九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
Impact of lipopolysaccharide-induced acute inflammation on baroreflex-controlled
sympathetic arterial pressure regulation
遠山, 岳詩
http://hdl.handle.net/2324/1937189
出版情報:九州大学, 2018, 博士(医学), 課程博士 バージョン:
権利関係:
(別紙様式2)
氏 名 遠山 岳詩
論 文 名 Impact of lipopolysaccharide-induced acute
inflammation on baroreflex-controlled sympathetic arterial pressure regulation
論文調査委員 主 査 九州大学 教授 笹栗 俊之 副 査 九州大学 教授 北園 孝成 副 査 九州大学 教授 中川 尚志
論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨
リポポリサッカライド(LPS)は、急性炎症を誘発することで交感神経活動を賦活化し、
血行動態を変化させる。LPS誘導性急性炎症の血行動態への影響を理解するためには、動 脈圧安定化機構である動脈圧反射機能を考慮することが必須であるが、動脈圧反射は負帰 還システムであり、単純な血行動態の観察では評価が困難であった。
そこで申請者らは、動脈圧反射の開ループ解析を行うことにより、LPS誘導性急性炎症 が動脈圧反射機能に及ぼす影響について検討した。Sprague-Dawley ラットを用いて、両 側頸動脈洞を全身循環から分離し、サーボ制御ピストンポンプによって頸動脈洞圧を制御 した。動脈圧反射の閉ループ解析を行う場合には頸動脈洞圧を動脈圧に同期し、開ループ 解析を行う場合には頸動脈洞圧を動脈圧から分離し段階的に変化させた。LPSの静脈内投 与によって急性炎症を誘導し、交感神経活動及び血行動態の変化を評価した。
動脈圧反射が閉ループの条件では、LPS投与で交感神経活動は増加し、120分後には投 与前の3倍に達した。一方で、動脈圧はLPS投与75分後までは増加し、その後、投与前 の水準まで低下した。動脈圧反射の開ループ解析では、LPSは、投与120分後には中枢弓
(頸動脈洞圧-交感神経活動関係)をより上方へ、末梢弓(交感神経活動-動脈圧関係)をよ り下方へシフトさせた。結果として、中枢弓と末梢弓の交点によって決定される動作点は、
動脈圧の変化を伴わずに著明な交感神経賦活化を示した。
以上より、LPS誘導性急性炎症は、動脈圧反射中枢弓のリセットを介して交感神経活動 を著しく増加させるとともに末梢弓を抑制すること、中枢弓と末梢弓それぞれの変化の度 合いによって LPS 誘導性急性炎症における交感神経活動及び血行動態は決定されること が明らかとなった。
以上の成績は、この方面の研究に知見を加えた意義のあるものと考えられた。本論文に ついての試験では、まず研究目的、方法、実験結果などについて説明を求め、次いで各調 査委員より専門的な観点から論文内容及びこれに関連した事項について種々質問を行った ところ、おおむね満足すべき回答を得た。
よって調査委員合議の上、試験は合格と決定した。