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論文 既存超高層鉄筋コンクリート造建築物の構造特性と骨組モデル

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(1)

論文 既存超高層鉄筋コンクリート造建築物の構造特性と骨組モデル

秋田 知芳*1・栗本 耕太郎*2・五百井 壮*2・和泉 信之*3

要旨:既存超高層 RC 造建築物を 3 つの設計年代に分け,設計時の性能評価シートから作成したデータベース を用いて,各年代における構造計画や構造特性に関する分析を行った。次に,上記の分析結果に基づいて各 年代の構造計画及び構造特性を代表する骨組モデルを作成し,時刻歴地震応答解析を実施して,既存超高層 RC 造建築物の保有耐震性能の検討を行った。その結果,作成した骨組モデルが既存超高層 RC 造建築物の保有 耐震性能を模擬していることを確認した。また,骨組モデルを用いて性能評価シートに示されていない最大 級の地震動に対する既存超高層 RC 造建築物の挙動を推定した。

キーワード:超高層建築物,構造特性,骨組モデル,時刻歴応答解析,耐震性能,設計年代

1.

はじめに

1990

年頃から設計・施工技術の発展に伴い超高層

RC

造建築物の棟数は増大し,既に

500

棟以上が建設されて きた。これらの超高層

RC

造建築物の構造特性は設計時 期によって異なり,法の最低要求値は確保されているが,

法要求外の修復限界や安全限界など実際に保有する耐 震性能は把握されていない。社会資本の長寿命化が求め られる省資源型社会において既存超高層

RC

造建築物の 長期活用を図るには,その耐震性の向上をさせることが 有効であるが,そのためにはまず既存超高層

RC

造建築 物の保有耐震性能の実態を把握しておく必要がある。

本論では,まず既存超高層

RC

造建築物の構造計画や 構造特性を把握するため,既存超高層

RC

造建築物に関 する既往の研究成果1)に最新のデータを追加したうえで,

設計年代を

3

年代に分けて各年代における構造計画や構 造特性について分析を行った。次に,その分析結果に基 づいて各年代を代表する既存超高層

RC

造建築物の建築 物モデルを作成し,この建築物モデルの地震時挙動を検 討することによって,既存超高層

RC

造建築物の保有耐 震性能の評価を行った。ここでは,保有耐震性能を表す 代表的な指標として耐震設計値(レベル

1

及びレベル

2

地震動に対する応答値)に着目した。

2.

構造特性の分析

2.1

分析方法

(1)

対象建築物

本研究で分析対象とした超高層

RC

造建築物は設計時 の性能評価シート2),3)

1971

年~

2009

年までに記載され た

555

棟である。ただし,2.4節の耐震性能の分析では 既存超高層

RC

造建築物の約

7

割を占める耐震構造

390

棟のみを対象とし,免震・制振構造は対象としていない。

(2)

設計年代

図-1に示すように建築物データを,超高層

RC

造建 築物の構造技術の進展度に着目して

3

つの設計年代に分 けて分析を行う。第

1

年代(

1971

年~

1989

年)は日本 で初めて超高層

RC

造建築物が誕生し,その設計・施工 技術が徐々に確立されていった時期である。第

2

年代

1990

年~

1999

年)は高強度

RC

造に関する設計・施工 技術の研究開発が活性化し,また兵庫県南部地震の被害 により,建築物の免震・制振技術が発展した時期である。

3

年代(

2000

年~)は大都市における超高層住宅の計 画件数が飛躍的に増大した時期である。なお,

2000

年に は建築基準法の改正が行われている。図-2は対象とす る超高層

RC

造建築物の棟数を年代ごとに示したもので ある。第

1

年代が

42

棟,第

2

年代が

181

棟,第

3

年代

*1

千葉大学大学院 工学研究科建築・都市科学専攻助教 博(工) (正会員)

*2

千葉大学大学院 工学研究科建築・都市科学専攻博士前期課程 (正会員)

*3

千葉大学大学院 工学研究科建築・都市科学専攻教授 博(工) (正会員)

0 10 20 30 40 50 60

1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005

棟数

設計年

第1年代 第2年代 第3年代

New RC 兵庫県南部地震

建築基準法改正

第3年代 332棟

第2年代 181棟 第1年代 42棟

第1年代 42棟 (7.6%)

第2年代 181棟

(32.6%)

第3年代 332棟

(59.8%)

図-1 超高層 RC 造の棟数の推移 図-2 設計年代と棟数

コンクリート工学年次論文集,Vol.33,No.2,2011

(2)

332

棟となっており,第

3

年代が全体の約

6

割を占め ていることが分かる。

2.2

架構計画

(1)

建築物高さと階高

図-3及び図-4に地上階階数及び基準階階高の年 代別棟数分布をそれぞれ示す。地上階階数の平均値は各 年代でほとんど差はなく,第

3

年代においても

20

階建 から

30

階建程度の建築物が大半を占めている。地上階 階数は各年代とも

20

階建から

30

階建程度が年代を代表 する値であるが,第

2

年代及び第

3

年代では

40

階建程 度までを考える必要があることが分かる。基準階階高の 平均値は年代を経て増大する傾向があり,第

1

年代では

2.9m

程度,第

2

年代では

3.0m

程度,第

3

年代では

3.1m

程度が各年代の代表的な基準階高である。

(2)

基準階面積とスパン長

図-5に柱支配面積の年代別棟数分布を示す。柱支配 面積は基準階平面の中柱のうち,最も広い床面積を支え ている柱の値を採用している。最大値及び平均値ともに 年代を経て増大する傾向がある。平均値と分布形状から 見ると,第

1

年代では

25m

2程度,第

2

年代では

35m

2程 度,第

3

年代では

40m

2程度が各年代の代表的な柱支配 面積である。

図-6に柱間スパンの年代別棟数分布を示す。柱間ス パンは柱支配面積の平方根としている。柱支配面積と同 様に,最大値及び平均値ともに年代を経て増大する傾向 がある。平均値と分布形状から見ると,第1年代では

4.5m

~5m程度,第

2

年代では

5m~6m

程度,第

3

年代では

6m

7m

程度が各年代の代表的な柱間スパンである。

0 25 50 75 100

10 20 30 40

棟数

(階) 第2年代

0 25 50 75 100

10 20 30 40

棟数

(階) 第1年代

0 25 50 75 100

10 20 30 40

棟数

(階)

第3年代 平均値(階)

第1年代 27

第2年代 28

第3年代 28

全年代 28 0

30 60 90

2.8 3 3.2 3.4

棟数

(m) 第3年代

0 30 60 90

2.8 3 3.2 3.4

棟数

(m) 第2年代

0 30 60 90

2.8 3 3.2 3.4

棟数

(m) 第1年代

平均値(m)

第1年代 2.91

第2年代 3.00

第3年代 3.12

全年代 3.07

図-3 地上階階数の年代別棟数分布 図-4 基準階階高の年代別棟数分布

0 10 20 30 40 50

10 20 30 40 50 60 70 80 90

棟数

第2年代

(m2)

0 10 20 30 40 50

10 20 30 40 50 60 70 80 90

棟数

第3年代

(m2)

平均値(m2

第1年代 27.0

第2年代 33.4

第3年代 44.1

全年代 39.8

0 10 20 30 40 50

10 20 30 40 50 60 70 80 90

棟数

第1年代

(m2)

0 10 20 30 40 50

4 5 6 7 8 9

棟数

(m) 第2年代

0 10 20 30 40 50

4 5 6 7 8 9

棟数

(m) 第1年代

0 10 20 30 40 50

4 5 6 7 8 9

棟数

(m)

第3年代 平均値(m)

第1年代 5.16 第2年代 5.74 第3年代 6.59 全年代 6.25 図-5 柱支配面積の年代別棟数分布 図-6 柱間スパンの年代別棟数分布

0 50 100

30 50 70 90

棟数

(N/㎟) 第1年代

0 50 100

30 50 70 90

棟数

(N/㎟) 第2年代

0 50 100

30 50 70 90

棟数

(N/㎟)

第3年代 平均値(N/mm

2

第1年代 41

第2年代 52

第3年代 59

全年代 55

0 50 100 150 200

295 345 390 490 590 685

棟数

(N/mm2) 第1年代

0 50 100 150 200

295 345 390 490 590 685

棟数

(N/mm2) 第2年代

0 50 100 150 200

295 345 390 490 590 685

棟数

(N/mm2)

第3年代 平均値(N/mm2

第1年代 388

第2年代 464

第3年代 517

全年代 492

図-7 コンクリート強度の年代別棟数分布 図-8 主筋強度の年代別棟数分布

(3)

2.3

材料強度

図-7にコンクリート強度(使用コンクリートの中で の設計基準強度

Fc

の最大値)の年代別棟数分布を示す。

コンクリート強度は最大値及び平均値ともに年代を経 て増加する。特に第

3

年代において顕著に増加し,Fc60 以上の強度も用いられるようになっている。コンクリー ト強度は第

1

年代で

Fc36

42

程度,第

2

年代で

Fc42

48

程度,第

3

年代で

Fc54

60

程度と想定できる。

図-8に主筋強度(使用主筋の中での最大値)の年代 別棟数分布を示す。第

1

年代で

SD390

の使用,第

2

年代 で

SD490

及び

SD685

の使用が始まり,第

3

年代で

SD490

の使用が標準となってきていることが分かる。各年代の 主筋強度として第

1

年代では

SD390

までの使用を想定し,

2

年代及び第

3

年代で

SD490

及び

SD685

までの使用 を想定することが妥当と考えられる。

2.4

耐震性能

(1)

固有周期とベースシア

図-9に

1

次固有周期(

T1

)と建物高さ(

H

)の関係

T1/H

)の年代別棟数分布を示す。ここでの

T1

X

向及び

Y

方向の

1

次固有周期の平均値としている。

T1/H

は年代を経るにつれて増加する傾向があり,第

3

年代で は

T1/H

0.02

を超えるものが半数を占めている。増加 の要因としてはスパンや床スラブ厚が設計年代を経る につれて増大することが考えられる。

図-10に設計用ベースシア(CB)と

T1

の関係(CB

×

T1

)の年代別棟数分布を示す。

C

T1

は地震力を考 慮した建物の損傷限界耐力を示す指標である。

C

T1

は設計年代を経るにつれて減少する傾向があることが 分かる。特に第

3

年代において顕著に表れており,

C

T1

0.14

0.18

の範囲に約半数が分布している。

(2)

地震応答値

図-11にレベル

1

地震動時の最大応答層間変形角

R1

)の年代別棟数分布を,図-12に地震波ごとの

R1

の年代別棟数分布をそれぞれ示す。地震波として代表 的な既往波

3

波(El Centro NS波,

Taft EW

波,

Hachinohe NS

波)を選んだ。図-11より

R1

は年代に関わらずほ とんど全てが設計上限値の目安とされる

1/200

以下とな っており,分布形にも差は見られない。図-12を見る

0 20 40 60

棟数

T1/H [×10-2] 1.4 1.6 1.8 2.0 2.2 2.4

第1年代

0 20 40 60

棟数

T1/H [×10-2] 1.4 1.6 1.8 2.0 2.2 2.4

第3年代 0 20 40 60

棟数

T1/H [×10-2] 1.4 1.6 1.8 2.0 2.2 2.4

第2年代

平均値(T1/H)

第1年代 0.0185 第2年代 0.0191 第3年代 0.0200 全年代 0.0197

0 20 40 60

棟数

CB×T1 0.12 0.14 0.16 0.18 0.20 0.22

第1年代

0 20 40 60

棟数

CB×T1 0.12 0.14 0.16 0.18 0.20 0.22

0 20 40 60

棟数

CB×T1 0.12 0.14 0.16 0.18 0.20 0.22

平均値(CB×T1)

第1年代 0.189 第2年代 0.180 第3年代 0.172 全年代 0.177

図-9 T1/H の年代別棟数分布 図-10 CB×T1 の年代別棟数分布

0 20 40 60 80

2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 4.5 5.0 

棟数

R1×10‐3[rad]

1/200rad 第1年代

0 20 40 60 80

2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 4.5 5.0 

棟数

R1×10‐3[rad]

第2年代

0 20 40 60 80

2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 4.5 5.0 

棟数

R1×10‐3[rad]

第3年代

0 5 10 15 20 25

2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 4.5 5.0 

棟数

R1×10‐3[rad]

1/200rad 第1年代 Hachinohe波

0 5 10 15 20 25

2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 4.5 5.0 

棟数

R1×10‐3[rad]

1/200rad 第1年代

Taft波

0 5 10 15 20 25

2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 4.5 5.0 

棟数

R1×10‐3[rad]

第1年代 El Centro波

1/200rad

0 5 10 15 20 25

2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 4.5 5.0 

棟数

R1×10‐3[rad]

第2年代 El Centro波

0 5 10 15 20 25

2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 4.5 5.0 

棟数

R1×10‐3[rad]

第2年代 Taft波

0 5 10 15 20 25

2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 4.5 5.0 

棟数

R1×10‐3[rad]

第2年代 Hachinohe波

0 5 10 15 20 25

2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 4.5 5.0 

棟数

R1×10‐3[rad]

第3年代 El Centro波

0 5 10 15 20 25

2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 4.5 5.0 

棟数

R1×10‐3[rad]

第3年代 Taft波

0 5 10 15 20 25

2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 4.5 5.0 

棟数

R1×10‐3[rad]

第3年代 Hachinohe波

図-11 R1 の年代別棟数分布 図-12 地震波ごとの R1 の年代別棟数分布

(4)

と第

1

年代についてはデータが少なく,やや明瞭ではな いものの

Taft

波で最大値を記録する傾向があり,第

2

年 代でも同様である。これは応答がほぼ弾性範囲内である ため,比較的短周期の成分が卓越する

Taft

波で応答が大 きくなり易いからであると考えられる。一方,第

3

年代 については,弾性時の固有周期が比較的長い建物が多い ため,比較的長周期の成分が卓越する

Hachinohe

波で最 大値を記録するものが

Taft

波と同程度となっている。

図-13にレベル

2

地震動時の最大応答層間変形角

(R2)の年代別棟数分布を,図-14に地震波ごとの

R2

の年代別棟数分布をそれぞれ示す。図-13より

R2

は第

3

年代で設計上限値の目安とされる

1/100

付近に多 くの事例が集まっており,年代を経るにつれて

1/100

付 近の事例が増加していることが分かる。図-14を見る と,

R1

とは異なり

Taft

波で最大値を記録するケースは 少なく,

El Centro

波または

Hachinohe

波で最大値を記録 する傾向がある。これはレベル

2

地震時では建築物の塑 性化がある程度進行し,固有周期が弾性時と比較して長 くなることによる。

3.

骨組モデル

3.1

骨組モデルの概要

2

章での分析結果に基づいて,各年代それぞれ

2

体,

合計

6

体の骨組モデルを作成した。表-1に骨組モデル の諸元を示す。第

1

年代は地上

20

階建(1G20)及び

25

階建(

1G25

)で,基準階高が

2.95m

,スパン長が

4.5m

及び

5.0m

であり,材料強度の最大を

Fc36

及び

SD390

と している。第

2

年代は地上

20

階建(2G20)及び

30

階建

(2G30)で,基準階高が

3.0m,スパン長が 5.0m

及び

6.0m

であり,材料強度の最大を

Fc48

及び

SD490

としている。

3

年代は地上

30

階建(

3G30

)及び

25

階建(

3G40

)で,

基準階高が

3.1m

,スパン長が

6.0m

及び

6.5m

であり,材 料強度の最大を

Fc70

及び

SD490

としている。なお,骨 組モデルは地下

1

階及びペントハウスを有している。

3.2

固有周期とベースシア

骨組モデルの作成に当たって,固有周期を

T1/H

を用 いて略算し,作成する骨組モデルの目標値とした。T1/H は図-9から第

1

年代で

0.0185

,第

2

年代で

0.019

,第

3

年代で

0.020

とした。一方,設計用ベースシアは

C

T1

を用いて算定し,CB×T1は図-10から第

1

年代では

0.19,第 2

年代では

0.18,第 3

年代では

0.17

とした。骨 組モデルの柱・梁の断面の大きさ及び配筋は,固有周期 の目標値を満足するとともに,代表変形角(建物高さの

2/3

の位置の変形から算定)が

1/100rad

の時点で設計用 ベースシアのおよそ

1.5

倍~

1.6

倍程度の耐力を発揮し,

保有耐力(代表変形角が

1/50rad

1/33rad

程度の時の耐 力)が設計用ベースシアの

1.6

倍~

1.7

倍程度となるよう に決定した。重量や床スラブ厚など設計データが明記さ れていないものは,実設計例を参考にして適宜設定した。

0 20 40 60 80

3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14

棟数

R2×10‐3[rad]

1/100rad

0 20 40 60 80

3 4 5 6 7 8 9 101112 1314

棟数

R2×10‐3[rad]

0 20 40 60 80

3 4 5 6 7 8 9 1011121314

棟数

R2×10‐3[rad]

第1年代

第2年代

第3年代

0 5 10 15 20

3 4 5 6 7 8 9 1011 12 1314

棟数

R2×10‐3[rad]

1/100rad 第1年代 El Centro波

0 5 10 15 20

3 4 5 6 7 8 9 1011121314

棟数

R2×10‐3[rad]

1/100rad 第1年代

Taft波

0 5 10 15 20

3 4 5 6 7 8 9 1011121314

棟数

R2×10‐3[rad]

1/100rad 第1年代 Hachinohe波

0 5 10 15 20

3 4 5 6 7 8 9 10 11 121314

棟数

R2×10‐3[rad]

第2年代 El Centro波

0 5 10 15 20

3 4 5 6 7 8 9 10 111213 14

棟数

R2×10‐3[rad]

第3年代 El Centro波

0 5 10 15 20

3 4 5 6 7 8 9 1011121314

棟数

R2×10‐3[rad]

第2年代 Taft波

0 5 10 15 20

3 4 5 6 7 8 9 1011121314

棟数

R2×10‐3[rad]

第3年代 Taft波

0 5 10 15 20

3 4 5 6 7 8 9 1011121314

棟数

R2×10‐3[rad]

第2年代 Hachinohe波

0 5 10 15 20

3 4 5 6 7 8 9 1011121314

棟数

R2×10‐3[rad]

第3年代 Hachinohe波

図-13 R2 の年代別棟数分布 図-14 地震波ごとの R2 の年代別棟数分布 表-1 骨組モデルの諸元

設計年代 モデル名

方向 X Y X Y X Y X Y X Y X Y

建築物高さ(m)

階数 基準階階高(m)

柱芯面積(m2 柱支配面積(m2

スパン長(m) 4.5 5 4.5 5 5 6 5 6 6 6.5 6 6.5

スパン数 6 5 7 5 5 4 6 5 6 4 6 5

塔状比 2.25 2.43 2.40 3.02 2.47 2.57 3.06 3.06 2.63 3.64 3.49 3.86 Fc(N/mm2※1

主筋強度(N/mm2※2 平均重量(kN/m2)※3

T1(sec) 1.12 1.12 1.39 1.41 1.17 1.18 1.91 1.89 1.99 2.07 2.35 2.41 CB

※1:使用コンクリートの中での設計基準強度Fcの最大値

※2:使用主筋の中での最大値

※3:基準階重量を柱芯面積(バルコニー含まず)で除した値([ ]内はバルコニーを含んだ面積で除した値)

0.169 0.136 0.144 0.097 0.090 0.068 14.5[11.2] 14.3[11.3] 15.5[11.8] 14.9[11.9] 14.3[11.4] 13.4[10.9]

390 390 390 490 490 490

36 36 36 48 54 70

22.5 22.5 30.0 30.0 39.0 39.0

675 787.5 600 900 936 1170

2.95 2.95 3 3 3.1 3.1

20 25 20 30 30 40

60.75 75.5 61.7 91.7 94.6 125.6

1G20 1G25 2G20 2G30 3G30 3G40

第1年代 第2年代 第3年代

(5)

4.

骨組モデルの応答解析

4.1

解析概要

柱・梁部材の弾塑性特性を考慮した立体フレームモデ ルに置換して,剛床仮定により水平変位を等値したモデ ルを用いる。柱・梁のスケルトンカーブはトリリニアと し,復元力特性には

TAKEDA

モデルを使用した。除荷 時剛性低下指数は梁で

0.50

,柱で

0.40

とした。減衰は内 部粘性型(瞬間剛性比例)として,

1

次の減衰定数を

3%

と仮定した。検討用地震動には表-2に示す既往波

3

El Centro NS

波,

Taft EW

波,

Hachinohe NS

波)を用い た。ここでは,第

1

年代及び第

2

年代と併せて検討する ため,第

3

年代についても告示波は使用していない。地 震動の強さは最大速度値で基準化し,レベル

1

25kine,

レベル

2

50kine

とした。また,極大地震時の検討用と

してレベル

3

の地震動を設定し,最大速度を

75kine

とし た。計

12

のモデル(6モデル×2方向)に対して

9

波の 地震動による解析を実施した。

4.2

解析結果

図-15は各年代の

T1

H

の関係及び

C

Bと

T1

の関 係について,既存超高層

RC

造建築物のデータと骨組モ デルとの対応状況を示したものである。骨組モデルの

T1

は固有値解析により求めた精算周期であり,

C

Bは精算周 期と

3.2

節で示した

C

B×T1の値から求めたものである。

骨組モデル(□印)はいずれも既存超高層

RC

造建築物 の平均値(近似式の黒線)にごく近く,既存超高層

RC

造建築物に対応するモデルとなっていることが分かる。

表-2 検討用地震動

El Centro NS Taft EW Hachinohe NS

最大速度 [cm/s] 25 25 25

最大加速度 [cm/s2] 254 251 166

最大速度 [cm/s] 50 50 50

最大加速度 [cm/s2] 509 503 332

最大速度 [cm/s] 75 75 75

最大加速度 [cm/s2] 763 754 498 波形名称

L1地震動 L2地震動 L3地震動

0 1 2 3 4 5

0 50 100 150 200 250

1次固有周期:T1[sec]

建物高さ(軒高):H[ m]

近似式:T1=0.0185H 第1年代

1G20X ・ Y 1G25X・Y

0.00 0.05 0.10 0.15 0.20 0.25 0.30

0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0 設計用ベーシア係数:CB

1次固有周期:T1[sec]

近似式:CB=0.189/T1 第1年代

1G20X ・ Y 1G25X ・ Y

0 1 2 3 4 5

0 50 100 150 200 250

1次固有周期:T1[sec]

建物高さ(軒高):H[ m]

近似式:T1=0.0191H 第2年代

2G30X ・ Y 2G20X ・ Y

0.00 0.05 0.10 0.15 0.20 0.25 0.30

0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0 設計用ベCB

1次固有周期:T1[sec]

近似式:CB=0.180/T1 第2年代

2G30X ・ Y 2G20X ・ Y

0 1 2 3 4 5

0 50 100 150 200 250

次固有周期:T1[sec]

建物高さ(軒高):H[ m]

近似式:T1=0.0200H 第3年代

3G40X 3G30Y

3G30X 3G40Y

0.00 0.05 0.10 0.15 0.20 0.25 0.30

0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0

設計用ベー係数

1次固有周期:T1[sec]

近似式:CB=0.172/T1 第3年代

3G40X 3G30Y

3G30X 3G40Y

図-15 骨組モデルの固有周期とベースシア係数

0 5 10 15 20

0 20000 40000 60000 80000

階数

層せん断力(kN)

1G20(X方向)

△El Centro波

○Hachinohe波

□Taft波

(白:レベル1)

(黒:レベル2)

0 5 10 15 20

0 0.002 0.004 0.006 0.008 0.01 0.012

階数

層間変形角(rad.)

1G20(X方向)

1/100rad

0 5 10 15 20

0 0.002 0.004 0.006 0.008 0.01 0.012

階数

層間変形角(rad.)

2G20(X方向)

1/100rad

0 5 10 15 20 25 30 35 40

0 0.002 0.004 0.006 0.008 0.01 0.012

階数

層間変形角(rad.)

3G40(X方向)

1/100rad 0

5 10 15 20

0 20000 40000 60000 80000

階数

層せん断力(kN)

2G20(X方向)

0 5 10 15 20 25 30 35 40

0 20000 40000 60000 80000

階数

層せん断力(kN)

3G40(X方向)

図-16 応答せん断力及び応答層間変形角の分布 表-3 最大応答層間変形角

層間変形角 階 地震波 層間変形角 階 地震波

X 1/310 13 Taft 1/159 15 Taft Y 1/323 14 Taft 1/149 16 Taft X 1/313 19 Taft 1/140 3 El Centro Y 1/305 8 Taft 1/149 16 El Centro X 1/285 16 Taft 1/123 8 Taft Y 1/301 15 Taft 1/125 7 Taft X 1/301 20 El Centro 1/101 18 Hachinohe Y 1/335 15 El Centro 1/103 17 Hachinohe X 1/202 15 Hachinohe 1/105 13 Hachinohe Y 1/206 18 Hachinohe 1/105 6 Hachinohe X 1/276 17 Hachinohe 1/131 25 Hachinohe Y 1/272 28 El Centro 1/135 23 Hachinohe 1G20

モデル 方向 レベル1 レベル2

3G30 3G40 1G25 2G20 2G30

(6)

図-16にレベル 1 及びレベル 2 地震動時の最大応答 せん断力及び最大応答層間変形角の分布の一例を,表-

3に最大応答層間変形角の一覧を示す。図-16及び表

-3より,第

1

年代及び

2G20

は主に

Taft

波の時に最大 値を示し,R1 が

1/280~1/320rad

程度,R2 が

1/130~

1/150rad

程度となっている。一方,

2G30

及び第

3

年代は 主に

Hachinohe

波の時に最大値を示し,

R1

1/200

1/300rad

程度,

R2

1/100

1/130rad

程度となっている。

また,いずれのモデルもレベル

2

応答時においても特定 層で変形があまり卓越しないモデルとなっている。

5.

骨組モデルの耐震性能

5.1

レベル

1

及びレベル

2

地震動時の最大応答値 作成した骨組モデルの保有耐震性能が既存超高層

RC

造建築物の保有耐震性能に対してどのような位置付け にあるかを確認するため,骨組モデルの最大応答値(R1

及び

R2)と応答値の地震波別棟数分布との比較を行う。

図-17に

R1

及び

R2

の棟数分布との対応を示す。いず れのモデルも概ね棟数分布が多い範囲と対応している ことが分かる。しがたって,骨組モデルは各年代の既存 超高層

RC

造建築物の保有耐震性能を模擬できていると 考えられる。

5.2

レベル

3

地震動時の最大応答値

レベル

2

よりもさらに大きいレベルの地震動に対する 既存超高層

RC

造建築物の応答は性能評価シートには示 されていないため,実情を把握することができないが,

作成した骨組モデルを用いることにより,推測すること が可能となる。図-18にレベル

3

地震動時の最大応答 層間変形角(

R3

)と

C

T1

との関係を示す。レベル

3

地震動に対しては層間変形角が

1/100rad

を超えるケース が半数程度ある。

6.

まとめ

本論では,既存超高層

RC

造建築物の構造計画や構造 特性を

3

つの設計年代に分けて分析を行い,その分析結 果に基づいて各年代を代表する建築物モデルを作成し,

この建築物モデルの地震時挙動を検討することによっ て,既存超高層

RC

造建築物の保有耐震性能の評価を行 った。以下に得られた知見を示す。

1)

レベル

1

及びレベル

2

地震時の最大応答層間変形角は,

2

年代では各地震波において最大応答を記録する のに対して,第

3

年代では

El Centro

波及び

Hachinohe

波で最大応答となる傾向がある。

2)

レベル

1

及びレベル

2

地震時の骨組モデルの最大応答 層間変形角は,各年代とも既存超高層

RC

造建築物の 分析から得られた値と概ね一致した。したがって,作 成した骨組モデルは各年代の既存超高層

RC

造建築物

の保有耐震性能を模擬している。

3)

レベル

3

地震時の骨組モデルの応答は最大層間変形 角が

1/100rad

を超えるケースが半数程度ある。

本論では,保有耐震性能を模擬する骨組モデルを作成 したが,各年代の保有耐震性能の分布を検証するために は,今後,剛性及び耐力をパラメータとし,より応答が 大きい骨組モデル及び応答が小さい骨組モデルを作成 して検討を進めていく必要がある。

謝辞

本研究は科研費(課題番号:

22560556

)「既存超高層 鉄筋コンクリート造建築物の保有耐震性能及び制振補 強効果の評価」の助成を受けたものである。

参考文献

1)

和泉信之,木村秀樹,石川裕次:日本における超高 層鉄筋コンクリート造建築物の構造特性の傾向,構 造工学論文集,

Vol.55B

pp.351-360

2009.3 2)

(財)日本建築センター:ビルディングレター,

No.1-No.525,1972.1-2009.9

3)

(財)日本建築総合試験所:機関誌

GBRC, Vol.32-33,

2007.10-2008.10

0 5 10 15 20 25

2 2.5 3 3.5 4 4.5 5

棟数

R1×10‐3[rad]

1ケース 3G40(X) 2ケース 3G30(X,Y)

第3年代 Hachinohe波

0 5 10 15 20

3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14

棟数

R2×10‐3[rad]

2ケース 3G40(X,Y) 2ケース 3G30(X,Y)

第3年代 Hachinohe波 0

5 10 15 20 25

2 2.5 3 3.5 4 4.5 5

棟数

R1×10‐3[rad]

1ケース 2G20(X) 1ケース

2G20(Y) 第2年代

Taft波

0 5 10 15 20

3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14

棟数

R2×10‐3[rad]

2ケース 2G20(X,Y)

第2年代 Taft波

0 5 10 15 20 25

2 2.5 3 3.5 4 4.5 5

棟数

R1×10‐3[rad]

1ケース 3G40(Y)

第3年代 El Cetro波

0 5 10 15 20

3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14

棟数

R2×10‐3[rad]

2ケース 2G30(X,Y)

第2年代 Hachinohe波

図-17 R1 及び R2 の棟数分布との対応

0.000 0.005 0.010 0.015 0.020

0.15 0.16 0.17 0.18 0.19 0.20

R3(rad)

CB×T1

△ El Centro波

○ Hachinohe波

□ Taft波

(白:第1年代)

(灰:第2年代)

(黒:第3年代)

図-18 各年代の R3 と CB×T1 の関係

参照

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