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広島湾北部海域におけるカキ養殖の環境容量

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(1)

九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

広島湾北部海域におけるカキ養殖の環境容量

屋良, 由美子

九州大学大学院総合理工学研究科大気海洋環境システム学専攻

柳, 哲雄

九州大学大学院総合理工学研究科大気海洋環境システム学専攻

https://doi.org/10.15017/16719

出版情報:九州大学大学院総合理工学報告. 26 (1), pp.15-22, 2004-06. 九州大学大学院総合理工学府 バージョン:

権利関係:

(2)

広島湾北部海域におけるカキ養殖の環境容量

屋良由美子*1†・柳哲雄*2

(平成16年4月30日受理)

Environmental capacity of oyster culture in the northern part of Hiroshima Bay

    Yumiko YARA and Tbtsuo YANAGI

†E・mail of corresponding author:アヨzヨ@舶塑。左四ε面一肱∂a加

  T真econcept of environmental capacity of oyster culture in the northern part of且iroshima Bay is proposed using a numerical ecosystem model which contains the cultured oyster. The relation betweell the chlorophyll・a concentration in the upper layer alld mortality rate of the cultured oyster was approximated with the TANH function, and the fbrmula about the l〕iochemical process of oyster was built. As the result of numerical ecosystem model calculation, we suggest that the concept of environmental capacity of oyster culture且shery in the northern part of且iroshima Bay is defined by total phosphorus(TP)load from Ohta River maximizillg the standing stock of cultured oyster.

:Key words:血曲。刀1ηθ濡。即ao吻,ρ彫θ■ω伽zθ,Eoo卵孟θ1η1ηoぬ1,⊃磁η5乃加8 B3ア

1.はじめに

 沿岸海域の環境保全の重要性が認識されてくるにつれ、

沿岸海域における環境容量の概念の有効性が論じられる ようになってきた1)。しかし、沿岸漁業に関連した漁場環 境容量の概念は必ずしも明確にはなっていない。本研究で はカキ養殖の環境容量について広島湾北部海域を例に考

えた。

 広島湾では太田川からの河川水流入に伴う河口循環流 が発達しており、植物プランクトンの光合成の制限栄養塩 はリンであることが知られている。また、全国一のカキ養 殖が行なわれていることでも有名であり、カキ養殖場は Fig.1の黒四角で示すように分布している。一方、カキは 海水中のプランクトンやデトリタスを濾過して成長する ために、広島湾のカキ養殖は富栄養化や赤潮発生を抑制す るなどの海洋環境浄化に役立っていることがわかってい る2!。しかし、近年、広島湾の養殖カキ生産量は減少して

*1大気海洋環境システム学専攻博士課程

*2大気海洋環境システム学専攻

きている(Fig.2(a))。この原因の一つとしてはFig2(b)

に示すように、養殖カキの死亡率が増加していることがあ げられる。

 減塩ら(2002)2)は:Fig.1において点々で示した広島湾 北部海域に養殖カキを含む低次生態系モデル(Fig.4)を 適用し、海;域環境が最も悪化する毎年(1984〜1996年)8 月のリン循環を計算した。さらに、広島湾における観測値 を整理して、養殖カキの死亡率が上層のChl.a濃度と正 の相関があることを見いだしている。彼らはFig.4中の カキ現存量として養殖カキ生産量(Fig2(a))の値を用い て計算を行なっているが、本研究では上層のChl.a濃度 と養殖カキ死亡率の関係をTANH関数で近似し、さらに 文献3)4)5)に基づいてカキの生化学過程に関する式を構築

した。そして、伊江ら(2002)2)と同じボックス低次生態系 モデルを用いて、広島湾の養殖カキ生産量が最大で、かっ 満塩ら(2002)2)の計算結果において再現性が良かったと される1987年8月の観測値をリンに関する数値生態系 モデル計算によって再現し、太田川からの全リン(TP)・

負荷量を変化させることによる広島湾北部海域における カキ現存量変化の予測を試みた。

(3)

一16一 広島湾北部海域におけるカキ養殖の環境容量

2.ボックスモデル

132「15●E 132。30「E

30N 3430醒N

Qhta River Yahata River

Hiroshima Seno River

,,

      ■ ・

●. ・

f∴  Kure

3415N 15N

   q   虚 響 ●禔v1

    馬

・愚嬉

σ,・:・ ・勺

@     .・β   ぬψ   面。

        びみ_ る B

    ㎞       ρ

。■罵=コ■【ロ電=胴r  o      q。05

B㍗己 ソ

o∂O

?      O

@     〃

3400N GO N

132●15E 132 30E

 満塩ら(2002)2)は、:Fig.1の広島湾北部の主なカキ養殖 場(黒四角)を含む広島湾北部海域(点々で示した領域)

において、:Fig.3に示すような有光層(=8.5 m)と無光層

(=9.8m)からなる上下二層のボックスモデルを設定した。

ここで、有光層の厚さは解析期間中(1984〜1986年)の8

,月のボックス内6測点(Fig.1に観測点を黒丸で示す)

における平均透明度3.Omを2.8倍した値としている。

 本研究においては、:Fig.3に示す満塩ら(2002)2)と同じ ボックスに対して、彼らの求めた移流・拡散・堆積・溶出 などの特性値を使った数値生態系モデルを適用して解析 を行なった。

      u覧

:Fig。1 Map of oyster culture且eld(black areas)and    observation stations(full circles)in Htroshima Bay。

   Sh。d。d。,ea d。n。tes th。 b。x m。d。1。,ea.     K

(a)

30000

 

菖25000

620000

15000

(b)

30

Harvest of oyster

1984  1986  1988  1990  1992  1994  1996

Mortality of oyster

Ul

1 13㎞

l

I =1.マ9㎞3    u,

,3、、

  ㌧、、

    」、㌔唖●、

=211㎞2 ㌔,、、

R 162㎞

=0.138㎞2

AFO・159㎞ v

W

隣=2.07㎞3

8,5m

9.8m

Fig.3 Box model in the northern part of Hiroshima Bay.

3.生態系モデル

ま20

山10

0

1984  1986  1988  1990  1992  1994  1996

Fig.2 Year一七〇・year variations in harvest(a),mortality(b)of    cultured oyster in Hiroshima Bay.

 満塩ら(2002)2)は:Fig.3に示すボックスモデルに、

Fig.4に示すような養殖カキを含む低次生態系モデルを 組み込み、リン循環に関する物理・生化学過程を考えた。

なお、養殖カキは上層の有光層のみに配置されているとし、

また光合成についても上層の有光層のみで行なわれると している。さらに移流は河口循環流を想定している。

3.1濃度の時間変動の式

 ボックス内の上・下層の溶二二無機リン濃度(DIP)、

溶存態有機リン濃度(DOP)、植物プランクトン態リン濃 度(PHY)、動物プランクトン態リン濃度(ZOO)、デ トリタス態リン濃度(DET)およびカキ現存量(OYS)の 時間変動について以下のように定式化した。リンに関する 各コンパートメント濃度の単位はmg L1であり、OYSの 単位は剥き身湿重量(gL1)である。

(4)

Eupho嫉。 layer d血U8ion

DIP decomposition      photosvnthe3is

@       excretiOP

@       excretiondecomDositioロ

@    。。t,acellu1。。      PHY

@   excretion

DOP

豆oad

hoad

撃盾≠

甲az㎞ 飾ati。

decom・ositi・n m。・曲帥 ZOO  OYSTER

DET

ortahty&ege8tion

@      egestio皿  五ltration sin㎞9

dveotion d曲si

DIP

decomposit三〇ロ

@DOP decom・垂盾唐奄狽奄盾

excretion      PHY

@     mo貢a髄tv

d甑8ion decomgOsitio ZOO

gra加19

̀phot正。 layer

DET mortaHty&egestion

         sedimentationrelease

release

Fig.4Numerical ecosystem model diagram.

〈上層〉

屡誓L論罪汎(一4既・+角z・q・q伽%

  ・n呪・現・∬)一4勢(刀呪ゼー。既.)

  一貫(昭ゲ昭7)・オ㎜乙君・一砥刀呪

       (1)

巧の

粋齠=E㌦・+嘔4班}翁・免昭%一n・α㌃)

  一4勢(刀0∫}ロー1)0鳴ロ)一今(三論一刀卿

  +・4吻0君1−4σ召声0君。

       ②

巧泥 ゚・一巧(翠町・峨z・免縄駅珊ジ瑠蝋

  蜴・四)一加ノ盟ガ4孚(2町ゾ班卯

  二目(P町が既7)・鯉購一凧P町・

      ③

縛艶・嘔Z・免一鞭・免一語・免一一・硯)

  一4孚(zoq實一210(るロ)一箪(Z・q−Z・砺)

  +・4陀0ρガー4、乙㌔多0ρ加

      ④

%望呉一昭%・+嘔蝦釜・解・α・+解・(場

  一q鱈勾ゴら刀助ゴE20∬+E30}召+E50}雪)

  一砺刀耽一4孚(刀鴫一刀耽)

  一画(刀耽一昭鰯)・遵剛穿鵡朔窺

      ⑤

ゴOK9   =巧(玖0】粥+易0〕偲一E30】偲一盈〇四一瑞0}否)

 ゴ6

〈下層〉

巧望巧一塩田+鼻汁…+q昭乃・易・卿   一4孚(珊一門)・オ釜(聡一賜)

  一・4㎜ガ+・41σ1刀丑『01

      ⑦

欝欝一刀α蕪な+嘔昭乃一雨刀卿

  一ん孚(刀0君r刀0鳴ノ)・オ釜(刀α強一・α㌃)

  一.4吻0君ノ+.41σ1刀0君ノ

      ⑧

巧詑

゚1・巧(一B、ZOOが五3P町1)・孟wノ職

  一4寺(剛ア一面1)・虜(颯ゲP賜)

  一・4㎜町+・41σ12既ノ       ⑨

躍罪L巧彫・の一邸・の一耶・の一耶・砺)

  一ん孚(ZOα7−ZOρり1)・』勢(Z・q−Z・q・)

  一・4昭0ρ!1+・41σ1ZO(るノ

       (1①

三冠L嘔駕・卿・・+瑞Z・碍一q颯

  一ら昭乃)・加・乱調朋短一4孚(1日目z7−1フ四%ノ)

  ・今(昭Zゼ1辺乃)一二剛乃・照昭η

(11)

ここで、V。(=1.79 km3)とVI(=2.07 km3)は上・下層の 容積、A(=211k皿2)は上下層の境界面の面積、 Au(=0.138 km2)とAl(=0.159 km2)は上・下層の左右間の断面積、

L(=16:k皿)とH(=9,5m)は水平・鉛直方向の測点問距 離、U。とUlは上・下層の水平流速、 Wは鉛直流速、

:KhとKlvは水平・鉛直拡散係数、 Wpは植物プランクトン の沈降速度、Wdはデトリタスの沈降速度を表す。また、

添え字はそれぞれ、iはボックス内、0はボックス外、 Uは 上層、1は下層を表し、loadは陸からの負荷、 sinkは海 底への堆積、relsは海底からの溶出を表す。

3.2生化学過程の式

 生化学過程を表す式は以下に示すとおりで、植物プラン クトンによる光合成速度A1とカキに関する生化学過程を 除いて、外洋を対象に構築されたKawamiyaθ翻Z(1995)6)

(5)

一18一 広島湾北部海域におけるカキ養殖の環境容量

に基づいている。

 本研究では8月に増殖する高温適種の植物プランクト ンのみの光合成を考えるので、光合成速度A1を(12)式

で表した2)。

4一㌦〔話舞〕・÷即・一薫・

かP〔・一頃〕・靭・一素

(12)

ここで、Vm継は最大光合成速度、 Kpは珪藻に対するDIP の半飽和定数、Tは水温、 T。ptは珪藻に対する増殖最適水 温、1は平均光量、1。ptは増殖最適光量、 Sは塩分、 S。pt は珪藻に対する増殖最適塩分を表す。平均光量1について はParsonsθ6∂Z(1984)7)に基づいて以下のようにして求 めた。まず、深度Zにおける光量ldは(13)式で表せる。

右=0.51b exp(一五z)

ここで、Ioは全天日射量、 K:(=1.7/[透明度:3.Om])は平 均消散係数である。よって、上層(0〜8.5m)の平均光量1 は(14)式で求めることができる。

     ロら

∫一

墲ソ∫・xp(一瀦

    0

(14)

植物プランクトンからのDOP浸出は光合成量に比例す るとし、その係数をA2で与えた。

植物プランクトンの枯死速度A3は水温Tの関数として

(15)式で表される。

魂=嶋。exp(左即7)

ここで、Mp。は水温0℃における枯死速度、:kmpは枯死速 度の温度依存係数を表す。

 動物プランクトンによる植物プランクトン摂食速度B1 は(16)式で表される。

易・(㌔腿{・一・xp(λ(班r㌧珊ア))} (⑥

ここで、Gmaxは最大摂食速度であり、水温Tの関数とし て(17)式で表される。

        σ皿。。一α。・xp(左。の    (1の

ここで、αGは水温0℃における摂食速度、kgは摂食速度 の温度依存係数を表す。また、(16)式におけるZはlvlev

の定数、P冊はこれ以上植物プランクトン濃度が低下す ると動物プランクトンによる摂食が0となるしきい値であ

る。

 動物プランクトンの尿生産速度B2、糞生産速度B3はそ れぞれ(18)、(19)式で表される。

B2=α埆

B3=β易

(18)

(19

ここで、αは尿生産速度、βは糞生産速度の係数を表す。

 動物プランクトンの死亡速度B4は水温丁の関数として

(20)式で表される。

一石㌦=ノ鴎oexp(・を1ηz7)

ここで、Mz。は水温0℃における死亡速度、 km、は死亡速 度の温度依存係数を表す。

 デトリタスのDIPへの分解速度C1、 DOPへの分解速度 C2は水温Tの関数として、それぞれ(21)、(22)式で表

される。

q一玲ゴexp(左吻7)

0,一㌦exp(鰯。の

(21)

ここで、VpiおよびVp。は水温0℃における分解速度、 k頭 およびkvp。は分解速度の温度依存係数を表す。

 DOPのDIPへの分解速度D1は水温丁の関数として

(23)式で表される。

三一%・xp(左吻の

ここで、V毒は水温0℃における分解速度、 k。伽は分解速 度の温度依存係数を表す。

 カキの植物プランクトン濾過速度をE1、デトリタス濾 過速度をE2とし、赤羽ら(2003)3)に従って、それぞれ

(24)、(25)式で表した。

現二卯×乃×(醗)

E2=冊×乃×砲×(刀四7)

ここで、H:Fは濾水量であり、水温丁の関数として(26)

式で表される。

    紐ア=0.0667・_0.308  (L/hour/9(wet))     (26)

(6)

またr1は捕捉率、 r2は粒状有機物のうちカキの捕捉でき る粒子の割合である。単位中のwetとはカキの剥き身湿 重量のことである。

 カキの糞生産速度E3は:Kusuki(1977)のによって(27)

式で表される。

賜3=0.35×(賜+E2)

 カキの尿生産速度E4はRichard et al.(1989)5)によっ て(28)式で表される。

現=0.08×(現+易)

 カキの死亡速度E5は死亡率mと死亡時間tmの関数と して(29)式で与えた。死亡率mについては、満塩ら

(2002)2)が見いだしたように「養殖カキの死亡率は上層の ChLa濃度が高いほど高くなる」とみなし、初め:Fig.5で 示したような2っの場合((1)、(II))について考えた。と

ころが、カキ現存量は死亡率に敏感に応答するため、(II)

の場合に関しては太田川からの全リン(TP)負荷量を増 加させてChLa濃度を増加させる際に非現実的な負荷量 にまで増加させなければ満干ら(2002)2)が見いだしたよ うな「養殖カキの死亡率は上層のChl.a濃度が高いほど 高くなる」という関係が得られなかったので、今回は死亡 率mとして上層のChl.a濃度と養殖カキ死亡率の関係 を(1)の場合についてTANH関数で近似した式(Fig.5)

で与えた。また、死亡時間tmは1987年の養殖カキ死亡 率10%を用いてカキ現存量を再現するために必要とし た死亡日数6.39日である。

  れ現=7=

  加

3.3堆積と溶出の式

 海底への堆積と海底からの溶出の式に関しては肉冠ら

(2002)2)に従って以下のように与えた。

 海底へのデトリタス態リンの堆積フラックスDETs血k は海底へのデトリタスの堆積速度b(=0.26gcm 2 year1)

とデトリタス中のリン濃度。(=0.45mgg−1)と上下層の境 界面の面積Aの関数として(30)式で表される。

刀四牲鰍=わ×o×!4

 海底からのDIPとDOPの溶出フラックス(DIP,el、、

DOP。el、、 g sec 1)は海底へのデトリタス態リンの堆積量F に比例し、下層の溶存酸素濃度DOに反比例すると考えら れ、それぞれ(31)、(32)式で表される。

珊曲=

ヨ×∠4×17×0。87 00乃。z。=

  刀0

∂×ノ4×ノ7×0。13

(31)

刀0

(32)

ここで、a(=2.5mgL1)は1993年の広島湾におけるリ ン溶出観測値を再現するように決めた定数、Aは上下層の 境界面の面積、Fは海底へのデトリタス態リンの堆積量(g km冒2 seσ1)で(33)式で表される。

ア=刀E%撤

また、0.87と0.13はDIP溶出量とDOP溶出量の割合、

DOは下層の重訂酸素濃度を示す。

3.4パラメータ

30

 20

5

婁 10

0

●  ●

y=17.5+8.04*TANH(x−6.5)

       ●        ●

(1)

   ●       /

       /

qL    _ ⊆, 1●

   /

 /

ノ(lI)

2 4 6     8

⊂hl.a[μ9/1]

10 12

Fig.5 Correlation between Chl.a in the upper layer and    mortality of oyster.

 Table 1に計算に用いたパラメータを示す。これらのパ ラメータは1(awamiyaθ6∂Z(1995)6)が北太平洋に対し て用いた値を基本とし、満塩ら(2002)2)のDIP・Ch1.a濃 度の観測値を再現するように調整した結果である。ただし、

カキに関するパラメータは赤羽ら(2003)3)より引用した。

 以上の条件のもとで、時間間隔100秒でボックス内の 各要素が定常状態になるまで計算を行なった。初期条件は ボックス内のカキを除く全てのコンパートメントの濃度 がボックス外のそれらと等しいと置いた。なお、カキの現 存量の初期条件としては満塩ら(2002)2)より8,月の養殖 カキの殻付湿重量を剥き身湿重量へ変換して与えた。カキ の殻付湿重量においては殻:剥き身を3:1(橋本、私信)

として考えている。また、カキとしてのリン現存量はカキ の殻付湿重量当たりのリンの割合を7×10 4(門谷、私信)

(7)

一20一 広島湾北部海域におけるカキ養殖の環境容量

Table 1. Parameters used in the model and their re艶rences。

sink i ng speed of phytop l ankton sink i ng speed of detritus

opt i mum l i ght ir1㌻ensity fOr photosynthes i s opt i mum temperature for photosynthes i s optimum sa l i nity for photosynthes i s

half saturation constant for DIP uptake by phytoplankton maximum specific nutrient uptake rate by phytoplankton at O。C ratio of extrace l l u l ar excret i on of DOP by phytop l ankton

lvIev constant of phytop i ankton

threshold of phytop l ankton density for graz i ng by  zoop l ankton maximum grazing rate of phytopIankton by zooplankton at O。C temperature dependency of graz i ng of phytop l ankton by zoop l ankton constant for urine generat i on of 200p l ankton・

constant for feca I pe l I et generat i on Qf zoop l ankton mortality of phytoplankton at OoC

mortality of zoop l ankton at O。C

temperature dependency of morta l i ty of phytop lankton temperature dependerlcy of morta l i ty of zoop l ankton decomposition speed of detritus to DlP(DlN) at O。C decompos i t i on speed of detritus to DOP(DON) at O。C decomposition speed of DOP(DON) to DlP(DlN) at OoC

temperature dependency of decomposition of detritus to DIP(DiN)

temperature dependency of decompos i t i on of detritus to DOP(DON)

temperature dePendency of decomposition of DOP to D l P food capture rate of oyster

ingestion rate of oyster

Wp    17.O cm d−1 Wd    170. O cm d−1

10pt   5×105 ca I m一2 d−1 T。pt  24。C S。pt   28 psu Kp    α03 mgP L−1

V  4.Od−1maX A2  0.135

λ720(mgP l_一1)一1 PHY*  8.33×10㌧5 mgP L−1

αG  O.07d−1 kg   O.069。C『1

α  0.4 β  0.3

M     14.5 m3 gP−1 d−1 po

Mz。   30.2 m3 gP一重d−1 K    O.069 。C『1

mp

K    O.069。C一1 mz

Vpi    O.030 d−1 V      O.030 d−1

po

Vdi    O.030 d−1

   0.0690C職1Kvpi K    O,0690C−1

vpO

Kvdip  O.069。C−1

r1  0.4 r2  0.9

tunmg

tuning

1)

2)

3)

2)

4)

5)

5)

5)

tuning

5)

5)

5)

5)

5)

5)

5)

5)

5)

5)

5)

5)

5)

6)

6)

1)Hayash i&Yanag i(2001), 2)Nishijima et a l.(1990), 3)Yamaguch i(1991), 4)EppIey(1977), 5)Kawamiya et a l.(1995),

6)Akabane et a l.(2003)

として換算している。

4.データ

 ボックスモデルに用いた値については満塩ら(2002)2)

が求めた上・下層の水平(U。=0.445cm s 1、Ul=0275 cms.1)・鉛直移流流速(W=2.07×10 4c皿s 1)と水平

(1(h=3.9×105cm2 s 1)・鉛直拡散係数(Kv=0.05 cm2 s 1)

などの特性値を引用した。堆積、溶出に関しては(30)

〜(33)式を用いて求めた。

 生態系モデルに用いた観測値(ボックス内上層の水温

(=26.1℃)、塩分(=29.2psu)、透明度(=3m)、ボッ クス外のDIP濃度(上層:0,003 mg:L 1、下層10.011mg L1)、ボックス内の海底直上のDO濃度(=4mg L1)、ボ ックス外のChl.a濃度(上層:0.45μgL1)、全天日射 量(=16MJ In 2)、太田川全リン(τP):負荷量(=0.75 ton d冒1、DIP:DOP:DET=6:1:3))についても、満 塩ら(2002)2)の1987年8,月の値を引用した。なお、植 物プランクトン態リン濃度(PHY)に関してはParsonsθ6 ヨ1(1984a)7)が「増殖が活発な植物プランクトン群集での 値」として示したCIChl.a=30とレッドフィールド比

(C:P=106:1)8)から推定した。そして、植物プランクトン

(8)

態リン濃度(PHY)の推定値をもとに植物プランクトン 態リン濃度(PHY)、動物プランクトン態リン濃度(ZOO)、

デトリクス態リン濃度(DET)の比を23:2:25として、

それぞれの濃度を推定した2)。

 欠測値については・、ボックス外のDOP濃度はDIP濃 度と等しいと仮定し2)、ボックス外下層のCh1.a濃度は 上層と等しいとして与えた。また、下層の水温については 観測値が手に入らなかったため、 (上層の水温一4℃)と

して与えた。

5.計算結果

 数値生態系モデル計算によって得られた計算結果

(1987年8月)を観測値と満塩ら(2002)2)の計算結果と ともにTable 2に示す。この数値計算は湾内の生化学過 程の影響を最も強く受ける植物プランクトン、つまり ChLa濃度の再現に重点を置いている。

 本研究の計算結果においても、満塩ら(2002)2)と同様 に上層の低いDIP濃度観測値の再現ができていないが、

他は観測結果をよく再現している。

Table 2 Comparison of observed(left)and modeled(center     and right)concentrations of DIP in the upper and     lower layers and Ch1.a in the upper Iayer of the box.

Observed

@value

   Modeled

@  result of litsushio et a1.

@  (2002)2)

Modeled

窒?唐浮撃?of

高?study DIP in the

浮垂垂??layer 0,002 0.0038 0.0048

DIP in the

撃盾翌??layer 0,023 0,025 0,026

Chl.a in the

浮垂垂??layer 0,005 0,004 0,005

(unit:mg L1)

 続いて、太田川からの全リン(TP)負荷量を変化させ た場合の上層のChl.a濃度とカキ現存量の計算結果をそ れぞれFig.6(a),(b)に示す。 Fig.6(a)より、太田川から の全リン(TP)負荷量の増大に比例して、広島湾北部海 域上層のChl.a濃度が増加し、その結果、 TANH関数に 従ってカキの死亡率が増加するため、:Fig.6(b)のようにカ キ現存量が変化することがわかる。以上の結果から、カキ 現存量を最大にする太田川からの全リン(TP)負荷量を 広島湾北部海域のカキ養殖漁業に対する環境容量として 定義することができるということが示された。

(a)

T 一 J

ε ε

(b)

8 6

4

2

 0    0.5   1.0   1.5 TP frαηOhta Riv. [ton day−1董

3.0

 

「一@2.〇

ロ の1.O

i≡;

 0   

0.5   tO   1.5

TP from Ohta R i v. [ton day一1]

Fig.6 Relationship between total phosphorus load from Ohta    River and ChLa concentration ln the upper layer(a)

   and standing stock of oyster culture(b).

6.おわりに

 養殖カキを含む低次生態系のボックスモデルを用いた 数値生態系モデル計算によって、広島湾北部海域を例にカ キ養殖の環境容量の概念について考えた。そして、カキ養 殖漁業に対する環境容量はカキ現存量を最大にする太田 川からの全リン(TP)負荷量で定義することができるこ

とを提案した。ただし、養殖カキρ死亡原因等については 未だ不明な点が多いため、環境容量を定量的に求めるため

にはカキ現存量を決めるカキの死亡率についてさらに詳 しく検討する必要がある。

参考文献

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3)赤羽敬子,岸道郎,向井宏,飯泉仁,陸域からの栄  養塩負荷量に対する北海道厚岸湖の生態系の応答,沿岸海洋  研究,40・2,171・179(2003).

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一22一 広島湾北部海域におけるカキ養殖の環境容量

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