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「胸痛症候群の症例に緊急核医学検査は必要か」 司会の言葉 西 村 重 敬

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Academic year: 2021

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第41回 日本核医学会総会 503

《パネルディスカッション 心臓》

「胸痛症候群の症例に緊急核医学検査は必要か」

司会の言葉

西 村 重 敬

(埼玉医科大学第二内科) 

中 嶋 憲 一

(金沢大学医学部附属病院核医学診療科)

急性胸痛症候群に核医学検査は有用だろうか.

このパネルディスカッションで話題となるのは,

急性心筋梗塞全般において核医学が有用かではな く,急性冠症候群を疑われる救急患者において,

どのように核医学を用いることができるのか,あ るいは意味がないのかである.この点を考えるに あたっては,診断上の役割のみでなく,治療戦略 の一部にどのように組み込むのか,予後と関連さ

せた有効な利用ができるのかが問われる.さら に,本邦での核医学施設の実状や医療経済におけ る見方も含まれるかもしれない.このパネルは ディベート形式で行われるが,いずれも心臓核医 学の第一線で働く経験豊富な医師たちであり,そ れぞれの利点や問題点が浮き彫りにされることを 願っている.まず,各 protagonist, antagonist の意見 に耳を傾けてみよう.

PROTAGONIST

梶 谷 定 志

(兵庫県立姫路循環器病センター循環器内科)

滝   淳 一

(金沢大学バイオトレーサー診療学)

急性胸痛症候群における緊急核医学検査の意義 は,

1) 治療不要な症例の除外

2) 不安定狭心症の診断,リスク評価 3) 急性心筋梗塞のリスク評価 にあると考えられる.

1) に関しては将来コストが問題となり安易な様 子見入院は抑制されると考えられる.その時には 機能画像でのエビデンスに基づく判断で ACS を除 外できる核医学検査は重要と考えられる.

2) に関しては虚血の重症度,場合によっては短

時間収集での gated SPECT による機能評価も同時 に行え,緊急冠動脈造影,再灌流療法の必要性の 有無の判定に有用であると思われる.

3) においては治療開始前にリスク評価ができる 点と治療後にサルベージされた心筋の評価や機能 改善も客観的に評価できる点が重要と考えられ る.例えば全例に再灌流が必要なのかなど,より 適切な治療の選択が可能となると考えられる.今 後の治療戦略をより洗練されたものに改善するこ とにおいて,リサーチ的側面も含み,経験を積み 重ねる価値のある方法と考えられる.

(2)

504 第41回 日本核医学会総会

ANTAGONIST

北 原 公 一

(日本心臓血圧研究振興会附属榊原記念病院循環器内科)

松 尾 仁 司

(県立岐阜病院循環器科)

急性冠症候群における核医学検査の意義は,救 急外来において ongoing ischemia の存在を同定する ことによる心筋虚血の診断,および ST 上昇型の急 性心筋梗塞においては area at risk の同定そして救 済心筋の定量評価にあると考えられる.しかし不 安定狭心症および心筋梗塞の診断においては,そ の多くが詳細な病歴聴取,心電図所見,胸部レン トゲン写真,心エコーによる壁運動評価,および Troponin T など生化学的マーカーにより非侵襲的,

低コストかつ簡便にその多くが診断可能である.

AHA, ACC のガイドラインにおいても非 ST 上昇

型の不安定狭心症もしくは心内膜下梗塞は保存的 治療を行うことが推奨されており,経過観察入院 が可能なわが国の保険制度下では,必ずしも急性

期の心筋血流イメージングの必要性はない.また ST 上昇を伴う急性心筋梗塞のリスクエリアの同定 および救済心筋の定量評価は,治療効果を振り返 る意味ではきわめて重要な情報を提供する.しか しこのような症例においては早期再灌流治療の必 要性は確立されたものであり,急性期治療戦略決 定という観点からの有用性は多くない.またリス クエリア重症度が亜急性期もしくは慢性期に評価 した梗塞サイズに比し,患者の長期予後予測にお いてより有用な情報を提供しているとも考えにく い.よって急性期リスクエリアイメージングは clinical research という観点からは有用であるが,臨 床上の治療戦略決定に寄与する点は少ない.

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