学校教育法の過渡的性格に関する一考察
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(2) . 古野博明:学校教育法の過渡的性格に関する-考察. 学校教育法の過渡的性格に関する-考察. 古. 野. 博. 明. 1。 は じめ に. ( 1 )学校教育法は,19 47年3月31日公布, 翌4月1日より施行された。 六・三・三・四制の単線型 学校体系の創出にみられる教育目的と学校制度の ドラスティックな改革立法であるにもかかわらず, しばしば指摘されるようにその過渡的性格は否定しがたい. では, いかなる意味で過渡的であるの か. 問題は, 教育目的実現の原理と制度のしくみにかかわっ て提出される. この論点は, 戦後教育 行政制度改革の性格を決定する上で重要なポイントを占め, また, 旧制度的思惟の残存さえ思わし める諸条文の解釈にも少なくない影響があると考えられる. にもかかわらず, 今日の学校教育法研 究は, 管見の限り では教育法解釈学の若干のすぐれた対応を除けば, その通史的扱いや学校制度研 1 )かかる状況とその研究方法 究ないしは官側の行政解釈的検討にとどまっ ており,量的にも少ない。( に不満なしとしないので, 小論 では, 上述の論点に関する若干の試論的見解を述べて大方の批判を 仰ぎたいと思う. なお, 考察の対象とした史料は, 立法過程 で登場するいくつかの法案に限られる 。 ( 2 )問題をリアルに正しく認識す る鍵は, いわゆる 「教育立法の法律主義」 , より正確には教育制度 法定主義の成立をどのよう に分析的にみるかという点にあると思える. 教育制度法定主義とは,「教 育の目的をはじめとしてその基本方針, 教育制度の大本を国民の 代表者をもっ て構成される国会に 2 )と い う こ と であ る お い て 定め る」( .. 帝国憲法と教育勅語の基本的教育原理は, 教育は天皇の 「慈恵」 に基くものであるとする教育把 握にあっ た. 帝国憲法が, 教育を 「臣民権利義務」 の章ではなく第1章 「天皇」 第9条 「臣民ノ幸 福ヲ増進スル為」 の独立命令の内に位置づけたゆえん である. 公教育が天皇の 「慈恵」 によっ て成 立し, 臣民の教育義務 が, その 「聖恩」 に報いる義務とされる以上, 「教育は公法上の権利義務の範 噂から本質的に隔離され, 君権 -- 国家の統治権 -- の内に無限定に包摂されることになる 」即 ち, 教育の目的, 範囲, 対象はひとえに 「 『慈恵』 付与者の一存に委ねられ」 , 日本国民はそこに何 3 ( } らの影響力を及ぼすことも許されなかったの である .教育法規の命令主義が,単に議会の関与を排 するという意図だけ でなく, かかる特殊な教育原理とかかわっ て成立し機能していたとすれば, 教 4 )及びそれを基礎とする教育目的。教育 育は「国民の厳粛な信託に基くもの である」とする教育原理{ 制度の法定主義を明 らかに した日本国憲法成立の歴史的意義は きわめて大きいといわねばならな し\. それは第一に,「平和のうちに生きる権利」(憲法前文) ,「人格の完成」 ,「個人の尊厳」(教基法前文) (同1条) 等々の理念を国民個々人が実現していくためには不可欠な国家権力への影響力や政治社 l 会への 参加を獲得するための人民の社会的実践の, 換言すれば, 国民(peup e)主権原理の教育の分 5 } 教育の目的を行政権力の窓意に委ねるの でなく 国民自らの意思で主体 野への一つの現れである( , . 的に形成し規制する (しうる) ためには法律をもってする以外に方法はないのであり, その意味で 憲法2 6条が「法律の定めるところにより」 すべて国民は, 教育をうける権利とその子女を就学させ 45.
(3) . 古野博明:学校教育法の過渡的性格に関する一考察. る義務を有するとし, 教育基本法や学校教育法でその教育目的の規定が成立したのは画期的な出来 事なの である. しかし, 第二に, このような教育権実現の歴史的条件の出現に鋭く対 応する, より 現状維持的理解が同時に 生まれたことも見落してはなるまい. 国民の 「信託」 に基くという教育 原 理は, 国民の意思=国民代表の意思という論理を媒介に教育はもともと国の事業であり国家が学校 6 ) 憲法26条にいう 「法律に定めるところにより」 教育の主体 であるとする議論に結びつけられた( . とは, 教育をうける権利内容の憲法上の範囲を 「法律によっ て適正に」 明らかにし, 「子女に普通教 育を」という幅の広い教育 義務の対象を「法律上間違いのないようにする為」「何等かの制限をする」 などの必要があっ て規定されたの であり, そのような制 限は「法律 であれば構わぬ.他のものでやっ 7 }と説明された こうして 権利としての教育の対象や範囲を法 てはいけないという解釈に なろう」( , . 律に定める手続を通してあらためて国家の統治権の内に 包摂しうる体制が追求されたことも否定で き な い.. 学校教育法の立法過程は, このよう な教育制度法定主義の動 態の渦中にあっ たとみられる. した がっ て, その過渡的な性格の抽出のためには, 以上の視角を前提に個々の法律案の変遷にみられる ひ だ を 一 つ 一 つ 追 っ て い か ね ば な ら な い と 思 わ れ る. 72年) 今村武俊・別府哲 『学校 6 9年) 山内太郎編 『学校制度』(東大出版会’ 1 ( )仲新 『日本現代教育史』(第一法規’ ’ ’ 0年) など. 7 岩崎学術出版 』( 『 教育法解説』(第一法規 68年) 中島太郎 戦後日本教育制度成立史 ’ 2 8頁 4 7年 )1 国立書院 『 』( 教育基本法の解説 ( 2 )教育法令研究会 ’ 70年) 2-4頁 7巻第3号 ( ( 3 )佐藤秀夫・寺崎昌男 「明治期の教育改革に関する試論」『教育学研究』 第3 28頁 7一1 4 ( )教育法令研究会, 前掲書 12 2頁 3 .2 ( 5 )小出達夫 「教育基本法と地方教育行政の組織及び運営に関する法律」『季刊 教育法』 No ,8 6号 141頁 6 ( ) 拙稿 「戦後教育立法と教育行政の事務配分」『北大教育学部紀要』 第2 20頁, 金森徳次郎の発言. 9-6 6 2年)61 ( 7 )清水伸編 『逐条日本国憲法審議録』 第2巻 (有斐閣’. 2. 教 育 = 国 の 事 務 と い う 制 度 を め ぐ っ て. ( 1 )戦前の教育体制において一般化していた 「教育は国の事務 である」 との観念は, 敗戦後におい ても根強く存続し学校教育法もその影響を免れ得なかっ た. 別稿 でも指摘したとおり, その立法者 8 } しかし 同じように教育を国の事務と規 意思の根底にかかる観念が存在した事実は否定しがたい( , , 定しても, 帝国憲法・教育勅語体制下のそれと日本国憲法成立以後のそれと では, その意味にかな りの相違があると考えられる. 帝国憲法・教育勅語体制下において教育が国の事務 であるということは, 親の教育権を承認し国 家と親との間の権利義務関係の内に教育を設定しようとする見解を排しつつ 「国家将来ノ昌運ノ・未 来ノ相続者タル児童ノ知徳器能如何ニ関ハレリ国家ハ児童ノ教育ヲ其ノ父母ニ 一任 スヘカラス故ニ 9 ( }と井上毅が明瞭に述べたように 教育権の国家による全面的掌握を意 普通教育ノ・国家ノ事務ナリ」 , 味していた. それは, 帝国憲法第9条と教育勅語の特殊な教育把握 -- 慈恵主義の教育原理からの 必然的帰結にほかならない. これに対し, 日本国憲法による 「国民の信託」 原理と教育目的・教育 制 度法定主義の成立は, 教育が国の事務 であるという命題に 一定の変容をもたらすことになっ た. l o }はその意味で最も注目でき 1946 年 12月 24 日, 文部省の省議に提出された学校教育法要綱案( る. 同案は法律案として教育が国の事務 であることを条文に明 記し, その監督権者(地方長官)と管 理権者 (市町村長) を区別する従前のあり方を継承したものであっ た.. 46.
(4) . 古野博明:学校教育法の過渡的性格に関する一考察. 1 3 . 市町村長, 市町村学校組合又は町村学校組合管理者は, 市町村, 市町村学校組合又は町村学校組合 に属する国の教育事務を管掌し, 小学校を管理する. 32 . 公立又は私立の小学校の職員の執行する国の小学校に関する教育事務 は, 地方長官が之を監督する。. 法律が教育を国の事務と規定する教育制 度の原理としくみはいかなるものであったろうか。 小学 校を例にみてみよう。 第一に, 「小学校の教科は国語, 社会, 算数, 理科, 音楽, 美術工作, 家庭, 1 3 1 〕 が明示さ 2 〕 とされ, 教科書は国定制又は地方長官による認可制 〔 体育及 び自由研究とする」〔 1 4 〕 との規定は, 「文部大臣 れた. また 「小学校の教則, 設備, 編制は命令の定めるところによる」〔 之ヲ定ム」 とした従前の規定 (国民学校令第7条) からの若干の変化であるが, 少なくともそれは, 教育内容の具体的な決定ないしは決定のシステム形成を行政権に 全面的に委ねる構想であり, 法律 で定める教科以外には国民の教育要求や教師の実践の影響が及びうるルートはその視野にも入っ て いないことを意味する。 法律で教科を定めその具体的内容を行政権力に委任する形態は, 勅令で教 科を定め省令 で教育内容を決定する従前の制度形態のゆるやかな移行に他ならないが, ただその原 理的意味づけ が異なることに注意したい。 第二に, 教員の職務権限規定をみると, 学校長は 「校務 1 9 〕 とされ, 従前の規定から 「地方長官ノ命ヲ承ケ」 が削除された を掌理し所属職員を監督する」〔 が事後の監督関係に変更はない。「教師は学校長の命を承け子女の教育を掌る」は,従前の規定と同じ である.第三に,次のような場合における公私立学校への監督官庁の閉鎖命令権が規定されている. 1. 法令の規 定に違 反したとき. 2. 安寧秩序を紫乱し又は風俗を壊乱する虞あるとき 3. 六 ヶ月以上規定の授業をなさ ないとき 4. 法令の規定により監督 官庁のなした命令に違 反したとき. 私立学校令第10条の規定とほぼ同様であるが,その対象を公立学校にま で拡大した点がとくに注 目さ れる.. みられるように, 法律に定める教科, 法律の委任によっ て国家が決定する教育内容, 国が編纂す る教科書により, 校長の指揮監督下に営まれる学校と教員の教育 活動を地方長官が監督するという システム, これが 「初等普通教育を施す」〔 1 0 〕 とする小学校の目的実現のために構想された制度形 態 の 基 本 であ っ た (中, 高についてもほ ぼ同様 である) .. さらに, 義務教育観に ついても一定の変容が認められる。 国民学校令は就学義務免除の対象とし て「癒類白痴 又ノ・不具廃疾」を, 猶予の対象として「病弱又ノ・発育不完全其ノ他巳ムラ得サル事由」 を掲げ, それを市町村長が行う国の事務に位置づけていた. 要綱案はまず 「心身の正常 でないため 小学校の課程に準ずる盲学校, 聾唖学校又は養護学校にも就学することの出来ない」学齢子女へと, 免除の対象を大きく狭め, その手続として 「児童鑑別所の鑑定に基く」 ことと規定した. この変化 は,憲法26条による能力に応じて等しく教育をうける権利成立の影響をぬきには考えられないの で 1 1 } 同時に範囲を狭めたとはいえ就学義務免除の対象が残されたこと またその事務は 「市 あるが( , , 町村長の申請により」 地方長官が行う国の事務と位置づけられることにも注目すべき であろう。 即 ち, 義務教育の対象を法律の委任によっ て国家が制限する構想があらたに追求さ身 たというほかな い。 この推移の背景には当然のことながら慈恵主義とは異なっ た教育義務観が伏在していた。 憲法 制定議会貴族院の草案審議の過程 で田中耕太郎文相は =村竹治の質問に答え, 草案第24条第2項 後段 「義務教育はこれを無償とする」 の規定とかかわっ て, こう述べた. 47.
(5) . 古野博明:学校教育法の過渡的性格に関する一考察 「この憲法の規 定は, 政 府と国民との関係を規 定 しておる訳 でご ざいます. そ れ で私立学校の場合に於 ては勿論その私立学校 全体と しては国の 管理に なっ て居る 訳 であります. 併し, 国民の側から申しまする と, 私立学校 で例 え ば国民学校の教育 課程を受けるこ とによ っ て国家に対する 義務 を果たしたと云うこと ( 1 2 )傍点引用 者) に なる意味にお いては憲法のその 範囲に 入っ て 参りますけれ ど……」. この議論は, 憲法第26条第2項の就学義務や義務教育の 「義務」 は国民の側からいえば国家に対 する義務の意味であることを明瞭に述べたもの であり, 逆にこれを国家の側からみれば, 国家にも 1 3 ( ) 教育する権利があることを主張する ものとみられる. 以 上に み ら れ る よ う に, 1946 年 12 月 24 日案の特徴は, 教育の基本原理が天皇の 「慈恵」 から国 民の 「信託」 に大転換するに伴い, 国民の意思;国民代表の意思論を媒介に議会による立法を通じ て,教育が国の事務 であること,したがっ て, その事務執行と教育内容編成のあり様を行政権力の手 に委ねる体制 を再構築しようとしたところに求められる. それは, 親の教育権を前提にしつつ法律 の定めによっ て国家の教育権をも具体的に承認しようとしたのであるが, 国家教育権といっ ても帝 国憲法・教育勅語体制下のそれとは決して同じ性質のものではないことがわかる. いわば, 形式的 i t 議会主義, na on 主権に基礎を置くそれであっ て, 今日主張される 「議会制民主主義」 的国家教育 権 論 の 原型 がこ こ に あ る と い え よ う.. 学校教育法立法過程の初期に, かかる議会主義的国家教育権の思想と構想が存在し支配していた とすれば, 以後の考察ではその思想とその具体的なあり様がいかなる変容を迫られ最終的に どのよ うな制度形態として成立するのか, そのことが最大の焦点にならざるをえないであろう. 1 4 }学校教育法案は 同時に進行しつつあっ た地方教育行 2 ( )1947 年 1 月 17 日, 閣議に提出された( , 5 )ともからんで, 教育を国の事務と明示する条文を削除するととも 政に関する法律案(1 94 7・1・1 0 7条) に, 公私立小中学校の監督権者を都道府県教育長 (4 ,4 , 高等学校監督権者を地方教育総長と 5 し( 7条) , 設置者管理主義も明らかにした(5条) . 教育目的実現の制度形態に関する規定を前案と 2 4条) の比較 でみると, ①教科を法律で定める制度に変更はないが( , 文部大臣の教科書検定制(「当 分の間」 国定制) が初めて規定された ( 2 5条1項) .「教則, 編制及び設備」 は前案と同様 「命令」 で 「定める」とされた. ②教員の職務権限規定, 学校閉鎖命令規定では若干の字句修正(「教師」→ 「教 諭」 , 「監督官庁」 → 「監督庁」 など) があり, また, 私立学校令第9条にならっ て公立学校をも対 象とした 「教育上有害 であると認めたとき」 の監督庁の設備, 授業等の変更命令権があらたに設け 1 られた ( 8条) . ③就学義務に関しては, 義務の免除に加えて 「猶予」 が, また 「病弱又は発育不完 全その他やむを得ない事由」 が挿入された. またその事務は 「市町村教育長が都道府県教育長の認 2 8条) 可を受けて」 行うとなっ た ( . この法案の内容を理解する上で,学校教育法案とともに第92帝国議会に提出されるべく準備され た地方教育行政に関する法律案(1 9 4 7・1・1 5 )にふれる必要がある. 同案の概要を簡潔にみておこ う. ①政令の定める区域 (地方) , 都道府県, 市町村に教育委員会 (議決機関) と教育 (総) 長 (執 行機関) を置く. ②市町村, 都道府県の教育委員は公選制 (議会選出委員を除く) , 教育長は教委の任 命制, 地方教育委員はその区域の都道府県教育委員の選挙制, 地方教育総長は地教委の選 挙により 内閣の任命とした. ③教委の議決事項は, 法令によりその権限に属する事項 (市町村, 都道府県, 地 教委) , 私立小中学校の設置廃止の認可に関すること・教育内容の基準に関すること (都道府県) ,公 私立大学, 高校の設置廃止の認可に関すること (地教委) などで, 教育 (総) 長の所掌事務は, 教委 への議案の提案と議決の執行・教委から委任された事務・法令によりその権限に属する事項・公立 学校・官立の大学・高校の管理など (学校教育法案関係のみ) であっ た. ④教育行政の監督のしくみ 48.
(6) . 古 野博 明: 学 校教育 法 の過 渡 的性格 に 関 す る 一考 察. は, 第一に教委の解散及び委員の解職請求制度 (市町村と都道府県) による住民監督のシステムを とり入れたが, 第二に市町村・都道府県教委の活動及び市町村 o 都道府県教育長の行う 「国の教育 行政事務」 は, 地方教育総長 (第一次) , 文部大臣 (第二次) の監督をうけ, 政令の定める事項に つ いて市町村教委・教育長は都道府県教委・教育長の監督うけることを原則とした ( 4条) 3 8 ,8 . さら に, 国の教育行政機関による上からの監督の システムが次のように明示された. *. 監督庁 が,「教育委員 会の議決又は選挙がその権 限を超え 又は法令若 しく は会議規則にそむく と認め るときは, 監督庁はこれを再議に 付 し又は再選挙を行わ しめること ができる」(90条1項) なおそれが 改まらないときは, 「監督庁は議決又は選 挙を取り消 すこ とができる.」(同1 1項). **. 教育条例の制 定.改廃 な どの事件は 「政令の定め る ところにより監督庁の許可をうけなけれ ばな. らない」(91条). みられるように前掲学校教育法要綱案の「管理及び監督」の規定に比べてより具体的な規定になっ たこ と力ゞわ か る.. このような地方教育行政に関する法律案を合わせて考えると1 947年1月17日案の性格が鮮明に 浮び上がっ てくる。 それは, 教育の 「地方分権」 化, 「一般行政 からの独立」 による教育の自主性確 保と, 「教育行政民主化」 の時代の要請を受け入れた案 であり, それ故, 国家主導型の教育編成を確 保するためには, 国の教育行政機関による監督制度を法律によっ てより詳細に規定しなければなら なかっ たものと考えられる. 法律の定める教科, 国家が決定する教育内容を 「地方の実情に 応じ」 「民意を反映」 して(地教行法案1条)具体化し,「当分の間」 国定教科書を使用して校長の指揮監督 下に営まれる教育活動を,国の教育行政機関の監督下 で都道県教育長の監督に委ねるというしくみ, これが 「初等普通教育を施す」 小学校の目的実現の形態 であっ た. したがっ て, 教育:国の事務規 定の削除は, 教育行政事務の一部地方委譲の 「地方分権」 的要素を反映し. たものとはいえ, その観 念と制度の否定を意味するものではもちろんない. このような基本的枠組の中にとりこまれる教育 の自主性, 教権独立論は, 国家による教育権行使の自制的根拠として位置づけられ, 制度的には, 内務系行政からの教育行政の独立として現れる。 住民監督装置の採用という一定の矛盾的契機の登 場が注目に値するとは いえ国家を教育の主体とする体制 が優位を占めておりその中へ包摂しうるし くみがめ ざされたものとみられよう.. 1 6 )学校教育法案( 1 7 )は 一つの大きな転換を示した ( )1 3 947年3月 7 日の臨時閣議に提出された( , 。 1 8 }目的規定に 「教育基本法の趣旨に則り」「児童心身 第一に, 既往研究でも指摘されているよう に,( 2 1 9 1条) の発達に応じて」 の二句が挿入され ( , 41 ,4 ,6 , その目的達成のための教育目標規定が登 場 した (22 , 42 , 50条) , そ れ を 小 学 校 の 場 合 に み る と 次 の と お り であ る。 1. 学校の内外における社会生活の経験に基き 人々 の相互の依存関係について正 しい理解と態 度とを養 い, 協同と自律の態度を養う。 2. 郷土及びわが国の伝統と現状につ いて正 しい理解と態 度とを養 い進ん で国 際協調の精神を養う。 3. 人間の生存と社会の存立に欠くことの でき ない衣 食住, 交通, 産 業な どにつ いて基礎的 な理解と技 能とを養う. 4. 日常生活に必要な国語を正しく理解し, 使用 する能力 を養う. 5. 日常生活に必要な数量的な関係を正しく 理解し処理する能力 を養う. 6. 自然界と社会における 現象を科学的に観 察し処理する能力 を養う. 7. 心身の調和的な発展を助 け, 健康, 安全幸 福のために 必要 な習慣 を養う. 49.
(7) . 古野博明:学校教育法の過渡的性格に関する-考察. 8. 生活を明るく 豊かに する音 楽, 美術, 文芸, 運動 競 技な どに つ いて 基礎的な理解と技能とを養う.. ここに学校教育法の立法過程は教育 基本法の立法過程とその内容において完 全に合流する. 学校 の目的がより鮮明にされそれを具体化する教育目標が法律に定められるに伴っ て教科についての規 4条)となっ た. 教科名を法律で 2条の目的に応じ監督庁がこれを定める」(2 定は,「第2 1条及び第2 定めることをやめて具体的な教育目的, 目標を法律に明記するということは, 国民が目からの意思 で目的形成に影響力を行使しそのことを通じて教育内容の基本を規制 する一つのシステムが確立さ れるということ である. 法律の定めを通して教育内容の決定を行政権力に委ねるという構想から法 律の定めによ っ て行政権力を規制する方向への転換として, それは学校教育法立法過程においては 特筆すべき できごとであり, 教育基本法の教育目的規定の成立とともに日本教育法制 史において一 つ の エ ポ ッ ク を な す も の で あ る.. 第二に, 教科を 「監督庁が定める」 規定に加えて, 小中学校の 「教則, 編成及び設備は, 監督庁 2 6 8条) とされた. また, 教科書についても検定制の確立を明らかにしながら がこれを定める」( ,4 「監督庁の検定または認可を経た教科用図書または監督庁において 著作権を有する教科用図書を使 2 5条)とされた. これらの監督庁の読み替え規定の条文は史料 では省略さ 用しなければならない」( れているため, 推定によるほかないが, 「当分の間」 文部大臣とされたものとみられる. 前案の法律 制定事項 及び文部大臣の権限事項が監督庁の所掌事務へと一般的規定に変更された背景として, 地 方教育行政に関する法律案が, その 「地方分権」 構想の不徹底さの故にC エ Eの承認を得られず議 会提出が不可能となっ たうえ, 地方教育行政制度改革の見通しが失われたという事情を考慮に 入れ る必要がある. 即ち, 実際には, 地方教育行政制度が確立するま での 「当分の間」 は, 教科及び「教 則」 の決定と教科書の検定又は認可, 編纂が, 監督庁=文部大臣に委ねられたのであるが, そのよ うなしくみは, 教育目的法定主義と教育の 「地方分権」 化を前提と した暫定的な制度形態として登 場 し た も の であ っ た.. また, 教員の職務権限規定が削除されているほか, 監督庁の学校閉鎖命令規定から 「安寧秩序を 素乱し風俗を壊乱する虞のあるとき」が削除さ れた.「監督庁の解釈次第で何 でも包含し得るような」 1 9 )なお 監督庁による学校 規定を「残すことは新しい時代に即 応しないと考えられたからである.」( , の設備, 授業な どの変更命令権に関しては, 資料に省略があるため不明 である. また, 公立・私立 9条) 4 0 8 の小中学校, 高校は 「都道府県における監督庁の所管に属する」 こととなっ た ( ,5 ,4 .就 学義務の猶予・免除規定 では, 「養護学校」 が 「その他特殊教育を行う学校」 となり, また, その事 務に関係する市町村・都道府県 「教育長」 が, 市町村・都道府県 「における監督庁」 と修正された. こ う して 3 月 7 日案の特徴は, 教育目的法定主義を鮮明にしたことと 「地方分権」 の徹底が不可. 避の情勢にあることを表現したところに求められよう. 教育=国の事務という命題とその制度の動 揺の度合はこの法案を画期として急速に強まっ たとみられるの である. 5日第92帝国議会 ( 4 )3月 7 日閣議で了承された学校教育法案は, その後枢密院の諮諭を経て3月1 2 0 )となる 閣議及 び枢密院でいかなる 議論 があっ たかはフォ ロー できないけれど 提出の政府原案( . も, 閣議提出案と政府原案との間には, さらに若干の注目すべき変化が認められる. 第一に, 学校の目的規定から 「教育基本法の 趣旨に則り」 が削除された. これは, 教育基本法と の関係を前案よりやや不鮮明にするとはいえそれを否定したもの ではないであろう. ただ 「小学校 7条) とされ, 教育目標規定も若 は, 心身の発達に応じて初等普通教育を施すことを目的とする」(1 干の重要な修正が行なわれたことに留意する 必要があろう. 50.
(8) . 古野博明:学校教育法の過渡的性格に関する一考察 1. 学校内外の社会生活の 経験に 基き 人間相互の 関係につ いて正 しい理解と協 同, 自主及 び自 律の精神 △ を養うこと. 2. 郷土及 び国家の現状と伝統について正 しい理解に導き進ん で国 際協 調の精神を養うこ と . 3. 日常生活に必要な衣, 食, 住,△ 産業等につ いて基礎的な理解と技能とを養うこと。 4. 日常生活 に必要 な国語を正 しく 理解 し, 使用する能力 を養うこと。 5. 日常生活に必要な数量的な関係を正 しく理解 し処理する能力 を養うこと. 6. 日常生活における自然現象を科学的に 観察し処理する能力を養う こと. 7. 健康, 安全 で幸福な生活の ために 必要 な習慣を養い, 心身の調和的発達 を図ること. 8. 生活を 明るく豊 かにする 音楽, 美術, 文芸 等につ いて 基礎的 な理解と技能を養うこ と. △. (下線部修正個所, △印削除部分). ・と 「教則」( 第二に, 前案の 「教科」(2 4条) 2 6条) が, 統一されて, 「小学校の教科に 関する事項 は, 第17 条及び第1 8 条の規定に従い, 監督庁 がこれを定める」(中学校3 8条, 高校4 3条) となり, 「編制及び設備」 は, 第3条 「監督庁の定める設備, 編制その他に関する設置基準」 に移された 。 教科書制度に ついては前案と同様 であるが, 教科書「以外の図書その他の教材で有益適切なものは, これを使用することができる」 との規定が加わっ た ( 2 1条1 1項) 。 第三に, 教職員の職務権限規定が 復活し,「教諭は児童の教育を掌る」( 2 8条)とされ, 前々案から 「校長の命を承け」 が削除された. 校長の場合は前々案と同様である。 第四に, 監督庁の閉鎖 命令規定の第1号中に 「故意に」 が挿入 され,また監督庁の授業・設備変更命令規定 では,「教育上有害であると認めたときは」(前々案1 8条) 「 法令の規定又は監督庁の定 が める規程に違反したときは」 となり (1 4条) , 監督庁の自由裁量から 法規裁量への転換を明らかに した. 小中学校, 高校の学校所管権の規定は前案と同様に都道府県監 督庁に属せしめられ, その所管権の及ぶ範囲 で市町村立学校管理機関の管理権が制 限される システ ムが成立した. さらに, 就学義務の猶予 o 免除の規定からは, 「身心の正常でないため盲学校, 聾学 校その他の特殊教育を行う学校云々」 が削除されたほか, その事務は, 市町村立小学校の 「管理機 関」 が 「監督庁の定める規程により」「都道府県監督庁の認可を受けて」 行うこととされた( 2 3条) . ’ その他学校教育法でいう学校の範囲, 名称に関する 46・12・24案以来の条文 (1条) が復活した。 2 1 )の内容に簡単に この政府原案の性格を知るには, 19 47年3月 24 日付の学校教育法施行規則案( ふれる必要があろう。 「第2章小学校第1節教科, 教則及び教科用図書」 に次の規定がある. 第43条. 小学校の教科は国語科, 社会科, 算数科, 理科, 音楽科, 美術科, 家庭科, 体育科及び自由研. 究を基準とする. 第44条 小学校の教科の趣 旨及 びその教授方 法につ いては,学習指導要領の基準によらなけ れ ばならな し、 .. 第45条 第46条. 児童が身体の状況によ っ て履修することの できない教科はこれを課さないこと ができる. 小学校の課程は第一表の 基準により校長においてこれを定め る。 校長は各学年の課程表及 び各教科の教授細目を定めた場 合においては, 監督庁に届 出なけ れば. 第47条. ならない. 小学校において各学年の課程の 修了 又は全課程の修了 を認定するに当っ ては,児童の平素 の成 積を総合評定して, こ れを認定しなけ ればならない.. 第4 8条 校長は, 各学年の課程 を修了 したと認め た者には修了 証書を授与することができ, 又その全課 程を修了した者には修了証書を授与しなければならない.(傍点引用者) 以上が3月 24 日案の 「教科に関する事項」 即ち 「教科, 教則」 に関する規定である。 51.
(9) . 古野博明:学校教育法の過渡的性格に関する一考察. みられるように, 学校教育法政府原案は, 3月 7 日閣議提出の基本的性格をひきつぎながらその 具体化を図るとともに法律案としての整備を行なっ たものといえる. とくに注目したいことは, 施 行 規 則 案 の, 教 科 に つ い て は 「・ ・ を 基 準 と す る」(44条) , 教科の趣 旨及 び教授方法については 「学習. 指導要領の基準によらなければならない」(4 5条)という定め方で,「従来の国民学校令のように教科を 法律に-々列挙しなかっ たのは, 教育内容の画一化を避けて如何なる教科を教えるかを都道府県監 2 2 }を具体的に示したものといえる このように 学校教育法 督庁に一任しようという立法の趣旨」{ , . の 「地方分権」 構想は, 国の監督下に教育行政事務を地方の機関に委譲するという段階から, 文部 大臣の権限を具体的に 限定するというところま で到達したの である. この学校教育法案は, 3月 20 日衆議院本会議で, 3月 27日貴族院本会議で原案通り可決・成立 し, 3 月 29 日裁可, 3月3 1日公布されたの であるが, その後においても施行規則案の修正が進め 2 3 )には3月 24 日案の性格をひきつぎながら 「第 ら れ た. 1947 年 4 月 7 日付学校教育法施行規則案(. 2章小学校, 第2節教科」 で次のように修正を加えた. 第25条. 小学校の教科は, 国語△社会△算数△理科△音楽△図画工作△ 家庭 本育△及び自由研究を基準とす る.. 小学校の教科内 容及 びその取扱いにつ いては学習指導要領の基準によ らなけ ればならない. 第2 6条 小学校の教科内容及びその取扱いに ついては学習指導要領の基準に 学習指導要領の 基準により, 校長がこれを定める 校長 がこ れを定める. 第27条 小学校の課程は, 学習指導要領の基準により 第2 8条 (前案4 5条に同じ) 9条 (前案4 7条に同じ) 8条は削除. , 第2 , 前案4. 2 4 )では次のようになった 4月 1 9日付学校教育法施行規則案{ 第24条 第25条 第26条 第27条. (前案2 5条に同じ) . 小学校の教科課程, 教科内容及びその取扱いについては学習指導要領の基準による. (前案28条に同 じ) . 小学校において 各学年の修了 又は卒 業を認めるに当っ ては 児童の平素 の成績を考査して,こ れ を定め なければならない.. 第28条. 校長は 小学校の 全課程を修了 したと認めた者には卒 業証書を授与 しなけ ればならない.. この過程 では, 「教則」 の語が, 「教科課程, 教科内容及びその取扱い」 とより教育的用語に修正 され, 「学習指導要領の基準によらなければならない」 が 「基準による」 とより表現を緩和し, 校長 の 「小学校の課程」 編成権が削除されたことなど, 教育の自主性確保への配慮をうかがうことがで きる.こうして,「教科に関する事項を文部大臣が定める」といっ ても教育課程編成の制度的あり様, その教育制度的基準の決定を委ねているにすぎず, 教育内容を国の行政権力の決定に委ねようとす る構想は, このような形で否定された. かく して, 教育目的法定主義の成立と文部大臣の権限の限定とによっ て, 教育内容とかかわっ て 教育を国の事務と規定しうる制度的基盤は失なわれたとみてよい. この時期の解説書もその観念を 2 5 }こ 法 4 条(設置廃止の認可)6 条(授 業料の徴収)な どに か か わ っ て し か 説 明 し え な か っ た の であ る.(. れは議会主義的な国家教育権の構想の主柱に教育内容を国が決定し教育活動を国家機関が監督する というシステムがすえられ, その意味で法律が教育を国の事務と規定した状況からの著しい変化で あるとみなければならない. しかし, にもかかわらず, 教育内容編成のあり様を規定する教育制度 的基準が当分の間省令制定事項とされた こと,「地方分権」 とはいえ, 教育活動監督のシステムが都 道府県監督庁を中心に構想されたことなど, 教育制度法定主義と教育の国民全体に対する直接責任 52.
(10) . 古野博明:学校教育法の過渡的性格に関する一考察. 制の制度的成立には至らず, 教育=国の事務という観念が否定しつくされたわけではないことにも 注意を払う必要があろう. ( 8 )前掲拙稿 1 2 6頁 ( 9 )井上毅文書 「小学校教育費国庫補助法案」(梧桧文庫文書, 秘1 037 ) , 佐藤・寺崎前掲論文3頁より重引 q o )国立教育研究所 『戦後教育資料』 W-1 3 の清水寛 「わが国における障害児の 『教育を受ける権利』 の歴史」『教育学研究』 第3 6巻第1号などをみよ. 0 2 )清水伸編前掲書 6 26頁 q 3 )田中は, 『教育基本法の理論』(有斐閣’ 1年) で, 「教育をなす権利は両親のみが有するものではない, 義務教育 6 に関する憲法第26条第2項の反面からして国家に教育する権利が認められることになる.」(1 50頁) と述べてい る,. 4 q )仲新前掲書22 7一2 36頁に全文が紹介されている, q 5 )国立教育研究所 『戦後教育資料』 W- ? Q )1947年 3月 8日付朝日新聞 6 Q の1 9 47年3月5日付毎日新聞 Q 8 )仲新前掲書240頁以下, 山内太郎編前掲書1 1頁以下 (執筆西村誠) 9 q 9 り内藤誉三郎 『学校教育法解説』(ひかり出版社’ 47年)61頁 筋国立教育研究所 『戦後教育資料』 W-1 5の学校教育法案 (2 2・3と記入あり) は, 政府原案と同じ内容である. 岡同前W-1 7 ◎内藤誉三郎前掲書64頁 回国立教育研究所 『戦後教育資料』 孤-1 8 回同前W-1 9 岡内藤誉三郎前掲書46 , 81頁 , 57. 3, 「監督庁」 規定について ( 1 )監督庁とは, 一般には被監督者に対する監督権限を有する行政庁の ことをさすが ただ その , , ことから直ちに 「監督庁 がいかなる権限をも当然に権力的拘束的に行使 しうる’ことを意味するとは 限ら」 ず, 「その権限は具体的な 法令の根拠によっ てその内容が決定さ れるという意味において」 , 「同一行政主体内部における下級行政庁に対する上級 『監督行政庁』 という場合」 とは異なること 2 6 ) 現行法制下 では 学校教育法の「監督庁」規定もこのような視角からとらえることを もありうる( , , 必要としているが, この方向は, 「学校教育法が 、 監督をする監督庁を前提としていな , 後見的な、 2 7 ( ) い」 と官側の見解 でも明らかにされているところである 後述のように 学校教育法の「監督庁」 . , 規定は①監督庁の具体的権限を明示 した規定と② 「監督庁」 が 「定める」 とする規定とに区別する ことができるが, 前者については, 法 事 条のように今日 ではすでにその法的規範力を喪失した条文 もある. 後者の場合 でも, 一般的には法律の委任をうけて法律の施行に必要な細目的規定を監督庁 が定めること, 即ち行政立法権 が授権されたものと いえるが しかし 事柄 の性質によっ ては 「監 , , , 督庁」 といい 「定める」 といっ ても 「その文言自体から直接に法規命令制定権=行政 立法権を授権 2 8 )場合もある(法2 されていると解す る必要は論理上必ずしもない」( 0条など) 。 では, そのような状 況下 で,「監督庁」 規定の成立の経過とその構造を吟味することの意義は どこに求うるのか 問題は 。 やはり教育制度法定主義と 教育の国民全体に対する直接責任の原理にかかわっ てこ ざるをえないと 思われる, 官側の見解では 「なんら監督行為を行わない内容を規 定する条文中に 『監督庁』 という用語が用 い ら れて いる の は なお現在依然として同法が古い体制 のままに種々の監督行為をとっ ている 2 9 )とされる 「監督庁」 にかえて「文 ような錯覚を与えるので早い機会に改正することが望ましい」{ 。. …. 53.
(11) . 古野博明:学校教育法の過渡的性格に関する一考察. 部大臣」 と具体的に規定しなおせばそれで問題が解決するといえるだろうか。「監督庁」 規定成立の 、 、 の′ それ , ” 戦後教育行政制度改革の性格を検討して 過 渡 的 性 格 に つ い て 吟 味 を 要 す る ゆ え ん であ る. それ故 1 日イ丁 1 又己 いく上でも欠かせない課題といえよう (以下初等中等教育に 限定して考察を進める) . で 以下の立案経過を詳しく ( 2 )上述のような学校教育法の 「監督庁」 規定の区別は, 以下の立案経過を詳しく検討すること 立証されると思われるの で各法案の推移に即してこれをみていこうと思う. 1. 1 946・12・24学校教育法要綱案 ①監督官庁の権限を具体的に明示した規 定 イ. 官立学校及びこの法律で設置義務を負う学校以外の学校の設置廃止, 設置者の変更その他法令 2 ) の定める事 項の 認可(. 4 ) ロ, 私立学校の校長若しくは学校を代表し校務を掌理する者の認可( ) 5 ハ. 私立学校の校長若しくは学校を代表し校務を掌理する者の解職命令( 6 ) ニ. 公立又は 私立の学校の閉鎖命令(. ② 「命令」 で 「定める」 と規定された事項 イ. 小中学校の, 教則, 編制 及 び設備 (14 , 40) ◎ ロ. 児童鑑別 所について 1) 1 1 2 11 ハ. 小中学校教師の試験に関し必要な事項の規準 ( , 451. 工 ニ. 公立小中 学校国庫負 担経費に関 し必要な事 項 (301 , 48). 2 2 ホ. 小中学校, 定時制高校の教育委員の職務其の他に関する事項 ( , 50) へ. 高等学校 の種類, 学科 (52) 工) ト. 高等学校の専攻科に関 する事 項 (541. チ. 高等学校の設備, 編制, 学科目及その程度, 生徒の入学, 退学, 転学, 卒業及懲戒に関する事 5 7 ) 項( 6 3 ) リ. 高等学校の学校長及教師の資格に関する事項 ( ヌ. 盲, 聾唖, 養護学校の小学部及中学部の教科, 教科用図書, 教則, 編成, 高等部の学科, 学科 目及その 程度並に 設備 (100 , 110) ル. 盲, 聾 唖, 養護学校職員 の 資格 (lolll, 110) 1 1) オ, 授業料に関する事項 (1161 W) ワ. 学生, 生徒の処分につ いて (126‐. 力. その他(就学を妨げる学齢子女の使用者への罰金について, 就学義務不履行の保護者への罰金 について, 地方学事通則等の廃止期日等) みられるように① では, 旧私立学校令の形式がほぼ無傷 壷継承され, 一部は公立学校にまでその 対象が拡大されている. これは, 国家の全面的な教育権掌握の体制が崩壊を迫られたことに対応し て法律に基いたその再編成の意向の一 つの現れとみられる. ②の命令制定事項は大学等に関するも のを含めると実に40項目以上にのぼり, 法律主義の採用 がいかに形式的であるかを示している. 命 令で定めた事項は地方長官の後見的監督に委ねられ, また地方長官の所掌事務も教育活動の監督を はじめ20項目を越える. 学校教育法要綱案は, この方面からも従前の体制のできる限りの維持と再 編成の可能性を法律の定めを通して追求したもの (議会主義的国家教育権の構想) とみ ざるを得な し、.. 2. 1 947・1・17学校教育法案 ①監督庁の権限を具体的に明示した規定 イ. 国立学校及 びこの法律によ っ て 設置義務 を負う者の 設置する学校以 外の設置廃止, 設置者の変 54.
(12) . 古野博明:学校教育法の過渡的性格に関する一考察 更その他命令 で定める事項の認可 (4条) ロ. 学校の増設, 拡張及 び整理に関する命令 (7条). ハ. 私立学校の校長若しくは学校を代表して校務を掌る者の認可 ( 1 1条) ニ. 私立学校の校長若しくは学校を代表して校務を掌る者の解職命令 (1 2条) ホ. 公立又は私立の学校の閉鎖命令 (15条). へ. 公立又は私立の学校の設備, 授業その他の事項の変更命令 (1 8条) ト. 公立又は私立の学校の収支予算及 び決算の届 出受理 (19条1) チ。 公立又は私立の学校の収支予 算の変更命令 (19条m). ② 「命令」 で 「定める」 と規定された事項 イ. 学校設置基準 (2条) ロ. 学校の設置廃止, 設置者の変更以外の監督庁の認可事項 (3条) ハ. 授業料その他費用徴収に関する事項 (6条口) ニ。 校長及 び教員 の資格に関する事項 (10条1 1). ホ. 学生, 生徒及び児童の懲戒に関する事項 (1 2条) へ. 身体検査及び衛生養護の施設に関する事項 ( 1 4条1 1) ト. 教科書について (特別の必要ある場合)( 2 5条1 1) チ. 小中学校の教則, 編制及び設備 ( 2 6 7条) ,2 リ. 就学義務の猶予・免 除について (28 , 47条). ヌ。 高等学校の学科 ( 4 9条) ル. 高等学校及 び盲, 聾, 養護学校高等部の通信教育に関する事項 (51条1 1 , 88 , 91条). オ. 高等学校の設備, 編制, 学科目及びその程度, 教科用図書, 生徒の入学, 転学, 卒業及び懲戒 5 4条) に関する事項 ( ワ. 盲, 聾, 養護学校の小学部及び中学部の教科, 教科用図書, 教則及び編制, 高等部の学科, 学 科目及びその程度, 教材用 図書並 びに 設備 (83 , 88条) 力. この法律施行のために 必要な事項 (102条) ヨ. その他 (104 , 108 , 109 , 110条) (下線部修正ま たは 付加さ れた個 所以下同 じ). ①に ついては, 一, 二の規定が加わったほ たほか基本的な変更はない。 ②では, 若干の整理が行われ たとはいえ, 命令委任事項は相変わらず多い 項は相変わらず多い. これらの命令制定事項は, 地方教育総長, 文部大臣 など国の教育行政機関の監督の下 で都道府県教育長の後見的な監督に委ねられたの である. 3. 1947・ 3 0 7 学 校 教 育 法 案. ①監督庁の権限を具体的に明示した規定 イ. 国立学校以外の学校の設置廃止及び設置者の変更その他監督庁の定める事項の認可 (4条) ロ. 私立学校の校長若しくは学校を代表して校務掌る者の届出受理 ( 1 1条) ハ. 公立又は私立の学校 の閉鎖 命令 (14条) ニ. 教科書の検定又は認可 (25条). ホ. 市町村学校組合等の学校設置経費負担能力の認定 ( 3 8条) 「 監督庁 ② 」 が 「定める」 と規定された事項 イ. 学校の設置廃止, 設置者の変更以外の監督庁の認可事項 (4条) ロ. 授業料その他の費用 徴収に 関する事項 (6条1 1項). ハ. 校長,.教員の資格に関する事項 (9条) ニ. 学生, 生徒, 及 び懲戒につ いて (12条) ホ. 小中学校の教科 (24 , 44条) へ. 小中学校の教則, 編制及 び設備 (26条, 史料 では省略 では がある がおそらく 48条). 55.
(13) . 古野博明:学校教育法の過渡的性格に関する一考察. 1条) ト. 高校の学科 (5 リ. 高校の 設備, 編制, 学科目及 びその程 度, 教科用図書, 生徒の入学, 退学, 転学 , 卒業及び懲. 5 戒その他必要な事項 ( 6条) (注・新聞 報道の 史料 では, 16 , 81条及 び第6章特殊 教育,第7章幼稚園及 び雑則, , 17 , 18 , 48 罰則, 附則 が省 略さ れている). みられるように, ①の具体的権限が限定されて .私立学校の教育の自由を保障する方向が打ち出さ 「 「 れた. ②に ついては, 命令」 で 定める」 とさ れた事項が 「監督庁」 が 「定める」 とかわっ た. こ の 「監督庁」 は 「当分の間」 文部大臣とされたと推定 できるから, 形式的には, 法律の定めを通し て従前の体制に逆戻りしたかにみえないでもないが, この法案が教育目的法定主義を明らかにした ことによりかかる教育制 度的基準も命令で定めるのではなく法律で定める方向への転換が必至の情 勢にあっ たとみられるし, また, 徹底した「地方分権」 化の要請も不可避の状況にあっ たといえる. ただこの二つの課題はその後まだ曲折を経るの であっ て, この段階では, その具体的制度形態につ いては不確定の状況ではあっ たが, 同時にそれ故に 「命令」 で 「定める」 制 度を否定したことが直 ちに教育制度法定主義, 教育の国民全体に対する直接責任の制度形態に置きかえられることに結び つきえない状況であったといえる. かかる事態こそ 「監督庁」 が 「定める」 という規定が登場した 真の理由とみなければならず, そこに, その規定の過渡性が投影されているのである. その意味で もこの学校教育法案は立法過程を分かつ大きな転換点をなすと思われる. 4. 194 7・3・15学校教育法政府原案及び3・31学校教育法 ①監督庁の権限を具体的に明示した規定 イ. 国立学校及びこの法律によって設置義務を負う学校以外の学校の設置廃止, 設置者の変更その 他監督庁の定める事項の認可 (4条) ロ. 私立学校の校長 の届 出受理 (10条) ハ. 学校の閉鎖命令 (13条). 1 4条) ニ. 学校の設備授業その他の事項の変更命令 ( 1) 5条1, 1 ホ. 私立学校の収支予算及び決算, 収支予算の重大な変更の届出受理 (1 ② 「監督庁」 が 「定める」 と規定された事項 イ. 学校の 設備, 編制, その他に関 する 設置 基準 (3条). ロ. 学校の設置廃止, 設置者の変更以外の監督庁の認可事項 (4条) 1) ハ. 国立又は 公立の 学校における 授業料その他費用△ ‘ こ関する事項 (6条1. ニ. 校長及び教員の免許状その他資格に関する事項 (8条) ホ. 学生, 生徒及 び児童の 懲戒につ いて (11条) 1) へ. 身体検査及 び衛生養護の施 設に関する事項 (12条1 ト. 学校の設備, 授業その他の事 項につ いての 法令の規 定以外の規程 (14条) チ. 小中学校の 教科に関する事項 (20 , 38条). リ. 就学義務の督促とその他義務に関し必要な事項 ( 4 5条工 1) ヌ. 就学義務の猶予・免除についての規 程 (23条). 3条) ル. 高等学校の学科及び教科に関する事項 (4 4 1) 5条1 オ. 高等学校の通信教育に関し必要な事項 ( ワ. 高等学校の 入学資格 (中卒 者と同 等以上の学力 があると認め られる者について)(47条) 力. 高等学校の専攻科及 び別科の 入学資格 (高卒 等と同等以 上の学力 があると認められる者につい て)(48条1, 1 1) ョ. 高等学校に関する教科用 図書, 入学, 退学, 転学, その他 必要な事項 (50条) 56.
(14) . 古野博明:学校教育法の過渡的性格に関する一考察. 夕. 盲, 聾, 養護学校小学部及び中学部の教科及び教科用図書, 高等部の学科, 教科及び教科用図 書 (又は幼稚部の保育内容)( 7 3条) し. この法律施行のため必要な事項 (88条) (前案におけるその他の事項 は, 「文 部大臣が定める」 とさ れた ) .. みられるように, 前案の基本的性格を引 き継ぎながら若干の修正と整備が加えられた. ①につい ては, 学校閉鎖命令権( 1 3条)授業等の変更命令 権 ( 1 4条)の規定から 「公立又は私立の」 が削除さ れたが, その趣旨に変更はない. ただ, 法制定直後の1 3条解釈では, 監督庁と市町村立学校の職員 との間の特別権力関係の方面から1 3条各号の事態を矯正 できるとされ, 同条は実際には「私立学校 3 0 )とされたことが興味を引く に対してのみ意味のある規定である」( . ま た, 法 第 106 条 は, 第3条, 第6条第2項, 第8条, 第11条, 第12条第2項, 第20条, 第21条第1項, 第22条第2項 , 第38条, 第43条, 第45条第2項, 第47条, 第48条第2項, 第49条, 第73条, 第79条, 第83条第 4項, 及 び第88条の監督庁並 びに第4条及 び第23条に規 定する定をなす権限を有する監督庁は当分 の 間, これを文部大臣とする. 但し, 文部大 臣はその権 限を他の監督庁に委任す ること が できる .. と規定した. かかる立案経過に みられるように②学校教育法の, 「監督庁」 が 「定める」 という規定は, もとも と 「命令」 で 「定める」 べく構想された事柄 であっ てかつその国家教育権的発想の否定の上に登場 したものである以上, それは, 当初から, 監督 (官) 庁の権限を具体的に明示しそれを次第に限定 してきた規定 (①) とは明瞭に区別して扱われねばならないといえる.「国民の信託」 という教育 原 理と憲法26条の教育制度法定主義の趣 旨に従えばそれは, 本来, 法律で定めるべき事柄 である ま . 3 1 )とさ た, この 「監督庁」 とは, 被監督者に対して 「正当な監督権限を有する機関の意味」 である( 2 3 )とされた れ, その監督権の及ぶ事項は, 法律で 「監督庁 が定めるとか, 何とか規定した範囲内」( けれども, それは,「地方分権」 傾向をもちな がらも教育の地方自治の具体的制度形態が確定してい ない状況において立てられた議論 であることに注意すべきであろう。 学校所管権者を都道府県監督 4条)についても同様に理解すべきである. また, ①についても, とくに, 私立学校 庁とした規定( 3 の教育の自由を保障しようとする意図が明瞭 であるにもかかわらず, 私立学校法( 1 9 4 9・1 2 )の成立 3 3 }という意味ではそれも過渡的位置にあり 公立学校 3条, 14条の存在が否定される( によっ て法1 , に対する設備 o 授業などの変更命令権も教育基本法1 0条1項及び教育委員会法による公立学校所 3 4 ) 管規定の削除 ( 9 3条) などとのかかわり でその存在意義を失なっ ていくのである.( こうして, 学校教育法の 「監督庁」 規定, とりわけ, 「監督庁」 が 「定める」 とする規定は, 当初 の議会主義的国家教育権の構想から教育制度法定主義・教育の国民全体に対する直接責任の原理の 制度的成立へ進む過渡的な段階において現れた暫定措置にほかならない それ故監督庁は 「当分の 。 間」 文部大臣とされたから教育制度法定主義と教育の直接責任 (地方自治) の原理をあいまいにす ると当初の国家教育権的思考に逆戻りしかねない状況さえ存在していたことも見落すわけにはいか な い であ ろう. 圏室井力 「学習指導要領の法的性質」『季刊 例今村武俊・別府哲 前掲書 1 37頁 筋 )室井力 前掲論文 1 6頁. 教育法』 No 6頁 ,6 1. 57.
(15) . 古野博明:学校教育法の過渡的性格に関する一考察 鰹 )今村武・別府哲 前掲書 13 9頁 例 )内藤誉三郎 前掲書 59頁 岡同前 8 5頁 ’ 2帝国議会貴族院教育基本法案特別委員会議事速記録』 第4号 ( 47・3・2 3 ) 鰯 )剣木享弘 『第9 ( 3 3 )私立学校法第5条 (所轄庁の権限) 第1項及び第2項をみよ. ( 3 4 )但し, 教委法93条W項で学校教育法1 4条の監督庁は, 公立学校については当分の間, 都道府県教育委員会とさ れた.. 4. お わ り に. 以上の若干の考察にみられるように, 学校教育法の立法過程は, 憲法26条における 「教育立法の 法律主義」 をふまえた議会主義的国家教育権の構想から出発した. 教育が国の事務 であることを法 律に明記し, 教育制度的基準を大巾に命令に委任したこの構想 では,「国民の信託」 をうけたと称す る国家が, 再び教育の主体として登場し, なかんずく, 教育内容の決定と教育活動の監督のシステ ムがより複雑な論理と機構を通して行政権力の窓意に委ねられる. その後導入される教育の自主性 原理もこのような体制に包摂されること でその両立が図られようとしていた. そしてこの構想も慈 恵主義の教育原理に基く教育権の国家による全面掌握の体制からの変化という意味では日本国憲法 成立に伴う一 つの転 換にはちがいないの である. 初等, 中等教育の場合, 国家的統一を要する事項の範囲と文部大臣の権限を限定しつつ,「当分の 間」 文部大臣が定める学校制度的基準に従い, その監督をうけて学校を設置管理し, 「当分の間」 文 部大臣が定める 「教科に関する事項」 のしくみに基き, 学習指導要領を基準として営まれる各学校 の教育活動を都道府県監督庁が監督するというシステムを基本とする学校教育法の教育目的実現の 制度形態は, 教育目的法定主義の成立と教育の 「地方分権」 原理によっ て当初の国家教育権的制度 のあり様を否定した上で,それにとっ てかわるべき制度形態が未確定のまま19 47年度から新学制の 実施を迫られるという状況の中 で登場した. とりわけ, 教育委員会制度の具体的内容が未確定でそ の成立をす ぐには見通し得ない状況下 で, その間の制度的空白を埋めるため急きょ 考案された暫定 措置 であっ たから, 背後に教育制度法定主義及び教育の地方自治への傾向を伴っ ているとはいえ, 教育基本法1 0条工項の, 教育の自主性, 国民全体に対する直接責任原理からみれば, その不徹底さ ないし後退的性質についての指摘を免れることは できないであろう. このように, 学校教育法の過渡的性格とは, 日本国憲法の成立 -- 天皇の 「慈恵」 から主権者国 民の 「信託」 への教育原理の転換 -- に直面して生じた現状維持的変化, 議会主義的国家教育権の 構想が否定されつ つ, 次第に教育目的法定主義と教育の 「地方分権」 原理へ傾斜しながらも教育基 本法が示す教育目的実現原理の制度的成立にむかう過程 で生じた空白を埋めるという意味での暫定 的な制度形態の成立ということに ほかならない. しかも学校教育法の教育目的実現形態が過渡的で あり暫定的であるということはその後の立法政策の展開にとっ て少なからず不確定要素が含まれて いたことを意味する. 実際, 当時の官側の, 教育基本法や学校教育法の解説書には, 教育を国の事 務と観念し教育の主体を国家として把握する傾向は根強く 存続 した し, 1 947年6 .月20日の地方教 育委員会法要綱案にみる 「教育行政の監督」 のしくみは, 政令の定める区域の地教委構想と地方教 育総長の制度がぬけた以外は地方教育行政に関する法律案 (1・1 5) , したがっ て1月17日の学校 教育法案の構想とほぼ同様 であっ たの である. 平和, 個人の尊厳, 人格の完成などの最大の対立物 であっ た軍国主義の克服のためには, 戦後教育行政改革は, これらの不確定要素を内包する学校教 ion 主 権 か ら 育 法 の 過 渡 的 な 質 を も さ ら に の り 越 え ね ば な ら な か っ た の で あ る. こ の 過 程 は, na t 58.
(16) . 古野博明:学校教育法の過渡的性格に関する一考察 e 主 権へ の 移 行 の 教 育 の 分 野 に お け る 現 れ と して お さ え る こ と が でき よ う。 peupl. こうして, 学校教育法の過渡性を戦前の 「中央集権」 的教育行政制度から, 戦後の 「地方分権」 的制度への過渡性としてみるおお ざっ ぱな視角は, これを避けなければならないといえよう. その ような鈍角からは, 学校教育法の制 度形態を過大視するか, 反対にその過小評価を生むだけ で, 学 校教育法の成立を戦後日本の教育立法政策史の中に正当に位置づけることを困難にする。 また,このような学校教育法の過渡的性格をぬきにその立法論,解釈論を展開することは厳に戒め るべきであり, 今日, その質を理論的にのりこえるためには, 国民の 「信託」 という教育原理及び その二大支柱をなす教育目的・教育制度法定主義と国民全体に対する直接責任を不可欠の内容とす る教育自治の原理を深化させることが強く求められると思われる (1977年8月) 。 (本 学 助 手 ・ 旭 川 分 校). 59.
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