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Automated Volumetry of Medial Temporal Lobe Subregions in Mild Cognitive Impairment and Alzheimer Disease 利用統計を見る

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Academic year: 2021

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氏 名 畑 馨 博士の専攻分野の名称 博 士 ( 医 学 ) 学 位 記 番 号 医工農博4甲 第 8 号 学 位 授 与 年 月 日 令和 2 年 3 月 19 日 学 位 授 与 の 要 件 学位規則第4条第1項該当 専 攻 名 先進医療科学専攻

学 位 論 文 題 名 Automated Volumetry of Medial Temporal Lobe Subregions in Mild Cognitive Impairment and Alzheimer Disease

(軽度認知障害及びアルツハイマー型認知症における内側側頭葉 亜区域の体積自動測定) 論 文 審 査 委 員 委員長 教 授 木内 博之 委 員 教 授 秋山 真治 委 員 准教授 新藤 和雅

学位論文内容の要旨

<研究の目的> 認知症に罹患する人の数は急速に増加しているが、その原因疾患の半数はアルツハイマー型 認知症(AD)である。AD への早期介入によってその進行を遅らせることは喫緊の課題である。 神経病理学的研究において、AD の初期には、内側側頭部における嗅内野皮質(ERC)でまず 萎縮が起こり、次いでアンモン角(CA1)と海馬台(subiculum)に萎縮が広がり、その後、側頭葉、 頭頂葉に進展することが明らかになっている。MRI において、初期の AD の診断のために内側 側頭部の高解像度画像を用いたコンピューターによる自動脳体積測定法の開発が試みられて いる。米国で開発された ASHS(Automatic Segmentation of Hippocampal Subfields)は、AD で 萎縮が先行するとされる内側側頭葉亜区域(アンモン角(CA1~4)、嗅内皮質(ERC)、海馬台 (subiculum)、歯状回(DG)、ブロードマン 35・36)に関心領域を設定し、局所脳体積を測定す るフリーソフトウェアプログラムである。本研究では、アルツハイマー型認知症の早期診断にあ たり、現在広く行われている MRI の海馬体積全体の体積測定より、ASHS を用いた内側側頭葉 亜区域体積測定がより有用であるかを検討した。 <方法> 2015 年 4 月より 2016 年 10 月まで、国立精神神経医療研究センターにおいて 60 歳以上の被 験者の募集を行った。MCI と AD の診断は、NIA-AA による診断基準を満たすものとし、MCI はミニメンタルステート検査(MMSE)24 点以上、AD は MMSE で 23 点以下とした。健常者は、 MMSE で 24 点以上かつ、ウェスキュラ―の記憶テストで教育年数 16 年以上は 9 点以上、教育 年数 8~15 年は 5 点以上、教育年数 7 年以下は 3 点以上に該当する者とした。MRI 禁忌、う つ病、アルコール・薬物依存症、精神病、頭部外傷、虚血性脳障害、甲状腺疾患の既往のあ

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る者は除外した。本研究は、国立精神神経医療研究センターの研究倫理審査委員会により承 認を得て実施した。MRI は、シーメンス社製の3テスラ MRI 機器を用いて撮像した。三次元 T1 強調画像と高解像度 T2 画像を用いて、ASHS を用いて内側側頭部の体積の解析を行った。 MRI 画像のアーチファクトの有無も確認した。カイ二乗検定にて性別を、一元配置分散分析に より、年齢、教育年数を検定した。健常者群、MCI 群、AD 群の 3 群の体積比較には、ウェルチ のt検定を用い、ボンフェロニー補正を行った。左右の各亜区域の体積の平均を求め、海馬の 総体積は、CA1、CA2、CA3、CA4、DG、subiculum の体積を合計したものと定義した。海馬全 体の AUC と各亜区域の AUC を比較検討した。側頭葉内側部の萎縮を示す疾患は、脳梗塞 (CA1)、側頭葉てんかん(CA1、CA4、DG)、長期経過のレビー小体病(CA1~4、subiculum) など多岐にわた

り、単独の脳領域のみでは疾患特異性が低いため、AD に特異的な萎縮をしめす ERC と CA1 と subiculum の体積の合計を求め、これらが海馬全体体積の測定より早期の AD の診断をより 正確にできるという仮説をたてた。また、MMSE の点数と各亜区域の萎縮との相関係数も比較 検討した。統計解析には SPSS(25 版)と JMPpro(12 版)を用いた。 <結果> 最終的に、30 名の健常者、30 名の MCI 患者、49 名の AD 患者が組み入れられた。AD におい ては ERC+CA1+subiculum の合計体積で、AUC が 0.915、感度 85.7%、特異度 86.7%、正診 率 86.1%が得られた。海馬全体の体積は AUC が 0.887、感度 90.0%、特異度 75.5%、正診率 86.7%であり、海馬全体の測定より ERC+CA1+subuculum の合計体積のほうが、優位に鑑別能 力が高かった(P=0.019)。MCI においては、subiculum の AUC が 0.747、感度 80.0%、特異度 73.3%、正診率が 73.3%であった。海馬全体の体積の AUC は 0.730、感度 56.7%、特異度 90.0%、正診率 73.3%であり、海馬全体と各亜区域との有意差はみられなかった。また、内側 側頭葉亜区域の萎縮と MMSE の点数との相関を検討し、ERC+CA1+subuculum の合計体積 は MMSE の点数と 0.646 の相関係数が得られたが、海馬全体でも 0.618 の相関係数が得られ、 両者の比較では有意水準には達しなかった。 <考察>

本研究の手法により、AD に特異的な萎縮を示す ERC、subiculum 、CA1 の総体積の合計を求 めることで、海馬全体の体積測定や単一亜区域体積測定よりも高い診断能が得られ、内側側 頭葉亜区域の体積解析が AD の診断に有用である可能性が示された。MCI においては、海馬 全体の体積との有意差は認めず、AUC も 0.747 と中等度であり、先行研究(0.78-0.88)に比 べてもやや低く、要因として、MCI 群の異種性の高かった事が考えられた。本研究でいくつか の問題点もみられた。症例数は比較的少なく、また、縦断研究ではなく横断研究であった。 MCI 群の異種性が高さを鑑みると、アミロイド PET を併用したほうがより正確に、早期の AD を 診断できたと思われる。今後は、より被験者数を増やし、縦断的、経時的な変化の検証やアミロ イド PET の併用による検討を行っていく必要があると考える。 <結論> 3 テスラの MRI において、AHAS を用いた内側側頭葉亜区域体積の解析が、現在一般に行わ れている海馬全体の体積の解析と比較して、AD の早期診断に有用である可能性が示された。

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MRI は通常の診療の枠内でも撮像が可能であり、今後の臨床応用に寄与する可能性がある。

論文審査結果の要旨

本博士論文は、アルツハイマー型認知症 (AD)の早期診断に対する Automatic Segmentation of Hippocampal Subfields (ASHS)を用いた内側側頭葉亜区域体積測定の有用性を明らかにしたものである。 以下の審査が行われた。

1. AD の罹病期間と診断方法、特にアミロイド PET による診断は?→AD の罹病期間については、疾病の 進行速度が異なるため、今回は、調査はしていない。診断については、NIA/AA の診断ガイドラインに従 った。AD 患者総計49名のうち34名は、MRI のみならず、脳血流 SPECT 検査を行い、血管障害の合併 やレビー小体型認知症を除外している。残り 15 名でアミロイド PET が施行され、12 名で陽性であった。 MCI も診断ガイドラインを満たし、CDR 0.5 が組み込まれているが、アミロイド PET は 30 名中、9 名にす ぎず、4 例がアミロイド陽性であった。結果的に不均一性の高い集団になった。先行研究に比べ、AUC が低いのは、非コンバーターが多かったのではないかと推察した。 2.被験者の選定基準に教育年数がある理由は?→AD の発症率は性差だけでなく教育歴による差があるこ とが判明している。また、AD の早期治療法として脳トレ等が有効であることも分かっている。 3.個人の海馬の亜区域体積の経時的減少に着目した研究は過去にあるか?→そのような研究はないが、 海馬全体の体積減少は AD 患者において健常者の約 5 倍速いという報告がある。 4.AUC の計算を、ERC、CA1、海馬体の各体積の単純和で行っているが、重みを付けた和で行うことは考 えたのか?→計算が煩雑になりすぎるので行っていない。 5.アルツハイマー病では嗅内野皮質でまず萎縮が起こり、ついでアンモン角と海馬台へと萎縮が広がり、そ の後、側頭葉や前頭葉に広がるという視点にたつと、MCI などの早期の病変検出には、嗅内野皮質単独 あるいは嗅内野皮質と海馬を対象とするほうがより敏感と思うがどうか?→嗅内野皮質の体積は、左右合 わせても、2ml以下にすぎず、嗅内皮質の体積測定のランドマークとなる側副溝には、変異が多く、領域 設定上、誤差が生じることがあることから、嗅内皮質単独では、対象にすることは難しい。Mild cognitive impairment (MCI)は、AD の神経原線維変化の分類で Braak stage II から III に相当するが、Stage II では、嗅内皮質と CA1 の萎縮がみられ、Stage III では、嗅内皮質と CA1 と subiculum の萎縮がみられる ので、ERC+CA1+subiculum の体積萎縮が、海馬と嗅内皮質を対象とするよりも早期検出に鋭敏であると 考えた。 6.本研究の限界点として、軽度認知障害患者群(MCI)の異種性の高さを挙げているが、異種性は排除でき ないのか?→横断的研究では難しいが、個人の病歴データを用いて機械学習させれば異種性を低くで きるかもしれない。 本研究者は、このように指摘された点、全てについて適切な回答、考察を行ったので、審査委員は、 全員が一致して、今後の研究の展望も含め、本研究が博士論文の資格を十分に有するものであると判 定した。

参照

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