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芦田恵之助の綴方教授実践の考察 : 尋常第四学年の実際

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(1)Title. 芦田恵之助の綴方教授実践の考察 : 尋常第四学年の実際. Author(s). 村井, 万里子. Citation. 北海道教育大学紀要. 第一部. C, 教育科学編, 41(1): 119-133. Issue Date. 1990-09. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/5140. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) . 北海道教育大学紀要 (第1部C) 第4 1巻 第1号. jomnalof Hokkaido University ofEducation(Section IC) Vol .41 ‐I ,No. 平成 2年9月 September ,1990. 芦田恵之助の綴方教授実践の考察 -- 尋常第四学年の実際 --. 村. 井. 万 里 子. 1. 『尋常/小畢 綴方教授書』 巻四の位置 1 1 ‐ 綴方教授の根本作業 1‐ 「綴らんとする心」 の覚醒, 2- 綴方学習指導の二つの分節 m‐ 尋常4学年の綴方教授の実際 1. 尋常4年に生じる変化, 2‐ 尋常4年の綴方教授記録 『 I V ‐ 尋常/小拳 綴方教授書』 巻四の意義 1‐ 教科教育学的学習者発達研究, 2‐ 授業実践研究の方法論-基本的指導過程と実践記録研究. 1. 実践記録 『尋常/小学. 綴方教授書』 巻四の位置. 『尋常/小学. 綴方教授書』巻四は, 芦田恵之助の東京高等師範学校附属学校における最後の(そ れは生涯最後でもあっ た) 持ち上がり学級の, 4学年1年間の綴方教授の実践記録である。 大正8 年1 1月に刊行された同書の巻三は, 「この書は随意選題に関する論難の最もやかましかった時に書 きおへた。」 (緒言) と語っている通り, 随意選題に浴びせられた 「無系統.無方針」 の非難に, 「系 統ある事実」によ って応えようとした書物であった。 「巻四一は, 前巻から1年3 ヶ月後の大正1 0年 2月に出され, (この年1月に友納友次郎との立会講演はあっ たが)芦田自身の中では論争によ って 引き起こされた昂ぶりはかなり鎮静化し, 実践記録を書くこと本来の意義と喜びが前面に表されて い る 巻 であ る。. 芦田恵之助は, 明治39年1 2月に東京高師附小の初等教育研究会第2回講習会で綴方教授の発表 をして以来, 児童の綴る力の発達の研究に 思いをひそめて続けていた。 同年4月に始まる第1回持 ち上がり担任は, この研究を進める好機であっ た。 やがてこの児童らが3年生を終えようとする 2 )を発表 月 (明治42年) に, 「準備期, 放胆期, 小心期」 の3段階を発達の仮説として提示した論文1 する。 この児童らが6年生になった年の4月, 「尋常○拳年の綴方」と銘うたれた一連の論文が雑誌 『教育研究』 に発表され始める 大正2年3月 刊行の 『綴り方教授 は この持ち上がり経験とこ 』 , 。 れら雑誌論文とをもとに 執筆されたものである。 同書では, 発達のとらえ方が論文のそれよりもさ らに精細になっ たうえ, 6年間に 「綴り方の関門」 が二つある-それは入門期と尋常4年-ことが 明らかにされた。 その3年後に『読方教授』 (大正5年4月)が著されて, ここに芦田恵之助は 「表 , 現」 と 「理解」 両論の備えを成し終えたとみられる。 第2回の持ち上がり担任はこの年に始まる 。 残念ながら5年生半ばで芦田は附小を退いたが, この最後の5年間は 腕に覚えのある芦田が真に , 教授を楽しみ, 自己の成長を楽しんだ時期 であっ たと思われる。 さて, この最終の持ち上がり学級の綴方教授 では, 芦田のいう 第2関門″ に伴う諸現象は3年 119.

(3) . 村 井 万里子. 「 生の半ば頃から徐々に 現われてきた。芦田はその 変化を歓迎し, さらに引き 出そうと, 快馬に鞭つ」 ″ 多彩な指導を行っている。 尋常4年はこ れを受けて, いよいよ 本格的な 関門突破 の指導が行わ れる の であ る。. 1 1 . 綴方教授の根本作業 「 1 1 . 1. 綴らんとする心」 の覚醒 文筆業を職 業とする人には, 書くことと人生との関わりについてみな一家言 がある。 だがそれは ふつう, 成人としての文章観である。 綴り方 (作文) 教授にたずさわる教師に 必要なのは, 幼児期 から少年期, 青年期を経て 壮年に達するまで, 書き綴ることとその人の成長との関わりを具体 的に 知っていることである。 これは, 国語教育 上の専門的な知識であるといってよい。 芦田恵之助は, それを 意図的に実践記録の 中に残した1人である。 『尋常/小畢 綴方教授書』巻四の「緒言」は次のように述べている。 (下線は引用 者。 以下同じ) 「随意選題による綴方教授は, 児童の億験をもとに して, 内より発達することを重視する もので ある。 したがっ て之に添う べき指導は, 従来の所謂 系統案によるものとは, おのづからその趣を 異にしなければならぬ。 即ち教へて後に綴らせようと計劃 してゐた系統案は綴った成績物の傾 向 )」 によって導く 随選案にかはらなければならぬ2 。 芦田は, 「私はこの頃まで随意選題を課題と封立する教授方法と考えてゐた」 が, そう ではなく, 人間の文 章表現生活本来のあり方ではなかろうかと気づき, 「児童が随意に題目を選 定して, 自分に満足の 出来るやうに 後表することは, 他日必要に 窓じて 筆を執り, 感動して文を綴る 翼の文章生活と全く同一事情である。 したがっ て児童をこの境地に 立たせておけば, 費用的文章とか, 非費用的文章などの区別はさ らになく, 生活則ママ 文章の義 3 ) となって, 心あるものにはこの一道のみによっても, 優に文章を大成することが出来る 。」 と いう 所 に ま でふ み こ ん で い る。. しかし何に触れても書こうという 気持ちが起こらぬ場合は 「随意選題の価値も画に書いた餅」 で ある。 「随意」 の 「意」 とは, 放窓な気持ちではなく, 自分で書く べき事柄を探し, 材料を集め, 主 「 題を見極め, 構成・用語を選びながら, ともかくも記述していこう, という 意思」 のことである。 この 「意思」 は, 綴ることがどんな満足を生むかをたとえお ぼろげでも知っ ており, 綴り終えたも のを読み, 吟味する面 白みを自分なりに 知っている 「意 (こころ)」 でもある。 芦田恵之助は, この 意思を 「綴らんとする心」 と呼び, 綴方指導の要は 「この綴らんとする心」 を啓培することにある, と強く唱えた。 「啓培」 (ひらきつちかう) という通り, この 「綴らんとする心」 は, 一度啓けばそれですむので 「 なく, 経験に培い, 年齢に応じて生長させていかねばならぬもの である。 綴らんとする心」が絶え ず眠り込もうとする向きを持っ ている間は, 指導の手をゆるめることはできない。 どの時期 かに, 「綴ることの 意義」 を真に悟り, 学習者が自分で自分の 「綴らんとする心」 を啓き 続ける鍵を手に 入れた時, 初めて自立した文章表現生活者が誕生するといってよいだろう。 それがいつ どのように 「 して可能になるのかは教育学上の活問題 である。 芦田恵之助の見いだした 綴り方の二つの関門」 は, 小学校六年間の間に訪れる, この 「綴らんとする心」 の2度にわたる 危機である。 これらの関 門が例外のない普遍的なものか, あるいは条件さえよければ体験せずに済むもの なのかは, はっ き りしない。 稿者自身をふり 返ってみると, 中学, 高校, 学生時代, 卒業後と, 何度も隆路に 入りこ 120.

(4) . 芦田恵之助の綴方教授実践の考察 んだように 思う。 これは,「綴らんとする心」の核心が覚めぬまま に過 ぎたからであるう と思われる 。 こ の 核心が熱していく″ 様子を芦田は次のように語っている 。 「綴らんとする心がうちに醒めてきたら環境のすべてが指 導の働きを生じ て, 教師を待たな い指 導が随時随所に行はる・こと・なる。 私は之を生活の綴方化といってゐるが ここに至って内よ , りの発達が自然に行はれる 『無為而化』 といふ教育はこれである 自教育の真髄は こ・ である4 }」 。 。 芦田恵之助の実践 記録の中には, この 核心までの成熟″ を思わせる 児童がときおり現わ れてく る。 かれらは, そのとき教師の手を離れているわけ ではない それどころか 堂々と自分 を語るこ 。 , とで, 教師との間に 人間として対等な敬愛と競い合いを交わ している 児童を伸ばすに は 「教師自 。 , らが学ばんとする心に充資するといふ以外には何もない」 と言われるのは 子供を目 ざますにも目 , 覚めた子供とさらに交流を深めるにも 子供と同じ所を目指 しながら働きかけていく教師の主体が , 不可欠だから である。 2‐ 綴り方学習指導の二つの分節 綴り方学習の指 導は, 大きく二つに分節される 今仮に A 「表現 (創作) 節と B 「評価 (解 。 」 , , 釈)」節と名づけてみよう。 この二つは必ずA→Bの順序 で行われることが重要 で これを逆転させ , ると, 芦田が批判 した 「教えて綴らせる」 指導になって 表現指導の本 質を損う , 。 A「表現一節は, 児童が実際に表現 活動を行う場面である ここ での教師の仕事 は 学習者の「綴 。 , \その気″ を起こさせ ることである それは刺激す らんとする心」 を刺激して, \ るのであっ て, 教え 。 るのではない。 的確に刺激するには教師自身 どういう時に 「綴りたい という気持ちになるかを , 」 研究しておく必要がある。 その方策は 具体的 体験的でなけ れば 受に立たない 芦田が 早く明 , , 。 , 治40年頃見つけた有力な方法は, 児童が自分でも あ ん な の を 綴 っ て み た い″ と 思うよう な文章 を 自ら綴ってみせるや り方であっ た。 やがて 教師の自作以上に 児童の綴 た優良文が有効 である っ , , ことに気づいた。 このように刺激材料として 作品を用いる方法を 芦田は 「範文法 と名づけ てい 」 , る。 また, 数人の 児童に, 書きたいと思っている文題を いわせて軽くコメントすることにも書 こう とする気持ちをそそる効果のあることを知り 「教壇行脚期 にはもっ ぱらこれが使われた また 」 , 。 , 教師の出す 「課題」 にも, 一種独特の刺激力 (ゲームの気分を引き起こす力) があると知 て 附 っ , 属時代には積極 的に活用している。 どんな方法を用 いるにせよ 児童がその気に なれば あと はひ , , たすら綴らせる, これが芦田のA 「表現一 節の指導 であった (綴る途中の手助けも皆無 ではないが 。 ほとんど組 織化されずに終わっている ) 。 綴りさえすれ ば必ず作 品が生まれ 綴っ たという 体験が児童の中に残る この作品と体験とを , 対 。 象にしてこれを評価・吟 味し, 意義づけ ていく のが B 「評価 節の指導 である 芦田は 一 , 。 , これを 「児童の文章生 活に意義を附す 作業と名づけた 「 」 。 児童の文章生 活」は, 範囲の広いものであるが, 芦田は 「綴方」 が直接関わる所に限定して ①想をまとめて書き表すということ ②範文とし て他 , , 人の文章を読むこと, ③文話として他人の苦心工 夫談を聞く こと ④変化してきた過去の 文章観を , 顧みること, ⑤成績物に対する教師の批評・批正に関す ること の五つの数え上 げてい る。 ①の書 , くことを体験するのは, Aの第一分節の仕事であるから除くと して ②以下の 四つを必要に応 じて , 十分体験するのが, このBの分節の第一段階 であり 次に①に対する②以下の関わり方を中心 に, , 五つ全ての意義を自覚し深めていくのが第二段 階の仕事 である 第一 第二段階を通じて ここに 。 , , は言葉を言 葉で把握していくメタ言 語発生の有力な契機がある とくに 「綴り方の第二関門 。 , 」の近 づ いてくるあたり, 芦田の実践 では三年生の半 ばごろから このような指導の内容程度が 加速度的 , に高まっていくのがはっ きりとらえられる A第一分節での表現者は 児童であ て 教師はその表 。 っ , 121.

(5) . 村 井 万里子. 躍し 現活動を刺 激するに過 ぎないが, このB第二分 節では逆に, 教師の方が1人の表現者として活 なくてはならない。 (ただ, 児童はそれぞれの能力, 個性, 状況に応じて自分なりの表現をするのに ″ なけれ 対し, 教師の表現は個々の児童と児童の集団とに 直接向き合って 語り返し ていく表現で 学習者 教師と けでなく , 学 , )学習者が育ってくると, この分節は, 教師の独演形態だ ばならない。 「 習者同志の 話し合いの 形態をとることが可能に なってくる。 これも 綴らんとする心」 が成熟して いく と き の 一 つ の 指 標 と し て み る こ と が でき る。. 『尋常/小 峯. 綴方教 授書』 (全四巻) は, このような理念と指導法によ って育てら れた児童・学. 級の記録である。. m. 尋常4学年の綴方教授の実際 m‐ 1. 尋常4年に生じる 変化 こあたる 第一関門をく ぐっ たあと, 2年生から3年生にかけて最初 児童の綴る力は, その着火点じ の充実期に入る。 ここで十分成 熟を遂げると, やがて第二関門を迎える。 芦田恵之助 は, それを次 のように捉えて いる。 「尋常四撃年は全く襲化する 時である。 主として客観 界に活きてゐ た者が, 主観 界に活きること を悟るようになる。 事寮を事費のままに書くことには満足しないで, 事賓の中心をとらへようと 自分に する傾向を 生じる。 遠足や運動 曾の記事を前夜から書き 始めること はだんだんすたれて, 最も気にいった一節をま とめて書くようになる。 その要領を 曾 写した児童はあたかも綴るといふ ことを始めて知っ た尋一から尋二の始にかけてのように, 見るもの聞くもの 悉く文になるので, 三 綴方に深い興味を持って 来る。 そのかはり文 章は短く なる。 それは分量の上のことで, 質は尋 も 然に発達する 頃に較べてきはだってち がって来る。 この一器の曾得 が十分に出来た ら, 文は自 ) の と 思ふ5 。」. かすか ここでは指導のことにはふれられていない が, 芦田の実践をみると, 三年生の6月 頃に, 「 が行わ に兆した変化を受けて, 2学期に入ってからは積極的にこの 主観界への覚醒」 を促す指導 れており, 決して児童の 変化を手を 洪いて待つようなことは していない。 「事実の中心をとらえる」 ことは, 中心を生じうる 題材を選びとることや, 中心と周辺を書き分 ける技術の一つ である 「精叙・略 叙の別をつける」 ことなどと深く関連している。 「見聞事 項及び行為を忠実に書‘ く間は, た ゞ事費を平版に叙して 行くだけである が, 漸く愛達し て, 全事賓の 中心を見出し, 又は感想が鮮明になって来ると, 之を遺憾なくあらはすがために, 定 想の排列 を工夫するや うになる。 この 程度に進むと文題が最初に 定まって, 次に記述の大儀が 6 ) まり, 之に従って 材料の取捨選 樺を行ひつつ記述することになる 。」 これを指導するには, 「教師は常に細密なる 注意を以て, 見 童の成績物を通覧し, 想の姿 化の著しいもの, 又は想の 取 化し 扱の要を得たものを後見するにしたがって, 之を示して, 内省せしめ, 次第に自分 の想の愛 7 } ければならぬ 。」 て行く有様及び想の取扱の進歩する模様を曾得させな と 述 べ て い る。. な 「範文」 を このように, 現れた変化を児童の前に 広げて見せることと, 機を見てすかさず適切 中から, 示し, 「文話」を行っていくこ とが大事に なる。 これらの範文や文 話を, 教師が自分の体験の 好ま し れば非常に あるいは自分が実の場でふ れえたものの中か ら手づくりで生み出すこ とが でき 122.

(6) . 芦田恵之助の綴方教授実践の考察. い。 それは児童より先に, 教師自身にとっ てためになる仕事である 教師の文章観 が それを作り 。 , 出すときに鍛えられ, 児童の反応を見るときにさらに伸ばされるか らである 。 第二関門における児童の 「想」 の変化は やがて 文章の種類の分化 という形をとっ ても現れ , , , てく る。. 「尋四は想の上に想像を書こうとす る傾がつよい 想像を書くのは想の-進展である 。 。 描写法の 各種類, 想の各種類がそろって書かれる のも尋四頃からである 小説も書けば 小品文も書く 。 , 。 説明文も議論文も 書く。 勤話文も書けば擬 人的の文も書く この一年間に細心の注意を沸って指 。 導をしたら, 今後尋五六といはず, 高等小峯も中堅までもの文の基礎がこ・にきづかれるかと思. ) ふ8 。」. そして, 「指導の効果の著しいのもこの拳年の特徴かと思ふ。」 と述べて 綴る力の基礎を据える , 上できわめ て大切な時期 であることを明らかに している この時期は 生涯の文章表現生活を 早 。 , , い段階で軌道に乗せ る好機であるらしい。 m. 2‐ 尋常4年の綴方教授記録 芦田恵之助の担任 していた学級は, 男女共学の二つの学年よりなる複式学 級で 大正8年度は尋 , 常4学年を持ち上がりとする 3・4年構成の学級であっ た 『尋常/小学 綴方教授書 巻四は こ 』 。 , の持ち上がりの4年生 を対象とする実践記録 である。(なお 単式男子学級に現れた特徴的な変化も , 一部収めら れている。 ) この複式学級4年生の1年間の綴方教授は, 以下の表に示したような歩みをた どった どの作品 。 も原則として無記名のため, 一人一人の 児童の成長のあとを十分に確かめられないのが残念である が, 学級全体の大きなうねりと, 個々の 作品の特質を読み取る芦田の教育的解釈力のみごとさは , はっ きりととらえる ことができる。 (以下, 後掲の表を追って実践の展開を 見ていく ) 。 1 1 1 ) 第1学期の綴方教授の歩み 1 ‐ 2‐ (. 尋常3学年の 綴方を, 豊かな成果を挙げて終えたこの学級は 複式学級の上級学年として ゆ , , っ たりした気分 で新学期を迎えた。 この緩んだ気分を 戒められた児童は 第3回に至っ て 漸くやや , , 引きしまっ た色を見せてく る。 4月中に1度 手紙文を書くように という課題は 書こうとする , , , 気持ちの焦点を絞るのに有効に働いた であろう 第4 第5回と手紙文の秀作が随意選題の中にま 。 , じる。. 第6回におこなっ た文話は, 「課題」には 具体的なも のと 抽象的なものと があって 書くとき , , , に注意が必要 であるというものであった。 かなり話の程度 が高いが この向きの文話はす でに 3 , , 年生の9月に みえており, 題材の性質への自覚をさらに高めたいという この時期の課題にそうもの である。 第7回の文話も題について のものであり 随意選題の際 自分が選定した題が参考題でぐ , , らつくよう ではならぬ, 他の題をきく ほどに目題が頭をもた げてくるよう でなくてはだめだ とい , う主旨の想の指導である。 この日の記述は 前年5月 5 日になくなった級友森岡葉子さんの一周忌 , にお墓参りした直後 で, これが課題にとられた。 3人3様の成績(作品の意 以下同じ) を掲げて , , 綴方がいかに児童の個性を映し出すも のであるかを示している 。 第8 回、 第9回の随意選題は, 第8回の 方に冴えた文章が多かっ たよう である これを受けて 。 , 第1 0回には文話を行い, 初めて本格的に, 精叙・略叙の意義について考えさせた これは次回に書 。 かせるはずの 「運動会」 の課題にそれとなく備えるもの であっ たらしい 「運動会 の課題では懇切 」 。 に取材指導を行い, その趣 旨はよく 児童に通っ ているが 作品のできは 意気込みに表現力の方が , , 123.

(7) . ‐村 井 万里子. 回す月 日 曜. 名) 2 4 年 ( 成 績 作 品).教 材. 尋 常 4 学 教授 内 容. 声田の解説の要約 0 4 .1 .木 随意選頭 く学年の進んだ喜び、しか し気分はゆったりして寧ろ 緩んでいた〉 囲 随意選題 4 5 .1 文話〈前回の緩みの戒め、 研究して書くのは尊い〉 課題4月中に手紙文を 。. きのふまで/かなしいこと びを分かつ母のないかな 仲の良い友 かして〈 配〉 おぢい樋とおばあ様にさ (共同歌壇)/ありのこ く 〈想は良いが発表不十分〉 〉 勤労、字叢. 松方候爵のため〈父の緊張した 浩・ 1 7 .木 随意選困 〈やや引締って来た色〉 文に余裕〉/めざまし時計/お人形/ 唐榛君にあげる手紙/美恵子さんにあ 4 2 .火 随意選題 .2 〉 げる手紙{さだ)/京都へおくる手紙 く手紙がぽつぽつ交る。 (あい)/ うれしい、うれしい(発芽の喜び)/ 4 4 .木 前回成績数名通読 .2 国技館(風で倒れた) く この種の文、 随意選題 多い。社会の出来事に敏感〉/をば へ上げる手紙{節子)〈碑の聴簡文はこ うした関係のHr帯橡を遂げる〉 話 2日の休みに。課題 竹の子/うまくいくといい(題と内* 4 9 .火 文結く .2 の2様、課題について〉 照合せず)/欄おき(なかなか起きら れない様)く内は緊張して向上を希っ 随意選題 ている尊い状態〉 〉 欠課 5 .木 〈靖国神社臨時大祭 ,1 話 四は折々に考えるこ 6 .火 文話〈 随選の際、参考胆で動 と、鎚 揺するのは言いがいなさこ と> ‘ にま 課題「森岡さんのお堪 あった」 8 ,木 随意選題 〈社会行事は多いが、児童 は自分の生活を見つめて進 んでいる〉. 5 3 .1 .火 随意選題 の誤り批 結く紙文…照応 5 5 . .1 .木 文話 正、文を長くするにはどう するか か(糖叙‐略叙)、長 短・良否は直接関係せず〉 1 8日) 題{運動会 5 0 .2 ,火 課題 〈取材指導1.全体又は部 ) 分、2.ある少時間のあr さま、3.我校運動会の特 徴 、4.運動会の利害). なくなった森岡さん〈うるわしい文 、 父を亡くした子〉(節子さんか}/糠岡 き さんのお菰にまゐった時〈不足な 家 庭の子〉/森岡さんのお湛にまゐった く不足なき家庭、1人ッ子を淋しがっ ている) 文集をかへしていただいたこと(2年 次の文集)〈上達を感得して過去の幼 稚を笑う文、零4‐5に多く出る 文 集独特の効果〉/機の木/思ひ出〈森 岡さんの思い出がわきたって来た」す 〉{節子さんか)/ ごいほど鋭い感じ 。 やっと出た出たく伸びる豆の芽に共鳴〉 /いちご/人というものは我がままで 「畜産博覧会を 「大国祭」. スタートを切った〈むしろ「かけっ がよい〉/選手競争〈運動会の花、 のある文〉/負けるものか勝たせ のか〈題は気に入った、文中には 意気なし 、余裕あり、末尾書き振r 理に照応〉 ナ 5 2 .2 .木 批正〈前回成績通読、批評、 とても…にも…にも…もとれやし /徒歩競争〈女児 、まず美点を発 せ、次に欠点を直させた。児童に‘ 〉 ほどよくわかったよう。 紐(かいこ)〈飼養している蚕2匹、 7 5 .2 .火 随意選題 癌なほど純真〉/食べる時分が来 り E やし紛れの悟道、 出来るまでは 捕 閣のときと考えがかわったのでは〉 く要を得 〕の 車の便利な ヱこと〈 ・た 9 5 ー文、 .木 課題「電車」 〈範囲を限ら 電 .2 好資料〉/このごろの電車〈電車の泥 れた随意選題〉 〈右3文とも、随選に比し 雄ぶり、動かない文〉/電車の中の広 蓬 皆を見て〈広告の落書に笑い興じたこ て遜色なし 熱に多少の差 と) 〉 は感じられる.. 枇擬. 124. 3 .火 文語〈前回優良文、通読さ せて批評 。÷股に熱が乏し い。頭の中に自分をうちこ んて働きをみせよ。課題も 文革生活の1つ、これに自 由な働きのできぬものは綴 る力のたしかなものとはい ) えぬ 。 随意選題 5 .木 前回成績通織、批評縄文 「キューピー」芦田作. 一人まへの人間になって〈発達しゆく. /日本と英国〈鍔目の合わないような 文だが、伝聞を綜合しての憂国の情が 文のもと〉/うさぎのおはかく前2文 に比して幼い感 ぬ詳しくよんでみると 尋三あたりの文より目がつんで 、自ら 事の軽重が明らかになってきている“ うるはしい文。 > 〈東京尋3・4児童に親しいのにあま り表われない題材。教室で一流、大そ う喜ばれる。写させて範とすべき点を 〈次回にキューピーを書い 説く。1.来歴と形、2.かわいさ、 ては‐と話す異口同音に同 3.愛する気持ち。末尾1行で老翁の 色彩を加える。児童の同情を買う〉 ) 意した。 即妙に書いて キューピーをもってこさせ キューピーぞろひ〈当意 6 0 、 .1 見せたのは手ぜわだが て、机の上に陳列 ‐文はこういう 〉/ ほしかった たちのものではない。 課題「キューピー」 思い出、今回最優良文〉/キューピ 3文比較、文はいかにある 〈 , ー〈良いが勢い乏しい)縄文が拘束と べきが明らか 。 なったか。 〉 通織 6 2 ・ 批正〈前回成績、 ‐批評 「運のよいキューピー」 .木 .1 第3文「も 板上批正「運のよいキュー 第2文前半所相、後半能相、 要 ・ とは」不 ピー 。 」 〉 〈安全週間第1日の所感 6 7 .1 .火 範文「安全通間」 く通読してきかせ、写させる。安全週 ( 1 5~2 1日) 安全週間の意義、社会ので 間について感じたこと、考えたことを 〉 きごとを文題として取込ま 集めて次回に綴るように命じる。 せる。 きずした電車〈安全週間に対する反抗 9 6 .1 .木 課題「安全週間」 く漠然としていて気乗がし 気分 。江戸児気質の軽妙と鋭さ〉/安 全週間/うちのももの木(母の痢とと 〉 ないよう。 もに枯れはじめ、2月1日の没後、全 (随意選頭) ) 〈随意選題と課題文とはど く枯れた。 こかいふにいはれぬ違いが ある。 〉 もとのベスと今度のベス/時無大根 6 4 ,2 .火 随意遇題 雲が (抜きづらかった)/月の間の ‐ ) (亡母の顔に見えた。 6 6 .2 .木 文話〈文題の難易・性格に うれしい7月2日〈外因から帰る父を 1〈雨 迎える楽しみ〉/せわがやけるE ついて〉 〉 }方」 {宝 後の登校時の苦労、妹の世話 ①「尋常小学綴r 文飾)の文題 ②先生から出された文題 ③自分の選定してをる文題 欠課 7 . L火) 理由不明 随意選頭 7 .3 .木 文結く前回成績物のうち類 向上の理由の分析 似文を比較、向上の跡を指 ①既習統本全部の縦方用紙への視写 〈補欠教授の折などに〉⑦児童の発達 摘する。 1)文字が美に 2)仮名 と「尋常小学校組方」の効果でしまり 遣が正しく 3)漢字の多 ③同書の刺激で取材の広がり 用 4)文にしまり S) 縦方の本の効果‐取材範囲 の広がり く理由はとにかく、向上は ・ げて自ら注意させ 児童に筈 ること) 〉{安 8 .火 1学期成績考査のため、随 上位)外国の話〈閲書の好穣範 東か)/中位)春の遂(かくれんぼ、 意選題 鬼ごっこの面白さ〉/日時計〈以上3 グ上位)七夕〈雨の七夕、父 禰男児〉′ の話図書〉/中位)し上うのない人間 〈このような内省によっ← は私だ〈油断がちの心を反省 、題のと )/下位)妹〈以 て文は主観的のものに変 り方、文章ともに立派 ) ) 上3淵女児 わる^ 〈私の学校では、自分の生.

(8) . 芦田恵之助の級方教授実践の考察 活を書く± 勘合に甚だしい差 のない程に発達を遂げてし ・ る 。或は俊秀者がないのか。 7 0 .1 .木 批評、滴密(前回成績物). 随意選頭〈この暑中休暇後 第1回綴方がきわめてまず い事と非常に良い事あり。 多年不思議に思い注意して いる 。今年はすこぶる上出 〉 塁。. 泳げるやうになった〈泳ぎができると いう自信を得た者の幸福‐教育の要は この境地に児童を置くこと〉/伊勢神 宮〈要所をつかんでいるのに感服〉/ 艇の仕事〈避暑の生活として理想的 、 仕事の好愛に人生の深味、弛殺した心 に世の真相はわからぬ〉/のこぎり山 へのぼった事〈たしかな文〉{師岡). 批正〈前回成績優秀なるも 誤 文枇掘 の教練朗読、綴る力の一段 1.…信州についたのは…頃ついた。 進んだことを話す。発達の (重視) 自党を得て基礎が徽立する 2.…その外はたいていはいる。 と 想の発達とともに筆が (主語欠落) 発達する。文を織るのは大 3.僕は…で東京駅を発し、…に大阪 切だが、綴らんとする心の 発、その時の汽車は…で東京駅へ着 いた。(不整) 〈暑中休暇中弛緩し 風我がさらに大切〉 たあとも見えるので 、こういう誤りを 再びしないように戒める〉 随意遇題〈はづみのついた 木戸から帰って来た時〈帰ってから妹 ▼ 時は、随意選理が最良の教 に泣かれたところ‐妹に活躍〉/夏の 授〉 夜〈うつくしい文〉/猫退治〈事実そ のままだが、想 の流れに乱れがなく、 、 ことばに少しのゆるみもないため、銃 声のあたりからすごみを感ずる。 〉 文話「この教室をきれいに 〈書くべき 事柄を(問答で )まとめる ‐ 。 するには」 想の組み立て方を指導する意義で 。 一 尋 〈 四2学期になると、知 、窓をあげる。 力体力ともに発達して、教 二、役割をきめる。 室内の掃除などいかにも愉 1.机をのける……1人 快げに見える。生活即教育 2.帯をもつ………1人 を徹底するのに掃除は好機 3.雑巾をもつ……6人 会。9月に入って著しく掃 三、注意すべきこと 除の真 義を解したようにな L 机はひきずらぬよう。 ‐ 2.帯は隅をはくよう。 ったから〉 3.雑巾は隅をよくふく。しまぷき 〈ここまでまとめるのに1 にならぬよう。木の目なりに、よ 時間を費やす 〉 く絞り出してきれいなので 。 。 四、教室をきれいにしようという精神 の充実) 課題「この教室をきれいに お富番〈前回まとめた想の形から脱し するには」 たところ、拘束を受けたところあり) 〈前回の復習、恩 想の整頓 /この教室をきれいにするにはく前の 、 “ に注意〉 著しく進んでい 文より‐自由の働き力 〉 ゑ。 批正「富番 零四の文類別 〈零三四の文をみると、罪 1.板書項目そのまま………日… ・ 1人 三はさすがに不自由。 2.続きを考えず書き並べたもの 〉 〈板書項目を最も簡略にま …………………多数 とめると、うま味 事として各項目を自由に使 . ‐面白味 .自分の はないがこうなる‐声田丸 いこなしたもの…………………6人 児童範文聴写…立派、項目 .板書項目からはずれたもの…2人 から脱した児童文〉 文話〈想の組立を随意越廼 くつわ虫〈生活がそのまま表われて引 に応用させようと試みる。 〉 きつけられる、文の至れるもの〉/何 -、書こうという中心を決 を見てもさびしい秋 (母をなくした子) 〈立派な文〉/朝の鴻の暴く江戸川は める。 二-想をまとめる。 …おされるように流れている一の一句 三、順序をきめて記述。 に全文が強い力を得る。きれいな文 〉 〈 1 0圏言わせて記述〉 随意選題〈佳境に逸んでき 安東蒙の由来〈この種の文は、自分は. 商師2 0年のうちこれが2囲め〉/ちゃ -坊〈軽妙な筆、名文〉/夜の鴻の骨 〈前回「朝の鴻の蚤」の姉妹鰯、美し い文〉 9 0 .3 .火 文題燭〈秋という範囲を限 〈新しい題〉 定して、文題選定を試みる) 秋になると/蝉のゐなくなる頃{罪三) 〈児童が新しい人と雑作な ′秋は/紅葉の紅くなる頃/木の蔵散 く歩調を合わせることに驚 る項(辱四) いてゐる。 ) 1 0 廃兵〈一語÷句もむだがない。名文の .2 .木 随意選題 「秋」で綴 部に属するものだろう〉/秋の月(純 く題のないもの、 れ。文題調べ結果披露〉 心、楽天的の境地/春夏秋冬〈季節の 好悪、個性のひらめき〉/重く学ばん とする心一目教育はここから出発、児 童の文は教師の修養蒋〉 「木戸から…」の作者、この妹は多 1 0 妹( .火 .7 英ちゃん)/江戸川の夕轟く関東平野 の広漠を煙突1本に見せた稚いような 叔景、零四独占の天地〉/お月見〈閣 月のお月見 / 〉 0 8 、1 0 1 .9 .木 批正〈前回成績物故餓期流 「あばれ馬」〈美点を言わせる。‐全部 させ、短評、のち「あばれ が美点だ‐{1語の加不足もできぬ) 腸」聡写(板醤) 、美点・欠 多少はあるだろうない‐作者はいかに 点の鑑識〉 も冷たい人だ、「はらはらして見ている と」に直すがよい‐児童破顔微笑一文 は一語で生き、一語で死ぬ 。 1 4 0 .火 文結く物の見方に3通り、 山道〈なだらかに事実を書いた‐報告 .1 研究的 ‐利用的、鑑賞的- 的の文)(安東)/かわいいこすもすの 勿論むずかしい話 。多少の 花〈さえたもの、好範文〉{篠田}/僕 共 鳴を期待したが、たいし のこしらへた水道(生田)〈自由工学) - t た反響 はなさそう〉 随意選題 1 0 6 5 妹の謎生日〈女児はこうして社交の輿 .1 .木 前回成績通読批評、残り1 蓑を悟る〉/タンク(一)/大長茄子 分で随意遇閣 〈一気阿成、しかし 、深み 〈これが自由農業、縄文として尊い〉 がなく繰りも多い 〉 。 1 随意選題 1 0 タンク(二)〈何かを調べて書いたか。 .2 〈十分に時間を与えた。文 まとまった文 。文を級るは一面に文を に落ち着きがあってすきが 解する義〉/学校〈よほど考えた胆、 ない 。前回と比較すると明 ) ら力 〉 明文が開けていく‐高等学校をおとし 。 たのはさすが零四〉/鋤く児童の説明 文‐親しい感じの中に多くの知識を会 〈3回紙方 得させる。 〉 が欠けた〉 1 1 .4 .火 文話く3回縦方が欠けて何 職人〈縄方は活社会学〉/野間(一) 体しくはないか となく i .文 〈淀みなき流れを見るやうな文 。紀行 題は却って部山にできて心 文もこうととのってくると絶品の感が うれしい気はしないか 〉/メタル〈よい題材をとらえ 。 。文 浮かぶ を久しく書かないと、あれ たものだ。緒歴の文の批正 〉 。 も書かねば、これも、と文 の袋がふくらんで動くよう に思う。この感じが起これ ば文はこの上もない楽しみ 業にもなる。‐こ になり、修 ‐ ‐ ういうことをしみじみ 考え てみるようにすればよい。 〉 随意選題(9日の父兄会に 披露のための) 欠撮 1 1 -6 .木 〈大掃除のため〉 1 1 1 .1 .火 文話〈1度書こうと思った 菊の花〈もらった菊で獣の中を飾り立 ことは必ず書き上げよ。想 てて一日を楽しく馨らLた。平安朝に に豊こうと思う中心が鮮明 もありそうな趣味、こういう純なと ころが日本趣味の動かぬ所、気持ちの それさえ見えていれば 〉/寒さと暑さ〈充実した力へ 、縦 よい文。 ることが困難であるほど 文に関する道を悟ることが 寒暑を楽しむふう。文は主観のよほど 深いところにはいっている。 〉/野間. 125.

(9) . 村 井 万里子 この困難を避けてはならぬ (二)〈前回の文に比較すると淡いよう 漢字・仮名遣いは少しの注 だが裏面に撮っている父子の情を思ふ ) と人生に強い樽きをもっている。表面 意で殆んど完全にできる。 〉 上は前と甚だ違う。 随意選巡 永野君が高点で当選。時間半ば前。想 1 3 1 ・1 .木 課題「雌級長選挙」 級長木内君が1部に転じ、 の組立の違いを見るのを楽しみに綴ら 副級長安東君が級長へ 。欠 せる。 員となった副級長を選んで すぐに綴らせる。 《事実のみを書いたもの》 批正「副級長選挙 1 8 1 」 .1 )簡潔に書くこと 〈文継の比較鑑轍というこ 副級長選挙〈これよr 〉/剛級長選挙〈倍以上の とば、文に関する的確な知 はできない 。 淑を与ふる有力な方法) 精叙、少しのゆるみもない前文と比較、 糟叙・略叙を説くには恰好の材料〉 《感想を付記したもの》 副級長選挙日 ・放か)/剛毅長選挙く尋 三〉(宇野か)〈前者は零四の優秀なも の、後者は零三の優秀なもの、騨三は 〉 稚気が抜けない 。 野間{三)〈きれいな文、事実そのまま、 0 欠課 n .2 .木 遠足のため すなおなまとま1 〉/森岡さんを思ひ } 1 1 5 .2 ,火 随意選題 出して{迫藤節子さんか?)〈死者の盤 はかうして常に生きたるものの上に活 きてゐる 〉/ハンカチにもみぢをそめ 。 たこと〈原始的なたたき染め、靴々な る工夫の基礎、好縄文〉/僕の集めて ゐる切手〈これに付帯して世界地誌の 一端を発動的に学ぶのは尊い。罪四五 六あたりに限ることのよう〉 7 1 1 」 私のすきな遊び場(池の近くのいちょ .2 .木 課題「私のすきな遊び場所 く随意選四に一時のような うの木の下)くいかにもこの女児の好 勢いが見えなくなったため〉 みそうな遊びと場所、よい文〉/僕の 1.どういう事から書き始 すきな遊び場(占赤間の笹鼓のところ) 〈禁じられた遊び場を選題したところ めるか 無邪気さ表わる。この赤心を児童の鰻 2.遊び方 中におくことは、2・3年はかかる。 ヒ 3.好きな理由と窓 、 ・ 〉 へては〉 文の上から罪状摘発したことはない、 〈かやうに考 をなし - /懐のすきな遊び場〈要項が害 たか。問題となる文。批正の料として 面白かろう。 1 2 .火 批正「私のすきな遊び場」 使の好きな遊び場〈尋三(岡村か)雅気 .2 〈前回の成績は一般に張の はあるが純なところは尋四の範として 弱いような文だった 前に も十分だと思って示した。この文は、 あげた三篇も想に不純の傾 想が一貫して気持がよい。課題の作品 〉 きがある 随意選題にはこ としては珍らしい 。 れがないのが嬉しい。課題 の時には寄せ集めて細工す るような傾がある。それは > 真の文ではない 。 1 呪の成績 上位)大佐になったお父様{安東か) 1 2 .4 .木 随意選圏〈第2学 く父の栄進を喜ぶ児の真情、まことに 号表として〉 く右は1学期と同一児童) こうであろう。航海中の父は留守・祝 電祝文を代わって読むのが楽しみとは 子供でなくては書けないこと〉/中位) 日々〈露四の哲理 だんだんこういう 人生問題にさめてくる。こういう傾向 ) は尋四になって濃厚になってくる。 Rの計画も弾四に 下位)圃書簡〈このP 〉以上3篇男児 なって著しく発達する。 /上位)羽子板〈説明文、この種の文 は坪二三項にもよく出るが、想の布置 く私は劣歩児の定義を「生 などに進歩のあとがみえる。この境を に輝かない事柄を記憶し、 すぎて、純説明文の天地に入るのであ 〉/中位)とよ子さんに上げる手紙 研究する程の余裕なさもの り う。 と改める要はあるまいかと 〈難点の打ち所のない書簡文。随意選 )発達させる 〉/下 題は書簡文を内よ1 。 . 126. 位)省く立派な文 。生にふれたすすみ 〉 方をすれば、こうまで伸びるのか。 ①バントロリイムー永野/2.ひよこ 縦方の朗読会 /⑧三回戦‐山本(三年) -川口(三年) ‐ く学芸会の予選〉 /⑤みの銭 〈第2学期中に綴った文で /4.ひよこ-桧垣(三年) /6.雨の日冊西河/7. 最も気に入ったものを読ま 一永田(三年) せ、児童が之を開いてこと かはいいこすもすの花一篠田/8.江 によしと思うものを投票さ 戸川公園‐乙骨(三年)/⑨ボートレー 0 せた。私は児疏の耳の実に スー平松(三年)/1 .のこぎり山にの 正確なのに鯖いた 。私の考 ぼったこと-師岡/⑰ちや一坊一連藤 ) /◎自分でぬった帯一石川/@ と全く一致していた一〇が (男児 (女児 )/ 森岡さんを思ひ出して-遠藤 満点} 〉 ⑭僕の作った水道一生田/1 5 .ストー ブ‐倉林 /2.副級 1,副級長選挙一宇野(三) 縄方の朗読会 長選挙一小城/3,僕の好きな遊び場 〈第2回予選朗読会〉 ‐高津/4.僕の好きな遊び場‐岡村 く学芸会の当日期減したの (三)/◎山道-安東/6,雀の巣-加 4 まいそうなじゅうしまつ は、達藤の「ちゃ一坊」と、 藤{三)/⑦力 かはいきうなじう -安本(三)/⑧小さい泥棒‐沖/9. 安本のr /⑭学校が初った 〉 松山様へ一阿部{三) しまつ」の2篇であった。 一加藤(三) ⑪玉川の夕一菊池 ′ i域君が「赤ちゃん」と呼 随意選趨く2学期最後の縦 赤ちゃん( 方 。とかくゆるみ跡のこの ばれていること)〈これほど虚心で同 時間にも、存外引きしまっ 情があればうつくしい文になる〉/冬 らしくなった/お正月のたのしみ〈児 〉 た文があった。 童の歳末気分 。小規根に徹底した社会 生活〉. 東京児童の縦方(瀬川)〈児童の文章生 活の一現象〉/お書初をした時〈この 文の長所は苦心する所にあって、想に 〉/野間 -鞭を加ふる所もそこにある 。 (四)〈事実は動かない立派な文) 批正〈前回成織、数縞朗読 「冬休中の驚」 〈欠点を8箇所直す。 点を悉く直して読んでみると、 させる。批評。後の半時間 大小欠 . で1部母四の「冬休中の鯖 」 全文堅実となり‐起筆、結尾ともに落 ・ 語の情あ を板書し、詳細に批評させ ち着いて力がある。納屋、愛 〉 ふる。まことに直しがいのある文 た。 〉 。 嘉納先生に対するお紐の言葉〈嘉納先 課題「癌納先生 〉/嘉納先生/〈先生 〈嘉納校長が辞職されると 生に対する真情 。 のこと、児童とともに驚く。 の目には附小生徒一団が見えるだろう 得難い機会であるから、課 が、その団体の一員一員にはこうした 〉 きれいな温い籍が流れる。 題 ) 。. 随意選題〈正月は児童の生 活が非常に複雑、奇抜の材 料で立派な文が得られるこ 〉 とあり。. - ‐ 2 2 9 1 .2 3回欠課 武三〉 ; 薙納先生 2 」 〈前回の 「謝辞 〈下田韮 .3 .火 縄文「 成績二筋通読させる。1月 く1部尋六全体に謝恩の辞を書かせ、 2 3日、謝恩式場で1郡尋六 内容をまとめて芦田が一文を草し、さ の下田君が読みあげた謝辞 らに下田が改訂して自分の文とした。 3日夜、静養軒の謝恩式場で を写させた。程度はやや高 2 、児島教 かったが 。まことに弛みの ‐わずかな説明を 授がほめられた文章 加えただけでよくわかった ない、わざとらしい所のないしっかり ) とした文。 らしい 〉 。 昨日{節分の豆まき)(児童の趣味に合 随意選凹 するとみえて、之を週にとるもの多数 軽妙で立派な文が多い 。〉/梓式{-) く喜怒哀楽の情がうちに動くにつれて (五)〈 この文 筆之に従うよう。 〉/野間 何庵までいっても調子が少しも狂わな いのは敬服の外はない 作者の性格は 〉 全くこの文のとおりである。 批正〈前回成績中、七篇を 「林檎」 〈少年雑誌の作文欄にありそ ・文 期織させて批評 。2 。1.起筆 。うるわしし 。1部尋三 うな文 の一生の「林檎 」という名 2.姉の言葉に年頃から性格まで躍動 文を写させて、美点を発見 3,色使い巧み。4.尋三らしい大胆.

(10) . 芦田恵之助の綴方教授実践の考察 な賛美 。5,結尾頗る考えた文。肋縄 の誤り尋三らしさ。 ) 2 2 ,1 .木 随意選題〈綴方に気束がし 料治先生(教生)とのお別れ/野間(六) 「強盗」の粉欄に てきたとみえて力のある文 〈最も弛みそうな所、 引きしめた無技巧の技巧。 〉/郎式(二) 〈焼香の場の感情が遺憾なく表われて いる。 〉 2 7 ‐ 表 .1 .火 批正く前回成績、数轍通読、 「富士山」 〈略叙し、自分の理想の 批評 )「富士山」の批正。 われとして眺めている。扉四で著しく 。 強まる傾向の代表且つ批正の好資料 1 9 うつり気(岡松)〈文は自分を見れば、 .木 随意運廻 副題「級方について」 いつでも綴れると話していることを実 践 〉/野間(七)〈一糸乱れぬ調子 父 。 子の情が洗い文中にこまやかに躍動。 好機範文。 〉/小鳥の行くへ〈末 尾は、 、 例の終が感想に落ちる零四の傾向。 〉 2 4 課題r む 雪 (女児)〈大の足跡が目について俳句 」 .2 ±サ 〈罪三‘ 、おきまりの生 に話が仮す 。葬四の色がここに見える〉 活外に出られないが 零四 /すく庭の雪に妹を配して面白い一節 はそれらの熔を脱して常に を書いている。 〉(男児) 関する微細な生活を書く。 〉 「 2 6 ] 隣 実の取 .2 .木 批正 雪」 〈前回の文中‐ 「雪」 〈雪明りに時を迎えた 3届朗読 、批評を付す。次 材、奇抜 。3つの長所、1つの批正箇 にその一筋を写させる 〉 所を指摘 〉 。 。 2 7 .2 .金 教生の服部先生に贈る紀念 ぼくが大人になったら〈あどけない妹 ( 番外 ) に 若しし “ の言力 深みを文にそえている。 ) /五七日〈葬式(-) (二)を書いた子) 、 /つけひもを縫ったこと〈殻経の作壊 は文題としてあるべきこと 。尋四に入 「桜に毛 〉/弟のお友達( って2囲め 。 虫」て大笑い .「菜の花に蝶々」 。弟は といった。 )〈兄弟がある者は生活が複 . 雑 を促される。 〉 、自分の位置の自党 ′ 2 学期成績考査 上位)恩ひ出〈聾三項からぽつぽつ出 .火 随意選題〈3 のため〉 るが、この頃から傾向濃厚に。 〉/中位) こっけいなお結く人生観を書くのに趣 味をもっていた子 〉/下位), 思ひ出 。 〈自分の写嵐 て編 と も面白いものについ . て〉/上位)昔と今〈この頃の世の有 様について批評 。愛国の心が次第に発 ぐ 学年末の成績は、第1、2 達、面白い。児童に安心の天地を見出 させるために.まず教師がそれを 〉/ 。 私(芦田)には発見できな 下位)お伯母様へ〈書簡文は、第三者 いが、何か事情があるらし がみてわかる必要はない 。受け手の満 し 〉 足は想像できる。 〉{以上2名女児) 、 。 4 成績歌僕 〈文の内容千差万別で面白い .木 課題「湯 。 〈児流が難題をいかに切り もの多し 。三方を施しても一方だけ開 抜けるかという試み。 〉-初 いておけば、児童は完全に逃げ狩る。 ) めに超問答あり。 る 〉 。 9 本庄町〈宮崎県の郷里の様子。 〉(のど .火 随意選題 く学年末が近づき、師弟と かな自然、交通の不便を群かに描く。 ) もに落ち着いた気分が失せ /感心したこと(鴻の子を守るふるま いに感心した。 )〈尋四の傾向をまっす ぐにあらはしてをる文 。児童はこの種 の文をよろこぶ 〉/ 。まったくよい文 。 「野間」を‐ 叔父様( 導いた子か)〈この 児の文にはいつもすきのない感を起こ させられる。緒尾「優も大きくなった ら…」と言いそうなところで口をつぐ - んでいる。尋四も終りに近つ き、自分 の考えが明らかに見えているからであ ろう。 〉 3 1 つまらない遠足(女児)(失望によるく .1 ,木 課題「今日」 (中止になった擬戦遠足) やしさがよく表われている 〉{緒尾、 。 「北東の風 く くやしい」を4回繰り返す ) /今日 、晴後世、雨模 「 。 様あ’ ) 」の予報で鼎の湧く のありさま(男児)(騒動の様子、やけ. ような騒ぎの末、中止 。1 になっている者の言動を記し、 く不平 時間めの教室、児童は気の 満々の様をよく表し〉ている。末尾、 抜けた集団、動く土偶のよ 「ぎせんのようい (だけ}そしてきた人 う。 「 これが縦方の時間に は、約束を守らなかったのである。 」と 文に書けないやうな内省の しめくくる )〈男女の違いがよく出て 。 力の弱いものは、ろくなも いる。 〉 のではない」と暫うと‐児 童は「腹は減ってもひもじ うない、というような顔を した。 〉 〈午後、級方の時間に得た 男女各一滴 。不平は満々だ が情気はない。 〉 3 6 長い文を書きをへた蒔 , .1 .火 課題「縦方についてー くかねて圏 」題として注意を (野間{-)~{七)を逗 書いた男児 。材料 喚起しておいた課題 4名 の書きよさ‐よい書き心地の自己分析 。2 。 の文中、文章観の一節とし 「また、大人らしい文を書いてみたい」 て代表的と見るべきもの7 という文章観も。 )〈 プ 文を自学する道を 耐の成績 。4年間育ててき 明らかに悟っている。この骨を知れば た児童は、文に対L しての考 文は書かなくとも生活の向上とともに がこの辺まできている‐ 〉 進歩する。 〉/雑誌 に文がのった時{瀬 . 川という男児か)〈 〈文を進める道を内 に見ないで外にみている しかしこれ も☆ふ”二 工夫‐ 〉/私の文集〈自 分の文集への愛着心。受 斎心は自 愛遵 は自己擁 護の神。これによって卵導け日に夜に 発展をとげる。 〉/文の林に対するお母 様の批評〈 1 1月下旬から6人1組 、1 冊の帳面を与え、週に1度ずつ書かせ て膝下批正。児童には励みとなり、わ ざとらしくない家庭回覧になる。この 文、これの家庭での働きを記したもの 母親によっても文章観が育てられるさ ま 〉/私の小さいときの文〈 く迷った文 。 のをかしし ・のは、進歩の自覚のひらめ き〉/題がない時の心〈 く題のない時の 苦しみ‐よい題を見つけた時の喜び、 これが門戸で内省の道に進む ‐ 。単に苦 しませ‐喜ばせてはならぬ 〉/世界一 。 の名人にならう〈 〈世界一の名人になる 外的事情に目がつき、内的 事情に欠け ‐ ・ 屠るのは こ 〈尋3、4以上にこうして ている。そこをニムr 、 , 園べた文章観は、教授者 に の児も世界一の名人になる道に乗る時 ・ とって有力な参考資料であ て ある。 〉 る。 〉. 127.

(11) . 村 井 万里子. 追い着いていないような傾きが見える。 その高い意欲を バネ にして, 次時の批正はしっくり児童の 胸に落ちたよう である。 第1 3回に掲 げられている三篇はどれも特徴がある。 題意と結尾が不照 応の3番目の作は, 綴るこ とが考えを 変えたとみると面 白い。 第1 4回は, 児童がどう働くかを見ようと, 課題 「電車」 が課され, ここにあがっ た3篇は自由な 「 働きを示した優 良文であった。 しかし, 大勢は熱に乏しいもの だっ たらしく, ここか ら, 課題の中 にいかに自分を打ち込むか」 という問題が次時の文話の 主題となる。 このあと 随意選題で綴ら れた 成績は充実していたようだ。 0月 24 0月1日に「身体検査表」 第1 6回は, 芦田得意の自作の範文である。 3年生のときも, 1 ,1 「 た 尋四にな 章は好評であ っ っ 。 日には前年に続いて 職員競走」を綴っ て児童に示し, 特に競走の文 て始めての 自作であるこの「キューピー」は, 児童に 大変喜ばれた。 この作品は, (前年もそう であっ ″ たが)子供になったつもりで書いたのではなく, n老翁のキューピー愛好趣味 といった大人の 想を, 児童にもわかる文章にしたものである。 末尾の一行で老翁らしさが出ている のだと解説して, 児童 等に深い印象を与えたらしい。 これに 刺激を得たからか, 次時の 「キューピー」 は, 児童の 書きた がっ た課題であっ た, 4年生らしい 良文を得るには材料が少々幼す ぎたのではないかと思われる。 芦田は3篇の 成績に例をとって, 文章の見かけの巧みさに惑わされること なくそれぞれの 想の質を 的 確 に は か っ て い る。. 9 第1 8回の「キュ ーピー一の批正を終えてか ら, 社会にも目を向けさせることを 意図してか, 第1 「 のもの 安全週間そ 題としたが 次時はこれを課 回にはまた, 芦田作の範文 安全週間」 を示した。 , が不調だっ たことも響いて題 材の焦点がつかみにくく, 成績は, あまりよくなかったよう である。 随意選題を要求するものが出たこともこ れに関係していると思われる。 第1学期の残り4回は成績 考査も含めて随意選題 でなされ, 第22回には文題の 難易・性格についての文話, 第23回には綴る 力が目に見えて伸びて きた旨の文話が行われて, 想の質を高めることへの自覚を促す指導がなされ た。 第2 4回の期末成績考査は, 男女の上位, 下位, 中位の6名の 成績が代表として掲げられている。 随意に生活実感を 書かせた場合は,上位から下位ま でさほど差が見えぬほどに中・下位の児童が育っ てきていると芦田は喜ん でいる。 第2学期の期末考査でも, 比較のために同じ児童の 成績が収めら れているが, このときは下 位の児童の伸びがさらに 著しく, 芦田はこれに驚いたらしい。 2 m. 2. ( ). 第2学期の綴方教授の歩み. 夏季休暇後の2学期のスタートは, 非常な好調のうちに始まっ た。 教授の手を離れた1 ヶ月の間 ″ ・ に, 児童らは一段の成長をみせ, 少年らしい 賢さを成績に示し始めている。 芦田が 自指導 と名 付けたように, 生活そのものが児童らの 綴る力を養っ たのに相 違いない。 次時の文話では, その成 長の様を児童に語り返し, また, 綴ることから遠 ざかると起こり がちな表記上の乱れに 注意を促し ている。 「はずみのついたときは随意選題が最 良の教授」として, 次の時間も随意選題を課し, 生彩 に富む作品を得ている。 「 通計第29時から第31時までは, 「掃除」 を主題とする 指導がなされた。 まず, 1時間かけて 話 し合い」 によって書く べき事柄を集め, 次の時間に課題して実際に綴らせてその 書きぶりを見た。 収録された2篇は, 前回の話し合いの 内容にかなり拘束されている 者と, 自分自身の想の働きを示 し得た者との例 である。 3時間目には, 想の組立てや項目を極端に切り詰めて略叙した芦田作の文 章と, 各項目を自由に使いこ なした6人の優良文を示 して, 比較の料を与えている。 0人程に題を言わせて随意選題の 記述 第32回は, 想のまとめかたについての簡単な文話のあと,1 128.

(12) . 芦田恵之助の綴方教授実践の考察 に放つ, 後に 「教式」 の第一段とされるようになる手順が採られている。 これは 3年生のときも , ほぼ同時期 (第30回, 9 月1 2 日) に 行 わ れ て い る。 こ の 回 も 成 績 は よ か っ た が, さ ら に 次 の 第 33 回になると, 「佳境に進んできた」といわれるほど引き締まっ てきた。 両回に掲げられた6篇はいず れも特徴のある名 篇である。 第34回は1時間かけて 「秋」 の文題を考えさせた。 その結果は次時に 児童にも披露されたが, この 「文題調べ」 は教師の研究材料として意義 が深い と説かれている , 。 第35回, 第36回とも高潮を維持し, 第37回はいつ もの良文朗読のあ と 範文 「あばれ馬」 の鑑 , 識をさせている。 これは無駄のない引き締まっ た良文であっ たが .芦田は敢 えて 「直すこところは , , ないか」 と児童に迫っ た。 子供たちも負けず に 「ない」 と主張して譲らず 頼もしい評価力 をみせ , た。 芦田はそれを喜んだ上で, 「はらはらして見ていると」 の一句を付け加えてみせて 「文章は- , 語で生き, 一語 で死ぬ」 と教えた。 児童らは 「やられた」 というように破顔微笑し この高度な文 , 話がよく通っ たことを示している。 これに力を得たの であろう, 芦田は次の時間に 「ものの見方に は研究的, 利用的, 鑑賞的の3通りある」 というかなり理の勝っ た文話を試みたが さすがに程度 , が高す ぎたか, たいして共鳴はなかっ た。 第 3 9 回は, 前時の優良文の批評に時を過 ごして記述時間が狭まり わずか1 5分で一気= 可成に綴 , らせた。 意気は盛んであったがやはり時間不 足で, 十分 に時間を与えた次時の成績とは明らかに違 いが見えたと述べられる。 第40 回の 「タ ン ク」 「学 校」 「鶏」 は い ず れ も 尋 4 らしさを遺憾なく発揮 した優良な 説 明 文″ であ る。. 第41回までの間に綴方の時間が3 回 欠 け, こ の こ と を 利 用 し て, 第 41 回 の 文 話 では 「綴 ら ん と , する心」 をとりあげ, 1 度思い立っ たものは必ず仕上げよ, また 書こうとする想の中心が鮮明に , 見えてさえいれば困難の大きい題材ほど得るものも大き い, この困難を避けてはならぬ という文 , 話を行って 児童を励ましている。 この日得られた良文は, 尋四段階における 「綴ることと人生との 交渉点」 を明らかに示すもの であっ た。 第43回は, 欠員になった副級長選挙を行い, そのあとこれを課題としてただちに綴らせた これ 。 は想の組立ての違いを 見ることにねらいがあっ た。 結果を 見ると 事実のみを簡潔に略叙 したもの , , その倍近くに精叙したも のや, 自己の感想を記したものなどを収 穫して 次時にはこれらを比較鑑 , 識の材料として 児童に示している。 中に, 「さすがに稚気が抜け ない」と評された幼さを持つ尋三の 優良文があり, 尋四の文章との違 いがはっ きりわかっ て興味深い。 第 45 回の随意選題では 「一時の 勢いが見えなく なっ た」 ため 第4 6回には課題を出して刺激を , 与えている。 (そして, 尋三の, 想の純粋な優良文を範文として示した ) 。 第4 8回は, 2学期末の成績考査 (清書して学校に保 存する) として随意選題を課 した 掲げられ 。 て い る 6篇は, 1学期末の考査と同じ児童の文章であるが 上位から下位ま でいずれも佳作を得て , い る。 第 49 回, 第5 0回は, 学芸会で朗読する作品の予備選考をかねて, 2回にわたっ て 「綴方の会」 が開かれた。 良文に投票させて みると, 教師の評価と全く一致し 芦田は児童等の鑑識力の高さに , 感兄・して い る。. 第2学期最 終回は随意選題 でしめくくられ, 友達のお どけたふるまいを友情をこめて綴っ た 「赤 ちゃん」 , 児童らしい歳末準備を記 した 「お正月の楽しみ」 など, かれらの社会性 を表した味わ いの ある良文を得た。 1 1 1 3 ) . 2. (. 第3学期の綴方教授の歩み. 第3学期は, u伸びた″ というより, 高水準を維持して豊かに展開した″ といっ た様相を呈して 129.

(13) . 村 井 万里子 い る。 た だ, 3 月 2 日に綴られた成績考査だけは, 第1, 第2学期に較べて 多少見劣りがする。「私. には発見できないが何か事情があるらしい。」 と芦田は述べている。 正月は, 児童の生活が複雑で変化に富んでいるため, 3学期始めは 必ず随意選題で始めることに なっていた。 掲げられた3篇のうち, 「東京児童の綴方 “±児童の 「文章生活」 の一端を示している と受けとめられ, 「お書き初めをした 時」 の長所は同時に, 加えるべき想の指導の着眼点 でもある, と読み解かれている。 作品の想が変化に富んでくるにつれて, 芦田の作品解釈も冴え渡っ てくる感 0回 (2月 が 深 い。 こ の 日 は, 11 月 4 鶏こ始まっ た続きもの 「野間」 の 「四一 が綴られ, これは 第6 19 日) の 「七一 まで続く。 この作品が, ほとんど一糸乱れぬ書きぶり で回を重ねていった様子は驚 嘆に値する。 第5 3回は, 1部(単式男子学級) 尋四の作品を使って批正指導を行い, 文章を直すことが, 作品 の美質を表すのにいかに効果あるものかを具体的に知らせた。 第54回は, 加納治五郎校 長の辞職に課題し, お礼の気持ちを綴らせた。 第55回には, 尋六の児 童が代表して読み上げた加納校長への 「謝辞」 を範文として取り上げ, 説明を加えて写させた。 (こ ) の6年生の謝辞は, 少年らしい, 心のこもった良文で, 高師の教授たちの間でも話題に なった。 「 第56回の随意選題を経て, 第57回は, その 成績の良文朗読のあと, 3年生の名文 林檎」 を写 8回は 「気乗りがしてきたと見えて一力のある文章 させて美点を発見させる鑑賞指導を行っ た。 第5 0回の随意選題 でも, 尋4の力″ が が多出したらしく, 次時の批正に好材料を提供している。 第6 よく発揮された。 このとき副題に出された 「綴り方」 は, 後日, 改めて課題にする, と予告された よう である。 第 61 回 の 課 題 「雪」 で は, 3年生との力の 差がはっ きり現れて, 「雪に関するお決まりの生活」 の痔を越えて, 個性的な文章を綴りあげている。 第62回は 「雪」 の批正を行い, 朗読のあと良文一 篇をとりあげて長所と批正すべき個所とを指摘させた。 第63回は, 教生であった 「服部先生に贈る記念文」 として随意選題で綴らせた。 掲げられた作品 には, 教生へのお別れの言葉などはなく, いつものままの, しかし極めて良質のものが並んでいる。 4回も随意選題で行わ 弟妹のことにふれた作品の 良さについて, 芦田は特に注意を促している。 第6 れ, 第3学期成績考査とされた。 第6 4回は, 「湯」 という課題を出して, 「児童がこの 難題をいかに切り抜けるか」 を試みた。 作品 の例示はない(散侠したらしい) が, 面白いものが多かったらしく, 「課題は遊戯気分に満ちたもの だ」 と芦田は語っている。 もっ とも, 真剣勝負でうちこめる随意選題あっ てこそ, 遊戯気分 も活き るの ではなかろうか。 第6 6回(3月 9 日)は, 学年末で師弟ともに 落ち着いた気分が失せてきたと 言われているが, 掲 7回は, 天候の関係で遠足の実施か中止か げられている作品にゆるみは見られない。 ところが, 第6 で大もめにもめ, 挙句の果てに 中止と決まった直後の授業という 危機的(?) 状況の中で行われた。 こういう時は児童は 気落ちして, 教授不能になりかねないところ であるが, 芦田は, 寸鉄人を刺す ような文話 で児童の プライ ドを刺激して, この出来事を 「綴らんとする心」 を鍛える内省の機会に 転化させた。 できた作品に 「惰気」 のないことを芦田は喜んでいる。 最終第6 8回は, かねて予告の通り, 「綴方について一 という課題 で綴らせた。 これは, 綴り方に 対する児童の自覚,即ち文章観がどれほど育っ ているかを見るためのものであった。「代表的なもの」 として掲げられた成績7篇は, 教授者の研究資料として価値が高い。 作品中に出てくる 「文の林」 は, 班ノート″の綴方版にあるもので家庭にも持ち帰られており, 個人文集, 学級文集などと並ん で芦田恵之助の試みた 多彩な文集指導の一環である。 この種の文 章によって, それらがどのような 130.

(14) . 芦田恵之助の綴方教授実践の考察. 効果をあげているかが知られる。 とりわけ個人文集は, 随意選題にもしばしば好材料を提供してお り, 児童の中に広く深く浸透していたことが知られる。. 『 IV . 尋常/小峯 綴方教授書』 巻四の意義 『尋常/小峯 綴方教授書』 は 国語教育研究の上で 実践記録であることのほかに授業実践方 , , 法論としての性格と, 学習者発達研究物と しての性格を兼ね備えている。 I V . 1‐ 教科教育学的学習者発達研 究 発達研究は,1 9世紀末から今世紀にかけて勃興した児童研究によって高い関心を集めるようにな り, 191 0年代の教育測定運動の影響などを受けて科学化が進められてきた。 文章表現に関わる分野 では, 文章心理学, 創作心理学研究の立場から, 文章成作過程の内観法によ る調査, 研究も行われ )も行わ た。 戦後は, 国立国語研究所による大規模なテ スト法, アンケート法による統計学的な調査9 れて大きな成果を上げてきた。 これらは, 窓意性・主観性を克服して, 客観的・科学的な方法によっ て事実を捉え, 国語教育を科学と呼びう る学にまで高めたいという立場から大きな期待が寄せられ てきた。 しかし, こと学校教育に関しては, 上記のような心理学的なアプローチ では 思うように授 0 ) 業実践に役立つ成果が得られにくいという声が上がっ ているよう である1 。 芦田恵之助の研究は, 心理学的研究ではなく, 教育実践研究である。 発達研究には, 第三者が行 う調査的研究と, 教育活動によ っ て達成されるものを見ていく実験研究の両面が必要であるように 思う。 実践者による実験研究をいかに学問的に基礎付けることができるかが, 今, 改めて国語教育 学に問われている。 小学校6年間の文章表現力を調査・統計的手法によっ て調べた研究物をみると, 3, 4年の中学 1 ) しかし 能力の項 働こよっ て開きがあ 年に一つの分岐点のあることを指摘するものは少なくない1 。 , り, また児童の個人差も大きい。 文法, 構想, 文種意識, すべてこのあたりに問題がありそう だ, という所ま では分かるが, それ以上踏み込めないことが多い。 それから先は, 「事例研究」の手法に 任されていくことになる。 しかし, 発達に焦点を据えた 「事例研究」 の場合, 環境や教育的指導は 重要な因子でありながら極めて捉えにくい性格をもち, 間接的部分 的にしか言及されないのが普通 である。 それに対して, 芦田の実践研究は, 教育営為に中心があり, 発達はすべてその窓から捉え られている。 芦田の研究は, 教科 (国語) 教育学の分野から提唱された 「発達研究」 の方法論であ るといえよう。 IV‐. 2‐ 授業実践研究の方法論-基本的指導過程と実践記録研究. 次に, 実践研究の方法論としては, この書物からは 今日的にみて二つのレベ ルの問題を取り出す ことができる。 一つは, 作文教授における基本的指導過程の問題 今一つは実践記録の価値と機能 , についての問題 である。 2 )で表されるもの は 一定時間の授業の中 で教師が展開 今日, 基本的指導過程という用語1 してい , く基本的手順, 方法であると解している向きが多い それも指導過程に は違いないが 「基本 とい 。 」 , う語の本来の意味は, 指導すべき問題をどこからどのように取り出し それを教授活動にどのよう , に分節して いくか, その結果を次の指 導にどう結び付けていくか という 深い意 味での 「授業作 , , りの基本」 であろう。 芦田のこの書物では, 文章表現指導の基本過程がふた つの分節から成り立つことと その各々の , 131.

参照

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