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Novel Synthetic Methods for N-Containing Compounds with Organometallic Reagents. (有機金属反応剤を用いた含窒素化合物の新合成法)

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(1)

Novel Synthetic Methods for N-Containing

Compounds with Organometallic Reagents. (有機

金属反応剤を用いた含窒素化合物の新合成法)

著者

信田 直美

1322

発行年

1993

(2)

氏名・(本籍) 学位の種類 しだなおみ

信田直美

博士(理学)

学位記番号理博第1322号 学位授与年月日平成5年3月25日 学位授与の要件学位規則第4条第1項該当 研究科専攻 学位論文題目 論文審査委員 東北大学大学院理学研究科 (博士課程)化学第二専攻

(千葉県)

NoveiSyntheticMethodsforN-ContainillgCompounds withOrganometallicReagents.

(有機金属反応剤を用いた含窒素化合物の新合成法)

教教 り 貝 嘉 本 山 )授 査 主 (教 授宮仕勉 授吉藤正明

論文目次

緒言

第一章窒素求核剤リチウム万一ベンジルトリメチルシリルアミド(LSA)を用いた環化反応

第二章金属アミド反応剤の連続共役付加による不斉環化反応 第三章2っの不飽和エステル部を有する基質の配座解析 第四章共役付加における非環状α,β一不飽和エステルの配座 第五章遷移金属触媒を用いたイミンアルドール反応 総括

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論文内容要旨

β一アミノエステルは,α一アミノ酸と並んで,各種生物活性化合物の基本骨格をなす。私は, 有機金属反応剤を用いたβ一アミノエステルの新合成法を二種開発した。1っはC一八1結合生成 を用い,もう1っはC一(〕結合生成を用いた方法である。前者は,Nを含んでいる化合物を求核 剤として用い,α,β一不飽和エステルヘの共役付加を利用した合成法であり(式1),後者は, Nを含んでいる化合物を求電子剤として用い,遷移金属触媒を用いた,カルボニル化合物とのカッ プリングを利用した合成法(式2)である。 第一章では,窒素求核剤としてLSA(チャート1)を用いた環化反応,即ち,メタルアミド のα,β一不飽和エステルヘの共役付加一分子内アルキル化を用いた現化反応(式3)と,2っ のα,β一不飽和エステル部を有する基質への連続共役付加を用いた環化反応(式4)である。 一般に,α,β一不飽和エステルとメタルアミドとの反応では,γ一位のプロトン引き抜き,共 役付加,1,2一付加が競合しあう。しかし,当研究室で見いだしたLSAは共役付加を優先的に 行う。共役付加におけるオレフィンのジオメトリーの影響を調べたところ,E体との反応では収 率良く共役付加が進行したが,Z体との反応では共役付加は進行せずβ,γ一不飽和エステルし か得られなかった(スキーム1)。これより,LSAによる共役付加が進行するためには,Eのジ オメトリーが必要とわかった。これを踏まえ,LSAの共役付加一分子内アルキル化を用いた環化 反応を行った。5,6,7員環を高収率で構築することができた。次に,LSAの連続共役付加環 化反応,即ち,LSAの共役付加と,得られたエノラートによる分子内共役付加を用いた閉環反 応を開発した。5,6員環は高収率で合成することができたが,7員環の構築はできず,LSAの 共役付加のみ進行した。また,非対称のジエステルとLSAとの反応では,最初のLSAの共役付 加について高い位置選択性を得ることができた。この,連続共役付加を天然物合成へ応用した。 合成した天然物はネコ科動物を誘引する生理活性をもつジヒドロネペタラクトン1とイソジヒド ロネペタラクトン2である。ここでは,3,4の中間体合成が重要になり,特に重要なのは4一 位のメチル基の立体化学制御である。そこで,最初から4一位にメチル基の入った5を出発原料 とする経路と環形成と同時に4一位にメチル基を入れるステレオダイバージェントな合成経路を 考えた(スキーム2〉。アミノ基の脱離については,メタノール中,ヨウ化メチル,炭酸カリウ ムで撹拌すれば達成可能であった(式5)。1の出発原料のα一位にメチル基の入った5にLSA を連続共役付加させると,立体,選択性共にはっきりしない5員環の混合物が得られた。これら を脱アミノ化させ3を5から43%の収率で合成することができた。この後は,3をLAHで還元 し,ジオールとした後,二酸化マンガンによりうクトン7とし,Me2CuLiを共役付加させて1 を合成できた。2は,環化と共にメチル基を入れる方法で行った。上述とは逆の立体の4が主生 成物となった。4から後は,ジヒドロネペタラクトンの合成法を踏襲した(スキーム3)。 第二章では,メタルアミドの連続共役付加を用いた不斉環化反応を開発した。従来,メンチル 基を不斉補助基として用いた共役付加反応では,低いd.e.しか得られていなかったが,私は,

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この基をもつジエステルにメタルアミドを反応させ,高いd.e.を得ることに成功した。メタル アミドとしては,銅アミド9,亜鉛アミド10を用いたときにまずまずの結果が得られた。6員環 生成物は,カラムクロマトグラフィーで分離できた(式6)。また,ルイス酸の効果を検討した。 一座配位のBF3を用いた反応では,ルイス酸のないときと殆ど変わらない結果となったが,二座 配位の臭化マグネシウムは良いd、e.を与え,最高95:5となった。亜鉛アミド,LSAを用いた ときも,二座配位のルイス酸の添加により,d.e,が向上した(表1)。一般にメタルアミドとル イス酸の共存下では,単なる酸塩基反応が起こることも考えられるが,この系ではルイス酸が使 用でき,d.e.の向上に効果があった。今度は,基質を変化させたところ,モノエステルを用い たときはそれほど良いd.e.は得られなかった。これより,両末端に不飽和エステルをもつ基質 が重要とわかった。環化生成物の絶対配置は,主生成物のX線結晶解析により,3つの不斉点 がすべてSと決定できた。連続共役付加の高いd.e.はスキーム4のように説明できる。ジエス テルが折れ曲がった配座の11Aとストレートに伸びた1iBが考えられる。11Bの場合,モノエス テルよりもd.e.が上がった結果を説明できないが,11Aの場合,もう一方の不飽和エステル部 が一方のジアステレオ面を遮蔽でき,d.e.が向上した結果を説明できる。ジエステルのNOEを 重THF中で測定したところ,観測されたので折れ曲がった配座をとるものが存在していること になる。ジエステルのMM3計算を行ったところ,折れ曲がったもののうち,一番安定なものが 133kJmol-i,ストレートのもののうち一番安定なものが147kJmo1-1のように計算でき,折れ 曲がったものが安定ということがわかった。スキーム5では,11Dの場合,求核剤が手前から近 づくと(1S',2S',3S')を与え,向こうから近づくと(1R',2R',3E')を与えるというように選 択性が向上しないと思われる。ところが,11Cの配座では,求核剤が手前から近づいても,向こ うから近づいても,共に(1S',2S',3S')の生成物となった。このように,ジエステルに対する 高いジアステレオ選択性は近くのメンチル基の低い不斉誘起能力と折れ曲がった配座11Cをとる こととの相乗効果の結果と考えると説明できる。 第三章では,両末端に不飽和エステルをもつ基質が折れ曲がった配座,ストレートの配座のど ちらをとりやすいかを詳細に調べた(式7)。MM3計算,X線結晶解析,NOE測定を行い,実 験結果との相関を調べた。14のX線の結果は,ストレートの配座を与えた。しかし,これは分 子内,及び,分子間でカルボニル基のダイポールを打ち消しているパッキングのためであり,こ れより結晶中でストレートのものが安定となったと思われる。次に,2っのジエステル14,11の MM3計算を行った。14の計算結果は,折れ曲がった配座の方がストレートのものより安定な結 果となった。ここで,着目すべき点は,メンチル基のイソプロピル基の向きである。2つのイソ プロピル基が外側を向いた14exと,内側を向いた14inが得られ,14exの方が安定となった。11 の計算結果は先程とは逆転し,2っのイソプロピル基が内側を向いた11inが安定な結果となり, 外側を向いた11exは,ストレートの11sと同じような安定性となった。実験結果との対応は次の ようになる。表2のentry1,2は第二章の11を用いた6員環合成の実験結果である。entry3-6 は,.1っメチレンの少ないジエステル14を用いた実験結果で,収率が低かった。これは,前の計

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算結果を反映している。即ち,2っのイソプロピル基が外側を向くため,立体的な影響により共 役付加が進行しにくいであろうということである。 第四章では,α,β一不飽和エステルのカルボニル基とオレフィンが,s-c`sをとっているのか, s一惚朋をとっているのかを調べた(式8)。このことはRがキラルなときに共役付加のジアス テレオ面選択性と密接な関係があり,高いd.e.を得るには明確にする必要がある。アプローチ として,X線結晶解析,MM3,MNDO計算を行い,実験結果との相関を調べた。Oppolzerの X線の結果は,一置換オレフィンのスルホンアミド15,16共にsイrαηsとなっている。一方, 01ssonはX線から,Houkは計算から,ε一〇乞sと報告している。このように,s-cオsか,s一 むrαπεかという点に関してはまとまりのない情報がこれまで報告されており,私は,これらを系 統的にまとめる必要があると考えた。これが,第四章の目的である。表3のentry1,2のMM3 計算の結果,entry3-5のオレフィンの置換基の影響を見るためのOppoizerの化合物15,16と 類似した化合物のMM3計算を行った結果は,共にs4sの方が安定となった。entry6,7もや はり,オレフィンの置換基の影響を調べるためのX線の結果で,共にs覗sとなった。以上の ように,オレフィンのE,Zのジオメトリーや置換基の数また,エステルのアルコール部分の 大きさなどに関係なく,常にs-cおという結果が得られた。次に,メチルシンナメートの蛍光励 起スペクトルを超音速ジェット中で測定した。33319cm-1,33763cm一1がそれぞれ,s-cεs,s一 重rα船のゼロゼロバンドであることは,分散蛍光スペクトルにより確認した。一般に,経験則か ら分子内振動が出やすいほうがs一廓なので,分散蛍光スペクトルより333igcm一工の方が,s一 廓と言える。このように超音速ジェット中で,2つの回転異性体s-oお,s一亡rαπsが存在する証 拠を得て,s一σ匠sが多く存在するという知見を得ることに成功した。 さて,以上,エステル単独での配座を調べてきた。つぎに今度はルイス酸存在下におけるα, β一不飽和エステルの配座を調べた。LewisのX線,Houkの非経験的計算,共に,ルイス酸存 在下ではs々απsと報告している。ルイス酸存在下におけるMNDO計算を行ったところ,s一 亡rα船の方が安定となった。実験結果との対応を次に示す。式9のOppolzerによる17へのBuCu の共役付加の時は,ルイス酸としてBF3が存在しており,re面から求核剤が攻撃したものが主 生成物19として得られているので,エステルはs紘rαηsをとっていると思われる。式10は,本 研究の18への銅アミドの共役付加で,この時はルイス酸は存在していなく,si面から求核剤が攻 撃したものが主生成物20として得られたので,エステルはs一億をとっていると思われる。これ らの実験結果は,以上のX線や,計算の結果と良く対応している。 第五章では,遷移金属触媒によるイミンアルドール反応による0-C結合生成を用いたβ一ア ミノエステル合成を説明する(式11)。従来,化学量論量の金属を用いた反応,例えば,金属エ ノラートを用いたイミンとのσσ結合生成反応は,多くの報告がある。しかし,触媒量の金属 を用いたイミンアルドール反応によるβ一アミノエステル合成は,本研究が初めてである。イミ ン21とジメチルマロネートのイミンアルドール反応で数々の触媒を検討したところ,ニッケル触 媒が良いとわかった。また,アセトン,アセトフェノンのようなメチルケトン型の化合物は,良

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い結果を与えたが,カルボニル基のα一位がメチレンになると低い収率となった。α,β一不飽 和イミン23の反応を行ったところ,いずれも1,4一付加は進行せず,1,2一付加のみ進行した。 以上,β一アミノエステル合成として,0一ノ〉結合生成による方法と,σ一C結合生成による方 法を開発した。即ち,1つめはリチウムアミドを用いた共役付加一分子内アルキル化を用いた5, 6,7員環合成を行った。2つめは,リチウムアミドによる連続共役付加環化反応を行い,これ を天然物合成に応用した。3つめは,基質であるエステルに不斉補助基を導入し,銅アミド,亜 鉛アミドによる不斉合成を行った。4つめは,遷移金属を触媒量用いたイミンアルドール反応の 開発に成功した。

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論文審査の結果の要旨

β一アミノエステルは,α一アミノ酸と並んで,各種生物活性化合物の基本骨格をなしている。 この簡便な合成法としてα,β一不飽和エステルに対するアミンの共役付加があるが,これは反 応時間,,温度の点で問題がある。信田直美は,この点に着目し,金属アミドを求核剤として用い た0-N結合生成により,高収率のβ一アミノエステル合成に成功した。一方で,遷移金属を触 媒量用いたイミンアルドール反応を世界に先駆けて見い出し,σ一〇結合生成による合成法も確 立した。更に,不斉補助基を導入し,キラルな含窒素化合物合成に成功した。この不斉発現の理 由は従来の概念では説明できず,分子の配座が不斉を誘起するという新しい提案をし,高ジアス テレオ選択性を得ることを目的として研究を行った。 まず,窒素求核剤としてLSA(リチウムN一ベンジルトリメチルシリルアミド)を用いた新規 環形成法を二種開発した。その一種であるα,β,x,ψ一不飽和ジエステルヘの連続共役付加に よる環形成法を用いてステレオダイバージェントな天然物合成(ジヒドロネペタラクトン,イソ ジヒドロネペタラクトン)に成功した。 次に,銅,亜鉛アミドの連続共役付加を不斉補助基(一)一メンチル基を有するジエステルを用い て行い,高い不斉収率で合成を行った。従来,(一)一メンチル基をエステルのアルコール部分に用 いた共役付加のd.e.は低いものであった。連続共役付加の高い不斉誘起に関して,不斉補助基 と分子の折れ曲がった配座との相乗効果を提案し,これを分子力学計算,NOE測定により明確 にした。 また,エステルのアルコール部分がキラルなとき,共役付加のジアステレオ面選択性と密接な 関係があるα,β一不飽和エステルのカルボニル基とオレフィンがs-cεsかs一言rα朋という点に ついて,系統性を明確にした。即ち,ルイス酸非存在下ではs-c`s,ルイス酸存在下ではs一 ホrαπsをとりやすいことを,X線結晶解析,分子力学計算,半経験的分子軌道計算超音速ジェッ ト中における電子スペクトルより明確にした。 最後に,触媒量の金属を用いたイミンアルドール反応を開発した。 このように,共役付加における分子の配座の系統性を明確にし,β一アミノエステルの新合成 法を開発したことは,信田直美が自立して研究活動を行うに必要な高度な研究能力と学識を有す ることを示しており,信田直美提出の論文は博士(理学)の学位論文として合格と認める。

参照

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