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生命を繋ぐ仕組みを解き明かす

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Academic year: 2022

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生命を繋ぐ仕組みを解き明かす

著者 関 由行

雑誌名 K.G.TODAY

発行年 2012‑02

URL http://hdl.handle.net/10236/10279

(2)

15 2012.02

ゲノムとエピゲノム

 多細胞生物は ゲノム と呼ばれる情 報をもとに多種多様な細胞を生み出し ているが、必要な情報や不必要な情報 には後天的に目印が付けられており、

その目印のことを エピゲノム と呼ぶ。

ゲノム情報は細胞の種類を問わず同一 であり、また生涯を通して変化すること はない。一方で、エピゲノム情報の多様 性が細胞の多様性を生み出しており、

またエピゲノム情報は環境の変化など により柔軟に変化する。

クローンマウスの異常と エピゲノム

 前述したクローンマウスには胎盤肥 大など自然分娩で産まれてきたマウス では観察されない異常が必ず観察され るが、クローンマウスの子供ではその異 常は完全に修復される。この事実は、ク ローンマウスで観察される異常は、ゲノ ム変異に起因するものではなく、エピゲ ノム変異に起因するものであり、さらに そのエピゲノム変異は生殖細胞を通る ことで修復されることを意味している。

研究室通信

理工学部 関由行研究室

生命を繋ぐ 仕組みを 解き明かす

K.G.RESEARCH

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関 由行 

ȵȧ!ɢȱɠȧ 2000年熊本大学薬学部卒(薬剤 師)06年大阪大学大学院医学系研 究科博士課程修了。理化学研究所 基礎科学特別研究員を経て、09年 より関学理工学部生命科学科専任 講師。生命の連続性と多様性を生み 出す生殖細胞に関する研究に従事。

趣味はバスケットボールとゴルフ。

始原生殖細胞による エピゲノム情報の初期化

 博士課程、ポスドク時代を通して始 原生殖細胞のエピゲノム解析を行った 結果、始原生殖細胞が DNAのメチル 化 と呼ばれる特殊なエピゲノムを消 去することを突き止めた(エピゲノム情 報の初期化)。このDNAのメチル化と 呼ばれるエピゲノムは、他のエピゲノム と比較すると非常に安定であり、卵や 初期胚などの若い細胞ではあまり観 察されないが、細胞が分化する際に急 激に上昇することが分かっている。し たがって、生殖細胞におけるDNAのメ チル 化の消去が細胞を若返えらせ 、 永続的に生命が 繫がっていくのでは ないかと考えている。現在は、生殖細 胞によるDNA脱メチル化機構を解明 し、その機構を人工的に制御すること で品質の高いiPS細胞の樹立を目指し ている。

何故始原生殖細胞の 研究を行うのか

 私が修士課程の学生の頃、若山先 生(現理化学研究所チームリーダー)

が世界で初めてクローンマウスの作製 に成功した。しかしながら、体細胞の 核を100個の 未 受 精 卵へ 移 植して も、産まれてくるクローンはせいぜい数 匹であった。この報告は、次に挙げる 生殖細胞に備わる二つの重要な能力 を示唆していた。クローンが産まれる ということは、未受精卵に細胞を若返 らせる因子(リプログラミング因子)が 含まれている。また、産まれてくる確率 が低いということは、未受精卵に含ま れるリプログラミング因子だけでは、

細胞を完全に若返らせるには不十分で あり、卵や精子を作り出す過程にもリ プログラミング因子が含まれている。

 当時、私はどちらのリプログラミン グ因子の研究を行うか非常に迷った が 、若返った細胞( 卵 )を調べるより も、若返っていく細胞(始原生殖細胞:

精子・卵のもとになる細胞)を調べる 方が、より本質的な原理を理解できる のはないかと考え、博士課程から始原 生殖細胞に関する研究を行うことを 決意した。

我々の体を構成する細胞は生殖細胞と体細胞に大別することができる。我々が死ぬと体細胞は朽ち果てるが、生殖細胞は次の 世代を生み出し永続的に生き続けることができる。近年、iPS細胞を用いて、古くなった体細胞を新しい体細胞へ置き換えること

(再生医療)で、様々な疾患の根本治療を行う試みがなされつつある。iPS細胞は人工的に細胞を若返らせる技術だが、生殖細胞 では自然に細胞の若返りが繰り返されており、私たちの研究室ではその仕組みを解き明かし、最終的には再生医療や生殖補助医 療への応用を目指している。

参照

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