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多様な情報を活用し実生活に活かす保健体育学習

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Academic year: 2022

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(1)

7 保健体育

多様な情報を活用し実生活に活かす保健体育学習

―健康に対する意識を深める保健分野の授業展開―

若宮 隆洋

はじめに

次期学習指導要領では体育や保健の見方・考え方 を働かせ課題を発見し合理的な解決に向けた学習 過程を通して心と体の一体として捉え生涯にわた って心身の健康を保持増進し豊かなスポーツライフ を実現することを目指している。

これまでも生徒たちの日々の生活の中で健康に 関する多くの情報がテレビや雑誌新聞インターネ ットなど様々な形で取り扱われていた。しかし正し い情報や誤った情報が混在する中から生徒たちが自 ら有益な情報を取捨選択することは難しいのではな いかと考える。

これからの生徒たちの人生の中で自らと周りの 人たちの健康のためにはあふれる情報の中から分 析し効果があるものかを判断し生活の場面で実践 していく力が最も重要である。生徒たちを含めた人 々の命を守るために状況を分析・判断し自らの考 察から答えを選択し実行していく保健分野の内容は 必要不可欠な内容である。

保健分野における年生の内容では体の仕組みや 発達といった理科分野と関連した学習内容が中心 である。 年生では健康と関連した環境について学 習を深める。これは社会科分野や家庭科分野とも密 接に関連している。このような教科横断的な内容は 生徒たちの思考力や判断力を高めるために広い視 野をもって学習に取り組むことが出来ると考えられ る。そして2年生の内容の事故や自然災害それに

関わる応急手当 年生での病気に関する生活習慣 とその予防感染症とその予防などの内容は命に直 接結びつく内容であり道徳分野などとの関連も深 く今最も必要不可欠な内容である。

このように多くの学習内容とも関連しまた多様 な情報がある中から生徒が分析・判断し自らの実 践に繋げていく力は重要でありさらに結果を評価 し自らの健康に対する生活などの見直し改善に役 立てる。学習内容が身近な生活に役立てられ行動 変容を伴う実生活に直結した学習展開を進めてい く。

そして保健体育科での学びにより,生徒たちの豊 かな人生の構築につなげていきたい。

図 研究構想図 本論の要旨

次期学習指導要領が改訂公示され,子どもたちに求められる資質・能力として,「何を理解し,何が できるか。」「理解していること・できることをどう使うか。」「どのように社会・世界と関わり,よ りよい人生を送るか。」以上の三つの視点が中教審答申で強調された。保健体育科においても,いかに 学びを実生活に生かすことができるのかが,今後も重要である。

今回,自らと周りの人たちの健康のために,あふれる情報の中から分析し,効果があるものかを判断し, 生活の場面で実践していく力が生徒たちの人生にとって最も重要だと,新型コロナウイルス感染症の流 行を経験し痛感した。

そこで,滋賀県中学校保健体育科の課題でもある「話し合う活動」「助け合い,役割を果たす活動」

(共に全国平均値より県平均値は下回っている)を多く取り入れ,生徒たちのコミュニケーション力を 高め,協力・協働する授業を目指す。

■キーワード 情報の取捨選択,豊かな実生活,行動変容,健康,命,コミュニケーション力

キーワード 実践力,教科横断的内容,論理的な思考力,実生活

(2)

7 保健体育

多様な情報を活用し実生活に活かす保健体育学習

―健康に対する意識を深める保健分野の授業展開―

若宮 隆洋

はじめに

次期学習指導要領では体育や保健の見方・考え方 を働かせ課題を発見し合理的な解決に向けた学習 過程を通して心と体の一体として捉え生涯にわた って心身の健康を保持増進し豊かなスポーツライフ を実現することを目指している。

これまでも生徒たちの日々の生活の中で健康に 関する多くの情報がテレビや雑誌新聞インターネ ットなど様々な形で取り扱われていた。しかし正し い情報や誤った情報が混在する中から生徒たちが自 ら有益な情報を取捨選択することは難しいのではな いかと考える。

これからの生徒たちの人生の中で自らと周りの 人たちの健康のためにはあふれる情報の中から分 析し効果があるものかを判断し生活の場面で実践 していく力が最も重要である。生徒たちを含めた人 々の命を守るために状況を分析・判断し自らの考 察から答えを選択し実行していく保健分野の内容は 必要不可欠な内容である。

保健分野における年生の内容では体の仕組みや 発達といった理科分野と関連した学習内容が中心 である。 年生では健康と関連した環境について学 習を深める。これは社会科分野や家庭科分野とも密 接に関連している。このような教科横断的な内容は 生徒たちの思考力や判断力を高めるために広い視 野をもって学習に取り組むことが出来ると考えられ る。そして2年生の内容の事故や自然災害それに

関わる応急手当 年生での病気に関する生活習慣 とその予防感染症とその予防などの内容は命に直 接結びつく内容であり道徳分野などとの関連も深 く今最も必要不可欠な内容である。

このように多くの学習内容とも関連しまた多様 な情報がある中から生徒が分析・判断し自らの実 践に繋げていく力は重要でありさらに結果を評価 し自らの健康に対する生活などの見直し改善に役 立てる。学習内容が身近な生活に役立てられ行動 変容を伴う実生活に直結した学習展開を進めてい く。

そして保健体育科での学びにより,生徒たちの豊 かな人生の構築につなげていきたい。

図 研究構想図 本論の要旨

次期学習指導要領が改訂公示され,子どもたちに求められる資質・能力として,「何を理解し,何が できるか。」「理解していること・できることをどう使うか。」「どのように社会・世界と関わり,よ りよい人生を送るか。」以上の三つの視点が中教審答申で強調された。保健体育科においても,いかに 学びを実生活に生かすことができるのかが,今後も重要である。

今回,自らと周りの人たちの健康のために,あふれる情報の中から分析し,効果があるものかを判断し, 生活の場面で実践していく力が生徒たちの人生にとって最も重要だと,新型コロナウイルス感染症の流 行を経験し痛感した。

そこで,滋賀県中学校保健体育科の課題でもある「話し合う活動」「助け合い,役割を果たす活動」

(共に全国平均値より県平均値は下回っている)を多く取り入れ,生徒たちのコミュニケーション力を 高め,協力・協働する授業を目指す。

■キーワード 情報の取捨選択,豊かな実生活,行動変容,健康,命,コミュニケーション力

キーワード 実践力,教科横断的内容,論理的な思考力,実生活

.研究仮説

疾病などに関する正しい知識を身につけ学習内 容と実生活を結び付けヘルスプロモーションに向 けて行動を実践いく。そのためには情報を整理し 発信するとともに生徒個々が自分の考えや行動を振 り返ることが必要不可欠であると考える。これらの 経験が健康に向けての行動変容に大きな影響を与え るだろう。

.授業実践(令和年月日 第学年)

()単元 「健康な生活と病気の予防」

()単元設定の理由

今日では生活の質が健康の保持増進のために重要 視されていることは私たちの日常の生活の中で健 康に関する多くの情報がテレビや雑誌インターネ ットなど様々な形で取り上げられていることからも 強く感じる。これからの実生活を過ごす上で自らの 健康のためには多様な情報を分析し効果があるも のかどうかを判断し調和の取れた生活を送るため に重要な生活習慣を実践していく力が重要だと考 えられる。

また飲酒・喫煙・薬物乱用などの行為が心身に与 える影響についても誤った情報に惑わされない態 度を育てさらに生徒たちが今大きな影響を受けて いる感染症などの病原体が原因となる疾病につい ての知識を正しく持つことも重要視される。

生徒たちは月から月までの三ヶ月間今まで 経験したことのない休校期間を体験し今現在も様 々な制約の中で生活を送っている。そのため目に見 えない不安やストレスから心身ともに疲れを感じ ている生徒が多いような印象を受ける。

そこで,本単元では生活習慣などの実体験や身の 回りにあふれている多くの身体に関する情報そし て疾病などに関する正しい知識から健康の保持増 進に向けて行動変容を進めていくための思考力・判 断力を生徒個々に身につけさせる。

()単元の学習目標

① 健康について関心を持ち自らの健康の保持 増進に取り組める。

② 健康の保持増進のための課題を見つけたり 情報収集や資料分析を通したりして解決の方法 が選べる。

③ 健康の保持増進に関わる生活習慣や感染症 などについて理解し課題解決に向けての知識を 身につける。

④ 健康の保持増進にむけて知識を活用し実生 活に生かすことができる。

()単元の評価規準

【知識・技能】

②健康の保持増進のための課題を見つけたり情報 収集や資料分析を通したりして解決の方法が選べ る。

③健康の保持増進に関わる生活習慣や感染症などに ついて理解し課題解決に向けての知識を身につけ る。

【思考力・判断力・表現力等】

④健康の保持増進にむけて知識を活用し実生活に 活かすことができる。

【主体的に学習に取り組む態度】

①健康について関心を持ち自らの健康の保持増進に取 り組もうとしている。

()単元の学習計画全時間)

第1時:健康の成り立ち 第時:運動と健康 第時:食生活と健康 第時:休養・睡眠と健康

第時・第時:生活習慣病とその予防 第時:喫煙と健康

第時:飲酒と健康 第時:薬物乱用と健康

第時:喫煙・飲酒・薬物乱用のきっかけ 第時・第時:感染症とその予防

第時・第時:性感染症とその予防/エイズ 第時:保健・医療機関の利用

第時:医薬品の有効利用 第時:共に健康に生きる社会

()校内研究と本時との関連課題を主体的に見出す 具体的な方策

【学習課題設定の工夫】

①学習者に関わるもの

・生徒の知識の整理を促すために,整理の視点の明 確化を行う。

②指導方法に関わるもの

・生徒の着眼点を認め自己肯定感を高める言葉がけ などを行う。

【思考ツール等の活用】

・ポスターワークシート

()本時の目標

感染症予防を理解し正しい行動を発信することが できる

()資料・教具・準備など 教科書

ワークブック ワークシート スライド

保 健 体 育

(3)

()本時の学習過程(第時)

()授業実践の考察

本年度は本単元の「健康な生活と病気の予防」は 生徒たちを含め世界中のすべての人々が今現在も なお常に意識し考えなければならない状況に置か れている。特に第時と第時で学習する「感染 症とその予防」は現在の生徒たちの日常生活に密接 に関係している内容である。次期学習指導要領中学 校保健体育の保険分野における保険の見方・考え方 について「個人及び社会生活における課題や情報を

健康や安全に関する原則や概念に着目して捉え疾 病等のリスクの軽減や生活の質の向上健康を支え る環境づくりと関連付けること。」と整理されてい る。まさしく現在の新型コロナウイルス感染症の出 現による全世界を巻き込んだコロナ禍といわれる状 況において様々なマスメディアなどで取り上げら れる多くの情報を健康・安全の視点で捉え実生活 で取り組むことが生徒たちにも求められている。

本単元は大きく分類すると健康な体づくりのた 学習内容・学習活動 ○指導 ◆評価★主体的に課題を見いだす方策

導 入

.前時の学習内容を振り返る。

.学習課題を知る。

〇前時の学習内容の確認。

◆規準①ノートを見直し,学びの定着に活かそうとしている。(観察

・ノート)

展 開

3.感染症予防に関する対策を三つの視点 から分析し,整理する。

4.分析,整理した知識を活かして,感染症予 防ポスターのデザインを考える。

5.ポスターを学級全員で交流する。

6.4 人グループになり,それぞれのポスタ ーが,学習した三つの感染症予防対策の どれにあてはまるか,協議する。

7.ポスターで考えた内容を,自らの実生活 で実践できる内容か確認する。

○感染症予防についてスライドを活用しノートに板書させる

〇ワークシートを用いて時間を制限し作成させる。

◆規準②情報の様々な表し方を理解し活用している。(ワーク シート)

〇生徒個人の机上にポスターデザインを提示した状態で交流さ せる。

◆規準①学習内容やその目的などについて積極的に交流に参加 し学習に取り組もうとしている。(観察)

〇考えを発表させる。

◆規準③根拠や理由を明確にして意見をまとめさせる。(ワーク シート)

〇新たな気づきや,自らの生活に照らし合わせ学習の振り返り をさせる。

ま と め

8.SDGsに触れ,(3 すべての人に健康と福 祉を)本時のまとめをする。

○本時の学習内容が6'*sのどのゴールに深く関連しまた他のゴール につながっていく点や自分事として捉えて欲しいことを伝える。

学習課題 感染症を予防し健康に生活するための行動を考えよう。

(4)

()本時の学習過程(第時)

()授業実践の考察

本年度は本単元の「健康な生活と病気の予防」は 生徒たちを含め世界中のすべての人々が今現在も なお常に意識し考えなければならない状況に置か れている。特に第時と第時で学習する「感染 症とその予防」は現在の生徒たちの日常生活に密接 に関係している内容である。次期学習指導要領中学 校保健体育の保険分野における保険の見方・考え方 について「個人及び社会生活における課題や情報を

健康や安全に関する原則や概念に着目して捉え疾 病等のリスクの軽減や生活の質の向上健康を支え る環境づくりと関連付けること。」と整理されてい る。まさしく現在の新型コロナウイルス感染症の出 現による全世界を巻き込んだコロナ禍といわれる状 況において様々なマスメディアなどで取り上げら れる多くの情報を健康・安全の視点で捉え実生活 で取り組むことが生徒たちにも求められている。

本単元は大きく分類すると健康な体づくりのた 学習内容・学習活動 ○指導 ◆評価★主体的に課題を見いだす方策

導 入

.前時の学習内容を振り返る。

.学習課題を知る。

〇前時の学習内容の確認。

◆規準①ノートを見直し,学びの定着に活かそうとしている。(観察

・ノート)

展 開

3.感染症予防に関する対策を三つの視点 から分析し,整理する。

4.分析,整理した知識を活かして,感染症予 防ポスターのデザインを考える。

5.ポスターを学級全員で交流する。

6.4 人グループになり,それぞれのポスタ ーが,学習した三つの感染症予防対策の どれにあてはまるか,協議する。

7.ポスターで考えた内容を,自らの実生活 で実践できる内容か確認する。

○感染症予防についてスライドを活用しノートに板書させる

〇ワークシートを用いて時間を制限し作成させる。

◆規準②情報の様々な表し方を理解し活用している。(ワーク シート)

〇生徒個人の机上にポスターデザインを提示した状態で交流さ せる。

◆規準①学習内容やその目的などについて積極的に交流に参加 し学習に取り組もうとしている。(観察)

〇考えを発表させる。

◆規準③根拠や理由を明確にして意見をまとめさせる。(ワーク シート)

〇新たな気づきや,自らの生活に照らし合わせ学習の振り返り をさせる。

ま と め

8.SDGsに触れ,(3 すべての人に健康と福 祉を)本時のまとめをする。

○本時の学習内容が6'*sのどのゴールに深く関連しまた他のゴール につながっていく点や自分事として捉えて欲しいことを伝える。

学習課題 感染症を予防し健康に生活するための行動を考えよう。

めの基本的な生活習慣について学ぶ内容と日本国 民の分のがかかるといわれ国民病ともいわれる がんや心臓病・脳卒中などの循環器の疾患糖尿病な どの生活習慣病とその生活習慣病に深く関係する喫 煙・飲酒などの生活習慣に関する内容性感染症・エ イズを含んだ感染症に関する内容に分けられる。

年度に「生活に密着した情報を活用した思 考力・判断力・表現力を高める保健体育学習」とい う研究テーマに取り組んだ。生徒自身が生活体験や 生活実践などで得た様々な情報と学習内容を相互に 深く結びつかせるために多様な情報がある中から 生徒が分析・判断し自らの実践に繋げていく力は重 要であると考えた。分析・判断実践・実行し結果 を評価し自らの健康に対する生活などの見直し改 善に役立てる力を育みそして学習内容が身近な生 活に役立てられ行動変容に向けた思考力・判断力・

表現力(実践力)を高められる学習展開を進めてい くことを目当てとした。そこで取り扱ったのが生活 習慣病とその予防についての内容であった。しかし 授業を進めるにあたりがんや心臓病脳卒中などの 生活習慣病が生徒たちにとってまだまだ自分自身 の問題として考えるには難しくなかなか今の生活 習慣と生活習慣病との結びつきをイメージしにくい 様子であった。

それに対して感染症は昨年度末の緊急事態宣言 発令時から授業で取り組んだ月までの約か月 半の期間にそれまで世界中の誰も経験したことの ない生活を強いられ毎日のようにマスメディアな どから受け取る膨大な情報に囲まれ十分すぎるほ どに学習内容が実生活に深く結びついていることを 生徒たちは痛感している様子であった。

前時にインフルエンザ感染症や結核などの様々な 感染症について感染源である病原体や感染経路体 に起こる主要な症状などについて学習した。教科書 の内容では扱われていなかったが新型コロナウイ ルス感染症についても取り扱った。そこではチャー

ト(図)を使用しまとめそれぞれの感染症を病原

体感染経路潜伏期間主要症状に整理分類し比較 することで感染症への理解を深めた。

そして本時は感染症の予防を中心に前時で整理し た病原体である感染源と感染経路新たに免疫機能 などの体の抵抗力などの視点で予防について理解す るところから展開していった。

生徒たちは実生活でも 月の学校再開後の登校 時より手洗い消毒マスクの着用検温他人との 距離の確保など様々な具体的な新型コロナウイルス 感染症予防対策を実生活において実践してきてい る。当然それらの行動が新型コロナウイルス感染症

に対してどのような効果がありまた意味があるの か理解している生徒もいるが家庭や学校での指導 や社会からの影響などから習慣的に行っている生 徒もいるように感じられる。そのような生徒たちの 理解に対し手洗いや消毒が病原体を滅菌し接触感 染のリスクを抑えていることやマスクの着用や距 離の確保が飛沫感染にたいして行っている感染対策 であるということを正しく理解することが生徒た ちの実生活により効果的に働きさらに自らのこれ からの人生において応用され有益な学習に結び付 くのではないかと考えた。

図 感染症チャート

そこで本時の中心的な学習活動として活用したも のがポスターワークシートである。このポスターワ ークシートではインフルエンザ感染症についての 予防対策において生徒が一番重要であると考える 具体的な予防法をポスターにデザインし表現するこ とで身につけた知識を生徒自身が確認することが 一つ目のねらいであった。(図)

図 ポスターワークシート作成

そのためデザインの構成などは重要ではなく言 葉だけではなくイラストなどを駆使して予防対策 を表現することが重要であり生徒自身が再確認す ることが大切であると考えポスターという手法を 用いた。このポスターワークシートは先だって 年生の情報の時間で取り組み情報の整理と発信の 効果を実感し保健分野の授業での活用を模索して いた。そして今回はさらにポスターで表現するだけ でなく 人グループで話し合い自分自身が作成し

保 健 体 育

(5)

たポスターとグループの他の生徒が作成したポスタ ーを交流し前半で学習した感染源対策感染経路対 策抵抗力対策のどの対策に分類されるのかを議論 し共有する場面を設定した。(図)

図 グループ交流

このグループでの交流と議論を通して自らの視 点と発信力を確認し他者に認められるとともに他 者の理解を深めることを2つ目のねらいとした。実 際にグループによっては 人それぞれが別の視点 の感染症対策について重要ととらえ発信しているグ ループやデザインはそれぞれ独創的だが共通の視 点の感染症対策を重要ととらえているグループがあ った。また交流し整理してみると一つのポスター に多くの視点の感染症対策を取り入れたポスターを 作成している生徒も多く見られた。(図)

図 ポスターワークシート

そして各グループで議論交流し分類した感染症 対策についての結果をそれぞれのポスターに記入 しワークシートを完成させ学級全体で共有する場

面を設定した。(図 )この学級全体で共有すると きにポスターは大変効果的であると感じた。短時間 で生徒自身が表現したいことが多くに伝わりそれ ぞれが独創的であり受け手の評価がおおむね高い ように感じるからである。このことは生徒たちの学 習に対する意欲の向上にも大いに役立っているので はないかと考える。これがつ目のねらいであった。

図 全体交流

.成果と課題

年に存在が確認され日本でも 年から 年になった現在も全国的に広がり終息のめ どが立たない新型コロナウイルス感染症によって 日常の生活が大きく変わってしまった生徒たち。中 学年生というかけがえのない時間をこの新型コロ ナウイルス感染症によって乱された生徒たちにとっ ては感染症の怖さと健康の大切さを今もなお感じ て生活している。このような状況の中で今回の研究 では,生徒たちに授業での学びが実生活に直結し さらに今回の経験をこれからの人生の中で,自らの 健康とそれが身近な人々の健康につながること。そ してそのことが何よりも必要不可欠であると捉え 授業を計画した。

研究授業で取り上げた感染症とその予防につい ては新型コロナウイルスが蔓延する現在のような 状況の前は例年冬季を中心に多くの人がかかるイ ンフルエンザ感染症を中心に過去の感染症と認識 されているが近年再燃してきている結核 年 に出現した 6$56 などの新しい感染症について取り 扱ってきた。これらのどの感染症についても他人事 ではなく生徒たち自身の健康に影響を及ぼす恐れ のある疾病であり本単元の前半で学習する生活習 慣病よりもより身近な問題であることを授業で伝え てきた。本単元は年生の学習内容であり特に受験 期を迎える生徒たちにとってはインフルエンザ感 染症に対する備えは重要であり学校だけでなく家 庭でも予防接種をはじめ感染症対策に高い意識を 持って取り組んでいることが生徒たちのワクチン

(6)

たポスターとグループの他の生徒が作成したポスタ ーを交流し前半で学習した感染源対策感染経路対 策抵抗力対策のどの対策に分類されるのかを議論 し共有する場面を設定した。(図)

図 グループ交流

このグループでの交流と議論を通して自らの視 点と発信力を確認し他者に認められるとともに他 者の理解を深めることを2つ目のねらいとした。実 際にグループによっては 人それぞれが別の視点 の感染症対策について重要ととらえ発信しているグ ループやデザインはそれぞれ独創的だが共通の視 点の感染症対策を重要ととらえているグループがあ った。また交流し整理してみると一つのポスター に多くの視点の感染症対策を取り入れたポスターを 作成している生徒も多く見られた。(図)

図 ポスターワークシート

そして各グループで議論交流し分類した感染症 対策についての結果をそれぞれのポスターに記入 しワークシートを完成させ学級全体で共有する場

面を設定した。(図 )この学級全体で共有すると きにポスターは大変効果的であると感じた。短時間 で生徒自身が表現したいことが多くに伝わりそれ ぞれが独創的であり受け手の評価がおおむね高い ように感じるからである。このことは生徒たちの学 習に対する意欲の向上にも大いに役立っているので はないかと考える。これがつ目のねらいであった。

図 全体交流

.成果と課題

年に存在が確認され日本でも 年から 年になった現在も全国的に広がり終息のめ どが立たない新型コロナウイルス感染症によって 日常の生活が大きく変わってしまった生徒たち。中 学年生というかけがえのない時間をこの新型コロ ナウイルス感染症によって乱された生徒たちにとっ ては感染症の怖さと健康の大切さを今もなお感じ て生活している。このような状況の中で今回の研究 では,生徒たちに授業での学びが実生活に直結し さらに今回の経験をこれからの人生の中で,自らの 健康とそれが身近な人々の健康につながること。そ してそのことが何よりも必要不可欠であると捉え 授業を計画した。

研究授業で取り上げた感染症とその予防につい ては新型コロナウイルスが蔓延する現在のような 状況の前は例年冬季を中心に多くの人がかかるイ ンフルエンザ感染症を中心に過去の感染症と認識 されているが近年再燃してきている結核 年 に出現した 6$56 などの新しい感染症について取り 扱ってきた。これらのどの感染症についても他人事 ではなく生徒たち自身の健康に影響を及ぼす恐れ のある疾病であり本単元の前半で学習する生活習 慣病よりもより身近な問題であることを授業で伝え てきた。本単元は年生の学習内容であり特に受験 期を迎える生徒たちにとってはインフルエンザ感 染症に対する備えは重要であり学校だけでなく家 庭でも予防接種をはじめ感染症対策に高い意識を 持って取り組んでいることが生徒たちのワクチン

の接種率やマスクの着用などから伝わっていた。し かし生徒たちの感染症に対する認識は限定的でも ありインフルエンザ感染症以外の感染症について は遠い場所やかなり昔の感染症であり自分たちへ の影響はあまり感じていない様子でもあった。

年春の新型インフルエンザの流行を経験し今回の 新型コロナウイルスの流行までの影響ではなかった ものの学校が休校になりマスクの着用とアルコー ル消毒が一般的になったことを経験した年代の人た ちは今回のような新たな感染症の出現は予想し過 去の経験を活用できる。しかし年前まだ歳 歳だった 年生の生徒たちにとってはこのような 感染症が出現し自分たちの生活を一変させるとは 想像もできなかったのではないだろうか。そのよう な生徒たちにとって現在の実生活での体験はこれ からの人生において大きな教訓となり貴重な経験 として生徒たちの力にしていかなければならない。

図 ポスターワークシート

今回の授業において感染症予防対策について つの視点で整理し具体的な行動がどのような効果 がある対策なのか理解を深める授業を展開した。そ の中で多くの生徒が栄養や睡眠などの生活習慣に 着目し日常の生活に意識をして過ごしそのことが 抵抗力を高め感染症対策につながることを重要視 していることがポスターワークシートから読み取る ことができた。(図)

このことはこれからの生徒たちの実生活におい て新型コロナウイルス感染症の流行が終息した後

も健康を意識した日々の生活習慣の実践につながっ ていくと期待できる。つまり感染症に対してだけで はなく生活習慣病を含めた様々な疾病に対して生 徒たちに自分と自分の身近な人の健康に対して関心 を常に持ち続け健康を保持増進するためのヘルス プロモーションを実践していく行動変容が表れると 考える。

新型コロナウイルスの出現により生徒たちは多 くの苦しみの中から貴重な経験をした。本来はこの ようなつらい経験をすることなく感染症への備え やさらには疾病に対する知識と理解さらには自分 事として捉え実生活と結び付けられる学習を構築 する手立てを研究しなければならないが図らずと も今回は実生活での多くの体験から学習内容に結 びつける授業展開となった。このことは間違いでは ないのだが今後実生活でこのような経験をしてい ない生徒たちにいかに自分事として捉えられる授 業を展開することができるのかが来年度以降の課 題として挙げられる。

さらに本授業でも取り上げた6'*Vの「すべて の人に健康と福祉を」(図 )というゴールについ ては今世界中の人々が共通して取り組むべき事柄 である。このことは保健分野とは切っても切り離せ ないことであり 年に向けて高い意識を持って 取り組むべき課題であると考える。

図 授業スライド 参考文献・資料

・文部科学省「『生きる力』を育む中学校保健体育 教育の手引き」,

・文部科学省「中学校学習指導要領」,

・滋賀大学教育学部附属中学校 「滋賀大学教育学 部附属中学校研究紀要第集」

保 健 体 育

参照

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