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頚椎間歇牽引が頚部組織血流量と表面筋電図に及ぼす影響

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Academic year: 2021

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(3). 川崎医療福祉学会誌   原  著. 頚椎間歇牽引が頚部組織血流量と表面筋電図に及ぼす影響 国安勝司½   古我知成½  . 要     約 頚椎間歇牽引は頚部の整形外科的疾患に対する物理療法のひとつとして ,臨床的によく用いられる 治療法である.しかし ,その効果判定についてはっきりとした基準はなく,主に患者の自覚的な症状.

(4) . . に依存している.今回は , 人の健常者を対象に , 分間の牽引を行い,頚部傍脊柱筋と僧帽筋の筋 血流量と筋電図の周波数解析による平均周波数の変化を調べた.さらに ,皮膚血流,酸素飽和度の変. ・ ・  とした .その結果,  の牽引にて頚部傍脊柱筋の血流 量に牽引後に有意な増加を認め ,  の牽引にて僧帽筋の平均周波数が有意に増加した .皮膚血流, 化も測定した .牽引量は. 酸素飽和度,頚部傍脊柱筋の平均周波数については ,明らかな変化は認められなかった .今回の結果 から ,健常人には比較的少ない牽引力でも効果があると考えられる. みやしびれといった症状は客観的な程度の判定が. はじめに. 難しく,そのため治療効果判定は自覚症状に頼らな. 頚部椎間板ヘルニア ,椎間板変性症,頚肩腕症候. ければならない.その効果判定について客観的な評. 群,頚部脊椎症など 頚部,肩周囲の痛みやこわばり. 価を行なうことができれば ,適応や治療継続の必要. を症状とする疾患に処方される物理療法のひとつ. 性について明確することができ,効果のないまま漫. として頚椎間歇牽引がある.脊椎間歇牽引の治療効. 然と継続されることが減るのではないかと考える.. 果としては ,これまでの報告の成果から  椎間関節 周囲軟部組織の伸張,  椎間関節に離開,

(5) 椎間孔 の拡大化  攣縮筋の弛緩, マッサージ的効果によ. 我々は ,頚椎間歇牽引の影響を皮膚血流,皮膚温度 を用いて検証  したが ,個人差が大きく一定の傾向 を示さないため,牽引療法の効果判定の指標とする. る循環改善・促進などが挙げられる  .頚椎間歇牽. のは難しかった.. 引の効果に関する研究では ,頚部軟部組織へのマッ. 今回は牽引のマッサージ的効果による循環改善・.

(6). サージ的効果により頚部筋の血流改善を示した報告. 促進に注目し , つの異なる牽引量で牽引を行い,. や  ,牽引後に手背部の皮膚温の上昇を認めたとす. 深部組織の血流量と表面筋電図の周波数スペクトル. るもの  ,さらに. 解析による平均周波数を用い評価を行った ..  線学的にその効果を検証したも. の  もある.実態調査として頚椎間歇牽引により頚 部痛,上肢感覚障害に.

(7) 割が著効,  割が改善した. 対象と方法. という報告  があり,筆者の経験としても牽引後に. 対象者は ,頚椎に整形外科的疾患を持たず ,頚椎.

(8) 名( 男

(9) 名, 名,平均年齢 歳)とした.対象者を牽 引力  ,  ,  の 名ずつ

(10) グループに分. 頚部の疼痛や上肢痛が改善する患者が少なくない.. 牽引など の治療を受けていない成人. その一方で ,頚椎間歇牽引前後の僧帽筋の筋電図に. 女. よる検証でリラクセーションは得られなかったとの 報告  や ,牽引療法の過去の研究を盲検法により再. け ,また ,グループ 内では頚部傍脊柱筋または僧帽. 検証した報告  では ,その効果の有無は証明されて. 筋の測定行うもの. いないとしている.. 名ずつに分けた .. 測定項目は頚椎間歇牽引前後および牽引中の頚部. 日常の治療場面において,頚椎間歇牽引を受けて. 皮膚血流量,頚部組織血流量,頚部組織酸素飽和度,. いる患者は多く,治療は長期間継続される傾向にあ. 牽引前後の頚部伸展等尺性最大収縮時の表面筋電図. り,牽引量は徐々に増やされていくことが多い.痛. とした ..  川崎医療福祉大学  医療技術学部  リハビ リテーション学科   倉敷市松島   川崎医療福祉大学 (連絡先)国安勝司   〒   

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(14) . 国安勝司・古我知成 結. 皮膚血流量の測定はレーザード ップラー血流量計 (アド バンス社製.  )を使用し ,酸素飽和度お. よび 組織血流量の指標となる総ヘモグ ロビン 量を.    )で計測した .頚部筋筋電図は  !" #$ 用筋電図セット( % &'()"*+!')(  !" #$ ,(- ) を使用し ,サンプ リング周波数は  ./ とし ,遮断 フィルタを ./ ./ として記録した . これら各測定機器からのデータを  !" #$ ,(-. レーザー組織酸素モニタ(. を介し ,コンピュータで記録した .計測部位は僧帽 筋上部線維,頚部傍脊柱筋とした .僧帽筋は上部線 維の筋腹を確認し ,各プローブおよび電極を貼付し. ,. た .頚部傍脊柱筋は第 頚椎棘突起の左外側 に皮膚血流プローブ ,同.  0+.  0+ に筋電図電極を貼付,.  0+ に組織酸素モニターのプローブを貼付 した. (図  ) 表面筋電図は牽引前後に 秒間の頚部伸展の等尺 右外側. 性最大収縮を行わせ記録し ,その後,周波数スペク トル解析を行い,平均周波数を求めた . 頚椎間歇牽引は一般的に用いられ る椅子座位で 行い ,牽引角度は下位の頚椎がより牽引できると.

(15) 度とした .牽引力は  ,  ,   とし ,牽引時間は牽引 秒,休息 秒を  サイ クルとし合計 分間行なった .この姿勢で牽引前  分間,牽引中 分間,牽引後  分間の前記項目の測. される頚部屈曲. 定を行なった .. 各測定項目の各時期の平均値を表    .僧帽筋. "1!2+#' の 検定を用いた .有意性が認められた場合は ,*!3. 前半 分,牽引後半 分,牽引後の値を. 法により多重比較を行なった .筋電図周波数スペク トラム解析により得られた平均周波数の牽引前後の. 104' の符号付順位検定を用いた .いず れの方法も有意水準を 5未満とした. 比較は.  , に示した.. 組織血流量(総ヘモグロビン量)はどの牽引量に おいても変動は少なく,各時期の間に有意な差を認 めなかった . 酸素飽和度はどの牽引量でも牽引後に上昇傾向を 見せたが ,各時期の間に有意な差は認めなかった . 皮膚血流量は牽引量.   で牽引前半に増加したも. のの,その後低下し ,有意な差は認められなかった. 平 均 周 波 数 は 牽 引 量  で 牽 引 前   ./ ,牽引後, 

(16) ./ と有意な増加を認. めた ..  .頚部傍脊柱筋  .  で牽引後半から増加が 見られ ,牽引前半 分で   

(17)  ( ×  個/ ++ ),牽引後

(18)  となり有意な増加を認め た .  ,  では有意な差を認めなかった . 組織血流量は牽引量. 酸素飽和度は一定の傾向は認められず ,各牽引量 で有意な差は認められなかった . 皮膚血流量は牽引量.  ,  で牽引後,低下傾. 向を見せたが有意な差を認めなかった..   に お い て 牽 引 前 , ,./ ,牽引後 ,, ./ と増加した 平均周波数は 牽引量. が有意な差とはならなかった . 考. 皮膚血流量,組織血流量,組織酸素飽和度の測定値 の統計処理は,各牽引量,測定部位別に牽引前,牽引. 果. 察. 脊椎間歇牽引の牽引方法については共通の条件が 規定されていないのが現状である.牽引力について は最低.   を必要とするもの  や ,体重の 分の.  から開始するのが良いとするもの   があるが ,一 般的には    程度の範囲で患者の反応に応じて 徐々に増量するという方法がとられていることが多. い .そのため今回は.  ,  ,  の

(19) つの牽. 引量で ,その効果について比較をした. 組織血流量は頚部傍脊柱筋において ,牽引量. 図. 各種センサー貼付部位. .

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(21) . 椎間歇牽引が頚部組織血流量と表面筋電図に及ぼす影響 表. 牽引前後における各測定値平均. 表. 牽引前後の平均周波数. で牽引後に増加を認め ,牽引前半 分と比較し有意. があり,今回は牽引後の測定時間を.  分とした.一. 5程度といわれて  の牽引量は対象者の頭部重量をほぼ支え. な増加となった .頚部傍脊柱筋は牽引により直接ス. 般的に人の頭部の重量は体重の. トレッチを受けると考えられ ,牽引量が多ければ ,. おり,. それだけ強くストレッチされ ,牽引後にはどの牽引. ることができていると考えられる.伊藤ら  による. 量においてもマッサージ効果により筋血流の上昇が. と頚椎軟部組織のマッサージ・ポンピング効果を期. 生じ ると考えた .しかし 実際には. 待する場合は.  においての. み牽引前半と牽引後の間に有意な血流量の増加を認 めた .これは.  という牽引量は被検者の頭部の.     でも目標を達成できるとして. おり,今回の結果もそれに近い結果となった . 皮膚血流量は牽引前後での有意な差を認めなかっ.  ,  では牽引開始から減  . 重さを支える程度の力であり,頚部は重力に抗して. た.頚部傍脊柱筋の. 頭部を支える負担が少なくなり,頚部傍脊柱筋がリ. 少傾向であったが有意な差はなく,僧帽筋では. ラックスできた状態となったことで ,血流量の上昇. で上昇傾向を示したが有意な差を認めなかった .脊. が生じたと推測する .牽引量を大きくすることで ,. 椎間歇牽引の効果ひとつであるマッサージ的効果が ,. 歯や顎関節への負担や頚部筋の防御的収縮が生じた. 被検者をリラックスさせ,それにより交感神経性血. り  ,牽引方向によっては頚部筋に筋放電を認めた. 管収縮線維の活動が抑制されることで ,皮膚血流の. という報告  がある.今回の. 改善が期待できるのではないかと考えたが ,一定の. 中の筋電図上では. 傾向は認められなかった ..   ,  での牽引  と比較し 筋放電の違いは認. められず ,防御的な収縮は生じていなかったが ,血. 酸素飽和度では牽引前後に有意な差は認められな. 流量の増加は確認できなかった .これは被検者が健. かった .酸素飽和度は総ヘモグロビン量に対する酸. 常者で ,さらに年齢が. 素化ヘモグロビン量の割合であり,運動により筋収. 引によるストレッチの効果が少なかったためと推測. すると回復する.僧帽筋では組織血流量が変化しな. する.また,牽引後の測定時間を長くすることで血. い状況でありながら ,牽引開始より上昇する傾向が. 流量に変化を生じたかもしれないが ,牽引後. 見られた.筋収縮が生じていれば酸素飽和度の値が. 歳と若いため ,頚部の軟 部組織に十分な柔軟性があり ,  ,  での牽  分で. 血流量が最大となり,その後減少するという報告 . 縮が生じている場合はその値が低下し ,運動が終了. 低下することから ,僧帽筋がリラックスした状態で ,.

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(23) . 国安勝司・古我知成. 酸素の需要が少なくなっていたとも考えられる. 表面筋電図のスペクトラム解析により得られた平. 血流量には有意な差を認めておらず ,血流量の改善 が影響したのかど うかはわからない.しかし ,酸素. 均周波数は筋疲労の指標として用いられており,疲. 飽和度が牽引開始より上昇する傾向が見られたこと. 労により平均周波数は低値になることが報告され ,. から ,代謝の変化により平均周波数に影響したのか. その後いくつもの検証がされている  .牽引の. もしれない.今後は運動負荷を与え筋疲労を確認し. 効果として軟部組織の伸張やマッサージ効果があり,. てから牽引を行い,その効果を検証しなければいけ. 筋血流量が増えることで疲労している筋の回復が考. ない.. えられる.頚部に痛みがある患者は筋スパズムによ. ま と. り常に血流量が低下している状態であり,慢性的に. め.

(24). 疲労していると考えられる.南野ら  は頚部痛のあ. 今回 つの牽引量による頚椎間歇牽引の効果を評. る患者の頚部傍脊柱筋の平均周波数は健常人に比べ. 価したが ,効果的な牽引量を特定するまでの結果と. 有意に低値で ,牽引により平均周波数は健常人と同. はならなかった.評価結果は個人差が大きく臨床的. 様になったとしている.このことから健常人におい. な評価の難しさをあらためて感じた .牽引療法の過. ても血流の改善により平均周波数に変化が生じるの. 去の研究の再検証  では ,その効果の有無は証明. ではないかと考え ,牽引前後の平均周波数を比較し. されていないとされており,個人差の大きさがその. た .結果は. 原因のひとつとなっていると推測する.しかし ,実.   で牽引したときの僧帽筋の平均周. 波数が牽引後に有意に上昇した .僧帽筋は筋の走行. 際に牽引により症状の改善がある患者は多い.そう. から考えると頚椎牽引により直接的に伸張される筋.   とやや強めの牽引が加わる. いった患者に ,より効果的な牽引療法を提供するた. ではない .しかし. めにも,まず健常人での基礎的なデータ収集は必要. ことで ,筋の伸張が行われ ,マッサージ効果があっ. と考えている.今後は牽引時間,治療姿勢なども考. たものと考える.ただし ,今回の平均周波数は. 慮し ,客観的データを収集したいと考えている.. 回. の頚部伸展の最大等尺性収縮により求めたものであ り,健常人である被検者に牽引前に筋疲労が生じて いたのか検証はできていない.さらに僧帽筋の組織. 本研究は平成年度川崎医療福祉大学プロジェクト研究 費(研究代表者:国安勝司)の補助を受けた.. 文       献.  )伊藤直榮:牽引療法(細田多穂,柳澤健・編  理学療法ハンドブック),第  版,協同医書出版社,東京, ,  .  )南野光彦,白井康正,松沢勲,今野俊介,深井靖雄,松井琴恵,大野達朗:頚部痛に対する頚椎間欠的介達牽引の検討. 理学診療, (  ), , .. )下保訓伸,山本博司,野並誠二,谷俊一,上岡禎彦,石田健司:頚椎牽引における頚部局所形態と末梢循環.理学診療,.  ,  , .  )松沢勲,白井康正,南野光彦,今野俊介,深井靖雄:頚椎牽引による頚肩腕部痛の鎮痛効果について .理学診療,  ,   , .  )小山照幸,冨田祐司,三戸部聖子,安保雅博,宮野佐年:頸椎牽引・温熱療法の実態調査.総合リハビ リテーション ,. (  ),   , . )

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(30)  ,(  ),  , .. )国安勝司,西本千奈美,西本哲也:頚椎間歇牽引が皮膚血流,皮膚温度に及ぼす影響.川崎医療福祉学会誌, (  ),  , .  )伊藤不二夫,木山喬博:頚椎間歇牽引における角度因子.総合リハビリテーション , ,  ,  .  )服部一郎,細川忠義,和才嘉昭:リハビ リテーション技術全書,第  版,医学書院,東京,  ,  .  )澤田出,小野村敏信,富永通裕,瀬本喜啓,島田恭光,小嶋博司,山口淳:頚椎介達牽引時における頚部周囲筋の反応 について .理学診療,  ,    , ..  )南野光彦,白井康正,松沢勲,今野俊介,深井靖雄,大野達朗:頚部痛に対する頚椎間欠的介達牽引前後の変化.理学.

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(33). 椎間歇牽引が頚部組織血流量と表面筋電図に及ぼす影響 診療,  , . ..  ).#)"

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表  牽引前後における各測定値平均 表  牽引前後の平均周波数 で牽引後に増加を認め ,牽引前半  分と比較し有意 な増加となった .頚部傍脊柱筋は牽引により直接ス トレッチを受けると考えられ ,牽引量が多ければ , それだけ強くストレッチされ ,牽引後にはどの牽引 量においてもマッサージ効果により筋血流の上昇が 生じ ると考えた .しかし 実際には   においての み牽引前半と牽引後の間に有意な血流量の増加を認 めた .これは   という牽引量は被検者の頭部の 重さを支える程度の力であり,頚部は重力に抗し

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