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手掛かりを使って歩こう

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Academic year: 2021

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視覚特別支援学校 中学部 自立活動学習指導案

1 題材名 「手掛かりを使って歩こう」 2 指導観 〇 対象生徒A(以下、生徒A)は、中学部に在籍している。使用文字は点字である。短期記憶に課題 があり、理解や定着に時間が掛かるが、繰り返すことで基本的な点字の読み書きの力が身に付き、教 科学習にも使用することができるようになった。興味・関心が高い事物や出来事に関しては、覚える ことができる場合もある。 歩行については、自分の教室からその他の教室へ一人で確実に移動することに課題がある。左右 の理解や空間認知が難しく、毎日通る場所でも方向を間違える場合がある。保有する光覚を主な手 掛かりとしており、防御の姿勢を保持して歩いたり、壁や床からの触覚的な手掛かりを積極的に収 集したりすることが定着していない。さらに、数分前に学習した内容も記憶に残りにくいという実 態から、収集した手掛かりの材質や位置を記憶し、活用して歩行することが難しい。そのため、学ん だことを生徒Aが記録し、振り返ることができるような支援も必要である。 視覚に障がいのある幼児児童生徒は、発達段階に応じて基本的な歩行技術を習得し、一人で安全 に目的地まで行けるようになることで自身の世界や経験を広げていくことができる。生徒Aの今後 の白杖を使った歩行指導につなげるためにも、まずは校内において自分の教室を起点として使用頻 度が高い教室へ、防御の姿勢や伝い歩きを行いながら安全に一人で確実に移動できる力を身に付け ることが必要である。そのためには、触覚的手掛かりを活用することで自分が行きたい場所に確実 にたどり着くことができる体験を通して理解することが必要であると考える。 〇 本題材は、校内において防御の姿勢と伝い歩きによって、使用頻度が高い教室に一人で確実にた どり着くことができるようになることをねらいとしている。自立活動の項目の「4 環境の把握」の 「(1)保有する感覚の活用に関すること」、「(5)認知や行動の手掛かりとなる概念の形成に関するこ と」、「5 身体の動き」の「(1)姿勢と運動・動作の基本的技能に関すること」、「(4)身体の移動能力 に関すること」を関連付けて指導する。一人で、安全に、能率よく歩いて行って、目的を達成できる ためには、移動に伴って変化する周囲の環境を的確に把握することが重要になる。 本題材では、まず、防御の姿勢と伝い歩きの姿勢を身に付ける。防御の姿勢や伝い歩きを身に付け ることによって、障害物への接触によるけがを防ぎ、安全に能率よく移動できることを知る。その 際、防御の姿勢によって障害物と接触をする模擬的な場面を設定し、防御の姿勢の必要性を体感で きるようにする。また、伝い歩きでは、手の甲を壁に沿わせて歩行することを身に付けるために、ラ インに沿って歩行することや壁に沿って歩行し、マークを見付ける活動に取り組む。 次に、生徒Aの自分の教室を起点にし、並列する情報処理室、ランチルーム、図書室へと歩行距離 が段階的に長くなるよう目的地を設定し、歩行する。壁に沿って歩行し、触覚的手掛かりを見付ける ことで目的地に確実に一人で行くことができるということを実感するとともに、自信につなげてい く。 今後、宿泊を伴う行事や進路学習があり、校内と違った環境においての活動が増える。まずは、校 内において触覚手掛かりを活用しながら一人で安全に移動し、目的地へ到着できることが、他の室 内においても安全に歩く基本となり、今後の将来の自立に向けての態度の育成にもつながり、大変 意義深いと考える。

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本題材の指導にあたっては、以下のことに留意する。 ・全四時間の活動内容や流れを端的に伝え、見通しをもたせる。 ・毎時間の授業においては、本時の活動内容を把握したり、振り返ったりするために、ノートに記録 させる。その際、点字を書くための十分な時間を確保する。 ・歩行を行う前には、防御の姿勢と伝い歩きの基本姿勢のポイント(上部防御、手の甲の向きと位 置、指先の形)を確認する時間を設定する。 ・自分の教室の位置を把握させるために歩行の開始の際には必ず自分の教室の入り口に立ち、左右 を確認させる。 ・歩行中のポイントを確認する際にはその都度、IC レコーダーで生徒Aの声での説明を記録する。 ・壁を触ることに興味をもたせるために各教室の入り口に生徒Aが好きな魚のマークを設置する。 ・移動する際に通過する教室の数を把握させるために魚のマークの数を数えさせる。 ・各教室への移動の目的をもたせるためにミッションゲームを取り入れ、意欲を高めることができ るようにする。 ・活動内容や歩行中のポイントを思い出しにくい場合には、IC レコーダーで記録した説明を聞かせ て、授業の始めや終わりの振り返りの場面等において役立てる。 3 目 標 〇 防御の姿勢と伝い歩きの姿勢を身に付ける。 〇 伝い歩きをしながら触覚手掛かりを活用して、一人で確実に情報処理室、ランチルーム、図 書室まで行くことができる。 4 計 画 第1時 壁に手の甲を沿わせて歩こう ・防御の姿勢の練習 ・伝い歩きの練習 第2時 壁を伝って情報処理室にマークを見つけに行こう ・防御の姿勢 ・伝い歩き ・自分の教室を起点とした左右の確認 ・ミッションゲーム(情報処理室) 第3時 壁を伝ってランチルームにあるマークを見つけに行こう ・防御の姿勢 ・伝い歩き ・自分の教室を起点とした左右の確認 ・ミッションゲーム(ランチルーム) 第4時 壁を伝って図書室にあるマークを見つけに行こう・・・本時 ・防御の姿勢 ・伝い歩き ・自分の教室を起点とした左右の確認 ・ミッションゲーム(情報処理室、ランチルーム、図書室) 5 本 時 (1) 日時、場所 平成〇年〇月〇日〇曜日 〇校時 教室、渡り廊下、廊下

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(2) 本時の目標 〇 防御の姿勢を保って歩行することができる。 〇 伝い歩きによって、自分の教室から情報処理室、ランチルーム、図書室へ移動することがで きる。 (3) 本時指導の考え方 本時は、題材「手掛かりを使って歩こう」の最終時である。前時には、防御の姿勢を保持し、 伝い歩きで自分の教室からランチルームへ移動することについて学習した。第3時までに学習し た防御の姿勢や伝い歩きの姿勢については内容を大まかに記憶しており、ラインを伝ったり、壁 に手を沿わせたりして歩行する時には、上部防御の姿勢を保持し、正しい姿勢や手の形、位置を 保つことを意識して歩行できる距離が長くなってきた。特に手の位置に関しては、歩行開始から 一定の位置を保ち、壁を伝ってマークを見つけることができた。加えて、ミッションゲームでは 情報処理室のマークとランチルームのマークの触覚的違いを弁別することもできた。課題として は、指の腹を壁に沿わせて歩行をするなど伝い歩きの際の姿勢が正しく身に付いていないことが 挙げられる。そのため、最終時である本時では、壁に沿わせる手の形に重点をおいて、再度伝い 歩きの姿勢についての指導を行う。 本時の学習のねらいは、防御の姿勢を保持し、伝い歩きで自分の教室から、情報処理室、ランチ ルーム、図書室へ移動することができることである。 まず、生徒Aが見通しをもち、主体的に活動できるよう、本時の活動内容についてプリントを 読ませる。前時までに学習してきた防御の姿勢や伝い歩きの姿勢について、ノートに記録したも のを読み返すように指示し、学習内容を振り返る。 次に、渡り廊下で防御の姿勢や伝い歩きの姿勢について復習をする。最初に教師と防御の姿勢 や伝い歩きの姿勢について確認を行い、ラインを伝って歩く。歩行中、防御の姿勢や伝い歩きの 際、手の位置がずれた場合にはその都度、一旦停止するよう指示し、修正を行う。その後、同じコ ースで、ラインを外して防御の姿勢と伝い歩きの姿勢のテストを行う。教師が評価を行い、身に付 いた点を称賛するとともに、課題を伝える。再度、課題に焦点化し、歩行の際の姿勢の修正を行 う。その際、ゴールに魚のマークを設置し、それを目指すことで歩行への意欲を高める。前時より も、ゴールを遠くに設定し、伝い歩きの際に、手の位置を保持して歩行することを意識付ける。 続いて、ミッションゲームとして二つの活動を行う。一つは、教室から図書室まで伝い歩きで 行き、ミッションを達成するという活動である。教室の出入り口に設置された左右のマークを確 認するとともに、右のマークを起点とし、図書室まで伝い歩きで移動する。歩行中、防御の姿勢 や伝い歩きの手の位置がずれた場合にはその都度、一旦停止するよう指示し、修正を行う。活動 を始める前に、歩行中に触覚的な違いに気付けるよう、各教室のランドマークの手触りを事前に 確認させる。二つは、指示した既習の場所へ行くという活動である。教室を起点とし、情報処理 室、ランチルーム、図書室の中から指示された教室へ行き、魚のマークの手触りを教室にいる教 師に報告するようにする。 題材のまとめとして、各教室の位置関係を表す地図を作成する。二つの活動の終了後、生徒A に自分の教室から近い順に三つの教室名を述べさせ、位置関係を確認させる。その際、生徒Aが 分かりやすいよう、各教室に設置した魚のマークと同じ手触りのものを準備し、順に並べるよう にする。異なった場合には再度、伝い歩きで調べに行くように促し、魚のマークを確認させる。 最後に、本時とこれまでの学習内容を振り返り、生徒Aの頑張りを称賛する。防御の姿勢や伝い 歩きの姿勢を保持し、触覚的手掛かりを活用して一人で安全に移動する力を身に付け、目的地に 到着できることが、他の室内においても安全に歩く基本となることを説明し、今後の学校生活で の校内の移動において今回の学習で学んだことを活用することを促す。

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(4) 準備 点字用紙、iOS 端末、IC レコーダー、ロープ、魚の形をしたマーク、マット素材のマーク (5) 展開 配時 学習活動・内容 指導上の留意点 評価の観点 導入 5分 展開 15 分 1 始めの挨拶をする。 ・学習の始まりへの意識をもつ。 2 前時を振り返り、本時の学習内容を知 る。 (1) 前時の学習内容を振り返る。 ○ 防御の姿勢や伝い歩きの姿勢につ いて学習したことを思い出すこと (2) 本時の活動を知る。 ・活動表を読む。 ○ 本時の活動への見通しをもつこと 3 防御の姿勢と伝い歩きで歩行する。 (1) 防御の姿勢をとり、ラインを伝って歩 く。 ・上部防御の姿勢をとる。 ・手の甲を壁に沿わせて歩行する。 ・壁に沿わせる手は、けがを防ぐため、 指先は軽く曲げて、自分の体より前方 に出す。 (2) 伝い歩きの確認テスト ・上部防御の姿勢をとる。 ・思い出すことが難しい場合 は、ノートで確認するよう 促す。 ・本人が分かりやすいように 端的に説明をする。 ・プリントにて提示する情報 は箇条書きにし、生徒が分 かりやすいようにする。 ・プリントを読む時間を十分 に設定する。 ・学習がしやすいように、騒 音が少なく、壁の凹凸が少 ない渡り廊下で練習する。 ・言葉で表現しながら、防御 の姿勢や伝い歩きの姿勢を 復習する。 ・反対側の廊下に渡る際は、 上部防御と下部防御をとら せるようにする。 ・自分で伝い歩きの基本姿勢 をとることができるように スタートラインと伝う手の 位置が分かる触覚的な手掛 かりを用いて確認させる。 ・壁に手の甲を沿わせること を意識付けさせるために、 ラインに沿って歩くように する。 ・防御の姿勢や伝い歩きの姿 勢が崩れてきたら、その都 度、歩行を停止し、正しい姿 勢に修正する。 ・ラインを外し、伝い歩きの テストを行う。 ・評価の観点①②③

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20 分 ・手の甲を壁に沿って歩行する。 ・けがを防ぐため指先は軽く曲げて、自 分の体より前方に出す。 ○ 防御の姿勢を一定に保ち、歩こうと すること ○ 壁を伝う手は、指先を軽く曲げ、体 よりも前方に出すということ ○ 壁から手掛かりをつかむこと ○ 伝い歩きの際の自分の課題につい て知り、改善すること 4 ミッションゲームを行う。 (1) 生徒の教室の出入り口に設置した左 右のマークを確認する。 ・教室の出入り口 右→マット素材の マーク 左→鈴 (2) 教室から伝い歩きをしながら、図書室 へ移動し、出入り口にある魚のマーク を見つける。 ・図書室にあるミッションカードを教 室まで持ってくる。 (3) ミッションを達成する。 ・魚の名前が打刻された点字シールを もらい、図書室に再度移動して、魚の マークにシールを貼付する。 (4) 教室を起点とし、ランチルーム、図書 室、情報処理室の順に移動し、魚のマ ークの手触りを教師に報告する。 情報処理室→「つるつる」 ランチルーム→「ざらざら」 図書室→「ひらひら」 ○ 目的をもって移動する際にも、防御 の姿勢と伝い歩きを保持するという こと ○ 伝い歩きによって、触覚的手掛かり を活用し、目的地まで行くことができ るということ (5) 教室から近い順番に三つの教室の位 置関係を確認する。 ・教室と三つの教室の位置関係の地図 を作成する。 ○ 目的をもって移動する際にも、防御 の姿勢と伝い歩きを保持するとい ・ゴールには生徒が分かるよ うにマークを設置する。 ・評価を行い、良くなった点 と課題点について伝える。 ・課題点に関しては、正しい 姿勢を再度確認し、修正を 行う。 ・マークを見つけることがで きたときには、称賛する。 ・自分の教室のマークとその 位置を事前に確認させる。 ・左右のマークは生徒が覚え やすいよう、聴覚的なもの と触覚的なものに分ける。 ・歩行時の防御の姿勢や伝い 歩きの姿勢について再度、 確認を行う。 ・魚のマークは生徒が壁に沿 わせる手の高さに合わせて 設置する。 ・情報処理室とランチルーム 図書室に設置する魚のマー クは触覚的違いが分かりや すいものにする。 ・情報処理室、ランチルーム 図書室の出入り口に設置し ている魚のマークを判断で きるように、事前に教室で 触って確認を行う。 ・マークを見つけることがで きた時には、適宜称賛する。 ・生徒Aの様子を動画で記録 し、振り返り等で活用する。 ・各教室の位置関係が分か りやすいように、各教室に 設置した魚のマークと同じ 手触りのものを準備し、順 ・評価の観点①②④ ・評価の観点①②③ ⑤

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【評価の観点】 ① 防御の姿勢を保持して、歩行することができる A:上部防御を保持して、最後まで歩行することができた B:上部防御を保持して、中間地点以上歩行することができた C:上部防御を保持して、中間地点まで歩行することができなかった ② 手を体より前方に出し、壁に手の甲を沿わせながら、歩行することができる A:手を体より前方に出し、壁に手の甲を沿わせながら最後まで歩行することができた B:手を体より前方に出し、壁に手の甲を沿わせながら中間地点以上まで歩行することができた C:手を体より前方に出し、壁に手の甲を沿わせながら中間地点まで歩行することができなかった ③ 壁に沿って歩行して、マークを見つけることができる A:壁に沿って歩行して、マークを見つけることができた B:壁を沿って歩行したが、マークを見つけることができなかった C:壁に沿って、歩行することができなかった ④ 教室から図書室にたどり着くことができる A:壁に沿って歩行し、図書室のマークを見つけることができた B:壁に沿って歩行したが、図書室のマークを見つけることができなかった C:壁に沿って歩行することができなかった ⑤ 教室から指定した教室にたどり着くことができる A:壁に沿って歩行し、全ての教室にたどり着くことができた B:壁に沿って歩行し、二つの教室にたどり着くことができた C:壁に沿って歩行し、一つの教室にたどり着くことができた D:壁に沿って歩行することができなかった 終末 10 分 うこと ○ 伝い歩きによって、触覚的手掛かり を活用し、目的地まで行くことがで きるということ ○ 教室から情報処理室、ランチルー ム、図書室の順に並んでいるという こと 5 活動を振り返り、終わりの挨拶をす る。 ・活動を振り返り、ノートに記録する。 ・終わりの挨拶をする。 ○ 防御の姿勢を保持して歩行するこ とで、危険を防止することができると いうこと。 ○ 伝い歩きによって、触覚的手掛かり を活用し、目的地まで行くことができ るということ。 番に並ばせる。 ・ 生 徒 が忘 れて い る場合 に は、再度調べに行くように する。 ・ノートに記録する際には、 要点を端的に説明する。 ・点字を書くのに十分な時間 を設定する。

(7)

〇階フロア地図

EV 伝い歩きのルート

教室

1年

2年

3年

マーク

図書室

階段 ラインテープ 階段 鈴 ラインテープ スタート位置 歩行練習 LE 情 報 処 理 室

空き

2年

ミッション ゲーム 鈴 魚のマーク ラ ン チ ル ー ム

空き

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