秋田大学工学資源学部研究報告,第
2 4
号,2 0 0 3
年1 0月 3 7
論 文
地方都市の中心市街地 に見 られるにぎわいと都市構造 に関する研究
浜岡秀勝'・石塚沙矢香*書・阿久津雅紀''・清水港志郎暮
A St udyont heRel at i onshi pbet weent heLi vel i nessandTbwnscapeatt heUr banCent r al Di s t r i cti nt heLocalCi t y
Hi dekat s uHamaoka* ,Sayakal s hi zuk
a…,Mas anor i A kut s u … andKos hi r oShi mi zu *
Abs t r ac t
Aomo r i , A ki t aa ndMor i o kaCi t ya r et hec a pi t a lc i t i e sofe a c hpr e f e c t u r ea n dha vea l mos ts a mepopu l a t i on・
Howe ve r , t hel i ve l i ne s si nt heu r ba nc e nt r a ldi s t r i c ti sno ts a mea mon gt he s eci t i e sbe c a us eo ft hedi f f e r e n c eof t het o wns c a pe . I nt hi ss t u dy ,e a c ht o wns c a pei sdi vi d e di n t os e ve r a le l e me nt st ou nde r s t a n dt her e l a t i o ns hi p be t we e nt hel i ve l i n e s sa ndt o wns c a pe . I ti sf わu ndt ha tt woe l e me nt s ,s u c ha s" bui l di ngs ' 'a nd" c r o wd
",i nf lue n c et owa r dt h el i ve l i n e s sf r om t h er e s u l tofc ompa r i s o na na l ys i s . A n a l y t i cHi e r a r c hyPr oc e s si s s e l e c t e dt oc l a r i f yt h ec ont r i bu t i o noft h e s ee l e me n t st o wa r dt h el i ve l i n e s si ne a c hc i t y ・ Fr om t her e s u l tof t h i sa na l y s i s , i ti ss h o wnt h a tt h es h a r eo f" b ui l di n gs "a n d" r oa ds t r u c t ur e "h ol dst hema j or i t yi nt hel i ve l i n e s s ・
1 .は じめに
中心市街地は,わが国各地において城下町 ・門前 町 ・ 宿場町な どとして栄え,人々の生活 ・交流の場, 情報収集の場 として,古 くか ら密接な関わ りを持つ 場所である.また,商業 ・業務な どの機能が集中す る場所で もあ り,その長 い年月の中で培われ,その 都市独 自の雰囲気をか もし出す,いわば都市の顔 と も言 うべき地域である. しか し近年,多 くの都市で モータ リゼーションの進展,商業を取 り巻 く環境の 変化等 によ り,中心市街地の衰退や空洞化が進んで いる.
北東 北 3 県の青森市,秋田市,盛岡市は,ともに 県庁所在都市であ り,また人口 3 0 万人程度の中核都 市で もある. しか し一方で, このように人 口規模が ほぼ同様であるにも関わ らず,中心市街地にて感 じ るにぎわいは大きく異なる.それは 3 都市の中心市 街地 に同程度の人通 りがあるとして も,にぎわいを 受ける印象は異なるように感 じられる.街のにぎわ いは,それぞれの街の文化的側面,居住する市民の 気質 ( 個人的側面)によ り異なるものであるが,そ の差が生 じる原因として,何かほかの要素 も影響す ると考え られる.
2 003年 7月 21 日受理
'秋 田大学工学資源学部土木環境工学科 . D e p a r t m e ntof Ci vi la n dE n vi r o n m e nt alE n gi n e e ri n g ,Fa c ul t yof E n gi n e e ri n ga n dR e s o u r c eS ci e n c e ,A ki t aU ni v er si t y
''レオパレス
21 .L e oPal a c e 21
こうした状況をもとに,中心市街地の魅力を抽 出 する研究
(1),繁華街の構成 を考察 した研究( 2 ) 等が行 われているが,にぎわいの要素を詳細 に分析 した研 究はみ られない.以上を踏 まえ本研究では,人が ど ういう状況をにぎわ うと感 じるか把握 した上で,に ぎわいというイメージを確立させる要因はどこにあ るか,にぎわ う街が持つ要素 として何があるか等 を 明 らかにする.ここでにぎわいは,広辞苑 によると,
「 人出が多い」, 「 盛んなさま」,「 繁盛するさま 」 な どと定義 されているが, これ らは抽象的で個人のイ メージによるところが大きい.今後,中心市街地の 活性化 を議論する上で,にぎわいを各要素に分解 し, それ らを定量的に把握することは重要 と考 えられる.
そ こで本研究では,にぎわいを構成する要素 として, 人通 りの多さに加え,車道 ・歩道の広 さ,走行車両 の多さな どの道路空間特性 を考慮 し, これ らがにぎ わいへ どれだけ寄与す るか定量化す る.その結果, にぎわいを人通 り以外の側面か ら検討でき,街のに ぎわいを創出する 1つの視点を提示可能 となること か ら,今後の中心市街地活性化方策 を検討する際に 有益な示唆を与えることができる.
2 . 調査の概要 2.1 にぎわいの評価方法
3 都市のにぎわい調査に際 し,本研究では 3 都市
に居住する大学生を対象に, 3 都市の景観を 3 枚ず
3 8
浜岡秀勝 ・石塚沙矢香 ・阿久津雅紀 ・清水浩志郎つ合計 9 枚 の撮影 した写真 を見せ,それ らをにぎわ いの面か ら評価 させる方法 をとった.
被験者 を 3 都市 に居住す る大学生 にした理 由とし て,大学生は属性が均一であ り相互比較が容易な こ と,および,街のにぎわ いは絶対的 というよ りはむ しろ相対 的に評価 され るもの と考 え られる ことが挙 げ られる.すなわち ,3 都市の大学生が,それぞれ 3 都市の景観 を見 ることで,にぎわいを評価する際の 基準が把握可能 となる.また,写真 を用 いて 3 都市 の景観 を被験者 に知 らせた理由は,にぎわいを判断 する際の要素を簡素化 させるためである.他の方法 として,それぞれの都市の特徴的な映像を見せ る, および現地で ヒア リングする等が考 え られ るが, こ れ らは ともに被験者の獲得する情報が多 く,また個 人によ り収集す る情報が異なるとも考 え られ,被験 者が何 をもって にぎわ いを判断 したか解釈困難であ る。一方で写真 を用 いて街の景観 を示す ことは,中 心市街地 の情報 を地域差な く同等 に提示 しやす く, かつ余分な情報 を制限する ことができ,街のにぎわ いを構成す る要素をよ り明確 に表現できると考 え ら れる.
2書 2 にぎわいに影響を及ぼす要素の決定
都市の景観は様々な要素で構成 され,それ ら要素 が互いに影響 を及ぼ しあい,個 人に与えるイ メー ジ を形成 している.その中で,街のにぎわ いに関連す るもの として,人通 りの多 さ,雑然 とした雰囲気, 商業施設 の集積な どが考 え られる.本研究では,街 のにぎわ いを人通 りの多 さ以外の視点か ら考察す る ため,そ の要素 として人通 り等 に関連す る歩行者面 に加え,道路空間面,交通面か ら表 1に示す 5 つの 項 目にまとめた. これ ら 5 項 目は, どれ も物理量で 表現できるため,にぎわ いを定量的 に解析可能であ る.
表 1 にぎわいの要素とその内容 建造物 店舗の数,規模の大きさ等 道路構造 車道の幅員,歩道の幅員等 歩行者 歩行者の多さ,歩行速度等 色使い 色の多様性,明るさ等
2. 3 にぎわい評価 に用 いた写真
にぎわ いを評価す る景観 として,図 1に示す 9 枚 の写真 を用 いた. これ ら写真は, どれ も都心部の商 業地が集積す る地域 において, 2 0 02 年 1 1 月の降雪 期以前に撮影 した ものである.
N o ,1( 盛岡)
No.3 ( 秋 田)
No. 2 ( 青森)
N o . 4( 盛岡)
No . 5( 青森) N o . 6 ( 秋 田)
No
. 9( 秋 田) 図 1 位l l lL . た都市景観
なお用いた写真は,前節で示 した 5 つの要素の違 いか ら比較可能 とす るため,直交表 に基づき,それ ぞれの要素を表 2に示す とお り混在 させて撮影 した.
ここで直交表作成 に際 し,定量化可能な 5 項 目は,
調査 に用 いる写真数の制約 によ り,それぞれの平均
値を基準 に 2値化 している.その結果,にぎわいに
影響を及ぼす要素を比較検討でき,にぎわ いの生成
に結びつ く因子を明 らかにできる,
地方都市の中心市街地に見 られるにぎわいと都市構造に関する研究
表 2 写真の景観要素
建造物 道路構造 歩行者 色使い 自動車 N o . 1 多い 狭
い多い 多い 多い
N o . 2 少ない 広い 多い 多い 少ない
・ N o . 3 多い 広い 多い 少ない 少ない N o . 4 少ない 狭い 少ない 少ない 少ない N o . 5 多い 広い 少ない 少ない 多い N o . 6 少ない 広い 少ない 多い 多い N o . 7 少ない ・狭い 多い 少ない 多い N o . 8 多い 狭
い少ない 多い 少ない
N o . 9 多い 広い 少ない 多い 少ない
また, これ ら写真の にぎわい評価 と同時 に,写真 が被験者 に及ぼすイメー ジの評価 も実施 している.
これは,被験者がある景観 をみた とき,それか ら如 何な るイ メー ジを抱 き, にぎわ いを判断す るか明 ら かにす るためで ある.表 3 に示す形容詞対 を設定 し, それぞれ の写真か ら感 じるイ メー ジについて 5
段階で評価 している.この 1 3形容詞対 は,前節で示 した 要素に対応 して,建造物 ( ⑥⑨),道路構造 ( ③④⑧
⑩⑪⑫ ),歩行者 ( ①⑩ ),色使 い ( ⑦ ),自動車 ( ②
⑤)に分類でき,これ ら要素間の比較 も可能である.
表 3 使用 した 1 3 形容詞対
①人が多い/少ない ⑧歩行に安全/危険
②自動車が多い/少ない ⑨楽しい雰囲気/つまらない
③歩道が広い/狭い ⑩街路が単調/複雑
④歩道が歩き易い/歩き難い ⑪街路がすっきり/乱雑
⑤渋滞する/渋滞していない ⑫整備状況が良い/悪い
⑥雰囲気が明るい/暗い ⑱人の動きが一方向/多方向
以上の検討 をもとにアンケー ト票 を作成 し,青森, 秋 田,岩手の大学生を対象 にア ンケー ト調査 を実施
した.そ の概要 を表 4 に示す.
表 4 アンケー トの概要 調査日 2 0 0 2 年 1 2 月
調査対象 青森,秋田,盛岡在住の大学生 調査項目 景観評価調査
・景観に対するにぎわい評価
・景観構成要素による 5段階評価 こぎわいの定量化に関する調査
・にぎわいに資する景観構成要素の‑対比較
・景観構成要素による都市の‑対比較 サンプル数 青森市 : 6 2部 ( 青森公立大学生)
秋田市 : 9 6部 ( 秋田大学生) 盛岡市 : 9 0部 ( 岩手大学生)
3 9
3 . 写真 によるにぎわいの評価
街のにぎわ い評価 に際 し, ここで は, 9 枚 の写真 が どの都市 にて撮影 した ものであるか提示せず,写 真よ り受 ける印象か ら,その景観 の にぎわ いにつ い て質問 した. したが って,特 に現地への旅行経験 の ない被験者 は,都市名 による先入観 を持つ ことな く, 景観 による印象のみで にぎわいを判断す る ことにな る.
3.1 全サ ンプル による分析結果
図 2 は,全デー タを用 いて,それぞれの写真 に対 す るにぎわ い評価 を集 計 した結果で ある. この図よ り,No. 1 ,No. 3,No.7,N0.9の 4写真 について被験 者の過半数が にぎわ って いると回答 した ことが確認 で きる. これ ら写真の特徴 を示 した直交表 ( 表 2 ) を 参照す る と,建造物 については,No. 1 ,No. 3,N0. 9 の 3写真,また歩行者 につ いては,No. 1 ,No. 3,N0.7 の 3 写真でそれが多 い ことがわかる. にぎわ いを感
じる 4 写真の うち 3 写真 について, これ ら要素値が 多 い ことか ら, これ らの多 さはにぎわ いに寄与す る もの と考 え られる.
逆 に, にぎわ いを感 じない写真 につ いて,同様 に 直交表 の要素値 を参照す る と,歩行者 については
,5写真中, No. 4,No. 5,No. 6,N0.8の 4写真でそれが 少ない ものの,他 の要素 について大 きな特徴 はみ ら れない. したが って, にぎわ いを減少 させ る要素 と して,人通 りの少な さ以外 は, と りあげて影響す る ことは少ないと思われ る.
以上の分析 によ り, にぎわ いに及 ぼす影響 を総体 的 に把握 したが,その結果 は人通 りの要素以外 に, 建造物 の要素が にぎわ いの生成 に影響 を及ぼす こと が明 らかか にな った ことに留 まって いる.そ こで, この回答 を調査 3 都市で分 け,比較検討す る.
0ヽ 10ヽ 20ヽ 30ヽ 10ヽ 50ヽ 60ヽ 70ヽ 80ヽ 9OI IOOt
0 0 0 0 0 0 0 0 0 N N N N N N N N N
㌦ p:==]□にぎわっている ■にぎわっていない
図 2 全サンプルの結果
3.23都市別の分析結果
図 3 に青森,図 4 に秋 田,図 5 に盛 岡のデー タを
用 いた にぎわ い評価 の集 計結果 を示す. これ らの図
40
浜 岡秀勝 ・石塚沙矢香 ・阿久津雅紀 ・清水浩志郎か ら,過 半数 が にぎわ いを感 じる写真 は,青森 は N o . 3 ,N o . 7 , N o . 9 ,秋田は N o . 3 ,N o . 7 ,盛岡は N o . 1 , N o . 3 , N o . 7 , N 0 . 9 であることが確認できる.これ ら の写真は,全て前節の分析結果か ら得 られた,にぎ わ う景観 に含 まれてお り,都市別 ににぎわい評価 を 集計 して も,それ以外 ににぎわ いを感 じる景観のな いことがわか る.また,盛岡ではにぎわいを感 じる 写真が全て前節で得 られた写真 と一致するものの, 青森では 1写真,秋田では 2写真がにぎわいを感 じ ない結果であることも確認できる.
それぞれの写真 に対す るにぎわいの回答結果 を都 市別 に比較す ると, N ( ) . 1 , N o . 3 , N 0 . 9 において大 き な差が生 じて いる ことがわかる. これ らの写真は, 全て につ いて にぎわいがあると評価 されている こと か ら, にぎわ いのない写真 には各都市 ともに共通的 な認識があるものの, にぎわいのある写真では居住 都市 によ り感 じ方が異なることを示 している.
各都市のにぎわ い評価特性 を全般的にみると,育 蘇,盛 岡では,比較的 ににぎわいを感 じる傾向にあ るものの,秋 田は全般的 ににぎわいを感 じない傾向 にある結果が得 られた。 また一方で,提示 した写真 に関す る情報が多 い居住都市 と他都市の写真 に対す る評価 については,特 に明確な違 いがみ られなか っ
た.0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100㌔
No. 1
N o 2
No. 3 No. 4 No. 5 No. 6 No. 7 No. 8 No. 9
□ にぎわってい る 団にぎわっていない
L図 3 青森サ ンプル
αヽ iOヽ 2Oヽ 30\ 40ヽ 50㌔ 60ヽ 70ヽ 80ヽ 90㌔ 100ヽ
I
竃 績霊遥遠 】
ト
□ にぎわってい る 匿 =こぎわっていない 図 4 秋 田サ ンプル
No. 1 No. 2 No. 3 No
.4No. 5 No. 6 No. 7 No. 8 No、 9
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 1OO篤
i
Oにぎわっている E‖こぎわっていない . 図 5 盛岡サ ンプル
4 . 写真 によるイメージ分析
街のにぎわいは,人通 りの多 さ,商業施設の数な ど,物理的な要素をもとに,その場の様々なイ メ‑
ジが形成 され,その結果,生み出されるものである.
3 章では,にぎわいを定量化可能な 5 つの要素によ り評価 したが, ここでは,それ を定性的な側面か ら 評価す る.その際のイメー ジデ‑ 夕は,被験者が 9 写真を見た際に感 じる印象を,表 3 に示す 1 3 の形 容詞対 にな らい, 5 段階で評価 させ る方法 にて取得
した.
ここで,アンケー トによ り得 られたイメ‑ジ評価 データを調査地 ごとに分け,それぞれ集計分析 した ところ,各写真 に対す る回答の地域差がほとん どみ られなかった. したがって,本論文では 3 都市のデ
‑夕を一つにまとめ,分析 した結果 を示す こととし
た.4. 1 にぎわ いに関連するイメージの特定化
にぎわ いとアンケ‑ トによ り得 られたイメー ジの 関連性 を把握す るために,まず,それぞれの写真に 対 して 1 3 の形容詞対 によるイメージが どのよ うな 特性であるか明 らか にす る.それぞれの写真 に対す るイ メージの分布特性 と, 3 章で得 られたにぎわい 特性 を比較する ことによって, どの形容詞対がにぎ わいに直接的な影響 を及ぼすか確認できる.すなわ ち,景観評価 の分布 ( 図 6) と同様な分布形状 をな す形容詞対が,にぎわ いを表現す るもの と考 え られ る.
1 3 の形容詞対 について,それぞれ にぎわいを感 じ
る割合の分布 を見た ところ, i) にぎわ いの特性 と
同様の傾向を有す るもの, i i) にぎわいの特性 とは
逆の傾向を有す るもの, i i i ) にぎわいの特性 との関
連性がみ られないものの 3 つに分類することができ
た.ゆえに、 これか らはその分類 に基づいて考察す
る.
地方都市の中心市街地に見 られるにぎわいと都市構造 に関する研究
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0 o 0 0 0 0 O 0 0 0 9 8 ー 6 5 4 3 2 ( %) 伽 羅 ゆ り 髄 仙 二 Cf 恥 )
N
o . 1
No .2 No .3No
,4
No .5 No,6 No. 7
No .8 No.9図 6 景観 の評価
図
7,
8は,
13の形容詞対の全てを上述 した
3つ の分類 ごとにまとめ,その中で景観評価 と同様の傾 向であるもの ( 図 7 ),逆の傾向であるもの ( 図 8 ) を示 している. この図か ら,景観評価 と同様の傾向 を持つ ものとして,①通行者の多 さ,⑥雰囲気の明 るさ,⑨雰囲気の楽 しさ,また,景観評価 とは逆の 傾向を持つものとして,③ 自動車交通量の多さ,④ 歩きやす さ,⑧歩行の安全性,⑪街路の整然さ,⑫ 整備状況 という道路構造 に関する形容詞対が挙げら れる.なお,道路構造 に関する形容詞対は,整備状 況が良いほうを正 としているため,にぎわいを感 じ る景観においては,道路構造は悪いと判断 している ようである.すなわち,良好な道路空間は,にぎわ いの面か らみると,時 としてマイナスの効果 をもた らす可能性があることを示 している.
プラス意味 思う
やや思う
どちらでもない
やや思う
思う マイナス意味
‑ ◆ ‑( 91臥 ⑥ 祝 ⑨
図 7 にぎわい評価と同様の傾 向 を も つ 要 素
プラス 意味
思 う やや 思う どちら でもない
やや思 う 思 う マイナス意味
̲
, ‑ ‑ t = = ‑ i ‑ ‑ 予 言
+ 8) + 虐)・ / .⑧ 「{・ .⑪ ⊥七・ ・ ・ ⑫
図 8 にぎわい評価 と逆の傾 向 を も つ 要 素
4. 2 にぎわいに影響を及ぼす因子の比較
前節では,にぎわいに関連するイ メージを把握す るため,各写真のイメージ評価値分布 に着 目し,に ぎわいの程度 と比較す ることで,それを明 らかにし た. ここでは, 3 章で確認された,にぎわいの有無 に関する特徴的な写真 を用い,その写真におけるイ メージをもとに,それぞれの形容詞対がにぎわいに 如何なる影響を及ぼすか明 らかにす る.
図
9は,特 ににぎわいがあると評価 された
N0.3と
N0.7の写真について,形容詞対の
5段階評価結果 を示 したものである. この図か ら, 2 つの写真に共 通するのは,①通行者 の多さ,⑥雰囲気の明るさで あ り,それ以外の他の形容詞対については,それぞ れ数値が逆符号 となっている. どち らともにぎわい を感 じる写真であるが, こうして逆の数値が得 られ た要因として,にぎわいの多面性が挙げられる.
一方で図 1 0 は,特 ににぎわいを感 じないと評価 さ れた,
N0.4と
N0.5の写真について,形容詞対の
5段階評価結果 を示 した ものである. この図か ら, 2
つの写真 に共通するものとして,①通行者の少な さ,
⑤渋滞のなさ,⑥雰囲気の暗さ,⑦色彩の少なさ,
⑨雰囲気のつまらなさな ど,多 くを挙 げることがで きる.特 に,
N0.5については,ほとんどの被験者が にぎわいを感 じていないものの,道路整備の項 目に ついてはそれぞれ良いと評価 されていることが特徴 的である.
図 9 にぎわ いのある写真 に対す る評価
プラス意味 思う
やや思う
どちらでもない
やや思う
思う マイナス意味
一 二 了 ! 二
図 1 0 にぎわ いのな い写真 に対す る評価
4 2 浜 岡秀勝 ・石塚 沙 矢香 ・阿久津雅紀 ・清 水
浩志郎5 . 定量分析 によるにぎわいの構造化 これ までの分析か ら,道路構造,建造物等の要素, および これ らよ り創出されるイメー ジが,にぎわ い に及ぼす影響 を把捉 した.しか しなが らその結果 は, それぞれ の項 目が にぎわ いに与える傾向を明 らか に
した ことに留 まってお り,それ らを相互比較 し, に ぎわ いへの影響の大小 を判断できるまでには至って いな い.そ こで本章では, これ ら項 目が にぎわいに 及ぼす影響を定量化 し, にぎわ いの構造化 を行 う.
その際,分析方法 として,定性的な項 目を定量的 に 分析 で きるAH P ( A n a l y t i cHi e r a r c h y Pr o c e s s ) を用 いる こととした.
AHP を用 いるにあた り,図 日 に示す とお り,中 間層 に建造物,道路構造,歩行者,色使 い, 自動車 のにぎわ い要素を,そ して最下層 には 3 都市 ( 秋 田 市 。盛 岡市 。青森市)をお き,にぎわ いに占める各要 素のウェイ ト算出 と,それぞれの要素について各都 市の状況 の比較 を通 じて,街のにぎわいを定量化す る.
図 日 にぎわい評価の階層構造
593 にぎわいを構成する要素の重み付け
街のにぎわ いを構成する要素 として表 」 に示す 5 つの要素 をと りあげ,一対比較 によ りどち らが重要 であるか 5 段階評価 させた.
AHP による分析結果 を,各都市サ ンプル別 に示 した ものが表 5 である. どの分析結果 にお いて も整 合度が 0.1 を下回ることか ら ( 最大で 0. 07 3 ) ,説明 力のある結果が得 られた ことがわか る。また, 3 都 市の結果 を相互比較す ると,盛岡サ ンプルでは,他 と比べての道路構造へのウェイ トが小さく,歩行者 へのウェイ トが大 きい結果が得 られているものの, 概ね 同様 の傾向を示 してお り, にぎわいに影響を及 ぼす要素のウェイ トに地域差 はみ られないと言 って 良 い.
それぞれの要素を個 々にみると,にぎわいを構成 す るもの としては,歩行者が最 も重要な要素であ り, 次 に建造物 と道路構造が同程度重要 と考 え られて い
ることがわかる.一方で,色使 いと自動車の要素へ のウェイ トは小さく, これ らはあま り重要 と考 え ら れていない. ここで これ ら 5 項 目の うち,ハー ド面 か ら何 らかの工夫ができるものは建造物,道路構造, 色使いであ り, この 3 要素で過半数を占めることか
ら,街のにぎわいを構成す るもの として,人通 りの 多さ以上に都市構造が大 きく影響することが明 らか
にされた.
表 5 景観構成要素のウェイ ト ( 3 都市別の結果) 建造物 道路構造 歩行者 色使い 自動車 青森サンプル 0. 2 8 0. 2 6 0. 2 8 0. 09 0. 09 秋田サンプル 0. 21 0. 2 8 0.33 0. 07 0.一 一 盛岡サンプル 0. 25 0.ー 8 0. 42 0. 09 0. 06
5 . 2 都市のにぎわい評価
調査 に用 いた 9 写真が どの都市の景観を撮影 した ものか示 し,それぞれの都市を印象づけた後 に,節 節で一対比較 した 5 要素について,それぞれを個別 にとりあげ,青森市,秋 田市,盛 岡市の相互 を比べ どち らが優れているか 5 段階で評価 させた
表 6は,各要素 ごとに出された 3都市のウェイ ト をもとに,前節で算出 した景観構成要素のウェイ ト とのかけあわせで計算 したそれぞれの都市のにぎわ い評価 を,都市サ ンプル別 に示 した ものである.そ の結果 は,全般的に青森市の評価値が小さく,秋 田 市,盛岡市にて大き くなる傾向が読み とれるものの, 各都市サ ンプルによ り大 き く異なることがわかる。
加 えて,居住都市 の評価が他都市 と比較 して小 さい ことが特徴的である.その要因 として,居住都市 に ついては,本調査 にて示 した写真以上の情報 をもち あわせていることか ら,そのにぎわいに関連す る要 素ついてよ り厳 しく評価 した現れ と考 えることもで きる.
表 6 3 都市のにぎわい評価値
青 森
秋田 盛岡
青森サンプル 0.1 3 0.5 4 0. 3 3 秋田サンプル 0. 2 7 0. 2 7 0. 45 盛岡サンプル 0. 23 0.51 0. 2 6
5 . 3 旅行経験別 による評価の差違
前節では,各都市 に対す る景観構成要素の評価 に よ りにぎわいを定量化 したが,それ ら要素に関する
‑対比較評価 は都市の比較で もあるため,結果的に
算出されたにぎわ いは,現地への旅行経験の有無に
地方都市の中心市街地に見 られるにぎわいと都市構造に関する研究
よ り異なると考え られる.すなわち,現地への旅行 経験があると,そ こで様 々な情報を知覚することか ら,本調査で提示 した写真以外のイメージも得るこ とにな り,一対比較する際にはこれ らの要素も含め て判断 したと考え られる. したがって, ここでは各 都市への旅行経験の有無によ り,その都市へのにぎ わい評価 に差違がみ られるか確認する.
図 1 2 は,各都市のサ ンプルを他都市への旅行経験 の有無によ り分類 し,前節 と同 じ階層構造 を設定 し た
AHPによる各都市へのにぎわいの定量化 によ り, その結果 を都市への旅行経験別 に示 したものである.
この図よ り,青森サ ンプルにおける盛岡市への評価 を除 く全てにおいて,都市への旅行経験がある場合 には,その都市のにぎわい評価値が高 くなることが 確認できる.すなわち現地への旅行経験は,その都 市のにぎわいに対する評価 としてプラスの効果を生 み出す ことがわかる.これは,前節の分析結果よ り, 3 都市間のにぎわい評価 に関 して,居住都市への評 価が低 くなると示された ことか ら,他都市へ行き日 常 とは異なる街並みを目にすると,それが例え同じ 物理環境であった として も,過大 に評価する傾向に あると考 えることもできる. したがって,都市のに ぎわいを客観的に比較評価するためには,できるだ け現地の印象を持たない被験者 による評価が好まし いと考え られる.一方で この分析結果は,実体験 に よるその都市への印象が,本調査で用いた写真か ら 受けるイメージ以上に大 きいことを示す ものでもあ る.本研究では,街のにぎわいを構成するものとし て道路構造,建造物等の 5 要素を設定 し,それをも とににぎわいを構造化 したが,今後新たな項 目をと りこむ等 して,にぎわいをさらに詳細 に分析する必 要がある.
7 6 5 4 3 2 0 0 0 0 0 0 埋 草 箆 Q ) く 駐 韓 由
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0 0
青森サンプル 秋 田サンプル 盛岡サンプル
図 1 2 旅行経験有無別評価値 の比較
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6. おわ Uに
本研究では,にぎわいについて,それを要素に分 け定量的に示す ことが重要 との認識のもと,まず に ぎわいをいくつかの指標で定義 し,ついで都市景観 のイメージ分析か ら,にぎわいを表現する要素を抽 出した.さらに,それ ら要素のにぎわいへの寄与を
AHP 手法で定量化 した.こうした一連の分析よ り, これまで十分 に検討されていなかった,にぎわいと 都市構造の関連を明 らかにすることができた.
以上の分析か ら得 られた知見を以下に示す.
① にぎわ うと感 じる景観 には,表 1に示す 5 つの 要素で見ると,歩行者や建造物の多さに対す る 評価が高 く,また,表 3 に示す 1 3 の形容詞対 でみると,雰囲気の明るさ,雰囲気の楽 しさと いうイメージへの評価が大きい.
②