代数学概論第一 ・第二(田口) 講義ノート
1※ 未だ書きかけです。
1. 自然数、整数環、有理数体、実数体、複素数体、多項式環 この講義を通して、以下の記号を用ゐる:
N : 自然数全体の集合(この講義では 0 も含める)
Z : 整数全体の集合 Q : 有理数全体の集合 R : 実数全体の集合 C : 複素数全体の集合
F [X] : 体 2 F を係数とする、 X の多項式全体の集合
N はモノイド(単位的半群)を、 Z と F [X] は可換環を、 Q , R , C は可 換体をなす。
詳しくは後で述べるが、大雑把に言へば、環 とは、 (所謂四則演算の うち)加・減・乗の三つが自由に出来る領域であり、体 とは、さらに
( 0 以外の元による)除法も自由に出来る領域である。環や体に於ける 乗法(積)は、一般には可換(=交換可能)とは限らない(例へば、行 列のなす環に於ける積は一般には非可換である)。積が可換である様な 環( resp. 体)を可換環( resp. 可換体)と言ふ。
この講義では、 Z や F [X] の様な簡単な構造の可換環の基本的性質 を学ぶと同時に、一般の環についても最低限の基本的性質を学ぶ。
Z と F [X] とは性質が似てゐる。例へば、両方とも素因数(素元)分 解の一意性が成り立ち、最大公約数(元)や最小公倍数(元)の概念 が定義できる。また、ユークリッド算(割り算をして商と余りを求め る事)が出来、これを用ゐて最大公約数(元)を求められる、等々。
シラバスでは剰余定理といふものについて説明する事になつてゐる ので、ここでそれを説明しよう。多項式環 F [X] に於いて、 f ∈ F [X]
を一次式 X − c (c ∈ F ) で割ると余りは定数
f (X) = q(X) · (X − c) + r, r ∈ F, だから
f(c) = r である。これを 剰余定理 と呼ぶ。
同様に、整数 f ∈ Z を「函数」と思ふ事が出来る。この場合、代入 する「点」としては素数 p を考へるのが適切であり、
(函数 f の点 p での値) = f (mod p)
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