論文内容要旨
論文題名
Occlusal status of the implant superstructures at mandibular first molar immediately after setting (下顎第一大臼歯部インプラント補綴装置装着直後の咬合状態)
掲載雑誌名
International Journal of Implant Dentistry (投稿中)
高齢者歯科学講座 岡田 征彦
内容要旨
I 目的: インプラント治療の成功には,咬合荷重量・接触面積等の力学 的因子が重要だが,ガイドラインを設ける事は難しい.この力学的因子の 解明にあたり,咬合力診断用感圧フィルムやシリコーン検査材を用いた咬 合接触状態を定量的に評価する方法があるが,同じ条件下での比較は少な い.そこで下顎第一大臼歯インプラント補綴装置の咬合接触状態の経時的 変化を明らかにすることを目的に,まずは装着直後の咬合状態を検討した.
II 方法: 被験者は全歯列が天然歯で,中切歯から第二大臼歯までの上 下顎 27 本が揃っており,下顎第一大臼歯一歯中間欠損部にインプラント 補綴を行った直後の 8 名とし
た.咬筋筋活動量をモニターし,歯列間に何も介在させない状態で,最大 かみしめ強さ 100% MVC (maximum voluntarycontraction) を規定した.
初めに咬合力測定システム(オクルーザー FPD707 )(以下 OC)を用い,
咬合荷重量と咬合接触面積を測定した.咬合力診断用感圧フィルム(デン タルプレスケール )のかみしめは 3 秒間とし,ビジュアルフィードバッ クにより 40,60,80,100 %MVC の各かみしめ強さにおいて 3 回ずつ計 測した.
次に咬合試験材(ブルーシリコーン )と歯接触分析装置(BiteEye BE-I )
(以下 BE)を用い,咬合接触面積の測定を行った.20,40,60 %MVC の 各かみしめ強さにおいて各 1 回ずつ記録し,解析した.なお,本研究は 昭和大学医の倫理委員会の承認を得て実施した.(承認番号 2012-020 号) 結果: かみしめ強さと共にインプラント補綴装置の咬合接触面積,咬合 荷重量は増加した.インプラント補綴装置の咬合接触面積は,インプラン ト補綴装置が反対側同名歯より小さい傾向を示し,咬合荷重量においても
同様であった.100 %MVC におけるインプラント補綴装置が臼歯部の咬合 力に占める割合は 9.1 %,反対側同名歯は 16.3 %であった.
結論:ブルーシリコーンとプレスケールを用いて,インプラント補綴装置 の咬合接触状態が,弱いかみしめ強さから強いかみしめ強さまで評価でき ることが示唆された.インプラント補綴装置装着直後では,強いかみしめ 強さでインプラント上部構造の咬合接触面積および咬合荷重量は,反対側 同名歯よりも小さくなるように調整されている傾向があった.これは歯科 医師がインプラントの被圧変位量の小ささを考慮したためと考えられる.
下顎第一大臼歯一歯中間欠損におけるインプラント補綴装置の咬合荷重 量は,かみしめ強さを強くしても反対側同名歯と比べて増加しにくい傾向 があり,歯列全体に対する咬合荷重量の負担割合は,インプラント補綴装 置が反対側同名歯と比べて小さく,インプラント側の天然歯が荷重を負担 している可能性が示唆された.