89
地方中核都市の構造と機能
安河内 恵 子
(社会学)
1.はじめに
日本都市社会学の創始者である鈴木栄太郎は,都市の定義を,「都市とは,
国民社会における社会的交流の結節機関をそのうちに蔵していることにより,
村落とは異なっているところの聚落である」(1)と規定している。社会的交流の 結節機関 たとえば,統治,交通,通信,教育,物流などの機能を果たす機 関一の集積は,たしかに都市の特性であり,この機能のために,周辺地域の モノや人が都市へと集中してくるのであるが,一聚落である都市にとっては,
それは「外的機能」を示しているにすぎない。この規定は,村落とは異なる都 市の特性を明確に規定しているが,都市が聚落である以上,村落と同様,そこ で住民の日常生活が展開されるという共通の機能が,果たされねばならず,こ れが,都市の「内的機能」である。このように,都市は,外的・内的機能の両 方の機能を,そのバランスをとりながら,保障していかねばならない。
ところで,九州・山ロエリアにおける中核都市として位置づけられる福岡市 は,このような内的・外的機能を,どのように遂行しているだろうか。このよ うな視点から福岡市の都市機能を分析したのが,鈴木広の「意識にあらわれた 福岡市の特性と方向」である(2)。本稿では,まず,同論文を手掛かりに,福
岡市の都市機能の特性について考察し,さらに,(財)福岡都市科学研究所が 実施した意識調査の結果をもとにして,福岡市に対して外部からどのような機 能が期待されているか,また,それに対して福岡市はどのように応えようとし
90 安河内 恵 子
ているのか,あるいはどのくらいの応える資源をもっているか,こうした論点 を検討していくこととしたい。
2.福岡市変容のあり方にみられる特性
鈴木によれば(3),福岡地方は,歴史に登場する頃から,大陸への門戸であ るとともに,中央からの辺境である,という性質(中間性,踊り場性)が顕著 で,もともと,「内部的体系によって成立した都市ではなく,外部体系で作ら れ継持されてきた都市であった」④。近世以後最近までは,単なる一地方都市 にとどまっていたが,それが中核都市として浮上してくる契機は,戦争中の軍 機関の集中と,戦後の国家機関の集中,それに付随する中央機関の出先の集中 にあった。すなわち,地方都市から中核都市への変化も,外部体系の変化にと
もなって現われてきたのである。このような,外部体系に触発されて都市の特 性が変わってきたというのが,福岡市の著しい特徴であるが,最終的な意思決 定機関が外部に存在し,それに依存することが大きいということは,中央の遠 隔操作の下にあり,都市としての「自律性」が大きく欠如していることを示し ている。と同時に,内部でコントロールできない価値の源泉である中央(およ び価値の源泉一般,たとえば外国)への憧憬は過敏なほど大きくなる。以上の 諸点が,福岡市の都市としての特性であり,要約すると,「社会・文化的交流 の踊り場,新文化と中央への過敏,外部体系によって動かされる構造,戦後の 人口増加(フロー型都市,ストック不足),自律牲の欠乏」(5)として表わされ る,と鈴木はいうのである。
福岡市が基本的にもつ,こうした都市特性は,戦後日本社会の「発展諸階 梯」が要請する,さまざまな行政課題や政策目標に対応するなかで,どのよう に変容していったのであろうか。この問題について,鈴木は,「市長の公約」
と福岡市に関する新聞の特集記事についての内容分析を通じて考察を試みてい る。それを手掛かりに,戦後の福岡市の政策目標の変容過程を概観していくこ ととしたい。
地方中核都市の構造と機能 91
昭和30年代に始まる福岡市の都市開発は,まず,「西日本の玄関口」として の機能強化がめざされ,陸海空の交通・運輸基盤整備に力が入れられた。中央 とのスムーズな連絡を目標とする,博多駅,博多港,板付空港の整備といった,
対外的機能の充実に焦点があてられたのである。また,他方,まず自らが「地 方」都市にすぎない現実を踏まえ,「中央」とのパイプ作りも懸命に行なわれ た。この点,福岡市は,「利益誘導型」の実力政治家はもちえなかったが,官 僚を多数輩出する「九州大学」の存在は大きいものがあった。かつて,福岡市 が「九州の首都」の座を熊本市から奪い取ったのも,「九州帝国大学」の力に よるところが大きかったが,本来的には教育機関に属する「大学」が,それに とどまらず,都市発展の原動力,ないしは,その基盤を提供する役割をになっ ていることは注目される。そういう意味で,福岡市の「マスタープラン」にお いて,「大学」,「高等教育機関」がどのように位置づけられていたか,この点
も,解明されるべき重要な課題であろう。
ところで,このような陸海空の対外的機能の充実をめざすとともに,産業化 の面では,商業(卸売業・小売業)に大きく偏った産業構造から,工業生産力 の集積によるテイクオフを果たし,「百万都市」,北九州市に追いつくことが,
目標として掲げられた。昭和36年に策定された「福岡市総合計画(第1次マス タープラン)」では,博多湾埋め立てにより工場用地を確保する工業化政策が 第1の課題として位置づけられた。しかし,博多湾埋め立てへの市民の反発は 強く,また,工業化政策に対しても,工業機能については北九州市と機能を分 担すべきだとする機能分担論が浮上してきた(6)。この結果,昭和42年、両市の 発展調整をはかる「福岡・北九州大都市圏会議」が発足,福岡市は「管理中枢 都市」へと方向転換する。両市の意思決定が調整される場が設けられたのは,
歴史的に初めてのことであり,同会議の果たした役割は今日から考えると先駆 的といわざるをえない。昭和46年,福岡市は,先の「福岡市総合計画」を改定 し,「福岡は工業を除く,行政・経済・文化などの九州での管理中枢機能を持 つ総合都市」をめざし,「西日本の首都」となることを目標とする「第2マス
タープラン」を策定した。
92 安河内 恵 子
昭和30年代の「都市開発の3点セット」が整備され,「管理中枢都市」へと 目標が定められると,次の政策目標は,「政令指定都市」であった。しかし,
昭和40年代までの福岡市は,いわば「地方都市」にすぎず,昭和38年に誕生し た「百万都市」,北九州市に対して,人口規模では75万人(昭和40年国調),経 済力のレベルでは,「新日鉄」を有する北九州市との間には,圧倒的な格差が 存在していた。福岡市の「発展」政策は,まず「北九州市に追いつく」ことを 目標として開始されたといってもよい。そして,「追い超す」端緒は,昭和49 年の「テレビ西日本」本社の福岡市移転であり,今日の「情報発信の一極集 中」の基礎が完成したのである。その後,北九州市から福岡市への本社機能の 移転現象は,加速度的に進行した。
いずれにしろ,この時点では,九州の首都をめざす福岡市にとっては,政令 都市の指定は悲願であった。昭和45年の国勢調査の結果,福岡市人口は85万人 を超え,人口規模では政令指定都市の基準をクリアし,対外的な基盤整備もあ る程度の充実をみたものの,政令都市の指定を受けるためには,道路,水,衛 生施設など,インフラストラクチャーの整備が欠くことのできない政策課題と して浮上するにいたった。かくして,都市計画の基本フレームに生活基盤の整 備が登場したのである。「こうして,かつての都市開発の三本柱であった港湾,
空港,駅にとってかわって,住民の生活基盤の拡充が重要な柱として登場して きた。福岡市の都市開発はこのように,国際的志向,中央的志向から,九州志 向,地元志向へと目を転じていった」(7)のである。
このように,「福岡市のビジョンは中央の政策あるいは世論に応じて変遷を とげていった」(8)のであり,その望みは「大都市になること,政令指定都市に なること」(9)にあったといっても過言ではない。しかし,政令指定都市の念願 を果たしたあとの昭和50年,市民意識に大きな変化が現われた。すなわち,
「西日本の東京に」という既存の目標から,「ミニ東京はイヤ」という主張へ の転換がおこったのである。これは,全国的な,「モノからココロへ」という 価値意識の変化とも対応した,画期的な方向転換であり,鈴木は,これを「福 岡はようやく生活者のための都市づくりという一つの自己像をさぐりあて
地方中核都市の構造と機能 93 た」(1°)と評価した。このように,鈴木は,外部的体系に依存し,外部での決 定によって動くことが多く,自律性に乏しかった福岡市が,所期の目標を達成 し,はじめて,自律性をもつ条件がそろったと評価し,「対外的機能の充実」
から「内部的機能の充実(生活基盤の拡充)」へと目標の転換,視座の転換が 行なわれつつあると指摘している。
しかし,このような「中央志向」から「九州志向・住民志向」への「目標の 転換,視座の転換」は,現時点で再度考察するとき,当時鈴木が分析していた ような積極的な評価が妥当であろうか。むしろ,昭和50年代後半から60年代前 半の福岡市政を概観するならば,その「転換」は一過性のものにすぎない。す なわち,昭和50年代には,さまざまな反対運動にもかかわらず,「高度成長期」
にも「サンクチュアリ」として残されていた,博多湾の埋め立てが開始され,
また,都市高速道路の開通や,地下鉄の開業をはじめとする,交通網の整備が いっそう進められた。さらに,昭和63年に策定された「第6次マスタープラ
ン」では,福岡空港の国際空港化,情報通信基盤整備が重要な政策課題として 位置づけられ,いまだ「モノ中心」の政策目標であることは明らかである。こ の間,もちろん,生活基盤の整備も進められてはいたが,同時期に集中した人 口急増により,生活関連施策はほとんど不十分のままにとどまっている(11)。
そして,こうした生産と生活の「政策アンバランス」が最も顕示的に現われた のが,「ダイエーのツインドーム計画」であることはいうまでもない。
こうした「政策アンバランス」が,昭和60年代に大きな問題として浮上して きた背景を,2点考えることができる。1つは,福岡市の「中枢管理都市」と しての自負にもかかわらず,都市の経済基盤を「東京」という全国的なレベル で評価するならば,「モノ」レベルですら大きなラッグが生じていた現実であ
る。「中央と地方」という構図のなかで,「高度成長期」に中央二東京がクリア した「モノ」レベルの充足が,地方=福岡市にとっては,これから満たさなけ ればならない課題として浮かび上がってきたのである。だからこそ,「高度成 長期」の「開発」論理が,いまだ説得力をもって市政に現われている。2点目 は,資本の論理である。福岡,九州では,「地域モンロー主義」として地場の
g4 安河内 恵 子
独占企業が市場を支配してきた。その典型が,地元財界における「七社会」の 存在であり,流通業における,「岩田屋」・「淵上丸栄」の存在であった。こ れに対し,昭和50年代中頃から,中央大手資本の九州進出が開始される。この 結果,中央資本に対する地方資本の従属を生み,このことは,地方資本と結合 していた福岡市政にとって,新たな編成替えを必然化した。つまり,福岡市民 にとっての「都市発展」ではなく,新たに登場した中央資本のための「都市開 発」があらためて,要請されたのである。
かくして,昭和30年代に,都市開発の三本柱であった,産業化に対応した
「博多駅,板付空港,博多港」の整備事業は,時を移した昭和60年代に,情報 化に対応した「地下鉄の延伸,福岡空港の国際空港化,ウォーターフロント開 発とテレポート構想」という,新たな都市開発事業として,再版された(12)。
外的機能の充実から内的機能の拡充へと移行し,「自律性」を確立したかにみ えた,都市政策の基本フレームは,再び,外的機能の拡充へと方向転換された のである。
3.福岡市の都市イメージ
九州・山ロエリアの中核都市である福岡市は,福岡市が果たすべき,このよ うな内的・外的機能について,どのようなスタンスで取り組み,どのような機 能を果たしているのであろうか。(財)福岡都市科学研究所(URC)は,平 成元年,「明日の福岡づくりを考える総合意識調査」(13)を実施した。この意識 調査は,九州・山ロエリアの中核都市,全国レベルの政令都市,アジアへの窓 口都市という,福岡市がもつ3つの都市特性を踏まえたうえで,今後の福岡市 がどうあるべきか,その機能と役割を明らかにし,まちづくりの方向性を考え るために実施されたものである。調査は,福岡市調査(一般市民対象),九州
・山口調査(一般市民・有識者対象),全国大都市調査(一般市民・有識者対 象)の3調査(6調査区分)で行なわれた。これらの調査結果を総合的に考察 することによって,福岡市の果たしている内的・外的機能に対する,福岡市内
地方中核都市の構造と機能 95
外からの評価と今後の期待について考えてみたい。
まず,福岡市の特性について考察する。図1は,福岡市の「都市イメージ」
を尋ねた結果を示したものである。これによれば,全調査区分において共通し て第5位までに入っているイメージは,「商業地としての魅力がある」,「活気
・将来性がある」のイメージであり,商業・消費をベースとした,活気・にぎ わいが,福岡市の強いイメージとなっている。この傾向は,とくに九州・山ロ エリアに強く,一般市民・有識者ともに第1・2位を占めている。また,九州
・山ロエリアでは,教育や医療機関の集積,文化レベルの高さが高く評価され ており,この点は,福岡市民や全国大都市市民の評価・イメージとは異なって いる。福岡市民では,「新鮮な食物」,「自然災害」,「緑」といった内的機能に 関するイメージが高くなっており,他方,全国大都市では,福岡市民と同様,
「新鮮な食物」,「海」が高いとともに,「観光地としての魅力」がイメージと して強くもたれているなど,「観光」のレベルでとらえる傾向が強い。
以上の点をまとめてみると,福岡市民は福岡市がもっている生活レベルでの 機能,すなわち内的機能に対する評価・イメージが高く,関心が内的機能に集 中しているが,これに対し,九州・山ロエリアでは,福岡市が果たしている外 的機能,すなわち,商業都市・消費都市としての機能,教育・医療機関の集積 機能,歴史・文化面での集積機能など,結節機能の集積が高く評価されており,
これらのイメージが強くなっている。九州・山ロエリアにおいて,このような イメージがもたれるのは,福岡市が九州・山口の中核都市として,実際にこれ らの面で重要な役割を果たしているからであろう。以上のイメージに対し,全 国大都市でのとらえ方はかなり漠然としており,本来的な「イメージ」の枠を 出ていない。「活気・将来性」,「商業地としての魅力」以外では,わずかに,
有識者の回答において,「教育施設の充実」が第7位に入っていることを除い て,明確な外的機能にたいする評価・イメージは低い。このことは,福岡市が,
全国大都市レベルでは,まだそこに通用するだけの確固とした機能を果たしえ ていず,それゆえ,イメージとしても弱い,ということを示しているととらえ るべきであろう。そして,これらのことは,内的機能・外的機能という類型化
96 安河内 恵 子
図1 都市イメージ
福岡市民 蝶躍 碧州識山暑 舎緊纏 §国議都薯
1・義鷹蹴魏雛聯購麟繋騰辮繍藩纐纏雛
…鍵麟灘灘騰難 鑛綴鰹灘轍藁騰麟澆
3一灘簸轍、 教育施設充実 織騰麟1ご 1麟鱗麟 鱒懇撫雛 4.轍轡灘叢 医療施設充実 螂購纏1 =凝 、雛灘磯鱗
・・
駐ォ鱒欝麟澆麟轍・購麟一翻欝蕪
・.鯵欝 公害
7. 物価安い
8.緑が多い
9.雛、
10. 国際交流
11. 医療施設充
難灘繰教育施設充実雛男として罐男として
1麹灘麟謬 医療施設充実
先端産業騰糖公害 1a教育施設充実罐男として緑が多い
13.公共施設 住環境整備 先端産業
14. 先端産業 緑が多い 物価が安い
15住環難備物価が安い罐男として
1仕馴として撃害・公害住環境整備/医療施設充実先端産業
誠 Z
地方中核都市の構造と機能 97 では,外的機能については,九州・山ロレベルで要求される機能と,全国レベ ルで要求される機能とは異なっており,福岡の果たすべき外的機能を考えるさ いには,復眼的視点が必要であることを示唆するものである。
また,福岡市のイメージとしては,各調査区分に共通して,「犯罪・暴力が 少ない」,「交通マナーが良い」の項目が,きわめて低くなっている。自己評価
を含めて,いずれのレベルにおいても最低の評価が下されており,安全性につ いて疑問視されている点は,人やモノが多く交流する大都市としては,大いに 反省すべきことがらであろう。
次に,「現在の福岡市の都市像」を16の都市像のなかから選んでもらった結 果を,各調査区分ごとに示したものが図2である。全体を通してみられる共通 の都市像は「商業の盛んな活力ある都市」であり,福岡市の第1イメージが
「商業都市」であることがわかる。この結果は,先の「都市イメージ」の結果 と共通する。また,先の結果と同様,この認知は九州・山ロレベルにおいて最
図2 現在の都市像(20・0%以上の項目) (単位:%)
一 般 市 民 有 識 者
区 分
福岡市内 九州・山口 全国大都市 九州・山口 全国大都市
1 位
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3 位 自然に恵まれた
ホ豊かな都市
@ 32.2
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自然に恵まれた
ホ豊かな都市
@ 27.8
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Dが_いパ・⇔解泡くs
@ 炎 当 ピ
4 位 公害のない エ潔な都市
@ 21.9
情報拠点都市
@ 23.2
海浜都市
@ 25.1
風土を生かした
ツ性的な都市
@ 24.0
5 位 住環境が整備され ス暮しやすい都市
@ 21.2
国際都市
@ 20.6
風土を生かした
ツ性的な都市
@ 23.0
騰醗郷1㍉パ)・いびウペ ・∵習罵宅
6 位 健康都市
@ 21.0
98 安河内 恵 子
も高く,九州・山ロレベルにおける福岡市の商業都市としての地位の確立を示 すものといえる。「商業都市」の次にくるイメージは,この項目ほど圧倒的な 印象は与えてはいないが,「歴史や文化財,伝統などを大切にする都市」のイ メージである。「都市イメージ」(図1参照)においても,「歴史・伝統」は共 通に強くもたれているイメージであり,このような評価は,おそらく「どんた く」や「博多山笠」などの「お祭り」に随伴してもたれるものであろう。福岡 市に対する全国共通のイメージとしては,商業・消費・活気・にぎわい・お祭
りなどに代表される,これら「商業都市」,そして「史跡文化都市」のイメー ジであるが,「商業都市」としての大都市は,東京をはじめ全国的にも多く存 在しており,大都市のイメージとしては「ステレオタイプ」のイメージでしか ない。つまり,福岡市のイメージは,今ひとつ,インパクトに欠け,アピール するものが不足しており,イメージとしては「貧しい」都市である。
ところで,このような共通イメージ以外の都市像について考察すると,福岡 市民では,この2項目に続いて,「自然に恵まれた緑豊かな都市」,「公害のな い清潔な都市」,「住環境がよく整備された暮らしやすい都市」といった都市像 があがっており,都市の基盤整備や都市生活に関する項目を評価した都市像が 上位にあがってきている。つまり,このことは,先の「都市イメージ」の場合 と同様,都市の内的機能に対する評価や関心が高いことを示している。これに 対して,九州・山ロレベルでは,「教育,文化環境に恵まれた学園研究都市」
が高くなっており,一般市民・有識者ともに,「商業都市」に続く第2のイメ ージとしてこの都市像があがっている。一般市民では,第4位・5位に,「高 度情報時代にふさわしい情報拠点都市」,「外国との交流が活発な国際都市」の 都市像があがるなど,九州・山ロレベルでは,福岡市が果たす外的機能のみが 評価・イメージの対象となっており,とくに先の「都市イメージ」同様教育 機能の集積に関する評価が高い。全国大都市レベルでは,「商業都市」,「史跡 文化都市」の都市像以外では,「博多湾を活用した海浜都市」,「風土を生かし た個性的な都市」が高く,ここでも内的・外的機能に対する評価というより,
イメージ的な都市像が強くなっている。
地方中核都市の構造と機能 gg 福岡市の「都市イメージ」,「現在像」のいずれに関しても,共通して指摘で きる点は,評価の対象が,福岡市民では内的機能に収束しているのに対して,
九州・山ロレベルでは外的機能に対する評価がもっぱらであり,それぞれ,関 心がそれらの点に集中していることである。また,全国大都市レベルでは,福 岡市が実際に果たしている機能に関して,事実に即した認識がなされておらず,
イメージ的な把握にとどまっているという点である。これらのことは,福岡市 が大都市として果たしている結節機能に対する評価が,九州・山ロレベルでは
図3 将来の都市像(20・0%以上の項目) (単位:%)
一 般 市 民 有 識 者
区 分
福岡市内 九州・山口 全国大都市 九州・山口 全国大都市
1 位 住宅環境が整備された
驍オやすい都市
@ 43.8
事故・犯罪のない
タ全な都市
@ 31.3
自然に恵まれた
ホ豊かな都市
@ 25.9
難懸1;紗ぎ㌘簿蕊∵灘藤嚇鷲 .い二轡べs
レ灘蟻1
2 位 事故・犯罪のない
タ全な都市
@ 31.5
藷撫蕪鰍㌻㌻麟{li 灘辮鰍癬ぎパ毎臥書 、 ・⇔ば漂登lli:li錐i魏1 藷繋禰鰍濠総が轡㌔ごぎ\§∨ぶ』ぺ1癒警二響警1蘇i・∴㌘ ⊇蒙ll;
3 位 自然に恵まれた
ホ豊かな都市
@ 27.4
シ @・ .、へ・一
?チ覆瓢紗きぷや…宅轡ぷ
g, ㌫⊇蘂登ll 、・、⇒紗ば母恒
公害のない エ潔な都市
@ 24.5
三黛辮纏麟ll㌘燕i1撫纐響lll㌘1乏轍;
4 位 福祉都市
@ 26.7
自然に恵まれた
ホ豊かな都市
@ 23.3
灘難i・で≡㌘雛襟 ;i撫鷺輸1酬;謝一バ醇…ll㌶竺∵㌻欝‡一
風土を生かした
ツ性的な都市
@ 26.5
5位.1灘蓼購欝三
A、、p欝薫;1
住宅環境纏備された 驍オやすい都市
@ 22.8
風土を生かした
ツ性的な都市
@ 21.1
自然に恵まれた
ホ豊かな都市
@ 26.3
住宅環境が整備された
驍オやすい都市
@ 23.3
6 位 生涯学習都市
@ 20.5
コミュニティ
@ 都市
@ 22.5
住宅環境が整備された
驍オやすい都市
@ 21.9
灘懸纏騨騨∵ぷ 溺ぶ・輝
掾E:鷲麟;1
7 位 商業都市
@ 21.1
コミュニティ
@ 都市
@ 22.5
8 位 商業都市
@ 22.0
9 位 自然に恵まれた
ホ豊かな都市
@ 21.8
100 安河内恵子
高いのに対し,それ以外の全国大都市レベルでは,福岡市という都市のイメー ジ・アピールがきわめて乏しく,実際に果たしている機能や役割についての関 心も低いということの反映であろう。
4.福岡市が果たすべき役割
そこで,次に,「福岡市の将来像」について尋ねた結果をみてみよう(図3
参照)。
将来像について,まず,指摘できることは,現在像としては圧倒的な認知を 獲得していた「商業都市」のイメージが,いずれの調査区分においても上位に あがってきていない点である。このことは,福岡市の将来像として,「商業都 市」とは異なる,それを脱却した新たな都市像が,今,内外から求められてい
ることを示している。
福岡市がめざすべき,脱「商業都市」の方向性は,「国際都市」,「史跡文化 都市」,「情報拠点都市」,「学園研究都市」といった外的機能の強化である。こ
の4つの対外的機能は,主に,オピニオン・リーダーとしての有識者からの期 待が大きい。しかし,対外的機能の強化といっても,九州・山ロレベルと全国 大都市レベルでは,その力点の置き方が若干異なり,九州・山ロレベルでは
「学園研究都市」への要望が最も強いのに対して,全国大都市レベルではこの 機能に対する期待はあまり高くはない。九州・山ロエリアで現在像としても評 価の高かった「学園研究都市」機能が,将来にわたっても強く要望されている
ということは,福岡市の果たす「教育・研究」機能が,福岡市民自身が考えて いる以上に,九州・山ロエリアにおいて重要な役割を果していることを示して いる。これに対して,全国大都市レベルでは,「国際都市」,「史跡文化都市」,
「情報拠点都市」への要望が高く,ナショナル・レベルで取り組みが行なわれ ている「国際化」・「情報化」への対応,その拠点機能の発揮が強く望まれて
いる。
このような対外的機能への要望とは異なって,福岡市民が描く福岡市の将来
地方中核都市の構造と機能 101 像は,「住環境が整備された暮らしやすい都市」,「事故・犯罪のない安全な都 市」,「自然に恵まれた緑豊かな都市」,「障害者や老人など弱い立場にある人を 大切にする福祉都市」,「高齢化社会への移行に対応した生涯学習都市」など,
生活基盤の整備,高齢化への対応に関する内的機能の強化を求めている。これ は,現在像と同様,将来像においても,福岡市民にとっては,福岡市の果たす 内的機能の充実が最重要課題として認識されていることを示す結果である。し かし,同時に,「緑豊かな都市」への要望は全調査区分でみられ,「住環境の整 備」は大都市・一般市民を除いた調査区分に現われており,また,「事故・犯 罪のない安全な都市」は九州・山ロレベルの一般市民においては第1位の要望 となるなど,内的機能の充実が,必ずしも福岡市民のみに限定されて現われる 要望というわけではない。その力点の置き方が異なるだけと解釈できる。
以上の点を総括すると,福岡市が将来果たすべき機能については,福岡市民 レベルでは緑・住宅・高齢化への対応など,都市の生活基盤準備に関する,内 的な機能の充実が求められているのに対し,九州・山口,全国大都市レベルで は,対外的な機能の拡充が強く期待されている。将来果たすべき対外的機能と しては,ナショナル・レベルで取り組んでいる「情報化」・「国際化」への要 望が強くみられるが,九州・山ロレベルと全国大都市レベルとでは,若干のニ
ュァンスの相違がみられ,九州・山ロレベルでは「教育・文化」機能への期待 も強く現われている。また,全調査区分において,対外的機能のみならず,
「緑」や「安全性」,「住環境の整備」についての要望もみられる。
5.福岡市の都市機能集積度
さて,これまで,意識調査の結果にみられる,福岡市のイメージについて考 察してきたが,そのようなイメージは,現実を,どの程度まで反映しているも のであろうか。あるいは,現実と異なるイメージがもたれているとすれば,そ れはどのような点なのであろうか。これらの点を考察するために,福岡市の都 市機能集積度のデータを用いて,実像とイメージとを比較的に検討していくこ
102 安河内 恵 子
ととしよう;14)
表1は,全国の主要都市の都市機能の比較を試みた結果であり,表2は,同 様の方法で,九州・山ロエリアの主要都市(県庁所在都市および人口20万人以 上の都市)について比較したものである。比較する都市機能としては,「居住」
・「安全」・「文化施設」から「交通」・「工業」までの,10の都市機能を取 り上げている(15)。まず,表1からいえることは,全国大都市レベルでみた場 合,福岡市は,とくに教育,情報の機能集積が高く,これに次いで居住機能,
さらに商業,交通機能が平均を若干上回っている,ということである。また,
平均以下の機能としては,極端に低い工業機能,および文化施設と金融機能が,
これに続いている。そこで,次に,福岡市に関する前述のデータを,九州・山 ロエリアにおける他の都市の集積状況と比較をし,その偏差値を求めると(表
2参照),全国大都市レベルとは全く異なる位置づけになることがわかる。全 般的に外的機能の集積がかなり高く評価され,とくに,商業,金融,情報,教 育機能の集積は際立っており,全国レベルでの東京の位置に相当する。このこ
とは,これらの機能が,九州・山ロエリアでは,福岡市に一極集中しているこ とを示している。他方,全国大都市レベルでは平均を若干上回っていた居住,
表1 全国の主要都市の比較
居住 安全 文化
{設 教育
余暇
{設 情報 金融 商業 交通 工業
札 幌 市 59 53 43 44 52 48 43 45 51 36 仙 台 市 53 56 49 54 47 47 43 48 50 41 東京都区部 39 51 70 58 52 66 70 63 53 47 横 浜 市 43 59 42 39 40 42 46 40 45 47 川 崎 市 37 58 45 40 46 41 45 38 42 73 名古屋市 55 47 51 48 52 46 53 58 57 55 京 都 市 51 52 61 73 45 52 49 50 50 52 大 阪 市 48 41 47 38 59 65 64 72 54 62 神 戸 市 53 45 45 53 51 47 47 47 48 50 広 島 市 50 39 50 52 46 46 48 46 49 49 北九州市 59 50 51 45 60 44 42 40 50 52 福 岡 市 54 51 47 57 51 56 49 52 52 38
注:各項目の偏差値は、項目別偏差値の平均点としている。
地方中核都市の構造と機能 103 安全,余暇施設の機能は,平均以下に低下し,九州・山ロエリアのなかでは,
最も住みにくい都市とみなされている。文化施設と工業機能は,九州・山ロエ リアにおいても非常に低い位置しか占めていない。福岡市の文化機能への要望 は,先にみたように,九州・山ロエリアにおいてかなり強く現われているが,
九州・山ロエリアでも平均以下の機能しか果たしていない現状では,このよう な期待には応えられそうにない。
以上を総括して,全国大都市レベルと九州・山ロレベルとでの集積度の評価 を,複眼的に考察してみよう。まず,全国大都市レベルではさほどの集積とは 評価されなかった商業,金融機能が,九州・山ロエリアでは抜群の集積度を示 すにいたっている。また,これとは逆に全国大都市レベルでは平均を若干上回 っていた居住,安全機能は,九州・山ロエリアでは平均以下の評価へと転落し ている。全国大都市レベル,九州・山ロレベルのいずれにおいてもその評価が 一貫している都市機能は,平均を上回った数値を示す教育,情報機能と,平均 以下の数値の文化施設,工業機能である。
こうしてみていくと,全国大都市レベルと九州・山ロレベルでは,それぞれ
表2 九州・山ロエリアの主要都市の比較 居住 安全 一 文化
{設 教育
余暇
{設 情報 金融 商業 交通 工業 北九州市 52 44 50 44 51 43 41 44 50 68 福 岡 市 43 45 47 61 47 65 67 72 58 45
久留米市 50 48 46 52 57 50 52 55 55 57 佐 賀 市 53 41 49 58 52 57 57 57 50 50 長 崎 市 44 64 45 47 44 50 50 46 42 47
佐世保市 57 53 46 36 48 47 40 40 44 44 熊 本 市 49 53 48 58 46 51 52 54 51 47
大 分市 52 57 44 44 48 44 47 43 48 65 宮 崎 市 56 47 47 44 59 50 44 50 53 38
鹿児島市 47 46 44 43 50 47 48 50 52 45 那 覇 市 41 56 52 40 48 52 54 46 43 37 山 口 市 53 45 73 69 45 49 48 44 54 46 下 関 市 53 53 59 52 57 45 51 47 45 61 注:各項目の偏差値は、項目別偏差値の平均点としている。
104 安河内 恵 子
が有している都市機能水準が異なるため,同じく福岡市の都市機能について評 価をする場合でも,当然,その評価の準拠枠が異なってくる。そして,そのよ うな評価を基盤として,先の福岡市のイメージや現在像,将来像についての回 答がなされる。その特徴として,九州・山ロエリアにおいて,とくに商業,教 育機能への高い評価がなされていたこと,また,将来果たすべき機能としてと
くに教育,文化,安全,住環境などへの要望が強くみられたことなどは,こう した態度を反映した結果として読み取ることができる。
しかし,現実とイメージとはしばしば乖離しがちであり,また,そうした調 査回答者の「誤解」のなかに,都市機能のあり方についての問題提起が現われ ることも多い。最後に,このことについて検討してみよう。
まず,教育機能の集積では,福岡市の大学生数は約6万人にのぼり,学生数 は全国の都市のなかで第3位に位置しているが(16),先のイメージ調査にみる 限りでは,全国大都市レベルでは教育機能に関する評価は,こうした現実ほど には高くはない。福岡市が果たしている実際の教育機能の集積は,全国レベル でのインパクトにつながっていない。また,九州・山ロレベルにおける商業,
金融機能の集積は際立っていたが,他方,支店の割合は53.1%にも達しており,
事業所に占める支店の比率が最も高い(17)。このことは,活発な経済活動がみ られるものの,いまだ「支店都市」にすぎず,中央=東京依存が大きいことを 示唆している。さらに,九州・山ロレベルにおける経済,教育機能の高度集積 がみられる一方で,現実の福岡市の文化レベルはきわめて低く,脱産業化・情 報化という趨勢のなかで,ますますいびつな形の機能集積が進んでいることも 指摘しなければならない。
6.結びにかえて
そもそも,「中核都市」たるものは,中央と地方末端の間にあって,その両 者を媒介する,すなわち,まさしく「結節」する機能を果たすべき都市として 位置づけられる。中央から地方末端への,いわば中継点であるから,ある程度
地方中核都市の構造と機能 105 の中央依存は致し方ないとしても,同時に,それぞれのエリアにおける「中 核」として,周辺諸都市,村落からの依存を受ける立場である以上,周辺をリ ードし,周辺からのニーズに応える用意がなければならない。真の「中核都 市」としての機能を果たしうるためには,中央に向きながら,同時に,地方に も向くという姿勢が必要とされる。つまり,都市機能の面でいえば,中央に向 いた外的機能と,そして,各エリアで果たすべき外的機能,この2つのレベル での外的機能を有し,発揮していかねばならないのである。
、 こうした観点から,これまでの考察をまとめてみよう。九州・山ロエリァで の福岡市への一極集中は厳然たる事実として存在し,「九州・山ロエリアにお ける首都」と位置づけられる福岡市ではあるが,はたして,周辺諸都市からの 福岡市に対する要望に,福岡市は,このエリアの「中核都市」として,真摯な 態度で対応してきたといえるであろうか。あるいは,今後,対応していく用意 があるのだろうか。福岡市が北九州市と異なる「都市発展」を選択したとき,
めざした都市像が「工業を除く,行政・経済・文化などの九州での管理中枢機 能をもつ総合都市」であったことは,すでに述べた。今,ここで,この理想と した都市像と現実とを比較するとき,大きく欠けている機能は,「文化」の充 実,ソフト面でのレベル・アップである。そして,これこそ,九州・山ロエリ アで強い要望がみられる機能でもある。福岡市の現状は,ナショナル・レベル で要求されている,とくにハード面での都市機能の強化が優先され,いまだ全 面的な中央志向の状況にある。「中核都市」として,九州・山ロエリアでの独 自の要望,たとえば文化や教育機能に対する要望に対して,十分に応えている 状況ではない。将来,情報化の進展のなかで「情報発信基地」をめざしている 福岡市にとっても,独自の文化土壌の創出は欠くべからざる課題である。その 意味でも,現在かなり高い集積度をもつ教育機能の拡充とセットにして,文化 機能の充実に本格的に取り組むとともに,中央志向,中央依存から,「自律性」
ある都市への脱皮を,九州・山ロエリアにおける「中核都市」として果たすべ き責任のあり方とともに,真剣に考える時期にきている。
中央=東京と,「社会的交流の末端」=地方都市・村落とのはざまで,地方
106 安河内 恵 子
中核都市=福岡市がどのような役割を果たすべきか,そしてそれを遂行するた め福岡市はどのような行政課題を自らに課してきたのか,これが本稿の明らか にすべきテーマであった。福岡市は,昭和40年代後半から50年代始めにかけて 大きく「テイクオフ」を果たした。「県庁所在都市」の特性をはるかに「プレ イク・スルー」し,いったい福岡市の都市特性とは何か,という疑問を私たち に突きつけたのである。「地方中核都市」という位置づけがどれほど正鵠を得 ているかは,いまだ不確かな事柄に属する。さらに,同じく「地方中核都市」
と呼ばれる他都市と,福岡市はどんな共通性をもち,どんな差異性をもってい るかも,解明されるべき課題である。本稿は,福岡市という「生き物」をその 動態において把握しようと試みたものにすぎない。
〔註〕
(1)鈴木栄太郎,『都市社会学原理』,未来社,昭和44年,79頁。
(2)鈴木広,「意識にあらわれた福岡市の特性と方向」(九州経済調査協会編,『都市 成長と市民施設の長期構想』,昭和50年,1〜28頁所収)。
(3)鈴木,同論文,1頁。
(4)鈴木,同論文,1頁。
(5)鈴木,同論文,2頁。
(6)鈴木,同論文,10頁。また,『都市診断』(西日本新聞社,昭和41年)において行 なわれた福岡市の診断についても,このような意見が述べられていた。同書,35 〜69頁参照。
(7)鈴木,同論文,11頁。
(8)鈴木,同論文,14頁。
(9)鈴木,同論文,14頁。
(10)鈴木,同論文,14頁。
(11)こうした現実については,鈴木もまたあらためて批判を行なっている。鈴木,
「福岡・博多一魅力の系譜をさぐる」(『ジュリスト増刊 総合特集・都市の魅 力』第27号,有斐閣,昭和57年,202〜208頁所収)参照。また,福岡市マスター プランの時系的分析については,奥田道大,「コミュニティ生活の創造」(奥田・
大森・越智・金子・梶田,『コミュニティの社会設計』,有斐閣,昭和57年,41〜
133頁所収)を参照されたい。
(12)福岡市の外郭団体である(財)福岡都市科学研究所は,研究誌『都市科学』を刊 行しており,創刊以来,これまで6号を出している。これに掲載された論文など を,その表題から分類すると,上位3つは,「空港に関するもの」12本,「廃棄物 (産業廃棄物を含む)に関するもの」6本,「ウォーターフロント(情報通信基 盤整備を含む)に関するもの」3本となっている。ただし,情報通信基盤整備に
地方中核都市の構造と機能 107
ついては,空港整備との関連でも多く論じられているので,実際の関連本数はこ れにとどまらない。空港については,6号までのうち,3号において特集が組ま れている。これに対し,同じくナショナル・レベルの取り組みがなされ,福岡市 民レベルではニーズが強い「高齢化」に関しては,ほとんど掲載論文がなく,特 集も組まれたことはない。
(13)同調査の調査結果については,安河内 恵子,「明日の福岡づくりを考える総合 意識調査最終報告(総論)」(『都市科学』,VoL14,福岡都市科学研究所,平成2 年)を参照されたい。
(14)福岡都市科学研究所編,『主要都市の都市機能集積調査』,平成2年。
(15)福岡都市科学研究所編,『同書』,53頁,57頁。表中の10指標は,それぞれ,複数 の項目から構成されている。また,表中の数値は,各項目における偏差値を計算 し,1指標を構成する項目について合計し,その平均点を表わしたものである。
たとえば,「居住」指標は,都市公園面積,下水道普及率,住宅床規模,住宅地 平均地価,通勤時間中位数の5つの項目から構成されているため,これら5項目 についての偏差値をそれぞれ算出し,その平均点を示したものが,表中の「居 住」指標の数値となっている。
(16)福岡都市科学研究所編,『同書』,40頁。十万人あたりの学生数でみた場合でも,
京都市7,500人,東京都区部5,600人,福岡市5,100人で,同じく第3位である。
(17)福岡都市科学研究所編,『同書』,13頁。大都市なかで,支店比率が最も高い。第 2位の北九州市(45.3%)との間にも,大きな開きがみられる。
〔付記〕
九州大学在学中よりご指導をいただいている鈴木廣先生が,還暦を迎えられ た。これまでの先生の学恩に感謝申し上げるとともに,これからの先生のこ健 康を祈り,この拙い一文を捧げさせていただきたい。どうもありがとうござい
ました。