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単管とクランプで構成する構造物の可能性について

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Academic year: 2022

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単管とクランプで構成する構造物の可能性について

国土工営コンサルタンツ(株) 正員 筒井 光男 九州産業大学 フェロー 水田 洋司 福岡大学 正員 坂田 力

国土工営コンサルタンツ(株) 石原 元 1.はじめに

単管とクランプは足場や仮設のフェンスなどに使われることが多く、次のような特徴がある。まず、部材が 小さく、片手で取り扱うことが出来る。次に、連結に用いるクランプはラチェットレンチを用いて片手で締結・

取り外しが出来る。このために、単管とクランプで作る構造物は人力で設置・解体可能である。本論文では、

単管とクランプを用いた仮設ではない構造物(本論文では単に構造物と記す)ついて検討し、その形状および 力学特性について考察した。

2.素材としての単管とクランプ 2.1 材料

単管:外径48.6mm、板厚2.3mm、断面積3.345cm2、断面2次モーメント 8.99cm4、単位質量2.63kg/m、長さは1m,2m,3mなど。曲げることも出来る が、基本は直線のまま使用する。

クランプ:固定クランプ、自在クランプ、垂木止めクランプがある。

構造用物を形成するのに便利な自在クランプを使用する(以下単にクラ ンプと書く)。許容荷重は3.5kNが多く用いられる。

2.2 取り付け条件

2本の単管の最短距離が70mmの場合に、最短距離位置に取り付け可能で

ある。そして最短距離の軸周りに回転可能である。

図-1 六角もたれかけ構造 3.形状の制約と力学性状

3.1 形状

単管をクランプで連結して構造物を構成する。そのために、単管軸力 はクランプを経由して伝達される。このとき、単管の部材軸は偏心する。

このために、「もたれかけ」1)の構造となることが多い(図-1)。もたれ かけ構造を連ねると弧を描き、その曲率は単管直線長とクランプ間隔に よって決まる。単管が短くなるあるいはクランプ間隔が狭くなると、曲 率が大きくなる。また三角形、四角形や六角形など、繰り返しパターン で面を埋めることが出来る形状は、ドームを形成することが可能である

(図-2,3)。なお、模型の材料は割箸と輪ゴムである。

3.2 強度

ⅰ)軸力 図-2 三角形で構成されるドーム 部材軸の偏心は軸力による座屈荷重の低下をもたらす。これに対して

は、単管の端部を複数のクランプで連結することにより、拘束度を上げ

て偏心の影響を小さくすることが可能である(図-1,2,3)

ⅱ)曲げと剪断

曲げは、クランプを経由して伝達される。このために、クランプ間隔 が小さい場合は、剪断力が大きくなる傾向がある(図-4)。剪断力が大き い場合は、中心部に柱を立てて、引張材を配置する対策も有効である(図

-5)。クランプで連結するので、木材のような断面欠損は無い。荷重集 中点の補強としては、クランプがダイヤフラムの役割をすると考えられ る。部材を組む方向は、主荷重作用時に、クランプに圧縮が作用するよ うにするほうが、次に単管が控えているので合理的である。強度が不足

する場合は、単管を追加して補強することが容易である。 図-3 四角形で構成されるドーム キーワード:単管、クランプ、構造素材、もたれかけ構造

連絡先:〒859-3724 長崎県東彼杵郡波佐見町志折郷1905-8 国土工営コンサルタンツ(株)0956-76-9094 土木学会第70回年次学術講演会(平成27年9月)

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a)格点荷重と曲げモーメント b) 剪断力 図-4 面外荷重が作用する六角もたれかけ構造の断面力

4.構造物例

もたれかけ構造を屋根に用いた単管の家の骨組模型を図-5示す。

図-5は梁・柱は全て同じ長さ、連結は自在クランプを想定している。

さらに、屋根梁の曲げと剪断力軽減のために、中央格点に短柱を設 け、頂点からケーブルあるいは鋼棒を張っている。これらは水平面 内剛性の向上にも寄与している。仮設として使用する場合は、まず はシートで覆い、後日屋根や壁を施工することも可能である。

5.構造物としての可能性 5.1 構造とイメージ

単管を構造物として用いるには、強度上の欠点があるが、設計を 工夫することにより解決が可能である(3.2)。また、単管とクランプ

は工事足場のイメージがあり、構造物としては受け入れられにくい面 図-5 単管の家 もある。これは、今後デザインや内装外装を工夫することにより解

決可能と考えられる。

5.2 組立て

単管とクランプは仮設材であるために、後工程で使用する部材を治具とし て使用できる。また、組み立ては人力でできるために、被災地等でも組み立 てることが可能というメリットがある。

5.3 変形性能

図-1 の「六角もたれかけ構造」を横から押すと、図-6 のように楕円状に変 形する。これを利用して保管スペース・輸送費の軽減および現地組立の効率 化ができる可能性がある。さらに、クランプを緩めて、管軸回り回転および 管軸方向にスライドできる仮継手として使用することも考えられる。単管と クランプは精度をあげなくても強度を確保できるため、災害時など急ぐとき はほどほどの精度で作り、後日時間があるときに調整することも出来る。こ

れは溶接や高力ボルトで連結された、鋼構造物には無い特徴である。 図-6 六角もたれかけ構造変形時 5.4 構造素材

隈研吾氏 1)は次のように言っている。「建築のかつての OSは煉瓦であった」、「片手で扱え、やり直し、修 正がきく、レンガは鉄とコンクリートという強力な OSが登場するまで人気絶大であった」。これらを踏まえ て、彼は「水のレンガ」、木で織る「千鳥」等を用いて小さな建築を実現している。この流れからすると、次 は鋼構造の小さな素材が欲しくなる。その候補として単管とクランプを検討したものである。結果、鋼構造の 素材として有力と考えられる。

6.結論

単管とクランプを用いた構造物の可能性について考察を行った。単管とクランプを用いた構造物は、片手で 組み立て・補強・解体が可能であり、移設も容易である。このために、仮設ではない構造物の材料としても有 力と考えられる。また、単管が持つ工事足場のイメージは、今後、デザインを工夫することにより解決可能で あろう。

参考文献

1) 隈研吾;小さな建築、P67~P116、P24~P28、P28~P66、P118~P138、岩波新書2013.1 土木学会第70回年次学術講演会(平成27年9月)

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参照

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