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大学キャンパス内における新入生の居場所に関する縦断的研究

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Academic year: 2021

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(1)平成22年度  学位論文.   大学キャンパス内における. 新入生の居場所に関する縦断的研究. 兵庫教育大学大学院 学校教育研究科 学校教育学専攻学校心理学コース.    MO9034G  清島純江.

(2)                目次. 第1章問題と目的  2.居場所の概念__._.___._.___.__._____.  3.居場所に関する先行研究__.  4.居場所の心理的機能___..___.____..__._..  5.居場所と対人関係._____._._._.____...__..  6.本研究の目的.______..___._.__.._.___. 第2章 方法. 19UOOPO7.Qり.  1.大学新入生の居場所に関する問題__.___._.__..  1.調査対象者____._._.____._._.____._... .10.  2.調査内容_.___.__._.____._.___..___... .10.  3.調査手続き..______.____._._.__..___.. .11.  4.調査日__.____...______..____.__.._.. .12. 第3章 結果と考察  1.大学新入生の「居場所」__.__.__.____.__..   (1)新環境移行に伴う 「居場所」の変化._.____..   (2)大学キャンパス内の「居場所」の変化.____.  2.居場所の心理的機能_____.._.____..__..._.   (1)居場所の心理的機能尺度の検討___..___._   (2)居場所の心理的機能の変化__..____.___..   (3)大学キャンパス内の「居場所」の心理的機能._.  3.対人関係と居場所の関係_._.____._._____..   (1)心理的距離地図(PDM)について____.__..   (2)対人関係の在り方と居場所の心理的機能の関係..   (3)PDMと居場所の関係∼2事例とともに∼___.. 第4章 総合考察  1.居場所になっていく 「部活・諸活動を行う場所」._.. .34.  2.居場所の心理的機能の変化.__.____.__.___. .35.

(3) 3.新入生が求める居場所の心理的機能.. .36. 4.対人関係と居場所______. .36. 5.対人関係の形成と居場所の関係__... .37. 6.まとめ_._____.._._____. .38. 注.. 引用文献  _.. .41. .42−44. 謝辞. Appendix  ①性×時期の2要因分散分析表.  ②フェイスシート____.__.. ”■.  ③居場所の自由記述__.__._. ⋮皿.W.W.  ④居場所の心理的機能尺度._._.  ⑤心理的距離地図(PDM).__.

(4) 第1章. 問題と目的. 1. 大学新入生の居場所に関する問題  大学新入生は,高校までの固定された学級や担任・時間割 の中での学校生活から,個別の履修計画,流動的な友人関係,. 時間の自己管理など,自発性が必要となる環境へと大きな変 化を経験する(独立行政法人日本学生支援機構,2007)。そのた. め,彼らは,このように,新環境における危機的状況の中で 新たな他者との関係において,自分を成長させていくことと なる。Erikson(1959)や藤竹(2000)によると,青年は,自分. の居場所,適所を得ることで,自分のアイデンティティをつ かむ。また,青年期は自分自身について深く考える時期であ り,自己形成を支える意味でも「居場所」が重要になってく る(小畑・伊藤,2001;堤,2002;富永・北山,2003など)。し. たがって,大学新入生にとって,適所や自分の心の拠り所,. 活動拠点となる「居場所」をいかに見つけていくかが重要な 課題となる。. 1.

(5) 2.居場所の概念  居場所の定義は人によって様々であり,曖昧な概念である という批判的な意見もある(田中・田罵,2004;杉山・庄司,2006. など)。これまでの先行研究において,「居場所」とは,自分 が自分であるための環境(北山,1993;藤i竹,2000など),自 己の存在感が実感できる場(堤,2000),自己概念を再確認する ことができる場所(住田,2003),いつも生活している中で,特 にいたいと感じる場所(杉本・庄司,2006),心の拠り所となる. 関係性,および,安心感があり,ありのままの自分を受容さ れる場(則定,2008)という定義がされてきた。したがって,. 居場所とは,物理的空間とそこでの心理状態を含んだもので ある(吉岡・高橋,2010)といえる。居場所は,適応のように,. 個人が環境に対して同化や調節を行うというよりも,個人が 環境に対して同化のできる場所,例えば,大久保・加藤(2005). のいう 「個人一環境の適合の良さ」であり,個人の欲求と環. 境からの要請が一致している状態のような場所であると考え られる。本研究では,まず,今まで曖昧にされてきた居場所 の概念をより明らかにしていく。. 2.

(6) 3. 居場所に関する先行研究  これまでの居場所に関する実証的研究を挙げると,例えば, 小畑・伊藤(2003)は,中学生がどのような場所を自分の心の 居場所としているのかをみた研究を行っており,「家族」「友 達・友達の家」は成長できる場や受容される場であり,「ひと. り」の場所では安心できる場や自己反省をする場であったと している。則定(2007)は、中学生から大学生を対象とし,重. 要な他者に対する心理的居場所感について検討している。男. 子よりも女子の方が母親と親友に対しての得点が高く、心理 的居場所感には性差がみられた。また,自由記述に基づき居 場所に関する尺度を作成したもの(例えば,田中・田爲,2004;. 杉本・庄司,2006など)や学校適応感との関連をみた研究(稲 葉・西・古川・浅川,2001;甲皮・浅川・古川,2002)がある。. 大学生を対象にした研究では,堤(2002)は,自我同一性との. 関連をみた研究を行っており,同一性が混乱している者ほど 自分の居場所がないと感じる傾向があったという。また,石. 本・倉澤(2009)は,アパシー傾向との関連をみた研究を行 っており,大学内友人との関係性における居場所感がアパシ ー傾向や大学生活の意欲と関係している。これらの先行研究 から,人の居場所には一人でいる場所と他者との関係性の中 での場所があり,それぞれの場所で得られる意味や感情が異 なること,それには性差がみられること,また,学校適応感 や精神的健康と関連があることがわかっている。  これまでの研究の問題点として,杉本・庄司(2006)は,調. 査対象者が思い描く「居場所j像が様々であるため,どのよ うな居場所を捉えようとしているのかが明確ではなく,調査 を行う者が捉えようとする居場所像を明確にする必要がある と指摘している。本研究では,大学生活が行われる主要な舞 台となるのが大学のキャンパスであり(南・山口,1991),さら. に,大学生を対象にした研究において「居場所がない」と答 3.

(7) えた者の約9割が大学に関係している居場所を求めていた (中村,2009)ことから,大学新入生がキャンパス内でどのよ. うな場所を居場所と捉えるのかを検討することを第1の目的 とする。また,南・山口(1991)は,新入生の生活空間は未 分化で,時間の経過につれて新環境に対する愛着度が上昇し,. 行動環境が拡大・分化をすると述べていることから,新入生 の居場所は,時間経過に伴って変化し多様化していくことが 予想される。. 4.

(8) 4.居場所の心理的機能  ある場所が新入生にとっての居場所となるとはどういうこ となのか。居場所は,物理的空間とそこでの心理状態を含ん だものである(吉岡・高橋,2010)ため,大学キャンパス内で. 居場所と捉える場所がどのような性質の場所なのかを探る必 要がある。そこで,本研究では,居場所の心理的機能という 概念を用いることとする。.  青年期は,親からの精神的な自立に伴い,すべての欲求を 満たしてくれる家族のいる居場所から離れ,求める機能を満 たす「居場所」をもっこと(富永・北山,2003)や,いくつか. の「居場所」を組み合わせて持つようになり,心理的機能を 充足している(杉本・庄司,2006)という。杉本・庄司(2006). は,居場所の心理的機能を測定するために,「被受容感」「精 神的安定」「行動の自由」「思考・内省」「自己肯定感」「他者. からの自由」という6因子からなる居場所の心理的機能を測 る尺度を作成した。自分ひとりでいる場所や家族といる場所 よりも,家族以外の他者といる場所においては「被受容感」 や「自己肯定感」が高い得点を示すことを明らかにしている。. したがって,居場所の違いや他者との関係の違いによって求 める心理的機能が異なると考えられる。また,大久保・青柳 (2005)の適応に関する研究において,新入生は,大学にお. いて4月よりも10月の方が,周囲に溶け込めているなどの 「居心地良さ」や「被信頼・受容」が有意に高くなったとい. う結果から,新環境移行の過程で,居場所の心理的機能のう ち,他者との関係に関するものが高まっていくと考えられる。. 大久保・青柳(2005)の研究のように,大学新入生の適応に 関する研究の多くは短期縦断的手法を取っており,複数回の 調査を実施している研究が多く(佐藤,2010),5月危機を乗. り越えられるかどうかが新環境移行するために問題となる (古川・藤原・井上・石井・福田,1983)。しかしながら, 5.

(9) これまでの研究において大学新入生の居場所に関する縦断的. 研究はみられない。以上を踏まえ,本研究の第2の目的とし て,キャンパス内の居場所やその心理的機能の変化をみるた めの縦断的研究を行うこととする。さらに、性差についても 合わせて検討し、個人の特性に応じた具体的支援ができるよ うに目指す。.  本研究で調べようとする居場所としては,杉本・庄司(2006). を参考に,特にいたいと感じられる居心地の良い場所であり, 「被受容感」「精神的安定」「行動の自由」「思考・内省」「自. 己肯定感」「他者からの自由」といった多様な心理的機能を有 する場所と定義する。. 6.

(10) 5.居場所と対人関係  中村(1998)は,居場所とは,諸活動の拠点や基地となる心 理・物理的空間であり,これを中心として日常生活は営まれ,. 対人関係が形成されるとしている。これに関して,石本・倉 澤(2009)は,学内友人との関係性における居場所感を持てる. かどうかが大学生活を送る上で大切であるという内容を述べ ている。以上から,新入生においても,大学内の居場所と, そこにおける対人関係の形成の様態には関連があり,例えば,. 大学内で他者と関係している場所を居場所と捉えている者は,. 大学内で安定した対人関係を形成していて,そこで得られる 心理的機能を充足していると予想される。先述した杉本・庄 司(2006)の研究では,自分ひとりでいる場所や家族といる場 所よりも,家族以外の他者といる場所においては「被受容感」. や「自己有能感」が高かった。そのため,大学内で友人と関 わりを持っている者は関わりを持っていない者よりもこれら の機能の得点が高いと予想される。.  大学入学時における人間関係形成に関しては,入学直後,. それまでのネットワークを再検討し,必要なメンバーはその ままに,新しいメンバーをネットワークの中に組み入れると いったネットワークの再構築化が開始される(南・山口,1991)。. これに関して,古川他(1983)は,心理的距離地図 (Psychological Distance Map:以下PDM)を用いて,大学入. 学に伴う対人関係の認知に関する研究を行った。入学後,時 間経過とともに新環境の人に対する心理的距離と人数が旧環 境の人に対するそれに近づいたという。そして, 5月が臨界. 点となり,新・旧環境におけるネットワークの切り替えが行 われることが明らかとなった。本研究においても,大学新入. 生の対人関係の変化をみるために, PDMを用いることが有 効であると考える。中村(1998)等が述べるように,居場所と. 対人関係の形成に関連があるのならば,新・旧環境の居場所 7.

(11) も対人関係とともに切り替わると考えられる。以上から,本. 研究の第3の目的として,居場所の獲得と対人関係の形成の 関連を明らかにすることである。. 8.

(12) 6. 本研究の目的  本研究の目的は,以下の3つである。 (1)大学新入生がキャンパス内でどのような場所を居場所と.  捉えるのかを探索的に検討する。 (2)キャンパス内の居場所やその心理的機能の変化をみるた  めの縦断的研究を行う。 (3)居場所の獲得と対人関係の形成の関連を明らかにする。  以下の仮説を立てて検討していく (目的(1)は探索的に検 討するため,仮説は設定しない)。.  目的(2)を検討するための仮説は以下の2つである。. ①入学後,時間経過に伴い,居場所は変化し多様化するだろ  う。. ②入学後,時間経過に伴い,他者と関係する居場所の心理的  機能は高くなるだろう。また,それは,男子よりも女子の  方が高い得点を示すだろう。  目的(3)を検討するための仮説は以下の2つである。. ③新環境での対人関係を形成している者は,形成していない  者に比べて「被受容感」や「自己肯定感」の得点が高いだ  ろう。. ④入学後,時間経過に伴い,PDM上に表れる新環境の人物  は,その人の居場所に関係している人物だろう。. 9.

(13) 第2章. 方法. 1.調査対象者  近畿地方のA教育大学の新入生177名を対象に,3回の調 査を行った。質問紙に回答してくれた人数(回収されたデー タ数)は以下の通りであった。.  1回目 177名(男子57名,女子120名)  2回目 164名(男子52名,女子112名)  3回目 156名(男子49名,女子107名). 2. 調査内容  質問紙は,フェイスシート,居場所の自由記述,キャンパ ス内の居場所の自由記述,居場所の心理的機能尺度,心理的 距離地図(PDM)で構成した。  (Appendix参照). ①フェイスシート   調査の目的,被調査者の属性,注意事項から構成された。   被調査者の属性としては,性別,生年月日,出身小学校,.  居住形態,兄弟関係の記入を求めた。注意事項としては,.  現在の自分のありのままの気持ちを答えること,記入漏れ  のないよう回答することとした。. ②具体的な居場所の記述(質問1)   「あなたが現在,大学生活の中で,特にいたいと感じら  れる居心地の良い場所はどこですか?」と教示し,具体的.  な居場所の記述を上位5個まで回答させた。また,その場.  所はキャンパス内なのかキャンパス外なのかを選択させ  た。「学生寮はキャンパス外とします」と明記した。. 10.

(14) ③キャンパス内の居場所の自由記述(質問2).   質問1においてキャンパス内を選択したものの中から最  上位のものの記入を求めた。質問1でキャンパス内を答え  なかった場合は,「キャンパス内で選ぶとしたらどこなの  か」の記入を求めた。. ④居場所の心理的機能尺度(質問3)   杉本・庄司(2006)が作成したものを使用した。「何かに.  夢中になれる」「自分だけの時間がもてる」など34項目D  について「あてはまる」(3)から「あてはまらない」(0)ま.  での4件法。質問2で挙げた具体的な居場所について回答  を求めた。.   杉本・庄司(2006)の尺度は,中村(2009)が大学生を対象.  に行った調査によって妥当性が検討されており,大学生に  おいても使用できることが確認されている。 ⑤心理的距離地図(PDM) (質問4).   主な方法はWapner(1978)に基づいて行った。枠の中央  に「自分」と書かれた白紙に,心に浮かんだ人物のイニシ  ャルを枠の中に○で囲んで記入するよう求めた。その際,.  その人物との関係の記述と,その人物が質問1で挙げた居  場所の関係者の場合はその居場所の順位をイニシャルのそ  ばに記入するように求めた。記入例を教示文の下に提示し  た。. 3.調査手続き  授業終了後に質問紙を調査対象者全員に配布し,その場で 回答,提出するよう求めた。答えたくない場合は回答しなく てもよいこと,また,周りの人と相談しないで回答するよう 教示した。.              11.

(15) 4.調査日.  第1回:2010年4月12日  第2回:2010年5.月6日.  第3回:2010年7月15日  なお,入学式は,2010年4月6日であった。. 12.

(16) 第3章. 結果と考察.  本研究の目的に沿って分析結果を記述する。はじめに,大 学新入生が捉えている「居場所」の記述を検討する。次に,. キャンパス内の居場所についての心理的機能の変化と居場所 別の心理的機能について検討する。最後に,対人関係と居場 所の関係について検討する。. 1 大学新入生の「居場所」  (1) 新環境移行に伴う「居場所」の変化  「自分の現在の居場所だと思う場所」を5つまで自由記述 で回答を求め,それらの記述を「実家・親戚の家」 「寮・ア パート・友人の部屋」 「大学関係」 「地元,中学・高校」 「恋. 人」 「車・バスの中」 「趣味・娯楽」の7つの項目に分類し,. 各月,各項目にその記述数を集計した(Figure 1)。.  これらの記述数に基づき,各項目の記述数に時期による差 があるかどうか検討した。ここでは,大まかな違いを見るた め,便宜的にz2検定を行った。各項目において記述数に時期. による差があるかどうか検討した結果,有意であった(z2 (12)=322.26,p<.Ol)。残差分析(p<.05)を行ったところ,「実. 家・親戚の家」の記述数は4月(37.73%)に多く,7,月(22.28%). において少なかった。 「寮・アパート・友人の部屋」の記述 数は4月(34.09%)において少なかった。 「大学関係」の記 述数は4月(14.37%)において少なく,7,月(34.20%)にお いて多かった。「地元,中学・高校関係」の記述数は4月(8.80%). において多く,7,月(3.02%)において少なかった。4月から. 7月にかけて新環境移行に伴い,旧環境である「実家・親戚の 家」「地元,中学・高校」から新環境である「寮・アパート・ 友人の部屋」 「大学関係」の居場所を見つけていく者が増え 13.

(17) 撃榔e癒甥麗謎芝浦慮野曝e姻く廉惑艦              OO渦d               09冒 QQ  QN. 祠9島旧﹂ 8の. 置h. 広ψ.  一一轟日 ﹁ UU一談 ピ︷畷一Uピじい日Uし⋮三⋮㌧釆眼.ジ⋮⋮⋮. ,.,, を,デ,︸.●㌃.叱●曳●.●9げ % %・を曾ザ9,齢,,,ず ,, 註≧をき壽%.’...%%.% 馬%,%.、馬 を電,、、覧 ,,,詑                                                                                                 ■●●●●●●,●●●●●●●●●●●●●●●●●●●. O. 興マ. 14.                ¢8飼ぜ臨          ⋮           冨翰.総”                 ︵蕾N.縄︸                 h頃O         桝           8h                  。。詳 署,講“︶ド副臼 一 一 紡 H﹁諺創一目.             三三ニニニニ   ミせミ ニ ロ昌昌ニニニニロ リロくののニニサリニニニミ   リニニ ニニ ロニきニニリリまニ ロ三三 三三  ニ 二二ニニこ  ニま ミコニニニのニニののニ    のニロ ニ           寮8.轟          鱒           欝程菖.          茎0          “           い霞e.  鵬  男君鄭擁・齢昼、暇薯◎G 辱謡朴K◎U 劃篭eく腐←1<﹄・縦◎棚 騨e怪曝・鎌儲e日  懸腺・誉剣㊦O 仔eK︽・僻◎“ く纈@. 隈懸﹁護]髭︷羅. ていくことが明らかとなった。.

(18)  (2) 大学キャンパス内の「居場所」の変化  大学内の「居場所」自由記述を,大学1年生3名と心理学 を専攻する院生3名とともに整理・分類した。その分類に基 づいて人数を集計した結果がTable 1である。また,各場所 によって選択人数に時期による差があるかどうかを検討した。 大学内であること,3時期ともに人数が十分であることを考慮 して,物理的な場所である「食堂」「図書館」「部活・諸活動 を行う場所2)」「教室」「コンビニ(談話室)」の5つを分析対 象とした。結果をTable 2に示す。. Table 1大学内の「居場所」自由記述内容と人数 4月 場所. 5月. %. n. 7月 %. n. %. n. 食堂(テラス・喫茶含). 71. 40.1. 27. 16.5. 20. 12.8. 寮関係 図書館. 18. 10.2. 9. 5.5. 11. 6.4. 14. 7.9. 12.2. 13. 7.7. 部活・諸活動を行う場所2). 14. 7.9. 20 37. 21.3. 51. 32.7. 教室 友人と一緒にいる所. 10. 5.6. 10. 6.1. 6. 3.8 6.4. 10. 5.6. 12. 7.3. 10. コンビニ(談話室). 8. 4.5. 15. 9.1. 17. 8.3. 大学全体. 7. 4.0. 2. 1.2. 2. 1.3. ピアノ練習室. 2. 1.1. 17. 10.4. 12. 10.9. ※その他. 9. 5」. 5. 3.0. 9. 5.8. 14. 7.9. 10. 6.1. 5. 3.2. 無回答・なし・不明. 合計. 177. 164. 156. ※その他…トイレ、芸術棟、総合研究棟、保健室・カウンセリング室、実験室、音楽室、クラス.   コースで集まる所、ATM、広場、道.    Table 2大学内の各居場所の選択人数 多重比較. 4月 5月 7月  0. (ライアン法). 食堂 図書館 部活・諸活動 教室. 62 26 20 44.87”. コンビニ. 8 14 17 5.25’. 4月>5月,7月. 11 19 13 4.00 12 33 50 44.37”. 4月く5月く7月. 7 9 6 O.74. **p〈.Ol, +05〈p〈.10. 15.

(19)  4月,5月,7月において,大学新入生が「居場所」だと思 う場所について,その場所を挙げた人数に差があるかどうか をコクランのQ検定によって検討した(食堂:9(2)=44.87, p<.01,図書館:Q(2)=4.00,ns,部活・諸活動を行う場所: Q(2)=44.37,p<.01,教室:C(2)=0.74,ns,コンビニ:e(2)=. 5.25,.05<p<.10)。有意差の見られた「食堂」「部活・諸活動. を行う場所」についてマクニマーの検定を用いてライアン法 を適用し,多重比較を行った。その結果,「食堂」は4月より も5.月(.」Ur 2(1)=21.88,p<.05),4.月よりも7.月(,trt 2(1)=32.33,. p<.05)において選択した者の人数が減った。一方,「部活・ 諸活動を行う場所」は4月よりも5,月(直接確率,p<.05),4 月よりも7月(]2rt 2(1)=32.60, p<.05),5月よりも7月 (z2( 1)=7.76,p<.05)において選択した者の人数が増えた。.  調査対象者をマッチングし,居場所として選ばれる場所の. 変化の様子を示したのがFigure 2である。図が複雑になる. ため,3人以上の選択があった場合のみを矢印で表した。4 月は多くの人が食堂を選択したが,5月になると食堂から分 散して様々な場所が選ばれるようになり,5月において「居 場所は変化し多様化するだろう」という仮説1は支持された。 ただし,その後7月には部活・諸活動を行う場所に集束して いく様子が明らかとなった。. 16.

(20) 4月. 5月. 7月. ※nニ3以上のみ集計. Figure 2「居場所」として選ばれる場所の変化. 17.

(21) 2.居場所の心理的機能  (1)居場所の心理的機能尺度の検討  「あてはまる」3点,「どちらかというとあてはまる」2点, 「どちらかというとあてはまらない」1点,「あてはまらない」. 0点の得点範囲であった。.  居場所の心理的機能尺度34項目に対して主因子法・プロ マックス回転による因子分析を行った。その結果,十分な因 子負荷量を示さなかった4項目(「2自分だけの時間がもてる」 「6自分はそこのメンバーである」「14自分の物がある」「24. 自分のことについてよく考える」)を分析から除外し,30項 目について再度,主因子法・プロマックス回転による因子分 析を行った。その結果,5因子が検出された。結果をTable 3 に示す。杉本・庄司(2006)と中村(2009)を参考に,第1因子. を「ありのままの自分」,第2因子を「自己有能感」,第3因 子を「被受容感」,第4因子を「思考・内省」,第5因子を「充 足感」と命名した。なお,各因子のα係数を算出したところ,. 第1因子.91,第2因子.85,第3因子.84,第4因子.79, 第5因子.83であった。. 18.

(22) 11. Table 3居場所の心理的機能尺度の因子分析 1. 08 07 76 25 95 85 85 75 65 54 5 8. ありのままの自分(α=.91) 20自分らしくいられる. 27素直になれる 31本当の自分でいられる. 22自由だ 7安心する 33無理をしないでいられる 13自分の好きなことができる 28誰にもじゃまされない. v. 皿. .05. .01. 一.19. .13. .20. .18. 一.10. 一.09. 一.Ol. .19. .06. .03. 一.26. .16. .17. .09. 一.04. .12. 一.08. .36. 一.12. .oo. .15. .15. .29. 一.07. 一.05. .07. 一.18. .23. 一.05. 一.06. .oo. .06. .17. 一.32. .1 1. 一.17. 一.33. .30. .oo. 一.13. 1.00. 一.15. 一.07. .08. 16自分はうまくやれる. .17. .74. .13. 一.05. 一.03. 12自分に自信が持てる. .16. .69. .03. 一.1 5. .02. .01. .58. 一.18. .20. .09. .51. .34. .38. .04. .16. 一.18. .oo. 一.14. 5自分の好きなようにできる 26人を気にしなくていい. 19他人のペースに合わせなくていい. 自己有能感(α=.85) 15自分の能力を発揮できる. 1何かに夢中になれる. 25人のために何かができる. 一.31. 被受容感(α=.84) 29悩みを聞いてくれる人がいる 21自分を本当に理解してくれる人がいる. 23人と一緒にいられる 4一人じゃない. .12. .14. .47. 一.13. 一.1 9. 一.08. 一.1 6. 一.12. .03. .36. 一.01. 一.04. .04. 8自分は大切にされている. 思考・内省(α=.79) 30ボーつと考え込むことがある. 34物思いにふける. .04. 一.06. 一.07. 一.06. 一.02. .14. 31日のことを振り返る. .02. .10. .15. 18人に会わなくていい. .21. .03. 一.28. 17寝ることができる. 32満足する 1.     1. .04. .07. .21. 19. 一.11 一.11. v .64 .40 一.18.     N     v. .12 一.04. 一.08 .08. 一.04. .03. 一.08. 一.05.  .27.     皿. .07. 皿 .52.     皿. 一.Ol. .18. 皿. 因子間相関. .07. 一.10. 7﹁7﹁∩04. 10好きなものがある. ﹃0ハ∠34ー ハ U﹂一00. 11幸せ. 0 り00︻01 ∩U4ーウ鮨n∠. 9楽しい. .20. P1 O 00171 48 T4 314. 充足感(α=.83). 一.08. .01. 1Ω0 77841 りΩU轟04T4T. 9 丁轟 O0U n五 O8 轟1 O2 FO. .09. 一.03.

(23)  (2) 居場所の心理的機能の変化  性別による居場所の心理的機能の変化の違いを検討する ために,居場所の心理的機能尺度の5因子の各平均得点に対 し,時期(3)×性別(2)の2要因分散分析(混合計画)を行った。. その結果を:Figure 3.a,b,c,d,eに示す(平均値等の詳細. はAppendix i参照)。「ありのままの自分」について交互作 用に有意な傾向がみられた(F(2,216)=2.65,.05<p<.10)。単. 純主効果の検定の結果,4月における性別の単純主効果 (F(1,108)=6.40,p<.05),女子の時期による単純主効果 (F(2,216)=8.18,p<.01)が有意であった。 LSD法(5%水準). による多重比較を行ったところ,女子において4月よりも5 月,7月が高い得点を示した。「自己有能感」について交互作 用が有意であった(F(2,216)=5.86,.ρ<.01)。単純主効果の検. 定の結果,4月と 7月における性別の単純主効果(4月: F(1,108)=23.81,p<.01,7月:F(1,108)=5.42,p<.05),女子. の時期による単純主効果(F(2,216)=11.24,.ρ<.01)が有意であ. った。多重比較を行ったところ,女子において4月よりも5 月,7月が高い得点を示した。「被受容感」について時期の主 効果のみ有意な傾向がみられた(F(2,216)=2.50,。05<p<.10)。. 多重比較を行ったところ,5月よりも7月が高い得点を示し. た。「思考・内省」について交互作用が有意であった (刃(2,216)=3.82,,lo<.05)。単純主効果の検定の結果,女子の. 時期による単純主効果(F(2,216)=5.58,p<.01)が有意であっ. た。多重比較を行ったところ,女子において4月よりも5月, 7月が高い得点を示した。「充足感」について時期の主効果の み有意であった(F(2,216)ニ3,69,p<.05)。多重比較を行った. ところ,4月よりも5月が高い得点を示した。  「充足感」について時期の主効果が有意で, 4月よりも5 月の得点が高く,「被受容感」について時期の主効果に有意な. 傾向がみられ,5月よりも7月において高くなった。また「自 20.

(24) 己有能感」について交互作用が有意で,女子において,4月 よりも5月,7月において高くなった。したがって,「時間経 過に伴い,他者と関係する心理的機能の得点が高くなるだろ う。」とした仮説2の前半部分は支持された(:Figure 3, Appendix i)。さらに,性差に関しては,男女で特徴に違い. がみられた。男子はどの心理的機能についても時期による差 はほとんどみられなかった。一方,女子は, 4月における得 点が低かった(「ありのままの自分」「自己有能感」「思考・内. 省」)が,時間経過に伴い男子の得点に近づいた結果となった。 したがって,「男子よりも女子の方が高い得点を示すだろう。」. とした仮説2の後半部分は支持されなかった。.  また,自分ひとりの場所で得られる機能である「ありのま まの自分」と「思考・内省」について交互作用が有意で,女. 子において,4月よりも5月,7月において高くなった。こ れは仮説2で挙げた以外の居場所についての心理的機能も高 まることを示しており,あらゆる心理的機能は入学後に高ま ると言えよう。. 21.

(25) 2.5. 2,5. 2.0. 2,0. 1.5. 1.5. .一一一一一一一一一一.一・一一一一.. 1 .0. 1 .0. 一〇一男子m=28. 一ひ一・男子:n=28. 一●一女子mニ82 O.5. O.5. o.o. o.o.   4月     5月     7月.  4月     5月     7月. Figure 3.a「ありのままの自分」平均値. figu re 3.b「自己有能感」平均値. 2.5. 2.5. 2.0. 一鱒隔女子:n=82. e一一一.,.,,s,,,,.…一e. 2.0. 1.5. 1.5. 1.0. 1.0. ■◎一男子n=28 ■→一男子:n=28. 幽●m女子n=82. O.5. O.5. o.o. 一●齢女子m=82. o.o. 4月     5月     7月.  4月     5月     7月. Figure 3.c「被受容感」平均値. Figure 3.d「思考・内省」平均値. 2.5. 2.0. 1.5. 1.0. ■←一男子n=28 儒嚇一女子n=82. O.5. o.o. 4月 Figu re 3.e. 5月     7月 「充足感」平均値. 22.

(26) (3) 大学キャンパス内の「居場所」の心理的機能  大学内の「居場所」(食堂,図書館,部活・諸活動を行う場所,. 教室,コンビニ,ピアノ練習室)の違いによって,居場所の心. 理的機能が異なるかどうかを検討するために,4月,5月,7 月のそれぞれにおいて1要因分散分析を行った(男子の人数 が不十分であったため性差は検討しなかった)。その結果を Table 4.a,b,cに示す。分散分析の結果,4月では全ての群 間において,5月では「ありのままの自分」「自己有能感」「被 受容感」「思考・内省」において,7月では「自己有能感」「被. 受容感」「思考・内省」において有意な主効果がみられた。. LSD法(5%水準)による多重比較を行ったところ,3時期と もに「ありのままの自分」は図書館が,「自己有能感」は部活・. 諸活動を行う場所が,「被受容感」は食堂と部活・諸活動を行 う場所,教室が,「思考・内省」は図書館が他の場所よりも高. い得点を示した。また,ピアノ練習室は,5月,7月ともに 「ありのままの自分」及び「思考・内省」の得点が高かった。. 23.

(27) Table 4.a 居場所機能尺度の居場所別の平均値と分散分析結果(4月)   A食堂. B図書館 C部活・諸活勤 D教室  Eコンビニ. n   66.  13 13 10 9. ありのままの自分.  自己有能感. 1,59 (O,59). (O.46). (O.78). (O.64). 1.54. 2.28. O.92. 1.09. (O.40). (O.63). (O.75). 1.08. 1.11 (1.08). 1.71 (O.60). 2.27. 2.33. (O.57). (O.67). 2.14 (O,61). 1.00 (O,85). 2.71 (O.36). 1.70 (O.82). O.78 (86.00). 1.28 (O.86). LSD法(P〈.05).   紳 12.45. 1.93. (O.78). (O.65).   充足感. O.82. 1.22. (O.49).  思考・内省. (O.52). 2.03. (O.82). 2.08.   被受容感. 2.47.  多重比較. 01E4,106.   紳 6,32 0ee 4,106.   躰 6,89. 1.53 (O.81). aeE 4,106.   躰 2.87. 1.24 (O.85). σ揖4,106.   糟 8.65. 1.83 (O.75). σ揖4,106. D〈A〈B,C D〈E.  BA.E.D〈C  E,B〈CA  BくD.   A,C.D〈B. A,EDくC  D<BA.              ※ピアノ練習室はn=2だったため分析から外した。 ()内は標準偏差,**ρくρ1,*ρ〈05. Table 4b 居場所機能尺度の居場所別の平均値と分散分析結果(5月)   A食堂. B図書館 C部活・諸活動. D教室  Eコンビニ Fピアノ練習室. n   24.  20 36.  10 13 15.           1.77. ありのままの自分.           (O.60).           1.42.  自己有能感.           (O.74).           2.14   被受容感.           (O.64).           1.30.  思考・内省.           (O.7−5).           2.36.   充足感           (O.54). 2.29. 1.89. (O,79). (O.59). 1.47. 2.15. (O,63). (O.52). O.95. 2.22. (O,53). (O.52). 1.93. O.98. (O.74). (O.72). 2.29. 2.60. (O,63). (O.48).  多重比較.                F 2.00. 1.82. 2,48. 0.62. (O.81). (O.54). 2.02 (O.74). 2.46 (O.51). 1.93 (O.47). 2.43 (O.68). 1.49 (O.84). 1,71 (O.52). 1.98. O,74. (O.88). (O.64). 1.42. 1.80. (O.80). (O.75). 2.27. 2,42. (O.70). (O.48). LSD法(Pく.05).  韓 3.24. aeE 5,1 12. 5,23  緋.   C,EA〈F,B. E,Bハ,F<C  B.A〈D. aeE 5,113.   寧事 22.34. 0障5」12. 608纏 aeE5,113.  B.F〈D,CA,E.  A.C〈B,D,F. 1,08 aeE 5,1 14.                                ()内は標準偏差,**ρく.01,*ρ〈.05. Table 4,c 居場所機能尺度の居場所別の平均値と分散分析結果(7月)   A食堂. B図書館 C部活・諸活動 D教室  Eコンビニ Fピアノ練習室. n   18.  12 46 4 15 11. ありのままの自分.  自己有能感   被受容感.  思考・内省.   充足感. 1.84. 2.41. 2.28. 1.86. (O.59). (O.52). (O.61). (1.13). (O.71). (O.62). 1,42. 1.45. 2.16. 1.70. 1.15. 2.02. (O.77). (O.79). (O.52). (O.61). (O.78). (O.76). 2.22. O.85. 2.35. 2.20. 1.87. 1,62. (O.67). (O.74). (O.56). (O.58). (O.83). (1.04). 1.28. 2.13. 1.00. 1 .44. 2.29. (O.75). (O.48). (O.65). (O.78). (O.78). (O.61). 2.49. 2.00. 2.54. 1.94. 2.25. 2.55. (O.45). (O.60). (O.59). (1.15). 1.82. 1.65. 1.68. (O.58). (O.53).  多重比較 LSD法(P〈.05). 2A3  牌 aVE5,99 7.09  躰. σ障5,100.  CA,E〈F E〈B B,A,E〈C A,E〈F. 9,16樽 σ降5,99. 9.63  榊. B〈CA,D,E,F F〈CA E,A,CくF,B  C〈E. σ障5,100 2.34. aVE5,100.   B〈F,C,A. ()内は標準偏差,**ρく.Ol,*ρ〈.05. 24.

(28) 3.対人関係と居場所の関係  (1) 心理的距離地図(PDM)について  古川他(1983)を参考に,PDM上に表されたイニシャルの中. 央が記入された位置を基準として得点化した。調査用紙の中. 央の「自分」に最も近い位置を1点として,同心円状に10mm. 間隔で離れるにしたがって2,3,…10点とした。その逆数 の10倍を心理的距離と呼ぶ。この方法に基づいて心理的距 離を算出した。.  また,PDM上に書かれた関係の記述に基づき,「家族」「旧 環境友人(以下,旧友人)」「新環境友人(以下,新友人)」「恋. 人」「旧環境先生(以下,旧先生)」「新環境先生(以下,新先. 生)」の6つに分類した。イニシャルのみのものや分類できな. いものは「不明」とした。この分類に基づいて人数を集計し た。なお,「家族」「旧友人」「旧先生」を「旧環境に属する人」,. 「新友人」「新先生」を「新環境に属する人」とした。. 25.

(29)  (2) 対人関係の様態と居場所の心理的機能の関係  PDM上に表れた者を,関係の記述に基づき,新・旧環境で 分類し,それぞれの人数と心理的距離に対して階層的クラス. タ分析を用いて,3つのクラスタに分類した。3群の特徴を :Figure 4.a, bに示す。 PDM上に旧環境に属する心理的距離. の近い人が多く表れ,さらに,新環境に属する人とも心理的 距離が近くなっていく群を「積極的対人関係群(以下,積極. 的群)」(45名),3時期を通してPDM上に旧環境に属する 心理的距離の近い人が多く表れる群を「旧環境対人関係重視. 群(以下,旧重視群)」(41名),PDM上に旧環境の人より も新環境に属する心理的距離の近い人が表れるようになる群 を「新環境対人関係重視群(以下,新潮視野)」(53名)と命 名した。. &,6543210.        出島磯境(人数)        纏萩環境く人数). 凱監匿睦鋼.   廻  調  7月  用  調  7月  4月  調  7月   積極的紺人関係群  IH環境妨人関係璽視群新環境対人関係望視群.      F直gure 4.a群(対人関係・人数)の特徴 tp〈.05 蔓                        鋤旧瑚境(距離) ’). @     *           贈新環境(距離〉. 泓脚継臨酬囲   4月  網  7月  4月  5月  7月  凋  5月  7月   繕極的対人閾係群  IH環焼鱈入構際重視群新日焼対人関縣灘撹群 tpく・05 @    FigUi’e 4.b群(対人関係・距離)の特徴.  対人関係の様態の違いによって,大学キャンパス内の居場 所の心理的機能得点に差があるかどうかを検討するため,居. 場所の心理的機能尺度の5因子の各平均得点と合計得点に対 26.

(30) し,群(3)×時期(3)の2要因分散分析を行った。結果をTable 5 に示す。.  「ありのままの自分」について時期の主効果(∬(2,210)=. 14.07,p<.01)がみられた。 LSD法(5%水準)による多重比. 較を行ったところ,4月よりも5月と7月において高い得点 を示した。「自己有能感」について時期(F(2,210)=18.41, P<.01)と群(F(2,105)=2.94,.05<P<.10)の主効果がみられた。. 多重比較を行ったところ,4月よりも5月と7月において高 い得点を示し,旧重視群よりも新重視群が高い得点を示した。. 「被受容感」について交互作用が有意であった (F(4,210)=2.95,p<.05)。単純主効果の検定を行った結果,4 .月(F(2,105)=4.47,.ρ<.05)と7,月(F(2,105)=5.22,.ρ<.01)に. おける群の単純主効果,積極的群における時期の単純主効果 (F(2,210)=9.98,p<.01)が有意であった。多重比較を行った. ところ,4月と7月において旧重視群よりも積極的群と新重 視群が,5月において旧重視群よりも新重視群が高い得点を. 示した。さらに,積極的群は5月よりも4月と7月において 高い得点を示した。「思考・内省」について交互作用に有意な 傾向がみられた(F(4,210)=2.24,.05<p<.01)。単純主効果の. 検定を行った結果,旧重視群における時期の単純主効果 (F(2,210)ニ5.90,p<.01)が有意であった。多重比較を行った. ところ,7月において新重視群よりも積極的群と旧重視群が. 高い得点を示した。また,積極的群は4月よりも5月,旧重. 視群は4月よりも5月と7月において高い得点を示し,新重 視群は5月よりも7月において低い得点を示した。「充足感」 について時期の主効果(F(2,210)=10.34,p<.01)がみられた。. 多重比較を行ったところ,4月よりも5月と7月において高 い得点を示した。また,各因子の合計得点について,時期 (F(2,210)=16.54,p<.01)と群(F(2,105)=3.57, p<.05)の主効. 果がみられた。多重比較を行ったところ, 4月よりも5月と 27.

(31) 7月において高い得点を示し,旧重視群よりも積極的群が高 い得点を示した。.  群の主効果と交互作用に注目すると,「自己有能感」につ いては旧重視群よりも新重視群が,「被受容感」については旧. 重視群よりも積極的群と新重視群の得点が高かった。そのた め,「新環境での対人関係を形成している者ほど「被受容感」. や「自己肯定感」の得点が高いだろう」という仮説3は支持 された結果となった。. 28.

(32) Table 5各時期の居場所機能尺度の平均得点と時期×対人関係の2要因分散分析結果. ありのままの自分.  自己有能感 卜9. O.        4月           5月           7月.   主効果. 積極的(n=37)1日重視(n=32)新重視(n=39)積極的(n=37)旧重視(n=32)新重視(n=39)積極的(nl=37)旧重視(n=32)新重視(n=39). 時期  対人関係. 1.82. 1.58. 1.77. 2.22. 1.97. 2.09. 2.04. 1.93. 1.91. (O.62). (O.83). (O.69). (O.58). (078). (O,54). (O.60). (O.67). (O,74). 1.48. 1.21. 1.59. 1.78. 1.58. 1.92. 2.01. 1.63. 1.87. (O.75). (O.88). (O.78). (O.63). (O.75). (O,71). (O.62). (O.81). (O,79). 2.1 1. 1.58. 1.99. 1.73. 1.64. 2.07. 2.32. 1.73. 2.12. (O.70). (O.95). (O.68). (O.88). (O.89). (O.76). (O.67). (O.98). (O.67). 1.34. 1.04. 1.18. 1.68. 1.39. 1.39. 1.49. 1.49. 1.08. (OJ1). (O,87). (O.78). (O.79). (O.89). (O.75). (O.79). (O.81). (O.78). 228. 2.01. 2.18. 2.51. 2.36. 2.51. 2.49. 2.27. 2.37. (O.54). (O.94). (O.64). (e.45). (O.54). (O.60). (O,62). (O.57). (O.70). 10.35.   被受容感.  思考・内省.   充足感 合計. 9.03. 7.41. 8.73. 9.92. 8.93. 9.99. (2.24). (3.45). (2.41). (2.22). (2,55). (2.20). (2.39). 9.05. 9.35. (2.72). (2.49).          交互作用 14,07 **. 1.26 ns. O.47 ns. 18.41 **. 2.94 +. O.82 ns. 多重比較 LSD法(ρ〈ρ5).        4月く5月,7月 掛      4戦く5月,7月.         旧く新     4・7月:旧く積,新 5月:旧く新. 5.14 **. 4.51 *. 2.95 *. 6.88 **. 1.80 ns. 2.24 +. 1,75 ns. O,22 ns.       積:5月く4月,7月. 10.34 **.        7月;研く積,1日 積:4月く5月 1日:4月く5月,7月 新:7月く5月.        4月く5月,7月 4旧く5月,7月. 16.54 ** 3.57 * 1.28 ns.  旧く積 ( )内は標準偏差,Pt:ρ〈ρ1,*=ρ〈.05,+:05くρ〈.10.

(33)  (3) PDMと居場所の関係∼2事例とともに∼  PDM上に表れた心理的に距離の近い人物がその人の居場 所に関係する人物かどうかを検討するため,PDM上に,人物 のイニシャル,その人との関係,関係している居場所の順位. の全てが3時期において書かれていた18名を対象として, それらをTable 6に整理した。  関係の記述をもとに,「家族」,「旧友人・先生」,「新友人」,. 「恋人」に分類し,それに基づいて,PDM上に表れた人物の 人数(n1),居場所と関係のある人物の人数(n2), n1の総人. 数に対するn2の人数の割合を求めた。その結果,心理的距 離が近く,さらに,居場所に関係している人物は,3時期を 通して約7,8割出現することが明らかとなった。. Table 6居場所に関係のある人がPDM上に表れた人数と割合(n=18). 34. 25.6. 11.7. 33. 0.0. 2. 0. 69.4. 121. 96. 旧友人・先生. 新友人. 16. 13 0 77. 合計. 111. 24.3. %. 26.4. 31. 33.3. 2. n2. n1. 32. 37 27. 恋人. n2. n1. 39 43 37. 43 50. 家族. %. ㎡1・・. 7月. 5月. %. 4月. 27.3. 29 63. 25 14 50. 39.1. 0.0. 2. 1. 0.8. 79.3. 128. 90. 70.3. 19.5 10.9. n1=PDMに表れた人物全員 n2=居場所と関係のある人物.  PDM上に表れた人物(n1)について,時期による人数の差 があるのか検討するために,関係ごとに一要因分散分析(被 験者内計画)を行った(「恋人」は人数が少ないため除外した)。 結果をTable7.aに示す。旧友人・先生(F(2,34)=3.56, p<.05). の人数に有意な差がみられ,多重比較(LSD法)の結果,4月. と5月よりも7月において人数が減った。新友人(F(2,34) =11.25,p<.001)の人数に有意な差がみられ,多重比較の結 30.

(34) 果,4月よりも5月,5月よりも7月において人数が増えた。 続いて,居場所と関係のある人物(n2)について,同様の分 析を行った(Table 7.b)。家族(F(2,34)=4.92, p<.05)の人数. に有意な差がみられ,多重比較の結果,4月よりも7月にお いて人数が減った。新友人(F(2,34)=7.26,P<。01)において. 有意な差がみられ,多重比較の結果,4月よりも5月と7月 において人数が増えた。.  以上の結果から,新友人の多くは新環境における居場所と. 関係のある人が増えていくことが明らかとなり,仮説4が支 持されたといえるだろう。また,家族は自分の居場所と関係. なくPDM上に表れる心理的距離が近い存在であること,旧 友人・先生は居場所に関係のある人は心理的に距離が近い存 在のままであることが推測された。これらを詳しく検討する ため, 2事例を次に挙げる。. Table 7.a PDM上に表れた人数(nl)の平均と一要因分散分析結果. 4月.  家族 旧友人・先生.  新友人. 5月. 7月. 主効果. 2. 39 2. 17 1. 89.  多重比較 1.SD法 (p<.05). 3.10. (1.46) (1.42) (1.49). 2. 78 2. 39 1. 61. 3.56*   4月,5月>7月. (1.56) (1.97) (1.69). O. 89 2. 06 3. 50 (1. 32) (2. 18) (2. 43). 1.25***  4旧く5幽く7月. ( )内は標準偏差,***ρ〈.OOI,*ρ〈.05. Table 7b居場所に関係する人がPDM上に表れた人数(n2)の平均と一要因分散分析結果. 4月.  家族 旧友人・先生.  新友人. 5月. 7月. 主効果. 2. 06. 1. 78. 1. 39. (1. 59). (1.56). (1. 69). 1.50. 1. 72. O. 78. (1. 72). (1.96). (1. 59). O. 72. 1.83. 2. 78. (1. 07). (2. 31). (2. 32). 4.92’.  多重比較 LSD法(p<.05). 4月>7月. 2.20.  ** 7.26. 4月く5月,7月. ( )内は標準偏差,**ρ〈.Ol,*ρ〈.05. 31.

(35) 事例1:新環境移行型(典型型)  ・女性,実家住まい,兄弟姉妹あり.  ・居場所(自由記述)の順位 4.月…1位:実家リビング,2位:実家床の間,3位:祖父母の家,.  4位:実家自室,5位:寮の友人の部屋 5,月…1位:実家,2位:祖父母の家,3位:祖父母の家3),4  位:弓道場(大学内),5位:寮の友人の部屋 7月…1位:弓道場(大学内),2位:実家リビング,3位:実家,.  4位:祖父母の家,5位:車内.  PDMに表れた人物と調査対象者の居場所との関連について, その変化の様子をTable 8.aに整理した。4,月には旧友人(高. 校の友人)2名がPDM上に表れたが,2名と関係している居 場所は持っていなかった。5Hには新友人(大学の友人)2名 が新たにPDM上に表れ,そのうちの一人と関係している居場 所(弓道場,4位)を持っていた。7月には,5月で居場所に 関係していなかった1名が表れなくなり,新たに新友人(大 学の友人)3名表れ,計4名に。.  また,3時期通して,実家が居場所の上位に挙げられてお り,家族(母)との心理的距離も近い。. Table 8.a事例1:居場所に関係のある人がPDM上に表れた人数と割合. 33.3. 旧友人・先生. 2. 0. 0.0. n2. n1. 新友人. %. 1. n2. n1. 1. 1. 33.3. .1. 家族. 1. 7月. 2. 1. 33.3. 4. 灌. n2. n1. 5月 %. %. 4月. 20.0. 4. 80.0. 恋人. 合計. 3. 1. 3. 33.3. 32. 2. 66.7. 5. 5. 100.0.

(36) 事例2 旧環境重視型  ・女性,実家住まい,弟(妹)あり.  ・居場所(自由記述)の順位. 4A・1位:実家自室,2位:実家,3位:高校 5.月・1位:実家自室,2位:高校,3位:図書館(大学内),.  4位:中学校 7月・1位:実家自室,2位:実家,3位 高校,4位:図書館  (大学内).  PDMに表れた人物と調査対象者の居場所との関連につい て,その変化の様子をTable 8.bに整理した。.  4月には,家族2名と旧友人(幼なじみや中学の友人),恋. 人がPDM上に表れた。家族と関係している居場所は実家(2 位)である。5月には,PDM上に旧友人4名が新たに表れ, 一人がいなくなり,計5名に。関係している場所は中学校(4 位)や高校(2位)であった。また,新たに新友人(大学の友人). が一人表れた。7月には,5月と同じ人物がPDM上に表れた。  3時期を通して,旧環境の人物との心理的距離が近く,そ れらの人々と関係している居場所を持っていた。. Table 8.b事例2=居場所に関係のある人がPDM上に表れた人数と割合. 旧友人・先生. 2 2. 新友人 恋人. 1. 合計. 5. 2. 0 0 2. n2. n1. 7月 n2. n1. 2 5. 0 5. 55.6. 2 5. 1. 0.0. 1. 0.0. 1. 0 0. 40.0. 9. 5. 40.0 0.0. 33. %. n2. %. 家族. 5月. %. 4月 n1. 2. 22.2 44.4. 0.0. 1. 4 0 0. 55.6. 9. 6. 66.7. 0.0. 0.0 0.0.

(37) 第4章. 総合考察. 1.居場所になっていく 「部活・諸活動を行う場所」  4月には4割の者の居場所であった食堂から,5月には様々 な場所が選ばれるようになり,7月頃は部活・諸活動が集中 して選ばれていくという結果となった(:Figure 2)。したがっ. て,「時期に伴って,居場所は変化し多様化していくだろう」. という仮説1は5月において支持されたが,7月においては. 支持されなかった。 1っ目の理由として,Wapner& Demick(1991)の有機発達論的システム論的アプローチの考 えに基づく発達的変化が起こったと考えられる。この理論で は,人は常に何らかの環境の中にいることが強調され,この 人間・環境システムは発達するにつれ,未分化な状態から,分. 化し統合された状態へと移行するという。したがって,新入. 生の居場所に関しても,4月の未分化な状態から,5月に分 化し,7月に統合するという微視発生的変化を遂げたと考え られる。これは個人内で起こる変化過程を説明したものであ るが,新入生全体の集団としても類似の現象が表れることは 興味深い。2つ目の理由として,調査対象となった大学が部 活動の盛んな大学であることが影響していると考えられる。 山田・十河(2009)の「大学生活について」(大学生の学習・. 生活実態調査報告書)によると,大学生の部活加入率は, 49.0%である。一方,調査対象となった大学生の加入率は, 79.1%(2009年)であり,全国平均よりも極めて高い。そのた. め,部活・諸活動を行う場所を居場所とした学生が多い結果 となったのかもしれない。宮下(1995)によると,青年は,. 学校のクラブやサークル,地域の諸団体などの集団とのかか わりを求め,青年に,集団に所属しているという安心感を与 えると同時に,目的を同じくするさまざまな人々(友人)と のかかわりは,人生における価値観(生き方)を明確にする 34.

(38) 助けとなる場合も多いと述べている。また,新井・松井(2003). も,大学生が部活動やサークル集団に参加する目的は,部活. 動やサークル集団が,興味を満たし,技術を向上させる機能 だけでなく,人間関係的な機能も持ち,心理的な支えとして の安定化など多くの機能があると述べている。したがって,. 様々な欲求を満たす部活・諸活動を行う場所が多くの新入生 にとって居場所となっていくことは自然なことであるだろう。. 2.居場所の心理的機能の変化  「充足感」,「被受容感」,「自己有能感」について時期に伴. って高くなった。よって,「時間経過に伴って,他者と関係す. る心理的機能の得点が高くなるだろう」とした仮説2の前半 部分は支持された(Figure 3, Appendix i)。また,自分ひと. りの場所で得られる機能である「ありのままの自分」と「思 考・内省」についても時期に伴って高くなった。この理由と して,適応と居場所の概念の違いにあると考えられる。杉本・ 庄司(2006)は,「自分ひとりの場所」で得られる心理的機能か. ら,精神的バランスを回復すると述べており,時期に伴って 大学や友人に適応していく学生でも,「自分ひとりの場所」で. 得られる心理的機能を充足していくことで適応できていると 考えられる。.  「男子の得点よりも女子の得点が他者と関係する心理的機. 能の得点が高くなるだろう」とした仮説2の後半部分は,4 月の入学直後における「ありのままの自分」「自己有能感」「思. 考・内省」において女子よりも男子の得点が高く,他の心理 的機能については差がみられなかったため支持されなかった。. 入学1ヶ月後には性差がみられなくなった。理由として,第 1に,則定(2007)の研究では,中学生,高校生,大学生の全 ての発達段階を含めた性差の検討であったため,大学1年生 のみを対象にした本研究とは異なった結果となったと考えら 35.

(39) れる。第2に,大学生活において男子よりも女子の方が不安 を感じており,大学生活に馴染めば馴染むほど不安が下がる という藤井(1998)の研究がある。先行研究(堤,2002;石本・. 倉澤,2009)から居場所の問題と精神的健康は関連があると考. えられており,不安などのさまざまな悩みを乗り越えていく. ためにも居場所が重要になってくるだろう。今後は,大学生 の居場所の問題に関する横断的研究を行う必要があると考え る。. 3.新入生が求める居場所の心理的機能  大学内の「居場所」の違いによって求める心理的機能が異 なった。3時期ともに「自己有能感」は部活・諸活動を行う 場所が,「被受容感」は食堂と部活・諸活動を行う場所が高い. 得点を示した。入学当初は食堂を居場所とした者が多く,時. 間経過に伴って部活・諸活動を居場所とした者が増えた (Table 2)ことから,居場所として確立する場所とは,被受. 容感とともに自己有能感も感じられる場所に変わっていくこ とが考えられる。臨床場面から,居場所では,受容され「そ のままに」生かされ,「生かされた主体が決断する方向へ向か う」という竹森(1999)の研究や他者に受容されているという. 確証が自己に自信をもたらすという住田(2003)の説明を,本. 研究において実証的に明らかにできた。つまり,他者から受 容されている場所を得て,その後,「自分に自信が持てる」な. どの自己有能感を実感することができる場所を獲得するとい うプロセスをとる者が多いと推測される。. 4. 対人関係と居場所  大学内の居場所について,旧環境対人関係重視群よりも,. 新環境対人関係重視群が「自己有能感」について,積極的対 人関係形成群と新環境対人関係重視群が「被受容感」につい 36.

(40) て高い得点を示した(Table 5)。この結果から,「自己肯定感」. と「被受容感」は他者との関係の中で充足される心理的機能 であることが確認された。また,積極的対人関係形成群は,. 全体得点についても旧環境対人関係重視群に比べて高い得点 を示した。住田(2003)は,自己概念を再確認できるように, 多様な場所を居場所とし,多くの他者に受容され,承認され,. 肯定されているのだという確証が自己に自信と安定をもたら. すと述べている。したがって,大学新入生は,新旧環境かか わらず,多くの人に支えられている者ほど,安定した自己概. 念を形成しており,新環境での居場所の心理的機能得点も高 くなると思われる。.  「被受容感」は,食堂や部活・諸活動を行う場所において,. 「自己有能感」は部活・諸活動を行う場所において感じられ た機能であったことから,それらの場所が他者との関係の中 で成り立っている場所であると推測できる。都筑(1998)も,. 対人的ネットワークが居場所の役割を果たすことになり,ま た,サークルに所属しない学生は恒常的な居場所を見出しに くいという内容を述べているように,旧環境対人関係重視群. の多くは,これらの場所を居場所と捉えていない,又は,居 場所と捉えていても「被受容感」や「自己有能感」を感じる ことができていないのだろう。.  全ての人にとって,「被受容感」や「自己有能感」を実感で. きる機会や場は必要である。本研究において,旧環境対人関. 係維持群の「被受容感」や「自己有能感」の得点が他の群よ. りも低い結果であったが,その中には,4月や5月で部活動 等に加入せず新環境の友人をつくりそこねてしまった学生も いるだろう。大学側は,このような学生が大学内で他者から 受け入れられていると感じたり,自分の能力を発揮し自信を 持てるような多くの機会や場を設定する必要があるだろう。. 37.

(41) 5.対人関係の形成と居場所の関係  時間経過につれて,PDM上に表れた人物の7,8割は,調 査者対象者の居場所に関係している人物であった(Table 6)。. したがって,居場所と対人関係の形成は関連するという中村 (1998)や石本・倉澤(2009)の先行研究を実証的に明らかにす. ることができた。また,「PDM上に表れる新環境の人物は,. その人の居場所に関係している人物だろう」という仮説4は 支持された(Table 7.a, b)。また,旧環境の友人関係において. もその人の居場所と関連があるという結果であった。すなわ ち,旧環壌に属する人のうち居場所のある人とはネットワー クの切り替えを行わずそのままに,新環境に属する人とは居 場所に関係する人をネットワークに組み込んでいくことが明 らかとなった。これは先述したWapner&Demick(1991)の人 間一環境システムに基づく考え方にあてはまる。ただし,家 族は友人関係とは異なった特別な存在で,居場所に関係なく 心理的距離の近い重要な人物であることが明らかとなった。.  2事例の検討から,新環境において対人関係を形成しない 者は,新環境における心理的に距離の近い人物と関係のある 居場所を持っていなかったり,旧環境の人に対する心理的距 離が近すぎることが特徴として考えられる。しかしながら, 大久保(2004)が述べるように,どのような個人の特徴が望ま. しいか,求められているのかは環境との関係次第であり,大 学内の居場所に関する問題は,その個人の特徴だけによるも のではない。自分ひとりの居場所で自分を見つめ,考えるこ とは青年期の発達に必要である。しかし,他者から受け入れ られているという感覚やその人の自信は他者との関係の中で の居場所において充足する機能であること,さらにそれらの. 機能は新環境における対人関係の形成と関連していることが 本研究で明らかになった。したがって,新入生は,授業や学 内での活動等を通して,大学内での友人関係を形成したり, 38.

(42) 自己の能力を発揮する場を見つけていくことが重要であるだ ろう。.  本研究の結果から,大学側に次のことを提言したい。 (1). 他者といられる場所(食堂など)だけでなく,一人になれる 場所(図書館など)の充実など物理的な居場所の整備,(2) 心理的な配慮,例えば,大学から受け入れられていると実感 できるような日常的な言葉掛け,新しい友人をつくるきっか けとなるオリエンテーション等の実施,意欲的に取り組んだ ことへの評価等,(3)大学内に居場所がないと感じる学生も. 中にはいるので,彼らへの個別の支援について検討・対応し ていく必要がある。. 6.まとめ  本研究により,大学新入生の居場所と対人関係の変化過程 について以下のことが明らかになった。. (1)新入生の居場所は4月には未分化で,5月には分化し,    7月に統合していく発達的変化をとげていく。 (2)新入生が選ぶ居場所は,「被受容感」や「自己有能感」.    の感じられる場所であること。特に,時期に伴って,    「自己有能感」の感じられる場所を選ぶようになる。 (3)新環境で対人関係を形成している者は,形成していな.    い者よりも「被受容感1や「自己有能感」の得点が高.   い。また,新旧環境問わず多くの人々が心理的に近い   存在である者は,新環境における居場所の心理的機能    を充足している。. (4)居場所と対人関係の形成には,友人関係において関連    があり,対人ネットワークの切り替えは,旧環境に属.   する人に対しては居場所に関係する者をそのままに,.   新環境に属する人に対しては居場所に関係する人を取    り組むようになる。ただし,家族は特別な存在で,居 39.

(43) 場所とは関連が見出せない。.  ただし,これらの現象は,地方の教育大学の新入生で実証 されたものであり,大学新入生一般に広げるには,さらに他 大学における検討が必要である。. 40.

Table 3居場所の心理的機能尺度の因子分析 1 11 皿 v ありのままの自分(α=.91) 20自分らしくいられる 27素直になれる 31本当の自分でいられる 22自由だ 7安心する 33無理をしないでいられる 13自分の好きなことができる 28誰にもじゃまされない 5自分の好きなようにできる 26人を気にしなくていい 19他人のペースに合わせなくていい 自己有能感(α=.85) 15自分の能力を発揮できる 16自分はうまくやれる 12自分に自信が持てる 1何かに夢中になれる 25人のために何かができ

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