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移行過程の考察

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(1)

ヒックスモデルにおける移行過程の考察 19

ヒックスモデルにおける

移行過程の考察

児玉元平

1

一般的にモデルの経済変数に日付がつけられ,これらの変数が異時間的に 関係する場合,このモデルは動学的となる。動学的モデルはまた均衡動学と 不均衡動学とに区分される。今日の経済成長理論の多くはこの成長均衛の条 件を吟味する。また,経済体系のパラメーターの変化によって生じる新旧成 長均衡状態の比較は比較動学である。不均衡動学は不均衡過程の調整メカニ ズムの性格を吟味する。ヒックスは二つの恒常的成長径路問の現実的径路を 移行過程(traverse)の問題としてとらまえる1)。アレソはこの問題を単純 に安定問題として規定するが,ヒックスにあっては「恒常的状態から飛び出 してモデルが新しい条件に適応しうる径路,可能な径路を調べる。これは,

たんなる均衡の安定問題ではない。たとえ,そのモデルが新しい均街に改故 する傾向をもつと保証されても,(されないかもしれないが)その途上にお いて何にがおこるかが重要な問題として残る2)。」ヒックスは移行過程の問 題について二つの分析をあたえている。その一つは,経済の二部門モデルで

もって,この二つの産業部門における資本労働比率の差異が移行過程の性格 を規定する要因としてとりあげるものであり,もう一つのものは,技術進歩 のあたえる移行過程の考察である。「現実の経済が技術の変化に反応しうる 方法には二つある。その一つは,過去においてある生産技法(technique)に よる生産に使用するために入手された(そしてその生産技法による生産に使 用するように設計された)器具を転用して,本来そのために設計されていな い目的のための道具としてできるだけうまく任用することであろう。……も うひとつは,古い種類の資本財の更新のために,あるいはそのような資本財

(2)

への投資のために使用されるはずであった資金を,新しい程類の資本財の生 産資金に転用することであろう3)0 

J

ヒックスは後者の観点から技術変化に 反応する移行過程を吟味しているO もっとも,彼は資本の展性

( m a l l e a b i ‑ l i t y )

を含むモデノレによる分析のな義と可能性を否定してはいない心。

ヒックスの二部門成長モデノレは,価格方程式,数豆方程式,貯蓄方程式よ り成り立っている。すべての消資財は不変の割合で生産され消賀されると仮 定すると,消費財は単一の合成財とみなすことができる。ヒックスは泊賀財 を殻物で代表するo1ì~ 賀財は労働と資本財でもって生産される o また,資本 財は

j

主1

1

財の生産に使用されるものと同じ資本財と労働でもって生産され る。かくて単一資本財の仮定が設定されるD ヒックスでは資本財はトラクタ ーで代表されるO 労働と資本はすべて同質的な生産要素と仮定され,資本財 の耐用期間は永久的であるD そこで,減価償却の問題は排除され,資本財部 門における生産は純投資にひとしい。

完全競争均衡の下では,売上額は生産買にひとしい。また,売上額は賃金 所得と利潤所得(資本利子所得)とに分配されるD 資本財産業部門では,

P

1

Ql=rP

1

K

1

wL

1

K

,. 

L

, 

P

=rP

~~

Q l

士一十 w~ー-

  '    Q . . l  

( 2 . 1 )   ( 2 . 2 )   P

1は資本財の価格,

Q l

は資本財の生産量, KIと

L

1はこの部門で使用されて いる労働呈と資本ストックの呈を示す。貨幣賃金率

w

と利潤率

r

は両産業部 門では同ーと仮定するD

=a

1

~~=bl 2 . 3  

(2 ) 

はこの部門での資本係数,労働係数を示し,技術水準は所与で,乙れらの生 産係数は固定的と仮定するめ。そこで,

P

=rP

1

a

+wb

2 . 4  

消費財部門の価格方程式は

P

2

=rP

1

a

2

wb

2

( 2 . 5 )  

(3)

ヒックスモデルにおける移行過程の考察 2 1   となる

D

ここで,

b

一 一

L 7

一 一

k

一 弘

( 2 . 6 )  

P 2 は消費財の価格, Qzは 消 費 財 の 生 産 量 , む と b z も固定的な生産係数で ある

O

( 2 . 4 ) より,

LU W

¥ ノ

1 r h b

r

一 一

1

1

=  

N L W  

( 2 . 7 )   ( 2 . 8 )   ( 2 . 5 ) より,

r a o b .  

二~=b ヲ十一一日

w  1  ‑ra

( 2 . 9 )  

?l~

:b'r財を価値尺度財として P

2

1 とおく。

r a o  b .  

ー 土 ー

=bo+

一 こ 土

w

1‑ra

t

(2.10) 

この式はヒックス的な志味における賃金方程式,サムエノレソン的芯味におけ

る要宗価格フロンテイアーであるの。ところでこのヒックス的価格方程式に はケネデイの指摘するごとく,価格生産費決定関係における時間的ラッグが 合まれておらないの。 ( 2 . 1 0 ) 式より,

b

一 一

m a ‑ ‑

Ti  

1A

可 ︑ ︐

L υ  

一 一

14 

(2.11) 

この式より,

1  =wr(a2bt‑atb2)+wb2+rat  (2.12)  今 m=a2 b

1

/a

1

b2 とおこう

D

乙の m は泊究財部門における資本労倒比率と 資本財部門における資本労働比率との比を示す。乙の m を (2.12) に導入す

ると,

1  =  (m  ‑ 1  ) a

b2  wr+wb2  +  r a

①  m=1 であると,

(2.13) 

W=J_~~~1

‑ ‑

b

z  ( 2 . 1 4 )  

となり,賃金曲線は直線となり, (w ,  r) の平田では r=O で は 極 大 託 金 率

(4)

w=1/b

2

, w=Q で は 極 大 利 潤 率 r= 1/a

1

となる

o

m =   1 であると,消 費財で測った資本財の価格は賃金率の変化に閃係なくコンスタントである

D

乙の効果を中立的ウイクセル効果とよぷ。

mキ

1であると直角双曲線となり,

②  m>l であるとこの曲線は原点に対して凸となり,消費財で測った資本 財の価格は賃金率の上昇,利潤率の低下によって上昇する

O

乙れは正のウイ

クセノレ効果である。

①  m<l であるとこの曲線は原点、に対して凹となる

D

賃金率の上昇,利潤 率の低下は,消費財で測った資本財の価格を低下せしめる

O

乙れは負のウイ

クセノレ効果である

O

消費財で測った資本財の価格は,

p ,= 

一 一 一

. ‑ ‑ , ‑ ,~

b

2

(m‑1)ra

1

b z

m=l であると,

p

, 

=-,?~ b

2, 

( 2 . 1 5 )  

( 2 . 1 6 )  

資本財価格は賃金率,利潤率の変化に関係なくコンスタントである

D

ところ で m=l の場合を考えよう

o

m =   1 で , a

1

=a

b

1

=b

2

であると , ( 2 . 1 4 )   より,

dw  a

d r   b

L  ( 2 . 1 7 )   となり,賃金曲線の勾配は経済全体の資本労働比率を示し,曲線の弾力性は 相対的な所得分配率を示すことになる

o

ところで m=l であるが, a

1

a

2

b1b2

であるようなケースでは,賃金曲線の勾配は経済全体の資本労働比率 をあたえるものでなく, したがって出線の弾力性も経済全体の所得分配率を 示さず,資本財部門における利潤分配率と消費財産部門における賃金分配率

との比を示すにすぎない。即ち,

dw  r  r a 1  rK 1 /Ql 

d r   w  wb wL 2 /Q2  ( 2 . 1 8 )  

〆/

ハ 川 一

z

p ‑ 6 .  

f/ ' // '

K

一 色

Pfi

‑ 一

( 2 . 1 9 )  

(5)

ヒックスモデソレにおける移行過程の考察

2 3  

P1は即述のごとく消費財で測った資本財価格

w

は実賃賃金率(消費財で 測った)を示しているo このような考察はヒックスが生産技法の選択問題で 指摘した重要な警告の意味を明らかにしているつぎの図を見るo一つの生産

1

1

f

l

D つ

V /

  A A  

技法を示す直線は

( a1

b 1

, 

a 2

, 

b2)選択可能な他の生産技術は ( a '1  b '   1

, 

a '

2 )  

b'2)

で示される。

a '1> a1  b '  2  <b2

であるo この二つの生産技法を

α

β

で示さうoそこで利潤率の低下,賃金率の上昇は,資本財部門でより高 い資本係数

(a'1>a1 )

をもっ技法(資本集約的)を採用せしめ,

1 i ' j y 2

財部門 ではより小なる労働集約的技法

( b '2  <b2)を採用せしめる。しかし消費財

部門におけるむ,資本財部門におけるb1についてはなにもいうことができ ないのである。 rしたがって賃金曲線が直線型の場合でさえ,資本資本係数

( a

1) と労働消費財係数

( b

2)について二つの確乎たるノレーノレをもちうるに すぎないのであって,それが結論のすべてである的。」

つぎに数

5 2

方程式についてである。移行過程の吟味にはこの方程式が主要

(6)

であるo均衡では,労働と資本財の使用呈はそれらの存在呈にひとしい。

K=K

1

+K2  L=L

+L2 

( 2 . 2 0 )   ( 2 . 2 1 )  

生産係数を使用すると,

K=a

1

Ql

a2 Q2 L=b

1

Q l  +b2 Q2 

また,資本の成長率を

g

で示すと

Ql=gK

( 2 . 2 2 )

に代入して,

( 2 . 2 2 )   ( 2 . 2 3 )  

( 2 . 2 4 )  

K=a

1

gK

+a2 Q2  K( 1  ‑a

1

g)=a2 Q2 

( 2 . 2 5 )  

a

亘 7 一( ‑a

1

g ( 2 . 2 6 )  

また,

h u十

で ノ

'一

σ b

E 1  

1

一 a A

一 一

a

一一1E 由

一 ︐

F t ‑

L 一 一

一 ハ 凶 ( 2 . 2 7 )  

a

L 一五十 ( a

2

b

1

‑a

1

b

2) 

m=a2  b

1

/a

b2

を代入して,

( 2 . 2 8 )  

a

L=~.l 十 (m- 1  )a

1

さらに,

(m‑ 1)  a

=c

とおくと,

( 2 . 2 9 )  

a

L-=~.τ子 cg

( 2 . 3 0 )  

この式は集計的な資本労働比率の方程式であるo

(1  +  c g )

が小であるほど

K/L

の比は大となるD しかし,

( l +cg)

g

とともに増大するか減少するか

(m‑1) a

1に依存するD 換言すれば技術が不変であれば

m

に依存する。

m=1

であると

c=0

,そこで

g

に関係なく

K/L

はコンスタントであるo

m>1

であると

c>0

,そこで

g

の増大とともに

K/L

は低下するo

m<1 

であると

gの増大とともに K/L

は上昇するD もし,経済が初めに

g

。で均衡

しているとすると,この

g

。に適した

K/L

が対応的に存在しているであろ

(7)

ヒックスモデルにおける移行過程の考察

2 5  

oそこで,技術が不変で

g

が変化すれば,均衡資本労働比率も変化するで あろうD しかし,

t  =  0

では現実の

K/L

はこの新しい均衡に適切なもので はないであろうo ヒックスでは総体的な貯蓄性向の調整がiあると仮定され,

考案の焦点は移行過程における資本労倒比ギーの調整にあてられている。

資本の完全使用と労働の完全雇用とが実現しているならば,上述の

K/L

方程式はどの期間においても成立しているo

り口

1

一 一

'

K

︿

( 2 . 3 1 )  

として,新しい均衡成長率(ここでは労働の成長率)を

g

ホで示そうo

2174+ ( 2 . 3 2 )  

そこで,

Kt

+1  / 

Lt

+1 ̲ 

l+gt 

一 一 一 一 一

Kt  /  L t   1

g

( 2 . 3 3 )  

また,

( 2 . 3 0 )

より,

Kt土~/~ー」土

~g~

L

む +1 / 

L t   1

cgt

( 2 . 3 4 )  

そこで

( 2 . 2 3 )

( 2 . 3 4 )

より,

l+g

t ̲ 

1

cg

t

l

g* 1

cg

も+

( 2 . 3 5 )   c

(l十

g

勺 ー

c

(l

+g 色 ) ̲ ,  

c‑1 

一一一→一一一一一一一一一一

=1

十一一 一一

l

cgt

1

cgt ̲ .  

1

cgt ( 2 . 3 6 )  

︑ ︑ ︐ ノ

inU A 't

lf

‑一ハし

J '

: 一 一 十

︿一

1

・不一本

σ b

一 一 戸 σ b

U

L

f

一 +

k

1

pu

↑ 一 一

一 一

‑ 一

g

c

pu

一 ‑

1

A

um

一川

M J ふ

z ‑

一C

いハl

一 +

'ua/f¥一﹃

14

c 一

となるD そこで

( c ‑ 1)  / c (   1  +  g

り の 絶 対 値 が

l

より小であれば,

t  → ∞  

にしたがって

g tはどに収放する。

可 / 1 ‑ c  / 、

ー ム

¥c( +云す¥上 ( 2 . 3 8 )  

とおいて,

O  / 1 + c U /  

¥c(  日 百 J ¥2 ( 2 . 3 9 )  

数 5 2

方程式から

a

1

g<1

であるから,

a

1

g

ネ く し そ こ で (

1

c g : ! っ > 0

であ

(8)

D 上述の不等式で

c>O

であるD また上述の不等式より

(1  +cg 勺 < 2  c  (1  +g り

dF<C 

c=(m‑1)a

1であるから,

1  / 

一一~\(m-

2  +g i l ' ¥   1  )a

1 / ( m ‑ l )   a

1

(2  +ど)¥

( 2 . 4 0 )   ( 2 . 4 1 )  

( 2 . 4 2 )   ( 2 . 4 3 )  

そ乙で

c>o

であることは

m>l

であることを:意味するo

a

1は資本資本係数 であるが,乙の係数はストックとしての資本とフローとしての資本財の産出 量との比を示すものであるから測定期間の長さを短縮するとその数値は大き くなるD 逆に

g

はフローとしての産出量とストックとしての投入呈との比を 示すから測定単位の長さを短縮せしめるとその数値は少さくなる。そ乙 で,期間の長さを短縮するにつれて

a

1

g*

が不変としても

a

jは大きくなり,

調整が連続的であると

(2a

1

+a

1

g

りは限りなく大きくなって,最後には

( 2 . 4 3 )式の左辺は零に近づくであろう

D この点から収放の条件は

m>l

あると考えることができる。アレンのモデルでは微分方程式を使用して,

1

部門モデルの恒常的成長径路は,消費財部門の方がより機械化されている場 合に限りハロッド的意味で安定的であるo 同様に,別の解説として,同じ条 件の下で,一つの恒常的状態から一つの新しい恒常的状態への収欽的径路が 存在する10)

o J

もし,調整が連続的でなく間隔的におこなわれるとすると,

m>l

であっても

1

との差が僅かである場合その

mは収欽に十分でなく,均

衡へのスムースな移行が存在しなしゅュもしれない。しかし,移行過程の分析 は単純に均衡の安定不安定の条件のみを吟味するだけでなく,移行過程にお いて何にがおとるという問題の方がより重要であり, したがって

m ミ l

g o

三どの結合的なケースについて移行過程を考察しなければならなし)11) 調整は上方調整

(downwardadjustments)

と下方調整

(downwarda d j u ‑

s t m e n t s )

とに別けて吟味されるo

g

。は出発的における経済の均衡成長率を 示した。それに対応した適切な資本労働比率が存在していた。いま,労働の

(9)

ヒックスモデルにおける移行過程の考察

2 7  

成長率がどとなったとする。技術水準は不変であると仮定するD

( 1 )   m >   1

go>g

求。この場合成長率は低下しなければならない。数量 方程式より,

Ql  a 2 g 

Q2  1  ‑a 1 g  ( 2 . 4 4 )  

であるから,

g

の低下によって

Ql/Q2は低下する。 m>l

であるから新し い均衡へ収欽する条件は存在する。相対的に消費財生産の方が大となるか ら,新均衡へのシフトが瞬間に生じるならば,現存労働力を完全に雇用する には資本ストックの不足が生じ,失業が発生するo しかし,新均衡へのシフ トが漸進的であるとこの失業は回避できる口期間

O

では

K

。と

L

。で,資本 の成長率が

g o

であると資本と労働の完全雇用は維持されるO 期間

1

では労 働の成長率はど,資本の成長率が

g o

であると,その結果

K/L

の比は増大 していなければならないD しかし,消費財部門の方がより機械化されている のであるから,資本の成長率が

O

期よりも低下し,消費財部門へ資本の移転 吸収があるならば,完全雇用は維持される。調整が連続的であり,資本成長 率のどへの低下と,消費財部門への資本移転吸収によりて完全雇用は新均 衡に向う現実径路において維持されるo

K/L

はまた

g*

に対応した水準に向

って上昇してゆくO

( 2 )   m>l

go<

ど。最終的に新均衡では

Ql/Q2は上昇し ( 2 . 4 4

式) ,資 本財部門の生産は消費財部門にたいして相対的に増大するO 新しい均衡では

K/L

は低

F

しているD もし,瞬間的にこの新均衡へ移動せんとすると資本 は過剰となるo そこで,新均衡へのシフトが漸次的とするO 最初の資本成長 率は

g

。であるが,次期で成長した労働に対応して資本の成長率も上昇しな ければならない。ところで,資本財部門の資本労働比率は消費財部門の資本 労働比率より小で、あるから,相対的に増加した労働を吸収するためには,資 本財部門の生産が拡大しなければならない。そ乙で

g tは大きくなる。 g

色は

j

明次的にどに近づくD 移行過程において完全雇用は維持されるo

g

の低 下,上昇にかかはらず,

m>l

の場合漸次的な調整では完全雇用を合む移行 過程は可詑であるD 勿論上述の移行過程では貯蓄性向の変化が漸次的におこ

(10)

ることを前提としているD

( 3 )   m<l

g

。くど。

gの上昇は Ql/QZ

の新均衡値を高めるo資 本 財 部門の生産は相対に拡大するo さらに,

m<l

では新しい均街ではK/Lは より大となっているo と こ ろ で

m<l

であると

g*

で成長する労働の完全 雇用には資本は不足するD 最初の期間で完全雇用を維持するためには資本は

g

。で成長しなければならないが,労働の成長率が

g*

であると,

g*>goで

あるから K/L は低下することなり,新均衡値の K/L~ζ 近づかない。反対の 方向に向う運動を生じるD そこでもしこの減少したK/Lで完全雇用が維持 されるためには,消費財産業への資源の移動転換を必要とするo このことは 資本財部門の相対的縮少を芯味するo しかし新しい均衡では資本財部門は相 対的に拡大していなければならない。もし資本財の供給増加が停止する時点 に達すれば,乙れ以上では労働の増加分を雇用する乙とは不可能となるo

完全雇用を維持しつつ新均衡へ移行することは乙のケースでは不可能であ

る 白

瞬間的に新成長率に適応した率で資本を蓄積しようとしても,労働の完全 雇用をともった成長率を維持するには資本は不足し,労働の失業は発生する であろう。いづれにしても即時的調整がなされるとしてもこのケースでは完 全雇用の維持は不可能であるo

(4) 

m<l

go>

ど。新しい均衡では

Ql/QZ

の比は低下し, K/Lの 均衡値もより小となる。ところで新しい成長率どでは最初の資本は過剰と なるo完全雇用が維持されるためには期間

O

では

g oで増加しなければなら

ない。このことは現実にK/Lの比を高めることになるo 期間でも資本と 労働の完全雇用が維持されるためには,資本集約的な産業(このケースでは 資本財)が相対的に拡大しなければならない。投資は一回促進されることと なり,ますます新均衡よりはなれてゆく。もし最初の過剰資本部分が吸収さ れるためには資本財部門で一時な縮少がなされねばない。資本の遊休度は一 時的には高まるであろうo もっとも,労働集約的な消賀財に労働の吸収が可 能な限り労働の失業は生じないであろう口結論的にいえば

m<l

のケースで は,資本と労働の完全雇用の移行径路は存在せず,

m>l

のケースでは完全

(11)

ヒックスモデノレにおける移行過程の考察

2 9  

雇用の移行径路が存在しうるであろうD 現代資本理論は資本財部門と消費財 部門との間における資本労働比率の差異がウイクセノレ効果の性格を規定する

乙とを明らかにした。ヒックスは恒常的成長径路間の移行過程がまたこの産 業問の資本集約度の差異によって規定されることを示した。もっとも,乙の ような社会全体の貯蓄性向の適合的変化を仮定した単一資本財モデルによる 移行過程の分析について,それほどの重要な現実的意義をあたえていないが。

「単一資本財の事例によるわれわれの移行過程の分析は幽霊以上の何物で もありえない。そのあとにくるものを理解するに役立つからにはその研究も 有用であるにはちがいないが,それだけをとって考えれば,はなはだ誤解を ひきおこしやすいものであるO 現実の経済は一一どのようなものであれー一ー 事実そのようには動かないし,またそのように劫くことはできないのであ る。それは全く本質的な側面で上述のモデルとは追ったものである。われわれ が現実に向って一歩三歩ふみ出すやいなや,事態は大きく変貌してしまうの である12)

o J

このことは決して移行過程の分析にかぎったことではない。成長 均衡の問題もまた現実問題ではないのであって,ヒックスのいうごとく,現 実問題の影であり,教室での絞習問題にすぎない13)

ここで,技術変化

( c h a n g ei n  t e c h n o l o g y )

によって誘発された移行過 程の問題に転じよう。二部門的成長モデノレはこ乙で使用されずヒックスが標 準的事例と称する生産プロセスによって説明される14)。 ど の 生 産 プ ロ セ ス にしろ一つのはっきりとした時間形態をもっている。まず,

E i i

設期間があ り,投入物が大豆に投入されるが,最終生産物はまだ出てこない。つぎに操 業開始期間では産出物は容から疋常水準まで増大し,投入物は正常水準に減 少するO 建設労働は活到を停止し,訳業のための労働力が地強されるD そし ておそらく長い期間の正常操業の期間がこれに続くであろうo最後的にはiA 出曲線の下落と投入

i

曲線の上昇の結果は生産フ。ロセスの終りを生ずるであろ

O

只体的l乙単純なプロフイノレを示さう。

mj

lJJ問の建設期間においてコンスタ

(12)

ントな率で労働が投入され,つづく

n

期間の利用期間(操業期間)では異な った一定率で労働が投入されるが最終生産物が一定率が生産される。そこ で,建設期間中の労働投入係数を

a

e,利用期間中の労働投入係数を

a

u,各 期間の産出量を

l

と仮定しよう。生産技法

( t e c h n i q u e )

4

個のパラメータ ーで決定されるO しかし,実質賃金率

w

,実質利子率一商品利子率ーを

r

示すと, この生産過程の資本価値を

K

。とおくとつぎの効率曲線

( e f f i c i e n c y c u r v e )

があたえられるo

m ‑ l  

n ‑

Ko=‑wa

I:;

R‑t+ 

(l

‑wa

u) 

R‑m

I:;

R‑t=  0  ( 3 . 1 )  

この式で

R=l+r

であるo この効率曲線は

K

。を零ならしめるような

w

r

との関数をあたえるO もつ一つの異なった生産技法についての投入係数を

( a

 *

a

u勺とすると,乙の生産技法を使用する生産過程についての効率曲 線が示されるo

‑wa

e

*

R‑t+

(l

‑wa

u

* )  R‑m 

R‑t=  ( 3 . 2 )  

この二つの効率曲線の交点で,

一 米

a

a w 一

W

一 一 一 一 一

e

一 *

a

a ( 3 . 3 )  

そこで,一義的な

w

が決定され,この

w!

乙対応して一義的な

r

が求められ

D

ここでもう少し分析を単純にするために建設期間は

1

年と仮定しよう。

a

e

ao a

u

a

1に書き換えるO 純産出量は,

q o  =  ‑wao ,  q l  =1‑wa

1" .  

( 3 . 4 )  

で示される。効率曲線は,

KO=qO+ql (R‑l+R‑

2十 …

+R‑n )= 0 

ここで,

R‑l+R‑

2

+ … +R‑n  = 

(l

‑R‑n) / 

(l

‑R‑l) 

( 3 . 5 )  

1/ 

14 

︐ ︐

aEE

︑ ︑

l 一 r 一 一

( 3 . 6 )  

( 3 . 7 )  

(13)

ヒックスモデルにおける移行過程の考察

3 1  

効率曲線は,

wa

= (1‑Wa1 )(+)(l‑R‑ n )  ( 3 . 8 )  

いま,

r̲= 

(l

‑R‑n) 

とおくと,

ケ =a1 + a O r n  

( 3 . 9 )  

( 3 . 1 0 )  

となるD この

r

n は利子と減価償却を含む粗利子率を示す。

r

n

に依存す

o

=R‑l+...+R‑n ( 3 . 1 1 )  

であるから,一定の

n

にたいして

r

が上昇すると九も上昇する。

r=O

あると

R=l

であるから,

r n =  l/n

となるo

( 3 . 1 0 )

式は賃金単位で測っ た生産物の価格を示し

a

1は操業費用 ,

a

nは建設費用の利子と償却を示 す。旧い生産技法については,

w o ) : = a * l  +aO

r n ( 3 . 1 2 )  

移行過程の問題は技術の変化によって誘発される問題としているから,乙の 二つの技法の比較は技術的改良を示すものと考えてよい。

技術的改良の指数,乙の効率上昇は費用の減少で示されるo 乙乙では技法 スウイッチは技術的水準を一定としたスウイッチを意味するもではない。効 率の指数を,

( a O * r n + a1

)

(r) 

=

τ . o

l<  ‑ ‑ 一 一 一 一

( a O r n + a1 )  ( 3 . 1 3 )  

そこで,乙れは弘幸

/ a

。と

a 1 * / a

t との聞に存在するo

げ 一

h

が 一

h ( 3 . 1 4 )  

とおこうo hは建設費用の節約を示す指数であり, Hは操業費用(利用賀用) の節約を示す指数である。 hとHとの関係によって技術的改良のバイアスが 表現される。

h=Hであると, バイアスは存在しなし) 0 hHであると

r

の低下は

(14)

I  ( 

r) を H~乙近づける D そこで,

h<H

の場合

r

の低下は,指数を上昇せ しめるo このスウイッチを前方ノてイアス的スウイッチと名付けようo

h>H 

の場合は後方ノイイアス的スウイッチとよぼうo ここで問題としているバイア スは建設と利用との聞の問題であるo

移行径路の問題に転じよう。恒常的均衡が出発的であるo

t  =  0

で技術の 変化によって新しい技法が導入されるo この新しい技法が一定の賃金水準 (われわれは賃金率は固定的とした径路を考察するo)の下で企業にとって 有利であればこの技法が採用されるO 利潤からの消費を

Q

で示すと,

QT  =B T  ‑WAT  ( 4 . 1 )  

B

は総消費財,

A

は投下労働を示す。賃金よりの貯蓄はないと仮定されるo

また,手IJ潤よりの消費は技術的変化によって影響を受けないとするoスケー ルファクターを

X

tで示すと,

BT 

=戸

xt‑1bt ( 4 . 2 )  

AT  =  2 : :   XT  ‑

( 4 . 3 )  

Ql= 戸 XT‑1q

( 4 . 4 )  

移行過程は三つの局面に区分されるo①準備的局面②初期局面③未期局面 であるD 準備的局面は建設期間に相当するo初期局面は新しい技法が導入さ れて古い技法による全ての生産プロセスが完全に終結するまでの局面であ る。それ以後が未期局面であるo ここでは未期局面の考察は省略する。

古い生産技法は既述の単純な事例で

a ヘ 。 a

1*で示されるo建設期間は

l

である。準備的局面では,スケーJレファクターを使用すると,

xoqo =XO*qO*  ( 4 . 5 )  

初期局面で仮定により,

(15)

ヒックスモデノレにおける移行過程の考察

QT=QT

T ‑ l   qoxT  +ql  2 :   X

=qo

句。

*+ql 来 2 : X

t司 単純な事例では,

q o  =  ‑wa

O

,  q l  =1‑wa

q o

=‑wa

ql*=1‑wa

1

*

賃金率は不変と仮定されているから,

h=~ 栄一 qo*

一 一 一 一

a

q 。

二つの効率方程式により,

rn‑l‑waI‑qI  一 一 一 一 一 一 ‑ wao  ‑q

r  * ‑ 1

二主主三=一旦幹

wao

恭 一

q o

Rn =l+rn  Rn*=l+rn *  ( 4 . 7 )

より,

‑X

t

Rn XT‑

1

=h[‑x

も来

+Rn*x

T ‑ I J

成長率を

gとすると,

G =  

(1

+g)  XT*=X

O

GT

スケーノレファクター

(X

。勺は

l

とおこう。

X

包帯

=GT

そこで,

X

の 一 一 ー ー ロ qo   一‑

= h をうる

o ( 4 . 1 5 )

‑xT+RnXT‑

= h  [‑GT+Rn

1'

GT‑IJ 

‑X

+RnXT ‑ l  = h  ( R n " * '

G)GT 

1

に舌:きあらためうる o 乙の式の j~平が移行径路をあたえる o

( 4 . 6 )   ( 4 . 7 )  

( 4 . 8 )   ( 4 . 9 )  

( 4 . 1 0 )  

( 4 . 1 1 )   ( 4 . 1 2 )   ( 4 . 1 3 )   ( 4 . 1 4 )  

( 4 . 1 5 )  

( 4 . 1 6 )   ( 4 . 1 7 )  

( 4 . 1 8 )  

( 4 . 1 9 )  

( 4 . 2 0 )   ( 4 . 2

1) 

3 3  

(16)

まず,

X , =αGT  ( 4 . 2 2 )  

とおいて

( 4 . 2 1 )

に代入しようo

αGT+αRnG T

‑1 

=h ( R n  *‑G) G T ‑ l  

‑αG+αRn =  h  ( R n  *‑G)  αh(Rn*

G )

(Rn‑ G) 

特解は,

( 4 . 2 3 )   ( 4 . 2 4 )   ( 4 . 2 5 )  

G  G

)

一 毛

来 一

R

R

LU

α 

f

一 一

ぷ 己

( 4 . 2 6 )  

‑XT  + R n X T ‑ l  =  0  ( 4 . 2 7 )  

の解を求めるo

XT=βyT  ( 4 . 2 8 )  

とおいて代入すると,

一 β y T

R n β y T ‑ l=  0  y  =Rn 

をうるoそこで,

( 4 . 2

1)の一般解は,

( 4 . 2 9 )   ( 4 . 3 0 )  

X

t

=αGT+βRn  T  ( 4 . 3 1 )   β

は初期条件によってきまる未定係数であるo ここで

α

α̲ h ( R n *

G )

̲1... 

(rn*‑g) 

一 一 一 一 一 一 一 一 一 一

(Rn‑G) 

(rn‑g) 

社会会計式により,

wA+rK=B+gK 

Aは労働, Kは資本ストックを示す。

Q=B‑wA= ( r  ‑g) K 

( 4 . 3 2 )  

( 4 . 3 3 )  

( 4 . 3 5 )  

Q>O

であるためには

r>g

でなければならない。そして九

>r

であるo

w

が不変であれば

r>

げである。そこで,

rn>rn *> g

であるo そこ

α>0

であるD また,

T =   0

では,

X

o

=α+β  ( 4 . 3 6 )  

(17)

ヒックスモデソレにおける移行過程の考察

( 4 . 1 9 )

より,

β=h‑α 

( r

‑g)<(rn‑g)

であるから,

( 4 . 3 2 )

より

α /

11¥i 

3 5  

( 4 . 3 7 )  

( 4 . 3 8 )  

そこで,

β>0

であるo

X

T

X

o

= h

ではじまり,その後恒常的に増大し,

XT  *=xo  *GT

よりも早い率で増大してゆくO

と乙ろで,

T

年で生産される新しい機械の建設費用は

aOxT

,古い機械の 建設費用はお来

xJ

,その差はコストで測った粗投資の増分である

0(3.14)

より,

aOxT  ‑aOhxT

=ao(xT  ‑hxT

11 

=ao  (αGT+βRnT‑hxoGT) 

Xo

*=  1

であるから,

ao  (xT  ‑hxT

=ao[β(RnT‑GT)J 

( 4 . 3 9 )   ( 4 . 4 0 )  

( 4 . 4 1 )   T=O

であるとこれは零,その後期間の経過とともに上昇するo粗投資の:l:首 分を生産キャパシティーで測った場合は,

XT  ‑XT

=αGT+βRnT  ‑Xo

GT X o

=1

であると,

XT  ‑XT 

OF= 

(α̲

l)

GT+βRn  T 

ところで,

α‑l=(h‑

l)ー

β

であるから,

XT‑XT

=(h‑1)GT

β(RnT‑GT)

( 4 . 4 2 )  

( 4 . 4 3 )  

( 4 . 4 4 )  

( 4 . 4 5 )  

既述のごとく企業にとって新しい技法が有利であるということは新技法の 採用によって費用の節約が生ずるからであるoそれ故に

I(  r  ) >   1

であるた

めには

h<lで同時に H<l

であってはならない。

h

は建設資用節約を示す 指数であり,

Hは操業 1

5:用節約を示す指数であるから,

h>l

で且つ

H>l

あれば両費用部分において節約が生じているが,この指数の一つが

l

より小 であったとしても,他の一つの指数がそれを補うに十分な程

l

より大である 場合,新技法へのスウイッチを強いバイアス的スウイッチとよび h

キ日

(18)

h>l

H>l

であると,新技法へのスウイッチを弱いパアイス的スウイ ツチとよぷ15)

h=l

であると,

( 4 . 4 5 )

XT ‑ XT

=β (Rn

T‑ GT)

( 4 . 4 6 )  

そこで,費用で測った粗投資の増分と生産キャパシティーで測った粗投資の 増分との関係、は不変であるD ところで,

h<  1

であるが,

H>l

である強い 前方ノfイアスの場合では,

( 4 . 4 5 )

の右辺第

1

項は負,第

2

項は正であるD

T=O

では第

l

項が支配的であるD そこで,最初は生産キャパシティーの低 下が生じる。第

l

年目では産出量と雇用は減少する。第

1

項のマイナスの効 果がより大であるかぎり生産キャパシティーは低下するo しかし,期間の経 過とともに第

2

項のプラスの効果は増大し,マイナスの効果を本自殺する時点 に達し,以後は第

2

項は支配的となる。

最終生産物の増分は,

BT ‑ BT 

*=  2 : :  

XT ‑

b

L  ‑ 2 : :  

X;::T ‑

b

L  ( 4 . 4 7 )  

。 。

b

=  0

, 

b

=  1

の単純な事例では

( B

T

‑B

Tり は

T‑l

にいたるまでの生 産キャパシティーの

i

曽分の和にすぎない。また,

Q T  =QT*

と仮定している から,

B T ‑ BT

=w

(A‑ AT

( 4 . 4 8 )  

となり,総雇用径路は最終生産物の径路と同じようになるO

既述の単純な事例では計画生産キャパシティーが現実の生産物を生じるに

l

年かかるoそこで,現実の生産増加を示す曲線は,粗投資曲線にたいし て一年のタイムラッグをもってえがかれることになるo

=  1

のケースでは

O

年では建設資用は元の恒常成長径路と現実の径路とでは同一である。労 働雇用も同一であるo

1

年でも産出量も同じであるO しかし,

H>

l,利 用費用の節約が生じていなければならないから企業の利潤はより大でなけ ねばならない。そこで,機械の操業(利用〉に雇用される労働は減少する が,新しい機械〈新しい生産技法用の)の建設に労働は移転されるo総雇用 は同一である。第

2

年目以後に産出と雇用の増大が生じる。

(19)

ヒックスモデノレにおける移行過程の考察

3 7   h<l のケースでは操業(利用)費用の節約が建設費用の不利な点をカバー してなお余りあるものでなければならない。第 1年では新機械の操業のため の雇用の減少が生じる

D

しかし,このケースでは h=l の場合とちがってこ の節約された労働が全て新機械建設に吸収されることがなし可。そ乙で,失業 が発生する

o

しかし,機械の建設はひきつづき増加するから,第 2年目では このような技術的失業の発生は減少し,やがて, ( 4 . 4 5 ) 式で示されたよう なプラス効果とマイナス効果との相殺点で, この技術的失業は発生しなくな る

D

前節では賃金率は不変と仮定された。この節では賃金率を変数とした完全 雇用径路を考察する

O

恒常的状態から出発する

o

0 期で新しい有利な生産技 法 ( t e c h n i q u e ) が導入される。雇用は最‑初の恒常的状態であたえられたも のと同じような変劫を示すものと仮定される

D

所与の成長率で増大する労働 の供給については完全雇用が成立している。賃金率が可変的であれば,賃金 変化に対応する生産技法転換に関連した問題が発生する

o

ここでは,この問 題は無視する

O

移 行 過 程 は 準 備 的 局 面 と 初 期 的 局 同 に つ い て 考 案 し よ う 。

AT =AT' l<の関係はこの二つの局面を通じて維持される

D

準備的局面では,

ao  X o  =  a o 来 来 " xo 

初期的局面では,

T ‑ 1 

a O xT

a

1

~Xt=a。なT 来十 a 1

・半戸

xJ-

a O xT ー ( aO ‑a

1)

XT ‑

=aO 来 XT 来ー ( ao

ot

: ' ‑ a

1

来 )x 号 、 ‑

XT

1 (

一去)XT ‑ 1 =まこが一

( t f ‑ t 子)札

1

この王にで, a

1

j aO=u ,  U=l‑u とおこう

o

さらに a

1

* j ao 来 =u

U'*=l‑u 来とおく。

いま,スケー

J

レファクタ ‑x

o:'I

'=l とおくと, ( 5 . 1 ) より,

( 5 .

1) 

( 5 . 2 )  

( 5 . 3 )  

( 5 . 4 )  

(20)

q

‑J‑=xo=h  ( 5 . 4 )

XT

(1‑

U  )  XT  ‑ 1  =  hXT 

*ー

(h‑u

h )X

勺‑

1  XT  ‑U  XT  ̲  1  =  h  ( XT  *  ‑XT  ‑ 1  +  U * X

T ‑ 1 ) XT  ‑UXT ‑ 1  =h ( XT

‑u

X * T ‑ 1 )

そ乙で,

X T ‑ * = X O ‑ * G T  =GT 

( 5 . 5 )  

( 5 . 6 )   ( 5 . 7 )   ( 5 . 8 )  

( 5 . 9 )  

ここで

G= (1

g)

である。

g

は最初

J

の恒常的経済の成長率を示す。

XT  ‑UXT̲  1  =h  ( G T  ‑

U

: r G T ‑ l )   XT  ‑UXT  ̲  1  =  h  (G ‑U り G T ‑ l

これはまたつぎのように示すことができる。

XT‑UXT̲1=h(g+u

)

G T ‑ 1   ( 5 . 1 1 )

の解を求めよう16)まず特解を,

XT=α'GT 

とおき,

( 5 . 1 1 )

に代入して,

α'GT̲Uα'GT‑'=h (G‑U

G T ‑ l α'G‑Uα

=h (G‑U り

α , ̲   h(G‑U

h(g

u

一一一 一 一 一 一 一 一

(G‑U)  (g+U) 

そこで特解は,

x‑JL(g  + u '

T

s

(g

u) ' ‑ '  

つぎに,

XT‑UXT ̲ 1 =  0 

の解を求めるD

XT=β1yT 

とおいて

( 5 . 1 8 )

に代入して,

β'yT̲Uβ'yT‑l =  0 

y=U 

( 5 . 1 0 )   ( 5 . 1 1 )  

( 5 . 1 2 )  

( 5 . 1 3 )  

( 5 . 1 4 )   ( 5 . 1 5 )   ( 5 . 1 6 )  

( 5 . 1 7 )  

( 5 . 1 8 )  

( 5 . 1 9 )  

( 5 . 2 0 )  

( 5 . 2

1) 

(21)

ヒックスモデルにおける移行過程の考察

3 9  

そこで,

( 5 . 1 9 )

XT=β'UT  ( 5 . 2 2 )  

βF

は初期条件によってきまる未定係数であるo

( 5 . 1 1 )

の一般解は,

XT=α'GT+β'UT  ( 5 . 2 3 )  

この解は固定賃金の場合の解と類以しているが。ゲと

βF

とは前節の

α

β

は異なるものであるo

X

=  h

であるから,

( 5 . 2 3 )

において,

Xo=α'+β'= h  ( 5 . 2 4 )  

の関係をうる。 と乙ろで

ao>O

,a

> O

であると

u=a

/ao> 0

であり,

ao>a

,であれば

u<I

である。そこで,

O<U=l‑u<lとなる o

この場合,期間の経過とともに,

β'UT

は小となり, スケーノレファクタ

̲XT

はゲ

GT

に近づくD また

XT

=Xo

GTで Xo

=1と仮定しているから XT=α'GT

であると, スケーノレファクターの比は,

XT  ̲ 

N '  ̲  h  (  g  +  u

一 一 一 一 一 一 一 一 一

X

T来 日

(g  +  u) 

となるO α Fを書きおほして,

n 来 " l~阜、

三~(g+ ヱ~)ヰヰ

ao a o

ao

g+a

, 帝

α 

一一一一一←

(:;)M+aI  g +

十 一

( 5 . 2 5 )  

( 5 . 2 6 )  

h=ao*jao

, 

H =a

, 

* / a

であるから,

α '

hとHの平均である o

ところで,

これは効率改善指数を示す。しかし,均衡における生産性の上昇を測る 1

( g )  

とは同じものではないD

a

.:~gn

+  a

, o .r

l(g)= 

一 一 一 一

aogn+a

, 

( 5 . 2 7 )  

この式でふは粗成長率を示す。ゲの式にあらはれている

g

は粗成長率では ない。また,初期の費用低下は

1( r

りで測られる

ogn>g

であるから,ゲは

1  ( g )

にたいしてよりも

Hに近い。 r

> g

であるからつぎの順序にならべる ことができる

o h

, 

( r

1  (g)

, ゲ

Ho

前方バイアス的技術変化では

1  ( r つく 1(g)

,後方ノfイアス的技術変化では

1( r

勺 >

1  (g)

,中立的では

1  ( r つ= (g)

であるD

前方ノfイアス的な場合を考えよう

oH>h

であるから,

a

, 

* j a

, 

>ao 

o¥

/ao

, 

(22)

そこで,ゲ

> h

であるo

( 5 . 2 4 )

より,

β'< 0となる

O 技術変化が企業に とって有利であるためには,

1  ( r つ >1

でなければならないから,

a

1

>1 

である。

T=O

X

o

= h

, 時間の経過とともにむ

/X

T;辛はゲに向って上昇す

D

後方バイアス的技術変化を考えるo

日 <h

である。そこで,ゲ

/h< 1 ,  

β'> 0 

0 この場合ゲ

>1

である条件は必要ではないo

T=  0

h

にはじま って時間の経過とともにむ

/ X

T米はゲに向って低下するo 以上は初期局面の コースであるo

ここで,最終生産物のコースを見るD

BT ‑BT*= 

L: 

( x ‑Xt"')=  ~(α'Gt+β'ut-xo 来Gt) ( 5 . 2 8 )   X

o

*=  1

であると,

BT‑BT 九三二 ( α 'GT+β'Ut‑Gt) ( 5 . 2 9 )  

B T

BT *=(α'‑l) 2 : Gt+βr コ ヱ ut ( 5 . 3 0 )  

さらに,移行過程では完全雇用が維持されると仮定しているから,

AT=AT

7't 

( 5 . 3 1 )   B/A

は一人当りの生産力を示す。旧均衡では

BT

来 、

AJ

でコンスタントである。移行過程では一人当りの生産力は,

BT  ̲  BT

λBT AT  AT

B T

( 5 . 3 2 )  

( 5 . 3 3 )  

となり

BT/AT

BT/BT

勺乙比例的であるD 一人当り生産力のコースは

BT/BT*

の計算から求められる

o X o

=1として

ト Xo 来 ( 去) GT=  (土) GT  ( 5 . 3 4 )  

ここで,

(23)

ヒックスモデルにおける移行過程の考察

4 1  

よ=平

G t ( 5 . 3 5 )  

( 5 . 3 0 )

B

T*で割ると,

ム♂よ=長

‑1=

(α'‑

1 ) キ れ 附T

u t J

( 5 . 3 6 )  

中立的技術変化を考えると

h=H

,そこで,ゲ

=h

となるo

β '=0

であ o

去三十gn[ 

(a'‑

G ‑ t J ( 5 . 3 7 )  

( 5 . 3 5 )

より,

~G-t

Er‑l=(α '‑1)

一 一

...  .," 

G‑

( 5 . 3 8 )  

そこで

T=n

,即ち初期的局面の終りでは,

BT 

~,

BT

栄 一

( 5 . 3 9 )  

となるo これは既に示した新しい均衡におけるスケーノレファクターの比率で あった。そこで,中立的技術変化の場合では,一人当りの生産力は初期的局 面の終りで早くも新しい均衡水準に達することになるD この場合全ての指数

はひとしくなるから,

α'=I(g)となる

o

一人当りの生産力径路はまたつぎのようにして吟味する乙とができる。

P~

‑‑‑ ‑ AT  ~T ( 5 . 4 0 )   P~

1 一~A ぷー ‑

=_~_T_~1 ( 5 . 4

1)  もし

PT

+

‑PT>O

であると,

主 ん

¥ /  

R

叫 ん ( 5 . 4 2 )  

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