論文内容要旨
論文題名
Effects of different types of intraoral scanners and scanning ranges on the precision of digital implant impressions in edentulous maxilla: An in vitro study
(上顎無歯顎におけるデジタルインプラント印象の精度に対する口腔内ス キャナーの種類とスキャニング範囲の影響:in vitro 研究)
掲載雑誌名
Clinical Oral Implants Research (投稿中)
歯科補綴学 三好 敬太
内容要旨 I. 目的
本研究の目的は,インプラント治療における口腔内スキャナー(IOS)を 用いたデジタル印象法において,印象採得の範囲と印象採得の方法が印象 の精度に及ぼす影響を検証することである.
II. 方法
6 本のインプラントを埋入した上顎無歯顎患者を想定した基準模型を用い,
アバットメントにスキャンボディを装着し,IOS4 機種および歯科用三次 元スキャナーによるスキャンを各機種 5 回ずつ行い Stereolithography
(STL)データを取得した.従来法においては,シリコーン印象材を用い た印象採得から作業用模型を製作し,歯科用三次元スキャナーによるスキ ャンまでの一連の操作を 5 回行い,STL データを取得した.これらの各群 5 回の測定データから2つのデータを取り出し,計測ソフトウェアを用い て 9 種の関心領域(ROI)でベストフィット方式によるアライメントを行 い形態差分値を測定した.ROI ごとに各群 5 つの STL データからすべての 組み合わせ(10 組)について形態差分値を測定した.統計解析は,“印象 採得の方法”と“ROI の範囲”を因子とした二元配置分散分析を用いた後,
Tukey の多重比較検定を行った.有意水準は 5%とした.
III. 結果と考察
二元配置分散分析の結果,“印象採得の方法”と“ROI の範囲”について 有意差を認め,また両者の交互作用を認めた.歯科用三次元スキャナーに よるスキャンの形態差分値は他のすべての印象採得法と比較して有意に
小さく,ROI が広がっても精度の低下を認めなかったが,IOS ではすべて の機種で ROI が広がると共に精度が低下する傾向を認めた.
以上より,形態差分値を指標として評価したデジタル印象法の精度は全般 的に歯科用三次元スキャナーと比較すると劣るが,印象採得の範囲が小さ い場合は同等であることが示唆された.また,歯科用三次元スキャナーが スキャンの範囲に関係なく高い精度を示すのに対して,デジタル印象法は 印象採得の範囲が広がり,全顎に及ぶと精度が低下することが示唆された.
以上より,インプラント治療におけるデジタル印象法の精度は,対象症例 を少数歯欠損症例とし,可及的に小範囲のスキャンを行うことで担保され る可能性が示唆された.