専修大学図書館蔵『古土佐源平合戦絵巻物』の翻刻と考察(上)
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(2) 第77号. 62 専修国文. ︹印記︺ 「山名氏蔵書」 (村岡藩山名氏) の朱印が三箇所ある. ︹箱書︺中央に「古土佐源平合戟絵巻物聖と打付け書き. ︹奥書︺ なし. ︹紙背︺白地に雲母. ︹見返し︺白地に金箔散らし. ︹内題︺ なし. ら'現存の書誌形態で村岡藩山名氏に既に収蔵されていたと思. した。その時期は巻頭の絵と巻尾の詞書に蔵書印があることか. りへ. 行ったらしく'上巻末尾の詞書にあたる絵が中巻の巻頭にあ. る絵も一枚欠落したものと想像される。表装する時'見栄えで. (欠落部分は翻刻に示した)。となると下巻巻尾の詞書に対応す. に対応する巻首にあるはずの詞書一枚が欠落したと考えられる. われる。. なお'前後1枚ずつの欠落という状況は、元々は. 絵巻」として作られて前後を切断したか'「平家物語絵巻」と. 「屋島合戟. 中巻から下巻に移るときも同様に内容とは関係なく三軸に. ︹備考︺ 上巻紙背'表紙との継目に一箇所と'料紙の継目に. 「勝浦合. 透けて十五箇所ほど'表装のためかと思われる文字 らしさものが確認できる. 「逆櫓」. して前後がまだありう. 各巻の内容を項目ごとに顕すと'上巻は. 戟」'中巻は 「大坂越」 「嗣信最期」'下巻は 「那須与一」 「弓. 原初形態を想像させるところである。. その1部を摂取したか'という何れかの. 流」となる。本文は龍谷大本エロ同野本に近似する覚一本系統と. て付された。「古土佐」とするのはう. 外題は本文と明らかに別筆で'表装以降に新たに書名を入れ. 来へ. た土佐派風の奈良絵を感じてのことかと思われる。「源平合. 考えられるが'比して仮名を多用する。問題として絵巻は本. ‑。巻首の絵は ﹃平家物語﹄ 巻第十1の冒頭'高階泰経が院の. 戦」は内容から十分に察することができ'以上の諸条件から付. 天地に扶育で雲霞を引い. 御所にて平家追討を申し渡す場面で'それに対応する詞書がな. けられたと考えられる。. 詞書からはじまるが'該本は、絵を巻首に詞書を巻尾に置. い。上巻四紙目の詞書冒頭に「同二月三日」とあるが'これを. 受ける起筆本文「元暦二年」がないため整合性を欠く。故に絵.
(3) 63 専修大学図書館蔵『古土佐源平合戦絵巻物』の翻刻と考察(上). 二㌧ ﹃平家物語﹄ の絵巻化. 十五日。晴。結夏精進写経始。禁裏御湯目出之由申入。御. 剣進之。絵五巻被下。糊篭鮎詣誠㌃o南都絵也。弧紺雛 謂々O詞持経朝臣読之。. とあり'﹃大乗院寺社雑事記﹄ 延徳三年 (l四九一) 九月晦日. 条にも「絵注文」として「八島合戦絵三巻北院」. ﹃平家物語﹄ は犀風絵や扇絵、奈良絵本'絵入り板本など 様々な形で絵画化され'代表的な形の一つとして絵巻が挙げら. れ'﹃実隆公記﹄ 永正六年 (一五〇九) 閏八月十二日条にも. の文字が見ら. れる。. の他に、﹃平家物語﹄ の合戟場面を措いたという記録は'現段. 「八島絵」. 「内裏より平家絵十巻給。是も自公方被進. 階では確認されていないが、これは屋島合戟が当時の読者に好. 「平家物語八島絵詞読中之」との記述がある。この. の記事が見られる. ﹃平家物語﹄ の絵巻化は ﹃看聞日記﹄永享十年 (1四三八). 云々。‑平家詞。源中納言。行豊朝臣読之」. まれていたことを示唆している。このように ﹃平家物語﹄ が絵. 六月十三日条に. ほか、応永三十l年 二五二五) 四月三日条には 「香雲庵所持. 巻化され'享受されていたことは当時の記録からも窺えるので. 現存する中では'白描 ﹃平家物語絵巻﹄ (個人蔵) が室町期. ある。. 平家十一帖。壁ハ欠」永享十年六月二十七日条には「内裏平家 一合。苧帖」とある。各記録の巻数から分かるように大部で. ありながら'室町期には既に絵巻化され'貴顕の間で賞翫され. 一方で'﹃平家物語﹄ の一部を絵巻化する例もある。中世公. で措かれた豪華なものが作られる。土佐派の下絵﹃平家物語絵. ると、林原美術館蔵 ﹃平家物語絵巻﹄ (36巻) のように極彩色. に遡るものだが'彩色本としての面影はわからない。近世に入. の記. ていたことがわかる。. 家の日記には屋島合戦を措いたと考えられる'「八島絵」. 巻﹄. なども残されており'. 事が散見する。﹃看聞日記﹄裏書元年 (一四四一) 四月十五日. 土佐派が ﹃平家物語﹄ を絵巻化していたことがわかる。また'. (京都市立芸術大学芸術資料館蔵). 条には、.
(4) 64 第77号 専修国文. ﹃思文閣糾桐目録﹄第望二平成6・l)に絵巻(一巻)が掲載. 賜りました石黒善次郎先生に謹んで御礼を申し上げます。. 氏に協力を得た。閲覧を許可された専修大学図書館へ. ︻凡 例︼. ご教示を. されている。一の谷合戟の絵巻が大倉集古館とChester Beatty. ribrary (但し'外題は屋島合戟) に見え'一部を絵巻化した. 翻刻に当たり'原本に忠実としたが'以下の通りとした。. た。. 一、専修大学図書館所蔵 ﹃古土佐源平合戟絵巻物﹄ を翻刻し. 二㌧. 様子が窺われる。. 三、奈良絵本・絵巻 ﹃平家物語﹄ について. ‑'漢字が旧字体である場合は'新字体に改めた。. 2、「ハ」は'片仮名のママとした。. 3'明らかな誤字と思われる箇所には、(ママ). 室町中期頃になると奈良絵本・絵巻が制作され始める。奈良 絵本﹃平家物語﹄ としては'神奈川県立歴史博物館 (24冊)〜. 4㌧虫損は口で示し'予測できる文字を括弧にて傍記した。. として示した。. を付した。. 真田宝物館 (30冊)'熊本大学図書館北岡文庫 (36冊) などに. 三㌧紙継の箇所に」. 「上巻の1枚目の絵」という意味で. (‑秩). 所蔵され'在外ではPrinceton大学 (30冊)t chester Beatty. 四㌧絵の箇所には'例えば (絵①上). Library (巻1と巻十七のみ残欠本) などに確認されている。. 何れも冊子であり'神奈川県立歴史博物館や北岡文庫などのよ. の番号に従い続稿に纏めて掲載する予定である。. 五㌧貼題答や印記などは'括弧内に示し加えた。. と示し'該当箇所に挿入した。なお、絵は'こ. うに極彩色が多い中、専修大本は奈良絵としての様相を保つ彩 色本でありながら'丁寧に描かれており'奈良絵巻という形態. 六、該本の本文は覚一本系統となるので'参考として 「龍谷大. 振り'巻末に凡例とともに纏めて後掲した。. 本」 「高野本」との異同を示した。該当箇所には'番号を. から貴重であろう。. ︻付記︼本稿を成すにあたり、本学大学院研究生の長谷川雄大.
(5) 専修大学図書館蔵『古土佐源平合戦絵巻物』の翻刻と考察(上) 65. 七、原本に項目題はないが'高野本を参考にして、冒頭に当た る箇所に※を付して示した。. 1つ0. て. 「高野本」. (高野本による補填). の本文に句読点を付して以下に掲載して補. 八、該本には、冒頭が欠落していると思われるので'参考とし. 退摘. 平家物語巻第十一. ○元暦二年正月十日、九郎大夫判官義経'院の御所へまいて ヤスツネ. テイト. 大蔵卿泰経朝臣をもて奏聞せられけるは、平家ハ神明にもは. ︻翻 刻︼. 古土佐源平合戦絵巻物猷. 古土佐源平合戦絵巻物. (絵①上). 山名氏蔵書. (貼題答). 宋印). はうくわんしゆくしよにとうこくのくん. かへて. へにた、よふおちうと,なれり。しかるを此三箇年か間'せ. ひやうともにのたまひけるはよしつねかま. なたれ奉り、君にもすてられまいらせて帝都をいて、狼のう. めおときずして'おはくの国々をふさげらる、事'口惜候へ. くら殿の御たい‑わんとしてゐんせんをうけ. キ カ イ カ ウ ラ イ テ ン ヂ ク シ ン ダ ン. ば'今度義経においてハ'鬼界エロ同麗・天竺・震旦までも'. たまはつてへいけをついたうすくかはこま 1 ソ ー. 平家をせめおとさゞらんかぎ‑ハ'王城へかへるべからず、. のあしのをよはむをかきりろかいのとつかん. これよりかへらるへしとそ. 3うptハ. とたのもしげに申されければ'法皇おはきに御感あてへ相構. ほとせめゆくへしすこしも二こ、ろあらん ‑. て、夜を目について勝負を決すべし'と仰下さる。. 人々はとう. のたまへけるさるはとにやしまにはひまゆ‑. 」 (外函). (外題). (‑紙). 」(見返し). 」. 」.
(6) 66 第77号 専修国文 なりけりみやこにはと、つこくよりあらて. なれりをくりむかひてすてに三とせに. おとろさあきのかせやむてはるのくさに. もなりぬはるの‑さ‑れて秋のかせに. こまの足はや‑して正月もたち二月に. の給けるまことにことハ‑とおほへてあハれ. か,るうきめを見るくちおしさよとそ. ことならねは心よせふあ‑かれいててけふハ. ならんとおもひしものを我執ひとりの. あらんすらめと思ひしかはみやこにていかにも. かひきましてさいこくとてもさlらにそハ. はしめまいらせてさしつとひて又いかなる. 事そなき女房たちは女院二位殿を. へして八しまへすてによせんとす三かわの. やこをたでつのくにわたなへよりふなそろ. 同二月三日九郎大夫はう‑わんよしつねみ. 1 2. の‑んひやうすまんきついてせめ下るとも. なり. うきめをか見んすらむいかなるうき事をか. かみのりよりも同日にみやこをたって. (絵②上). きこゆちんせいよりうすきへつきまつら たうとうせんしてをしわたるとも申あへり かれをきゝこれをきくにもた、み、をを. きかんすらんとなけきかなしみあへり. サのくにかんさきよりひやうせんをそろへ. とろかしきもたましいをけすよ‑ほかの. しんちうなこんとももりきゃうのたまひける. てさんやうたうへおもむかんとす同十三日. 3. ハとうこくほっこくのものともすいふんちう. いせ大神宮いわしみつかもかすか‑わんへ. 4. をんをかうむりしかともをんをわすれち. ゐしをたてらるしゆしやうならひに三しゆ. 8. きりをへんしてよりともよしなかにした. 」 (2紙). 」 (3紙).
(7) 専修大学図書館蔵『古土佐源平合戦絵巻物』の翻刻と考察(上) 67. 仰くたさる同十六日わたなへかんさきり. はん‑うほんしやにてきせい申へきよし. しんきくわんのくわん人もろくのしやし. のしんきことゆへなうかへりいらせたまへと. やすふをすやうにし候はやと申けれハ. ろをたてちかへわゐかちを入てとなたへも. ハさとむしもとする大事に候ともへに. かけゆんてへもめてへもまハしやすし舟. ハなんそかちハらむまハかけんと恩へは 6. やうしよにて此ひころそろへけるふねとも. はうくわんのたまひけりいくさといふもの. 8. つなすてにとかんとすおりふしきた風. は一ひさもひかしと思ふたにもあハひ. ̲ 5. さをおてはけしうふきけれハ大なみ にうちそんせられて. には百ちゃう千ちゃうもたて給へよし. かへさまろをたてうとも殿ハらのふね. かとてのあしきよさかろをたてうとも. 9. あしけれハひ‑ハつねのならひ也もとよ‑. ‑. にふねともさん. にけまうけしてハなんのよからそまつ 」 (4紙). 」 (5紙). いたすにおよハすしゆりのためにその日 はとゝまる. (絵③上). つねハもとのろて侯はんとのたまへハかち. へきところをハかけひくへき所をは. ハら申けるハよき大しやうくんと申ハかく. そも. ひいて身をまたうしてかたきをほろは. わたなへには大みやう小みやうよりあひて. れんせすいかゝあるへきとひやう走す. すをもてよき大しやうくんとハする侯. ふないくさのやうはいまたてう. かちハら申けるハこんとのかせんにはふね. かたおもむきなるをはゐのし,むしや. ‑. にさかろをたて候ハやはうくわんさかろと.
(8) 68 第77号 専修国文. ひらせめにせめてかちたるそ心ちハ. ゐのしゝかのしゝハしらすいくさはたゝ. とてよきにはせすと申せほほうくわん. はうくわん大にいかての給ひけるハむかひ. 候らんいかてかっかまつるへきと申せは. きたるかせて候おきはさそふいて. 此かせハをいてにて侯へともふつうにす. 2. よきとの給へハさふらひともかちハら. かせにわたらんといハはこそひかことなら. いせの三郎よしもりかたてやはけす. おふしうのきとう三郎ひやうへつきのふ. しやつハらいころせとけちせらる. しとハ申そふねつかまつらすハ1々に. 5 2. におそれてたかくハわらハねともめひき. めしゆんふうなるかすこしすきたれハ. 0. はなひき㌢ゝめきあへりはうくわんと. とてこれはとの御大事にいかてわたら 」 (6紙). 」 (7紙). かちハらとすてにとしいくさ有へしと さゝめきあへり. (絵④上). 日くれよに入けれハはうくわんの. すみいてなんてうしきゐを申そ御. ‑. やう. てうてあるにとくくつかまつれふね. ‑一しゆ一へいして. たまひけるはふねのしゆりしてあたら. 2. 2 6. つかまつらすハ一々にゐころさんするそ. 2. しうなりたるにをの ‑. といひけれハすしゆかんとりこれをき、. 2. いわゐたまへとて殿ハらいとなむやうに. ゐころされんもおなしことかせこハ‑. 3. てふねにものゝく入ひやうまいつみむま. はたゝはせしにゝしねやものともと つかまつれと. ともたてさせてとく. て二百よそうのふねの中にたゝ五. ‑. のたまひけれハすいしゆかんとり申けるハ.
(9) 専修大学図書館蔵『古土佐源平合戟絵巻物』の翻刻と考察(上) 69. 3. 0. 3. よすてにあけけれはなききにあかハたせう. (絵⑥上). ちへこそふき付けれ. 朗. しまを出て明るうのこくにあわの. 二月十六日のうしのこくにわたなへふく. 所をたゝ三ときはか‑にわたりけり. よもすからはしるほとに三日にわたる. のかゝりをがもれひかすおはく兄へは. 」 (8紙). そういてゝそはしりけるのこりの. 9. て思ふかたきをハうたんすれとそ. くひらめいたりはうくわんこれを見て. 」 (9紙). かたきおそれてようしんしてんすとて. 2. ふねハかせにおそるゝかかちハらに. 7. おつるかしてみなとゝまりぬ. (絵⑤上). 2. はうくわんのまひけるは人のいてねとて とゝまるへさにあらすた、のときは. 2. かたきもようしんすらむか、る大かせ. の給ける五そうのふねと申ハまつはう. あハや我らかまうけしたりけるハふね. 大なみおもひもよらぬときにをしよせ. くわんのふねたしろのくわんしやことう. ひらつけにつけふみかたふけてむまおろ. 3. ひやうへふしかねこきやうたいよとの. さんとせはかたきのまとになってゐ. ‑. およかせよむまのあしたちくらつめひ. ともをいおろし‑トふねにひき付. 6. かうないた、としとてふなふきやうの. 3. のふねにか、りなともひそ. られなむすなきさにつかぬさきにむま. ‑. のたるふねなりはうくわんのたまひける ハをの. . ソ ー. よしつねかふねを炉とふねとしてともへ. 」 (1 0紙). 」 (1 1紙). ※勝浦付大坂趣.
(10) 70 第77号 専修国文. かけ入なにとかいひたりけんとし四十ハかり. こまってうけ給りた、一きかたきの中へ. ぬへき事ありとのたまへはよしもりかし. しかるへいものやある一人めしてまいれたつ. 三郎よしも‑をめしてあのせいの中に. むまのいきやすめておハしけるかいせの. のさにけるはうくわんみきはにうつて. こらへす二ちゃうはかりさっとひいてそ. 百きはかりありけるものともしハしも. うちのつておめいてかくれハなきさに. けりなきさちかくなりしかはひたくと. けれハむまは五十疋ハかりそたてたり. ふねに物の‑入ひやうらふまいつんたり. ものともとそけちせられける五そうの. たるはとにならハひた‑1とのつてかけよ. しけよしかをと、さくらますけよしとをと. ろやゐつへいものハないかあわのみんふ. つ‑めてたきよこのはとにへいのうし. いくきしにむかふよしつねかかつうらに. と申はうくわんI)れをきゝ給へとのハら. 候へとも文字にはかつうらとかきて候. けらうの申やすひについてかつらと申. たいなとのたまへハ一ちゃうかつうら候. かつうらと申候はう‑わんわらつてしき. こゝをはいつくといふそととはれけれは. ころせものともとそけちせられける. そのおとこにめはなつなにけてゆかはゐ. やしまのあんないしやに具せんするそ. てもあらはあれ物の具なぬかせそやかて. 坂西のこんとう六ちかいへと申かにいへに. ものそとのたまへハとうこくのちう人に. ド. なるおとこのくろかわおとしのよろいを. て候いささらハけちらしてとをらんとて. %. T J. きたるをかふとぬかせゆみのつるはつさ. こんとう六かせい百きハかりか中より冊. り山. せてくしてまいりたりはうくわんなに. 」 (1 2紙).
(11) 専修大学図書館蔵『古土佐源平合戦絵巻物』の翻刻と考察(上) 71. ⊂J. せられけり. 」 (1 4紙). 」 (1 3紙). きハかりすくりいたひて我せいにそ具. (絵⑦上). よしとをかしやうにをしよせてみれは三方 ハぬま1万ハはりなりはりのかたよりを しよせてときをとつとつくるしやうの. うちのつは物ともやさきをそろへて. のつはものこれをことともせすかふとの. にはへいけのせいいかほと有そ千きに. はう‑わんこんとう六ちかいへをめして八嶋. (貼題答). しころをかたむけおめきさけんてせめ. ハよもすき候ハしなとすくないそかくの. 中. にまつりよろこひのときをつくりかと. てよしとそのたまひけり. 古土佐源平合戦絵巻物. 入けれはさくらまのすけかなハしとやお. こと‑四こ‑のうら′‑‑しま. (絵①中). もひけんいへのこらうとうにふせきや. 百きつゝきしをかれて候その上あわのみ. さしつめひきつめさん/\にいるけんし. いさせ我身ハくさやうのむまをもたり. むふしけよしかちゃくしてんないさへもん. に五十き. けれはうちのつてけうにしておちに. のりよしハかわのゝ四郎かめせともまい. ‑. けりはうくわんふせやいけるつはもの. らぬをせめんとて三千よきていよへ. LU. とも廿よ人かくひきりかけていくさ神. 」 (1 5紙). 」 (表紙). 」(見返し). 」 (‑紘).
(12) 72 第77号 専修国文. はうくわんたてふみもたるおとこにゆき. からこそこへられけれやはんはかりに. さかいなる大きかこへといふ山をよもす. せつはせつひかへつあほときぬさとの. によせよやとてかけあしになつあゆま. 三日ちて候さらハかたきのきかぬさき. れよ‑やしまへはいかほとのみちそ. こゑて候さてはよいひまこさんなれこ. られけりさて文をあけて見給へハけにも. てやま中の木にしハりつけてそとを. からめよつみつく‑にくひなきつそと. その文とれとて文はいとらせしやつ. 御ともつかまつらんと申せほほう‑わん. たひ‑トまいて候間あんないはそんして候. らぬにしんしよせよとの給へハこれは. もやしまへまいるかいまたあんないをし. け申され候らめけにさそ有らんこれ. と思ひけるやらんうちとけてこま. おはへさふらふせいともちらさてよう. 大なみをもきらハすよせさふらふらんと. ■.I. つれて物かたりし給ふこのおとこよる. によふほうの文とおほしくて九郎ハす、. 物かたりをそ申けるそのふみハいつ‑へそ. しんせさせ給へとそかゝれたるはう‑わん. 5 0. の事てハありかたきとハゆめにもしらす. ときおのこにてさふらふなれハ大かせ. やしまのおほいとのへまいり候たかまいら. これはよしつねに天のあたへたまふ文. 9. みかたのつはものとものやしまへまいる. せらるゝそ京よりにようほうのまいらせ. なりかまくら殿に見せ申さんとてふかう. と. られ候なに事なるらんとの給へハへち. おきめてをかれけり. ‑. の事ハよも候ハしけんしすてによと川 しりにいてうかふて候へハそれをこそつ. 」 (2紙).
(13) 73 専修大学図書館蔵『古土佐源平合戦絵巻物』の翻刻と考察(上). 」 (3紙). 5 5. もらしていへの子らうとう五十よ人か. けりたいりにてそ‑しゆのしっけんせら. (絵②中). あくる十八日のとらのこくにさぬきのくに. れんことしかるへからすとておほいとの. くひきつて八しまのたいりへまいらせ. ひけたといふところにうちおりて人馬の にうの. やしまのしろへよせ給ふ. 五十六人かくひなり. のしゆくしよにてしつけんせらる百. ‑. ハすと申せはさらハやかてよせよや. しまのあひたにむまのハらもつかり候. 候しほのひきて候ときは‑かとし. やまちてハよも侯ハしかたきのよせて. とてひしめきあへりひるて候へハてあ. ともたかまつのかたにひいてきたり. くひともしつけんしけるところにもの. (絵③中). とてたかまつのさいけにひをかけて. ひをかけたるとおほへ候さためて大. ( 山名氏蔵書. いきをそやすめけるそれより丹生やしろ とりうち過. 又こんとう六ちかいへをめしてやしまの たちのやうハいかにととひたまへハしろ. しめさねハこそ候へ無けにあさまに. やしまのしやうへよせ給ふやしまには. せいてそ侯らんとりこめられてハか. 3. あわのみんふしけよしかちゃくしてん. なふましとう′‑めされ候へとてそう. 5. ないさへもんのりよしかわのゝ四郎かめ. もんのまへのなきさにふねともつ. 2. せともまいらぬをせめんとて三千よき. けならへたりけれハ我も‑〜とのり. 悲. ていよへこへたりけるかかわのをハうち. 」 (4紙). 」 (5紙).
(14) 74 第77号 専修国文. とつふねにのり給ふそのほかの人‑㌔. たちめされけ‑おほいとのふしハひ. のまん所二位殿以下のにようほう. 給ふ御所の御ふねにハにようゐんきた. はききりふのやおいしけとうの. よろひきてこかねつくりのたちを. のひたゝれにむらさきすそこの. その日のしやうそくにはあかちのにしき. のからすかしらふとハらにたつ所も. おりふししほひるさかりなれハむま. さにつといてきたりしほひかたの. かふと七八十きそうもんのまへのなき. たる所にけんしのつハものともひた. あるひハ七八たん五六たんなとこきいたし. 思ひ. よしもりとそなのつたるつゝいてな. 十郎いへた、同与一ちかのりいせの三郎. のふつなむさしのくにのちう人かねこ. いつのくにのしう人たしろのくわんしや. もとのよしつねとなのるそのつきに. の御つかいけんひいし五ゐのせうみな. にらまへ大をんしやうをあけて一ゐん. ゆみのまむなかとつてふねのかたを. にとりのつてあるひハ一ちゃうハか‑. ありそれよりあさき所もありけあ‑る. のるハことうひやうへさねもとしそ‑の. ‑. しほのかすみと、もにしくらうたる中. しんひやうへもときよおふしうのきとう. eO. よりしらはたさっと㌢し上たれへい. 三郎ひやうへつきのふ同四郎ひやうへた、のふ. t h U. けハうんつきて大せいとこそ見てん. になのつてはせき. たるへいけのかたにハあれいとれや. ‑. ゑたのけん三くまゐ太郎むさしほう. ※嗣信最期. けれはうくわんかたきに小せいと見. き. いてたり九郎大夫はうくわん. 7. へんけいとこゑ. ‑. せしと五六き七八き十きはかりうち むれ. 」. (6紙).
(15) 専修大学図書館蔵『古土佐源平合戦絵巻物』の翻刻と考察(上) 75. けをいたるふねのかけをむまやすめ. とをりめてになしてハいてとをりあ. のつはものともゆんてになしてハいて. あるひはさしやにいるふねもあ‑けんし. とてあるひハとをやにいるふねもあり. ぬかくかへあかつて一いくさし給へさう. にこそやすからねのと殿ハおハせ. ふねにのつてたいりをやかせつる. にとりこめてうたすしてあはて、. 此せいにハたるがしかりけり物を中. つ‑をあひ‑して小舟ともにと‑. け給侯ぬとてゑつちう二郎ひやうへもり 」 (7紙). ところにしておめきさけんてせめた、. かふ. のつてやきハらひたるそうもんのまへ. のなきさにちんをとるはうくわん八十. 有けれハいくさをはせすまったいり. ことうひやうへさねもとハふるつはものにて. けて申けるハなのられつるとハきゝ. もてにたちいて大をんしやうをあ. ちうの二郎ひやうへもりつくふねのお. 」 (8紙). にみたれ入て‑〜にひをはなてへん. つれともかいしやうはるかにへたゝりて. (絵④中). しのけふりとやきはらふおほいとの. そのけみやうしっみやうふんみやうな. よきやころによせてひかへたりゑつ. さふらひともをめしてそも/\けんしか. らすけふのけんしの大しやうくんは. t r .. 9. せいいかはとあるそとう時わつかに七. たれ人ておハしますそいせの三郎よし. 6. 八十きこそ侯らめと申あな心うやかみ. もりあゆませいて申けることもおろ. 2 6. のすちを一すちつゝわけてとるとも.
(16) 76 第77号 専修国文. よしも‑したのやハらかなるま,に君. ひし小‑わんしやか事かとそ申たり. れうせおうておふしうのかたおちまと. こかねあき人のしよしうになりらう. て有しかくらまのちこしてのちには. のかつせんにち,うたれてみなし子に. かしもりつくさる事あり一とせへいし. ‑ら殿の御おとゝ九郎大夫はうくわん殿そ. かやせいわてんわふ十代の御すゑかま. よろいのむないたにうらかくはとそ. よっひきひやうとはなつもりつくか. けるかいはせもはてす十二そく二ふせ. をと申ところにをと、の与一そはに有. のわか殿ハらのてなみのほとハみてんもの. へきこその春一のたにてむさしきかみ. けてさうこんせんにハたれかはをとる. きうこんかなわれも人もそらこといひつ. かねこの十郎いへたゝむや‑の殿ハらの. なひ我身もす‑るとき、しかといひけれハ. 3 6. の御事な申しそさてわ人ともハとな. たつたりけるその後ハたかひにことは. 6. 京へのほ‑た‑. a. 見山のいくさにをいおとされからき命. た,かひハとまりにけり. ‑. (絵⑤中). 9 6. t O. 8. いきてほくろくたうにさまよひこつ しきしてな‑. しものかとそ申けるも‑つくかさね. て申けるはきみの御おんにあきみ. のとのかみのりつねふないくさハやうある. 6 6. ちてなんのふそくにかこつしきをす. からまきそめのこそてにからあやをとし. ものそとてよろいひた、れハき給ハす 」 (9紙). へさきいふわ人ともこそいせのすゝか 6. 山にて山たちしてさいしをやし. 」 (1 0紙). 」 (1 1紙).
(17) 77 専修大学図書館蔵『古土佐源平合戦絵巻物』の翻刻と考察(上) つはものともわれも/\とむまのかしら. ほうへんけいなといふ1人たうせんの. つなゑたのけん三くまゐ太郎むさし. た、のふいせの三郎よしもりけん八ひろ. のきとう三郎ひやうへつきのふ同四郎兵へ. ともけんしのかたにもこゝろへておふしう. はう‑わんをいをとさんとねらハれけれ. れすといふ事なし中にも九郎大夫. しかはやさきにまハるものいとをさ. しやう一のつよゆみせいひやうにておハせ. しけとうのゆみをもちたまへりわう. はき廿四さいたるたかうすへをのやおひ. のよろいきていかものつくりの大たち. ゐにたふれぬのとのかみこれを見て. あわせをあなたへつといぬかれていぬ. ひやうといるわらハかはらまきのひき. あにかくひをとらせしとよつひいて. とらんとはしりかゝるさとう四郎ひやうへ. のきゃをはっし三郎ひやうへかくひを. かふとのを、しめてしらゑのなきなた. ありもへきおとしのはらまきに三まい. わう丸といふ大ちからのかうのもの. とうとおっのとのかみのわらハにきく. しハしもたまらす馬よりさかさまに. かたをめてのわきへつといぬかれて. おうしうのきとう三郎ひやうへかゆんての. おとさる中にもまつさきにすゝたる 7. をたてならへて大しやうくんのやおもて. いそきふねよりとんておりひたりのてに. 0. にふさかりけれハちからをよひ給ハす. ゆみをもちなからみきのててきく. 2 7. やおもてのさう人ハらそこのき候へと. わう丸をひっさけてふねへからりと にい給へハ. てさしつめひきつめさん. なけられたれはかたきにくひハと. ‑. やにハによろいむしや十よきハかりい.
(18) ゆみやとるものかたきのやにあたって. たれ侯けりとまつたいの物かたりに申. 7 7. のきとう三郎ひやうへつきのふといひける. 7. られねともいたてなれハしにゝけり. しなん事もとよりこする所て健也なか. 6. これハもとゑちせんの三位のわらハなり. つ‑にけんへいの御かせんにおふしう. 7. . 4. のとのかみにつかハれけりせうねん. 7. 3. しか三位うたれ給てのちをと、の. ものさぬきのくに八しまのいそにて. 」 (1 2紙). 十八さいにそなりにけりこのわらハを. しうの御いのちにかわりたてまつてう. けれはその、ちはい‑さもし給ハす. されんことこそゆみやとる身ハこん. しやうのめんはくめいとのおもひてにて. いきのしたに申けるはいまハかうとそん. とらへて三郎ひやうへいかゝおはゆるとの給へハ. うしろへかき入させむまよりおりてを. はうくわんハさとう三郎ひやうへをちんの. くろきむまのふとうたくましいに. おち入るに一日きゃうかいてとふらへとて. とてたつねいたしておいのたゝいま. なかし此へんにたつときそうやある. けれハはうくわんなみたをはら‑1と. 」 (1 4紙). し候思ひをくことハなきかとの給へハ何事. きんふくりんのくらをいてかのそうに. 候へと串もあへすた、よハ‑によハりに. をかおもひをき侯へききみの御世に. たひにけりはうくわん五位のせうに へ. わたらせ給ハむを見まいらせてしに候 5. なられしとき五位になして大夫く. 7. ハん事こそロおしうおは候へさ侯ハてハ. (絵⑥中). 」 (1 3紙). 第77号. うたせてあまりにあはれにおもハれ. 78 専修国文.
(19) 専修大学図書館蔵『古土佐源平合戦絵巻物』の翻刻と考察(上) 79. ろとよハれしむまなり1のたにのひ. くわんはとなく三百よきにそなり給ふ. きうちつれ. CC. まいりけれほほう. よとりこへをも此むまにてそおと. けふハ日‑れぬしやうふをけつすへ. 8. ふねのせかいにはさみたてゝくかへむい. 8. ‑れなゐのあふきのひいたしたるを. 2. いつゝきぬにくれなゐのはかまきて. ことにゆうにうつくしきかやなきの. ハひ十八九ハかりなるにようほうのま. いかにと見るはとにふねのうちよりよ. かはふねをよこさまになすあれハ. よせけりいそへ七八たんはか‑になりし. ‑. されたりけりをと、の四郎ひやうへをはし. からすとてひきしりそくところに. ○). めとしてこれをつはものとものみなな. おきのかたよりしんしやうにかさりたる. 7. みたをなかし此きみの御ためにいのち. 」 (‑秩). 」 (見返し). 」 (表紙). 」 (1 5紙). せうせん一そうみきハへむひてこき. 下 (貼題碁). をうしなハん事まったくつゆちり ほともをしからすと申ける. 古土佐源平合戦絵巻物. (絵①下). てそまねいたるはうくわんことう. ひやうへさねもとをめしてあれはい. かにとの給へハいよとにこそ候めれ. ※那須与一. むいてけんしをまちけるものともあそ. たゝし大しやうくんやおもてにすゝん. さるはとにあわさぬきにへいけをそ. このみねこゝのほらより十四五き廿.
(20) 80 第77号 専修国文. いおとすものて候さらはめせとて. なとをあらかふて三に二はかならす. 候へそうこはいかにとの給へハかけとり. たかこそこひやうて候へともてき,て. なすの太郎すけたかか子に与一むね. 候なかにもしもつけの‑にのちう人. あるとのたまへハしやうすともい‑らも. と申いつへきしんハみかたにたれか. ㌢もあふきをハいさせらるへうや候らん. ねらうていおとせとのはかりことゝおはへ候. てけいせいを御らんせはてたれに. らるへうや候らんと申はう‑わん大に. つかまつらむするしんにおはせつけ. みかたの御きすにて候へし一ちゃう. ちゃうに候ゐそんし候なはなかき御. まって申けるはいおはせ候ハん事ふ. けんふっせさせよかし与1かしこ. あのあふきのまんなかいてへいけに. のまへにかしこまるいかにむねたか. かふとをハぬきたかひほにかけはう‑わん. たるしけとうのゆみわきにはさみ. ませたるぬためのかふらをそさしそへ. いなしうすき‑うにたかのははき. 8. 3. めされたり与一そのころハ廿はかりの. いかつてかまくらをたってさいこくへ. M'. qU. おのこなりかちんにあか地のにしき. おもむかんとのハらハよしつねかめいを. i. をもつておはくひハたそていろへ. そむくへからすすこしもしさいをそん. ] ) C. これよ‑かへらるへ. 朗. たるひた、れにもゑきおとしのよ. せん人はとう. 9. ろいきて足しろのたちをはきき. しとそのたまひける与一かさねて. 6. りふのやのその日のい‑さにいてせう. しせはあしか‑なむとやおもひけん. ‑. /\のこつたりけるをかしらたかにお. 」 (2紙).
(21) 81専修大学図書館蔵『古土佐源平合戦絵巻物』の翻刻と考察(上) しくていそうつなみもたかゝりけり. ハかりの事なるにおりふしきたかせはけ. たりけれころハ二月十八日とりのこく. あハひ七たんはかりハあるらんとこそ見へ. はかりうち入たれともなをあふきの. すこしとをかりけれハうみへ一たん. もしけにそ見たまひけるやころ. おほへ候と申けれハはうくわんもたの. て此わかもの一てうつかまつり候ぬと. つはものともうしろをはるかに兄をく. わへむひてあゆませけれはみかたの. ゆみとりなをしたつなかいくりみき. はやすたるくらをいてそのったりける. ましさにこふさのしりかひかけまろ. まかりたつくろきむまのふとうたく. つかまてこそ見候ハめとて御まへを. はつれんハしり侯ハす御ちゃうて侯へハ. かいよっひいてひやうとはなつこひやうと. そなつたりける与1かふらをとつてつ. すこしふきよハりあふきもいよけに. ねんしてめを見ひらいたれハかせも. させたまふなとこゝろのうちにき. こくへむかへんとおはしめさは此やはつ. おもてをむかふへからすいま一とほん. ゆみきりおりしかひして人にふたゝひ. せたまへこれをゐそんする物ならハ. ハあのあふきのまんなかいさせてたハ. のみやなすのゆせん大みやうしんねかハく. 我くにのしんめい日くわうこんけんうつ. 与一めをふさいてなむ八まん大ほきつ. いつれも′トはれならすといふ事そなき. ‑つはみをならへてこれを見るみな. ならへてけんふっすくかにはけんし. おきにはへいけふねを一めんに. きもくしにさたまらすひらめいたり. 0 9. ふねハゆりあけゆりすへたゝよへハあふ. 」 (3紙).
(22) 第77号. 82 専修国文. の上にたゝよひうきぬしっみぬ. ゐのあふきの日いたしたるかなみ. ける夕日のか、やいたるにみなくれな. れてうみへさっとそおちたり. けるかほる風に一もみふたもみもま. あかりけるしハしハこくうにひらめき. うみへ入けれハあふきハそらへそ. いてひふっとそゐきつたるかふらハ. すあふきのかなめきハ一寸はか‑を. うらひ、くほとなかなりしてあやまた. いふてう十二そく三ふせゆみハつよし. ゐたをすへいけのかたにはをとも. やうふっとゐてふなそこへさかさまに. ‑ハせよひいてしゃくひのはねをひ. けれはこんとハ中さしとってうち. せよって御てうそつかまつれといひ. の三郎よしもり与一かうしろへあゆま. けるところにたてまひしめた‑いせ. なたもつたるかあふきたてたり. しのよろいきてしらゑのなき. 五十はかりなるおのこのくろかわおと. とおほしくてふねのうちよりとし. あまりのおもしろさにかんにたへさるにや. 9. (絵③下). なしといふ物もあり. 4. ゆられけれはおきにはへいけふな. せすけんしのかたにハ又ゑひらをたゝいてとよ. 2. はたをたゝいてかんしたりくかには. めきけりあゐたりといふ人もあ‑又なさけ. 3 9. 」 (5紙). 」 (4紙). けむしゑひらをた、いてとよめ きたり. (絵②下). ※弓流. 」 (6紙). 」 (7紙).
(23) 専修大学図書館蔵『古土佐源平合戦絵巻物』の翻刻と考察(上) 83. へいけこれをほいなしとや思ひけんたて ける. おりたってやかてたちをそぬいたり. たてのかけよりぬりのにくろほろはいた. のなかつく五きつれておめいてかく. にう四郎しなのゝくにのちう人木そ. をなしく十郎かうつけのくにのちう人. のちう人みほのやの四郎おなし‑藤七. けちらせとのたまへハむさしの‑に. つよからんわかたうともはせよせて. のへてみほのやの十郎かかふとのし. のわきにかいはさみみきのてをさし. さはなくしてなきなたをはひたり. なきなたてなかんとするかと見るところに. いてにけけれハやかてつゝいておっかけたり. なきなたにかなハしとや思ひけんかいふ. かゝりけれはみほのやの十郎こたち. たてのかけより大なきなたうちふつて. 9. る大のやをもつてまつさきにす、ん. ころをつかまんとすつかまれしとは. (絵④下). ついて1人ゆみもって1人なきなた. もつて一人むしや三人なきさにあ かりたてをついてかたきよせよと そまねいたりはうくわんあれむま. たるみほのやの十郎かむまのひたり. しる三とつかみはつひて四とのたひ. 9. A. のむなかひつくしをひやうつハとゐて. むすとつかむしハしそたまって見. . . u. はすのかくる、ほとそゐこうたりひやう. へしはちつけのいたよりふっとひ 価. ふをかへすやうにむまハとうとたう. きつてそにけたりけりのこりの 9 7. るれはぬしハめてのあしをこいて. 」 (8紙). 」 (9紙).
(24) 84 第77号 専修国文. のしころをさしあけ大おんしやうをあ. てもこてなきなたつゑにつきかふと. 入ていきつきゐたりかたきハおう. の十郎ハみかたのむまのかけににけ. ふっしてこそゐた‑けれみをのや. 四きはむまをおしうてかけすけん. にハのらす大りやくかちむしやにてあり. かけ給へハへいけのつはものとも属. うしろにたて、八十よきおめいて. をめてにたてたしろのくわんしやを. しうのきとう四郎ひやうへいせの三郎. かねこきやうたいをさきにたておふ. からぬ事なりとてことうひやうへふし. のつてむまのふとハらひたるほとに. らさるけんしのつはものともかつに. さんをちらしたるやうにさん‑トにけち. E=. けてひころハをとにもきゝつらん. けれは属にあてられしとひきしり. m l. いまハめにも見侯へこれこそ京わらへの. そひてみなふねへそのりにけるたてハ. 旧}. 」 (1 0紙). 」 (1 1紙). よふなるかつさのあく七ひやうへがけきょと 伽. なのりすて、そがへりたる. (絵⑤下). うち入てせめたゝかふはう‑わんふか入. i. してたゝかふほとにふねのうちよ‑. g. かけらる、をみかたのつはものとも. じころをからり︿と二三とまてゲち. 但. へいけこれに心ちなをしてあ‑七ひやうへ. 価. くまてをもつてはうくわんのかふとの. 皿. うたすなつ,けやものともとてまた. はにつきならへてかたきよせよとそ. たちなきなたてうちのけ︿しける. 二百よきなきさにあかりたてをめと‑. まねいたるはうくわんこれを見てやす.
(25) 専修大学図書館蔵『古土佐源平合戟絵巻物』の翻刻と考察(上) 85. はとにいか、したりけむはうくわんゆみを. ‑. とし. かけをとされぬうつふしてむちを もつてかきよせてとらう. のたまへはみな人これをがんしけり. ためともかゆみのやうならはわきとも. してもはりもしハ三人してもはりおち. とらハこそよしつねかゆみといわは二人. さと申せははうくわんゆみのおしさに. ともいかてか御いのちにかへさせ給ふへ. 万ひきにかへさせ給へき御たらしな‑. して口おしき僚事かなたとへ千ひき. かへられけるおとなともつまはしきを. 申けれハつゐにとつてわらうてそ. かふと枕にしあるいハよろいのそてゑひら. たりけれはみなつかれはてゝあるひハ. すからなか山こへけふ又一日た、かいくらし. あわのくにかつらにていくさしてよも. 大なみにゆられてまとろますきのふ. わたなへふくしまをいつるとてその夜. この三日かあひたハふさ、りけり一昨日. そとったりけるけんしのつはものとも. むれたかまつのなかなるのやまにちんを. さるはとに日くれけれハひさし‑そひて. (絵⑥下). をとしてとらすへしわうしゃくたる. なと□‑らにしてせんこもしらすそ. 山名氏蔵書. ゆみをかたきのとりもってこれこそ. ふしたりけるそのなかにはうくわんといせ. (. けんしの大しやう九郎よしつねかゆみ. の三郎ハねきりけりはうくわんハたかき. 給へはつはものともたゝすてさせ給へと. よとててうろうせんするか口おしけれ. ところにのーはりてかたきやよせるとと. (ま). はいのちにかゑてとるそかしと. 」 (1 2紙). 」 (1 3紙).
(26) 86 第77号 専修国文. 龍谷大本は現存の覚一本系統の中で最古写本である点'高. (高野本). かくれゐてかたきよせハまつむまの. 野本は善本として用いられる傾向を鑑みて'以上の二本を. 高野辰之旧蔵東京大学国語研究室蔵本. はらいんとてまちかけたりへいけ. 選んだ。なお龍谷大本は ﹃龍谷大学善本叢書﹄ (思文閣出. を見し給へハいせの三郎ハ‑はき所に. のかたにハのとのかみを大しやうにてそ. 版)、高野本は ﹃笠間影印叢刊﹄ (笠間書院) によった。. 二㌧ 異同を示すにあたり'本文の番号に従い掲載Lt 龍谷大本. 漢字と仮名、仮名遣い'濁点の違いな. は (龍)'高野本は (高) と略称した。. 異同は本文に限りへ. どは採らなかった。よって高野本に付される濁点は、煩雑. 三㌧. うあけにけり夜うちにたにもしたらハ. 記した。. 宿所にかへて (高). (龍) 2ついたうす‑追討すへし. ILゆ‑しよに1宿所に帰て. かへて. (高). 四㌧龍谷大本'高野本に該当する本文がない場合「ナシ」と表. した。. 本と高野本で漢字仮名の違いがあった場合は'何れも掲載. を避けるため省いた。但し'異同を示すにあたり、龍谷大. ちんをあらそふはとにその夜ハむなし. もりつくとゑひの次郎もりかたとせん. ‑したりけれともゑつちうの二郎ひやうへ. のせい五百よき夜うちにせんとした. 」 (1 4紙). けんしなにかあらましよせきりけるこそ. 例. せめてのうんのきわめなれ. ︻ 校 異 ︼ 凡. 1'専修大学本の本文は覚1本系統と考えられることから'参. (龍谷大本). 考として左記の伝本との校異を示した。 龍谷大学図書館蔵本. (龍・高). うみハ. 3ろかいのー海ほろかいの.
(27) 87 専修大学図書館蔵『古土佐源平合戦絵巻物』の翻刻と考察(上). (龍・高). 4なりけり‑なりにけり. 5とうせん1同心. (龍エロ同) (高). 6きくにも1間も(龍)きしも(高) 7なけき1なけきあひ (龍). (龍・高). 物共も. 8ものとも‑物ともも. 9かうむり‑かうむたり. (高). 1 0さらにそハーさこそは (龍・高). よわう. 1 1ひとりーひとつ (龍エロ同) (龍). 原とて (高). 22殿ハら‑ナシ (龍こnF). (龍二卓. 23ひやうまい‑兵糧米 (龍エロ同). 24つかまつるへき‑仕侯へき. (高). (龍). まほれや. 「※」に高野本. こにおほれてうするも皆これせんせのしくこう也海上にいて. 25の給ひけるハ※むかひかせ‑※野山のすへにてしに海河のそ. (龍こ色. うかふたる時風こわきとていか、する の一文があり。 26すしゆ‑水手. 27のまひける‑の給ひける (龍エロ同). 12よせふ‑よはう. (龍・高). 33まもれ‑まほれ. 32もとふねーほん舟 (龍・高). 3 1ふねに‑船には (龍). 30よせて‑寄せてこそ (高). 29大なみ‑大狼に (龍・高). 13つの‑に‑摂津国. (龍こ色. 28いてね1いてねは (龍) 出てねは (高). 5ふねともつな‑舟ともともつな. (龍・高). よかるへきそ. (高). (龍・高). (高). 14つのくに‑薫津国. 1. 7をしもとする‑をしもとすが. 1 6かけ‑ナシ (龍・高). 1. (龍). (龍・高). 9よからそ‑よからうそ. 18け‑‑けるは 1. 34付けれ‑つけたれ (龍・高) (龍). 20きゝめき‑きらめき. 35まうけーまうけは. (龍・高). 2 1いわゐたまへとてーいはひ袷へ殿原とて (龍) ゆはひ給へ殿.
(28) 88 第77号 専修国文. 36ゐられなむす‑ゐられんす(龍). 55まいらせけり‑まいらせたり. 54あひたに‑間は. (龍・高). (龍二鳥). 37むまは‑馬た、(龍・高). (龍こ高). (龍こ高). (龍エロ同). (龍)名のたる. へた、て. (龍・高). (高). (龍二局). (高). 56さし上たれ‑さしあけたれは. 軍っって‑うたて き. 57いてたり‑いてきたり. (龍・高). 39よろひを‑鎧. 58なのつたる‑なのたる. 60ましか‑けり1ましか‑ける. 59人て ‑ ‑いり手々に (龍エロ同). 42これを‑是 (龍こ高). (龍). 6. (龍・高) (龍二日同). 67さいしを‑妻子をも. (龍・高). (龍こ高) 69た、かひハ1たゝかい. 68よっひき‑よひいて. 66こつしきをー乞食をは (龍二鳥). 65のはりたり‑のほたり. 64申たり‑申たる. 63おふしうのかた‑奥州へ (龍こ高). (龍・高). 1へたゝ‑て‑へたたて. 43このはとに‑此辺に (高). とはられける. (龍エロ同). 62申ける‑申けるは. 41なにいへにてもーなに家ても. 40ちう人に‑住人 (龍二日同). (龍・高). (高). 44へいの‑平家の (龍こ高) 45具せられけり1具せられける. (龍・高). 46ふせや‑ふせき矢 (龍・高) 47のたまひけり‑の給ひける. (龍). (龍二島). (龍・高). 壁二日‑二日 (龍エロ同) 49はかりに‑はかり. 50そんして‑存知して. 1とをられけり‑とをられける. 70たかうすへを‑たかうすへう. 5. 52ひきて‑ひて (龍去同). 7 1すゝたるーすゝむたる (龍) すすんたる (高). (龍・高). 53ししま‑嶋 (龍) 島(高).
(29) 専修大学図書館蔵『古土佐源平合戦絵巻物』の翻刻と考察(上) 89. (龍・高). (龍こ局). 72き‑わう丸‑菊王. E=うたれ給て‑うたれて (龍・高). (高). (龍こ高). (龍・高). 74なりにけり‑なりける へ. (龍二歳). 75おは候へ‑覚侯へ (龍二南) 76とるもの‑とる物の. R,つたれ候けり‑うたれにけり. これを見る. 78おとされたりけり‑おとされた‑ける (龍). 90みないつれもーいつれも. (龍二尚). (龍こ高) (龍・高). 91おちたり1ちた‑ける 92なみ‑しら波. 95まねいた‑ーまねいたる. (龍・高). (龍こ局). (高). 93とよめきたり‑とよめきけ‑(龍・高) スマシイ. 96ゐこうた‑‑ゐこうたる. (高). 94まひしめたり‑まひしめたり. 97こいて‑こえて弓手の方へ 98なきなたー大長刀 (高). 79これを‑是を見る (龍二DF). (龍・高). (龍こき. 80なり給ふ‑なりにける. 1‑1のこ‑のーのこり. 1‑0にけた‑けり‑にけたりける. 99なかんとする‑なかんする (龍二島) (高). (龍エロ同). (龍・高). (龍)‑みな‑れなゐの. 81かきりたる‑かさたる. 82‑れなゐの‑みな紅の 83さもあふきを‑さも候へ扇を. M見候へー見給へ (龍・高) はかけきよ‑景清よ. (龍二南). 85なとを‑なと. 地かへりたる‑かへりける. 84なかにも‑なかに. 86かちんに‑かちに (龍こ色. 畑二百よき‑二百余人. (龍二歳). 87たかひほ‑たかひも (龍二島). 1‑6めと‑は‑めん鳥羽 (龍・高). (龍). 88事‑⊥早は (龍二日同). 1‑7めてにたて‑弓手馬手にたて (高). (龍エロ同). (龍二日同). 89御みかたーみかた (龍・高).
(30) 90 第77号 専修国文. 1‑8しころを‑しころに. (龍・高). 岬っちかけらる、を‑うちかけけるを 110申けれハ‑申けれとも (龍・高) 111候事かな1御事候かな (龍・高) 112おち‑おちの (龍二歳). 山かふと‑甲を. (龍二歳). (龍二局). 113かんしけ‑‑かんしける (龍・高). 山のほりて‑のはりあかて. (龍・高).
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