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歩行者の視点から見た街路空間に関する考察及び設計提案

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(1)

首都大学東京大学院 都市環境科学研究科 建築学域 16886438  町田純一 指導教員 小泉雅生

(2)

論文要旨

序 章 背景と目的 第1章 街路と街路空間

第2章 事例調査・分析

2-1 事例抽出

2-2 海外事例の写真から見られる構成要素     2-2-1 舗装が特徴的な事例     2-2-2 ベンチが特徴的な事例     2-2-3 ボラードが特徴的な事例     2-2-4 モニュメントが特徴的な事例     2-2-5 海外事例分析のまとめ 2-3 構成要素の選定

2-4 構成要素の形態における分類 2-5 構成要素の機能における分類 2-6 歩行者の滞留行為の分析

第3章 歩行者の滞留行為と空間構成要素との関係の分析

3-1 対象事例の実地調査

3-2 建築的構成要素と家具的構成要素の関係 3-3 直接的構成要素と間接的構成要素の関係

第4章 構成要素と街路に面する建物のプログラムの関係

4-1 プログラムの分類

4-2 構成要素とプログラムの関係     4-2-1 物販

    4-2-2 飲食     4-2-3 オフィス他

02 04 06 08

22

36

(3)

2  街路はもともと、社会的、経済的、文化的活動を支える場所であり、街路を介し てコミュニケーションをとっていた。しかし、戦後のモータリゼーションの発展に より、歩行者が中心であった街路は自動車の通行が中心のものへと変化していった。

また、1960 年代以降の高度経済成長における発展や、2000 年代から進行している 都市再開発において、利便性や収益性が追求された結果、周辺環境との関係が希薄 な建築が増えた。このような建築の乱立も歩行者にとって魅力的な街路空間が生ま れない 1 つの要因となっている。欧米では、早くからこのことに気づき、歩行者を 中心とした街路としてデザインされたものが多く見られるが、日本ではまだ多くは 見ることができない。以上の背景から、本論文では、都心部での歩行者中心の街路 空間を実現するための設計手法を明らかにすることを目的とする。

 第 1 章では、一般的な街路の定義を明示した。次に、本研究で扱う街路の範囲を 芦原義信やヤン・ゲールの著作において述べられている歩行者が表情やボディラン ゲージを認識できる距離等を踏まえ、歩行者中心という視点から幅員 6m 〜 23m 程 度の都市内の道路と定義した。それに基づき、歩行者中心の街路空間が形成されて いる日本と海外の歩行者専用街路と歩車共存街路の事例抽出を行った。

 第2章では、前章で抽出した事例を海外事例と日本での事例に分けて分析を行った。

海外事例については、写真から読み取ることのできた特徴的な街路空間の空間構成 要素を分析し、考察を行った。特徴的な空間構成要素として、「舗装」「ベンチ」「ボ ラード」「モニュメント」が確認できた。特に、舗装により、歩道と車道を分けてい る事例を多く確認できた。日本の事例については、常に歩行者専用である街路、基 本的には歩車共存であるが、曜日・時間帯により歩行者専用となる街路、曜日・時 間帯により歩行者専用となるうえ、より歩行者優先の工夫が見られる街路を3つ選び、

その 3 つの街路に対して、滞留している歩行者の行動を記録する実地調査を行った。

予備調査の結果より、街路空間の空間構成要素の中で、数多く見られた「ベンチ」「簡 易店舗」「椅子+テーブル」「商品ラック」「看板」「オブジェ」「階段」「壁面後退」「オー ニング・庇」「樹木」の 10 個の要素を調査対象として選定した。次に、選定した構 成要素を形態の特徴から「建築的」「家具的」の 2 つに分類を行った。また、構成要 素を直接人に機能するものと間接的に人に機能するものとして、「直接的」「間接的」

の 2 つに分類を行った。

 第 3 章では、1 章で抽出した日本の街路において、前章で選定した構成要素に基 づき、街路空間の実際の使われ方についての実地調査を行った。街路における歩行 者の滞留行為を図面上にプロットし、歩行者の滞留行為と空間構成要素との関係の 分析を行った。分析より、「ベンチ」+「樹木」、「椅子+テーブル」+「壁面後退」、「椅 子+テーブル」+「樹木」、「商品ラック」+「壁面後退」、「椅子+テーブル」+「オー ニング・庇」の組み合わせにおいて、多くの歩行者の滞留行為を確認できた。また、

少数ではあったが、「ベンチ」+「壁面後退」+「樹木」、「壁面後退」+「オーニング・

(4)

庇」+「椅子+テーブル」の 3 つの構成要素の組み合わせも確認できた。これらの 分析を通じて、歩行者中心の街路空間を実現するための有効な空間構成要素の組み 合わせを導き出した。

 第4章では、空間構成要素と街路に面する建物のプログラムの関係の分析を行った。

プログラムは「物販」「飲食」「オフィス他」の 3 つに分類した。「簡易店舗」「ベンチ」

は「物販」の前に多く置かれていることが確認できた。「椅子+テーブル」は「飲食」

の前に多く置かれていることが確認できた。また「商品ラック」は「物販」の前に 多く置かれていることが確認できた。「看板」は「物販」と「飲食」に多く置かれて いることが確認できたが、2 つの間に大きな差は確認できなかった。以上より、建物 のプログラムに応じて有効な空間構成要素があることを明らかにした。

 第 5 章では、前章までの分析を踏まえ、実在する敷地を対象とし、街路空間とそ れに面する建物の低層部の一部の設計提案を行った。敷地は都心部の商業地であり、

様々な種類の店舗が混在し、歩行者は多いが街路空間で歩行者の滞留行為が多く見 られない場所を選定した。街路に面する建物との関係性を築きつつ、歩行者中心の 街路空間を新たに提案し、設計手法の有効性を示した。

 第 6 章では、本研究で行った分析と設計提案についての総括と展望を示し、今後 の街路空間のあり方や役割を提示した。

(5)

4

序章 背景と目的

(6)

図1 日本の街路空間 ( 江戸名所図会 ) 図2 ストロイエ通り ( コペンハーゲン )  街路はもともと、社会的、経済的、文化的活動を支える場所であり、街路を介し てコミュニケーションをとっていた ( 図1)。しかし、戦後のモータリゼーションの 発展により、歩行者が中心であった街路は自動車の通行が中心のものへと変化して いった。また、1960 年代以降の高度経済成長における発展や、2000 年代から進行 している都市再開発において、利便性や収益性が追求された結果、周辺環境との関 係が希薄な建築が増えた。このような建築の乱立も歩行者にとって魅力的な街路空 間が生まれない 1 つの要因となっている。欧米では、早くからこのことに気づき、

歩行者を中心とした街路としてデザインされたものが多く見られるが ( 図2)、日本 ではまだ多くは見ることができない。

 以上の背景から、本研究では、歩行者中心の街路空間を作り出している事例の調 査をもとに、分析、考察を行い、都心部での歩行者中心の街路空間を実現するため の設計手法を明らかにすることを目的とする。

(7)

6

第1章 街路と街路空間

(8)

 街路とは、都市内の道路を総称して一般的に用いられている用語である。本研究 において対象とするのは、芦原義信やヤン・ゲールが著作において述べている、歩 行者の表情やボディランゲージを認識できる距離 ( 約21m 〜24m) 等を踏まえ、

歩行者中心という視点から、自動車専用ではない、幅員6m 〜23m 程度の都市内 の道路を街路と定義する。また、官民境界線から歩車道を挟んで、反対側の官民境 界線までの範囲を街路空間と定義し、研究を行う。但し、建物の壁面がセットバッ クしており、街路と一体的な空間となっている場合は、官民境界線を超えて、街路 空間の一部に含めることとする。ここでのセットバックとは街路に面する建物の外 壁ラインから50㎝以上後退しているものとする ( 図3)。

街路空間

6m23m

官民境界線 官民境界線

歩道 車道 歩道

0.5m 図3 街路空間の定義

(9)

8

第2章 事例調査・分析

2-1 事例抽出

2-2 海外事例の写真から見られる構成要素     2-2-1 舗装が特徴的な事例     2-2-2 ベンチが特徴的な事例     2-2-3 ボラードが特徴的な事例     2-2-4 モニュメントが特徴的な事例     2-2-5 海外事例分析のまとめ 2-3 構成要素の選定

2-4 構成要素の形態における分類 2-5 構成要素の機能における分類 2-6 歩行者の滞留行為の分析

(10)

2-1 事例抽出

 書籍や Web ページ、実地調査等から、日本や海外での自動車専用ではない、幅員 6m 〜23m 程度の街路で歩行者中心の街路空間を作り出している事例を抽出する。

日本で9街路、海外で8街路の計17街路を抽出した ( 表1、表2)。

ヴェスター・ヴォル通り

所在地 幅員(m)延長(m) 街路名称

1790 8

488 6.7

287 11.6

215 18.3

597 14.8

181 6.3

191 23.5

99 5.5 ポルト(ポルトガル)

ハイデルベルク(ドイツ)

コペンハーゲン(デンマーク) ハウプト通り

カイス・ダ・リベイラ通り

デルフト(オランダ) ブレー通り

ストックホルム(スウェーデン) ヴェステルラーン通り

コペンハーゲン(デンマーク) ニューウスタ通り

ラハティ(フィンランド) ハッセルト(ベルギー) メアリー通り

1 2 3 4 5 6 7 8

歩行者 専用

歩車 共存

ホーフ通り No.

所在地 幅員(m)延長(m) No. 街路名称

21

11.6 600 820 700 120 14.5

22

千代田区 新宿区 横浜市

横浜市 新宿モア4番街

イセザキモール 丸の内仲通り

10.5 500 八王子市

西放射線ユーロード

10〜12 436 新宿区

神楽坂通り

8.4 421

文京区 よみせ通り

11.2 251 文京区、台東区

柳通り・さんさき坂

11.5 260 千代田区

神田すずらん通り 元町通り 1

2 3 4 5 6 7 8 9

歩行者 専用

歩車 共存

表1 抽出事例一覧 ( 海外 )

表2 抽出事例一覧 ( 日本 )

(11)

10 2-2 海外事例の写真から見られる構成要素

前節で抽出した事例から、海外事例については、写真から読み取ることのできた 特徴的な街路空間の空間構成要素を分析し、考察を行った。ここでは、実際の利用 頻度や効果は考慮しないこととする。

 特徴的な構成要素として、舗装、ベンチ、ボラード、モニュメントが見られた。

(12)

2-2-1 舗装が特徴的な事例

 事例 No.1 のハウプト通りでは、幅の広い小舗石の舗装の2本の帯が街路の歩行速 度の速い中央部とゆっくりと歩く端部にさりげなく分けている。幅広の帯の片方に 街灯やベンチ、サインなどを並べることで、通行量の多い街路内に溜まり空間を生 み出している。事例 No.6 のブレー通りでは、煉瓦の並べ方を変化させることによっ て同じ素材を使用しても車道と歩道の識別が可能になっている。事例 No.5 のヴェス ター・ヴォル通りでは、舗装の素材とパターンの違いで、段差を設けず車道と歩道 を分け、素材の色の違いで休憩場所と歩行者通路を分けている。

1. ハウプト通り ( ハイデルベルク・ドイツ ) 6. ブレー通り ( デルフト・オランダ )

(13)

12 2-2-2 ベンチが特徴的な事例

 事例 No.1 のカイス・ダ・リベイラ通りでは、ベンチの片側のみに背もたれが付い ており、背後の車道と歩道を分ける装置としての役割を持つとともに、車道側に完 全に背を向けず空間をつなげている。背もたれがある側、ない側が互いに向き合う ように並べることで単調さを避けている。背もたれの端部は小テーブルとしての利 用が可能となっている。事例 No.5 のヴェスター・ヴォル通りでは、2つのベンチの 背もたれを合体させることで、テーブルのような役割を持たせている。

4. カイス・ダ・リベイラ通り ( ポルト・ポルトガル ) 5.ヴェスター・ヴォル通り(コペンハーゲン・デンマーク)

(14)

2-2-3 ボラードが特徴的な事例

 事例 No.2 のヴェステルラーン通りでは、車両進入防止の看板や柵の代わりに、生 き物の形をしたボラードを置くことで、歩行者が座って写真を撮るなどの行為を誘 発させ、賑わいを生み出している。一部のボラードには車輪がついており、場面によっ て移動が容易なつくりになってる。事例 No.3 のニューウスタ通りでは、歩行者専用 街路において、車両進入防止の看板や柵の代わりに、大きな石を置くことで、ベン チのような休憩場所としての役割を果たしている。

2.ヴェステルラーン通り(ストックホルム・スウェーデン) 3.ニューウスタ通り(コペンハーゲン・デンマーク)

(15)

14 2-2-4 モニュメントが特徴的な事例

 事例 No.7 のメアリー通りでは、銅像のモニュメントが、人々を惹きつける力を持っ ており、周囲に土台や椅子など座れる場所を設けることで、より効果を発揮している。

事例 No.8 のホーフ通りでは、ベンチに銅像を座らせることで、空のベンチにはなら ず、歩行者が腰掛けるきっかけを作っている。

7. メアリー通り ( ラハティ・フィンランド ) 8. ホーフ通り ( ハッセルト・ベルギー )

(16)

2-2-5 海外事例分析のまとめ

 海外事例の写真から見られる特徴的な構成要素についての分析を行った。舗装で は、歩行者の望む歩行速度や分割の仕方に合わせて、素材や並べ方を変化させ、明 確な歩行者の分布を可能にしている。ベンチは、一方向に偏る歩行者の注意を上手 く分散させ、車道と歩道の連続的な空間を作っている。また、休憩の際によく行わ れる飲食等に利用できるテーブルという付加機能が歩行者の滞留時間を長くしてい る。ボラードは、無機質なものでなく、街路に合わせた素材や形にすることで、街 路を賑やかにし、一体感を作り出している。モニュメントは、アイストップとして 機能し、街路の中心や注目を向けたいものの近くに置くことで、歩行者が集まる場 所を作り出している。

 一般的な街路の空間構成要素を用いても、素材や形状、パターン、配置の工夫す ることで、歩行者にとって魅力的で印象に残る街路空間を実現していることが明ら かになった。

(17)

16 2-3 日本の事例における構成要素の選定

 日本の事例については、①常に歩行者専用である街路、②基本的には歩車共存で あるが、曜日・時間帯により歩行者専用となる街路、③曜日・時間帯により歩行者 専用となるうえ、より歩行者優先の工夫が見られる街路を 3 つ選び、その 3 つの街 路に対して、滞留している歩行者の行動を記録する実地調査を行った ( 表3)。

 予備調査の結果より、街路空間の空間構成要素の中で、数多く見られた「ベンチ」「簡 易店舗」「椅子+テーブル」「商品ラック」「看板」「オブジェ」「階段」「壁面後退」「オー ニング・庇」「樹木」の 10 個の空間構成要素を調査対象として選定した ( 図4)。

街路名称 特徴 調査日時

5/22(水) 14:00-, 17:00- 元町通り

丸の内仲通り 5/19(日) 14:00-, 17:00- 5/20(月) 14:00-, 17:00- イセザキモール

平日11:00〜15:00、土日祝日11:00〜17:00 を歩行者専用化している。

24時間歩行者専用街路で電柱の地中化を行 っている。

車道にクランクを設け、車両の速度を抑制 している。

表3 予備調査街路及び調査日時 

(18)

階段 壁面後退

オーニング・庇 樹木

ベンチ 簡易店舗

椅子+テーブル 商品ラック

看板 オブジェ

図4 街路空間の空間構成要素 

(19)

18 2-4 構成要素の形態における分類

 選定した10個の構成要素を形態の特徴から「建築的」なものと「家具的」なも のの2つに分類を行った。「建築的」なものとは、街路に面する建物の一部や、それ により空間を作り出しているものとした。「家具的」なものとは、ベンチや商品ラッ クなど、ヒューマンスケールで捉えることができるものとした ( 表4)。 

家具的

壁面後退

建築的

オーニング・庇 階段

簡易店舗 ベンチ

商品ラック 椅子+テーブル 看板

オブジェ 樹木 表4 街路空間の空間構成要素 

(20)

2-5 構成要素の機能における分類

 選定した構成要素の機能と人との関係を考察するため、直接人に機能するものと、

間接的に人に機能するものとして、「直接的」「間接的」の2つに分類を行った。直 接人に機能するものとは、構成要素が、人を直接の対象として何らかの働きかけを したり、人がある行為を行うときに直接的に手助けするものである。間接的に人に 機能するものとは、直接の対象は環境であるが、間接的に人に機能するというもの である ( 表5、6)。

座らせる

座らせる・休ませる 座らせる・食べる 知らせる

知らせる(空間を演出する) 鑑賞する(空間を演出する) 売る

直接的 ベンチ

商品ラック 構成要素

椅子+テーブル

階段 看板 簡易店舗

オブジェ

人に対する機能

環境に対する機能 人に対する機能 間接的

構成要素

空間をつくる

空間を区切る・演出する

人を守る・移動させる 人を守る

壁面後退

空間を覆う 人を守る

オーニング・庇 樹木

表5 構成要素の機能における分類 ( 直接的 ) 

表6 構成要素の機能における分類 ( 間接的 ) 

(21)

20 2-6 歩行者の滞留行為の分析

 街路における歩行者の全ての滞留行為を、ベンチや商品ラック、看板、樹木など の街路空間を構成している要素によって起こる行為と、それらの要素によらずに起 こる行為の2つに分類を行った。構成要素によって起こる行為とは、ベンチに腰掛 けたり、商品ラックの商品を見るなどの行為である、構成要素によらずに起こる行 為とは、街路の何もない場所で立ち止まって会話をしたり、携帯電話を操作するな どの行為である。また、それらの行為の状態を「立ち」「座り」の2つに分類を行っ た。さらに、行為の内容として滞留行為を「佇む」「会話」「携帯」「飲食」「見る」「そ の他」の6つに分類できた ( 表7、8)。それぞれの行為の件数は表9のようになっ た。分析の結果、構成要素が歩行者の実際の滞留行動に結びつくことが明らかになり、

歩行者中心の街路空間の実現のために、構成要素の調査が有効であることが確認で きた。

×

立ち/佇む

立ち/会話 立ち/携帯 立ち/飲食 立ち/見る 立ち/その他

座り/佇む 座り/会話 座り/携帯 座り/飲食 座り/見る 座り/その他 要素による/要素によらない

立ち/座り 種類

状態

内容

佇む/会話/携帯/飲食 /見る/その他

表7 滞留行為の分類  表8 行動の状態・内容の凡例

(22)

要素による行動(人数) 立ち

3 8

6 0

1 0 0 0

10 28

28 246 12

33

26 20

2 0

0 0

0 12

31 4 立ち 佇む

会話 携帯 飲食 見る その他

400 70

85.1 14.9

合計 割合

座り 座り

要素によらない行動(人数) 表9 歩行者の滞留行為の分類 

(23)

22

第3章 歩行者の滞留行為と空間構成要素との関係の分析

3-1 対象事例の実地調査     3-1-1 新宿モア 4 番街     3-1-2 イセザキモール     3-1-3 西放射線ユーロード     3-1-4 丸の内仲通り     3-1-5 元町通り     3-1-6 神楽坂通り     3-1-7 よみせ通り     3-1-8 柳通り・さんさき坂     3-1-9 神田すずらん通り

3-2 建築的構成要素と家具的構成要素の関係 3-3 直接的構成要素と間接的構成要素の関係

(24)

3-1  対象事例の実地調査

 前章で抽出した日本での9つの街路において、前章で選定した10個の構成要素 に基づき、街路空間の実際の使われ方についての実地調査を行った。調査は、2つ の時間帯 ( 14時、17時 ) で行った。調査結果から、街路における歩行者の滞留行 為の分布を図面上にプロットし、歩行者の滞留行為と空間構成要素との関係の分析 を行った。それぞれの街路の構成要素別の数量を示した ( 表10)。

(25)

24

3-1-1 新宿モア4番街

り、 る。 並べられ、簡易店舗で購入した商品等を座って飲食する行為が多く見られた。 図5 新宿モア4番街

☆ ☆

★★

×

××

(26)

り、 れ、 た。め、

○○

△△△

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◉◉◉◉ ◉◉

▲ ▲

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××

○○

◉◉

◉ ◉

◉◉

◉◉

●● ●●

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×

××

× ××

(27)

26

3-1-3 西放射線ユーロード

り、り、に、 る。グ・ られた。ベンチの数も比較的多く、座りながら何かを行うという行為が多く見られた。 図7 西放射線ユーロード

☆☆ ☆

×××

(28)

が、り、 姿た。11:0015:0011:00 め、れ、 ××××××××××× ×××

×××× ×× ×

△△

△△△△△△

△△△△

◉◉ ◉◉

◉◉

☆☆

☆☆

☆☆☆☆

☆☆☆

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××××××××××

×× ×

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× ×

× ×

×

×××××××××××××××××× ×××××××××××××××××××

××××××

×

△△

◉◉ ◉◉

◉◉

◉ ◉◉ ◉

☆☆

▲ ▲ ▲

▲▲▲▲ ▲▲

▲ ▲

▲ ▲

×

× × ×

×

× ×

××

×××

× ×

☆☆

☆☆

◉◉ ◉◉

(29)

28 3-1-5 元町通り  街路に面する建物のプログラムとしては物販が大半を占めている。1階部分のセッ れ、 り、た。た、 歩道拡幅部分に設置されたベンチに座るという行為も見られた。 ◉◉◉◉

◉◉ ◉◉

◉ ◉

◉◉

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○ ○

○○

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△△

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☆☆☆

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★ ★

◉◉◉◉◉◉

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◉◉

◉◉ ◉

☆☆ ●●▲▲

××

××××

×××

× ×

○○

◉◉

△ △

△△ △

図9 元町通り

(30)

め、 り、 た。く、 ◉ ◉

(31)

30

3-1-7 よみせ通り

は、(食)がる。 グ・く、く、 り、た。 かった。

図11 よみせ通り

(32)

る。 れ、

(33)

32

3-1-9 神田すずらん通り

る。 め、れ、 た。た、 できた。

×

☆ ☆

○ ○

図13 神田すずらん通り

(34)

簡易店舗椅子+テーブル商品ラック看板オブジェ階段壁面後退オーニング・庇樹木 2 0 3 4 1 0 0 0 0

20 18 1 144 9 3 2 3 0

7 213 95 14 207 119 54 19 87

31 255 109 58 150 178 60 44 96

1 7 6 16 3 1 0 1 0

4 14 15 2 8 26 15 9 6

6 61 46 16 36 52 50 31 24

13 111 43 16 10 41 69 24 38

14 102 60 149 17 38 3 24 22

(35)

34 3-2 建築的構成要素と家具的構成要素の関係

 前章で分類した「建築的」、「家具的」な構成要素とそれによる歩行者の滞留人数 を示し、構成要素の有効な組み合わせの分析を行う ( 表11)。建築的構成要素と家 具的構成要素との組み合わせでは、「壁面後退」と「椅子+テーブル」、「壁面後退」

と「商品ラック」、「オーニング・庇」と「椅子+テーブル」において、多くの滞留 者が確認できた。壁面後退とオーニング・庇は、商品ラックや椅子等を設置する空 間を作る要素として用いられると考えられる。家具的構成要素同士の組み合わせと しては、「樹木」と「ベンチ」、「樹木」と「椅子+テーブル」において、多くの滞留 者が確認できた。樹木が日差しを遮る要素として用いられ、歩行者に対して快適な 空間を作り出しているためと考えられる。

ベンチ

ベンチ

簡易店舗 簡易店舗

椅子+テーブル 家具的 建築的

椅子+テーブル

商品ラック

商品ラック

看板

看板

オブジェ

オブジェ 階段

階段 壁面後退

壁面後退

オーニング・庇

オーニング・庇

樹木

樹木

0 1

0 1 0 1

0 0 0 0

0 0 0 0 0

0 2 0 0 5 9

0 11 39 36 0 0 0

0 0 37 7 0 0 0 0

0 0 1 0 1 0 85 79 0

表11 建築的構成要素と家具的構成要素の関係

(36)

3-3 直接的構成要素と間接的構成要素の関係

 前章で分類した「直接的」、「間接的」な構成要素とそれによる歩行者の滞留人数 を示し、構成要素の有効な組み合わせの分析を行う ( 表12)。「ベンチ」と「樹木」、

「椅子 + テーブル」と「樹木」の組み合わせにおいて、多くの滞留行為が確認できた。

また、「椅子 + テーブル」との組み合わせでは、空間を作ったり、空間を覆う、日差 しから人を守るなどの間接的な要素の組み合わせが多く用いられている傾向が見ら れた。「商品ラック」との組み合わせについては「壁面後退」が多く確認できた。こ れは、商品ラックを設置する空間を作る要素として用いられていると考えられる。

また、数は少なかったが、「ベンチ」+「壁面後退」+「樹木」、「壁面後退」+「オー ニング・庇」+「椅子 + テーブル」、 「階段」+「壁面後退」+「椅子 + テーブル」、「階 段」+「壁面後退」+「オーニング・庇」、「看板」+「ベンチ」+「樹木」の 3 つの 要素の組み合わせもいくつか見られた。

椅子+テーブル 商品ラック 看板 オブジェ 階段 ベンチ

壁面後退

1 1 0

0 0 0

0 0 86

39 35 79

36 8 0

0 0 1

0 0 0

オーニング・庇 間接的

樹木

簡易店舗

表12 直接的構成要素と間接的構成要素の関係

(37)

36

4-1 プログラムの分類

4-2 構成要素とプログラムの関係     4-2-1 物販

    4-2-2 飲食     4-2-3 オフィス他

第4章 構成要素と街路に面する建物のプログラムの関係

(38)

4-1 プログラムの分類

 街路沿いには様々なプログラムの建物があるが、大きく「物販」「飲食」「オフィス他」

の3つに分類した。さらに、「物販」は「物販」「物販 ( 食料品 )」に、「飲食」は「飲食」「飲 食 ( カフェ )」に分類した。「オフィス他」には、「物販」「飲食」に当てはまらないサー ビス業なども含むこととした。分類したプログラムに基づき、街路に面する建物の プログラムを調査した。

(39)

38 4-2 構成要素とプログラムの関係の分析

調査した街路に面する建物のプログラムと街路空間の空間構成要素との対応を分 析した ( 表13)。

オーニング・庇 椅子+テーブル 商品ラック 看板 オブジェ 階段 壁面後退 樹木 ベンチ

物販

63 19 13 4 3

31 0 11 7 6

81 0 56 62 9

71 12 4 0 0

19 6 12 4 0

4 0 0 0 0

5 0 0 1 2

47 7 4 27 3

15 0 0 12 0

71 16 5 4 10

物販(食料品) 飲食 飲食(カフェ) オフィス他

簡易店舗

表13 構成要素と街路に面するプログラムの関係

(40)

4-2-1 物販

 「物販」との組み合わせは、「椅子 + テーブル」が最も多く見られた。次いで、「商 品ラック」「樹木」が多い傾向が見られた。「物販 ( 食料品 )」では、「ベンチ」との 組み合わせが多く見られた。「物販」「物販 ( 食料品 )」ではどちらにおいても「樹木」

との組み合わせが多い傾向も見られた。

(41)

40 4-2-2 飲食

 「飲食」では、「椅子 + テーブル」との組み合わせが最も多いことが確認できた。

これは、テラス席を設ける飲食店が多いことによるものであると考えられる。「飲食 ( カフェ )」でも同様に、「椅子 + テーブル」の組み合わせが多く確認できた。「飲食」「飲 食 ( カフェ )」ともに、テラス席のスペースを日差しや雨から守るために、「オーニング・

庇」や「壁面後退」も多く組み合わされている傾向が見られた。

(42)

4-2-3 オフィス他

 「オフィス他」では、「樹木」「椅子 + テーブル」が多く組み合わせれていることが 確認できたが、多様なプログラムが含まれているため、詳細な要因を明らかにする ことはできなかった。

(43)

42

第5章 設計提案

(44)

 前章までの分析で得た街路空間の空間構成要素に関する設計手法の有効性を検証 するために、実在する敷地を対象とし、街路空間とそれに面する建物の低層部の一 部の設計提案を行った。敷地は東京都新宿区新宿三丁目の新宿通りの一区間で、計 画する街路空間の延長は約170m である。

(45)

44

□ 計画敷地

 日本でも最大の商業地であり、様々な種類の店舗が混在する場所である。外国人 観光客も多く訪れるなど、歩行者の数は多いが、街路空間での滞留行為はほとんど 見られず、足早に歩く歩行者が多いのが現状である。また、違法や長時間の路上駐車、

歩道部分に自転車が駐輪され、歩道が狭くなっており、歩行者のための街路空間と は言えない状況である。

N 100m Site

東口広場

新宿モア 4 番街

新宿駅

図14 敷地俯瞰写真

(46)

□ コンセプト

 敷地となる街路空間の空間構成要素と街路に面する建物との関係を読み取り、歩 行者が歩き、滞留したくなる場所を設けることで、歩行者中心の街路空間を作り出 すことをコンセプトとする。また、隣接する新宿モア 4 番街との連続を図り、将来 的に歩行者中心の街路空間が面的に広がっていくことを目指す。

(47)

46 自動車と歩行者の占有面積割合

自動車と歩行者の占有面積

交通量の割合

□ 交通量調査

 計画敷地に対して適切な街路空間が配分されているかを確認するため、時間帯を 3度に分け、交通量調査を行った。現状の街路空間の55% が自動車のための空間、

45% が歩行者のための空間として占められている。調査の結果、自動車が24%、

自転車と歩行者で76% の交通量が確認できた。歩行者の数に比べて歩行者のため の空間が不足していることから、街路空間の再配分を行った。

55%

45%

24%

76%

(48)

□ 街路断面構成

 街路の総幅員はそのままとし、片側1車線と路上駐車帯の車道を西向き1車線に 減らし、自転車レーンを設け、5m ほどだった歩道の幅を約8m まで広げた。合わ せて、荷捌き用の路上駐車帯の数も半数に減らした。

車道

歩道 歩道

(49)

平面図 1/600

48

(50)
(51)

50

ベンチ 簡易店舗 椅子+テーブル 商品ラック 看板

オブジェ 階段 壁面後退 オーニング・庇 樹木

空間構成要素(日本)

舗装

空間構成要素(海外)

ボラード

ベンチ

モニュメント ベンチ 簡易店舗 椅子+テーブル 商品ラック

オブジェ 階段 壁面後退 オーニング・庇

舗装

ボラード モニュメント

採用構成要素

直接的構成要素と間接的構成要素の関係から、「看板」+「ベンチ」+「樹木」の組み合わせを適 用した。

駐輪スタンドにベンチとしての機能を持たせることで、一時的な休憩に利用したり、来街者同 士のコミュニケーションのきっかけに繋がる。また、駐輪スタンドは、サインとしての役割も 持ち、歩行者がが、自分が今どの通りの周辺にいるのかを確認することができる。

ベンチとしても利用できる駐輪スタンドは、来街者へのささやかなサインとしても機能する。

(52)

ベンチ 簡易店舗 椅子+テーブル 商品ラック 看板

オブジェ 階段 壁面後退 オーニング・庇 樹木

空間構成要素(日本)

舗装

空間構成要素(海外)

ボラード

ベンチ

モニュメント ベンチ 簡易店舗 椅子+テーブル

階段 オブジェ

舗装

ボラード

ベンチ

モニュメント

採用構成要素

建築的構成要素と家具的構成要素の関係から、「壁面後退」+「商品ラック」の組み合わせに「看 板」を適用した。

1 階部分がセットバックし、2 層分の天井高の吹き抜けをもつ店舗の街路に面する壁をガラス へと変え、吹き抜け部分に格子状のラックを設ける。そばを通る歩行者は吊るされている商品 に視線がいき、一瞬立ち止まり中を見上げる。街路の反対側の歩行者からは、実物が吊るされ ている大きな看板のように見え、どんな店舗なのかすぐに判断ができ、歩行者がより入りやす い店舗となる。

(53)

52

ベンチ 簡易店舗 椅子+テーブル 商品ラック 看板

オブジェ 階段 壁面後退 オーニング・庇 樹木

空間構成要素(日本)

舗装

空間構成要素(海外)

ボラード

ベンチ

モニュメント 椅子+テーブル

簡易店舗 商品ラック 看板

オブジェ 階段 壁面後退 オーニング・庇 ボラード

ベンチ

モニュメント

採用構成要素

建築的構成要素と家具的構成要素の関係から、「ベンチ」+「樹木」の組み合わせに、海外事例 分析より「舗装」を適用した。

新宿駅東口から通りに入ると、大きなスポーツウェアブランドの店舗とその前に広がるデッキ スペースが目に入る。ここでは、ヨガ教室などスポーツや健康と関連したイベントが行われる。

街路の舗装の素材を変えることで、通行するためだけの街路とは異なる場所を作り出すことが できる。

緑に囲まれたデッキスペースで、汗を流す。都会の真ん中ではできない体験が日常的に行われる。

参照

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