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労働所得と資本所得の最適課税ルールII : 支出政 策の考慮

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(1)

策の考慮

著者 宮川 敏治

雑誌名 静岡大学経済研究

4

3

ページ 79‑104

発行年 2000‑01‑11

出版者 静岡大学人文学部

URL http://doi.org/10.14945/00008579

(2)

論 説

労働所得 と資本所得の最適課税ルールI

―支出政策の考慮 ―

 

 

 

は じめに

拙稿 (1999)「労働所得 と資本所得の最適課税 ルール」『産研論集 (関西学 院大学)』 (以後 、 Part Iと 呼ぶ)において、経済 を描写す るモデル として重複世代モデルを採用 し、その下で家計 の効用の総和 (社会的厚生)を最大 にす るような労働所得税 と資本所得税 の課税 ルール をよ り

「実用的」 なかたちで描 く試みを行 った。本稿 は、その続編である。

ここでの「実用的」 とは、具体的には次のような意味である。これまでの社会的厚生 を最大化 する課税 (最適課税)を考察す る研究では、最適課税の性質 を抽出する最適課税問題の必要条件 が各家計の所得の限界効用や補償需要の価格 に対する反応度など市場で観測不可能な変数を用い て表現 されていた。そのため、直接的にその条件 を用いて現行の課税体系 を評価できない もので あった。そ こで、市場で観測可能な変数 (デー タ)のみで必要条件 を描写 し直す ことによって、

よ り直接的に現行の課税体系 を評価で きるような課税ルールを導 き出 したのである1。

しか し、Part Iで は、労働所得税 と資本所得税 によって上げられた税収が政府支出に向けられ るように設定 されてはいたが、その政府支出はまった く民間経済 に影響 を与 えない とされてい た。す なわち、政府 は一定額の税収 を上げるが、それを無駄 に費消 して しまうとされ、政府の支 出政策の側面が完全 に無視 されていたのである。そこで、本稿 (Part )では、労働所得税 と資 本所得税 による税収がすべての家計に均一に移転支出として再分配 される場合や政府支出が純粋 公共財 となる場合 など政府の支出政策の側面 を考慮 に入れたかた ちにモデルを拡張す る。そ し て、あ くまで も市場で観測可能なデータで課税ルールを描 くという立場 を維持 しなが ら、政府の

1課税ルールを市場で観測可能なデータで描 くことの意義については、詳しくは入谷(1986)及び、宮川 (1999)を 照 していただきたい。

(3)

支出政策によってその課税ルールが どの ように変化す るかを考察する。また、それぞれの支 出政 策 を最適化す るルール を、市場で観測可能なデー タによつて表現することも試みる。特 に、政府 支出が純粋公共財の場合 には、「公共財か らの限界効用の総和がその (社会 的)限界 費用 に等 し くなる ときに、最適 な公共財の水準が達成 される」 とい う周知のサ ミュエルソン・ルールをで き るだけ市場で観測可能なデータで書 き直す ことになる。 これ は、いわゆる「サ ミュエ ル ソ ン・

ルールの実用化」 と解釈す ることもで きる。

本稿 で取 り扱 う支出政策は、具体 的には、(i)労働所得税 と資本所 得税 に よる税 収 を若 年世代 に同 じ額 だけ再分配す る均一移転支出の場合 、(ii)政府支出が「等量消費」のかたちで各 家 計 の 効用関数 に入 って くるような純粋公共財 の場合、(面)政 府が税収か ら新 しい私的財 を生産 し、そ の財 を各家計 に均等 に配分す る公的供給 される私的財 (Publicy Provided Private Good)の 合 の3つである。代表的家計 を想定 した場合 には、これ らの支出政策は課税 ルールにはまった く 影響 を与 えないので、本稿 では、賃金獲得能力が異 なる家計が存在す る経済のみ に注 目す る こ と にす る。

本稿 (Part )で用 い られるモデルは、Part Iと ほぼ同一 の構 造 を もつ重複世代 モデ ルであ る。 しか し、モデルの枠組みを再確認 し、さらに、Part Ⅱのモ デ ルの拡 張点お よび、Part Iと Part Ⅱの相違点 を明確 にす るために、簡単 にモデルの概要 を説明 してお くことにする。

まず、家計 について見 ることにす る。各世代の家計 は労働 を行 う若年期 と退職後の老年期 の2 期間 を生 き、消費活動 を行 う。世代 間の人口成長率 はgと す る。すべ ての家計 は共通の時 間賦存 (T)を もってお り、この時間を余暇(ん)と労働(T一λ′)に配分す る。賃金率 を ω′とすれ ば、

労働か ら得 た労働所得 には線形の労働所得税(′)が課税 される。若年期 には、課税 後 の労働 所 得 と政府が支 出政策 として均一移転支出 を行 うときには分配 される移転支出の合計 を若年期の消 (cL)と貯蓄 に配分す る。Part Iの 場合 には、この ような移転支出が入 つて くる こ とは なか つ た。老年期 になると貯蓄 に伴 つて利子率(年+1)で 資本所得が発生す る。この資本所得 に対 して線 形 の資本所得税 (れ +1)が 課 される。老年期 にはこの課税後資本所得 と貯 蓄 を取 り崩 して老年期 消費(c2′+1)が 行われる。

以上の ような行動 を各家計 は生涯の効用が最大 になるように決定するのであるが、支出政策が 無視 されていた場合 には家計の効用は、若年期消費 と老年期消費 と余暇の関数 として表現 されて いた。政府が均一移転支出政策 をとる場合 には、同一の効用関数 を考 えれば よいが、政府が純粋 公共財 を供給 した り、公的生産 される私的財 を提供す る場合 には、家計の効用 は、若年期消費 、

‑80‑―

(4)

老年期消費、余暇 とともに政府が供給す る財 に も依存するかたちで定式化 されることになる。

また、各世代 には賃金獲得能力の異 なる家計が存在すると仮定す る。この能力の差異は物理 的 単位での労働供給 T― λ′の効率性 を表す指標 πの差異 によつて表現 され る。 この πは実 数 区間

[0,∞)に分布 し、その分布 は密度関数 φ)≧ 0に従 うとす る。この経済の各期 の生産技術 は、

その期 に存在する労働 (イ )と資本(4)を用いて消費財が生産 される とす る。生産技術 につ いて は、公共財 の影響 を受けない とし、Part Iと 同様 、規模 に関 して収穫一定の技術 を想定す る。

次 に、政府の行動 について見てみ よう。各期の政府 は、労働所得税 と資本所得税 によつて徴 収 した税収 を政府支出 としてすべて支 出する。Part Iの 場合 には、この支出は民間経済 にまった く 影響 を及ぼさない としたが、本稿では、この税収がその期の若年世代 に均一 に再分配 される均 一 移転支出政策が どられる場合、1単位の税収か ら1単位の純粋公共財 を生産す る場合 と1単位 の 税収か ら1単位の新 しい私的財 を生産 し、それ を若年世代 に均等 に割 り当てる (公的に生産 され た私的財)場合の3つのケースが存在す る。

そ して、経済主体の行動が与 えられた下で、各期 の労働市場、財市場、資産市場の需給 が均衡 するように賃金率、利子率が決 まることになる。

上記のような経済を想定 した上で、Part Iと 同 じように市場で観測可能なデータを用いて社会 的厚生を最大にする資本所得税 と労働所得税の課税ルールを考察するわけであるが、具体的な課 税ルールの分析に入る前に、Part Iで得 られた結果 と本稿 (Part )で新たに得 られた結果を要 約 してお くことにする。

まず、Part Iでは、賃金獲得能力に差異がなくすべての家計が同一 とした下で、社会的厚生 を 最大にするという意味で、労働所得税 と資本所得税が最適であるときの課税ルールとして、次の

ものを得た。

課税ルール1:すべての家計が同一である (代表的家計のみを考慮する)場合には、税収のシェ アの比率に(1+σ)/(1+″ (1‑ι 7))をかけた値が、税収の弾力性の比率 に等 しくなるように資本 所得税 と労働所得税は課税 されていなければならない。

この課税 ルールは、具体的には、最適課税問題 (社会的厚生 を最大 にする競争均衡 を実現す る 課税体系 を探す問題)の 1階の条件か ら導出 した条件

(5)

β7̲  1+g  77

β″ 1+γ(1‑′7)為

よ り得 られた ものである。ただ し、β夕″は資本所得税 に関す る税収の弾力性 、労働所得税 に関 す る税収の弾力性であ り、み,ち は資本所得税、労働所得税の総税収 に占め るシェア (税収 シェ )である。

代表的家計 ケースで得た もうひとつの課税 ルールである「課税 ルール2」 は、「課税 ルール1」

で暗 に示 されていた最適課税の性質 をよリス トレー トに表すために補足的に示 した ものであ り、

我 々の 目標 とす る「市場で観測可能 なデー タで語 る課税 ルール」 ではないので ここで は省略す る。Part Iで は、同一世代内の家計 に能力の差異が存在する経済で、政府の支出政策が民間経 済 に影響 を与 えない と仮定 し、最適課税問題の1階の条件 か ら、上 の「課税 ルール1」 の条件 と まった く同一の条件 を導 き、次の ような「課税 ルール3」 も得 ることがで きた。

課税ルール3:同一世代内の家計 に能力の差異が存在 す る経 済 において も、家計 の効用 関数 に (若年期、老年期)消費 と余暇の分離可能性 が存在 し、政府の支 出政策の側面が無視 される限 り、

「課税 ルール1」 に従 つて資本所得税、労働所得税 は課税 されていなければならない。

本稿 (Part )の2節では、同一世代内の家計 に能力の差異が存在す る経済で、政府支 出が 均一移転支 出 となる場合 を考察 し、最適課税問題の1階の条件か ら、上の「課税 ルール1」 を導 出 した条件の右辺 に支出政策の世代内所得分配 に与 える影響 を配慮 した項 をかけた条件が導 出 さ れる。この「所得分配の配慮」 を表す項がかけ られていることによって、老年期消費の総需要 の うち能力の高い家計の消費需要が 占める度合いが労働の総供給 の うち能力の高い家計の労働供給 が 占める度合い よりも高ければ、「課税 ルール1」 の要請する資本所得税 の税 収 シェア よ り高 い 資本所得税の税収 シェアを求め、総労働供給 の うち能力の高い家計の労働供給が 占める度合いの 方が高ければ、「課税ルール1」 の税収 シェア よ り低 い資本所得税 の税収 シェアを求 め る課税 ルールが得 られる。また、この課税 ルールは、税収関数の諸性質 と市場均衡価格 、税率、移転支 出の水準 に加 えて、家計の総支出に しめる若年期、老年期消費需要への支出の割合 と能力分布 の 形状の情報 を用いれば適用可能 となるルール として描かれる。

3節では政府支出が純粋公共財 となる場合 と公的供給 される私的財の場合 を考察す る。そ し て、純粋公共財の場合 と公的供給 される私的財の場合の どちらも、家計の効用関数が消費 と余暇 の分離可能性の条件 を満たす限 り、労働所得税 と資本所得税 は「課税ルール1」 に従 えば よい と

‑82‑

(6)

い う結果が得 られる。

最後 に第4節では、Part IとPart Iで 得た課税 ルールの限界 について述べている。

均 ―移 転 支 出 と課 税 ル ール

2.1  モデル

本節では、各期の政府が労働所得税 と資本所得税 によって徴収 した税収 をその期 に存在す る若 年世代 に均一 に再分配す る場合 の課税 ルールを考察す る。賃金獲得能力が異 なる家計 に対 して同 一の移転支出を与 えるのであるか ら、税収額 に応 じて経済の分配状態が変化することは容易 に予 想で きる。そのため、課税 ルール も所得分配の状態 を反映 した ものになる と推測 される。

前節でモデルの概要 を説明 したので、ここではそれに対応す る定式化 を中心 にモデルを提示 し てい くことにする。説明の重複 を避けるため、叙述的な説明は最小限にとどめたい。記号法 につ いて も前節で説明 しなかった もののみを述べ る。

まず、第 ι世代の能力 πの家計の生涯予算制約式は次の ように表 される。

cu+ qt+$zt+t : @tn (T- h) + at

ただ し、9汁1=1/(1+η+1(1‑′+1)),ω=(1‑ち′である。 ここで、鋳 は若年世代 に対 す る均 一移転支出である。Part Iの 定式化では、家計の生涯予算制約式に 鋳が表れることはなか った。

第 ′世代の家計の効用関数は、若年期消費、老年期 消費 、余暇 に対 して、連続 で、狭 義増加 的、狭義準凹関数 び(cl′,c2+1,ん)で表 されるが、Part Iと 同様 に、効用 関数 を次 の ようなか た ちに特定化す る。

υ(CL,C2′ +1,λ)=1/1(cl′,c2″+1)Q(λ) (2)

ただし、び(0)は 1次 同次、1/1(0)は ν次同次、ぁ(0)は 1‑ν次同次の関数で、O<ν <1で

ある。         

上記のような家計の定式化の下で、能力 π の家計の消費者選択 (効用最大化問題の解)

(cr,cr,λ

)と能力 πの家計の消費者選択(cF,こ,力π

)の 関係は、家計の生涯予算制約式にυが 入っているため、Part Iの場合より、若干複雑になる。まず、

ξttfttT+υ

ωπT+υ

と定義 しておく 。補 論1の手続 きに従 えば、任 意 の能力 πの家計 の消 費者選択 は、基準 と して選

(7)

択 され る能力 π の家計 の消 費者選択 に よって、次 の ように表現 され る。

(CF,C′,ん2)=(:Cr,:cr,:券λ)       (3)

さらに、能力%の家計の所得の限界効用 αと能力 πの家計の所得 の限界効用 απの間には、

Part Iと 同様 に、

=[券]ト

        (4)

が成立 す る。

また 、効用 関数 の特 定化 (2)よ り、能力 πの家 計 の余 暇 は、

λπ=(1‑ν)(ωπTttυ)      (5)

ωπ

となる。

家計の効用最大化問題の定式化 より、家計の若年期、老年期消費需要及び、余暇需要 は資本所 得税率(′7)` 労働所得税率(′)、 移転支出 )、 賃金率 )、 利子率 )の関数 として書 け る。

したが って、若年期、老年期消費需要、余暇需要関数 を効用関数 に代入することによつて得 られ る能力 πの家計の間接効用関数 を

) 7・(′7,ι

と表す ことにする。この間接効用関数 については、次の ようなロワの恒等式が成立す る。

子―    ど 新―ω

ttT一

=♂

各期 の消費財の生産技術 は1次同次生産関数F(4,イ)で表 され る。

若年世代 に対 して均一移転支出を行 う各期)の政府の予算制約式は、

… ズ

T一

のφ ②

adЧ+場

ち ら

J∞

場φ

4̲=酬

  

J

ここでは、分析 の簡単のため、移転支 出は若年 第 ι世代の人口である。

となる。ただ し、馬 は、

‑84‑

(8)

世代 に対 してのみ行われ、老年世代 には行われない とする。 しか し、′期 に共存す る若年世代 と 老年世代の両方に移転支出が行われた として も、本稿の結果には影響 しない。

労働市場、財市場 、資産市場の需給均等式は、それぞれ次の ようになる。

Io* n(T - h':) O(n)dnN, - Lo,

F(Kt,LI) :

I* ,i,o@)d,nN,* Io ,r,o@)dnN,-r+Kt+t-Kt

Kt*r: lr,I* ne-hD\@)an*ur

Io* ,i,O@)anfw,

(7)

(8)

(9) 市場の需給均等式 に関す るPart Iの ケース と本節の違いについて、少 しふれてお きたい。労働市 場 については、Part Iと まった く同 じである。 しか し、財市場 については、本節の設定ではPart Iのように政府支出 として消費財が費消 されるようなことはな く、純粋 に所得の移転が行われる だけであるので、財市場の需給均等式 に政府支出の項が現れて くることはない。また、資産市場 の需給均等式 は、第 ′世代の総貯蓄量 と′+1期の資本量が等 しくなることを示 しているが、家計 の予算制約式が移転支出の存在 によって変更 されたことに伴い、貯蓄の定式化 も変化 し、右辺 に 鋳が追加 されている点がPart Iと 異 なっている。

2.2 政府支出水準が所与 での課税ルール

Part Iと 同様 に分析対象 を定常状態 に限定するので、最適課税問題の 目的関数である社会的厚 生関数は、

απ φ π

ωγ η υ

(10)

と設定 される。また、最適課税問題の制約は、「Part Iの補論1:最適課税問題の制約条件の導 出」 と同 じ手続 きによって、

ωl∞π(T一λ2)φ(π )απ==JI∞cFφ (π )απ

[て11:ナ

'[テ

│キ:モ]」θφπ   (11) と表 され る。

さて、い よぃ ょ実際 に定常状態均衡 を達成す る政策パ ラメー タの集合 を表す制約(11)の 下 で社 会 的厚生 (10)を 最 大化 す る最適課税 問題 の1階の条 件 を求 め て い くゎ け で あ るが 、 そ の前 に、

(一人 あた り)税収 関数 を定義 してお く。

(9)

(12)

この税収関数の概念 を用いれば、労働所得税率 と資本所得税率 に関す る最適課税問題の1階 条件 を、「Part Iの 補論5:異質 な家計の場合の最適課税条件の導 出」 と同様 の手続 きを経 る こ

とによつて、次の ように表現す ることがで きる。

R窪ゴちωJI∞π(T一2)φ(π )απ

+持

J∞θ′φ(π )απ

(1+γ(1‑の

J∞

α π

C′

φ 。

π

=0

‑ωJI∞

α π π

(T一

λ π

)φ (π )α

π

=0

ここで税収弾力性

β7警争券警讐券

お よび、総税収 に占める資本所得税収、労働所得税収の割合(税収 シェア)、

=    '協

を用いて(13)(14)を変形 し、その2式よ りλを消去することによつて、

=百岸号券

=百

岩号券

であったので、支出政策 として均一移転支出を考慮す ることによつて、

(13)

(14)

(15)

が得 られる。

Part Iで の代表的家計 を想定 した場合 の「課税 ルール1」 及 び、能力の異 なる家計の存在す る 経済で支 出政策の影響 を無視 した場合 の「課税 ルール3」 を導 出 した条件 は

(16)

の部分が右辺 に追加 されるかたちで条件が変化 していることが分かる。

(16)を注意深 く見てみると、分子 は「老年期消 費あ総需要 に占め る各能力の家計の需要 の割合 をそれぞれの家計の所得の限界効用で加重平均 した値」 を表 してお り、分母 は「総労働供給 に占 める各能力の家計の労働供給の割合 をそれぞれの家計の所得の限界効用で加重平均 した値」 を示

‑86‑―

(10)

してい る。

ここでのモデルの設定では、家計の所得の限界効用は(4)か ら明らかなように能力 πに関する 減少関数となる。一方、能力π と%の 消費者選択の関係(3)ょ り、老年期消費は能力πの増加関 数となり、余暇は能力πの減少関数になる。余暇が能力に関する減少関数になることから、労働 供給 T― λπは能力%の増加関数になることは明 らかである。 したがって、分子 (分)の値 は、

所得の限界効用が能力%が高い家計ほ ど小 さい ことを考慮すれば、能力の高い家計が より多 くの 老年期需要(労働供給)を行 う度合いが高ければ高いほど小 さな値 になる。つ ま り、老年期消費 (労働供給)が「奢修財」 としての性質 を強 く持つほ ど分子 (分)の値が小 さ くなるのである2。

したが って、(16)の値 は、老年期消費が労働供給 よ り「奢修財」の傾向が強ければ、 1以下 の 値 をとり、逆 に、労働供給の方が老年期消費 より「奢修財」の傾向が強ければ、1以上の値 を と る。ここでは、資本所得税は老年期消費に対する課税であ り、労働所得税は労働供給に対する課 税である と解釈で きる。そ うする と、Part Iで 得 られた条件では、税収の弾力性が大 きい税、つ ま りは、税収 を上 げ易い税 ほど、よ り多 くの税収 シェアを占める ように課税す ることになった が、本節で得 られた条件では、たとえ税収の弾力性が小 さくとも、その課税の対象 となる財が相 対的に「奢修財」であるな らば、その税収 シェアは大 きくなければな らない ことになる。 した がつて、(16)は「世代内所得分配への配慮」 を反映 した もの と解釈できるであろう。

では、次 にPart Iの 条件では(16)が現 われず、支出政策 として均一移転支出を想定 した場合 に は条件 に(16)が現 われて きた理由について少 し考えてみ よう。まず、Part Iの 場合の能力の異 な る家計の消費者選択の関係 (cF,c′,ノ)=((π/網)cr,(π /π)c′ ,λ

)と 所得 の限界効用 の関係 α″=(π)1 να″を考慮すれば、(16)の値は 1に なる。一方、本節で得 られた消費者選択の関係

(3)、 所得の限界効用の関係(4)を (16)に代入 しても、能力分布の状況や均一移転支出の水準に依 存 してその値は必ず しも1に ならないことは容易に確認できる。我々のモデルにおいては、能力 πの家計の資本所得はηc′/(1+g)、 労働所得はωπ(T一)で表 される。 さらに、異 なる家計 の消費者選択の関係を考慮すれば、この資本所得及び労働所得は能力の異なる家計の間に比例的 な関係が存在することが分かる。Part Iの場合には、家計が獲得する所得は資本所得 と労働所得 のみであるので、この所得にそれぞれ線形の資本所得税及び、労働所得税が課税されても世代内 の所得分配状態はまった く変化 しない。一方、支出政策として均一移転支出を考える場合には、

2労働供給を「奢修財」と呼ぶことは語弊がある。しかし、ここでは直感的な理解を容易にするために表現の厳密性 を欠 くけれども、能力の高い家計(ここでは所得の高い家計と同じ意味になる)ほ どより多くの割合を占めるという意 味で「奢修財」という表現を使っている。

(11)

線形の課税 が採用 されていて もすべての家計 に同一の移転支出が与 え られるため、能力分布 の状 態や移転支出の水準 に応 じて経済の所得分配の状態 は変化す ることになる。つ ま り、Part Iの 場 合 には資本所得税 と労働所得税 を通 じては、世代 内の所得分配の問題 にまった く対処で きなか っ たために、(16)の ような項が現われてこなかったのである。 しか し、均一移転支出の場合には、

資本所得税 と労働所得税 を設定することは同時に所得分配の状態を変更することにもなるため、

(16)の項が現われてきたのである。このことからも(16)は、まさに資本所得税 と労働所得税の課 税に関する「世代内所得分配への配慮」を表す ものと理解できるであろう。

(15)に対 して、以上のような経済的解釈を与えることができたが、(15)は依然 として「市場で 観測できるデータで語る実用的な課税ルール」ではない。なぜなら、(15)は、すべての能力の家 計の所得の限界効用、及び、すべての家計の老年期消費水準、労働供給水準 といった市場で直接 観測することが難 しい変数によつて表現 されているからである。そこで、我々が 目標 とする「市 場で観測可能なデータで語る課税ルール」を得るために、(15)を(3)(4)(5)の性質 を用いて もう 少 し変形すると、最終的に次のような条件 を得ることができる。

これはかなり複雑な式ではあるが、右辺の((1+σ)/(1+γ(1‑′ 7)))(77/協)にかかつてくる項、

脅―

=器

万券卜型考先宅揚傷号 型塑

]

×

[       ]

[≦

2ヨ

ニ 」

1:Li::ド

:111,il:券

1;;【::1壁

21≧

」 ヒ

L]

×

[      ]

(17)

(18)

を見 ると、この値 は市場賃金率、労働所得税率、移転支出水準 、時間賦存量 に加 えて、家計の選 好 を表すパ ラメータのひ とつである νとπの平均値(/0∞πφ(π )α%)、 及 び、πの νで ウエイ ト付

け した平均値(/0∞π7(ππ)、 πの ν‑1でウエ イ ト付 け した平均値 (嶋 πν

(π )απ)が分 か れば決定す ることがで きる値である。市場賃金率、労働所得税率、移転支出、時間賦存量 は直接 観測 で きる値であ り、さらに、残 りの ものは、究極 的には νの値 と能力の密度関数の形状 (す わち、能力分布関数)が分かれば得 られる値 である。(5)よ り、1‑ν は家計が可 能 な総支 出額 に 占める余暇支出へ の割合 を表 しているので、νは、総支出額 に占める若年期 、老年期消 費支 出 占める割合 を表 している。さらに、効用 関数 をコブ・ ダグラス型 に特定化 した場合 には、νが家

‑88‑

(12)

計の選好 を表す唯―のパ ラメータとなる。その場合 には、現実の所得分布か ら能力分布 とνの値 を導 き出す ことがで きることが入谷 (1986,pp.172‑175)に よって示 されている3。 っ ま り、 もう 少 し効用関数の特定化 を許せば、能力分布 とνの値 を得 ることがで きるのである。これ らの こ と を考慮すれば、(17)は「市場で観測可能なデータで語 る課税 ルール」 を導 く条件 にな り得 る もの と解釈で きるであろう。       .

つ ま り、(17)から「労働所得税 、資本所得税が、社会的厚生 を最大化するという意味で最適で ある」 ときの性質 として、次の課税 ルールを得 ることがで きる。

課税ルール4:同一世代内の家計 に能力の差異が存在する経済で、家計 の効用 関数が(2)で表 さ れ、政府が均一移転支出を行 う場合には、税収 シェアの比率 に(1+σ)/(1+7(1‑ら))と(18)の をかけて得 られる値が、税収の弾力性の比率に等 しくなるように資本所得税 と労働所得税は課税 されていなければな らない。

2.3 最適政府支出水準 での課税ルール

これ までの分析 では、均一移転支出の水準 υを最適化することを許 していなかった。そこで次 に、移転支出の水準 を操作することを許 し、支出政策 も含めたかたちでの課税ルールの導出を目 指す ことにする。

最適課税問題 において、労働所得税率、資本所得税率に加 えて移転支出水準 υも操作変数であ るとすると、最適課税問題の1階の条件 として、(13)(14)と もうひとつ、

λ απ φ π α

(19)

(20) を得 ることがで きる。

ここで(4)を考慮 しなが ら、(13)(19)からλを消去 した式 を資本所得税 に関す る税収弾力性及 び税収 シェアを用いて変形すれば、

=  

が得 られる。

3具体的には、駿河 (1982)等 の対数正規分布の所得分布の推計結果及び実際の政府支出水準が、ある能力分布の平 均 と標準偏差及び、シェア・パラメータの値の下での競争均衡の結果と一致するようにする。競争均衡での税収 と実際 の政府支出水準が等 しくなる式、競争均衡の所得分布の平均及び標準偏差 と推計での平均 と標準偏差が一致する式の3 式 を用いて、3つの未知数である能力分布の平均、標準偏差、シェア・パラメータを求める。

(13)

一方 、(14)(19)に つ いて も同様 の手続 きを行 えば、

β"  ̲

1‑訳/勿 (21)

(24)

(25)

(26) が得 られ る。

資本 所 得税 や労働所 得税 に関す る税 収弾 力性 と同様 に移転支 出 に関す る税 収 弾 力性 を次 の よ う

(22)

と定義する。しか し、ここではすべての税収は移転支出に支出されるので、υ/R=1であること

を注意 してお く。

(20)の両辺にR/υ をかけ、右辺を(3)(5)を 用いて若干変形すれば、(20)は移転支出の税収弾力 性の概念を用いて最終的に次のように書 き直すことができる。

(23)

β υ 雪子券

vaT A-πンφ(π )αη/鴻

πν(■)απ一(1‑ィ

=器 桁 多 重鰐 器 脇 ν 幽

(20)について も、移転支出の税収弾力性の概念 を使 えば、

七 =μ Ч 繹 脇 絆 罪 勉

φ(π )απ一(1‑ν

と書 き直す ことがで きる。定義 よ りβυは1%の移転支 出の増加 に対 して税 収が変化す る割合 を 表 しているので、1‑βυは移転支 出の変化 によつて生 じる実質的な政府予算の悪化の度合い (「 転支出による実質的な政府予算の悪化度」 と呼ぶ)を表 している。

さて、ここで(23)式

ωT流∞πνφ(π )απ/氏πν)磁十υ ωT/0∞ πφ(π )απ tt υ

及 び、(24)の

νωT氏

πφ(π )απ一(1‑ν

に注 目すれば、どちらの値 も家計の支出に占める余暇の割合 を示すパ ラメータ νと能力分布 関数 の形状が分かれば得 ることがで きる ものである。 したがつて、政府支出水準 を所与 とした場合 と 同 じ根拠 によつて、(23)(24)はすべ て市場で観測可能 なデー タで描かれた条件 と見 なす こ とがで きる。つ ま り、(23)(24)よ り、社会的厚生 を最大化す る労働所得税 、資本所得税、均一移転 支 出

‑90‑―

(14)

に関する課税 ルールを次の ように述べ ることがで きる。

課税ルール5:同一世代内の家計 に能力の差異が存在する経済で、家計 の効用 関数が(2)で表 さ れ、政府が均一移転支出を行 う場合 には、資本所得税の税収弾力性 と移転支出による実質的 な政 府予算の悪化度の比が、資本所得税 の税収 シェアに(1+σ)/(1+″ (1‑み ))と (25)の値 をか けた ものに等 しくな り、かつ、労働所得税の税収弾力性 と移転支出による実質的な政府予算の悪化 度 の比が、労働所得税の税収 シェアに(26)の値 をかけた ものに等 しくなるように、資本所得税 、労 働所得税、均一移転支出が設定 されていなければならない。

以上の考察 によって、支出政策 として均一移転支出が行われる場合の「市場で観測可能なデー タによって語 る課税 ルール」を導出す ることがで きた。「課税 ルール4」 か ら明 らか な よ うに、

政府が均一移転支出を行 う場合 には、代表的家計ケースや支出政策の側面 を無視する場合 とは異 な り、課税 によって所得分配状態が影響 を受けるため「課税 ルール1」 とは若干異 なるルールが 適用 されることが分かった。さらに、Part Iで は考察 されなかった政府支出水準の最適化 に関す るルール も「課税 ルール5」 によって与 えられた。Part Iで は税収関数の諸性質 と人口成長率、

利子率、税率の水準 だけで適用が可能なルールであったが、本節で得 られた課税ルールを適用す るためには、追加的に、選好パ ラメータの値や能力分布 関数の形状 についての情報が必要 にな る。その意味で、課税 ルールの適用の容易 さは少 し後退 した と言える。 しか し、この情報 を得 る ための推計は、従来の最適課税条件で必要であつたすべての家計の補償需要の反応度や所得の限 界効用、及び、政府支出の社会的な限界費用 (ラグランジュ乗数 λ)の推計 より、越 えるべ き障 害は少 ないであろう。 また、従来の最適課税 ルール とは異なるかたちで最適な課税の もつ性 質 を 明 らかに した とい う点で も「課税 ルール4, 5」 は十分意味があるだろう。

公 共財・ 公 的供 給私 的財 と課 税 ル ール

3.1 設定の変更

本節では、政府の支出政策 として次の2種類の もの を考察す る。

まずひとつは、各期の政府が1単位 の税収 (つま り、消費財)か1単位の純粋公共財 を生産 するケースである。この ような公共財の生産技術 を想定すれば、税収額の分だけ公共財が生 産 さ れることになる。この政府が生産す る財 は純粋公共財であるので、公共財の総量がすべての家計 に等量消費 される。 しか し、ここでは分析の簡単のため、′期の公共財 は ′期 の存在す る若年世

(15)

代 にのみ等量消費 され、老年世代 はその公共財か らは便益 を受けない と仮定する。さらに、純粋 公共財 を考察する場合 には、定常状態での分析 を容易 にす るために人口成長率がゼロ(g=0)で

ある経済 を考えることにする。

もうひとつは、公共財の場合 と同様 に、各期の政府 は1単位の税収か ら1単位の財 を生産 す る のであるが、その財 はいわゆる排除性 、競合性 をもつ私的財であるケースである。ここでは、 こ の ′期の政府 によって生産 された財 はその期 に存在する若年世代 に同量ずつ無償で割 り当て られ るとす る。このケースを、公的供給 される私的財のケース と呼ぶ ことにする。このケースの場合 には、純粋公共財 の場合のように人口成長率 をゼロとする必要はない。

さて次 に、上の2種類の支出政策のケースについて具体的に定式化 し、前節のモデル との変更 点 を確認 してお くことに しよう。 まず、′期の政府の予算制約式は、生産 され る純粋公 共財 、 ま たは、私的財 をQとすれば、

と表せる。純粋公共財の場合には、人口成長率がゼロとするので、馬=馬̲1=Ⅳ (一)と る。そ して、その期の若年世代がQの公共財を等量消費することになる。一方、公的生産 され る私的財の場合には、′期の若年世代に対 してc/馬ずつその財が配分される。

第 ′世代の能力 πの家計の生涯予算制約式は、

Crr* Qt*tCzt*t : @tn(, - rt, twtut

Io* n(T- hDO(n)d,nN,* t,trtet

[o* ,t O@)dnN,-, : G,

(Cl,,C肝 1)あ(ん)鴫(Gr/馬)

(27)

(28)

となる。これは、Part Iで の家計の生涯予算制約式 と同 じである。

一方、家計の効用関数は、純粋公共財の場合、若年期消費(c.)、 老年期消費(c2″+1)と余暇

)、 純粋公共財(c)の関数として表される。本節でも、前節と同様の効用関数の特定化を行 うことにする。つまり、(c ,c2+1)と ん′、さらに、Cとの間に分離可能性が存在する効用関数、

(Cl,,C2′+1)磁(ん)鴫(C)      (29)

ただ し、鴫(0)はν次同次、1/2(°)は 1‑ν次 同次、1/3(・)は μ次 同次関数、に特定化す る。

また、公的供給される私的財の場合には、Cの代わりにc/馬が入つてくる関数、

-92-

(30)

(16)

で効用関数が表 される。

純粋公共財 の場合、公的供給 される私的財の場合の どちらも、Part Iと まった く同 じ生涯予算 制約式で、かつ、Part Iと 同様 に、分離可能な効用関数 を想定す るので、能力 π の家計 の消費 者選択 と能力 πの家計の消費者選択の関係は、Part Iと まった く同 じもの となる。つ ま り、能力 π の家計の消費者選択 を(cr,C′,んπ

)と 表せ ば、任意の能力 πの家計の消費者選択は、

(οF,C′,んπ)=(非cr,裁ο′,んπ

)

となる。また、能力2と能力 πの家計の所得の限界効用 について も、

=[讐]ト

という関係が成立する。

さらに、余暇需要は時間賦存量の関数として、次のように表せる。

(31)

(32)

λ=(1‑ν)T (33)

生産技術には、純粋公共財 も公的供給される私的財 も影響を与えないとするので、生産関数は 前節 と同 じである。

また、市場の需給均等式は、労働市場はまった く同じ式になり、財市場、資産市場は、次のよ うになる。

F(K,,Ll) :

Io* ,?,oQ)dnN,+

[o* ,ko(n)d,nNt-t+Gt+K*r-K, Kt+r: lr,fr* n(T-hDe@)dn-

I- ci,O@)d,n]N,

(34)

(35)

ただし、純粋公共財の場合は、馬=襲̲1=Ⅳでぁる。政府による公共財や私的財の生産のため に消費財が使われるので、財市場の需給均等式にQが表れてきてぃることに注意 していただき たい。また、資産市場の需給均等式は、家計の生涯予算制約式の変更によって、前節とは若干異 なった式になっている。

3.2 純粋公共財 と課税ルール

以上の設定の下で分析対象 を定常状態 に限定 し、定常状態均衡の中で家計の効用の総和で表 さ れる社会的厚生 を最大にする労働所得税 と資本所得税及び、支出政策の性質を考察 していく。

(17)

家計の若年期 、老年期消費需要、余暇需要 は資本所得税率 ′′、労働 所得税 率 ′″、公 共財 の水 G及び、賃金率 ω 、利子率 γの関数 になるので、効用関数 に若年期 、老年期消費 、余 暇需要

関数 を代入 した能力%の家計の間接効用関数 を

(′7,′ω,G,ω,r)

で表す 。 この間接 効 用 関数 につ いて もロワの恒等 式 、

1%l=一      

α π ο ′

,三

〕 「 峰

=一

ω α

2(T一

λ π

)

が成立す る。

最適課税 問題の 目的関数であ る社会 的厚生関数 は、上の間接効用関数 を用いて

JI∞ 7π (ら,(3,1り,7)φ(π )απ      (36) と表す ことがで きる。

さらに、最適課税問題の制約 は、g=0(人口成長率ゼロ)に注 意 しなが ら、Part Iの 補論1 と同様の手続 きに従 えば、次の ように表す ことがで きる。

ω

JI∞

π

(T‐

― λ π

)φ (π )α

π

=J∞ CFφ (π )α

π

=卜

[」

:(1吉:「

)5「

l∞

θ ′ φ

(π )α

π

   (37)

最適課税問題 は、(37)の制約 の下で(36)を最大化す る ι,′ω,Gの選択である。

ここで前節 と同 じように税収関数 を

R世ゴ′a′JI∞π(T‐―んπ)φ (π )απ+′γσ

JI∞ C′φ(π )απ       (38) と定義す る。この税収関数の概念及び消費者選択 の関係(31)(32)を考慮 すれ ば、′7'′″を操作 変 数 とした ときの最適課税問題の1階の条件 は、

(1+バ1‑ち))2型;デ

lJ∞ πνφ(π )απ

=0     0"

"7;二L「(T――んπ1∞ πνφ(π )απ

==0       (40)

ただ し、λは最適課税 問題の制約 に対す るラグランジュ乗数、となる。さらに、Gも操 作 変 数 と すれば、上の2つの条件 に追加 して、

―‑94‑―

(18)

JI∞ υKcF,C′)1/2(λ2)」生φ(π )απ̲λ =0 (41)

(42) とい う条件が得 られる。

実は、(39)(40)はPart Iで 得 られた最適課税問題の一階の条件 (Part Iの (22)(23)式)と まっ た く同一の式である。一方、(41)はすべての家計の公共財か らの限界効用の総和が公共財 の社 会 的限界費用 に等 しい とい うサ ミュエルソン条件である。

さて、ここで前節 と同 じように、この条件(39)(40)に、σ=0に注意 しなが ら税収 の弾力性 及 び、税収 シェアの概念 を適用すれば、結果 として、条件、

β7=  1   β″  1+″(1‑ら)協

を得 ることがで きる。これは、σ=0でのPart Iの 「課税 ルール1」 を導 出 した条件 (Part Iの (18)または、(24)式)である。 したが って、支出政策 として純粋公共財 を考えた ときの社 会的厚 生 を最大 にする資本所得税 、労働所得税 についての課税ルール として次のルールを得ることがで

きる。

課税ルール6:同一世代内の家計に能力の差異が存在する しないに関わらす、人口成長率がゼ ロ の経済で、かつ、家計の効用 関数が(29)で表 され、政府支 出が純粋 公共財 であ る限 り、「課税 ルール1」 に したが って資本所得税、労働所得税が課税 されていなければならない。すなわち、

税収 シェアの比率 に(1+σ)/(1+″(1‑′ 7))をかけた値 (ただ し、σ=o)が、税 収 の弾力性 の比 率 に等 しくなるように課税 されていなければな らない。

支出政策 として均一移転支出を考えた ときにはやや複雑 な課税 ルールが得 られたが、純粋公共 財 を考えるときには、能力分布の状況 を考慮することな く単 に税収関数か ら得 られる情報のみで 課税 ルールを適用すればよいのである。

次 に、(41)から最適 なGの水準 に関する「市場で観測可 能 なデ ー タで語 る実用 的 なルール」

の導出を試み よう。(41)を見れば、すべての家計の公共財 か らの限界効用及び公共財の社 会的限 界費用 を表す ラグランジュ乗数 λが含 まれてお り、明 らかにこの条件か ら直接 に実用的なルール を得 ることはで きない。 ところが、効用関数が(29)で表 されるのであれば、補論2で示 され る よ うに、

(19)

(CF,C′)Q(λπ

)」堕 =απωπT―

となり、さらに、能力π とπの家計の所得の限界効用の関係(32)を考慮すれば、(41)は

n'Q(n)dn: 7

 βηⅣ μωT埼

πφ(π )απ

Jo r

/一濯 ぽ 一G 一Ⅳ

(43)

(44)

と書 き直すことができる。

そうすると、(40)との比をとり、労働所得税の税収弾力性、税収シェアの概念を用いることに よって、次の条件を得ることができる。

(45)

この条件 に関 しては、これまでの分析 と同 じように税収の弾力性 と税収 シェアは比較的容易 に 得 ることがで きるデータと解釈すれば、二 ω,■Gは直接観測可能な変数 であ るので 、能力 πの 平均値 とμの値が分かるのであれば、この条件か らい わゆる実用 的 なルー ルを導 くこ とがで き る。 しか し、能力 πの平均値 は、前節で述べ たように、実際の所得分布か ら能力分布 を逆算 す る ことによつて得 ることがで きるが、効用関数のGの関数の部分 の次 数で あ る μの値 を知 る こ と は非常 に困難である。このμの値 を知 ることは、公共財の限界効用 を知 ることにはぼ等 しい。 し たが って、公共事業 な どの費用便益分析 において知 られている公共財の便益 を推計す ることの困 難 と同程度の困難が このμの推計 において生 じることが予想 される。つ ま り、上の条件(45)は 見す ると非常 に実用的なルールを導 き出す ことがで きるものの ように見 えるが、残念 なが らμの 推計 の点で実用 には少 し遠い と言 わぎるを得 ない。

もし、μの値が既知であるとすれば、社会的厚生 を最大 にす る労働所得税 、資本所得税 、公共 財水準の もつ性質 を示す もの として、次のルールが得 られる。

課税ルール7:効用関数が(29)で表 され、かつ、政府が純粋公共財 を供給す る経済 において は、

「課税 ルール1」 を満た し、かつ、労働所得税 の税収 シェアの値が税収 の弾力性 に ×家計 の 最大獲得可能所得の総和/公共財の水準(G))をかけて得 られる値 に等 し くなる ように、労働 所得税 、資本所得税 、公共財が設定 されていなければな らない。ただ し、家計の最大獲得 所得 の 総和 とは、施 T/0∞ πφ(π )απである。

しか し、このルールの後半部分 は現時点では、特定化ケースでのサ ミュエルソン・ルールの別

‑96‑―

参照

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