拘束. 期的に送信することでサーバ上に行動ログを収集・蓄積. 空間同士の移動傾向では日常動線が把握できるようにな. し,収集・蓄積された行動ログをサーバ上で解析するこ. り,非拘束空間での滞留では何らかの消費行動を推定で. とによって利用者(モニタ) に対して推薦情報という形態. きるようになった.その消費行動がモノの消費なのか時. で情報提供を行い,利用者 (モニタ) の反応を窺わせてい. 間の消費なのかは実証実験時の行動ログからは解明でき. ただいた.. ないが,コンテンツのアクセス状況や滞留場所のコンテ.  GPS の位置情報は 10 分ごと,ケータイの開閉状況は. ンツとの相関性を探れば,もう少し詳細な消費行動の推. 随時お預かりすることによって利用者(モニタ)がいつ,. 定が可能になってくる(行動推定を詳細化すれば推定を. どこに行って,どこでケータイを見ているのか,またコ. 誤る可能性も高くなることに繋がるのではあるが). . ンテンツのアクセス状況も加味することで,いつどこで. 実証実験の中で,ある程度の日常動線を把握できた利用. 提供コンテンツにアクセスしているのか,ということが. 者 (モニタ) に対して日常動線の延長上の周辺店舗をタイ. 行動ログから分かるようになる.また,行動ログを一定. ミングよく推薦した場合には,日常動線を考慮せずに推. 期間解析させていただくことによって利用者 (モニタ) の. 薦した場合よりは店舗誘導が高まったことが報告されて. 日常動線が分かってくる.たとえばサラリーマンの一定. いる.これに滞留特性を加味した情報提供を行えば,よ. 期間の行動ログを地図上に重畳させることによって自宅. り個人向けの行動支援サービスに繋げることが可能にな. と勤務先の往復パターンが如実に現れてくるのである.. るのではないかと思われる.また,日常動線は利用者属. 人によっては常に帰宅が遅いが寄り道をしないパターン. 性によってはある程度予測可能なことから,今後は確度. や,時々会社の近辺で決まった場所に寄り道するパター. の高い行動予測に基づいたサービスが提供されることに. ンというように行動ログを解析することによって利用者. なるであろう.それは,予定通りの習慣的な行動の備忘. ごとの日常動線が顕在化してくる.さらには,職業属性. 録サービスであったり,これから行くであろう場所のイ. によってもこの日常動線が顕著に異なってくるのが分か. ベント情報 (天気予報,交通状況等) であったり,時には. るのである.サラリーマンであれば自宅と勤務先との定. 関心を持っているモノ・イベントを場所に紐付けた記. 期的な往復が中心で,主婦であれば自宅近辺の店舗との. 憶の呼び起こしサービスであったりするかもしれないが,. 一定周期での往復,学生であれば自宅と学校との不定期. 今後の利用者向けサービスとして行動ログを活用したも. での往復等と,行動パターンの違いが如実に現れてくる. のが増えてくると考えられる.. 利用者 (モニタ) の拘束される空間 (居住空間,就労空間,. 情報処理 Vol.50 No.7 July 2009. 599.

(3) Life Log 特. 集. 平成19年度実証実験で取得したプロファイル別生活動線. 職業プロファイル別に内部解析した例:明らかにパターンとして特徴が異なる. 会社員グループ. 自営業グループ. 100人以上 50人以上. 学生グループ. 家事従事グループ. 地図使用承認(C) 昭文社第49G096号. 10人以上 ・従来の静的GISデータ  (住所エリア,平均可処分所得,嗜好特性)   + ・本モデルサービスによる  行動情報による生活動線 ⇒ 商業・公的利用   (行動範囲,行動特性). 図 -3 行動ログの解析例. 行動ログのサービス提供者向け 統計サービス. ータイ上のソフトでシステム的に GPS 情報やケータイ の開閉情報等を取得する必要がある.そのため,利用者 (モニタ) にソフトのダウンロードを要請し,行動ログを.  行動ログを活用した利用者向けのサービスについて述. 収集した.これは,利用者にとってはダウンロード操作. べてきたが,もう 1 つの側面で利用者の行動ログを統. の負担が伴うことであり,何らかの利用者メリットがな. 計化することによるサービス提供者向けの統計サービス. いとこのような操作はなかなか行ってもらえないもので. という形態もある.たとえば,大規模イベント時の人の. ある.利用者にとって行動ログを提供する面倒さを上回. 流れが把握できれば,それに応じた警備体制,人流制御,. る利用者サービスのメリット( 得する とか 楽しい. 公共交通の制御に有効ではないかとかいった公的サービ. とか)がないと行動ログの収集は難しいものになる.実. スへの活用もあれば,特定エリアの人の動線情報が属性. 証実験では,ソフトのダウンロードによるシステム的な. 別に分かればマーケティングデータとして有効ではない. 行動ログ収集モデルに加えて,ゲーム性を持って自己位. かといったサービスへの活用にも考えられる.また,職. 置(GPS 情報)をボタン操作によってアップロードする仕. 業プロファイル別に行動ログを解析すると明らかに行動. 掛けを提供した.これは,ボタン操作によって自己位置. パターンが異なるのが分かるように(図 -3 参照) ,行動. 情報を送信することによって,その位置に紐付いたキャ. ログの集合体である統計情報にどの程度の価値を見出す. ラクタを検索・収集するといった仕掛けで,行動ログ収. かが今後の課題であり,さらには個々人の行動ログを統. 集の利用者メリット(楽しいので自己位置情報提供ボタ. 計情報として活用していいかという利用許諾の問題が運. ンを押す)を演出することができる.この仕掛けによっ. 営上の課題であると思われる.. て,利用者メリット( 得する とか 楽しい とか)と 引き換えに行動ログをアップロードするというモデルが. 行動ログ収集にあたっての利用者メリット. 成立し,行動ログのアップロードが増える(ボタン操作.  一方,利用者の行動ログを活用したサービス提供には. 増す/癖になる) というスパイラルアップモデルとなる.. 行動ログの収集が前提であるため,実証実験時には,ケ. その結果,利用者動線もきめ細かく把握できるようにな. 600. 情報処理 Vol.50 No.7 July 2009. が増える) と利用者メリットが増長される (より楽しさが.

(4) プライバシ保護を考慮したケータイ行動ログの利活用について 」 2「 プライバシ情報の開示を利用者主導で制御 サービスの信頼度に基づいて適切にプライバシ情報を開示 プライバシ情報に対して利用者が指定したライフサイクルを保証 信頼レベル. 暗号化して保管 名前 乗換駅 趣味 GPS情報. 利用者. 生活情報 預り機能. 携帯端末. 開示ポリシーを 利用者が設定 1. オープン型 2. 中間型 3. クローズ型. 匿名 趣味 GPS情報 エリアID. (匿名ID). サービス 実行エンジン. (匿名ID). 名前 乗換駅 趣味 GPS情報. (匿名ID). (匿名ID). Kanshin Airport. 匿名 位置情報. 行動誘起サービス. 匿名 趣味 GPS情報 エリアID. DWH型推論エンジン. 信頼度に応じて 開示範囲を制限. 信頼レベル 匿名 ブログコンテンツ. 信頼レベル. 追跡して削除可能. 匿名 趣味 GPS情報 エリアID. ヒストリ型推論エンジン キーワード. モバイルGoo. 匿名IDにより 名寄せ回避. 利用者による開示制御・ライフサイクル管理などの 先進的な試みを経て,プライバシ情報利活用の新時代へ 図 -4 プライバシ情報保護技術. り,相乗効果が期待できるモデルとなった.このように,. また,利用者のプライバシ情報を活用する場合の有効期. 現時点では行動ログは利用者の同意の下でお預かりする. 限 (ライフサイクル) を利用者が設定でき,有効期限を過. という考えに立ち,そのための面倒さを上回る利用者メ. ぎた場合には活用できないようにする機能等も開発した. リットが必須である.. (図 -4 参照) .  また,利用者に対して行動ログをディジタル地図上で. 行動ログサービス提供における プライバシー保護の課題. 可視化し,行動ログを提供したくない場合の行動ログの.  行動ログを活用したサービス提供に当たり,最も考慮. ることにより,利用者主導の行動ログであることを強調. しなければならないのはプライバシ保護である.技術的. した.. な課題や制度的課題にとどまらず,利用者の不快感とい.  さらに,匿名化,統計化だけでは不十分な個人推定リ. う心情的な問題も残ってはいるが,まずは,技術的に利. スク(たとえば,匿名化処理が行われていても地図上に. 用者主導でプライバシ情報の制御が行われ,不快感をど. 利用者の時系列の位置情報を重畳させたものが見えれば,. の程度払拭できるかということに重きを置いて実証実験. 行動動線,拘束空間が推定でき,本人を知っている人が. を行った.具体的には,行動ログを収集・蓄積するサー. その地図を見れば個人特定が可能になってしまう)を回. バ上でのデータ保護のための暗号化を行う時点で,プラ. 避するために,ぼかし,あいまい化技術等により個人推. イバシ情報の開示制御を利用者主導で行える機能を開発. 定リスクを回避する技術開発も行った.具体的には,個. し,行動ログを収集・蓄積するサーバとサービス提供者. 人特定につながるような位置情報は,空間要素の精度を. を分けてサービスが行えるような仕組みを開発した.こ. 落としてあいまい化した (空間要素の抽象化) .また,個. れは,サービス提供者が個人情報,行動ログを管理する. 人特定につながる行動動線が分かるような時系列情報は. ことなく,匿名サービス,属性サービスを可能にする仕. 時間要素の連続性を断ち切って抽象化した(時間要素の. 組みである.これにより,利用者が設定したプライバシ. 抽象化) .さらに,個人特定につながるような匿名化や. ポリシーに応じて,サービス提供者との間でプライバシ. 数が少ない統計モデルについては,異なる利用者識別情. 情報の開示制御が行われ,開示範囲の制限や一定期間の. 報へ付け替えるとともに,利用者識別情報の削除を行う. みの参照機能等によりプライバシ情報を保護している.. ことで,行動ログと個人の対応付けをあいまい化するこ. 一時的な提供停止機能や提供した行動ログを地図上で確 認後,利用者によって行動ログを削除する機能を提供す. 情報処理 Vol.50 No.7 July 2009. 601.

(5) Life Log 特. 集. 時間・空間・個人の各要素を抽象化することで,行動モデル(非プライ バシ情報) 化を行い,行動ログの利用用途に合わせた2次利用を実現 情報)化を行い、行動ログの利用用途に合わせた二次利用を実現 利用者1. 利用者α. 利用者β. 利用者1. 時間要素の抽象化. 利用者γ 利用者1. 個人要素の抽象化. 空間要素の抽象化. 図 -5 行動情報のモデル化(抽象化). とにより個人推定リスクを回避している(個人要素の抽. 化した日本のケータイであれば,ネットワーク上のログ. 象化)(図 -5).. だけでなく,リアル空間の行動ログを収集・解析し,利 用者にとって空気の読めるサービスを提供できる日も近. 最後に. いと考える. (平成 21 年 5 月 7 日受付).  行動ログで分かること,できること,考慮すべき課題 について述べてきた.実証実験から実用化までの重要な 課題としては,ビジネスモデルの確立がある.特に,利 用者にとって最適な推薦を行えるまでの大量なデータ処 理コストと,サービス提供者,利用者とのメリットバ ランスがいかに実現できるかということが解決できれば, 行動ログを活用したサービスが花開くことになるであろ う.ネットワークがブロードバンド化し,端末が高機能. 602. 情報処理 Vol.50 No.7 July 2009. 佐藤一夫 | [email protected] 昭和 62 年 NTT 入社.人事情報システム,顧客システム等の開発を 経て,マルチメディアビジネス開発部にてコンテンツ流通基盤,ITS, 教育システム等の企画および社会実験に参画し,平成 13 年より NTT ドコモ法人営業本部..

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