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通信制高校の現状と 卒業率に関わる要因の調査分析 要旨 通信制高校における教育は 不正事件を契機に文部科学省が通信教育の質の確保 向上のためのガイドラインを策定して注目されている 通信制高校は 自分のペースで勉強できる反面 卒業が難しいことが課題となっている また 学校ごとの教育内容や卒業率などが異

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通信制高校の現状と

卒業率に関わる要因の調査分析

2017 年 2 月

政策研究大学院大学 公共政策プログラム 教育政策コース

MJE16203 大久保 智久

【要旨】 通信制高校における教育は、不正事件を契機に文部科学省が通信教育の質の確保・向 上のためのガイドラインを策定して注目されている。通信制高校は、自分のペースで勉 強できる反面、卒業が難しいことが課題となっている。また、学校ごとの教育内容や卒 業率などが異なり、実態が把握しにくい。 本研究では通信制高校における教育活動や卒業率等の実態を把握するとともに、高校 の通信制教育における様々な教育活動と卒業率との関連性について、管理職を対象に質 問紙調査を実施し、それらの回答値を計量分析の手法によって分析した。 分析の結果、卒業率を決める要因としては単位修得率が主であり、公私の差以外の要 因はほとんど影響しないことが明らかになった。また、単位修得率は、テストの実施回 数及び、補習授業と関係があることが明らかになった。 これらの結果を踏まえ、通信制高校に対する政策提言を行った。

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1. 問題の背景と研究目的... 1 2. 通信制高校とは何か ... 2 2.1. 我が国における高校の通信制教育の変遷 ... 2 2.2. 通信制高校の制度 ... 5 2.3. 全日制高校との相違点の例... 7 3. 先行研究 ... 9 3.1. 通信制に期待される役割... 9 3.1.1. 中途退学者問題とセーフティネット ... 9 3.1.2. 学習支援 ... 10 3.1.3. 心のケア ... 11 3.2. 公立通信制の特徴と問題点... 11 3.3. 私立通信制の特徴と問題点... 13 3.4. その他の文献 ... 15 4. 研究の方法 ... 16 4.1. 全通研加盟校へのアンケート手順等 ... 16 4.2. 調査項目 ... 16 5. 学校アンケート結果の概要 ... 17 5.1. 回答状況 ... 17 5.2. 結果の概要 ... 17 5.2.1. 単純集計 ... 18 5.2.2. クロス集計 ... 26 5.2.3. 変数の相関関係 ... 36 5.2.4. 重回帰モデルによる分析 ... 38 6. 政策提言と課題 ... 43 6.1. 通信制高校への提言-補習授業 ... 43 6.2. 今後の課題 ... 43 6.3. おわりに ... 43 参考文献 ... 45

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1. 問題の背景と研究目的

今まであまり注目されなかった通信制高校は、2015 年(平成 27 年)12 月に私立のウィ ッツ青山学園高校が高等学校等就学支援金を不正受給していた事件を起こし、社会的に注 目を集めた。 通信制高校は、一般に登校日数が少なく、自分のペースで勉強できる学校であるが、卒 業が難しく、全日制と比較して卒業率が低いと言われる(土岐 2015、p26)。通信制高校の 生徒は、毎日学校に登校するわけではないので学習習慣を確立しにくく、強制されないの で面接指導(以下スクーリング)をサボりがちになる傾向があるとされる。また、自宅等 で行う添削課題(以下レポート)も自分で計画的に学習しなければならない。「自学自習」 で卒業するには本人の強い意志と継続的な努力が必要である。現在までのところ、通信制 高校の卒業率を示す公式統計はないが、筆者が勤務する埼玉県立大宮中央高校では、おお むね卒業率が 50%である。 また、首都圏の公立A高校では卒業率が 40%との報告がある(土岐 2012、p.194)。土岐 は、A 高校では教員対生徒の関係は希薄になりがちであることや、私立高校と比較してレポ ートが難しいことなどによって、学習に対する困難さを強める原因となっていると指摘し ている。 同じ通信制高校でも、私立高校は比較的卒業率が高いとされているが、反面、教育の質 にはばらつきがあると言われている。前述の土岐によると、私立広域通信制 B 高校では卒 業率が 90%で、かつ、担任からこまめに連絡をとり、基本的な科目のレポートを分かりや すく簡易なものにするなど、指導の工夫をしている。しかしながら、前述のウィッツ青山 学園高校では、買い物のお釣り計算を「数学」の授業の代わりとするなど、問題のあるス クーリングを行った1。文部科学省は「不適切な教育内容」があったとして「生徒の新規募 集を見直させる」よう求める通知を、認可権者である伊賀市に発出した。さらに、「広域通 信制高等学校の質の確保・向上に関する調査研究協力者会議」を設置した。こうした一連 の動きが大きな社会問題となった。 近年、通信制教育を対象に大規模な調査研究が実施されている2ものの、各高校で卒業率 の定義や教育方法が異なり、定量的な研究が行われていなかった。筆者は本研究で、通信 制公立高校の教育の質の現状を維持しつつ、この低卒業率問題(土岐 2016)、突き詰めて言 えば、単位修得率を改善する方策を定量的に明らかにしたいと考えている。 本論文の第 2 章では通信制高校とはどのようなものであるかを紹介し、歴史的な経緯と 現状の課題等について述べる。第 3 章では先行研究を紹介する。第 4 章では本研究で実施 したアンケート調査の方法を述べ、第 5 章ではその結果を示す。まとめとして、第 6 章で は政策提言を行う。 1 朝日新聞デジタル 2016 年 3 月 1 日 21 時 23 分 2 たとえば、山梨大学 大学教育研究開発センター(2011)、株式会社三菱総合研究所(2012)、財団法人全 国高等学校定時制通信制教育振興会(2012)、阿久澤麻理子(2015)などが挙げられる。

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2. 通信制高校とは何か

研究対象である通信制高校とはどのような学校であるのか。本章では通信制高校の歴史 および制度の概要と、全日制高校と比較した特徴とを示す。 2.1. 我が国における高校の通信制教育の変遷 はじめに、文部科学省(2016b)をもとに、通信制高校の制度の歴史及び公立私立別の学 校数・生徒数を取り上げ、通信制の変遷について考察する。 通信制高校の制度の変遷を表 2-1 に示す。通信制の課程は、戦後の新制高校発足時3に、 全日制、定時制とともに設けられた。通信制の課程は、就業等のために全日制高校に進学 できない青年に後期中等教育の機会を提供するものとして定時制教育とともに制度化され、 高校教育の普及と教育の機会均等の理念を実現する上で、大きな役割を果たしてきた4 表 2-1 通信制課程通信制高等学校に関する制度 昭和 23 年 (1948 年) 「学校教育法」施行 ・通信教育は当初、国語の 1 教科のみで実施(全日制の課程又は定時制の課 程の一部として開始) 昭和 30 年 (1955 年) 「高等学校通信教育の実施科目の拡充ならびに同通信教育による卒業につい て」(文部事務次官通達) ・通信教育のみによる高等学校卒業が可能となる 昭和 31 年 (1956 年) 「高等学校通信教育規程」施行 昭和 36 年 (1961 年) 「学校教育法」等の一部を改正 ・通信制の課程のみを置く高等学校(以下、「独立校」)の設置および広域通信 制の課程の設置 昭和 37 年 (1962 年) 「学校教育法」の改正 「高等学校通信教育規程」の全部改正 ・通信制の課程の制度化 独立通信制、広域通信制の制度化 ・技能教育施設制度の創設 昭和 42 年 (1967 年) 「学校教育法施行令」及び「技能教育施設の指導等に関する規則」の改正 ・技能教育施設の指定基準の緩和(800 時間以上の課程から 680 時間以上の 課程とする等) 昭和 45 年 (1970 年) 「学校教育法」の改正 ・広域通信制の課程について政令で定める事項(学校の設置廃止、課程の設置 廃止等)以外の事項については、文部科学大臣の承認を要しないものとした 昭和 58 年 (1983 年) 「学校教育法」の改正 ・広域通信制の課程について、文部科学大臣の「承認」を「届出」とした 平成 元年 (1989 年) ・定時制の課程、通信制の課程の修業年限が「4 年以上」から「3 年以上」に「学校教育法」の改正 改められる ・技能教育施設の指定を「文部大臣」から「都道府県教育委員会」に権限移譲 平成 15 年 (2003 年) 「構造改革特別区域法」の施行 ・株式会社立学校の制度化 平成 16 年 (2004 年) 「高等学校通信教育規程」の改正 ・基準の大綱化(通信制の課程の生徒数に応じた教員の増等の基準を削除し、 都道府県において設定することとする等) 平成 18 年 (2006 年) 「高等学校通信教育規程」の改正 ・特区(学校施設の自己所有要件の緩和)の全国化に伴い、他の教育施設の 利用を制度化 出典:文部科学省 広域通信制高等学校の質の確保・向上に関する調査研究協力者会議(第 1 回)平成 28 年 7 月 12 日 配付資料 資料 6-1 より筆者作成。 3 学校教育法(1948)第 45 条 高等学校は通信による教育を行うことができる。 4 文部科学省(2016b)

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3 1948 年(昭和 23 年)の通信制課程の発足には、GHQ 民間情報教育局の意向が反映して いるとされ、履修科目は、「国語(甲)」だけであった。後に「解析Ⅰ」、「地学」および「人 文地理」が加わって、第一次実施科目と呼ばれていた(阿久澤 2015、p.8)。新設された通 信制高校では、「通信制高校のカリキュラムや受講指導のスタンダードを作ろう」と、研究 会を開催して教材や指導法の研究に邁進した。1950 年(昭和 25 年)には全国組織を結成し、 1961 年(昭和 36 年)には組織・名称を改めて、「全国高等学校通信制教育研究会(以下全 通研)」となった。全通研の活動の中で、学習書5の作成やレポート・スクーリング・テスト といった学習のシステムを作り上げていった(小林宏 2014、 pp.57-75)。 1960 年代は高度経済成長の中で、企業は大量労働力を必要とした。この時期、通信制は 企業が設置した企業内職業訓練施設などと連携し、中学校卒業の集団就職者が高校卒業資 格を取得することを可能にした。1970 年代は、高校進学率が 90%を超え、全日制の課程が 主役となり、通信制の課程への進学者は減少した。1980 年代以降は高校の中途退学者が増 大し、大きな社会問題となった。この原因として阿久澤は、成長戦略に資する人材育成を 掲げる公教育を進める一方で、学力不振や学校不適応な者に対する対応の遅れがあるとの 見方をしている(阿久澤 2014、pp.173-186)。中途退学の防止という観点から、全日制や定 時制から通信制へと転入学・編入学が注目された。 その後、単位制高校制度ができて、学年丸ごと修得できなくても、取得できた単位を積 み上げていけば卒業できる道が開かれた。また、学校外の学修が制度化され、他の高校・ 高等専修学校での学修の成果や技能審査(各種検定)の成果を、単位を認定できるように なった。 次に、公立私立別の通信制の学校数と在籍生徒数を、以下の図 2-1 と図 2-2 に示す。 5 教科書をかみ砕いてより分かりやすくした自学自習用の副教材

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4 図 2-1 通信制高等学校の学校数(公立私立別) 出典:文部科学省 e-Stat の各年度版の「学校基本調査」を基に筆者が作成した。 図 2-2 通信制高等学校の生徒数(公立私立別) 出典:文部科学省 e-Stat の各年度版の「学校基本調査」を基に筆者が作成した。 図 2-1 からは、この 25 年間で公立は 9 校しか増えていないが、私立は 2002 年(平成 14 年)から 2009 年(平成 21 年)まで毎年ほぼ 10 校程度増え、あわせて 147 校も増加してお 67 67 69 69 69 68 68 69 69 70 69 70 68 68 70 76 76 75 72 72 73 74 77 77 77 76 17 18 21 22 24 25 28 29 31 34 44 49 60 70 82 99 109 117 125 133 136 136 140 144 154164 0 50 100 150 200 250 1 9 9 0 1 9 9 1 1 9 9 2 1 9 9 3 1 9 9 4 1 9 9 5 1 9 9 6 1 9 9 7 1 9 9 8 1 9 9 9 2 0 0 0 2 0 0 1 2 0 0 2 2 0 0 3 2 0 0 4 2 0 0 5 2 0 0 6 2 0 0 7 2 0 0 8 2 0 0 9 2 0 1 0 2 0 1 1 2 0 1 2 2 0 1 3 2 0 1 4 2 0 1 5 私立通信 公立通信 年度 学校数 0 20,000 40,000 60,000 80,000 100,000 120,000 140,000 160,000 180,000 200,000 1 9 9 0 1 9 9 1 1 9 9 2 1 9 9 3 1 9 9 4 1 9 9 5 1 9 9 6 1 9 9 7 1 9 9 8 1 9 9 9 2 0 0 0 2 0 0 1 2 0 0 2 2 0 0 3 2 0 0 4 2 0 0 5 2 0 0 6 2 0 0 7 2 0 0 8 2 0 0 9 2 0 1 0 2 0 1 1 2 0 1 2 2 0 1 3 2 0 1 4 2 0 1 5 公立生徒数 私立生徒数 合計 年度 生徒数

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5 り、私立が急激に変化していることが読み取れる。同じ頃、東京に集中していたサポート 校6は全国に展開するようになった(内田 2014、 pp.60-61)。図 2-2 からは、2000 年頃から 公立の通信制高校で学ぶ生徒の人数が減少していることが分かる。2006 年(平成 18 年)に は私立の通信制に在籍する生徒数が、公立の生徒数を逆転している。入学する生徒は、働 きながら学ぶ勤労青年が減少し、全日制からの進路変更等伴う転入学・編入学者(中途退 学経験者)や中学校までの不登校経験者、過去に高校教育を受ける機会がなかった者など が増えた。様々な入学動機や学習歴をもつ者が多くなり、制度発足当初とは著しく異なっ た様相を生じている7。文部科学省(2016b、p.2)でも以下のように重要性を強調している。 ○ 高等学校生徒の多様化が進む中にあって、多様な学習スタイルを可能とする 通信制高等学校は、従来からの勤労青年のための教育機関としての役割だけでな く、多様な学びのニーズへの受け皿としての役割を増している。 とりわけ、自分のペースで学べる通信制の教育は、不登校・中途退学経験者等 への学び直しの機会の提供など、困難を抱える生徒の自立支援等の面でも大きく 期待されるようになっている。 2.2. 通信制高校の制度 本節では、現行の通信制高校の制度について、文部科学省の「第 1 回広域通信制高等学 校の質の確保・向上に関する調査研究協力者会議」(平成 28 年 7 月 12 日)で配付された資 料に基づき紹介する。 (1) 通信制の課程にかかる基準等 通信制にかかる基本的な法令は、通信制だけに関わるものと高校全体に関わるものがあ る。高校の通信制の課程において教育を行うために必要な最低の基準を定めた高等学校通 信教育規程8、各教科・科目におけるレポート、スクーリング等の標準等を定めた高等学校 学習指導要領(第 1 章総則 第 7 款通信制の課程における教育課程の特例)がある。また、 高等学校一般に適用される基準等としては、学校教育法、高等学校設置基準などがある。 (2) 制度上の位置づけ 通信制の課程は、高等学校において、全日制、定時制と並ぶ課程である。全日制は修業 年限が 3 年、定時制通信制は 4 年以上だったが、平成元年の学校教育法の改正で、3 年以上 も可能となった。 6 サポート校とは、広域通信制の場合に、生徒が長距離を通学しきれないため各地に設置している、スク ーリング受講やレポート作成の手助けをする塾のような施設である。 7 文部科学省(2016b) 8 高等学校通信教育規程は、・通信教育の方法等・協力校・通信制の課程の規模・教諭の数等、事務職員の 数・施設及び設備の一般的基準・校舎の面積、校舎に備えるべき施設、校具及び教具・他の学校等の施設 及び設備の使用・定時制の課程又は他の通信制の課程との併修を定めている。

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6 表 2-2 高等学校の課程 高等学校 全日制の課程(修業年限 3 年) 各種学科 定時制の課程(修業年限 3 年以上) 通信制の課程 (修業年限 3 年以上) ・広域の通信制の課程※ ・上記以外 注 : ※3 つ以上の都道府県において生徒募集を行うもの 出典: 文部科学省 広域通信制高等学校の質の確保・向上に関する調査研究協力者会議(第 1 回)平成 28 年 7 月 12 日 配付資料 資料 6-1 より転記。 (3) 設置廃止等の認可 高等学校の設置者・認可権者は表 2-3 のとおりである。設置者・許可権者は通信制高校も 全日制高校も同じである。 表 2-3 高等学校の設置者・認可権者 設置者 認可権者 ・市(指定都市を除く)町村 都道府県教育委員会 ・指定都市 -(都道府県教育委員会に事前届出) ・都道府県 - ・学校法人 都道府県知事 ・株式会社 特区認定地方公共団体の長 出典:文部科学省 広域通信制高等学校の質の確保・向上に関する調査研究協力者会議(第 1 回)平成 28 年 7 月 12 日 配付資料 資料 6-1 より転記。 (4) 通信制での学習内容 通信制の学習の基本は、高等学校通信教育規程に規定されている。高等学校通信教育規 程 2 条 1 項9は、「添削指導、面接指導及び試験の方法により行なうもの」として、通信制の 課程で行う教育内容を定義している。次に、同条 3 項10で「生徒に通信教育用学習図書その 他の教材」を使用した学習をさせることを義務づけている。具体的には、高校の一般的な 教科書に加えて、教科書をかみ砕いてより分かりやすくした自学自習用の「学習書」を使 用する場合がある。さらに同条 2 項11において、これらの活動の方法として他の課程にはな い「放送その他の多様なメディアを利用した指導等の方法」を認めている。具体例として は、NHK の高校講座を視聴し、その内容を視聴票にまとめて提出した場合、スクーリング の出席にカウントするということである。 具体的なレポート、スクーリングの時間数は、学習指導要領に規定されており、以下の 9 「高等学校の通信制の課程で行なう教育(以下「通信教育」という。)は、添削指導、面接指導及び試験 の方法により行なうものとする。」 10 通信教育においては、生徒に通信教育用学習図書その他の教材を使用して学習させるものとする。 11 通信教育においては、前項に掲げる方法のほか、放送その他の多様なメディアを利用した指導等の方法 を加えて行なうことができる。

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7 表 2-4 のとおりである。例えば、公民科に属する「現代社会」は標準単位数が 2 単位なので、 レポートの回数は 2×3 で 6 回、スクーリングの回数は 2×1 で 2 回ということになる。 表 2-4 通信制課程における各教科・科目の添削指導回数及び面接指導の単位時間数 各教科・科目 添削指導(回) 面接指導(単位時間) 国語,地理歴史,公民及び数学に属する科目 3 1 理科に属する科目 3 4 保健体育に属する科目のうち「体育」 1 5 保健体育に属する科目のうち「保健」 3 1 芸術及び外国語に属する科目 3 4 家庭及び情報に属する科目並びに 専門教育に関する各教科・科目 各教科・科目の必要 に応じて 2~3 各教科・科目の必要 応じて 2~3 注:1 単位時間は、50 分として計算するものとする。 出典:文部科学省 広域通信制高等学校の質の確保・向上に関する調査研究協力者会議(第 1 回)平成 28 年 7 月 12 日配付資料 資料 6-1 より転記。 (5) 通信制教育に係る他の教育施設との連携 上記の他、通信制の課程の大きな特色として、協力校12や技能教育施設13の存在をあげて おく。通信制では、本校の施設以外で、スクーリング、試験(以下テスト)等に協力する 協力校や技能教育施設を設定することができる。 2.3. 全日制高校との相違点の例 本節では、前節に挙げた制度上の相違以外で通信制高校に特徴的な点を、筆者が勤務す る公立校(大宮中央高校)を例に、全日制と比較しながら具体的に紹介する。以下の諸点 は、通信制高校の中でも一律ではないため、あくまで一例として提示する。 (1) 入学・卒業の要件 まず、入学の要件である。高校入学の要件は、中学校卒業または同等の学力を有する者 である。埼玉の公立高校の場合は、費用の一部が県費で賄われているので県内に保護者と ともに住んでいることも要件14となる。全日制の場合はこれらの要件を満たした上で入学試 験に合格する必要がある。一方、通信制の場合は、学校により様々であるが、筆者が勤務 する大宮中央高校では、書類審査と面接だけであり、入学時のハードルが低く設定されて いる。 次に、卒業の要件である。全日制の場合には、ほぼ決まったカリキュラムに従い、年間 12 高等学校通信教育規程第 3 条 13 学校教育法第 55 条等 14 埼玉の通信制の場合は、「県内に住所又は勤務地(在学地)を有する者」となっている。

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8 30 単位程度の授業を受ける。3 分の 1 以上の欠席があると、履修を認められない場合が多 い。さらに定期試験を受けて合格する必要がある。学年制の場合には、全ての単位あるい は各校で規定した単位がとれなかった場合には、もう一度同じ学年で同じ内容を履修しな ければならない。 通信制の大宮中央高校で生徒に課せられる卒業要件は、レポートとスクーリング、さら にテストの 3 つである。この 3 つが合格基準あるいは規定時数を満たすと、科目ごとに単 位を認定する。大宮中央高校では、新入 1 年次生に課せられるレポートは 54 通15になる。 レポートは簡単な問題集のような体裁で、全て提出し全問正解しなければならない。また、 スクーリングについては、1 年次生は全ての科目を併せて 45 単位時間16以上の出席が必要と なる。 通信制の場合、ほとんどの学校が単位制であり、大学のように各自が修得した単位の合 計が 74 単位に達したところで卒業となる。学年制のように、一部の単位が取れなかったか らといって、1 年間が無駄になるということはない。生徒は、1 科目ずつ自分の力で単位を 勝ち取ってきたという印象をもっている。 (2) 生徒の生活時間と帰属意識 生徒の生活時間は全日制と通信制で大きく異なるため、高校への帰属意識にも相違があ る。全日制の開校日数はおおむね年間 200 日程度、午前 9 時頃から午後 4 時頃までが課業 時間となる。生徒によっては、この後に部活動も行っている。生活の多くを学校の枠の中 で過ごすことになる。 通信制の生徒の場合は、大宮中央高校を例にすると、スクーリングは年間約 20 日間の日 程の中に組み込まれる。生徒は最長で約 20 日間学校に登校し、さらに年 2 回のテストや受 講手続き、健康診断等で 10 日程度の登校が必要となる。部活動も原則この日程の中で行っ ている。年間 30 日程度しか登校する必要がないため、通信制の生徒は小・中学校での生活 のように、学校に所属しているという意識をもちにくい。ただ、登校日数が少ない分、レ ポート、スクーリングの提出・出席時数の判定は厳正であり、そのため学校としての意識 付けができている(尾場 2005、pp.279-292)。また、転編入学した生徒の場合は、前籍校へ の帰属意識をもち続けている(内田 2013、pp. 314-315)。 (3) 生徒の背景の多様さ 全日制の場合、多くの生徒が中学校 3 年次に入学試験を受け、卒業後すぐに高校に入学 している。従って同期の年齢はほぼ同じであり、入学試験に合格することで学力的な背景 もほぼ同じである。 15 レポートの実施回数は表 2-4 のとおり規定されており、いくつかの学習単元を 1 通のレポートとしてい る。分量については学校によりまちまちである。表 5-4 参照。 16 1 単位時間は、大宮中央高校の場合は 50 分間である。

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9 一方、通信制の場合は、中学校を卒業してすぐに通信制に入学する生徒が増えているも のの、多くは一度全日制に入学したが中途退学し、転入学した者である。また、不登校や 長期欠席で学習にブランクがある者、仕事をもちながら働く者、退職後に高卒を目指す者 など、様々な年齢で、様々な背景をもつ者がいる。

3. 先行研究

通信制高校に関しては公開されている統計資料がほとんどなく、先行研究も定性的なも のが多い。本章では、通信制高校についての先行研究を、通信制高校に期待される役割を 論じたもの、公立および私立の通信制高校の特徴を論じたもの、その他のものに分類して 整理する。 3.1. 通信制に期待される役割 現在の通信制高校に期待される役割を示す先行研究を、中途退学者問題とセーフティネ ット、学習支援、心のケアという3つの側面から紹介する。 3.1.1. 中途退学者問題とセーフティネット 高校教育の大きな課題のひとつとして中途退学問題があり、通信制高校は中途退学した 生徒や不登校で学校が続かなかった生徒が再び高校教育を受けるためのセーフティネット (尾場 2009、pp.111-112、阿久澤 2014、pp.173-186、他)としての機能を果たしているとさ れる。 文部科学省の調査では高校中途退学者は減少傾向にあるとされるが、在籍者減少率から 把握すると実態は違うとの報告がある(堀下 2012、pp.274-277)。この背景には、教育困難 校からの「進路変更」と呼ばれる中途退学がある。堀下は「進路変更」は本人の意欲不足、 つまり生徒自身の問題と思っている教員が多いこと、生徒の状況を把握していない教員が 多いことを指摘する。 通信制高校の入学者を調査すると、不登校経験者の割合が「51~60%」の学校が 15.2%、 次いで「21~30%」「41~50%」の学校がそれぞれ 13.9%との報告17があり、多くの生徒が 不登校を経験している実態が分かる。また、転編入学者は、筆者の勤務する高校では新入 学者に対して、転編入学者はおよそ 3 倍である。中部地区の公立高校では新入学者 21.5% に対し、転編入学者が 78.5%でおよそ 4 倍になっている18 こうした状況下で、内田(2014、pp.60-61)は、私立通信制高校サポート校の展開に注目 し、サポート校の校数と、全日制高校の校数・生徒数、及び不登校・中途退学の指標の三 者の間に、非常に高い相関があることを確認しており、通信制高校がセーフティネットと 17 株式会社三菱総合研究所(2012)p.26 18 山梨大学 大学教育研究開発センター(2011),pp.136-137

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10 しての機能を果たしていることを明らかにした。 3.1.2. 学習支援 通信制高校には過去に長期欠席や不登校による学習のブランクを経験した生徒が多数入 学している。彼らは「自学自習」では、単位を修得して卒業することができず、卒業率低 下につながっている。それらの生徒の学習を支援することが通信制高校に期待されている。 なお、学習支援の対応には、公立と私立の間で開きがあるとされる。 学習にブランクのある生徒は、小・中学校までの学習が不十分な上に、ブランクがあっ て忘れている学習事項も多い。そのため、スクーリングを理解することや、レポートを理 解し質問に解答することが難しい(土岐 2012、 pp.191-195、堀下 2012、 pp.274-277)。さ らに生徒は、通信制の「自学自習」の学習システムに慣れていない。計画的な学習が不得 意であったり、忙しくて学習時間がとれなかったりする。転入学者は偏差値の低い学校か らの者であることも多い(土岐 2014、pp.136-137)。土岐は、公立 A 高校の調査を行い、レ ポートを完成(解答)させた者は、テストを受けてほとんど単位を修得していることから、 レポートの完成がハードルになっていると指摘している。このような生徒に対する学習支 援が求められているのである。 公立と私立の対応の違いについて、土岐は首都圏公立 A 高校と、私立広域 B 高校で学習 にブランクのある生徒を調査した。その概要を、以下の表 3-1 にまとめた。 表 3-1 学習にブランクのある生徒への学習支援の対応等 首都圏公立 A 高校 私立広域 B 高校 生 徒 の 満足度 生徒は学校に対する満足度は高いが、 満足度の低い生徒には教員が個別に 対応できない。 学校に対する満足度が低くても、生徒たちは 学校に通い続けており、そのほとんどが卒業 資格を取得している。 教 員 生 徒関係 教員対生徒、生徒同士の関係は希薄に なりがち。生徒を「大人扱い」し、「自 学自習」主義。 スクーリングを欠席した場合や、レポートの 締切前などに、担任からこまめに連絡してい る。 レ ポ ー ト難度 レポートは教科書の内容要約、自分の 意見などを書かせる。 レポートは、必修は教科書の穴埋めで、作業 的内容。また、大学受験などは科目設定。 卒業率 40% 90% 出典:土岐玲奈(2012)「学習にブランクのある生徒に対する学習支援の現状と課題 : 通信制高校における調査から」 千葉大学教育学部研究紀要 より筆者が作成した。 この報告によると、公立高校では高い教育内容を維持しながらも、きめ細かい人間関係 が難しく、私立高校ではきめ細かい連絡をしながら、生徒の要望に併せた教育を行ってい る。土岐(2013、 pp.164-165)は、通信制高校を公立私立、登校形態で分類を行っている。 それによると、公立高校の多くが、月に数日登校・自学自習が基本の「従来型」であり、

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11 私立高校は積極的に生徒に介入し登校可能な日数を多く設定している「通学型」であると している。 3.1.3. 心のケア 通信制高校では、不登校経験者や中途退学経験者が多く入学してきており、心のケアが 必要な生徒が増加し、その対応が期待されている。特別な支援を必要とする生徒や中高年 者など、多様なバックグラウンドをもつ生徒が学んでいる。不登校経験者は人間関係がう まく築けなかったり、中途退学経験者は退学した学校に対して恨みを抱いていたりする。 こうした心に傷をもち、デリケートな生徒に対応するために通信制高校の教員は、よりよ い方法を求めて常に試行錯誤している。神崎は職員室での教員と生徒の交流に焦点をあて 観察し、KJ 法で分析を行い、<受け入れる>、<楽しむ>など、その特徴と機能を明らか にしている(2012、p.772)。また、大崎は、スクーリングにおいて、学習に自信がない生徒 に「恥」をかかせないようにと、漫才の技術を取り入れた授業の有用性について考察して いる(2013、pp.53-64)。 生徒の心のケアについての学校の体制としては、養護教諭やスクールカウンセラー、ソ ーシャルワーカーの配置、特別支援教育コーディネーターの指名等がある。これについて は、財団法人全国高等学校定時制通信制教育振興会(以下定通振興会)(2012)「高等学校 定時制過程・通信制課程の在り方に関する調査研究」にデータがある。 表 3-2 定時制・通信制課程における養護教諭等の配置 定時制(%) 通信制(%) 養護教諭の配置 72.2 37.8 スクールカウンセラーの配置 62.6 59.7 ソーシャルワーカーの配置 96.6 98.4 特別支援コーディネーターの指名 80.2 44.2 出典:財団法人全国高等学校定時制通信制教育振興会(2012)「高等学校定時制過程・通信制課程の在り方に関する調査 研究」より筆者が作成した。 養護教諭の配置と特別支援教育コーディネーターの指名が、定時制に比べて半分程度に なっている。養護教諭については、法令による配置義務がないことが影響している19。ソー シャルワーカーについては、通信制の方が若干多い。生徒が登校する日数は、定時制に比 べて通信制は極端に少ないが、心のケアを必要とする生徒は多い。 3.2. 公立通信制の特徴と問題点 本節では公立の通信制高校の特徴に注目する。公立の場合、人員にしても教育内容にし 19 高等学校設置基準 9 条

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12 ても法令の制約を強く受けている。必要な費用は教科書代等を含めても数万円以下で、生 徒保護者の負担が少ないのはメリットであるが、個別指導や学校からの積極的な働きかけ などの近年求められている多様なニーズには対応し切れていない。 (1) 教員数 高校の通信制課程では、教員数は、高等学校通信教育規程により最小規模の場合教員 1 人あたりの生徒定員数 48 名という人的配置になっている。生徒数が大きくなると、表 3-3 のとおり、1,201 人以上で教員 1 人当たりの生徒定員数が 100 人になる。他方、全日制ある いは定時制の課程では、高等学校設置基準 7 条で「1 学級の生徒数は、40 人以下」として おり、同設置基準で教員 1 人あたりの生徒定員数が 40 名になっている。 表 3-3 収容定員に基づいて算出される教諭等の数(課程別) 全日制 定時制 通信制 生徒の収容定員 除すべき数 生徒の収容定員 除すべき数 生徒の収容定員 除すべき数 40 以下の課程 8 40 以下の課程 8 1 人から 600 人ま で 46.2 41 人から 80 人までの課程 11.4 41 人から 80 人までの課程 11.4 81 人から 120 人までの課程 15 81 人から 120 人までの課程 15 121 人から 240 人までの課程 16 121 人から 240 人までの課程 18.5 241 人から 280 人までの課程 16.4 241 人から 280 人までの課程 19.3 281 人から 400 人までの課程 17.1 281 人から 440 人までの課程 20.7 401 人から 520 人までの課程 17.1 441 人から 600 人までの課程 22.2 521 人から 640 人までの課程 18.2 601 人から 760 人までの課程 23.5 601 人から 1200 人まで 66.7 641 人から 760 人までの課程 18.9 761 人から 920 人までの課程 24.7 761 人から 880 人までの課程 19.5 921 人から 1080 人までの課程 25.8 881 人から 1000 人までの課程 20 1081 人以上の課程 26,7 1001 人から 1200 人までの課程 20.5 1201 人以上の課程 21 1201 人以上 100 注 :表の「除すべき数」が教諭1人あたりの生徒の収容定員数を意味しており、全日制・定時制では収容定員がどれ だけ大きくなろうとも教諭1人あたり生徒数 20 名台を維持しているのに対し、通信制では教諭1人あたり生徒数 100 名となっている。 出典:山梨大学 大学教育研究開発センター(2011) 山梨大学 大学教育研究開発センター(2011、p.5)は、通信制の教員が、全日制・定時制 に比べ少ないことを取り上げ、「通信制高校のとりわけ人的配置に関する諸基準を見る限り、 後述する学習障害その他の発達特性のある生徒が多数在籍するようになっているという通 信制高校の現状に対応したものとは見なしえない。」と指摘している。

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13 (2) カリキュラムの硬直化 ほとんどが公立高校であった通信制は、2002 年(平成 14 年)頃から私立高校が増加して きた。この時期、中途退学者や不登校生徒が増加し、多様な教育ニーズが求められるよう になった。私立高校は、チューター制20、個人指導や自由度の高いカリキュラムを行い、要 望に応えてきた。さらに、年間の履修単位数を制限しなかったり、簡単に取得できる学校 設定科目(運転免許、アルバイト等)を設定したりしている。 一方、公立高校では、2006 年(平成 18 年)に生徒数において私立に逆転されて以降、減 少が続いている。これは、多様な教育ニーズに応え切れていないことを意味している。公 立高校でも生徒の通学の便宜を図るための協力校を設定しニーズに応えるよう工夫してい る学校もある。しかしながら、非常勤講師の確保が困難であったり、専任教員の負担が大 きかったりする。入学者が学校のシステムを理解せず安易に入学してしまうミスマッチや レポート・スクーリング・テストの見直し、学校設定科目の実施、質問日の設定等やれる ことはあるが、なかなか実を結んではいない。また、公立高校の教員には「ちゃんとした 学力をつけて卒業させたい」という思いも強い(小林 2014、 pp.57-75)。 3.3. 私立通信制の特徴と問題点 本節では私立の通信制高校の特徴に注目する。全般的に施設等が充実しているが、学習 内容にばらつきがある。 (1) サポート校・技能連携施設等の充実 近年増加してきている私立通信制高校のほぼ 6 割が広域通信制高校である。その多くが 技能教育施設21やサポート校22を置いている。サポート校には法的根拠がなく、決められた 役割があるわけではない。必要な支援によって、精神科クリニックや、女子高校生のサポ ートセンター23という場合もある(阿久澤、2016、p.18)。こうした取組によって、多様な生 徒の希望に応じた多様な教育が行われている。 技能教育施設やサポート校の問題点は、生徒が本校となる高校と技能教育施設やサポー ト校の両方に所属し、両方の費用を負担しなければならないことである。また、生徒の意 識としては、通信制高校の生徒というより、技能教育施設やサポート校の生徒であるとい う思いの方が強い。生徒募集において、通信制高校を表に出さずに、技能教育施設やサポ ート校だけで行っていることも多く、筆者自身も生徒の転学手続きの際、転学先の本校が 分からずに苦労した記憶がある。 20 学校により状況は様々であるが、正規の教員ではなく、大学生など生徒と年齢の近い者が、レポートの 学習を手助けする制度。 21 中学校卒業程度で入学できる専修学校の中には、通信制高校と連携し、高卒資格も同時に取得できるよ うにしている学校がある。専修学校の学修の一部を高校の単位とすることができる制度がある。 22 サポート校、技能連携施設、分校、協力校、学習センターなどを含む。 23 一般財団法人 Colabo が運営する、虐待や性的被害、違法労働にさらされるリスクの高い女子生徒の支 援の場

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14 (2) 学習内容のばらつき ①株式会社立学校の状況 田部井(2009、pp.141-156)は、株式会社立学校の状況をまとめている。営利法人が利益 追求に走るという意見もあったが、2003 年(平成 15 年)の「構造改革特別区域法」の施行 により、株式会社立学校の制度化が始まった。2004 年(平成 16 年)当初は、小学校 1 校、 中学校 1 校、大学 2 校であったが、2008 年(平成 20 年)には、小学校 1 校、中学校 1 校、 高校 19 校、大学 6 校に拡大し、高校の増加が際立っている。 これらの高校はほとんどが広域通信制で、全国に分散している。認可権者の特区認定地 方公共団体としては、高校ができることによって若者が来訪し、地域が活性化することを 期待していたが、期待どおりの地域振興ができていない。株式会社立高校は、既存の学校 教育では十分対応しきれない多様な学習ニーズの生徒に対応することが期待できる。一方 で、認可権者の各特区認定地方公共団体は、行政規模が小さく、学校に対する監督・指導 業務に精通していない。学校側も、教育関連法規などの誤用がある。サポート校との二重 構造で、保護者の負担が多いことや、競争激化によるサービス低下などの懸念がある。 ②社会問題の要因 ウィッツ青山学園高等学校 2015 年(平成 27 年)12 月、株式会社立ウィッツ青山学園高校(三重県伊賀市)の国の 就学支援金不正受給の疑いの捜査に端を発して、併設する通信制課程で不適切な教育内容 があったことが明らかになった。認可権者の伊賀市及び文部科学省によると、 ・登校中のバス内で映画を鑑賞したことで英語と国語の授業として扱う ・遊園地(USJ,大阪)で使ったお金の釣り銭計算を数学の授業として扱う ・神戸での美しい夜景の観賞を芸術の授業として扱う ・レストランで食事をすることを家庭科の授業として扱う ・伊賀市の最寄りの駅から本校まで2キロほど歩いたことを体育の授業として扱う という状況であった。文部科学省は、スクーリングを受けたことにならないとして、監督 する三重県伊賀市に対し、生徒の新規募集を見直させるよう求める通知を出した。また、 卒業見込みであった者に対して、卒業認定を担保するための回復措置(補習)を要請して いる24。伊賀市は通知を受け、同校に対し、約 1,200 人の在籍生徒の一部に授業のやり直し をすることも併せて求める方針だという25 このようなデタラメな行為は、通信制高校全体の信頼を大きく傷つけた。これに対し、 全通研は、2016 年(平成 28 年)1 月 25 日に「通信制高等学校の適性化を求める声明」26 発表し、教育内容の是正を求めるとともに、適正な指導について規範を示した。 また、文部科学省は、一部の広域通信制高校で学校の管理運営や教育指導の内容等につ 24 文部科学省(2016a) 25 朝日新聞デジタル 2016 年 3 月 1 日 21 時 23 分 26 全国高等学校通信制教育研究会(2016)

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15 いて不適切な事例があるとして、「広域通信制高等学校の質の確保・向上に関する調査研究 協力者会議」を発足させた。この協力者会議は 4 回実施27され、通信制高等学校の質の確保・ 向上に向けた取組の検討をした。その結果は、平成 28 年 9 月 30 日付「高等学校通信教育 の質の確保・向上のためのガイドラインの策定について(通知)」としてまとめられた。 3.4. その他の文献 本節では、通信制高校に特徴的な中高年の生徒や特別な支援を必要とする生徒への対応 について論じた先行研究を紹介する。それぞれが、非常に大きな課題であり多くの研究が あるが、紙幅の都合によりここでは一部を紹介するに止める。 (1) 中高年の生徒への対応 近年の通信制高校には、一定数の中高年者が在籍している。彼らは、若い頃に高校での 学習の機会がなかったり、中途退学したまま仕事や子育てなどで忙しく学習を再開できな かったりしている。大宮中央高校には、中学卒業資格のままでは会社の給料が上がらない とか、子どもに対して高校を卒業していないと恥ずかしい、など高校卒業への切なる思い で入学してくる者がいる。彼らは、学びに対する姿勢が真剣で、学習意欲が高い。学校活 動への参加も積極的である。一方で、中高年学習者は、ブランク期間が長く、年齢的ハン ディキャップ、仕事との並立など、学習を続けていく上での課題が多い。上野(2009、 pp.245-256)は、中高年者の入学はリカレント教育28的な要素があり、学習への強い思いや 人生経験を積んだ者だからできる学習の在り方があることを指摘する。 (2) 特別な支援を必要とする生徒への対応 特別な支援を必要とする生徒の受け入れは、全日制の場合、多くの学校で入学者選抜試 験が行われているため、大きなハードルがある。一方、通信制の場合は、入学者選抜が書 類審査と面接であったり、簡単な学科試験であったりしてハードルが低いため、特別な支 援を必要とする生徒が容易に入学できる。 尾之上(2010、pp.31-42)は、学習障害のある中学生男子 1 事例に、中学校 2 年の 10 月 から高校 1 年末の 3 月まで、30 ヶ月の長期にわたり学習支援した様子を報告している。そ の間、中学校の宿題や復習の指導の時期、室内外での遊びの時期、技術科の家具工作取組 の時期、通信制高校入学後の社会生活スキルの指導やレポートの完成支援の時期があり、 いずれもていねいな指導を行った。その結果、学習への取組向上や対人行動の改善が見ら れたと報告している。こうした支援は、時間と労力が必要となる。また、家庭の状況に深 く入っていかないとできないことであり、学校としての枠組みを超えている。さらに、実 27 第 1 回【平成 28 年 7 月 12 日(火)10 時~12 時】、第 2 回【7 月 28 日(木)14 時~16 時】、第 3 回【9 月 2 日(金)14 時~16 時】、第 4 回【9 月 27 日(火)10 時~12 時】 28 生涯教育の一形態で、社会に出たあとでも、個人の必要に応じて教育機関に戻って繰り返し再教育を受 けられる教育システムのこと。

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16 際の学校での対応には問題がある。障害があることについては、ほとんどの場合、自己申 告に頼らざるを得ない状況にある(大久保、2014、pp111-119)。スクーリングやレポートの 状況から、障害を疑うことはあり得るが、それをもって、特別な支援を学校側から斡旋す ることは難しい。従って、特別な支援を必要とする生徒への対応は、期待される役割であ りながら、実際に通信制高校が担うことが難しい役割であるといえよう。

4. 研究の方法

本章では、通信制高校を対象に、学校の基本情報やスクーリングの実施方法、定期テス ト・レポート・単位認定、学習支援等に関し筆者が実施した調査の分析とその結果を示す。 通信制高校は全日制高校と比較して、教育方法や教育内容などの自由度が大きい。また、 卒業できる生徒の割合についても学校ごとで様々である。そこで本調査は、学校ごとに大 きく異なる教育内容の調査を実施し、通信制教育の実態を把握し、卒業率及び卒業率に影 響が強いと考えられる単位修得率と関連性の高い方策について分析することを目的とする。 4.1. 全通研加盟校へのアンケート手順等 (1) 調査対象校 平成 27 年度の通信制高校は、文部科学省「学校基本調査(平成 27 年度)」によれば、237 校であった。しかしながら、私立高校の場合、3.3 節で紹介したように実質的な教育機関が 「サポート校」になっている場合も多く、1 つの私立高校であっても「サポート校」ごとに 実態が異なる場合も考えられる。そこで実態を把握しやすい、全通研に加盟している高校 を対象とした。 こうした経緯から、本調査の結果は通信制高校全体を反映するものではなく、全通研加 盟校のうち、回答に協力していただいた高校について、実態を明らかにするものとなる点 は注意が必要である。したがって、以下の調査結果で「公立」「私立」というときには、必 ずしも通信制高校全体の公立・私立の傾向をあらわしてはおらず、全通研加盟かつ回答に 応じていただいた公立・私立の高校の傾向となっている。 (2) 調査実施時期 調査用紙は原則として表計算ソフトのスプレッドシートで作成し、調査対象校に e-mail で送信した。また、回収も e-mail で行った。配布、回収の時期は、以下のとおりである。 配布:2016 年 11 月 18 日〜2016 年 11 月 25 日 回収:2016 年 11 月 22 日〜2016 年 12 月 20 日 4.2. 調査項目 調査の項目は、大きく分けて、学校に関する基本情報と、入学・卒業に関すること、ス

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17 クーリングやレポート、テストに関すること、学習支援やその他の支援に関することであ る(調査用紙は付録1に掲載)。 ①通信制課程における学校の基本情報 教職員数・非常勤年間時間数、年間の学費、1 年間に受講登録できる単位数、募集定員、 在籍生徒数と活動生徒数29、修業年限、入学・転編入学・卒業生徒数、長期欠席のあった生 徒の数、卒業生の進路先別の人数、中途退学者数 ②通信制課程における入学者選抜と卒業資格 入学者選抜の実施回数、入学者選抜方法、学力検査の科目、転編入学の実施回数、在籍年 限の制限、単位認定の時期 ③スクーリングの実施方法 同じ内容のスクーリングを受講できる回数、メディアの利用、体育のスクーリングの工夫 ④通信制課程における定期テスト、レポート、単位認定 レポートの回答方式、レポートの分量、レポートの提出しなければならない最低限度、レ ポートの採点・評価の頻度、レポートの合格基準、定期テストの年間の実施回数、合格基 準、定期テストで不合格となった生徒への対処、定期テストの受験日の弾力的取扱い、入 学後学校外の単位認定、単位修得率 ⑤学習支援 ガイダンスの取組、学習支援の取組、教育相談の取組、アクティブラーニングの手法の 取組、生徒の授業に対する満足度

5. 学校アンケート結果の概要

5.1. 回答状況 配布調査数は、全通研加盟校116校(公立76校、私立40校)である。回収は、74校(公立 53校、私立21校)で、有効回収率は63.8%(公立69.7%、私立52.5%)であった。 本章で示す表及びグラフは、全て本研究において実施した調査に基づいて筆者が作成し たものである。そのため、第5章の表及びグラフについては、出典を個別には表記しない。 5.2. 結果の概要 本章では、調査項目をピックアップし、必要に応じて 5.2.1 項で単純集計、5.2.2 項で公立 と私立を分けたクロス集計、5.2.3 項で卒業率・単位修得率と相関の高い変数を選び、5.2.4 項では前項で選んだ変数を用いて行った重回帰分析の結果を示す。 29 通信制の場合、在学していても授業料支払等の手続きをせず、学習を中断できる場合がある。手続きし て学習を行っている生徒を活動生、学習していない生徒を不活動生という。

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18 5.2.1. 単純集計 この節では、単位修得に影響が強いと想定していた項目について単純集計結果を示す。 同じ内容のスクーリングを何度か受講できる自由度、レポートの回答方法、レポートを 提出しなければならない最低限度、テストの合格の基準の 4 項目については、学校間の違 いはほとんど見られず、この項目が単位修得率に影響するとは考えにくい。 また、長期欠席の経験がある生徒数、レポートの分量、定期テストの受験日の弾力的扱 い、学校外の学修による単位認定の 4 項目については、結果にはばらつきがあり単位修得 率との相関を見る必要があることが分かった。 ①在籍卒業率及び単位修得率 通信制高校の場合、多くの学校が単位制で、個々人の単位修得数に応じて卒業を決めて いる。また、年度の途中から一部の単位を修得して、転編入学する生徒も多い。従って、 生徒が通信制高校で過ごす年数は人により様々である。そのため、卒業率を定義しにくい。 卒業率については、山梨大学 大学教育研究開発センター(2011)の報告 で、入学者に対 する卒業者で定義しているが、前述のように途中からの入学者や何年もかかって卒業する 生徒をとらえにくい。そこで本研究では、株式会社三菱総合研究所(2012)の報告書 にな らって、在籍生徒に対する卒業者数の割合を「在籍卒業率」として検証することにした。 値として 33%以上があるのは、以前に入学していた生徒が、3 年以上かけて卒業しているか らである。通信制高校における在籍卒業率(ある年度における在学生徒数に対する卒業者 数)と単位修得率の度数分布を図 5-1 から図 5-6 に以下に示す。

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19 学校数 在籍卒業率 図 5-1 平成 25 年度在籍卒業率 学校数 在籍卒業率 図 5-2 平成 26 年度在籍卒業率

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20 学校数 在籍卒業率 図 5-3 平成 27 年度在籍卒業率 学校数 単 位 修 得 率 図 5-4 平成 25 年度全科目平均単位修得率

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21 学校数 単 位 修 得 率 図 5-5 平成 26 年度全科目平均単位修得率 学校数 単 位 修 得 率 図 5-6 平成 27 年度全科目平均単位修得率

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22 ②長期欠席のあった生徒の数 中学校時代に長期欠席の経験がある生徒は、通信制高校で通学できるようになるケース と、ならないケースがある。通学できない場合には卒業率に影響が出ると考えた。平成 27 年度入学者のうち、長期欠席の経験者の割合は図 5-7 のとおりである。1 校で 50 名以下の 学校が 68%程度あり、学校間の違いはあまりなく、卒業率への影響は弱いとみられる。 ③単位認定の時期 単位認定の時期については、単位修得のしやすさに影響があると考えた。通年で年 1 回 行っている学校と、2 期制で年 2 回行っている学校はおおむね同数で、両方で 90%を超える。 また、3 学期制で年 3 回の学校や、随時実施している学校が若干あった。 表 5-1 1 年間の単位認定回数 年間単位認定回数 学校数 パーセント 1 32 43.2 2 35 47.3 3 5 6.8 随時実施 2 2.7 合計 74 100 図 5-7 長期欠席のあった生徒の数 0 10 20 30 40 50 60 ~50 ~100 ~150 ~200 ~250 学校数 (長期欠席の経験者人数)

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23 ④同じ内容のスクーリングを受講できる回数 同じ内容のスクーリングを何度か受講できる自由度があれば、単位修得率が高くなるの ではないかと考えた。調査の結果は、表 5-2 のとおりであり、63.5%の学校では 1 回だけで あり、2 回の学校を含めれば 87.8%である。このことから、学校間の差が少なく単位修得率 には影響が少ないと考えられる。 表 5-2 同じ内容のスクーリングを受けられる回数 ⑤レポートの回答方法 レポートの回答方法が容易かどうかは、レポート作成に影響し、ひいては単位修得率に 影響すると考えた。三菱総合研究所の調査30では、複数回答できる設問で、①マークシート 4.7%、②選択式 56.7%、③記述式 94.6%④論述式 58.1%⑤その他 11.6%であった。本調査で は、「もっとも当てはまる回答方式の 1 択」であるので単純に比較はできないが、論述式の 回答に大きな違いがあった。記述のみか、記述と選択の混合問題の学校がほとんどで、こ こから単位修得率の違いは起こらないと考えられる。 表 5-3 レポートの主な回答方式数 学校数 パーセント ①マークシート 0 0 ②手書きで、選択式のみまたは選択式が主 1 1.4 ③手書きで、記述式のみまたは記述式が主 38 51.4 ④手書きで、選択式・記述式が同等程度 34 45.9 ⑤論述式のみ(記号や簡単な説明だけでなく、数行以上文章を書かせる) 1 1.4 合計 74 100 30 株式会社三菱総合研究所(2012)p.26 同じ内容の回数 学校数 パーセント 1 47 63.5 2 18 24.3 3 5 6.8 4 1 1.4 6 1 1.4 20 1 1.4 26 1 1.4 合計 74 100

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24 ⑥レポートの分量 回答方法と同様に、レポートの分量がレポート作成に影響し、ひいては単位修得率に影 響すると考えた。結果は、表 5-4 のとおりである。レポートは教科や単元によって、その都 度分量が異なることが当然であるが、統計処理上「もっとも当てはまる平均的な分量の 1 択」で回答を求めた。結果は予想以上にばらつきがあるが、これだけでは単位修得に対す る影響についてははっきりしない。 表 5-4 レポートの分量 学校数 パーセント ①B5 判に換算して、1 枚以下程度 1 1.4 ②B5 判に換算して、2~4 枚程度 33 45.2 ③B5 判に換算して、5~7 枚程度 20 27.4 ④B5 判に換算して、8 枚以上程度 16 21.9 ⑤その他 3 4.1 合計 73 100 ⑦提出しなければならない最低限度のレポート量 回答方法、レポートの分量と同様に、レポートを提出しなければならない最低限度がレ ポート作成に影響し、ひいては単位修得率に影響すると考えた。結果は、表 5-5 のとおりで ある。2 校が 6~7 割提出すれば良いとし、1 校がその他としているが、それ以外 72 校は全 てのレポート提出を義務づけており、学校間の違いはほとんど見られない。従って、この 項目が単位修得率に影響するとは考えられない。 表 5-5 提出しなければならない最低限度のレポート量 学校数 パーセント ①3 割以下でも提出すれば良い 0 0 ②4~5 割程度提出すれば良い 0 0 ③6~7 割提出すれば良い 2 2.7 ④8~9 割提出すれば良い 0 0 ⑤すべて提出しなければならない 71 95.9 ⑥その他 1 1.4 合計 74 100 ⑧定期テストの合格基準 テストの合格の基準は、単位修得率に影響すると考えた。結果は表 5-6 のとおりである。 学校によって幅はあるものの、30~40%の合格基準の学校が 79.7%あり、定期テストの合格

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25 基準が単位修得率に影響するとは考えにくい。 表 5-6 定期テストの合格基準 合格基準% 学校数 パーセント 合格基準% 学校数 パーセント 0 4 6.3 35 3 4.7 15 1 1.6 40 16 25.0 20 1 1.6 45 2 3.1 25 1 1.6 50 1 1.6 26 1 1.6 60 2 3.1 30 32 50.0 合計 64 100 ⑨定期テストの受験日の弾力的取扱い テストの合格の基準と同様に、柔軟な受験対応が、単位修得率に影響すると考えた。結 果は表 5-7 のとおりである。学校によって対応に差があるものの、これだけでは単位修得率 に対する影響については何ともいえない。 表 5-7 定期テストの受験日の弾力的扱い 学校数 パーセント ①定期試験の受験日は変更できない 15 18.3 ②病気等の理由があれば 1 度だけ変更できる 33 40.2 ③病気等の理由があれば 2 度まで変更できる 3 3.7 ④所定の日まで何度でも変更できる 10 12.2 ⑤その他 21 25.6 合計 82 100 注1)試験により異なるやり方をしていて、複数回答している学校がある. ⑩入学後の学校外の学修による単位認定 学校外の学修による単位認定は、レポート、スクーリング、テストによらない単位修得 を可能にするものであり、単位修得率に影響すると考えた。結果は表 5-8 のとおりである。 今回の回答校 74 校中 62 校が高等学校卒業程度認定試験の結果を学校の単位として認定し ている。その他にもいろいろな取組が行われている。この結果にはばらつきがあり、これ だけでは単位修得に対する影響については何ともいえない。

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26 表 5-8 入学後の学校外の学修による単位認定 学校数 パーセント ①他課程等との併修 21 33.9 ②実務代替 5 8.1 ③技能審査・公的資格(漢字検定や英語検定等を含む) 39 62.9 ④高等学校卒業程度認定試験 62 100 ⑤大学・専門学校等々の連携 12 19.4 ⑥ボランティア活動 10 16.1 ⑦その他 8 12.9 注 1)複数回答可なので、この問に対する最大の回答校数を 100%としてパーセントを計算した。 5.2.2. クロス集計 本節では、今回のデータを公立高校と私立高校で区分するクロス集計により行った分析 結果を示す(⑦入学者選抜方法を除く)。公立私立という区分では、全科目の単位修得率も 卒業率も、私立の方が公立より平均値が高かった。これは先行研究の結果を裏付けるもの となった。 単位修得率・卒業率に影響が強いと考えられるレポート合格基準は、レポート課題を 8 割で合格とするのは私立で 90%、公立で 70%強である。 その他、私立が優勢な方策は、入試回数、学習支援の復習講座、補習授業、自由登校日、 教育相談の担任面談である。これらが、単位修得率・卒業率に影響している可能性がある。 以下に詳細を示す。 ①教職員数 教職員数については、実態が明確である常勤のみに限って調査した。従って、私立高校 の多くで行われているサポート校等の職員は含まれていない。 図 5-8 のように、常勤の職員に限れば、平均値は、公立 22.8 人、私立 16.4 人で、公立の ほうが私立より職員数は多い。しかしながら、学校規模(生徒数)がそれぞれの学校で異 なるので、教員一人当たりの活動生数を計算すると、図 5-9 のようになる。平均値は、公立 22.1 人、私立 25.4 人である。この数字にはサポート校等の職員は含まれないので単純比較 はできないが、教員一人当たりの活動生数は、私立の方が分布の幅が大きい。公立より手 厚い私立もあれば、公立より手薄になる私立もある。

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27 ②年間の学費 年間の学費については、図 5-10 のとおり、公立私立とも学校ごとで幅があるものの、公 私別の平均値は、公立 33.8 千円、私立 348.1 千円であり、公立に対して私立は 10 倍程度高 い。 図 5-10 年間の学費(公立私立別) 0 10 20 30 40 ~20 ~40 ~60 ~80 ~100 ~200 ~300 ~400 ~500 ~600 ~700 ~800 ~900 私立 公立 費用(千円) 学校数 1 2 owner 0 10 20 30 40 50 60 70 ky o u 16 72 24 39 22 (人数) 公立 私立 図 5-8 通信制高校の教員数(公私別) 図 5-9 教員 1 人当たりの活動生数(公私別) 1 2 owner 0.00 10.00 20.00 30.00 40.00 50.00 60.00 70.00 ky o u _1 ka tu d o 63 (人数) 私立 公立

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28 ③1 年間に受講登録できる単位数 1 年間に登録できる単位数について、筆者は勤務の経験上、短い期間で大量の単位を認め る私立の話を聞いていた。しかし、今回の調査に回答した全通研加盟校の中では、平均値 が公立で 29.9 単位、私立で 33.1 単位となり 3 単位程度しか差はなく、単位修得率には影響 が低いと考えられる。結果を図 5-11 に示す。 ④在籍生徒数 在籍生徒数は、平成 25 年度から平成 27 年度の平均で求めた。公私別の平均値は、公立 912.2 人に対して、私立 464.0 人であった。この値から、私立はおおむね公立の半分の規 模である。 図 5-12 在籍生徒数(H25~H27 の平均)(公立私立別) 0% 20% 40% 60% 80% 100% 公立 私立 ~400 ~800 ~1200 ~2000 ~5000 在籍生徒人数 1 0 0 0 40 12 10 7 0 0 0 0 0 0 0 1 1 0 0% 20% 40% 60% 80% 100% 公立 私立 ~10 ~20 ~30 ~40 ~50 ~60 ~70 ~80 ~90 登録単位数 図 5-11 1 年間に受講できる単位数(公立私立別) 注:帯上の数字は学校数

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29 ⑤在籍卒業率 公立私立別の在籍卒業率を図 5-13 に示す。平成 27 年度の公私別の平均値は、公立が 16.7%、 私立が 32.5%である。3 年制の場合、33%で 1 学年分になるので、公立では学年の半分、私 立ではほぼ 1 学年分が卒業したことになる。私立が公立より卒業しやすいという漠然とし た印象があったが、数値として明確になった。 ⑥入学者選抜の実施回数 入学者選抜の実施回数の質問項目は、新 1 年生の受け入れのみを聞いている。転編入学 生用の入学試験は別の質問で行った。年間の入試回数については、公立の 90%程度が 2 回 までになっているのに対して、私立では 2 回までの学校は 50%程度にとどまっており、入 学試験の回数が多い。公私別の平均値は、公立が 1.8 回、私立が 3.8 回である。 0 5 10 15 20 ~10 ~20 ~30 ~40 ~50 ~60 ~70 私立 公立 図 5-13 在籍卒業率(H27)(公立私立別) 学校数 在籍卒業率(%) 図 5-14 年間入試実施回数(公立私立別) 0% 20% 40% 60% 80% 100% 公立 私立 1 2 3 5 6 7 8 12 入学試験回数 卒業率(%)

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30 ⑦入学者選抜方法 入学者選抜の方法を聞いた質問では、有効データ校数 53 校中、学科試験を実施している 学校は 6 校であった。全日制や定時制の学校と比較して少ない。学科試験の実施の有無と 平成 27 年度の卒業率をクロス集計したところ、それぞれの平均値は、学科試験なしが 78%、 学科試験ありが 60%であった。ここでは入学に際して学科試験を行っている学校の方が、 卒業率が低いという結果になった。 表 5-9 平成 H27 年度の入学者選抜方法と卒業率(学科試験の有無) ⑧在籍年限の制限 在籍年限については、表5-10と図5-16のとおりである。制限がない学校または、無回答の 学校が35校ある。公私別に見ると、公立の方が年限を長めに設定している。また、学校に よっては再入学制度31を有しているところもあるが、内容は学校によりまちまちであり、本 31 山梨大学 大学教育研究開発センター(2011)、p.8 卒業率 学科試験なし 学科試験あり ~ 40 3 3 ~ 80 25 2 ~120 13 1 ~160 4 0 ~180 2 0 合計 47 6 図 5-15 平成 27 年度の入学者選抜方法と卒業率(学科試験の有無) 0 5 10 15 20 25 30 ~0.4 ~0.8 ~1.2 ~1.6 ~1.8 学検あり 学検なし 卒業率(%) 学校数 卒業率(%)

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31 研究では調査していない。 表 5-10 在籍年限の制限(公立私立別学校数と割合) ⑨レポートの合格基準 レポートの合格基準については、何割くらいの正答で合格にするかを聞いた。8割の出来 で合格とする私立が90%程度であるのに対して、公立では70%強にとどまっている。このこ とから、公立の基準の方が厳しい学校が多いことが分かり、単位修得率への影響が強いと 考える。 退学や除籍になった者が、その学校に再度入学する制度。筆者の勤務校では、転編入学と同時に行い、 手続きはほぼ同じである。入学しやすさも、書類審査と面接で選考しており同じである。 年限 公立 私立 公立(%) 私立(%) 5 0 1 0 9.1 6 9 5 32.1 45.5 7 0 1 0.0 9.1 8 13 2 46.4 18.2 9 0 1 0.0 9.1 10 4 1 14.3 9.1 13 1 0 3.6 0.0 15 1 0 3.6 0.0 合計 28 11 100.0 100.0 図 5-16 在籍年限の制限(公立私立別)の割合 0 9.1 32.1 45.5 0.0 9.1 46.4 18.2 0.0 9.1 14.3 9.1 3.6 0.0 3.6 0.0 0% 20% 40% 60% 80% 100% 公立(割合) 私立(割合) 5 6 7 8 9 10 13 15 注:帯上の数字は割合 在籍制限の年数

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32 ⑩単位修得率 単位修得率については、平成 25 年度から 27 年度の全科目の平均、及び 1 年次科目の国 語、数学、体育、英語について聞いた。全科目の単位修得率の分布はグラフのとおりであ る。1 年次のこの科目に注目したのは、筆者が勤務する通信制高校では、学校に慣れない 1 年次のこれらの科目の単位修得率が低い傾向にあるためである。 結果としては、私立は回答した全校の修得率が 6 割以上であるのに対して、公立は 6 割 以下の学校が 60%程度あり、公私で大きな差がでている。 図 5-18 平成 25 年度全科目平均修得率(公立私立別) 1 0 3 0 26 0 16 3 2 6 0% 20% 40% 60% 80% 100% 公立 私立 ~20 ~40 ~60 ~80 ~100 単位修得率(%) 注:帯上の数字は学校数 図 5-17 レポート合格基準(公立私立別) 0 1 6 5 12 5 16 4 13 2 0% 20% 40% 60% 80% 100% 公立 私立 ~20 ~40 ~60 ~80 ~100 注:帯上の数字は学校数 レポート合格基準(%)

参照

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