筋作業,体液酸塩基平衡の変動と 血液有形成分の数の変化について
金沢大学医学部第一生理学教室(主任斎藤教授)
荻 野 修
Os㈱鎚Oglπ・
(昭和30年11月16日受附)
Alteration of Blood CeU Cりunt due to Mus3u}ar Exercise as weU as Disturbance of Acid−base Balance.
Osarnu Ogino
18舌刀βPα㌍伽8幅(ゾPん汐8∫・z・93,∬αc祝吻(ゾ銑碗e∫物θ,
κα礁αωασ伽εγ吻・
(Dか80伽・P研qブK・8α2老・)
1緒
体液の酸合金早衡が血液の有形成分の性状に 及ぼす影響に関しては,幾つかの研究が既に報 告されている.例えば,Detre(1927)1)は犬に 長期に亘り燐酸叉は塩酸を投与して,赤血球数 の増加するのを認めている.叉,Detre(1930)
2)は犬及び人体について,筋作業を行う際にNa HCO3を投与すれば赤血球数め増大を予防し得
る事実より,筋作業時の赤血球増多はS三iureery−
thτocytoseであるという.Ho仔(1934)3)は臨床 的にAcidosisの患者につき赤血球及び白血球 の増多,核左方推移を,Alk}Llosisでは白血球の 核右方推移を謬めている・フ燭(1937)4)・r辮
(1942)5)は,家兎について体液酸塩基平衡の変 動と白血球平均核数の関係について研究し,酸 塩基雫衡発生機序によりその成績の異なること を報告している.その他,CO2吸入による呼吸 性Acidosisの場合についてはDallin9(1916)6),
言
Dufton(1917)7), Miller(1940)8),黒田(1948)9)
等が家兎叉は犬について実験している.その結 果を綜合すれば,赤血球,網状赤血球及び白血 印\
球の増加を認めている.
以上の諸研究は,多くは動物について個々の 血液有形成分の浩長を観測したものであり,叉 体液酸塩基論衡が如何ほど変動しているかにつ いて記載したものが少ない.
著者は入体について実験的に急性の代謝性 及び呼吸性のAcidosls及びAlkalosisを発現せ しめ,この際おこる血液有形成分の性歌の変化 を広汎に検討した.叉,筋作業時に血液有形成 分の性欺が変化することは周知の事であるが;
これが同時におこるAcidosisに如何ほど起因す るかについて明らかにする目的を以て本研究に 着手した.
II実 験 被検:者には敏室勤務の健康成年男子3人(29〜31歳)
が当った.
酸塩基李衡の変動を発現する方法として次の方法を 選んだ. 1
1)自転車Ergometerを用いた筋作業による代謝
方 法 性Acidosis
2)塩化アンモン及び重曹服用による実験的代謝性 Acidr,sis及びAlkalosis
3)CO2を5〜6%含有する室気呼吸による呼吸性 Acidosis及び随意性過呼吸による呼吸性Ah一
10sis
血液のpH測定は斎藤・本田の微量用ガラス電極法 により,手指末端より皮膚毛細血管血を探って室温に て測定し,これより体温における値を算出した10)・(血 液pHは各々代表的な1例を図示した。)
赤・白血球数は,Thoma−Zeissの血球計算器を用 い,稀釈液としてHayem, Thrk氏液を用いて算定し
た.
白血球像は,血液塗抹標本を作りGiemsa染色を行 って白血球200を算え百分率を決定した.中性嗜好白 血球の核推移の傾向を知るためには,杉山の二二核数 法11)を用いた.
血小板数は,Fonio氏法12)により,網引赤血球(以 下網球と略す)数:はSchiUin9−Jorgan州法13)になら って超生体染色により計算した.
〔1〕 筋作業実験
1)丁度短時間筋作業の場合
%
赤 置20 搬}認
黒200
1100 11認
慧・・
畏200
10{}
衆200
・1盤
網 200
球 10〔}
番
叢110
100
血7・44 液7・42 pH 7・40 7.38 7.36 7・避4 7.32
第 1 図
III実 験 成 績
1
対 筋作1蒋 後 分
(1053
癬{ k5り/m■n) 30 60 90 120 150 180
作業前45分間安静にし,筋作業は1053kgm/
1ninの負荷で8分〜10分闇行った.
血液pHは筋作業により急激に低下し,一〇.10 pHにも及ぶが,筋作業の終了と共に速かに恢
復した.
赤,白血球数の増加は,筋作業直後に著しく,
赤血球数は十11.0%(実験例の李均値を示し た。以下同様である.)白血球数は+62.6%に及 び以後漸減した.
血小板,網球の増加は,筋作業後に著しく作 業後30分では,血小板数十39%,網語数86%に
達した.
白血球の内,淋巴球の増加は特に著明で作業 直後には+149%にも達し,淋巴球の増加率は 他の血液有形成分の増加率より遙かに大きい.
白血球の核移動は,平均核数が作業直後に或 いは減少し,或いは増加し一定の傾向を示さな かった.作業後の経過は何れも雫上面数が増加 し(60分後十9.6%)核右方推移の撒態を示し
た.
エオジン嗜好白血球,輩核球の数の変動には
一・閧フ傾向がなかった.
2)軽度長時聞筋作業の場合 (第2図)
筋作業は562〜702kgm/minの負荷で60分間 行った。筋作業中は20分目,40分目に,作業後 は直後及び30分後に探血襯察した.
血液酸塩基雫衡は筋作業開始と共に急にAcト dosisに傾き(一〇.06〜一〇.10 pH),作業を続行
しても漸次恢復する傾向を示し,以後軽度の Acidosisの三態(二一〇.03 pH)を持続した.
その持続二品は作業終了後15分に及んだ.
赤,白血球数,血小板数の変動は,血液1)H
第 2 図
あ一lili」ぐヨL壽;一.匙
8 1 ユ
lii
l…
皿
小i50 板ioO
網200
球呈{xP
1}認1 レへ、 /、、
, 1 、
740
1n1 738
液_ 36 pH734 732 730
㍉一一、、も_. _一・
} 曜 :
: 1
文童 20 40 60 子麦 分・
筋作業
員召 (562−702k5ψm) 30 6⑪ 90
の低下に略ヒ不行し,寧ろ筋作業の前宇に増加 する傾向を示した.即ち,血液pHが最:低値を 示す筋作業開始後20分では,赤血球数+8.5%,
白血球数十36%,血小板数十40%の増加を認め た.作業開始後40分には,下降した血液pHは 恢復に向い,赤血球:数+7%,白血球数+30%,
血小板数十29%の増加を示した.網球数は反っ てこの時期に十67%の増加を認めた.かかる血 液有形成分の数の増加も作業絡了後90分では,
網因数の増加(+69%)を除き殆んど旧に復し
た.
白血球の内,淋巴球の増加は作業初期(20分)
に著明であるのに(+100%),中性嗜好白.血球 は作業申著変が認められなかった.しかし,筋 作業絡了後30分を経過すると,淋巴球数は減じ
(30分後十14%,90分後一32%)・中性嗜i好白血 球数の増加(30分後十28%,90分後十33%)と その処をかえた.この変化に似て,作業中一定 しなかった白血球の核推移は,筋作業血忌均核 数値が何れも減少し(30分後一796,90分後一
6%),核左方推移の状態となった.
エオジン嗜好白血球,輩核球の数の変化には 一定の傾向が認められなかった.
以上の如く筋作業時には多少なりともAcidsis を来すが,これに件って血液有形成分の増加を 認めた.個々の有形成分の増加率を比較する に,赤血球の増加率は白血球血・」・温容球の それらより低く,白血球中でも淋巴球の増加率 は最も大きい.これら各有形成分の増加率は負 荷される作業張度によって異なる外,軽度長時 閥作業実験において認められるように,増加率 の最大を示す時期が各有形成分によって一様で ない.これら筋作業時に認められる血液有形成 分の増加は相互に可成り独立した反応と考えら れるが,体液の酸塩基雫衡の変動と如何ほどの 関連を有するかを検討する目的を以て次の実験 を行った.
皿〕代i謝性酸塩基直話移動実験 1)代謝性Acidoslsの場合 i)富盛時における変化(第3図)
実験的Acidosisをおこすには塩化アンモン 5〜89を水200ccと共に服用した.実験中は 安灘にし,:水分食事の面取を禁じた.
塩化アン鴫ンを服用すると,血液pHは漸次
低下し100分前後に最:低(一〇.081)H)となり,
後,恢復しつつ経過するが,4〜5時聞後にも なお軽i度のAcidoslsの気態(一〇.04 pH)に止 まった.
血液有形成分の数の増加は,Acidosisの進行 と共にその度を増したが,血液pHの低下とは 並行しなかった.増加の割合が最大(赤血球+
7%,白血球+10%,.血小板+10%,網球+30
%)となるのは向く,その恢復も徐々に進んだ・
白血球の内,淋巴球の増加は著しく(十59%)
且つ持統的であった.中性嗜好白血球は寧ろ減
赤 %
無i認
富15。
肇1・・
皓 暫・5・
勇1、。。
淋200 畏 10{D
山L
小150 板100
網 ユ 球100
惣11uf>
数100
血7.44 液7.42 pH 7,40 7.38 7.36
第 3 図
/画〆。、 、
、
、
9
対 籍 ,・ 1・・18・2・・分 照 畜
鶴
少し(一13%),白血球の核推移には著変を認め 得なかった.エオジン嗜好白血球軍核球の薮 の変動は一定しなかった.
ii)筋作業時における変化 (第4図)
塩化アンモン5.09を水200ccと共に内服し「
て実験的Acidosisの歌態とし,これに1053kgm
/minの筋作業を5〜10分間行わせて,この際現 われる血液有形成分の変化を観察した.
塩化アンモン服用によって漸次低下した血液 pH(一〇.05 pH:前後)は,筋作業により更:に著
明な低下(一〇・1pH)を来し,その恢復は軍純 な筋作業の場合よりも逞れた.
前節のように,実験的代謝性Acidoslsによる 血液有形成分の数の増加は(赤血球十7%,白 血球+3%,血小板+14%,網球+3ユ%),筋作 業により更にその度を増した.即ち,筋作業直
赤虫
舞
、lll
諜 窪10{
痺200 農150 珠 100
300
淋
巴200
珠
10{1 乗
板
球
鶏 蟻
pH
第 4 図
I l
@ l 1δ{ 1 ・
P一! 一一一一ンニ 一. r一 「 一}
f ノ 「, 一 一
1 圃r一 一・! 胃
2{}0 「 4、
1 、 / 、 , 「
♪、 ,\
幽 , 一島/ 一 レ メ ● 1 、
ヤ,
一.
置OO 二
1 : 110
l ll 覧1 1
1 /つ・
、 , 一一一
100 、㍗ 一Y/ 1匿 1 , の 一 一 一
\\.ノ〆
7.36 V.34
1
7.32 } 1
l I
7.30 匿 1
7.28
i I 戟@ l
7.26
724
鼠皐員β慶
対塩化ア!モノ筋 後 分
服用 f乍(1053
照 業k呼脚)30 6{} 9() 120
後には赤血球十16%,白血球十58.6%,血小板 十24%の増加を来し,網球数も十93%の増加を 認めた.白血球の内,淋巴球の増加は中性嗜好 白血球の増加(十27.7%)に比し殊に著しく,
作業直後には+171%にも及び30分後にもなお
+57%の増加を認めた.白血球の核推移は,筋 作業後準均核i数値が何れも減少し(一6%),核:
左:方推移の傾向を示した.
2)代謝性Alktlosisの場合 i)安静時における変化 {第5図)
実験的A11・aloslsはNaHCC)13109を水200cc と共に服用しておこした.実験中は安欝にし,
水分食事の撮取を禁じた.
NaHCO3を内服すると,血液pHは比較的短
時間(30分〜60分)で上昇し(十〇・05〜十〇・06
%
ポ 農鷺:
盆
球l№X 程 }
籍、。。
緊・・
畏1認
第 5 図
赤120
血Lll工}
球
ロ ヘ ノ
\ζ〆で 〉1
L・÷聴__5
臼200 畏
中100
講 暫1δ。
舞1。。
淋 巴
球IoO
血 小15{}
板
網200
第 6 図
県…
板 8隻}
網
100 球 50
110諾 核
−1>て=一==ニー〉ぐ
数100
1血L7.46 液7.44 pH 7。42
7・49
り 撰 数
対翫 後 分
昭 内服 30 60 90 120 150
pH),後恢復に向う.
血液有形成分の数は,血液の反応がAikalosis に傾いた後に減少し(赤血球一10%,白血球一 14.5%,血小板一19%,網球一36.4%),この状 態より徐々に恢復する傾向を認めた.
血液pHの増大に件い白血球の内,淋巴球は 持続的に増加し(+2斗%),中性嗜好白血球は減 少した.白.血球の核移動は,.血液pHが最:大に 達して後,平均核数が増加し(十8%),核右方 推移の状態となった.エオジン嗜好白血球の増 加(約+1%)は顕著でなく,輩核球の変化に は一定の傾向がなかった.
ii)筋作業時における変化 (第6図)
被検者はNaHCO3109を水200ccと共に服 用し,実験的Alkalosisの状態の下に1053 kgm
/minの筋作業を7分〜10分行い,この際現わ
血7.54 液7.52 pH 75(D
対 Nalico,服用後 筋作業 後 分
1・ 撫 3。 1灘の 30 ω 12{)
れる血液有形成分の変化を観察した.
NaHCO3の内服によって一旦Alkalosis(十
〇.08pH)に傾いた血液の反応は,筋作業によ り一時的に復元し,.血液のpHは略ζ正常値
(pH 7.46)となる.作業を終ると再び軽度の Alkalosis(+0.06 pH)にイ頃きその歌態が続いた・
前節の如くに,.血液有形成分は作業前,実験 的Alkalos五sのため減少に傾き,赤血球数には 著変がなかったが,白血球数(一4%),血小板 数(一16%),網球数(一23%)の減少を認めた・
白血球の内,淋巴球の増加は+36%に達したが,
中性嗜好白血球は反って減少し(一24%),その 下賜核数は十4%で核右方推移の歌態であった.
かかる朕態で筋作業を行うと,血液有形成分 は軽度に増加し(赤血球十9.3%,白血球十43
%,血小板+12%,網球+16・9%),箪純な筋作
96
20
1工} 魯
グ↓『㌔、一 、曹 艀 一 一 曹 一_ 一
00
9
▼ .
@ ,
、 ・ 一 響 一 ● 一
@ ● 一 醒
00 :勾、
1
!,ぐ\ 「
C =;一=7乙澗一∵ 一一・一、・
00 『 『 『 一●ζ二.曹」.
@ :
噂 層覧
δ0
o 1
一一
00 _ 一 一 冨 一
㍉早.γi=一一一一一
}終278)
/。\
200 1 ノ 1 、 、
r ・ 隔
!^ 1 \:》r 、p , 、 亀
ムr 、 響 、 、 、@ 、、 、
@ 噌 「
oO 一 ● , 〜 ・
15{}
1
@三 、γト、岬、一『
@ 一〇〜曹 岬 一 C .
一 一「 _ _ こ◆/ 一 一
1 8
200 ノ、1
1 ノ1 、 !o¶ 噛
! 1 ,y 一 、
一、一ュ 、
@ 一 } 陶、 冒 謄 甲 璽 の 10(,
f層騨一号一一一♪一レ
1io バ :
、 1
C,/「 !・、 冒 一 一 ■ 一 需 曽ノ罰
100 一 一@ 一 . ● 、 騙
r
コン教一㌦・τ 、
F
二 〆 、 〆
.54
1 1
.52
D5(D.48 \
46 1
1
.44 1
1
1 1
業の場合よりその程度は少ない.白血球の内,
淋巴球の増加が顕著(+126%)である反面,中 性嗜好白血球数は正常域に止まった.白血球の 核移動は,雫均核数が筋作業直後減少(一3%)
し核左方推移の傾向を示すのを認めた.
以上の如く,実験的Alkalosisの朕態で筋作 業を行うと,血液pHは筋作業により正常値に 恢復するのに血液有形成分の数の増加を認め
た.
皿〕呼吸性酸塩基平衡移動実験 1)呼吸性Acidosis(第7図)
安富に椅坐した被検者に,呼吸弁を介して 1000L入大型ダグラスバジク内のCO2混合室 気(CO25.6〜6.0%,0219.9%)を吸入させ,
呼吸性Acidosisをおこした.吸入時闇は26〜
第 7 図 轍・
慰ilL孟と。卜、
}、\
1 \ , 球
罎、5。
替26
鑑、。。
淋150 巴 25 球
血200 小150 板
100 網200 150
球 100
28分であった.
血液の酸塩基雫衡は,CO2吸入を開始すると 直ちに著明なAcidos{sに傾1き(2〜3分で一
〇.05〜一〇.09pH),吸入を絡了すると速かに恢 復し10分以内に正常域に復元した.
血液有形成分の数は,CO2吸入絡了直後に最:
も増量し(赤血球十11.2%,白血球十25.3%,
血小板+57%,半球+87.5%),吸入終了後60分 には殆んど急に復した.白血球の内,淋巴球の 増加は著しく(+27%),中性嗜好白血球数の増 加も詔められた.白血球の核推移は,吸入後平 1均核数が減少し(一15.7%)核左方推移の}伏態 であった.エオジン嗜好白血球,輩核球の変化 には一定の傾向がなかった.
2)呼吸性Alkalosis (第8図)
第 8 図
・m .1
…レ ノー: 「、 、
し暴 : ●一闇
墨_ \ ノロ へ
,一一一
1 卜、
_ 1 唱ロ 一 一。
餉Lmo 琵9・
礁i25 琶1・・
衆
淋125
巴豆1〕〔}
琢 笥
1血L丑2δ 小lO蔓》
板 肉,
∂
㍉ ^
ユ 寝9。
数1W0
血7.42 液7.40 pH7・38 7.36 7.34 7。32 7.30 7.28
1
一一」一.一!!一
l L
↓ 1 一魎●、
一;,675)
㌻ ・1 ./
へ コがノ
i
i
叢ト\.…_一
コ
平lio l l ノー一一\、
ロ
均 \ 千ク置OO 、 数 90 、
1匪7,711 液 pH760
7、5{}
74〔,
対 照
あ 命 2{}後 30 60
始。腿八 120
分 対 搾 直 後
llll 伯縺@3(,60
始
120 分
安諭こ椅坐した被検者に呼吸弁を介して随意 性過呼吸を行わせ,呼吸性Alkaloslsの歌態と した.呼気は1000L入大型ダグラス・㍉ク内 に呼出し,呼気量を測定した.過呼吸は耐え得 る限り続行し17〜23分継続実施した.その呼気 量は安静時の平均4.7倍に達した.実験中は水 分食事の癬取を禁じた.
血液酸塩基干衡は,過呼吸と共に著明にAlka−
10sisに傾き(3〜5分で十〇.15〜0.20 pH),
過呼吸の後牛には十〇.26〜0・30pHの血液pH:
の上昇を来し,全身のしびれ感,四肢の振頭,
蕨下等の如き強いAlkalosisの症状を呈し,過 呼吸平押のやむなきに至った.かかる強いAlka−
Iosisも過呼吸を停止すると速かに恢復した.
」血液有形成分の数は,何れも過呼吸停止後に 滅少し(赤血球一6%,白血球一8.9%,血小板 一21%,網球一45.8%),停止60分後セこは大凡 旧に復した.白血球の内,淋巴球は過呼吸停止 直後には増:鳴したが(十12%),後,減少に傾い た.過呼吸停止直後には減少(一13%)した中 性嗜好白.血球は,後増加する傾向を示した.白 血球の核推移は,過呼吸後平均核数が増加し
(十12%),核右:方推移を来した.
IV 考 按
以上の実験成績より主要な血液有形成分の変 動の干均値の一覧表を作ると第1表となる.拐 げた数値は対照(正常値)の雫均値を100%と した時の百分率である.正号は増加,負号は減 少を表わす.
この表より,酸塩基『二衡の変動が血液有形成 分の数に及ぼす影響は,その発現機序が代謝性 たると呼吸性たるとを問わず,同様の顕著な
ものであることが分る.一般的にいえば,Aci−
dosisは赤血球,淋巴i球,中性嗜…好心.血球,血 小板,網島等の血液有形成分の数を増し,Alka−
losisは淋巴球以外の血液有形成分を減少させ る.淋巴球は何れの場合にも増加する.かかる
倒
翠.望
8餐冠 占 瞳く
騨
・器
三蝿
川○魚 劇睦蜜 魍 渾 環睦蜜
肥《mO魚
§藪
誰ζ
講鰹
£Q盗拳蘇
邸 1
ぎε霜
・器
遷くロ
毫黙
慈Q
建鋸 略母
髄i巡
遊駅 蟹畿 転寝
ヨ(○Φ
脳六諭 掴 渾 寝購※
鋼騒盤1日0
1110(中
出母蝋
ヨ(○(訣
寝六諭 園QΦ 盗巴縣 日○中 濾巴i課
田○魚 盗巴罧 魍灘 留筆報
§oσ、寸σ、 H◎D
o。。Oi葦舟蕊專 l l十 l l l
ま母喚9門 r肉 的 oo巽曽 臼薯 o
l l一← l l 1 品
薄首星㍉舅ヨ
十十十十 十十
覇的丁丁 9崎需
=丁丁詰 1躊εδ o 十十十十 十十 !
§ミ喚『叩鴨 喚鐙 。。籍禽。う1鵠。
十十十十 十十
§ミ的『(『鰻 『σこ
ひ ホつ ゆ ね ね ゆ
マ臼 1門H O
十十十 1 ÷十 十1
§ゆゆ 頃 o寸 8 丁丁頃圏十寸鵠 o
I i十 I l l 十
§ミ。、ooト ゆ。 鶉 丁丁丁丁十1萬駅 o
++岸+ ++ 1
漂一一@ 零
卜冑濡色十1ヨ霧 o 十十十・1 十十 1
§ρく『α〜『 『1『
丁丁二才 寸お 十十・十十 十十
§ミ勢的『賦? 二二
ゆ の くつ ガ ら ゆ
NO 十1(Nσ、
十十÷十 十十
§く『9⊂〜⊂〜 Pρ
卜8認H 禽お 十十十十 十十 求ゆ。 。q o、09ヨ』
。。霧§H+1審轄曽
++++ ++ 〜
§R璽。?的 的。脅
ゆ オ くあ ゆ
。つ。OH十。つ。o 十十十十・ 十十
§r丁丁p r肉 需
=$丁丁・H丁丁 o 十十十十 十十 [ 営営騒丁丁下下 輯
轟目竪
目4ヨ田噛 る僑 麟
響縁
僑{ロ総モ}ぼ起醸i種
黛
。
脚 暫
く貧
随e
睡 竃
血液有形成分の数の短時間内における変動は,
循環系(血管系・淋巴管系)内における血液有 形成分の分布の変化に基くものであろう.
Acidosisの場合,白1血球の増加率は赤血球の それを遙かに越えている.特に淋巴球において その傾向が著しい.これは白血球殊に淋巴球に は特別の増加機序のあることを物語っている.
叉,筋作業時には,一般にこれに随件する Acidosis以外にも血液有形成分殊に白血球を増 加せしめる要因のあることは,実験的Alkalosis 時の筋作業実験より推知出来る.即ち,この際 血液の反応は全く正常に恢復しているが,血液 には著明な変化が現われている.この要因の本 態に賦しては未だ推:量の域に止まるが,この効
,果が一般の筋作業時にはAddos{sの効果と加 重して,特に著明な変化を血液有形成分にもた らすものと考えられる.
軽度の長時闇盗作盛時における血液有形成分 の数の変動は,各有形成分により逞速の差別が 認められる.即ち,赤血球・淋巴球の変化は速 かに発現し,作業継続申におい七も速かに浩退 し血液pHの変動と略ヒ平行するに反し,中性 嗜好白血球・血.小板・網球では作業の経過と共 に漸増する傾向を示し前者とその増減の傾向を 異にしている.他の実験条件の場合において も,函嶺のかかる各有形成分特有の浩長経過が 窺われ,各有形成分の変動は簡輩な機序では説 明し得ないものと考えられる.
V 要 入体について筋作業時及び種々の代謝性並び に呼吸性Acidosis及びAlkalosis時の血液有形 成分〔赤血球・白血球(淋巴球・中性嗜好白血 球・雫均核数)・血小板・網状赤.血球〕の数の変 化を検索した.
1.酸塩基牛衡の変動が血液有形成分の数に 及ぼす影響は,その癸現機序が代謝1生だると呼 吸性たるとを問わず,同檬に顕著なものであ
る.
2.一般に,Acidosisの場合,血液有形成分 は全般的に増加する.白血球の増加率は赤血1球 の増加率を遙かに越え,特に淋巴球においてそ の傾向が著しい.Alk批losisの場合,血液有形成 分は全般的に減少するが,淋巴球のみは塵か乍
約 ら増加する.
3.Na、HCO3服用による代i謝1生Alkalosis時・
に筋作業を行うと,作業直後の血液の反応は全 く正常に恢復しているに拘わらず,血液有形成 分は著明に変化した.即ち,筋作業時にはこれ に随罪するAcidosis以外にも血液有形成分を増 加せしめる要因のあることが推測される.
4.体液の酸塩基:雫衡の変化に際してみられ る血液有形成分の数の変動は,その変動率にお いても亦変動の時聞的経過においても,個々の 血液有形成分によって異なる.
終りに臨み終始御指導と御校閲を賜わりました斎藤 敢授に衷心より謝意を表する.叉,実験に際し種汝御 援助下さつた下川・故奥出両氏の御好意に感謝する.
文 1)Detre, L,(1927): Uber die erythropoe−
tische Wirkung der AzidOse。 Zscllr, exper.
Med.56;76. 2)Detre, L u.1. Z告r己ay.
(1930): Uber die Pathogenese der Arbeitsery−
throzytose. Zschr.】(lin. med.114:379.
3)Ho亘f, F.(1934): Zusammenh蕊nge zwischen
献
Blutmorphologie und den humoralchem三schen Verh芭1tnissen des:BIしltes. Erg. Inn・Med.46:
1・ 4)水野三男(1937):血液の酸塩基 李衡と白血球の核移動との関係に就て.十全会誌 42:629・ 5)平井邦男(1942): 血液酸塩 基Zド衡,主として実験的アチドージスと白血球核
移動との関係.十全会誌,47:621・ 6)
Dalling, H. C. et al.(1915):The mechanism adapting the oxygen Capacity of the blood to the requirements of the tissues.Am.∫.Physio1.
39:77. 7)Dufton, D.(1917): Incre−
ase of erythrocytes resulting from exposure to Carbonic Acid.∫. Physio1.51:5. 8)
:Miller, A. T.(ユ940): Acc】imatization to Carbon dioxide. A study oF chemical and ce11ular
chaDges ill the blood. Am. J. Physiol.129:
524・ 9)黒田正夫(1948):CO2長時間 吸入の生体に及ほ1す影響.日本衛生学誌,2=2,
21. 10)斎藤幸一郎。本田:良行(1955)3 微量ガラス電極による血液pHとその温度係数の 測定.日新医学,42:167. 11)杉山繁輝
(ユ942):血液及組織の新研究と其方法,123・
12)小宮悦造〔ユ951):臨床血液学,17・
13)小宮悦造(1951):臨床血液学,3・