平安文学における朝顔(二〇一三年度卒業論文要旨集)
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(2) 平安文学における朝顔 古典文学研究室 〇四四六 佐々木沙織. 漢文学研究室 九四三九 佐々木彩乃. 陶潜詩研究 ――「琴」の語を中心として―― . この二つの表現においては、掛詞「おく」が朝顔と露の結び つきを強くしていること、朝顔そのもののジェンダーは女性に. 常も恋も表さない表現である。. い用例が確認できた。露との組合せで無常を表さない表現、無. ている。しかし、和歌について見ると、これらにあてはまらな. 朝顔について、従来の研究では、露との組合せで無常観が表 現される、無常や寝起きの女性の顔の象徴である等が指摘され. 象に含め、朝顔の用例を調査した。. アサガオには別称が多くあるとされているが、実際に平安文 学では、「牽牛子」 「槿」しか確認できなかった。この二つを対. を隠者の生き方に求めようとしていたのだろう。. を自身の理想の姿として、自身の飢えや死の悩みを解決する策. 啓期という琴を弾奏する古の隠者が登場する。陶潜はこの隠者. 来兮辞」などの作で、陶潜は心を落ち着かせるために琴と書物. を詠じ、俗世間から離れた生活を描写していた。また、 「帰去. などの作では、同じく隠者の象徴とされる「書」とともに「琴」. 陶潜の作品における「琴」は、隠者の象徴や心を落ち着かせ るためのものとして捉えられている。 「始作鎮軍参軍経曲阿作」. とした。. どのような思いで琴の演奏を聴いていたのかを探ることを目的. 本研究は、東晋の詩人陶潜の作品に見られる「琴」の語に着 目し、 論じたものである。陶潜がどのようなときに琴を弾奏し、. 限らず男性もあること、女性は男性よりも無常や恋の表現に縛. 本研究では、平安文学(和歌・散文・漢詩)における朝顔の 表現のあり方を見た。. られずに用いていること、褻の場面で多く詠まれることが指摘. また、 「擬古」〈其五〉では、陶潜は隠者が奏でる琴の音色を 聴いている。この琴を奏でている隠者と陶潜は、『列子』の伯. 和歌で見られたこれらの特徴を他の文学で見ると、散文では 露との組合せそのものがなかったが、作者や朝顔自体のジェン. 合っていた。. 牙 と 鍾 子 期 の よ う に、 琴 を は さ ん で 互 い の 気 持 ち を 汲 み 取 り. を手にしていた。陶潜の「詠貧士」〈其三〉という詩には、栄. できる。. ダーについては、ほぼ和歌と同様の特徴が見られた。漢詩では. このように、琴は陶潜が隠遁生活を送り、心の平穏を保つ上 で欠かせないものであった。琴を爪弾き、その音色を聴くこと. で隠者として生きるという志を更に強くしたのである。. 全て無常が表されており、従来の説通りであった。 平安文学における朝顔は、女性にとっては無常や恋に限らず 多様な心情を託す、身近な花なのである。. - 71 -.
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