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(1)

R. Browningの詩に見られる愛の挫折

渡 邊 清 子

は じ め に

"Loveisbest"(I)と真心か ら自信をもって,高 らかに愛 の賛歌を,生涯 を 通 して歌い続けた詩人はBrowningをおいて英文学史上 まれであると思 う.

彼はこよな く人を愛 し,人間に興味を持 ったが,彼は特にプラ トンが 「饗宴」

(Symposium)の中で明示 した ように,男女の精神 と肉体の合一が其の愛へ の道であ り,人生の最大 なる目的の1つであると確信 していた。つ ま り彼 は

ア ガ

べ (Agape)よりエ ロス (Eros)を中心 とす るロマン的な愛に重 きを置 いたのであ った。彼は愛 こそが生命の源泉であるとい う立場か ら,多種多様 な異なった側面をもった恋愛詩を多 く書 き,その重要性を明 らかに し続 けた。

彼は実生活に於いてもElizabethBarrettと 「世紀の恋」 とうたわれた程, 熱烈 な愛を体験 し,それを実証 したのであ る。その顛末 については前号 の

紀要」で取 りあげたか ら,今回は別の角度から愛の挫折を経験 した男性達 にスポ ットをあててBroふningの思想を さく・ってみよ うと思 う。

〔A〕 Cristina

StopfordA.BrookeBrowningの挫折に関す る詩について次の ように 述べている。"Moreover,optimistashewasinhis丘nalthoughtofman,he wasdeeplyconsciousoftheironiesoflife,oftheeasewithwhichthings

※本論文 に引用 され る凡ての詩 は下記の全集の

Vol.3

及 び

Vo1.4

か らであ る。

SirF.G.Kenyon

,(

Withintroductionsby);TheW

o7

血 of RobertBTlDWning;

CentenaryEditionlnTenVolumes,(AmsPress,IncりNewYork,1966) (1)Kenyon,Vol.3,p.148."LoveAmongtheRuins

". の最終行。

1

(2)

gowrong,oftheimpossibilityofsettingthem rightfrom without.Andin thematteroflovehemarksin atleastfourpoemshoA wthemotpentwas heldandlifewasthereforeconquest."(2)っ ま りいかに楽観的な人生観を もっ ていたBrowningで も,思いもかけぬ人生のアイロニーによ り足 もとが掬わ れ,不幸 の どん底 に落 ち入 ることのあるは百 も承知であった とい うのである。

殊 に彼が恋の道 にあ っては,いかん ともし難い, ままな らぬ悲 しさや苦 しさ のあることを見逃す筈 はなかった。 しか し彼の主人公達 は恋 に破れて ち,決 して青いため息をついた り,意気消沈 した りす ることは殆 どなか った。彼 ら は必ず何 らかの解決 の道を見出 した。そり例 として, まず名高 い"Cristina"

の主人公の場合 は どう.であったか見てみたい。

"Cristina"1842年 にDramaticLyricsの中に所載,出版 された。 8行 よ りなる8つ の節 を持 つ この詩 は.美 しいCristinaを一 目みて心惹 かれ,激 しい恋の と‑りこになった若者の告白である。史実によれば彼女 はSpainの女 MariaCristina(180678),FerdinandVIIの4番 目の妻である。De Vaneは誇 り高 い美 貌 の女 王 の こ とを次 の よ うに説 明 す る。"She was young,beautiful,passionatelydevotedtopleasure,andshetransformedby herpresencethegloomycourtoftheoldandsinisterFerdinand."(3)と。

1833年 に王が死 ぬ前 に,彼女は娘のIsabellaに王位継承 の権利をあた えるよ うに 無 理 に頼 み 込 み,彼 女 自身 は 摂 政 の職 に1840年 まで あ った。後 年 cristina'はある陸軍武官 と秘かに結婚 したが,それが発覚 したので退位 させ られた。彼女はそれか ら夫 のMunozと共 に p‑マ,ナポ リ,バ リー とはで やかに暮 しまわ った らしい。DeVaneは更 にBrowningが この詩 を書 くに 至 った経緯 を次の よ うに語 る。"1t was probably Cristina's abdication whichdrew Brownlng'sattentiontoher,andhispoem wasprobably

(2)StopfordA.Brooke;ThePoeLTyOfRobertBrowning(ThomasY.Crowell&Co.,

NewYork,1902)p.256.

(3)WilliamClydeDeVaPe;ABnztningHandbook(F.S.Crofts&Co.,NewYork, MCMXXXV)p.111.

(3)

writtensoonafterwards.Itisfoundeduponthegreatreputationfor coquetryenjoyedbythequeen.(4)と.彼 によれば この詩 はCristinaがその位 を追 わ れ て か ら後 の世 間 を騒 が せ た な まめ か しい奔 放 な 生 活 振 りに Browningが目をつけ.それを もとに して書 いたのだろ うとの ことで あ る。

しか しKenyon(5)DeVaneと異 なった見解 を もつ。KenyonBrowning は上記 に述べ られた'よ うなCristinaの行跡 等問題 にせず,ただ美 しい女王 を主題 とし, しか も彼女がまだ女王であ った時にこの詩を書 いたのだ ろ うと 推則 している。

さて, この事実の詮索は ともか くとして

, 1

人の若者 の語 る言葉 として詩 の内容 に立 ち入 ってみよ う。 1行 目は誠 に奇抜 とも思われ る言葉 よ り始 まる。

Sheshouldneverhavelookedatme lfshemeantIshouldnotloveher!(6)

つ ま り 「もし私が彼女を愛 していけない とい うのだ った ら,彼女 はあんな 日付で こち らをみるべ きでなか った !」 とい う程の意味である。

それか ら続 くSt.Ⅰの内容 は次 の如 くであ る。美 しい女王 の瞳が思 いのた けを語 ろ うとしても,心動かさぬ男性 はいるか も知れないが,私 はそ うでは ない。彼女がまわ りの男性を見 まわ してか ら,特 に私 に目を止めた時,私 は 激 しい愛を感 じた。女王 も私 に対 して好意の日差 しをむけ られた苦だ, と若 者は信 じる。

(St.Ⅰ.)何です って ? 彼女が私を見つめた時,何 の意味 もなか っただな んて ?("Wh at?To丘Ⅹmethusmeantnothing?")と若者は彼の告白の聞 き 手か ら反問 されたであ ら うことに答 える。「しか し私 にはその日が何 を示 し

た*し

ていたか説明出来ないが,た しかに私の霊魂 との合一を願 って楯 を含 めてい 」 と彼 は自分が 自惚れてい るか も知れない と遠慮 しつつ も言わ ざるを得

(4) ibid.,p.111.

( 5 ) F.

G.Kenyon;Vol.

3

,p.xvi. (6) ibid..Vol.3"Cristina"pp.13436.

(4)

ない。("ButIcan'ttell(there'smyweakness)/Whatherlooksaid!") (St..)人間は この世ではほん とに悲惨 きわまる存在であるが,神から

I:*し

与えられた愛の一瞬を見失 って しま う程み じめではない。 もし我等の霊魂の 真の賜物が,偽物の賜物を明確 に区別す ることが出来 るな らば,あるいは又, 我等の霊魂が己の勝利への正道を追い求めているのか,又は滅亡への邪道を 辿 っているのかを知 ることが出来 るならば‑‑と若者は考 える。

I

Oh,we'resunkenoughhere,Godknows!

Butnotquitesosunkthatmoments, Suretho'seldom,aredeniedus,.

Whenthespirit'Strueendowments Standoutplainlyfrom itsfalseones,

Andappriseitifpursulng

Ortherightwayorthewrongway, Toitstriumphorundoing. (St.Ⅰ) (St.ⅠⅤ.)若者は更 に考 えを深めて行 く。

例 え暗夜 の中にあって も閃光 のよ うな,又真昼にきらめ く炎のようなもの に比すべ き霊感が突如 として我 らに訪れ ることがあるO(Thereareflashes struckfrommidnights,/Thereare丘re8amesnoondayskindle,")そのよう な霊感 に触 れる時,我等が長年かけて積み上げた名誉等空 しくな り,脹れ上 がった野心 も縮 んで しま う。("Wherebypiled・uphonoursperish,/Whereby swollenambitionsdwindle,")いっほ うこれに反 して,初めて十分に味 うこ

との出来た些細 なこの愛の霊感 は今 まで無に過 ごした過去の一生 の中で哩一 最高の業績 のように思われ る。 ("Whilejustthisorthatpoorimpulse,/ Whichforoncehadplayunsti鮎d,/Seemsthesoleworkofalifetime/ ThatawaytheresthavetrinedJ')つま りこの若者は女王の熱い日差 しを浴

びた時,吉葉で言いつ くし得ない,生れて初めての激 しい心の ときめ きと強

(5)

い衝動 とをおぼえた とい うのである.その一瞬が彼の一生の中での最高最善 の時であって,あ とは取 るに足 りない ものである との自覚を強めたのであ る。

(St.Ⅴ.)Cristina女王 の方で も確 かに この霊魂 (soul)がず っと昔か ら存 在 していた ことを認めている筈だ, と若者は信 じるので,彼 の言 うことに耳

を傾 けている人の疑問に答 えて次の よ うに言 う。

Doubtyouif,insomesuchmoment, Asshe丘Xedme,shefeltclearly, Agespastthesoulexisted,

Hereanage'tisrestingmerely, Andhence8eetsagainforages,

Whilethetrueend,soleandsingle, Itstopshereforis,thisloveway,

Withsomeothersoultomingle? (St.Ⅴ)

即 ち女王 はその霊魂 は昔あった (存在 した)ばか りでな く,今 の束 の間 の 一生 の間にも存在 し,その後に も未来永劫 に存在 し続 け ると信 じてい る。 し か もその霊魂が現世 に止 まる唯一のまことの目的は,他の霊魂 と恋 の道 で結 ばれ ることである, と認めているのは疑 いない と彼はい う。 このSt.Ⅴ こそ は まさにBrowningの恋愛観 がPlatonismに よるものであ るこ とを証明 し ている, と言 ってよい と思 うのである。更 にBrowningは若者の告 白を通 し て,彼の思想を展開 して行 く。

(St.ⅤⅠ.) もしそ うでなけれ ば霊魂 の生 きる目的はな くな り,永久 にそれ を失 くして しま うことになる。前途 に愛以外に望む 日当があ ると思 うか も知 れ ないが,それを望 めば破滅 であ る。だか らCristinaは私 の目をみた瞬 間 に閃めいた霊感 によって,2人 の霊魂は結 ばれ るにちがいないと考 えたのだ, と若者は確信す る。

EIseitloseswhatitlivedfor, Andetemallymustloseit;

5

(6)

Betterendsmaybeinprospect, Deeperblisses(ifyouchooseit), Butthislife'sendandthislovebliss

Havebeenlosthere.Doubtyouwhether Thisshefeltas,lookingatme,

Mineandhersoulsrushedtogether? (St.ⅤⅠ)

(St.ⅤⅠ.)おお, しか し見 よ !彼女の胸に閃めいた苦の悟 りの光 も,一瞬 点 された燃ゆる煩 も, この世の名誉心のために噸けられ,永遠に踏み消 され て しまった。("Oh,observe!Ofcourse,nextmoment,/The world's honours,inderision,/Trampledoutthelightforever:")Browningはここ で一寸皮肉 っぼ くなる。彼によればすべての者が悟 った まま,嬉々 として, 生活す ることになれは,それは悪魔のよしとす るところではない。それ故悪 魔 は人々が悟 りを刺郡的なもの として葬 り去 らせ ようと企て る, とい うこと になる。Cristinaも花咲 くべ く折角あたえられた愛の恵みを,華やかな生活 のため棄ててしまったのであった。だか ら恐れ,思い惑 う必要は全 くないの だ。それ とは別 に神の秘義 (God'ssecret)を素直 に直観 し,受 け入れた者 はそのかち得た もの (prize)を更に一層大事に させ られる, と励 まされる。

(

"‑MakingthosewhocatchGod'ssecret/Justsomuchmoreprizetheir capture!")

(St.Ⅴ

Ⅰ Ⅰ Ⅰ . )

(前述 の)当のその者 こそ私 であ る。そ の秘義を私 は勝 ち得 た !彼女は私か ら目を反 らす ことによってあの大切な刺那の愛を忘れてしま った。そ して私を失 くしてしまった。 しか し私はその剰那の霊感を真をもっ て, しっか り受け止めたので,精神的に彼女を私のものにした。だか ら私は 愛する霊魂 と瞬間一体 になれたはか りでな く,永遠 に愛 の閃 きを保持 し続け,

たまし

私の霊魂は完全な完成 された もの とな り得た。私はこれをもって余生 を送 る ことになるであろ う, と若者は高 らかに次のように歌 う。

(7)

Sucham I:thesecret'sminenow!

Shehaslostme,Ihavegainedher;

Hersoul'smine:andthus,grownperfect

,

Ishallpassmylife'sremainder. (St.ⅤⅠ)

この詩は始めか らSt.ⅤⅠに至 るまで,その用 いる用語 も内容 も, いつ も Browningらしく難解で苦労 させ られたが,や っとSt.ⅤⅠⅠにな って前半

4

行 は平易 にな り,読みやす く,詩全体を引 き締め要約 して くれている。

この詩 の主人公はその霊魂の 目指す最高のた まものを以上の如 く獲得 したの だか ら, もはや この現世 は彼 にとって用途のない仮 りの宿 になって しまい, 平安 とやす らぎににた ものをおぼえるのであろ うか。Browningは次 の よ う に結論 している。

Lifewilljustholdoutth占proving Bothourpowers,aloneandblended:

Andthen,comethenextlifequickly!

Thisworld'susewillhavebeenended. (St.ⅤⅠ)

Edward Berdoeは この詩 につ い て の評 釈 をす る に あ た って 最 初 に Browningの恋愛観の真髄 を手短かに説明 してい る。 これはすでに この詩 の 中でかな り明 らかにされているが,筆者が これか らとりあげ る彼の他 の詩全 体 にも流れ る根本思想であるか ら, くどいよ うで もそれを引用 してお く。

Thepassionoflove,throughoutMr.Browning'sworks,istreated asthemostsacredthinginthehumansoul.Wearehereforthe chanceoflovingandofbeingloved;nothingonearthisdearerthan this;totrinewithloveis,inBrowning'seyesthesinagainstthat DivineEmanationwhichsancti丘estheheartofman.(7)

(7)EdwadBerdoe;TheBrowningCyclopaedhl(GeorgeAllen&UnwinLtd.,London, 1931)pp.120121.

7

(8)

(前記 の要約。Browningに したがえは愛の熱情 は人 の霊魂 の中で最 も聖 なるものであって,我 らはひとを愛 し,愛 される機会を得 るためにこの世に ある。それ故 これに勝 る尊いものはない。愛を軽んずるものは人の心を聖め る神意を冒涜するものである, と言 うことになる。)

Berdoeは更に言葉 を続 け̀Cristina"に言及す る。"Theman orwoman whodissipatesthecapacityforloveisthedestroyerofhisorherown soul;the

rtandthecoquettearethelosers,‑theforsakenonehassaved hisownsoulandgainedtheother'saswell."(8)っま り男でも女で も愛の情熱 を乱費 し,遊蕩に耽けるならは,彼又は彼女はその霊魂を破滅 させ る。放縦 と裾を売 るものは敗者 とな り,反対に棄てられた男 こそ彼 自身のたましいを 救い,相手のそれを も我が もの とす ることになるのだ と述べ,Browning

よく用いる"poeticirony"がここで も用い られていることを指摘す る。

SutherlandOrrBerdoeと同様にこの点を認め,かの若者は恋の挫折を 経験 したけれ ど,恋を知 ったことにより彼の存在は豊かに,そ して完成 され ,("‑theexistenceofthemanisenrichedandperfectedbyit.")と述 べている。そ しで̀Thispoeticalparadox isthe strong pointofthe poem,"(9)との コメン トを残 している。

〔B〕 TheLostMistress(失われた愛す るひと)

(Kenyonの全集Vol.3,p.137) Mrs.Orr"Cristina"の中心課題を"Loveasthespecialgainoflife" し,"The Lost Mistress"の を"Love as the completeness of

selfSurrender"(10)としたが,彼女の言 うようにこれは恋人 としての愛を拒 ま

れ,」友情 としての交際のみを許 されたある中年の男の悲 しい挫折感を述べた (8)Z'bid.,p.121.

(9)Mrs.SutherlandO rr ;AHandbookToTheWoy.ksOfRobertBy.owning(G.Bell AndSons,London,1927)p.225.

8

0) ibid.,p.224.

(9)

詩であ る。男は胸 に燃 え上 がる恋人 に対す る熱い思慕 の情 を抑制 し,男 らし く,謙虚に耐 えているが,その心理が よく描かれているので高 く評価 されて いる。 この詩 は1845年 にBelbandPomegym2ateS,PartVLIの中には じめて 出版 された各

4

, 5

節か らなる短詩である。 この書かれた時 と内容 とか ら 推定 して,DevaneDallasKenmareは この詩 はBrowningElizabeth Barrettとの恋愛事件 と何 らかの関係があるとみなしている。

Devane"Thepoem may wellbe from apprehended experience. Browning'stoosuddendeclarationofhisfeelingsforMissBa汀ett,after their丘rstmeetingonMay20,Startledheralmostintobreaking

of f

relationswitllhimaltogether,Thepoemwastransmutationofexperience intopoet

r y …

."(ll)と主張す る。

Browningはかねて よ り閏秀詩人 として令名 の高か ったMiss Elizabeth Ba汀ettの詩 を よ く読 み,深 い敬愛 の念 を まだ見 ぬ彼女 に抱 いて いた。が 18451

10日に友人JohnKenyonの紹介で彼女 に会 う機会を得 た。彼 が 彼女を一 目見た瞬間か ら彼 の霊魂 は彼女 のたましいを熱烈に愛 して しまった のであ った。病人の身で, しか も6歳年下のBrowningにい きな り熱情溢 れ る便 りを連 日のよ うに送 られた り,真剣 に結婚 の申し込 みを された りして, MissBarrettは どんなにか動転 した こ とであろ う。彼女 は彼 をた しなめ ろ よ うな返事 を幾度か書 きお くっている。彼女 はおそ らく彼 に も う会 はない方 が よい と考 え,例 え会 った として も,友人 としてのみ, と宣言 したのか も知 れない。BrowningKenmareも言 うようにこの"TheLostMistress"に托 して愛 を拒否 された当時の彼 の不安 な沈痛な心境の片鱗 をのぞかせ ている と 考 えて もよいのではあ るまいか。

Browningはすでに も うこの時32歳であ り,充分 ものの分別のつ く年頃 で あ った,が問題はElizabethの方にあった。それ故DallasKenmareの言 う

a l )

Wm.C.DeVane,p.147.

(10)

よ うに この恋 の挫折 は簡単 な感情 の もつれ等 か ら生 じた よ うな もので な く, もっと根深 い障害が二人 の間に横たわ っているので,彼 の申 し出を受 け るこ とは出来 ない と彼女 は考 えていたのであ った。年令 の差,再起不能 だ と思わ れ る病 弱 の身,頑迷 な父親 の反対,多 くの弟妹達 の世 話,等々がそれで あ った。

"Thisisnotrivialdisputeofmisunderstanding,butadeepandgrave trouble,re8ectinglnsomedegreethesituationwhenBrowningfirstrashly declared hisloveforElizabeth Barrett,and wasoffered in return friendship̀only..thepain ofsuch a situation isexpressed,"(12) Kenmareは述べてい るのであ る。

それでは何 もか もお しまいなのか一 誰 で もが最初 に思 ってい るよ うに 真実 とい うものは苦い ものなのか ?

("All's over,then.・does truth sound bitter/As one at丘rst believes?")

と,詩 は悲 痛 な詩 人 の 言 葉 か ら始 ま る。 しか しそ れ で も彼 は な おMiss Barrettの家 の軒場 に, おやす みな さい, と噂 る雀 どもの声 に心 を止 め る余 裕 を見せている。 ("Hark,̀tisthesparrows'good・nighttwitter/About yourcottageeaves㍗)

、 榔

あなたの家 の回 りに生 える蔦 の新芽 は 洋毛 の よ うだ。今 日私 はそれに気 がついた。

も う一 日たてば新芽はば っと元気 よ く 開 く。‑ あなた はご存 じです

その赤い色が,灰色 にな るとい うことを。

u2)DallasKenmare;AnEndToDarkness(ANewApproachtoRobertBrowning); PeterOwenLimited,London,1962)p.153.

(11)

この ようにBrowningほ激 しく動揺す る心 を,静かに抑制 しなが ら,一層 控 え目な穏やかさと,寛容 と忍従を もって彼女に思いを馳せつつ,暫 く自然 の変化 に目を移す。Berdoeは この詩人 の心 中を推 し測 り,次の よ うに称賛 す る。"Acalmsuppressionofintensestfeeling,thequietresignationofa greatloveinaspiritofhum ilityJandsacrifice,byamanwhohascomplete controloverhimself."っ ま り彼 は彼 の受 けたひどい打撃が, さ程の ものでは

なかった, とい う風 に振 る舞 う様子が見事 に表現 されている と言いたいので ある。即ち"The pretence of not feeling the blow is・exquisitely represented,"(13)とはめたいのである。

仰‖

さればこそ詩人は,第3節 目で次の よ うな希望的観測を続 ける。 しか し彼 は友達 として交際を許 されただけで もよか ったのであ る。だか ら彼 は心静か に 「それでは明 日も又お会い しまし ょうね,愛す る方 よ ? お手を又 とって もよろ しいで しょうか ? 私達 は互 にただの友達同志,‑ そ うですね。 け れ どそのただの友達 が,私が断念 した多 くの ものを保 って くれてい るので す。」 とい う。

Tomorrowwemeetthesamethen,dearest?

Mayltakeyourhandinmine?

Merefriendsarewe,‑well,friendsthemerest Keepmuchthatlresigni (St..)

Ⅴ と

詩人 は恋す る人の輝や く黒い瞳の一瞥,一瞥を全力をつ くして心 におぼ え ているし,いつか彼女がスノー ドロップ (ゆ きのはな)を返 して欲 しい と言 った時のあの声 も彼の心の中に永遠 に残 っている !けれ ど‑。(St.ⅠⅤ)

彼 はもはや これか らは彼女 と,恋人 としてでな く,ただの友達 として付 き 83)EdwardBerdoe,oP.cit"p.257.

ll

参照

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