社会科教育のめざすもの
―その社会基盤との関連において―
池 田 一浩
(一)
われわれはさきに本紀要第一号に於て主として「知識」の面に重点をおいて発表したζとが あるので,ここでは同じ調査で扱った「態度」についてふれてみたい。
(二)
「附表」の一,二,四,五,問などのような民主主義についての一般的な態度やルールを質 ねた問題については,大体80%以上の正当率を得て居るようであるが,三,土間のような民主 女義的態度を労働問題に具体化する問題になると,正当率は可成り下廻って来でいる。
(三)
言う迄もなくジ社会科は社会科という教科を通して民主的な人間形成に役比うとしている訳 であるが,そめためには「社会集団に於ける正しい人間関係を理解させ,民主的な社会人とし て必要な態度能力を養う」①と共に,「現実の社会の制度施設その他広い意味の社会的機能を 理解し,これに適応させるとともに,変動する社会を把握して,これに対処させる」②ことが 必要であるとざれてV・る。
我々は「附表」の一,二,四,五問において,社会集薗における二六関係の理解左通して民 主的な社会人として必要な態度能力の養成をみようとしたものであり,三,・六二は社会的機能
の理解を通して,これに適応対処させる態度能力をみようとしたものである。更に言えばこの ような問題を通して義務教育九ケ年を通じて子供達の社会的な態度の決定に際/ノてどれだけの 素養を身につけているかということをみようとした訳である。
民主々義的態度についての一般的,抽象的理解に関する問題については大体80%以上の正解 率をあげて可成りの効果を示してV・るのに,民主々義的態度を労働問題へ具体化する問題につ いては若干考慮すべき問題を含んでいるのではないかと思う。即ち子供達は民主々義というも のについては頭の申で概念的には理解している訳であるが,民主々義を現実の社会問題へ具体 化するということになると必ずしも充分ではないのではないかということである。
然しながらこの事は総括的,一般的にいえる事であって,よ案観察してみると地帯別によっ て可成りニユアン!スの相違を示しているように見えて興味深いものがある。
一69一
(四)
調査問題の第三問で民主的な労働組合の在り方を尋ねている訳であるが,そこで③の「労働条 件の改善と,組合員の経済的,社会的地位の向上をはかる為に使用者側と団体交渉によって解
:決をはかる事につとめ,ストライキはいよいよの時でなければやらない」というのに対して解 答率がどの地帯でも高いのであるが,特に炭鉱地帯がとびぬけて高いようである。之に比較し て⑤の「労使協調して生産をあげるために使用者側も加入して組合をつくる」とか⑥の「労働 者と資本家が対立して争う事は道徳上面白くないので組合は解散して資本家に協力して生産に つとめる」という問題には都市や農山村の進学者・就職者・男女共に県平均を上廻って回答し てV・るのに対して,炭鉱地帯では⑤や⑥を民主的な労働組合の在り方と考えているものは県平 均以下でその率は低v・。炭鉱地帯と比較して面白い事は中小工業地帯一ここは陶器地帯であ
るが一では対照的な姿勢を示してV・る事である。即③では地帯別に見た場合高話の率を,⑤
⑥では最高の率を示している。
この問題に即して言えば,子供達の身近なところに労働組合があって日常否応なしにその中 にま:きこまれているか,然もその場合組合運動が盛んであるか,不振であるか,或は遠く離れ ていて間接的に頭の中で考えているかの相違が結果となって表れてくるように見える。
これと同じ事が第六問の結果につv・てもいえるように思はれる。即 ち民主的な資本家として 考慮すべき事項としてA群の②のところで1事業の利益に応じて賃銀を与える.1というのに,都 市や農山村の進学者・就職者・男女,離島の男女は県平均以上の高率を示しているのに,炭鉱 や中小工業:地帯の子供達にしてみれば,事業の利益に応じて賃銀を父兄が持って帰って来たの では,景気のときはよいが,昨今のようなひどい不況の場合は,牧入が不安定で生計が成立た なくなる事を身をもって経験してV・るために,その回答率は低い。然し都会の頭の良い進学組 の子供達は県平均を遙かに上廻る回答をこれに与えている事は,社会科が生活と結びついて真 剣に考えられていなV、1ためなのかもしれなV・。
これに対応し:た答は,民主的な労働者が取るべき態度の解答を求めたB群にも見られる。即 ちB群の①のように「熱心に仕事をして能率を上げる事を考えて報酬については資本家からも ろうものに満足する」とか⑧のように「資本の蓄積という事も考えてむやみに賃銀を要求しな い」というのに都市の進学者・就職者・男女,離島の進学者・就職者・男女などは県平均以上 の回答を寄せて居り,農村が県平均並のところを行っているのに,炭鉱の子供達は県平均以下 の回答を寄せ,むしろ彼等としては⑤の「絶えず自分の仕事を柵究し,技術の向上につとめる と共に,適正な報酬をもろうようにする」と言うのに高い関心を示している。
このような結果は炭鉱地帯では社会科を自分達の身近な問題に引寄せて考えるという平素の 訓練の結果とみるならば,社会科も所謂問題解決学習によって堅実な歩みを続けているものと 認めてよいのかもしれなV・。
一70一
(五)
然し我々は義務教育卒業生が卒業後,在学時代に修得した社会科の教養を身につけて実社会 の具体的問題の解決に立向うようになると楽観してよいであろうか。
或る農村出身の紡績女工はこう言っている。「『会社の人のいうことは何でも気持よく聞い てな。良い子になって認められる人間になってな』と母にいはれ,私もおとなしく黙って働く 子が良い子なんだと思い込んで入社した」③と。ここでは義務教育九ケ年の長い年月をかけて 養成して来た社会に適応すると共に,変動する社会に対処出来る民主的な社会人の人間像は見 事に打消されて二って,相も変らない封建的な前近代的な人間像が持ち出されて来て居る。
然しひるがえって目本の資本がとっている伝統的な姿勢を省みる時,こうした母親の子供へ のはなむけの言葉も,ここでは的を外れたものではなく,寧ろ長い苦しい日本の殊に母親の人 生経験が割り出した尊い人生観であるという事が理解される。
成程,資本が近代化されるに伴って,生産過程に於て労働者は近代的な技術の要求に従って 規律・計画性・協同が陶冶されて④,かつての「最初の間工場に集った労働者は,児童を別と すれば,失業農業労働者,失業兵士,貧民,浮浪人,移民など甚だ質の悪いものが主であり,
工場の規則がうるさくて厭になればいつでも工場を後にして出て行くのであった」。⑤即ちアダ ム・入ミスの所謂「労働する貧民」(labcurirg poor)⑥から「労働が一つの自己目的になって 居り,より多く働くことにおいて,より多くの賃銀が得られ,そして彼等の生活の上昇が無限 であるかのように思われれば,彼等の労働はいよいよ駆立てられる」⑦近代的な労働者に生長 して行く。その最も代表的な場合は機械工業労働者であるが,日本の場合その機械工業は修理 工場から発達したとV・われるものだけに⑧,作業内容もその都度変るもので永年の経験によっ てあらゆるケースに習熟する事が必要となるので,そこには「カγ」や「コッ」が権威を持ち 易V・ようになる。
従って高V・賃銀を得ようとすれば,同一企業に永年勤続して年を重ねてその工場の経験工に ならなければならない。大企業では企業の基礎が確立して来ると,優秀な福利厚生施設も完備
して行き,従業員は永年勤続して絶えずそれらを利用して行く中に,彼等は特権的な感情や,
或はそこで働く事に或る種の誇りをすら感ずるようになって行く。即ち労働者は永年勤続して 年令を重ねて行く事で企業から生活を被護されて所謂「企業一家」の考えが湧V・て来る。長と名 のつく人々が親爺と呼ばれるようになる。漫りに資本家と事を構えては,横断的労働市場の発 達していない我国では⑨,同一職場でこそ経験工で高賃銀を獲得する事が出来ても,他の事業 場に移動したのでは,以前の職場とは工場の内部が全然違うために,前職の経験は内輪に加算 されてツブシが利かないものとして振り出しに戻される傾向がある。いやでもじっと我饅して 同一一職場にとどまって上司の命ずるま」に易々諾々と随順して年を取って行かないと高賃銀と 勝れた福利厚生施設の恩恵にも浴さないことになる。
こうした資本の許へ親許を離れて,口滅らしだけでなく送金までもして呉れるために遠く旅
一7】一
立とうとする我子に「会社の人のいうことは何でも気持よく聞いてな。良V・子になって認めら れる人間になってな」と激励とも哀願ともつかない言葉を投げかける母親の態度も或は当然だ
と言うべきかもしれない。
日本では大資本は剛健で,緻密で,然も組織的な素質を持つた農村の上層農家の優秀な義務 教育卒業生を,大部分は縁故で,一部分を学校や職業安定所を通じて賃労働者として抽き出し て行くのであるが,子供達はこうして労働者になる抑々の出発点に於て工場の有力な従業員と の入格的な結びつきを必要とする訳であるが,更に前述したように入社してからも「企業一 家」の雰囲気に調和して始めて一人前に独立出来て行く訳であるからして,日本の賃労働関係 には大資本と錐も主従的な親子的な関係が形成されて行く事になる。かくて大企業に:於てさえ 我国では近代的な賃労関係⑩が生長発展しにくいものを持って居る。
まして経営が不安定で,設備万端不完全な中小企業の場合は,募集はヨリ以上に縁故に依存 して居るために,その労使関係には前近代的で家族主義的関係が多く残されて居り,経=営は事 業者の恣意で動かされ,客観的規準の働く余地も少V・ので,そこではヨリ直接的な人間的支配 によって動かされ,秩序づけられている。
こうした中小企業には,相対的には低質な労働者が腰かけ的に就職する事になり易くなる。
何といっても家長的独裁経営が行はれる訳であるが,その場合でも,経営に余裕があれば直接 的な家族的配慮が慈恵的になされもしようが,経営が不如意になって行けば,主人達の監督も 強化されて行き易く,ついつい労働者も何らかの形でその不満をはき出したくなつで来る。
とこでは不満の爆発のしかたが問題である。先の大企業の紡績女工は母親の激励とも哀願と もつかぬ言葉に納得して,、自分もおどなしv・良い子になろうと決心して就職した訳であるが,
入社後の感想を次のように言っている。
「入社してその年の盆,組合では一時金を要求した。会社は『出さない』 と言ったが,何 度か交渉をもつてやっと一時金が出された。このとき何かちがった事を知った。r会社は金が
● ■ ● ● o ● ● ● ● ● ● ● ● ● ●
ないが給料だけは出して・やる』.といわれ,『ハイ,ありがとうございます』といってたら一時 金もでなかったということ,r会社は私たちが要求しなければ,利益があったとしても何も出
さない』どいう事を知9た」と。⑪
中学校社会科の社会問題で取扱つた筈の労働問題も自ら経験して始めて労使関係が如何なる ものであるかとV・うことを自分の問題として理解している。だがとにかく大土場ではこうした 経験を積み重:ねて行く中に「なかまi意識がつくられ.民主的な社会人に生長して行くであろう。
ところが、坤小企業となるとどうだろうか。一中小企業者ぼこういっている。「人間の・娑姿で
すさかい。浮き沈み七たびということもありますよ。景気のいい時何にもわし」人のもうけに
する気はないですよ。苦しV・時に不平一ついはす黙づ(一緒に働いてくれたものをほっておけ
るものですか。それを何か.といえば『やれ日給をあげろ,やれおまえぽサクシュしている』な
んてv・われると,なにV・うてやがんね。サグシエもアクシユもあるかつてついどなりたくもな
る。考えても見て下さV・。四十年か」つて,ようよう人様に笑われんようになったぐらいのも
_72_のがどうしてシホγカでつしやろか。そりや,わたしには工場も機械も居宅もおます。しか しみんな担保に入れてるわ。親会社の鑑識はない。支払いは遅い。へρやならヤメ芝つつばねら れる。政府や銀行は大きなところばかり介抱してわれわれの足弱はふり向いてくれな〉・。そと へ工員からやいのやいのといわれてみなさい。わしらはいったいどうすればいv・んです。スト やりたV・のはこっちですがな」⑳と
こう大阪弁で強気一杯にまくしたてられ:たのでは,一般に大企業に比較して低質な労働が入 り込むといはれる中小企業の義務教育卒業生の徒弟達は,年寄つた職人達の中にはまってどん な姿勢を彼等に伍して取るであろうか。はっきりした労使の対立の上に立つ「冷厳な交渉」の 手段を選ぶ方向に加担するであろうか。徹底した親分子分的関係でもよいから生活の保障が得 たいという依頼的な解決の方向を選ぶであろうか。
(六)
既に述べたように,「社会集団に於ける正しい人間関係を理解させ,民主的な社会人として 必要な態度能力を養う」と共に「現実社会の制度施設その他広い意味の社会的機能を理解し,
これに適応させると共に,変動する社会を把握して,これに対処」させて民主的な人間形成ひ いては日本社会の近代化に教科を通じて貢献しようとする社会科は,⑬卒業後二者択一の態度 決定に迫られるであろう概して出来の悪い子供達にも自己の立向う方向を自主的に決定させる 意味に於てもその役割は益々重大だといわなければならなv・。
我々の調査結果に於ても.民主的態度の抽i象的概念的理解は出来ていても,それを社会問題に 具体化して将来の子供達の心構となるものについては未だ不充分だと思はれるだけに,この教 科の必要性と重大性とを痛感するものである。⑳
〔この稿は昭和30年6月】0日大分大学学芸学部における西目本社会科教育研究会での発表に 筆を加えたものである。禽〔附表〕の作成については現在長崎市福田申学校教諭岩本義人君 の援助を受けた。篤く同君に・感謝する次第である。〕
く附
表〕
〔一〕次の文中民主的な態度だと思われるものをえらび○印をつけなさい。、
1 2 3 4 5
自分の考えが正しくても相手の意見た従う。
自分の考えを出さすに相手の意見にまかせる。
お互の意見を出しあ一rてその結論に従う。
だれかに意見をきいてかち自分の考克を・きめる。
先生に計画をたて㌧もらいその通りに従う。
73
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21
(二〕 A町で〔選挙の時はあなたはどんな人をえらびますか〕について街頭録音をしました が,その結果次のような意見が出ました。この中から最も適当と思われるものをえらびなさ いo
1 2 3 4 5
自分の利益を代表してくれる人。
人にめいわくをかけない人。
A町のことだけを考えている人。
職場を代表する人。
公共の福祉に役立つ人。
1
2 3 4 5ナ
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〔三〕次の各項の中で民主的な労働組合のあり方として一番望ましいのはどれですか。
1 2 3
4 5 6
労働条件について使用者側と時々相談してきめる。
労働条件の改善を促進するためにしばしばストライキをする。
労働条件の改善と組合員の経済的社会的地位の向上をはかるために使用者側と団 体交渉によって解決をはかることにつとめ入トライキはいよいよの時でなければ やらない。
組合員は労働条件の改善のために政治活動を行う。
労使協調して生産をあげるため匠使用者側も加入して組合をつくる。
労働者と資本家が対立して争うことは道徳上面白くなV・ので組合は解散して資本 家に協力して生産につとめる。
一・74一
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〔四〕生徒会の役員として次の中どれが一番適当と思いますか。
1 2 3 4 5
自分の意見をいつもよく代表する人。
学業成績のすぐれた人。
自分がもっともよく知ってV・る人。
正しい意見と実行力と統磁力のある人。
役員になりたいと希望する人。
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2 3 4 5 ナ シ
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2i 4
〔五〕
駐礒副A・
にはならない・なぜなら大勤人と瀦にiB・
c・]を伴っている・自由と難を知らな咽民にはID・
次の文を読みこコに下のことばの適当したものを入れなさい。
ということなのであるから「お互は何をしてもよい」ということ をしているのであるから自由は 1一
A.
B.
C.
D。
努 力 個人生活 尊 士 民照々義
勤 勉 家庭生活 責 任 個人主義
庄 直 社会生活 放 縦 社会主義
自 由 国民生活 強 情 国家主義
ゆ道は遠い・
一75_
努力 勤勉 正直
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5i
2i4
7i 3 5i 3
〔六〕次の交中で資本家が考えなくてはならないことには○印を労働者が努めなくてはなら なV・ものには×印( )の中に記入しなさい。
一76一
1(
A/
2(
3(
群/
4(
5(
6(
1(
B/
2(
3(
4(群/
5(
6(
)なるべく安い賃金で長V・時間働かせる。
)事業の利益に応じて賃金を与える。
)利益はなるべく自分のふところに入れてしまう。
)安全で健康をそこなわないような仕事場をあたえる。
)たえす技術が向上するように訓練の機会をあたえる。
)問題があればすぐに労働者を首切って失業させる。
)熱心に仕事をして能率をあげることを考えて報酬については資本家》
らもろうものに満足する。
)なるべく楽をして働かないで賃金をえようとする。
)資本家の蓄積ということも考えて,むやみに賃金を要求しない。
)多くの人をそそのかしてすぐに入トライキをやろうとする。
)絶えず自分の仕事左研究し技術の向上につとめると共に適正な報酬を もろうようにする。
)問題が起れば冷静に話しあいをつける。
○
×
1 2 3 4 5 6 1 2
3
45
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奄U877i68 55i5568i53〔調査人員一・表〕
地 域
別全県 都市 炭鉱 中小 工業 農村 離島
男
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女
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進
学(入)
973 274 179
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294 175
就 職
(入)
1,055
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167 159 355 234
合
計
(人)
進希 望 学率
(%)
2,028
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i 3461
2:LO
649 409
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66 52 24 45 43
協学 力校 中数
(校)
25
6 4 1 7 7_77_
〔註〕
①日本社会科教育学会著「小学校社会科教育研究」P・]2
② 同上
③木下順二,鶴見和子編「母の歴史」の中の鈴木久子稿「女の問題一越と私の場合」P.119
④生産様式なり生産力の発展が労働者の意識なり労働様式に与えた影響については橋本勲稿「職業 教育の歴史的基礎,(香川大学経済論叢第二十五巻第四号)特に五,徒弟教育の崩壊と労働の変 化,六現代の職業教育参照,及拙稿「資本主義確立期の教育問題一アダム・スミスを中心とし一」
(西日本社会科教育研究会年報第2・3集 社会科教育論叢特に(三),(四)参照)
⑤ 小松芳喬「英国産業革命史」P。204
⑥大内兵衛訳「富国論」④一P・183
⑦ 大河内一男,隅谷三喜男編「日本の労働者階級」大河内一男稿第三部生活と意識第三章労働者の 意識P・P.324〜325
⑧ 大河内一男,隅谷三喜男編 前掲書 隅谷三喜男稿 第二部労働力論第一章 大企業の労働者 P.162筒一々あげなかったがこの書の考え方に依るところが多かった
⑨大河内教授や隅谷教授はかかる我国における横断的労働市場の欠如を我国の特殊な賃労働の存在 様式と関連づけて説明されている。前掲書「総論」参照
⑩近代的な賃労働について橋本氏は前郷において以下のよ5にのべておられる。P.P.20〜21 「前節において,機械の登場が,分業を促進して労働を細分し,労働を無内容ならしめ,人聞を 不具化するという悲観的見解を指摘した。たしかに機械大工業の初期ないしはその資本制形態に おいてはそうであろう。しかしこの機械による入門性の否定は,入聞にとって永久の宿命であろ うか。決してそうではない。機械大士業が発達するに従って事情は変化するのである。すなわち,
労働が簡単になり,その単純化が進むことによって労働者は如何なる労働部門にでも従事するこ
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とが出来るようになってくる。そこでは労働が極度に単純化し,労働の専門化的性質が失われて
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いるので,労働者は凡ゆる仕事が出来るようになり,労働者の流動性が生ずるようになる。大工
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業の本性は労働の変転,機能の流動,労働者の全面的な可動性を生むものである。…………
即機械は人間を寸断すると同時に『普遍性の必要と,個人の必要と,個人の全面的発達えの傾 向』とを生み出すのである」(傍点筆著我々の今の問題については傍点の部分で充分である)然 も「人間を部分人たらしめている分業の資本制的形態が止揚されなくては,労働者の入間的意識 回復の客体的条件はあたえられないであろう」と指摘して居られる。P・23
⑪木下順二,鶴見和子編「栂の歴史」鈴木久子稿P・−9(傍点筆者)
⑫大河内一男,隅谷三喜男編前掲書松本達郎稿第二部労働力論第二章中小工:業の労働者P・205
⑬柳田国男,和歌森太郎の両氏は筆者のいう「社会科のめざすもの」についてこういつて居られる。
「日本の近代教育を一貫してきた「世間ばなれ」の弊害を最もよく矯め直す意義をもつ教科は,
われわれが今受取り直して再建したいと思っている社会科をおいて,ほかにないと思う。そして この社会科こそ,優秀な子供を相手にするのではなく,十入並の人間をつくること,一入前の選 挙民をつくることを標榜できる最も好適な『世問』教育の教科ではないかと思っている。従って そこからでき上ってくる入聞は,きわめて平凡な,せいぜい手紙がよく書け,新聞を理解し,世
一78一
間の動きを判断していける人間であり,あるいは家にあり,村にあって用足しがよくでき,仕事 がよくできる人間であるにすぎないといはれるかもしれないが,そのようなことさえできない子 供一一応な まいきな口をさくけれども,実際に毎日々々の生活ぶりを見ると,そのようなことさ えしっかりとできない入間がいるのであって,これを新しい人間徴として,そこに教育目標を置 くことは,決してむだではないようである。ことに,義務教育を終了するまでに,新聞を批判的 に読める素地をつくっておくことは,非常に大事なことである。他入に頼らず,自分の力で世間 の動向を判断できるようになれば・その入はもう一人前の選挙民として信頼できる者ぎといって よいわけであるが,その点に関して,これまでの教育はほとんど顧慮しなかったのではなかろう か」と。(柳田国男,和歌森太郎著社会科教育法 P・P・15〜16)尚叉「社会科とは『かしこく正 しい選挙民となるにはどうすればよいか』とも表現すべき大きな問題解決学習だといえる」と筆 者の意見に通ずるものと思はれるので長文であるが引用しておいた
⑭ では最後にそのような社会科をどう学習するかという事が残るが,この点については紙数もつ きたので簡単にいえば筆者は現実を素直に見,それから現実に即して考えぞ行く事が大切だと考 えている。換言すれば学習の過程に於て基礎的な事実を教える。それから問題意識的に取上げる 事を繰返して行く中に柳田氏や和歌森教授の言はれる「世問」教育としての社会科教育が実践出 来るのではないかと思う。
然しアメリカの学校教育における社会経済的問題の取扱について柳久雄氏は「近代教育史1」
一独占資本主義の発展と教育一 P・2$2 に於てアメリカの労働蓮動指導者の言葉を紹介して居
られる。「労働者にとって重大な利害のある社会経済的問題についての公開された自由討議の機会を現在 の学校で発見することは稀である。(中略)教育委員会は労働運動への激励と思はれる一切のも のにたいして,心から深い恐怖と憎悪をいだいているところの支醗的な実業家や専問的職業人か らなっている。かれらはあらゆる社会経済的問題については極端に保守的である」と。アダム・
スミス自身もいっているように愚鈍な国民は「かの最も恐るべき不秩序を惹き起す惧れのある狂 信と迷信の朧藩に引っかかり易い」(大内訳国富論④P・193)からして「政府の安全性は人民 が政府の行動についての好意ある判断に依存するところが多いがその点からいえば人民がそれに 関して性急な気まぐれな判断をしないだけの気持を持っている事がこの上もなく必要なこと」(同 P・195)になる。この意味に於ても我々は社会科教育に於ておうらかな気持で現実を素直に見,
実現に即して考えて行く事の必要を痛感するものである。そして最後に筆者は以下に紹介するよ うな心構えの義務教育卒業生が特に社会科教育によって学校から巣立って社会へ送りこまれるな らば柳田氏や和歌森教授の唱えられる「世間」教育としての社会科教育も達成されたものとして 明るい日本の将来を予見するものである。それは「あきらめ」ではない。「悲壮感」に酔ってい るものでもない○境遇に主体的に立向う青年の勇壮感である。
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光は働く道に 父よ,
母よ,
・一