小型電波無響室サイト減衰量解析におけるFDTD法とレイトレーシング法の 適用周波数範囲の検討
川畑 将人*1 石田 康弘*1 島田 一夫*2 桑原 伸夫*3
Comparison of Site Attenuation Analysis Results between FDTD and Ray-Tracing Method Using Compact Anechoic Chamber
Masato Kawabata, Yasuhiro Ishida, Kazuo Shimada, Nobuo Kuwabara
電磁界解析による電波無響室評価の適用周波数範囲を明確にするため,FDTD法およびレイトレーシング法を用い て小型電波無響室のサイト減衰量解析を実施し,測定値と比較した。その結果,FDTD法は30MHzから250MHzで,レ イトレーシング法は180MHz以上で適用可能であることがわかった。さらに,電波無響室のサイズを変化させて解析 した結果,サイズが大きくなるに従ってレイトレーシング法の適用下限周波数が低くなることがわかった。
1 はじめに
電波無響室の理論評価手法として高周波数帯域では レイトレーシング法が,低周波数帯域ではFDTD法が用 いられるが,FDTD法においては100MHz以上の周波数帯 域での複合型電波吸収体のモデル化手法が未確立であ り,両者の適用周波数範囲も明らかになっていない。
本研究では,FDTD法による理論評価手法を100MHz以上 に拡張し,レイトレーシング法との適用周波数範囲を 検討した。また,電波無響室のサイズとレイトレーシ ング法の適用下限周波数の関係についても検討した。
2 解析方法 2-1 FDTD法
小型電波無響室で一般に使用されている複合型電波 吸収体を,フェライトタイルについては平面波の垂直 入射の反射係数が一定となるように,フェライト系ピ ラミッドについては体積比で平均化するようにセル内 の等価誘電率,等価透磁率を決定した。
2-2 レイトレーシング法
複合型電波吸収体を16層の平板多層近似でモデル化 し,5回反射まで考慮したイメージ法により解析した。
3 結果と考察
サイト減衰量の解析結果を図1に示す。図の縦軸は 測定値との偏差を示している。測定値との偏差±2dB 以内を許容値とすると,小型電波無響室を対象とした
場合,FDTD法は30MHzから250MHzで,レイトレーシン グ法は180MHz以上で適用可能であることがわかった。
さらに,電波無響室のサイズを変化させて解析した結 果,サイズが大きくなるに従ってFDTD法とレイトレー シング法との偏差が小さくなり,レイトレーシング法 の適用下限周波数が低くなることがわかった。
±2dB
±2dB
50 100 150 200 250
-8 -4 0 4
Frequency [MHz]
Deviation [dB]
FDTD Ray tracing
図1 サイト減衰量解析結果
4 まとめ
FDTD法による理論評価手法を100MHz以上に拡張し,
レイトレーシング法との適用周波数範囲を明らかにし た。これらの手法を併用することにより,放射妨害波 試験の測定周波数全域における小型電波無響室の理論 評価が可能となった。
5 掲載論文
IEICE TRANSACTIONS on Communications, Vol.E88-B, No.8, p.3152-3157 (2005)
*1 機械電子研究所
*2 リケンエレテック(株)
*3 九州工業大学