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単年度試験研究成績(2003年2月作成)

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静岡県畜産技術研究所 ロボットラクター、ドローン、アシスト スーツ等、農業界で飛び交う新用語が急速 に増えている上に、国で進める農業政策に も多数の新用語が使われています。手元の スマホでサッと調べれば意味は分かりそう ですが、中には複数の解釈があったりして 複雑です。この稿では、IT 農業に乗り遅れ 気味の筆者が、最新農業に使われる用語を やわらかく解説してみます。 Society 5.0 (ソサエティ 5.0)~内閣府提 唱の定義で、社会の熟成度を狩猟社会(ソサ エティ 1.0)→農耕社会(〃2.0)→工業社 会(〃3.0)→情報社会(〃4.0)の順に発 達したとする前提で、その後の「めざすべ き 5.0 の社会」として、サイバー空間(仮 想空間)とフィジカル空間(現実空間)を 高度に融合させて経済発展と社会的課題を 全て解決する超スマート社会をソサエティ 5.0 と名付けています。これだけでは、何 が何だか分からないので、我慢して続きを 読んで下さい。農水省も、農業分野のソサ エティ 5.0 の実現を政策目標の 1 つにして いますので。 農業分野(農水省)で目指すソサエティ 5.0 ~超省力・高生産なスマート農業、AI サポ ートによる最適な営農計画、消費者ニーズ に合わせた生産物の自動配送等を想定して います。 超スマート社会~必要な物やサービスを必 要な人に必要時に必要分提供し、社会のあ らゆる人に超便利となる理想社会の事。言 葉としてはソサエティ 5.0 と同義語として も使われるようです。「スマート」には、 おしゃれな様子のほか、「賢い」という意 味があります。このスマート社会とは、資 源の乏しい日本で良い生活を続けるために 賢くやろうよ、って事ではないでしょうか。 なお、この「続ける≒持続」という言葉は、 今の農業界で、とても重要な意味を持って

農業新用語の”やわらか”解説

〒418-0108 静岡県富士宮市猪之頭 1945 T E L 0 5 4 4 - 5 2 - 0 1 4 6 F A X 0 5 4 4 - 5 2 - 0 1 4 0 平成 30 年 12 月 25 日 第 21 号 平成 30 年度 2 号

目 次

・ ・ ・ ・ 農業新用語の”やわらか”解説 1 ・ ・ ・ ・ 乳房炎の超音波画像診断と生産復帰との関連性 4 乳肉用牛増頭生産システム高度化推進事業中央情報交換会 参加報告 ・・・・ 5 ・ ・ ・ ・ 難防除雑草に対する新しい防除技術 8

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います。 サイバー空間~コンピューターやネットワ ークの中にあるデータを、多数の利用者が 自 由 に 利 用 で き る 仮 想 空 間 の こ と で 、 SF では電脳空間とも訳されますが、とにかく、 これが現実になってきたということです。 人がネットワークデータ(クラウド)にア クセスしてデータを利用する現在のソサエ ティ 4.0 に対して、〃5.0 では、人工知能 (AI)を介してクラウドのビッグデータを 双 方 向 で 利 用 す る こ と が 想 定 さ れ て い ま す。 フィジカル空間~サイバー空間の反対語と して実世界を表す言葉で、スポーツ用語の フィジカル(肉体的)ではなく「物理的」 の意味で使われています。先進的な農業で は、無駄なフィジカル(≒肉体)を使わな くなってきていますが、成功している経営 では使わなくなったフィジカルを儲かる部 門に賢く振り替えて利益に変えています。 クラウド~クラウドコンピューティングの 略。データをインターネット上に保存して 使 う 方 法 の こ と 。 ビ ッ グ デ ー タ と 合 せ て 、 良く使われる用語ですが、コンピューター 性能とデータ通信速度が大幅に向上して大 量のデータを効率的に扱う技術ハードルが 下がった事で可能になりました。今や、ク ラウドは、大量のデータの保管・管理に不 可欠な物になっています。 ビッグデータ~単に大量のデータというば かりでなく、無関係に見える大量のデータ を高性能コンピューターで分析して、今ま で発見できなかった意外な因果関係や動向 を得られる (可能性の ある)様々 な分野のデ ータ集合を意味します。今までは、企業が 商品やサービス開発のための消費動向等を 分析するために使われてきましたが、農業 分野でも消費者ニーズの分析等に使われは じめているようです。 バックドア~情報セキュリティ用語。コン ピューター等の情報端末に正規経路以外か ら侵入する経路のこと。畜産分野でも、ス マホやタブレットを活用した農場管理シス テムが普及してきましたが、無料ソフト等 にマルウエア(トロイの木馬等)が仕込ま れている場合があるので、ご注意下さい。 AI(アーティフィシャル・インテリジェン ス 人工知能)~言語の理解、推定、問題 解決等をコンピューターにやらせるための ソフトウェア(プログラム)やシステムの こと。言語の機械翻訳、画像認識、特定分 野の判定・評価を模倣するエキスパートシ ステムといった利用例があります。まだま だ、使い物にならないという評価の一方で、 企業の人事評価に利用されはじめる等、AI は身近に迫っています。 昭和 30 年代の搾乳ロボット? 左 は 、最 初 の 実 用 ミ ル カ ー (牛 腹 部 吊 下 げ 式 )、右 は 、 同 世 代 の 乳 缶 、 ま ん 中 は 白 黒 実 写 ド ラ マ 「 丸 出 だ め 夫 」 に 登 場 す る 「 ボ ロ ッ ト 」

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KPI( キー ・パ フ ォ ー マン ス ・ イ ンジ ケ ー ター 主要業績評価指標)~目標の達成度 を評価するための指標のこと。従来は異分 野と思っていた GAP や HACCP、PDCA サイクルといった用語が農業界の標準用語 になっている中、このような企業の業績管 理用の用語も使われるようになってきてい ます。家族経営では、全く無関係の知識の ようですが、自家のエサ代、乳飼比、飼料 生産費が把握できている経営には、今後、 必須の評価指標となってくるでしょう。一 方、エサ代、乳飼比、飼料生産費等すら把 握できていない経営は、今後の持続的な農 業経営は難しいかもしれません。 バリューチェーン~企業活動の業務を機能 (部門)単 位(の流れ)で分析・評 価して、 効率化や競争力強化につなげる経営手法の こと。農業部門では、消費者ニーズの把握 (+儲かる生産物)と最適生産量の設定、気 象 環 境 等 に 対 応 し つ つ 無 駄 の な い 生 産 計 画、売れるための販売計画といった項目が 想定されます。新時代の農業には、バルカ ン 人(=解 り ます か?)の よ う な 論 理 的 な 考 え 方が必要なようです。 スマート農業~農水省では、ロボット技術 や 情 報 通 信 技 術 (ICT)等 の 先 端 技 術 を 活 用 して、超省力化や高品質生産等を可能とす る新たな農業と定義しています。畜産業界 では、自動運転農用車両、搾乳ロボット、 生体観察センサー類、自動環境制御型畜舎 等はすでに実用化され、今後は、生態診断、 飼養管理評価の自動化段階を経て、治療ロ ボット、人工授精ロボット、全自動給餌ロ ボット等の開発、全国版畜産クラウドの整 備等が待たれています。 スマート農業の背景には、農業人口の減 少と高齢化があり、人的資源不足が解決で きない我が国では、電子機械的な解決を目 指しています。しかし、今後の海外労働者 による働力不足の解消度合いによっては、 多少の路線変更があるかもしれませんね。 アシストスーツ~作業の省力化のために作 業者が装着する装具・器具。ゴムやバネ等 の反発力で作業者の助力・安定化をはかる ものを指します。モーターや空気圧等の外 力で作業者を助力するアシストスーツは、 パワード(アシスト)スーツ、作業者を必 要としない自律化された労力はロボットと 定義されます。畜産業は、農業界で最も機 械化が進んだ分野ですが、ロボット化につ いても、かなり先行しています。なお、当 所では、県の工技研 UD 科(ユニバーサル デザイン≒バリアフリー技術)と酪農用ア シストスーツの研究を続けています。 農 業 に 使 わ れ る 新 用 語 は 、ま だ ま だ あ り ますが、紙面の都合上、この位にします。 「この先、情報のない人間は社会の底辺に 沈む」と、ある AI 研究者は断言しています。 新聞、テレビ、インターネットに頼ってい る現在のソサエティ 4.0 でも、意識があれ ば有益な情報はいくらでも手に入ります。 経営を”賢く持続する”ため、アンテナを 高くしていきましょう。 (文責 研究統括監 片山信也)

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乳房炎の超音波画像診断と生産復帰との関連性

~日本乳房炎研究会 第 23 回 学術集会の発表から~ はじめに ① 高エコースポットの出現 牛の乳房炎は病原微生物(細菌等)が乳 房へ侵入することでひき起こされます。侵 入した微生物は乳房内で炎症を起こし、そ の結果、乳房には発赤、腫脹、硬結がみら れます。また、乳汁中の病原微生物の数が 増えるため、乳を出荷できなくなります。 農林水産省によると、乳房炎の経済損失は 全国で年間 800 億円と報告されています。 ② 乳管表面構造の変化 ③ 実質 *の不均一化 * 臓器の 機 能 の中 心と なる 組織 のこ と 。それ 以外 の組 織は 間質 と呼 ばれ ます 。 乳房炎の有効な治療には正確な診断が必 要です。従来、乳房炎の診断は主として、 乳房の腫脹や硬結といった外貌の評価や乳 汁の性状を調べるPLテストといった検査 と、乳汁中の細菌を調べる検査により行わ れてきました。本年度、開催された第 23 回日本乳房炎研究会で、超音波画像診断装 置(エコー)を用いた乳房炎の診断につい て、NOSAI 広島の鈴木直樹先生から発表 がありました。エコーは、人の医療分野で も広く普及している装置であり、体表面か らエコープローブをあてるだけで、心臓、 肝臓、腎臓といった内部臓器の状態を診断 することができます。産業動物医療の分野 では、発情や妊娠を診断するための卵巣や 子宮のエコー検査が広く普及しています。 写真 1 乳房エコー検査(参考画像) 乳房表面にエ コープローブ をあてること で、乳房内 部の状態を見ることができます。(当所における乳房 のエコー検査) ① 高エコースポットの出現(写真 2) 通常の乳腺組織より高エコー(白く映る) 部分が出現します。これは、炎症により生 じた結合組織(硬くなった乳腺実質)を反 映しています。 今回、乳房を対象にエコー検査を実施し たところ(写真1)、乳房炎を診断できる 可能性が示されたため、その概要を報告し ます。 ② 乳管表面構造の変化(写真 3) 健康な乳管表面と比較して、炎症反応に より乳槽表面と結合組織の境界が不鮮明な 画像になります。 鈴木先生の発表概要 ③ 実質の不均一化(写真 4) 乳房炎の初診時に、乳房のエコー検査を 行ったところ、以下の所見が得られました。 健康な乳房実質と比較して、炎症による水

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分の浸潤により、黒く映る部分がスポット 的に発生し、不均一な画像になります。と くに、実質の不均一化が進んだ症例では、 治癒率が低く、生産復帰の可能性が低いこ とが、鈴木先生から報告されました。 おわりに 今回の報告では、乳房のエコー検査によ り乳房炎牛を診断できる可能性が示されま した。従来、行われてきた乳房の外貌評価 や細菌検査にエコー検査を加えることで、 乳房炎の診断精度を高めることが可能とな ります。とくに、実質の不均一化が進んだ 症例では治癒率が低いことから、エコー検 査は治癒の判定に大きく貢献できると思わ れます。 エコー検査は皮膚にプローブをあてるだ けで、体内の病変を診断できるため、家畜 に痛みを与えることがありません。また、 レントゲンのような大がかりな設備も不要 であり、普及性は非常に高いと考えます。 そのため、当所でも現在、データを収集し ており、新しい乳房炎診断法として確立し ていきたいと考えています。 (文責 酪農科 大村学海) 写真 2 高エコースポット 写真 3 乳管表面構造の変化 写真 4 実質の不均一化 (矢頭) (矢頭) (矢頭)

乳肉用牛増頭生産システム高度化推進事業中央情報交換会 参加報告

乳肉用 家畜改良事業団が実施するこの「 牛増頭生産システム高度化推進事業*」は、 ①新生産システムの実証、②高付加価値化 技術開発、③新生産システム等活用推進の 3 本立てメニュー。この会議は、③の普及 推進会議にあたるもので、33 県の 55 名 が参加しました。 * 乳用牛・肉 用牛 の生 産基 盤の 強化 のた め、個 別 に実 施さ れて いる 代謝 プロ ファ イル テス ト、ゲ ノ ミッ ク評 価、性選 別精 液等 の実 用化 技術 を体 系的 に組 合わ せて 、酪農・肉 牛 生産 に高 付加 価値 をも たら すビ ジネ スモ デル の構 築・ 実証 をす る事 業 。 家畜改良事業団理事挨拶 情報交換会は、技術の組み合わせによる 効果的な普及が目的。得られた新技術はモ デル地区で実施予定のため、このような団 体間の情報交流が必要です。H30 年度は肉 用牛のゲノミック評価*1をテーマに複数県

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2) 沖縄県 の取組み事例からゲノミック評価の可能性 を検討します。 ・年間予算 3,000 千円で、繁殖雌牛候補 牛 3,000 頭/年のうち 400 頭に半額補助 でゲノミック評価実施中。検査は 8 地域の 和牛改良組合の選抜各 50 頭。(基準・月齢 制限なし。) 農水省畜産振興推進課長補佐挨拶 海外遺伝資源導入のない和牛では、国内 の遺伝資源の多様性確保が重要。現在、特 定種雄牛に偏る傾向があるが、ゲノミック 技 術 等 を 活 用 し 、 肉 質 6 形 質 の 他 に MUFA*2 等の指標を設けるなどして生産 技術の効果を検証する必要があります。 ・繁殖雌牛(肉用牛)の改良促進(県基礎 雌牛選抜)が目的。 3) 長野県 ・脂肪交雑とオレイン酸含有率で「信州プ レミアム牛肉」を差別販売。 用語解説 *1 ゲ ノ ミ ッ ク 評 価 ~ 「個体能力 の違い= DNA 塩基配列の違い」という前提で、大 量の DNA 情報を個体能力評価に加味した 遺伝的能力評価法のこと。乳牛改良では世 界的に利用され、後代検定より 5 年早く、 同等の推定精度が得られる。 ・県内は、ゲノミック評価より血統重視で 繁 殖 牛 を 選 抜 す る 傾 向 強 い が 、 H28~29 で実施したゲノミック評価(568 頭)済み繁 殖牛の 9 割は県内保留。 ・H30 の事業予定数は 150 頭で、県改良 協会が受付。県事業で高評価の牛は受精卵 ドナーとして保留。 *2 MUFA~ 一価不飽和脂肪酸、牛肉のお いしさの一要因とされる成分 4) 群馬県 各地の畜産関係場所の状況(概況、ゲノミ ック評価の目的、方法、期待等) ・従来の繁殖雌牛の選抜は、県外導入と育 種価評価で進めてきたが、ゲノミック評価 に転換する事で若齢から高評価牛を活用で きるようになり、供卵牛の資質向上が図ら れた。 1) 岡山県 ・酪肉ともに盛んだが、30~60 頭規模酪 農から和牛繁殖への転換が増加中。 ・枝肉については、肥育牛のゲノミック評 価で枝肉重量評価の高い個体の早期出荷を 実施。高評価群、低評価群 4 頭の比較では、 飼料摂取量、飼料要求率、体重・日増体量、 枝肉重量のいずれも高評価群が優れ、枝肉 重量は 30 ヶ月出荷で 105kg の差。 ・県内繁殖雌牛約 6,000 頭中、約 3,500 頭の育種価評価済で、県の単独予算 9,495 千円で、黒毛和種新規登録牛 500 頭/年 のゲノミック評価を実施中。登録審査時に 農協等がサンプル採取し、畜産試験場に送 付、1 ヶ月毎に事業団に送付される方式。 ・(事業団 補足)ゲノ ミック評価 は、繁殖雌 牛選抜以外に去勢牛の肥育評価も可能で、 枝重評価が高い群は、体高等も大きい傾向 あり。ただし、肥育成績の推定正確度は 0.8 ~0.85 とやや低い。 ・優良牛の早期選抜→選抜牛からの種雄牛 と後継雌牛の作出→改良基礎雌集団と県和 牛集団の能力向上が目的。 ・ゲノミック評価は、早期の資質評価によ る改良規模拡充に有効と評価。ゲノミック 評価の指標は肉質 6 形質限定だが、今後は 繁殖性等の検討が必要。 4)-2 鳥山牧場(群馬県) ・牧場では、枝肉重量 470kg、BMS 7~ 9

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の 良 質 A4 肉 の 安 定 生 産 を 進 め て い る 。 BMS 2 桁の牛肉は取扱いが難しく、特定 業者のみ販売。そのため同農場では、肉質 向上より枝重増加を希望。 ・取引業者は、肉質・重量を指定し、目的 の 肉 が 生 産 さ れ 次 第 に 購 入 す る 方 式 の た め、従来のセリより計画的取引可能。 ・事業団の要請で、ゲノミック評価等から 農家意向(繁殖雌牛生産、脂肪交雑重視、 枝重重視、等)に合う種雄牛を推奨する「交 配牛選定システム」を開発した結果、目的 形質の牛生産が可能になり、産出雌子牛の ゲノミック評価から更新用繁殖雌牛 10 頭 を選抜。 ・性選別精液は、取説遵守で受胎率 10% 向上(41.7%→53.8%)し たが 、通常精 液より低受胎率。 ・同牧場は、慶応大と味覚センサーによる 赤身肉の「旨み」評価を確立も、定法の枝 肉評価法を重視する農水省の指導で製品へ の標記は断 念。慶応大 、(株)アイ シンとの 味覚センサーによる熟成肉評価では、熟成 開始 50 日(7 週間)までは旨みが上昇後、 それ以降に個体差発生したため、熟成は 5 週間熟成で出荷。 ・外部導入牛は、テーマは決めるが血統に 拘らずに牛を選んで自家農場で改良。長期 安定一貫生産には、3 元交配の繰返しによ る商品均一化が重要。 5) 千葉県 ・繁殖候補若齢雌牛約 300 頭(生産者 200 頭、県 12 頭、農協 80 頭)のゲノミック 評価による改良を実施。選定基準はあるも のの、対象牛は農協の独自選抜個体で、生 産者が毛根採取して県庁に送る方式。 6) 埼玉県 ・予算 5,758 千円で、県内繁殖雌牛 250 頭/年のゲノミック評価を実施。サンプル 採取は畜産会に委託し、ゲノミック評価が 出た所で、農家、獣医師、人工授精師、事 業団、畜産協会、県で指導方針を決定する。 7) 佐賀県 ・繁殖雌牛改良を目的に、自家産候補牛中 心に 525 頭/年のゲノミック評価を実施。 生産者がサンプル採取し、県畜試に送付す る方法。結果は県畜試経由で、生産者・農 協・普及所・家保等に返送、研修会等で県 職員が指導。 脂 肪 酸 組 成 形 質 の ゲ ノ ミ ッ ク 評 価 に つ い て H24~29 年度食肉出荷黒毛和種肥育牛 6,256 頭(去勢 3,719 頭、雌 2,537 頭) の枝肉筋間脂肪の脂肪酸(7 種)をガスク ロで定量。常染色体上の 39,428 個の SNP の解析結果を分析した結果、オレイン酸と 肉質 6 形質との遺伝相関は何れも低い。(肉 質に影響を与えずにオレイン酸割合の遺伝 的改良可能) ・種雄牛と検定牛 1,028 頭の SNP データ で、6,256 頭の肥育牛の推定結果を利用し た分散成分推定をした所、後代数ゼロでの 雄のオレイン酸割合の正確度は、ゲノム評 価 0.85 と血統 0.58 より有意高いため、 若齢雄の能力判定材料有効。 総合討論 1) ゲノミック評価について ・量的形質は多くの遺伝的要因の組み合わ せで決まるため、個々の遺伝子影響より高 正確度。 2) 脂肪酸組成とエサの関係 ・給餌設定の異なる民間農場出荷牛評価で も遺伝効果は 0.7 あった。 3) ゲノミック評価の追加項目 ・肉質 6 形質、脂肪酸組成に加え、繁殖性 等も検討予定。

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4) 枝 重 評 価 が 高 い 牛 は 、 長 期 肥 育 で 過 大 になるか? 以上、各県の黒毛和種改良に向けたゲノ ミック評価の活用状況の一端を知って頂け たと思います。 ・試験結果では過大(長野) 5) ゲノミック評価済の牛の取引 種雄牛を持たず、大量の繁殖雌牛を持つ 子牛供給県ではない本県のゲノミック評価 の目的は、県内で飼養される繁殖雌牛の遺 伝的資質を解析し、優良な産子を得るため に最適な種雄牛を選ぶためのデータ提供、 優良な資質を持つ雌産子の繁殖仕向けの推 進(肥育用 途からの変 更促進)を 目的として います。 ・子牛市場ではゲノミック評価済子牛は G マ ー ク 表 示 あ る も の の ( 評 価 成 績 は 非 公 開)。評価済牛の有利取引なし。(佐賀) 6) 脂 肪 酸 の ゲ ノ ミ ッ ク 評 価 は 改 良 指 標 に 設定する? ・家畜改良目標は脂肪交雑維持。オレイン 酸割合(55~65%)より劣るものを改良 する。(農水省) 具体的には、県内受精卵供給センターで ある経済連畜産バイオセンターの繁殖雌牛 をゲノミック評価で選抜し、さらに産子の 肉質成績との関連性を確認しています。ま た、同時に県独自の遺伝子評価として肉質 に関連した 6 種類の遺伝子解析と産子の肉 質との関連性が解り始めています。研究の 性質上、長い期間がかかりますが、本県肉 牛産業の発展を肝に銘じて、関係者と、日 々地道な研究を続けています。 7) ゲ ノ ミ ッ ク 評 価 デ ー タ の 市 場 公 開 の 可 否は? ・所有者同意あれば事業団側は問題無し。 期待育種価に代わる評価と期待。(事業団) 8) 早期出荷推奨の中、市場では 30 月肥 育が求められている。今後の考え方は? ・長期肥育は脂肪交雑が進んで枝も大型化 する。市場ニーズ等に合った改良目標に見 直す。(農水省) (文責 肉牛科 塩谷治彦)

難防除雑草に対する新しい防除技術

自給飼料の栽培において、雑草対策は重 要な技術となっています。第一には、除草 剤の選択と適期防除に努めることですが、 それだけでは防除が難しく、被害が大きく なる難防除雑草が飼料畑に侵入して、作付 けや収穫をあきらめる事例も見られます。 当所のほ場においても難防除雑草がしば しば発生し、また生産者からも除草技術に 対する相談が増えています。そこで今回は、 雑草対策技術開発のトレンドと当所の取り 組みについて紹介します。 1.難防除雑草対策の最前線 最近「スマート農業」が話題となってい ますが、雑草対策においても、ロボットや ドローンを利用した除草技術開発の流れが 見られます。一例として、指定された区域 の除草を行う芝刈ロボットや、GPS を使っ

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て作業区域を指定する装置の開発が進んで います。今後は、除草剤の散布可能期間を 過ぎた飼料畑の畝間除草を担うロボットの 開発が期待されます。 もうひとつのトレンドとして、ドローン による空撮画像を除草に利用しようという 動きがあります。現在の技術で飼料作物と 雑草の区別は可能ですが、その情報を除草 にどう役立てるかが今後の課題となるでし ょう。 2.当所の取り組み 当所では、昨年度から難防除有害雑草で あるワルナスビをターゲットとして、新し い除草技術の開発に取組んでいます。 北 米 原 産 の ワ ル ナ ス ビ (Solanum carolinense L.)は、耕うんによって細断さ れた根からも再生し、除草剤もほとんど効 果がないという厄介な雑草です。このワル ナスビの根を『窒息死』させるため、低濃 度エタノールによる土壌消毒法を利用した 技術開発に取組んでいます。屋内試験では 良好な結果が得られましたので、今後は屋 外での実証試験に取組む予定です。 もうひとつの方法として、ワルナスビに 感 染 し て 枯 死 さ せ る 病 原 菌 を 探 し て い ま す。現在、農研機構と協力し、有望な病原 菌の探索を行っています。 3.おわりに 当所が位置する朝霧高原でも、永年牧草 以外の飼料作物の作付けが増え、ワルナス ビ以外にも、アレチウリやギシギシなどの 雑草対策に苦慮している酪農家が増えてい ます。当所では今後も新しい技術の開発と 普及に力を入れてまいります。 (文責 飼料環境科 二俣 翔) 図1 左:ドローンによる空撮画像(可視光) 右:画像処理により植生ごとに分類した画像 (信州大 渡辺修先生 原図) 図 2 左:病原菌に感染したワルナスビ 右:健全なワルナスビ

参照

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