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ハ ヴ ェル の 自伝 的戯 曲 にお け る言 語 的特 徴

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(1)

ハ ヴ ェル の 自伝 的戯 曲 にお け る言 語 的特 徴

旨 】

まず 現 代 チ ェ コ語 の 言 語 的 階 層 とそ の特 徴 に つ い て 述 べ 、 そ れ が チ ェ コ文 学 に お い て どの よ う に扱 わ れ て き た か を概 観 し、 ハ ヴ ェ ル の 自伝 的 戯 曲 に お け る チ ェ コ語 の特 徴 を分 析 した 。 そ して 、 標 準 語 と非 標 準 語 の 扱 い に関 して、 以前 の チ ェ コ文 学 と は異 な る言 語 使 用 が認 め られ る こ と、

また そ れ が 意 識 的 に用 い られ て い る こ とを示 した 。

【キー ワ ー ド】 標 準 チ ェ コ語 一 般 チ ェ コ語 自動化 前 景 化 コー ド・

ス イ ッチ ン グ

1.現 代 チ ェ コ語 の言 語 的 階 層

現 代 チ ェ コ語 に お い て は、 文 語 と口語 、 あ るい は標 準 語 と非 標 準 語 と の差 が 際 立 って お り、 そ の点 で他 の ス ラ ブ諸 語 と異 な っ て い る。(うermak

(1993)(チ ェル マ ー ク)に よれ ば 、 例 え ば ポ ー ラ ン ド語 で は、 口語 は標 準 文 語 の 口語 的 変 種 で あ り、 そ れ に は決 ま っ た 数 の特 別 な要 素 と韻 律 的 な特 徴 が あ るだ けで あ る。 チ ェ コ語 以 外 の ス ラ ブ語 に お け る文 語 と 口語 の 主 な 違 い は 、 規 範 とな る標 準 文 語 と、 そ の 口語 的 変 種 も し くは地 域 的, な方 言 の差 で あ る と言 え る。 これ に対 しチ ェ コ語 で は、 過 去 の複 雑 な 歴 史 的 発 展 に加 え 、18世 紀 の 民族 復 興 運 動 で 指 導 的 役 割 を担 っ た 言 語 学 者 達 が 近 代 チ ェ コ文 語 の 確 立 の た め に範 と した の が 、 彼 らが 理 想 とす る16

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世 紀 チ ェ コ の 人 文 主 義 時 代(す な わ ち 、 チ ェ コ が ハ プ ス ブ ル ク 家 の 支 配 に 入 る 以 前)の チ ェ コ語 で あ り、 ま た そ れ が す で に 当 時 話 さ れ て い た チ ェ

コ語 と は か な り異 な っ て い た こ と も あ っ て 、 現 在 の よ う な 標 準 語 と非 標 準 語 の 差 が 生 じ て い る。こ の よ うな 言 語 状 況 を 、学 者 に よ っ て はFerguson

(1959)の 言 う、diglossia(ダ イ グ ー ロシ ア:二 言 語 変 種 使 い 分 け)の 一一 種 と捉 え る場 合 も あ る が 、 標 準 語 と非 標 準 語 との 差 が 、(そ の 担 い 手 が)相 互 に 理 解 困 難 な ほ ど離 れ て い る わ け で は な く、 ま た 互 い に 重 複 す る特 徴 が 極 め て 多 く、 そ の 境 界 も曖 昧 で 、 相 互 の 使 用 に 揺 れ が 見 られ 、 か つ 互 い に 影 響 し あ っ て い る 部 分 も よ く見 ら れ る こ とな どか ら、 通 常 の 意 味 で のdiglossiaで あ る と は 見 な さ れ な い の が 普 通 で あ る。

こ の 二 つ の 言 語 的 差 異 は 、 同 一 言 語 内 の 変 種(ヴ ァ リエ ー シ ョ ン)で あ り、 チ ェ コ 語 の 言 語 的 階 層 を 成 して い る。 そ の 分 類 は 学 者 に よ っ て 異 な る が 、最 近 の 標 準 的 な 見 解 の 一 つ で あ る、Cechovaetal.(2003)(チ ェ ホ ヴ ァ ー 一他)に よ れ ば 、 ま ず 標 準 語(spisovnyjazyk)と 非 標 準 形

(nespisovneUtvary)に 分 か れ 、 非 標 準 形 は さ ら に 、 方 言(dialekt)、

共 通 方 言(interdialekt)、 一 般 チ ェ コ 語(obecnacestina)に 分 け ら れ て い る 。 こ こ でspisov醇jazykと い う の は 、 直 訳 す る と 「 文 語 」 とな

り、nespisovn6utvaryは 「 非 文 語 形 」 と な る が 、 チ ェ コ で は これ ら は standardとnonstandardと 英 訳 さ れ る こ とが 多 い の で 、,,非 標 準 と訳 して お く。 ま た 標 準 語 は 文 章 や 公 式 の ス ピ ー チ 、 討 論 な ど で 使 用 さ れ る が 、 日常 で は そ の 口 語 的 変 種 も あ る とす る 考 え 方 も あ り、 そ れ も含

1}

め て よ り 細 か く 分 類 す れ ば 、 次 の よ う な 階 層 が 考 え ら れ る 。

①spisovnacesDina(standardczech)標 準 チ ェ コ 語

②hovorovacestina(colloquialczech)口 語 チ ェ コ 語

③obecna6e甜na(commonczech)一 一般 チ ェ コ 語

④interdialekt(interdialect)共 通 方 言

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ハ ヴ ェル の 自伝 的戯 曲 にお け る言語 的特徴

⑤dialekt(dialect)方

① は チ ェ コ国 民 の規eと され る、 成 文 化 され た 言 語 で あ る。 上 層 に位 置 し、 文 法 書 ・辞 書 な ど に記 述 され 、 あ らゆ る分 野 にお い て使 用 され る。

また 、 学 校 教 育 の 場 で 、 正 しい チ ェ コ語 と して 教 え られ る。 書 か れ た テ キ ス トにお い て の み な らず 、TVや ラ ジ オ の ニ ュ ー ス 、 また 公 式 的 な ス ピー チ や 改 ま っ た 場 面 に お け る会 話 等 に お い て 幅 広 く使 用 さ れ て い る。

② は伝 統 的 な解 釈 に よ る と、 ① の 口語 表 現 で 、 話 し言 葉 と して広 く使 用 され る言 葉(havranek1942)(ハ ヴ ラー ネ ッ ク)で あ る。 あ る い は、

① の 中 の 文 語 的 な要 素(公 の場 等 に お け る デ ィス コ ー ス に保 存 され て い る要 素)を 取 り除 い た もの で 、 か つ 規 範 」 に 属 さ な い と感 じ られ て い る方 言 的 な要 素 を含 ま な い もの(Belk1958)(ビ ェ リチ)と も され る。

これ ら に対 す る批 判 と して 、 ボ ヘ ミア全 土 の 知 識 人 の実 際 の 口語 使 用 に は① と③ の 間 の揺 れ が 見 られ る こ とな どか ら、 口語 チ ェ コ語 と呼 べ る形 式 は存 在 しな い 、 あ るい は伝 統 的 な 口語 チ ェ コ語 の 定 義 に よれ ば 、 独 立

した 言 語 形 式 とは言 え な い(Kucera1955)(ク チ ェ ラ)、(SgallI960) (ズ ガ ル)等 が挙 げ られ る。 現 在 で は、 ② は① に属 す る言 語 手 段 の 集 合 で あ って 、 主 と して ① を使 う国 民 の 意 思 疎 通 の 手 段 で 、 独 立 した 言 語 体 系 で は な い と す る の が 標 準 的 な 見 解 に な っ て き て お り 、 上 述 の Cechovaetal.(2003)も 、 ② を独 立 した 項 目 と して 立 て て は い な い。

現 代 チ ェ コ語 の 使 用 で 最 も問 題 とな っ て い るの が ③ で あ る。 ③ は元 々

④ の 一 種 で 、 ボ ヘ ミア を 中心 に使 用 され る共 通 方 言 で あ る と考 え られ て い た が 、 現 在 で は ボ ヘ ミァ全 土 や モ ラ ヴ ィ ア 西 部 で 知 識 人 の 間 で も広 く 使 用 され て い るの み な らず 、 全 国 的 な 広 が りを持 ち始 め て い る。 一 部 の 地 域 を 除 くチ ェ コの大 部 分 にお い て 、 文 語 と口語 、 標 準 語 と非 標 準 語 の 対 立 は、 ① と③ の ど ち ら を使 用 す るか 、 あ るい は 同. が ① と③ を 一 連 の 会 話 の 中 で どの よ うに使 い 分 け る か(コ.̲̲̲ド ・ス イ ッ チ ン グcode

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switching)と い う問題 と して 捉 え られ る こ とが 多 い 。

④ は特 定 の 地 域 に限 定 され るが 、 広 い地 域 に渡 っ て 一種 の共 通 語 と し て使 用 され る もの で 、 ⑤ は それ ぞれ の地 域 に限 定 さ れ て用 い られ る方 言 で あ る。

ボ ヘ ミア 全 土 とモ ラ ヴ ィ ア西 部 や 一 部 の都 市 に お い て 、 家 族 や 友 人 間 の 日常 会 話 に お い て使 用 され るの は③ で あ り、 これ が 基 本 の コ ー ド とな っ て い る。 日常 会 話 に お い て① が 使 用 され る時 は 、 そ こ に皮 肉 や 特 別 な 意 味 合 い が 加 わ った り、 あ る種 の 話 題 や 人 物 に対 す る話 者 の態 度 を示 した

りす る な ど、 特 定 の機 能 を担 う場 合 が 普 通 で あ る。

学 校 等 の 教 育 機 関 で は、 ① が 正 しい言 語 形 式 で あ る と教 え られ る。 書 き言 葉 と して 、 特 に学 校 の 教 科 書 、 学 術 書 や 公 式 の 文 書 等 で は① が 普 通 に使 用 され 、 公 式 の場 で の ス ピー チ 等 で も① が 使 用 され る こ とが 多 い が 、 最 近 で は 演 説 の場 に お い て も① と③ の揺 れ が 見 られ る。 ③ は ボ ヘ ミア、

モ ラ ビ ア 西 部 を 中 心 に、 知 識 人 も含 め て 広 く日常 の 会 話 に使 用 さ れ て お り、TVや ラ ジ オ の トー ク シ ョー や バ ラエ テ ィ番 組 等 で も用 い られ る よ う に な っ た 。 ニ ュ ー ス で は① の形 が 今 も多 い が 、 時 に① と③ の 揺 れ が あ る。 書 か れ た テ キ ス トに お い て も、 小説 や戯 曲 の会 話 部 分 に③ の使 用 が 増 え て き て い る。 さ ら に小 説 や エ ッセ イ な どの 地 の 文 に お い て も、 時 と

して ③ が 見 られ る よ う に な っ た 。 日常 で 普 通 に使 わ れ て い る 口語 形 が 少 しず つ ① と して認 め られ て き て お り、 公 的 機 関 に よ る文 法 書 や 教 科 書 等 の 記 述 に も そ の形 が採 用 され て い る もの も あ るが 、 それ らは② だ け で な

z)

く、 ③ か らの もの も多 い と考 え られ て い る。

モ ラ ヴ ィ ア の 東 部 で は、 日常 の会 話 で個 々 の 方 言(⑤)と 、 モ ラ ヴ ィ ァ共 通 方 言(④)、 そ して① が 使 用 され るが 、 特 に都 市 部 に お い て③ が 浸 透 しつ つ あ る。

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ハ ヴ ェル の 自伝 的戯 曲 にお け る言語 的特 徴

2,標 準 チ エ コ語 と 一 般 チ エ コ語 の特 徴 、 お よ び コ0ド ・ス イ ッチ ン グ 2.1.標 準 チ ェ コ語 と一 般 チ ェ コ 語 の特 徴

標 準 チ ェ コ語 と一 般 チ ェ コ語 の 違 い を 、 特 に一般 チ ェ コ語 の 特 徴 を 中 心 に して 、 簡 単 に ま とめ て お く。 た だ し特 に典 型 的 で 、 しか も一 般 チ ェ コ語 の使 用 頻 度 が 高 い と思 わ れ る もの を幾 っ か あ げ る に と どめ る。(以 下 で は 、 標 準 チ ェ コ語 をSC、 一 般 チ ェ コ語 をCCと 略 して 表 記 す る。)

1)音 韻 的 特 徴

音 韻 的特 徴 に 関 して は 、 形 態 素 に お け る音 の違 い 等 、 後 に述 ぺ る形 態 的 特 徴 と区別 が 難 しい 場 合 も多 い 。 次 は母 音 に お け る違 い の 例 で あ る。

(SC)e→(CC)i(形 容 詞 語 尾 や 語 幹 の1の 後 等)、 時 に(SC)e→(CC)e、

(SC)e→(CC)(}

(SC}Y/i→(CC)ej(語 尾 、 語 尾 の 子 音 の前 、 語 幹 の 中)

(SC)o→(CC)vo(語 頭 や 語 幹 の 頭 で)〈 機 能 語 、 代 名 詞 、 日常 的 な 語 彙 等 に現 れ る。 しか し、CCでvoに な らな い 語 も多 い。〉

(SC)u→(CC)ou(逆 に③ の 日常 で の使 用 は減 少 しっ つ あ る。)

そ の 他 の母 音 的特 徴 と して 、 語 末 音 節 で の 長 母 音i,uの 短 母 音 化 また は半 長 母 音 化 、 あ る特 定 の語 中 でa,eの 短 母 音 化 、 二 音 節 語 の 第 一 音 節 で のi,e,0,aの 長 母 音 化 等 が挙 げ られ る。

子 音 的特 徴 と して は、 語 頭 閉鎖 音 前 のt,gの 脱 落 、 子 音 前 のt,t'の 脱 落 、 kの 後 のtの 脱 落 、 連 続 す る三 子 音 中 のd,d'の 脱 落 、 語 頭 のYrの前 のhの 脱 落 、mの 前 のzの 脱 落 、 閉 鎖 音 の 前 のvVZの 脱 落 、 語 幹 先 頭 の 子 音 の 前 のjの 脱 落 、 語 頭 子 音 前 の1の 脱 落 、 子 音 間 や 子 音 後 に 来 て 音 節 を な す1 の 脱 落 等 が 挙 げ られ る。

2)形 態 的 特 徴

上 述 の よ う に、 形 態 素 に お け る音 韻 的 特 徴 が 主 で 、1)の 音 韻 的特 徴 と重 複 す る場 合 も多 く、 区 別 す るの が 難 しい場 合 が あ る。 形 態 的 特 徴 と

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して は、 形 容 詞 や 代 名 詞 、 名 詞 の活 用 語 尾 に関 して 、CCで 複 数 形 の 性 の 区 別 が 消 滅 す る現 象 が あ る。 例 え ば形 容 詞 硬 変 化 複 数 主 格 に お い て 、

(SC)‑i(男 性 活 動 体)/‑e(男 性 不 活 動 体 ・女 性)/‑a(中 性)→(CC)‑

VrJ等 が 挙 げ られ る。 そ の他 、 動 詞 活 用 の 変 化 形 にお け る違 い 、 活 用 変 化 の属 す る型 の 移 行 、 不 規 則 形 の 規 則 化 等 が あ る。

3)統 語 的 特 徴

統 語 的 特 徴 と して のSCとCCの 境 界 は曖 昧 な 点 も多 く、 さ ら にSCと CCの 言 語 形 式 の違 い か、 文 体 的 な 違 い か判 断 の難 しい場 合 が 多 い 。 しか

し、CCに 属 す る と考 え られ る特 徴 も存 在 す る。 例 え ば 、CCに 固有 の接 続 詞 や 関 係 詞 が 存 在 す る こ と、 関 係 代 名 詞 の 代 わ りに疑 問 詞 と代 名 詞 の 組 み合 わ せ が 使 用 され る こ と、 再 帰 代 名 詞 の 代 わ りに人 称 代 名 詞 が 使 わ れ る こ と、 動 詞 の 支 配 す る格 がSCと 異 な る こ と、 特 に属 格 、 与 格 目的語 の対 格 化(斜 格 の 目 的語 が 対 格 に集 中 す る傾 向)、SCに お い て 受 動 分 詞 を使 用 す る受 身 構 文 が 、CCで 再 帰 形 の 動 詞 に よ る構 文 へ 変 化 す る こ と等 が 挙 げ られ る。 た だ し、 学 者 に よっ て は これ ら もSCとCCの 言 語 形 式 の 違 い とい う よ り、 文 体 的 な 違 い に近 い と見 な され る こ と も あ る。

4)語 彙 的 特 徴

語 彙 の 中で 、CCに 属 す る と見 な され る もの もあ るが 、 文 語 調 の もの か ら 口語 的 な も の まで 、 あ る い は 中 立 的 な もの や 詩 語 も含 め た 文 体 的 な レ ベ ル 、 さ ら に俗 語 や 隠 語 等 の 、 文 体 だ けで な く社 会 的 要 素 を含 む レベ ル 等 が 絡 み、 その 言 語 的 境 界 が曖 昧 で あ る。 語 彙 の選 択 は時 間 的 な影 響(流 行 等)も 特 に受 けや す く、 あ る時 にCCに 属 す る と考 え られ た もの が 、 時

間 の経 過 と と もにSCで 普 通 に使 用 され る よ うに な る こ と も、 また そ の逆 もあ る。

5)個 々 の 項 目の 使 用 頻 度 と使 用 地 域 を示 す 尺 度

以 上 のCCの 要 素 や語 形 、 語 彙 は個 々 にお いて 、 その使 用 頻 度 や使 用 地

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ハ ヴ ェル の 自伝 的戯 曲 にお け る言語 的特徴

域 が 一様 で は な く、 様 々 な レベ ル に わ た る。 そ れ に っ い て の研 究 は比 較 的 新 し く、 現 在 も チ ェ コの 学 者 が 調 査 中 で あ るが 、 最 も標 準 的 な もの で あ る と思 わ れ るSgalletal.(1992)に よ る レ ベ ル の 尺 度 を挙 げ て お く。

地 理 的 尺 度(1)一(4)=(1)チ ェ コ語 使 用 地 域 の ほ ぼ全 土 に た っ て 使 用 され る。(2)ボ ヘ ミア だ けで な く、 モ ラ ヴ ィ ア 西 部 を含 む広 い地 域 にわ た って 使 用 され る。(3)主 に ボ ヘ ミアで 使 用 され るが 、 モ ラ ヴ ィ ア の 一 部 の 地 域 や 都 市 で も使 用 が 広 が っ て きて い る。(4)ボ ヘ ミア の一 部 で の み 使 用 され る。

機 能 的 尺 度(a)一(C):(a)公 式 的 で な い 発 話 の 中 で 非標 準 形 と感 じ ら れ な い 程 度 に使 用 さ れ 、 基 本 的 で 標 準 的 な 性 格 を持 つ も の 。 そ の 中 の い

くつ か は近 年 言 語 学 者 達 に よ ってSCの 口語 的 階 層 と認 め られ 、成 文 化 さ れ る よ う に もな っ た 。(b)日 常 の 発 話 に お い て 普 通 に使 用 され る非 標 準 形 。(c)あ る特 定 の 談 話 や 発 話 に お い て の み使 用 され る非 標 準 形 。

例 え ば形 容 詞 男 性 単 数 主 格 語 尾 の 一ejは、 地 理 的 尺 度 が(1)で 、 機 能 的 尺 度 が(a)な の で 、 合 わ せ て(1a)の 尺 度 に分 類 され る。(1a)の で も、SCで 一ciの語 尾 を持 つ 動 詞 不 定 形 のCC対 応 形 で あ る 一ctや、 可 能 動 詞 の 一 人 称 単 数m龍u(SC:mohu)と 三 人 称 複muzou(SC:mohou)

な どは 、 近 年 標 準 語 形 の ヴ ァ リア ン トの 一 っ とみ な され る よ う に な り、

文 法 書 や 教 科 書 に も記 載 され る こ とに な っ た 。

2.2.標 準 チ ェ コ語 と一 般 チ ェ コ語 の コー ド ・ス イ ッチ ン グ とそ の機 能 家 族 や 友 人 間 の 日常 会 話 に お い て はCCが 基 本 的 な コー ド と して 使用 さ れ 、 そ こでSCが 使 用 され る場 合 に は皮 肉や ペ ダ ン テ ィ ッ ク な態 度 等 、 会 話 の 話 題 や 参 加 者 に対 す る話 者 の特 別 な 態 度 を 表 す の が 普 通 で あ る。 逆 に公 式 な場 面 で の ス ピー チや 文 章 等 で はSCが 基 本 の コー ド と して使 用 さ れ 、CCの 要 素 が見 られ る場 合 は、 親 密 な 印 象 や 特 別 な効 果 を与 え て い る

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よ うに 感 じ られ る。Novak(1962)(ノ ヴ ァー ク)は 、 あ る種 のSCの 使 用 は よそ よ そ しい 、 あ る種 のCCの 使 用 は な れ な れ しい感 じ を与 え、 話 者 の 意 図 に か か わ らず、 聞 き 手 の 注 意 は会 話 の 内 容 よ り も そ の話 し方 へ 向 くこ とを指 摘 して い る。Havranek(1932)の 用 語 を使 え ぼ 、 日常 会 話 に お け るCCコ ー ドは 「自動 化 」 と して の用 法 で あ り、 そ こに挿 入 され るSC

コ ー ドは 「前 景 化 」 と して 機 能 して い る と言 え る。 この 二 つ の 概 念 は、

文 の諸 機 能 に お け る言 語 手 段 の 用 法 の タ イ プの 一 つ で 、 「自動 化 」 とい う の はaUtOmatiZaCe(ア ウ トマ テ ィザ ツ ェ)の 直 訳 で あ り、 表 現 それ 自体 が い か な る注 意 も喚 起 しな い よ うな 言 語 手 段 の 用 法 の こ とで あ る。 「前 景 化 」 とい うの はaktualisace(ア ク トウア リザ ツ ェ)の 訳 で 、 その使 用 自 体 が 注 意 を喚 起 し、 通 常 で は な い と知 覚 さ れ る よ うな 言 語 手 段 の用 法 で あ る。 逆 に、 書 か れ た テ キ ス ト、 特 に 文 学 等 に お い て は 、 後 に述 べ る よ うに 、SCが 基 本 コー ドと して 「自動 化 」 され て お り、 そ の 中 にお け るCC の使 用 は 「前 景 化 」 と して の機 能 を担 っ て い るの が 普 通 で あ る。

これ らのSCとCCの 間 の コー ド ・ス イ ッチ ン グ に影 響 を与 え る話 者 の 態 度 に関 して は、Hronek(1968),Sgalletal.(1992)等 の研 究 に よ っ

て次 の よ うな 要 因 が あ る と され て い る。

(1)個 人 的 要 因

(1a)標 準 語 形 に 対 す る個 人 的 関 係 一職 業 や 個 人 的 背 景 に よ る もの 。 例 え ば 教 師 や 大 型 デパ ー トの店 員 の よ うに 、 自分 の 職 業 活 動 の 間 、 一 貫

してSCを 使 用 して い る人 々 は、 個 人 的 な会 話 に お い て も他 の 人 々 よ り多 くSCの 言 語 項 目 を使 用 す る。(lb)出 身 地 。 方 言 が 使 用 され て い る地 域 で 育 っ た 話 者 は 、 中央 の 非 標 準 語 形 が 使 用 され る地 域 の 話 者 とは 、 そ の 言 語 使 用 の 習 慣 が 異 な る。 モ ラ ヴ ィ ア 出 身 者 が 他 地 域 の者 と話 す とき、

自身 の 地 域 的 に限 定 され た 方 言 を使 用 す る代 わ りに標 準 語 形 と して のSC を使 用 す る こ とが 多 いが 、 これ に対 しボ ヘ ミア 出 身 者 は、 ボ ヘ ミア地 域

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ハ ヴ ェルの 自伝 的戯 曲 にお け る言語 的特徴

内 に お い て は、 そ の強 力 な 中央 の 非標 準 語 形 で あ るCCの 使 用 を避 け る こ とは あ ま りな い 。 これ は モ ラ ヴ ィ ア等 の地 方 出 身 者 に とっ て は、 ボ ヘ ミ ア 出 身 者 は 自 らの 言 語 使 用 に あ ま り注 意 を 払 っ て い な い と感 じ られ る こ とが あ る。 一 方 ボ ヘ ミア 出 身 者 が モ ラ ヴ ィ ア で 生 活 す る場 合 、 以 前 よ り SCの 言 語 項 目 を使 用 す る機 会 が 増 え、 あ る場 合 に は モ ラ ヴ ィ ア の共 通 方 言 の語 形 を使 用 す る場 合 す ら出 て くるが 、CCの 全 国 的 な 拡 大 もあ っ て 、 彼 らがCCの 使 用 をや め る場 合 は少 な い こ とが 分 か って い る。(1c)気 質 。 例 え ば、直 情 的 な話 者 は感 情 を あ ま り表 さな い話 者 よ りCCを 多 く用 い る。

(ld)順 応 性 。 例 え ば、 あ ま り順 応 性 の な い話 者 は子 供 の 頃 か ら慣 れ て い るCC語 形 の 使用 を変 え よ う と しな い傾 向 が あ るの に対 し、 順 応 性 の あ る 話 者 は学 校 教 育 や 文 化 的 機 関 の 影 響 を受 けや す い。 以 上 の(lc)と(1d)

は緊 密 な 関係 に あ る。 また(Ic)と(ld)の 両 方 に関 係 す る もの と して 、 一 般 的 に女 性 は 男性 よ りSCを 使 用 す る動機 付 けの 程 度 が 高 い とされ る

(1e)年 齢 。 学 校 が 大 き な要 因 の一 つ で あ る。 また 、 青 春 期 の 話 者 は直 情 的 で あ る こ とが 多 く、 非 標 準 的 語 形 や 語 句 、 また 俗 語 等 を使 用 す る傾 向 が 強 い。 年 配 の話 者 は若 者 よ りSCを 使 用 す る場 合 が 多 い が 、 一 方 で 、 若 い 世 代 の 間 でSCに 取 っ て代 わ っ たCCや 表 現 を使 い 続 け る場 合 が 多 い 。

(2)談 話 の状 況 に結 び つ い た 要 因

(2a>談 話 の 私 的 一公 的 な程 度 。公 的 な談 話 に お い て標 準 語 形 が使 用 さ れ るの が 普 通 で あ るが 、 私 的 一公 的 な程 度 に は様 々 な 中 間 的 ケ ー ス が 存 在 す る。 例 え ぼTVで の イ ン タ ビ ュ ー 等 に お い て は 、 公 的 で あ る と同 時 に 私 的 な 要 素 が あ り、 話 者 は非 標 準 語 形 の使 用 を避 け よ う とす る と同 時 に、 自発 的 な 印 象 を損 な わ な い た め に、 純 粋 なSCの み を使 う の も避 け る 傾 向 が あ る。(2b)聴 衆 に対 す る話 者 の 関係 。例 え ば談 話 の 参 加 者 が 、 互 い の個 人 的要 因 が 極 め て 異 な る グ ル ー プ に属 す 場 合 、SCが よ り多 く使 用 され る。(2c)談 話 の トピ ッ ク。談 話 の 内容 は他 の要 因 に比 べ る と重 要 度

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は低 く、CCを 使 用 して 話 して い る場 合 で は、 話 題 が 専 門 的 な もの に な っ て も、 専 門 用 語 にCCの 活 用 語 形 が つ くこ と も多 い。

3.文 学 に 現 れ た 一 般 チ ェ コ語

文 学 に お い てCCの 使 用 は特 定 の個 人 の性 格 付 け と して 、 会 話 で 部 分 的 に使 用 され るの が ほ とん どだ った 。 文 学 に現 れ た最 初 のCCの 例 はK.M.

Capek‑Chod(K.M.チ ャペ ッ クー ホ ッ ト)の 自然 主 義 小 説(1895)の 人 か の登 場 人 物 の発 話 の 中で あっ た 。1918年 以 降、K.Oapek(チ ャペ ッ

ク)ら の作 品 に よ ってSCは 古 風 な文 語 体 ス タイ ル か ら、 よ り豊 か な文 体 的 発 展 を遂 げ 、SCは 文 学 に お いて ほ とん ど独 占 的 な地 位 を得 る よ うに な る。 また 、 言 語 学 者Ertl(1929)(エ ル トル)の 「良 き著 者 」 の 理 論 等 に よ って 、 文 学 の著 者 はSCを 使 用 す るべ きで あ る とい う見 解 が 広 く行 き渡 る こ とに な っ た 。 そ の 後Hasek(ハ シ ェ ッ ク)(「 兵 士 シ ュ ヴ ェ イ クの 冒 険 」)やPolacek(ポ ラ ー チ ェ ッ ク)等 の 作 品 に お け る会 話 の 一 部 にCC や 俗 語 、 隠 語 な ど も現 れ る よ う に な り、 一 人 称 小 説 に も部 分 的 に使 わ れ

る よ うに な る。 しか し、 登 場 人物 の発 話 中 にCCが 取 り入 れ られ る場 合 で も、 主 人 公 の 発 話 に はSCを 使 用 す る とい う よ うな傾 向が あ った 。1950年 代 半 ばか らCCの 使 用 は徐 々 に増 加 す る よ うに な った 。 兵 士 や 労 働 者 の 発 話 にCCを 使 用 す る とい っ た 、 登 場 人物 の職 業 や 地 位 を表 す た め に用 い た り、 教 育 程 度 の低 い(ボ ヘ ミア の)地 方 出 身者 な どの 発 話 にCCが 使 用 さ れ た りす る こ と もあ っ た 。 両 大 戦 間 の チ ェ コ ・ア ヴ ァ ン ギ ャル ドを代 表 す る 「解 放 劇 場 」で 活 躍 した 二 人 の道 化 、Voskovec(ヴ ォス コヴ ェ ッ ツ) とWerich(ヴ ェ リフ)の 風 刺 的 で 滑 稽 な舞 台 と作 品 は そ の後 の チ ェ コの 演 劇 、 文 学 、 大 衆 音 楽 等 に大 き な影 響 を与 え た が、 そ こで はCCが 取 り入 れ られ 、 道 化 を演 じ る主 人 公 等 の 登 場 人 物 の 役 割 的 な 性 格 付 け に用 い ら れ て い る。 チ ェ コの ポ ッ プ ソ ン グ に お い てCCを 効 果 的 に使 用 した の は、

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ハ ヴ ェル の 自伝 的戯 曲 に お け る言語 的特 徴

1960年 代 以降 の チ ェ コの大 衆 音 楽 と演'1に 大 きな 影 響 を持 っ たSuchy(ス ヒー)で 、 彼 の 歌 詞 、劇 作 品 、 詩 、 エ ッセ イ 等 で 聴 衆 との 友 好 的 な 接 触 」 の 効 果 を持 た せ るた め にCCを 使 用 した り、 独 特 の 美 的効 果 を ね らっ てCCと 古風 な文 語 ス タ イ ル を結 合 させ た りす る こ と もあ っ た 。1960年 以 降Kohout(コ ホ ウ ト)の 劇 作 品 にお い て は、複 数 の 登場 人 物 全 て がCC

を ペ ー ス に した 発 話 を 行 い 、 か つ そ れ ぞ れ の 人 物 の発 話 が 言 語 的 な 特 徴 (言葉 遣 い)を 持 っ て い る よ うな もの も登 場 した。20世 紀 前 半 で は典 型 的 なCCの 言 語 形 式 は、 感 情 的 な発 話 の ご く一一部 分 や 登 場 人 物 の 無 教養 な育 ち を 示 す こ と以 外 ほ とん ど文 学 に お い て 用 い られ る こ とが な か っ た が 、 現 在 で は 中 立 的 な 発 話 や 教 養 あ る若 い 人 物 の 発 話 に も取 り入 れ られ る よ

う に な っ て きて い る。

4.ハ ヴ エ ル の 自 伝 的 戯 曲 と そ の 言 語 的 特 徴

VaclavHavel(ヴ ァ ー ツ ラ フ ・ハ ヴ ェ ル)は 、1968年 「プ ラ ハ の 春 」 の 改 革 運 動 が 当 時 の ソ連 を 中 心 とす る ワ ル シ ャ ワ 条 約 機 構 の 軍 事 介 入 に よ っ て 崩 壊 した 後 、 国 家 に と っ て 危 険 な 反 体 制 分 子 の 一 人 と して 、 当 局 の 厳 し い 監 視 下 に 置 か れ 、1970年 か ら79年 の 問 に 三 回 逮 捕 さ れ た 。 劇 作 家 の 仕 事 に 就 く こ と を 禁 じ られ 、1974年 か ら は ビ ー ル 工 場 の 労 働 者 と し て 働 い た 。 こ の執 筆 禁 止 の 状 況 下 で 、 ハ ヴ ェ ル は 、Audience(ア ウ デ ィ エ ン ツ ェ)「 引 見 」(1975)、Vernisaz(ヴ ェ ル ニ サ ー シ ュ)「 初 公 開 」

(1975)、Protest(プ ロ テ ス ト)「 抗 議 」(1978)と い う、 一 一連 の 自 伝 的 戯 曲 を 完 成 させ る。 そ れ ら は 当 時 の い わ ゆ る 「 西 側 」 諸 国 で 上 演 さ れ た が 、 特 にAudience「 引 見 」 とVernisaz初 公 開 」 の 二 つ は 大 き い 反 響 を 呼

び 、 ハ ヴ ェ ル の 作 品 の 中 で 重 要 な 位 置 を 占 め る こ と に な っ た 。 こ れ ら の

作 品 、 特 にAudienceに お い て は 、 劇 中 の 言 語 使 用 に 注 目 す べ き 特 徴 が

見 ら れ 、 し か も そ れ が 劇 の 内 容 と密 接 に 結 び つ い て い る 。 こ れ ら の 作 品

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の 主 人 公 は ヴ ァニ ェ ク(Vanek)(ヴ ァー ツ ラ フ ・ハ ヴ ェル の 「ヴ ァー ツ ラ フ」 の 愛 称 で もあ る)も し くは べ ドジ フ(Bedrich)で 、 そ の 人 物 の 特 徴 が 同 一 人 物 と思 わ れ る ほ ど共 通 点 を 持 っ て お り、 か つ ハ ヴ ェル 自身 と共 通 す る点 を持 っ て い る こ とか ら、 自伝 的戯 曲 と見 な され て い る。 ま た 、 二 つ の戯 曲 に共 通 し、 ヴ ァ ー ツ ラ フ の愛 称 で も あ る ヴ ァニ ェ クの 名

を取 っ て 、 「ヴ ァニ ェ ク三 部 作 」 と呼 ぼ れ る こ と も あ る。

これ らの戯 曲 に お け る主 人 公(Vanek/Bedrich)の 共 通 点 は以 下 の通 りで あ る:劇 作 家 。 反 体 制 知 識 人 。 劇 場 で の 職 を失 い ビ ー ル 工 場 で 働 い て い る。 当 局(共 産 主 義 政 権)に 危 険 人 物 と見 な され 、 監 視 され て い る。

反 体 制 劇 作 家PavelKohout(パ ヴ ェル ・コホ ウ ト)の 友 人 で あ り、Kohout は特 に 当局 に 危 険視 され て い る。 妻 との 二 人 暮 し。

4.1.Audienceの 言 語 的 特 徴

Audienceの 登 場 人 物 は、Vanekヴ ァニ ェ ク と、 ヴ ァニ ェ クが 働 い て い る ビー ル 工 場 の 工 場 長(Sladek)の 二 人 で 、 場 所 は ビ ー ル 工 場 内 の工 場 長 室 で あ る。 上 述 の よ う に ヴ ァ ニ ェ ク はハ ヴ ェル 自身 を連 想 させ る人 物 で 、 ハ ヴ ェル が ビー ル 工 場 で 労働 して い た と きの 経 験 を元 に した 背 景 と内 容 が 窺 わ れ る。 こ こでAudienceと い うの は チ ェ コ語 で あ るが 、 英 語 の 単 語 と同 じ く、 「目上 の人 な どに会 っ て 、 意 見 な ど を聞 い て も らえ る 機 会 」 とい う意 味 で あ る。 ヴ ァニ ェ クが 自分 の 上 司 に あ た る工 場 長 に 呼

ばれ 、 工 場 長 が ヴ ァニ ェ ク に仕 事 の様 子 な どを聞 きな が ら、 自分 の 身 の 上 の こ と も語 り、 ヴ ァニ ェ ク に 対 して 今 よ り楽 な 労 働 で 好 条 件 の仕 事 を 提 供 す る代 わ りに 自分 の 願 い を 聞 き入 れ て くれ な い か と持 ち か け る とい

う内 容 で あ る。

工 場 長 は ほ とん ど全 て の発 話 に お い てCCを 使 用 し、SCの 要 素 が 混 じ る こ とが あ っ て も、 そ れ は まれ で あ る。 時 に粗 野 な表 現(vulgarism)も

(13)

ハ ヴェル の 自伝 的戯 曲 にお け る言 語 的特徴

使 用 す る。 最 初 はVy(二 人 称 の 丁 寧 形:あ な た)の 形 で ヴ ァニ ェ ク と話 して い るが 、 途 中 でTy(二 入 称 の親 密 な形:お ま え)の 形 で 話 し 出 し、

途 中 で 、Tyの 形 で 話 しか け て もい いか とヴ ァニ ェ クの 了 解 を得 る。 工 場 長 の 会 話 中 に出 て くるCC要 素 で 、 最 も顕 著 な も の は2.1.で 述 べ た 音 韻 的 特 徴 お よび形 態 的 特 徴 を持 つ もの で あ り、 次 い で 語 彙 的 特 徴 を 持 つ も の で あ る。 統 語 的特 徴 は い くつ か見 られ る程 度 で あ る。 音 韻 的 特 徴 とい っ て も、 これ は書 か れ た劇 の テ キス トな の で 、SCに お け る、 あ る種 の 長 母 音 がCCに お い て短 母 音 と長 母 音 の 中 間 的 な長 さ に な る現 象 な どは文 字 表 記 に現 れ な い 。 た だ し最 も頻 度 の 高 い もの は そ の形 態 的 特 徴 と結 び つ い て い る もの が 主 な の で 、 文 字 表 記 に現 れ て くる。

音 韻 的 特 徴 で 、CC要 素 の 出 現 頻 度 の 高 い もの を挙 げ る と、 まず 形 容 詞 語 尾 一ej(CC)で 、92例 。 これ に 対 応 す るSC形 のYが 工 場 長 の会 話 中 に 使 用 され た の は2例 に と ど ま り、‑ej(CC)の 使 用 は(CCとSCの 対応 形

の合 計 を100と した場 合)全 体 の98%に な る。 この 一ej(CC)は 、2.1.の 5)で 述 べ たSgalletal.(1992)に よ る尺 度 で(1a)に あ た り、 実 際 の 日常 会 話 に お い て 広 い地 域 に わ た っ て使 用 さ れ 、 か っ 最 も頻 度 が 高 い も の の 一 つ で あ る。(以 下 、CC要 素 とそ のSC対 応 形 の 出現 数 、 お よび括 弧 にCC要 素 の 占め る割 合 、さ ら にSgalleta1.(1992)に よ る尺 度 を 記 す 。) 次 い で形 容 詞 語尾 お よび 指 示 代 名 詞 語 尾 予(CC)46例(100%)(la)[SC

形e/‑i/‑a]、 形 容 詞 語 尾 の 一 部 一岳(CC)8例(100%)(la)[SC 形 一e/‑i/‑ia‑]、 形 容 詞 語 尾 の 一 部 一ej‑(CC)4例(100%〉(3b)[SC

形 一rY‑]等で あ る。他 に音 韻 的特 徴 を もつ もの は、単 語 中 の 語 幹 の 一 部 一ej‑

(CC)9例(69%)(3b)[SC形 チ]等 で あ る。 語 幹 の一 部 の 音 変 化 に 関 して は語 彙 的要 素 が 強 く、 そ の語 彙 の 品詞 、 また 日常 的 な 語 で あ るか 、 非 日常 的 な語 や 専 門 的 な語 で あ るか 等 の種 類 に よ っ てCC要 素 が 現 れ る頻 度 や 地 域 が 異 な っ て くるた め 、 そ の 出 現 頻 度 の 割 合 が 低 くな る。 単 語 中

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の語 幹 の 一 部 一rY‑/‑i‑(CC)[SC形 一6‑]の 例(語 彙 の種 類 に よっ て(la) か ら(2b)の 尺 度 に わ た る)は 見 られ な か っ た が 、 これ は工 場 長 の 発 話

の 中 に この 音 韻 が 現 れ る語 彙 が な か った た め で あ る。 逆 に ヴ ァニ ェ クの 発 話 の 中 にCCの1例(nejlip[SC形nejlepe]一 番 よ く」)が 見 られ る

が 、 この 語 は特 に 日常 会 話 にお いて 頻 度 の高 い もの の 一 つ で あ る。 音 韻 的特 徴 で 例 外 的 な の が 語 頭 に 来 る音 韻 のvo‑(CC)[SC形o‑]で 、 これ は前 置 詞 や 代 名 詞 等 の 機 能 語 と、̲̲̲..的 な語 彙 に 分 け られ 、 機 能 語 に お け るCC要 素 の 出 現 の方 が 日常 会 話 に お い て は多 い とされ て い る もの で あ る。 しか しな が ら、 工 場 長 の 発 話 にお いて はCC要 素 の例 は見 られ ず 、SC の み で あ る。(機 能語o‑(SC)が19例 で 、 一 般 的 な語 彙o‑(SC)が8例) 機 能 語vo‑(CC)の 頻 度 の尺 度 は(2b)で 、 一 般 的 な語 彙vo‑(CC)の

3)

尺 度 は(2c)で あ る 。

形 態 的 特 徴 で 顕 著 な も の を挙 げ る と、 まず 可 能 動 詞 の1人 称 単 数m龍u [SC形mohu]と3人 称 複muzou[SC形mohou]で 合 わ せ て12例 見 ら れ る が 、 これ は2.1.の5)で 述 べ た よ う に 、 す で に 標 準 語 形 の ヴ ァ リ ア ン トの 一 つ とみ な さ れ る よ う に な っ て き て い る の で 、 特 に 特 徴 的 だ と は 言 え な い 。ヴ ァ ニ ェ ク の 発 話 中 に もovmuzuの 例 が4つ あ り、mohu(SC) の 例 は 見 られ な い 。 た だ し ヴ ァ ニ ェ ク の 発 話 に はmohou(SC)の 例 が

1つ あ り、 逆 にOLmuzou(CC)の 形 は 現 れ な い 。 次 い で 動 詞1、II、m タ イ プ(チ ェ コ 語 の 動 詞 は そ の 活 用 の 種 類 に よ っ て5つ の タ イ プ と例 外 的 な タ イ プ に 分 類 さ れ る)の1人 称 複 数 形 一em(CC)9例(100%)(1a)

[SC形 一eme]、 能 動 形 動 詞 の 一1語尾 が 子 音 の 前 で 脱 落 す る もの(例:moh

(CC)[SC形mohl])6例(86%)(3a)、 動 詞 皿 タ イ プ の1人 称 単 数 形 一uju

(CC)5例(100%)(la)[SC形 一uji]、名 詞 複 数 形 造 格 語 尾 一ma(CC)

4例(100%)(la)[SC形 一mi/‑yみi]、 他 に 動 詞IVタ イ プ3人 称 複 数 語

尾 一eji/‑6ji/‑el/‑6j(CC)が 合 わ せ て5例(100%)[SC形 一i]あ る が 、

(15)

ハ ヴ ェル の 自伝 的戯 曲 にお け る言語 的特 徴

この 形 は地 域 的 に も限 定 さ れ 、 そ の頻 度 も語 彙 に よ っ て 異 な る もの で あ

4)

る 。例 力沙 な い もの で 、動 詞 条 件 法1人 称 複 数 形bysme(CC)が2例(la)

[SC形bychomが1例]あ り、 ま た コ ピ ュ ラ動 詞 のbytの2人 称 単 数 形 が 能 動 形 動 詞 と結 び っ い て 過 去 を 表 す 助 動 詞 と し て 機 能 す る場 合 に 、 直 前 の 語 旬 と結 び つ い て 一sとい う接 尾 辞 の 形 に な る も の(例:myslels)が

2例(2b)[SC形(例:mysleljsi)が5例]あ る 。 他 に 、 コ ピ ュ ラ 動 詞 bytの2人 称 単 数 形 ・vuses(CC)が1例[SC形jsiが9例]あ るが 、 こ れ も

らラ

地 域 的 に ボ ヘ ミア の 一 部 に 限 定 さ れ る もの で あ る。 工 場 長 が ヴ ァニ ェ ク に対 して初 め はVy(「 あ な た」2人 称複 数 形 だ が 、 単 数 と して 使 用 す れ ば 丁 寧 な形 に な る)の 形 で 話 しか けて い た が 、 終 わ りの方 でTy(「 お ま え」

2人 称 単 数 形 で 、 家 族 や 親 しい友 人 な どに対 して 用 い る形)の 形 で 話 す よ うに な っ た こ とか ら、 この2人 称 単 数 形 が 表 れ る回 数 が 少 な く、 しか も劇 の終 わ りの 方 に集 中 して い る。 ・vuses(CC)の 方 は、 プ ラハ を含 む 中 部 か ら北 部 にか けて の ボ ヘ ミア で 使 用 され る形 で あ るが 、 ボ ヘ ミ ア南 西 部 で はsiの 形 がCCと して使 用 され 、 地 域 的 に狭 く、他 の要 素 よ りは頻 度 が 低 い形 で あ るた め もあ っ て か 、 劇 の 終 わ り近 くに1例 見 られ る の み で あ る。

統 語 的 特 徴 の もの は前 に述 べ た よ うに文 体 的 な もの と区 別 が つ き に く く、CCと され る もの も数 が 少 な い こ とか ら、 あ ま り見 られ な い が 、 例 え ば種 類 を 問 う疑 問形 のcoza(CC)を 使 う表 現[SC形 で は疑 問 形 容 詞 jakブ の 性 数 格 変 化 を伴 う表 現 を用 い る]が1例 あ る。 また 付 加 疑 問 文 の zejo?もY し くはco?[SC形vzeano?/vzene?]が 多 く見 られ るが 、 こ れ ら は モ ダ リテ ィ を表 すprej「 〜 そ うだ/と 言 っ て い る」(SC形 がrpry な の で 、 これ は音 韻 的 特 徴 を もつ 例 で もあ る)や 、 間 投 詞 的 に 使 わ れ る clovece(呼 び か けや 驚 き、 感 嘆 な どの意 味 で使 わ れ る)な ど と と も に、

語 彙 的 特 徴 との 区別 が 難 しい もの で あ り、 この よ うな 例 が 他 に も い くつ

(16)

か 見 られ る。

語 彙 的 特 徴 を持 つ もの に関 して 、SCの 口語 的 な表 現 と思 わ れ る ものや 、 卑 俗 な語 、 俗 語 も多 く、CCと の 区別 が 難 しい場 合 も多 い。CCと 思 わ れ

る語 の例 に、teda[SC形tedy](「 そ の 時 、それ で は」)、furt[SC形stale]

(「いっ も」)、zrovna[SC形prav司(「 ち ょ う ど」)、jo[SC形ano](「 い 」)、pozdejic[sc形pozd芭ji](「 あ とで 」)等 が 挙 げ られ る。

以 上 工 場 長 の 発 話 に見 られ る特 徴 の ほ とん どは、 これ まで チ ェ コの 言 語 学 者 等 に よ って 調 査 され て きた 日常 会 話 に現 れ るCC要 素 の頻 度 の高 い

も の と一i致 して い る。

ヴ ァニ ェ ク は ほ とん ど全 てSCで 発 話 して い て 、CCの 要 素 を用 い る こ とは ご くまれ で あ る。最 後 に近 い部 分 の発 話 でCCを 使 用 し、 か つ 粗 野 な 表 現 を も使 用 す る。最 初 か らほ とん ど最 後 までVyめ 形 で工 場 長 と話 す が\

最 後 の 部 分 の 発 話 で 始 め てTyの 形 を使 う。

ヴ ァニ ェ ク の発 話 は い くつ か の 例 を除 き全 体 的 に硬 い文 語 調 で 、 決 ま り文 句 的 な表 現 も含 む 。

Vane:Jsemvamvelicezavazan.「 あ な た に感 謝 して お りま す」

Vanek:Jsemvamvelmivdecen.(同 上)

作 者 が 意 識 的 に二 人 の言 語 使 用 の違 い を強 調 し、 読 者 に そ の 違 い が劇 の重 要 な 役 割 を担 っ て い る こ とを意 識 させ て い る の は、 例 え ば次 の よ う に二 人 の 異 な る発 話 の 言 語 形 式 を応 答 と して 並 べ て い る こ とか ら も明 ら か で あ る。(以 下 、波 線 は特 にCCに 特 有 の形 式 を示 す 。 棒線 は特 にSCの 特 徴 の 中で 、CCと 区 別 され る もの を示 す 。SCで も中 立 的 な もの 、SCの 文 体 的 な もの や 文 章 全 体 に わ た る も の は特 に示 さ な い 。)

Sla.dek:Anebud'tesmutne'!「 悲 しそ う に す る な よ!」

Vanek:Janejsemsmut呼.「 私 は 悲 し くあ りませ ん 。」

この応 答 の ペ ア は劇 中 に何 度 も繰 り返 して 現 れ 、 劇 中 の 重 要 な位 置 を

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ハ ヴ ェル の 自伝 的戯 曲 にお け る言 語 的特徴

占 め る 。 ヴ ァ ニ ェ ク の 時 に 不 自 然 な ほ ど の 文 語 調 は 知 識 人 特 有 の 堅 苦 し い 丁 寧 さ を 強 調 して い る。 工 場 長 自 身 が そ の 言 語 形 式 に つ い て 言 及 し 、 ヴ ァ ニ ェ ク の 話 し方 が 劇 中 で 重 要 な 意 味 を 担 う こ とを 明 示 す る。

Vanek:Naopak.Jsemrad,vzejsmesesbiizili.「 とん で も ご ざ い ませ ん 。 お 近 づ き に な れ て 、 幸 い で す 。」

Sladek:"Jsemrad,乞ejsmesesblizxli"‐ 曜10cehulivvase upfimnostLpro6vlastrl6mluvi営takto‑tak‑「 『お 近 づ き に な れ て 幸 い で す 。』 『あ な た の 率 直 さ に 感 謝 し ま す 』 一 体 何 で あ ん た は そ ん な ふ う に 話 す ん だ 一 そ ん な 一 」

Vanek:Knizne?「 本 の よ う に?」

Sladek:Jo‑「 〜 そ う 一 」

Vanek:Jestlivastoirituje,tak‑「 あ な た の 気 に さ わ る の で し た ら 一 」

Sladek:Mnenicneirituje‑acenuji,vZ2jsmesesbli乞ili‑Prd!「 に な ん か な ら な い よ 。 『お 近 づ き に な れ て 感 謝 し ま す 』 一 く そ!」

Vanek:Prosim?「 何 で す っ て?」

Spadek:Prd!「 く そ!」

さ ら に ヴ ァ ニ ェ ク の 話 し 方 は そ の 育 ち 、 教 養 、 さ ら に 普 通 の 人 に 比 べ て 知 識 人 が 社 会 的 に よ り 高 い ス テ ー タ ス に あ る こ と も 示 し て い る 。 一 方 で 工 場 長 は 自 分 の 育 ち に つ い て 言 及 し て い る 。

Sladek:Utebe610v6knikdanev壬,navcemje‑ml6i営 一bahvi, cosimysli営 一fika蓉jenIlano,panesladku","dekuji,

panesladku'L「 あ ん た に と っ ち ゃ 、 人 は 自 分 が ど ん な 者 か 、 わ か り ゃ し な い し 、 あ ん た が 何 を 考 え て る か 神 様 で も ご 存 知

あ る ま い し 、 た だ 『は い 、 工 場 長 。』 『あ り が と う ご ざ い ま す 、

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工 場 長 』 っ て 言 っ て る だ け だ 。」

Varxek:Jsemtakvychovany‑「 私 は そ の よ う に 育 て ら れ ま し た 」 SladeklZatimcojajsemjennevchovanejzvovarskej

buran!Myslelstotak,vzelgヱNefikq,撫totak

nemyslel‑「 じ ゃ あ 、 お れ は た だ の 無 教 養 の ビ ー ル 工 場 の バ カ タ レ だ 。 そ う 思 っ て る だ ろ?思 っ て な い な ん て 言 う な

よ 。」

最 後 の 方 で 工 場 長 が 言 う 台 詞 に も 次 の よ う な 部 分 が あ る。

Sladek:Novy!Inteligenti!Pani!Tojsoujensamyhladky

‑w

recicky,jenom2evysitomuzetedovolit,protoze vamsenicOvnemuzestat,ovasjevzdyckyzajem, vysitovzdyckyumiteza量idit,vyjstenahore,i

kdyzjstedole,...「 そ う、あ ん た た ち だ!イ ン テ リ達 だ!

紳 士 方 だ!口 が 達 者 で 、 あ ん た た ち に は 何 も 悪 い こ とが 起 こ ら な い か ら 、 そ の 余 裕 が あ る ん だ 。 あ ん た た ち に は い つ も 関 心 事 が あ る し、 い っ も そ れ を 処 理 で き る し、 あ ん た た ち は 下 に い る と き で さ え 、 上 に 位 置 して る ん だ 。(後 略)」

今 ま で の 文 学 作 品 で は 、CCは 特 別 な 意 味 合 い(登 場 人 物 の 役 割 一 例 え ば 悪 役 等 、 無 教 養 な 性 格 づ け、 一 部 の 感 情 等)で 部 分 的 に使 用 さ れ 、SC の 使 用 が べ 一 ス に な っ て 、2.2.で 述 べ た 「自 動 化 」 と し て の 機 能 を 担 っ て い るの に 対 し、CCの 使 用 は 「 前 景 化 」 と し て の 機 能 を 果 た し て い た 。 そ れ に 対 しハ ヴ ェ ル の こ の 戯 曲 に お い て は 工 場 長 のCCを ベ ー ス に した 発 話 が む し ろ劇 中 に お け る 会 話 の ペ ー ス と な り、 一 般 的 な 庶 民 の 普 通 の 日

常 会 話 を 表 し 、 そ の 言 語 使 用 自 体 に 注 意 を 喚 起 し な い 「自 動 化 」 の 機 能

を 担 っ て い る 。 これ に 対 し、 ヴ ァ ニ ェ ク の 発 話 に お け るSCの 使 用 は 、 特

別 な 性 格 付 け や 育 ち の み な らず 、 登 場 人 物 の 心 的 態 度 、 そ の 置 か れ た 立

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ハ ヴ ェル の 自伝 的戯 曲 にお け る言語 的特徴

場 や 発 話 の場 面 、 状 況 等 と結 び 付 け られ 、 上 で 見 た例 の よ う に、 工 場 長 が そ の言 葉 遣 い に特 別 に言 及 して い る。 これ は と り も な お さ ず 、 読 者 に

とっ て も劇 中 に お け る ヴ ァニ ェ ク の 言 語 使 用 自体 に特 別 な 意 味 合 い が あ る と感 じ させ るわ けで 、 「前 景 化 」 と して の機 能 を 担 っ て い る。 さ ら に劇 の 内 容 に お い て 登 場 人 物 の(SCとCCの)言 語 使 用 が 大 き く関 わ っ て お り、最後 の場 面 で は、一 人 の登 場 人 物 の 発 話 内 にお け る、SCとCCの コー一 ド ・ス イ ッチ ン グが 劇 の 内 容 に決 定 的 な 意 味 を持 っ て い る。 工 場 長 が 、 ビー ル を飲 ん で 酔 い が 回 っ て きた こ と と、 今 まで 長 々 と ヴ ァニ ェ ク に話 して きた に も関 わ らず 、 ヴ ァニ ェ ク に有 名 な女 優 を連 れ て き て も ら っ て パ ー テ ィ ー を す る とい う 自分 の は か な い 希 望 が 叶 え られ る保 証 が 得 られ な い こ とへ の 苛 立 ち、 自分 の 置 か れ た 状 況 に対 す る愚 擬 な どが 重 な っ て 、 発 話 の途 中 で 感 情 的 に な りヴ ァニ ェ ク に絡 ん だ後 、 思 わ ず い び き を か い

て寝 て し ま っ た の を見 て 、 ヴ ァニ ェ クが 言 う。

Vanek:Anebud'tesmutnèx「 悲 しそ うに す る な よ1」

この ヴ ァニ ェ クの 発 話 は 、 そ れ まで 何 度 も工 場 長 が 発 して き た 言 葉 そ の もの で あ り、CCが 使 用 され て い る。(そ れ まで は い つ も工 場 長 だ け が トイ レ に立 っ て い た の が 、 最 後 で は)ヴ ァニ ェ クが トイ レ に 立 ち 、 帰 っ て くる と、 劇 の ち ょ う ど初 め の シ ー ン と同 じ状 況 に な る。

こ こで 劇 の 初 め の 発 話 と最 後 の 発 話 を 比 べ て み る と次 の よ うに な る。

[劇 の 開 始 場 面]

Sladek:Dal‑「 ど うぞ 。」

Vanek:Dobryden‑「 こ ん に ち は 。」

Sladek:A,panVanek!Pojd'tedalfPosad'tese‑Datesi

pivo?「 お 一 、 ヴ ァ ニ ェ ク さ ん か1こ っ ち に 来 て 座 り な さ い 。 ビ ー ル 飲 む か い 。」

Vanek:Ne,dekuji‑「 い い え 、 け っ こ う で す 。」

(20)

Sladek:Proene?Jensivemte‑「 ど う し て 。 飲 み な さ い よ 。」

Vanek:D6kuji‑「 あ り が と う ご ざ い ま す 。」

Sladek:Takco?Jaktojde?「 そ れ で ど う だ い?う ま く い っ て る か い?」

Vanek:Dekuji,dobfe‑「 あ り が と う ご ざ い ま す 。 う ま く い っ て い ま す 。」

[劇 の 最 終 場 面]

Sladek:聰 とA,panVan首klPojd'tedal!Posad'tese‑Datesi

piVO.

「ど うぞ。 お 一、 ヴ ァニ ェ ク さ ん か!こ っ ち に来 て 座 りな さ い 。 ビー ル 飲 む か い 。」

(ヴ ァニ ェ ク は一 気 に ビー ル を飲 む)

Sladek:Takco?Jaktojde?「 それ で ど うだ い?う ま くい って る か い?」

Vanek=Jetovsechnonahovno‑「 全 部 ク ソ ッ タ レだ ぜ 。」

こ の劇 の 最 後 の ヴ ァニ ェ ク の 発 話 は、 工 場 長 が 前 に発 した 言 葉 そ の も の で あ り、 卑 俗 な表 現 が 含 ま れ て い る。 ヴ ァ ニ ェ クの これ ら二 つ の 発 話

は、 前 の 工 場 長 の言 葉 を使 用 し、 さ らにCCの 言 語 形 式 で あ る こ とか ら、

お そ ら く こ こ に至 って 初 め て ヴ ァニ ェ クが 工 場 長 と対 等 の 立 場 に 立 っ た こ と、 これ まで の教 養 あ る知 識 人 の 言 語 習 慣 、 目上 の 人 物 に対 す る言 語 態 度 等 を捨 て 、 内 的 に 劇 的 に 変 化 した こ と、 も しか した ら初 め て 本 音 を 漏 ら した こ と等 を 示 し、 さ ら に そ の 発 話 そ の もの が 劇 全 体 の パ ロ デ ィー で あ り、 か つ 知 識 人 一 般 に対 す る読 者 の認 識 に対 す るパ ロ デ ィー で あ っ て 、 さ らに言 え ば、(劇 作 品 と して の慣 習 を破 っ て い る、 ま さ に不 条 理 な 内 容 と構 成 と とも に)こ れ まで の 劇 作 品(と 、 そ の 言 語 使 用 の 習 慣)に 対 す るパ ロ デ ィ ー とな っ て い る と も言 え る。

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ハ ヴ ェル の 自伝 的戯 曲 に お け る言 語 的特徴

劇 全 体 の発 話 構 成 に関 して 言 え ば、上 述 の よ うに工 場 長 のCCの 使 用 が 、 発 話 それ 自体 に注 意 が 向 け られ て い な い 「自動 化 」 と して 機 能 して い る

の に対 して ヴ ァニ ェ クの発 話 中 のSCの 使 用 は、 そ の言 語 使 用 が 工場 長 に とっ て、 また読 者 に とっ て 特 別 な注 意 を喚 起 す る もの と感 じ られ 、 「前 景 化 」 と して 機 能 して い る。 か っ ヴ ァニ ェ ク の発 話 で これ ま で ほ とん どSC が使 用 され て き た こ とか ら、 最 後 の 二 つ の 発 話 にお け るCCの 使 用 は、 こ れ まで の ヴ ァニ ェ ク 自身 の 発 話 に 対 す る 「前 景 化 」 とな り、 劇 中 で 自 動 化 一前 景 化 の 対 立 の 二 重 構 造 が 見 られ る。 そ して ヴ ァニ ェ ク の発 話 に お け るSCか らCCへ の コ.̲̲̲ド・ス イ ッチ ン グが 劇 の 内容 に関 わ る重 要 な 要 素 として使 用 され て い る。 ヴ ァニ ェ クが 一貫 してSCを 使用 して い るの は 、 2.2.で 述 ぺ た、(1)の 個 人 的 要 因 の うち、 個 人 的 関 係 の要 因 、 す な わ ち

ヴ ァニ ェ ク の 以 前 の職 業 が 作 家 で あ っ た とい う こ と と、 気 質 と順 応 性 の 要 因 が 関 わ り、 か つ(2)の 談 話 の状 況 に 結 び っ い た 要 因 の うち 、 談 話 の私 的 一公 的 な程 度 、 す な わ ち ヴ ァニ ェ クが 自分 の働 く工 場 の長 に会 っ て 話 を聞 い て も ら う とい う場 面 、 お よび聴 衆 に対 す る話 者 の関 係 の要 因 、 す な わ ち 聞 き手 が 自分 の 上 司 で あ る とい う こ とが 関 わ っ て い る。 最 後 の 場 面 で ヴ ァニ ェ クがCCを 使 用 す るの は、 工 場 長 との話 が一 段 落 して 、 お そ ら くヴ ァニ ェ ク の 緊 張 感 が 和 らい だ こ と、 そ れ まで 上 司 で あ る工 場 長 が 部 下 の状 況 を 尋 ね 、 い い 条 件 の提 供 を 申 し出 る代 わ りに 自分 の 希 望 を 言 う とい う場 面 か ら、 酔 いが 回 り自分 の 個 人 的 な 身 の 上 話 と愚 擬 で 感 情 的 に な り落 ち込 ん で い るの を、 ヴ ァ ニ ェ クが それ に共 感 す る態 度 を表 し、

慰 め る とい う人 間 関 係 と心 理 の 変 化 が 関 わ っ て い る 。 つ ま り(2)の 話 の状 況 に結 び つ い た 要 因 の 中 で 、 談 話 の 私 的 一公 的 な程 度 お よび聴 衆

に対 す る話 者 の 関 係 の要 因 が 関 わ る。 この よ うに、 著 者 自身 がSCとCC の コー ド・ス イ ッチ ン グ を劇 の手 法 の 一 つ と して意 識 的 に用 い て い る こ と が わか る。

(22)

4、2.Vernisa乏 の 言 語 的 特 徴

Vernisazの 登 場 人 物 は、Veraヴ ィ ェ ラ(ペ ドジ フ夫 妻 の友 人)、Michal ミハ ル(ヴ ィ ェ ラの 夫 で ベ ドジ フ夫 妻 の友 人)、Bedrichベ ドジ フ(名 前 は 異 な るが 、Vanekと 同0人 物)の 三 人 で 、 場 所 は ヴ ィ ェ ラ と ミハ ル 夫 i妻の家 で あ る。 この戯 曲 に お い て は前 作Audienceの よ うな 、 登 場 人 物 が 相 手 の 発 話 の 言 語 形 式 に 対 して 何 か 言 及 す る場 面 は な い。 自宅 の 内 装 を新 し く した ミハ ル 夫 妻 が 、 友 人 の ベ ドジ フ を 招 い て 、 さ さや か な お 披 露 目パ ー テ ィー を す る とい う内 容 の 劇 で 、 友 人 同士 の 私 的 な 会 話 で 成 り 立 っ て い る。

三 人 は お 互 い にTy(「 お まえ 」2人 称 単 数 形 、家 族 や 親 しい 友 人 な どに 対 して 用 い る形)の 形 で 話 して い て 、 私 的 な友 人 同 士 の 会 話 で あ る こ と を示 す 。 三 人 の 発 話 は、 音 韻 的特 徴 と形 態 的 特 徴 に 関 して は ほ とん どSC の 要 素 で成 り立 って お り、CCの 形 が 現 れ るの は少 しだ けで あ る。 しか し、

語 彙 的 特 徴 に関 して はCCの 要 素 が か な り見 られ 、 しか も俗 語 も使 用 され る。 特 にCCで あ る こ とを 顕著 に示 す形 容 詞 ・名 詞 ・動 詞 の屈 折 変 化 を表 す 語 尾 で は、 友 人 同 士 の 私 的 な会 話 で あ るに もか か わ らず 、 三 人 は ほ と ん どSCの 語 尾 を使 用 して お り、 学 校 教 育 で特 に 強 調 さ れ る、SCの 格 変 化 ・活 用 語 尾 の使 用 を守 ろ う とす る典 型 的 な 中流 階 級 の 知 識 人 同 士 の会 話 で あ る こ とを感 じ させ る。 形 容 詞 語 尾 の 一ej(CC)やY(CC)、 動 詞 活 用 語 尾 の 一ujuや 動 詞 条 件 法 のbysme、 名 詞 複 数 造 格 語 尾 の 一maと い っ た 、 広 い 地 域 にわ た り使 用 頻 度 の高 い典 型 的 なCCで あ り、 学 校 教 育 や 公 的機 関 で 、 それ に代 わ るSCの 使 用 が 強 調 され る要 素 に 関 して はSCが く使 用 さ れ て い る が 、 一 方 で 地 域 的 に 限 定 され 使 用 頻 度 も比 較 的 低 い 、 コ ピ ュ ラbytの 二 人 称 単数 で 、‑Sと い う接 尾辞 の形 にな るCC(2b)が 時 々 使 用 され る。(ヴ ィ ェ ラ発 話 中3例 、 ミハ ル2例 、 ペ ドジ フ2例)

Bedrich:Kdestovsechnosehnal?「ど こで そ れ を全 部 手 に入 れ た

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ハ ヴ ェル の 自伝 的戯 曲 にお け る言語 的特 徴

ん だ い?」

他 に形 態 的 特 徴 を も つCCの 例 は 、 動 詞2人 称 単 数 命 令 形vem(CC) [SC形vezmi]、 能 動 形 動 詞 で 一1語尾 の 前 の 母 音 が 脱 落 す る も のzacii(CC) [SC形za6ali]等 が あ る が 、 そ の 数 は 多 く な い 。

CCの 語 彙 的 特 徴 を もっ も の は 比 較 的 多 く見 られ る。no、jo[共 にSC 形ano](「 は い 」)、moc、spoustu[共 にSC形mnoho](「 た く さ ん 」)、

Diky[SC形Dさkuji](「 あ りが と う」)、610v配e(呼 び か け 、 驚 き 、 感 嘆 な ど の 意 味 。 対 応 す るSC形 な し。)等 。 外 来 語 起 源 の 語 彙 で 、 俗 語 的 な も の も い くつ か あ り、 そ の 中 に は 気 取 っ た イ ン テ リの 雰 囲 気 を 感 じ さ せ る も の も あ る 。Svajc[SC形Svycarsko](「 ス イ ス 」)、ksicht[SC 形tvar]「 顔 」、kvartyr[SC形byt]「 住 居 」、fajn[SC形P6kn弱 「 す

ば ら し い 」 等 。 こ れ らの 外 来 語 起 源 の 語 彙 を 使 用 す る の は 主 に ミハ ル と ヴ ィ ェ ラ で あ る 。 こ の 三 人 が 名 詞 ・形 容 詞 ・動 詞 に お い てSCの 格 変 化 ・ 活 用 語 尾 を ほ と ん ど一 貫 し て 使 用 す る の に 対 し、 比 較 的 地 域 が 限 ら れ 頻 度 が 下 が る形 態 的 特 徴 を もつCCを 時 に 使 用 し た り、CCに 属 す る 語 彙 を

し ば し ば 用 い た りす る の は 、 中 流 階 級 の イ ン テ リ問 の 私 的 な 会 話 で あ る こ と を 感 じ さ せ る。 しか も二 人 の 夫 婦 が し ぼ しば 外 来 語 起 源 のCCの 語 彙 、 あ る い は 俗 語 を使 用 す る の は 、 こ の 二 人 が ペ ダ ン テ ィ ッ ク で 俗 物 的 な 雰 囲 気 を 持 っ て い る こ と を 示 す 重 要 な 要 素 とな っ て い る 。

ほ とん どの 場 合 にSCが 使 用 さ れ て い る要 素 の 中 で 、そ れ に 対 応 す るCC が 使 用 さ れ る 場 合 、 そ れ ら が 何 ら か の 特 徴 を 持 っ て お り、 著 者 がSCか ら CCへ の コ,̲̲̲ド ・ス イ ッ チ ン グ を 意 識 し て い る こ とが 窺 わ れ る 。 動 詞1、

皿 タ イ プ の1人 称 複 数 形 で はSCの 一emeが 多 く使 用 さ れ る が 、CCの 一em が2例 見 ら れ る 。

Michal(kVere):Neuk能emBedrichoviPet'u?(ヴ ィ ェ ラ に 向

か っ て)「 ベ ドジ フ に ペ ー チ ャ(ミ ハ ル 夫 妻 の 幼 い

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