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江東デルタ河川のリバーループ構想

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Academic year: 2022

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江東デルタ河川のリバーループ構想

~横十間川・小名木川・旧中川・北十間川連結の水辺再生計画~

千葉工業大学 学生員 ○松田 樹 千葉工業大学 学生員 天野友樹 千葉工業大学 学生員 久下雄大 千葉工業大学 学生員 小出悠太 千葉工業大学 高橋剛一 千葉工業大学 正会員 島 正之

1.はじめに

現在の江東区の北に位置する旧中川・北十間川・横 十間川・小名木川で囲まれたこの地域は、以前は城東 地域と呼ばれ、舟運も栄えた江戸城下町だった。しか し、時代が進むにつれ、文明の技術を使うようになっ た人は、その移動の手段に鉄道を使うようになり、や がては自動車を使うことが主になった。人は舟運や水 路の文化から離れ、河川の存在を忘れてきた。近年、

新タワーの完成に伴う水上バスの運行の計画がされて いる。そこで、本論文では横十間川・小名木川・旧中 川・北十間川の連結と共に、水辺再生を図る。

2.研究目的

同じ水都としての歴史を歩み続けたヴェネチアやア ムステルダムとは違い、東京は水都としての歴史が断 れた。一度は自動車文化へと転換した都市が、再び水 都へとモーダルシフトをすることによって、その舟運 文化の重要性を世界へ発信する。その先駆けとして、

2001 年の新タワー完成に合わせてその近辺で予想され る地域活性化に伴い、世界から注目されるこの下町を、

現状の地元住民の安らぎと憩いの場としての色合いを 損なうことなく、新しい下町の舟運文化を形成する。

3.リバーループの概要

通常の河川は、高いところから低いところへと流れ、

直線または蛇行した形になるものであるが、北十間 川・横十間川・小名木川・旧中川の4河川で構成され たリバーループは、通常の河川ではみられない“ロの 字型”になっている。これは、護岸整備や埋め立て等 の整備が統一的に実施されたのではなく、個々の河川 に対して個別に行われた時代背景がある。

図-1 研究フロー 4.リバーループの現状

(1)横十間川…河川に公園が隣接し、オープンスペー スも確保されている。河川の両岸には散策路(デッキ) のようなものもあり、車交通との区分もされていて安 全が確保されている。しかし、デッキが直線で自転車 の交通が多い。歩行者優先などの看板もあるが、無視 されていて我が物顔で自転車が往来している。

(2)小名木川…河川脇の道も狭く、車交通が多い。堤 防はカミソリ堤防もあるが、一部に船着場兼デッキが ある。また、灯篭などを置いていて改善工事が行われ ている。

(3)旧中川…4河川の中で唯一の自然河川で、自然が 多く、開放された河川である。オープンスペースも確 保されている。ほぼ問題は無いといえる。

(4)北十間川…カミソリ堤防が人の肩の高さまであり、

さらに視線をさえぎるような植栽になっている。陸域 と水辺で分断されて、水辺という概念が感じられない。

キーワード リバーループ、リバーウォーク、舟運、水の駅、回遊性

連絡先 〒275-8588 習志野市津田沼 2-17-1 千葉工業大学 工学部 建築都市環境学科 TEL 047-478-0446

Ⅳ-057 第35回土木学会関東支部技術研究発表会

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4.基本理念

江東内部河川と呼ばれる横十間川・小名木川・旧 中川・横十間川で囲まれた地域は、江戸時代から城東 地区として下町文化が根強く残っている。戦後まもな く工場地帯として発展してきたこの地域は、工場移転 後の跡地を,現在は高層マンションを中心としたベッ ドタウンとして、集合住宅・戸建住宅が7割近くを占 めるようになった。都心とも違い、また同じ下町文化 が多く残る浅草地域とも違い、都会の中でもゆったり とした時間が流れるこの地域の中は、そのベッドタウ ンとしての色合いからも、都市の中の憩いと安らぎの 空間として発展していかなければならない。

本研究では、横十間川・小名木川・旧中川・横十間 川の連結から、都市の中でゆったりとした時間を過ご せる、この地域の特徴を崩すことなく、さらに発展し た憩いと安らぎの空間の創造を理念とする。

5.基本構想

今回の研究では、かつて日本の東京もオランダのア ムステルダムやイタリアのヴェネチアと同じく舟運 文化が栄え、東洋のベネツィアと称されるほど川と密 接な町だったというところに注目した。文明の発達に より、人は移動の手段を船から機関車、そして車へと 変えてきたが、今環境の面からも輸送手段を車から船

・機関車とモーダルシフトする考えが注目されてき ている。新タワーが建設されることで、一度途絶えた 舟運文化を再出発させ、と同時に忘れられた江東内部 河川“横十間川・小名木川・旧中川・横十間川”の4 河川の水辺空間の魅力向上をねらいとする。

図-2 計画対象地域

6.基本計画

6.1 リバーループ計画

江東内部河川にあるこの地域は、水位低下河川が多 く存在しており、モーターボートや水上バスのような 動力船を通すことはできない。そこで、この地域でも 通すことのできる手漕ぎによる舟、和船に注目した。

亀戸周辺には、神社などの古くからの文化財が多く残 っている。このようにリバーループには、文化財など 浅草とは少し変わった日本の歴史を感じることが出 来る資源がある。それらを用いて、この地域の魅力を 水面から感じ取ってもらうことをねらいとする。

6.2 リバーウォーク計画

現在、リバーループに沿うテラスは連続性が無く、

途中途中で分断されている。この計画では、それらの 分断されているテラスの連続性を持たせ、人々が川に 接する機会を増やすことをねらいとする。また、リバ ーウォークをループさせるのは、どこで始まりどこで 終わってもいいという、ループならではの利点を利用 するためである。

6.3 水の駅

リバーループ計画を考えたとき、目的地によっては 舟を乗り換える必要がある。そのためには舟の乗り換 え場、「水の駅」が必要である。駅の機能としては、

乗り換えの他に地域の情報提供、休憩スペース、災害 時の拠点・避難場所の3つを持たせる。これらの機能 から、街と川の分断されたこの地域の一体化をめざす。

7.おわりに

本研究は、リバーループを豊かな水辺空間とするた めに現状の町の特色を基準とし、憩いと安らぎの空間 の形成をハード面だけでなく、ソフト面からも充実さ せた。特色ある水辺空間を再構築することで来訪者と 地元住民、どちらにとっても魅力的で楽しい地域を実 現するために水辺環境の向上、都市の中の憩いの場と しての空間整備、水上交通の発展を絡み合わせて、横 十間川・小名木川・旧中川・北十間川の連結を図り、

新たな水辺の再生とし、過去からの歴史と文化を復 活・受け継ぎ、そこへ新しい文化を融合させることで、

水の都・東京の復活へと未来へ繋げていきたい。

Ⅳ-057 第35回土木学会関東支部技術研究発表会

参照

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